肝機能障害に対する鍼灸治療はWHOが定める鍼灸治療が有効とされる疾患の一つとして挙げられています。
鍼灸治療は自律神経のバランスを整えて内臓の機能を高めることであまり認知されてはいませんが、肝機能障害に対しても有効とされているのです。そこで今回は肝機能障害に対する鍼灸治療ということで書かせていただきます。
肝機能障害に対する鍼灸治療は、まず第一に東洋医学的観点より症状を判別して肝機能を高める施術を行うことです。
主に五臓六腑の肝の機能を正常に戻す施術施しますが、その他にも症状によっては「腎」や「胆」にも異常が見られる場合もありますのでそれらの箇所も東洋医学的に施術していきます。
また、内臓の臓器は自律神経の支配を受けており自律神経が乱された状態ですと機能も低下して肝臓の場合でも機能低下をきたしやすいと言えます。そこで当院では、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握したうえで自律神経を正常な状態へと戻すような施術も行っていきます。
自律神経の状態を整えることは肝機能を正常に回復させる方法としてとても重要なものとなります。
その他施術以外にも積極的に生活指導も行っております。それは施術を受けても飲酒習慣が続いたりするとどうしても症状の回復は見込めないからです。本気で肝機能を正常に戻すには治療の他にも生活習慣を見直す必要があるのです。
※生活上の注意点
肝機能障害を回復させるためには日常生活での食事や運動などが重要となってきます。いくら肝機能障害の治療を受けていても暴飲暴食を続けていたのなら回復する可能性は低くなります。
・お酒の飲む量を調節する
アルコールやアセトアルデヒドなどの毒素分解の役割を肝臓が担っているため過度な飲酒は肝臓に負担をかけて肝細胞が死滅する原因となってしまいます。症状がだいぶ進行した人であるならば断酒する必要もあります。
しかし、肝臓の状態がそれほど悪くない方の場合は、飲酒量を減らす・アルコール度数の低いお酒にする・休肝日をつくるなどして制限すれば決して断酒する必要もありません。
厚生労働省の研究によると日本酒で約7合を毎日10年以上飲み続けた場合では、約20%の人が肝硬変を発症するというデータがあります。さらに15年以上飲み続けた場合では半分の方が肝硬変を発症しています。これだけ高いデータがあるのでまだ肝機能に異常がない方でも飲酒の量は考えて飲む必要があります
・食べ過ぎない
食べ過ぎで毎日栄養過多の人は、栄養代謝で肝臓への負担は大きくなり、肝機能障害を発症しやすいと言えます。また、太りすぎの方は肝臓への負担が大きくかかることもわかっています。毎日原6~7分目を心がけて決して食べ過ぎないように注意しましょう。
・肝臓によい食事
破壊された肝細胞を修復するのに良い栄養素としてタウリン・ビタミンB・セサミン・アラニンなどが知られています。それら肝臓にいいとされる食材としてブロッコリー・ニンニク・玉ねぎ・リンゴ・グレープフルーツなどがあります。バランスよくそれらの食材を毎日の食事に取り入れていきましょう。
・運動習慣
運動習慣特にウォーキングや体操などの有酸素運動の習慣があると自律神経も整いやすいですし、体脂肪を落とすにはやはり運動は必要となってきます。運動すことで自律神経が整えられて太りすぎ状態を防ぐことで肝機能障害になりにくくなります。
東洋医学での「肝」の働きは西洋医学での肝臓の働きと似ている部分もありますが、全然似ていない部分もかなりあります。
東洋医学での肝は、肝臓の部分機能や血液循環の調節機能の他に自律神経系・情動活動に関連する中枢神経系・運動神経系・視覚系の一部もつかさどっているという考えがあります。
・肝は疏泄をつかさどる
肝は気を体の隅々にまで行き渡らせる機能があります。これは、情緒を安定させて精神状態を安定的に保つこと、視床下部や自律神経系の機能によって全身の各機能を円滑に行われ
るように保つことにあたります。
・肝は血を蔵する
肝は血を貯蔵して必要に応じて供給・消費する機能があります。自律神経系を介して血管を収縮・弛緩させて体内の血液量を調節することにあたります。
・肝は筋をつかさどる
肝は運動神経系の調節をつかさどっています。筋膜や腱の緊張・運動を弛緩・制御することことで肝は筋をつかさどっています。
・肝は目に開竅する
肝は自律神経系の調節などの作用によって視覚の一部をつかさどっています。よって肝の機能異常は視覚・目にも影響が出やすいと考えられています。
30代女性
ここ半年で体重が10㎏増加し、病院で肝機能に障害があると診断された。
肝臓の数値をよくするために漢方薬を処方されて1か月飲んだところ数値が少し改善。
漢方と併用して鍼治療を行えばさらに回復が見込めるのではとのことで来院された。
もともとアトピー体質で、肝機能が低下するとアトピーもひどくでる。
症状が強いときはかゆみで夜眠れない日もある。
肝臓の数値と、アトピー肌の改善を鍼治療で行い体質改善をしたい。
当院の治療
これまでの生活習慣をきいたところ、昼夜逆転の生活や目の酷使、ストレスをためやすい、生理痛が重いなど「肝」に負担がかかる状態にあった。日常の積み重ねで今回の症状が現れたと推測できる。鍼灸治療では「肝」の経絡を中心に刺激をいれ、自律神経の調節も行った。また、1時~3時は東洋医学では肝の時間なので、その時間に睡眠をとり肝を休めるようアドバイスをした。
アトピー症状も強くでていたので、皮膚の熱をさげターンオーバーを促進するツボを用いて鍼とお灸施した。
◇1回目◇
施術当日は夜かゆみもなくぐっすり眠れた。
初めての鍼で緊張もしていたが痛みはほとんどなくリラックスできた。
◇2回目◇
初回から1週間だが効果は持続しているように感じる。
かゆみもゼロではないが落ち着いている。
夜12時には布団にはいるようにしてから調子がよくなっている実感がある。
◇3回目◇
生理があり体調が崩れた。かゆみも少し強め。
婦人科系のツボも使って前回同様に全身の調節を行った。
◇4回目◇
一時的に症状悪化したがそのあとすぐに改善。
アトピーの薬はのまなくても過ごせるようになった。
体重はまだ減ってないが、以前より疲れを感じにくくなったいし変化はしている気がする。
次の検査までは週一のペースで通って経過をみていきたい。
肝機能障害について知るうえでまずは肝臓の役割を抑えておく必要があります。
肝臓は臓器の中で一番大きい臓器で重さも1.2~3kgもあるもい臓器です。場所は、みぞおちの右側に位置しており、外側に肋骨がある事で外部からの衝撃から守られるような場所にあります。肝臓には右葉と左葉があり右葉が全体の65%、左葉が全体の35%をしめて全体的にみると三角形の形をしています。
肝臓は他の臓器に比べて血液量が多い臓器の一つです。肝臓には主に門脈と肝動脈という二つの血管が出入りしています。門脈は腸や脾臓から栄養素の多く含んだ血液を運んでおり、肝動脈は大動脈から流れる酸素を多く含んだ血液を直接肝臓に運んでいます。それらの栄養素や酸素を多く含んだ血液により、肝臓は様々な働きができるのです。
肝臓は、細かく分ければ500以上もの身体の働きを担っていますが、その働きがなかなか感知されにくいため、「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
肝臓の役割としてまだまだ解明されていない部分もありますが、分かっている範囲で大まかに分けて3つあります。
解毒・分解作用
アルコールが解毒される場所は、肝臓であるということはよく知られているかと思います。アルコールばかりでなく、その他の毒素、アンモニア・有害なウィルスや細菌なども無害なものに解毒・分解する作用が肝臓にはあります。 しかしこの肝臓の解毒・分解作用にも限界があります。アルコールの多量摂取や薬物の過剰な摂取は肝臓を傷めつけて気付いたときには肝臓機能が再起不能状態となってしまい解毒作用が出来ない状態ですでに手遅れという状態となる危険性があるので注意しなければいけません。
栄養素の代謝・貯蔵
肝臓は、取り込んだ栄養素をエネルギーに変える重要な役割があります。タンパク質や脂質、タンパク質などの栄養素は体に取り込んだだけでは何の役にも立ちません。そのような栄養素は肝臓でほかの物質に変えられて初めて体内に吸収することができてエネルギーとなるのです。この栄養素を化学反応によって体内に吸収させる物質に変化させることから肝臓は「体内の化学工場」とも言われます。
栄養素としてよく知られているタンパク質・糖・脂質・ビタミds8ン・ミネラルなどの代謝は肝臓で行われているのです。 そしてそれら体内に吸収されるようになった物質は、肝臓内に貯蔵して必要に応じて体に送り出す機能も担っているのです。その肝臓の機能が低下した状態となってしまうと体はエネルギー不足となってしまいすぐに疲労してしまいます。
胆汁の生成
胆汁は、脂肪の消化吸収を手助けしている液体ですが、胆汁も肝臓で生成されていて間接的に脂肪の消化吸収の役割も担っているのです。肝臓では一日に700~1000ccほどの胆汁が生成されており、胆汁の生成が十分な状態に陥ってしまうと、消化吸収の機能が低下してエネルギーが十分に確保できなくなってしまったり、消化不良を起こしやすく便秘にもなりやすくなってしまうのです。
肝機能障害といいましても一つというわけではありません。肝機能は様々な役割があるため症状の出方もそれによって異なってきます。下記の症状が続くようでしたら、肝臓の異変も考えられますので一度病院で検査を受ける必要があります。
☑何をしてもすぐに疲れる
☑常に身体が重だるい
☑食欲がわかない
☑身体のむくみが取れない
☑尿の色が濃い状態が続いている
☑お腹がパンパンに張る
☑眼球の白めの部分や皮膚が黄色味がかる
☑全身がかゆい
肝臓の異常は、なかなか体に現れにくいため上記の症状が出たら症状が進行している危険性もあるので早急な対応が必要となります。肝臓にはもともと再生能力が備わっています。
それは臓器の中で肝臓だけに備わっている能力でたとえ肝細胞の一部が壊されたとしてもすぐに再生したり、再生の間でも別の肝細胞が活動を補うことが可能なためなかなか症状として体に現れにくく、現れた時には症状がかなり進行しているということが往々にしてあります。
肝機能障害の代表的なものとして
脂肪肝
脂肪肝は一度は耳にしたことがあるかと思いますが、その名の通り肝臓に脂肪がたまりすぎている状態です。正常時の10倍以上も脂肪が肝臓に溜まっている状態ですが。脂肪肝の症状はほとんどありません。脂肪肝が進行すると肝炎や肝硬変となってしまう危険性があります。
上記にもある通り肝臓には取り込んだ脂肪を代謝して貯蔵して必要に応じて各器官に送る機能がありますが、脂肪摂取の多い暴飲暴食やアルコール摂取が多いと肝臓内に貯蔵される脂肪が増えて脂肪肝となってしまいます。
脂肪肝には、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝とがあります。アルコール性脂肪肝は、アルコール摂取が多くアルコールの解毒の過程で肝臓の働きが低下することで肝臓内の中性脂肪がたまっていきます。非アルコール性脂肪肝は、肥満や糖尿病の人でインスリンの働きが鈍くなり糖の代謝が鈍ることで肝臓に脂肪がたまりやすい状況となります。
肝炎
肝炎にはウィルス性のものとアルコール性のものとがあります。 ウィルス性肝炎にはA型・B型・D型・E型があり、日本ではB型肝炎とC型肝炎が大半を占めます。B型とC型は血液を介して感染します。A型とE型は水や食べ物を介して感染しますが、現代では衛生環境が整っているため減少傾向にあります。
アルコール性肝炎は脂肪肝の状態でもアルコール摂取量を減らさない状態を続けていると約2割の人はアルコール性肝炎を発症すると言われています。アルコール性肝炎は脂肪肝とは異なり、発熱やわき腹痛、食欲不振、むくみなどの症状が出ます。この状態でも禁酒をすれば肝臓の機能は改善する見込みがあります。しかしこの状態でもアルコール摂取を控えないと肝硬変となってしまい、肝機能は禁酒をしても効果がえられなくなってしまいます。
肝硬変
肝硬変は、その名の通り肝臓が固くなってしまった状態です。肝炎が進行して肝細胞が傷ついて修復する過程でだんだんと細胞が線維化して硬くなってしまいます。
肝硬変が重症化してしまうと肝臓がんとなり、最悪の場合生命の危険にさらされます。肝硬変となると肝臓の栄養の消化吸収作用や解毒作用がうまく機能せずに倦怠感や体重の減少、便秘、筋肉の痙攣などが症状として出ます。また肝機能が衰えることで血液を固める血小板が十分に作られなくなるためちょっとした刺激で内出血が起こりやすくなったり、鼻血が出やすくなってしまいます。
定期検診や人間ドッグなどで肝臓の検査が良く行われますが、簡単な基準値を頭に入れておくと良いでしょう。
・GOTとGPT
GOTとGPTは主に肝臓内にある肝細胞で働いている酵素で体の中の重要な構成要素であるアミノ酸の生成する役割があります。肝臓が正常に働いている状態ではGOTとGPTも正常に働きますが臓器が損傷することで分量が増加するため血液中のGOTとGPTの数値は高くなってしまいます。GOTは肝臓の他にも心筋や骨格筋にも多く存在しているため数値が高くなると、肝臓の病変以外にも心筋梗塞や筋ジストロフィーなども疑われます。
基準値は30IU/L以下と定められています。基準値を下回っていればほぼ問題ないと言えます。数値が50IU/Lが越えてしまった場合は注意が必要で肝臓に何らかの異常がある可能性があります。さらに100IU/Lを超えた場合は、ウィルス性肝炎や肝硬変の疑いがあります。
・γ-GTP
γ-GTPは肝臓や腎臓などで生成されて肝臓の解毒作用に関与している酵素です。また、エネルギー代謝を助けてたんぱく質を分解・合成する酵素でもあります。肝臓や胆管の細胞が破壊されると血液中にあふれ出すことから数値が基準値を超えると注意が必要です。
数値が上がっても身体に何か症状が出るわけではありませんが、数値が高いと脂肪肝や胆石などの疑いがあるので注意が必要です。 γ-GTPはアルコール性の脂肪肝や肝炎に反応してアルコールを飲みすぎると短期的に数値が上昇します。基準値は50IU/L以下で、それを超える100IU/L以上となってしまった場合は脂肪肝が進行している可能性があります。200IU/L以上となった場合、アルコール性肝炎や肝硬変、胆石や胆道がんなどの疑いも出てきますのでさらに詳しい検査が必要となってきます。
が整えられて太りすぎ状態を防ぐことで肝機能障害になりにくくなります。
眼精疲労の主な症状は、目の疲れに伴う痛みやピントが合わせづらい、視力の低下などの目の症状に加えて首肩こりや頭痛、全身の倦怠感などの全身症状も呈します。目は、人間の外部から得られる情報の中の約8割をも占めるといわれるとても重要な臓器の一つです。その視覚情報に不具合や不快感が生じてしまいますと全身にも影響を及ぼしてしまうのです。
現代社会では、パソコン作業やスマートフォン操作の増大によって近くの物を注視する機会が増えたことによって目に負担がかかり、目に関するトラブルが急増しています。人間の目は本来遠くのもが見えやすいように構造されています。それは、昔は目によって獲物を捕らえて狩りをしていたり、天候の変化を見極めて身を守っていたことに由来します。それが現代では、そういった機会少なく逆に近くの物を見る機会が増えており、それが目の構造とは真逆となって目に負担をかけているのです。
近くの物にピントを合わせようとすると目のピント合わせる毛様体筋に負担がかかり、その周りの眼輪筋などにも波及してしまいます。また、視線を動かすことが少なくなり、目を動かす6つの筋肉(外直筋・内直筋・上斜筋・下斜筋・上直筋・下直筋)が衰えてしまうことで物が二重に見えてしまう複視症状にもつながりかねません。
当院の眼精疲労に対する鍼治療では、目の周りに鍼を刺して疲労している筋肉に直接アプローチすることで目の循環を改善して疲労物質を排出してあげて栄養ある血液を行き届かせるように施術していきます。また、目の周りに温かいお灸を施すことで凝り固まった筋肉を緩ませる施術も行っていきます。
その他、眼精疲労を東洋医学で考えますと、五臓六腑の『肝』が深く関係しています。目にとって肝はとても重要な五臓の一つで肝の機能が低下してしまうと目に気血が十分に行き届かなかったり、逆に肝火が上炎してしまって充血や目の痛みに繋がってしまうと考えられています。当院では、肝のツボも用いて肝の状態を正常に戻すような施術も行っていきます。
また、全身施術として自律神経調整治療も行っていきます。目と自律神経も深い関係にあります。目のピントを調整する機能であったりまぶたの開閉、血液循環は自律神経が関係しています。目の不調は自律神経の乱れにつながりかねません。自律神経の乱れを整えることで目にもいい作用が働くと考えて施術していきます。
初診時に必要であれば自律神経測定器を用いて自律神経測定も行ってその方に合わせた自律神経調整治療を行っていきます。
・眼精疲労の鍼灸治療について詳しくはコチラ←
・視力低下の鍼灸治療について詳しくはコチラ←
・複視の鍼灸治療について詳しくはコチラ←
・首コリの鍼灸治療について詳しくはコチラ←
症例①
30代女性
社会人となって事務職に就いてからパソコン作業の時間が増えてそれに伴い5年ほど前から目の疲れや目の奥の痛みを定期的に感じるようになった。夜遅くまで仕事などもある時があり、なかなか寝付けない・全身の倦怠感・頭痛などの全身症状も最近出てきた。
眼科を受診したところ、少しドライアイ気味だが特に大きな病気は見つからず、目薬が処方されて点眼をしているがあまり良くならなかったため鍼治療を受けてみようと思ったとのこと。
鍼治療
特に目の奥の痛みが左側に現れることが多く、それに伴って左首肩にも痛みが波及していくとのことで、左目と左首肩に比重を置いて施術していきました。また、問診時に自律神経の乱れもあると考えられたため、自律神経測定を行い自律神経のバランスも調整する自律神経調整治療も合わせて行っていきました。
まず、うつ伏せとなり首肩の筋緊張の強い部分に鍼をしてその他背中にあるツボも施術していき、次に仰向けで目の周り特に左目の鍼の本数を増やして治療しました。左目にはさらに鎮痛効果が期待できる鍼通電を行い、症状の緩和をはかりました。
自律神経調整治療ではお腹手足のツボを用いて鍼やお灸療法も行っていきました。
・1~2回目
一回目の治療後、一番つらい状態が10(VAS)だとすると3~4程度に症状は落ち着いた。下肢の冷え症状も強く出ていたため、下肢にお灸を多く行って全身の巡りを良くしていきました。
・3回目
日常的に左目の痛みを感じることはなくなった。違和感程度。左目のVASは1~2ほどで、左首肩はまだVAS3~4ほど。
・4~5回目
仕事が忙しい時でも以前よりは寝つきが良くなってきた。左目と左首肩のVASは1~2ほど。でも、どうしても無理して体を酷使すると痛みが少し出る時もあるため、症状が出そうになった時だけ不定期に来院。
症例②
20代男性
美容師の仕事をしており、細かい作業が多く目をよく使う。また、髪を切る姿勢は頸肩に負担が多くかかるため常に首肩こりに悩まされていた。忙しい時は、ほぼ休みなく一日中カットをしている時もあり、そのような日は夕方くらいから目の周りに痛みが出てひどい場合には頭痛やめまいを起こすようになってしまった。
病院を受診して薬を処方してもらっていくらか症状は抑えられているが完璧な状態までいかずに何とかもう少し体が楽に仕事ができるようになりたいということで当院にご来院された。
鍼治療
まず頸肩の筋緊張の緩和と立って仕事をする機会が多く腰部の筋肉も過緊張状態であったためうつ伏せでそれらの筋肉をほぐしていきました。つぎに仰向けとなり、目の周りの筋緊張の緩和と自律神経の調整施術を行っていきました。また、眠りも浅く寝ても疲れが取れないという状態だったことから睡眠に関するツボも用いて鍼とお灸の施術を行っていきました。
・1回目
治療後、頸肩は楽になり、いつもよりも睡眠が深く取れたように感じたとのこと。目の状態はまだ夕方ごろになると疲れを感じてくる
・2回目
以前よりも目の状態は良くなったように感じるが、まだ夕方以降に調子が崩れてしまう
・3回目
夕方以降の目の状態は、VAS4程度と徐々に改善が見られるようになってきた
・8回目
7回目まではいい状態と悪い状態を繰り返す調子の波があったが、8回目以降は体も安定。夕方以降となっても目の疲れを感じにくくなった。
症例③
30代男性
半年前から目の奥の痛みや乾きが気になるようになった。
目薬をさしてもその場はよくなるがすぐもとに戻ってしまう。
1日10時間以上パソコンを使用している。
細かい作業が多く、長時間続けると頭痛がでることもある
目を温めると調子はいい。
当院の治療
目の周りの筋緊張の緩和を目的として、目のまわりに鍼を行い低周波治療器で電気を流した。
温めると症状が緩和されるとのことだったので、電子温灸器で目の周りを温め、血液循環がよくなるように治療した。
デスクワークによる首や肩のこりもあったためうつ伏せで背部の治療も行った。
経過
1回目
施術後視界がクリアになり、目の奥の痛みがなくなった。
2回目
目の痛みが軽減し、目薬も効くようになった。
頭痛も以前より回数が減っている。
5回目
仕事をしていると疲れるが、目のまわりを押したり温めると目の奥の痛みはとれるようになった。
頭痛も2週間出ていない。
今後も定期的な治療を続ける。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
大腿四頭筋は、大腿(太もも)の前面に位置する四つの筋群で、大腿直筋(だいたいちょっきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)から構成されています。この4つの筋肉はすべて膝関節をまたいでついており、膝を伸展させるのが主な役割ですが、大腿直筋は唯一股関節もまたぐため、股関節の屈曲にも貢献しています。
大腿四頭筋は、筋繊維が鳥の羽のように斜めに並ぶ「羽状筋」というタイプの筋肉で、強い力を発揮することができます。
・大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)
大腿四頭筋の過緊張により膝のお皿の上側に痛みが発生します。膝蓋靱帯炎と原因は同じですが場所は違います。ジャンプ動作はもちろんダッシュなどの動作でも痛みが伴います。繰り返しの動作が続くほど受傷する可能性が高くなります。
・オスグッド病
10~15歳の成長期の子供が、跳躍やボールをけるスポーツをしすぎると発生します。大腿四頭筋の力は、膝蓋骨を経由し膝を伸展させる力として働きます。
オスグッド病は膝を伸ばす力の繰り返しにより、大腿四頭筋が膝蓋腱付着部を介して脛骨結節を牽引するために、脛骨結節の成長線に過剰な負荷がかかり成長軟骨部が剥離することで生じます。
・大腿四頭筋損傷
大腿四頭筋のうち損傷しやすいのが大腿直筋と中間広筋の二つです。大腿直筋は股関節と膝関節の二つの関節にまたがっているため特に損傷しやすいです。この筋肉に何らかの急激な牽引力が加わることで肉離れを起こしたり、外力が筋肉に加わることにより損傷します。
特に急激なストップとスタートを行うランニング動作を必要とするスポーツで起きやすい障害の一つです。筋肉が損傷すると発赤、腫脹、内出血、患部を押した痛みを伴います。受傷直後には、まずRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を的確に行うことが必要です。
・大腿四頭筋炎
大腿四頭筋炎とは、太ももの付け根や膝の2,3cm手前あたりに痛みや腫れを生じる疾患です。体を動かしているときや長時間立ったままの時に痛みが現れます。
椅子に座ったりして太ももをしばらく安静にしていると痛みが軽減するという特徴もあります。原因として加齢による太ももの筋肉の衰えや、バランスの悪い姿勢での長時間の立ち仕事、ハイヒール、外反母趾、偏平足、ハイアーチなど、足の骨の疾患を持っている人は、大腿四頭筋炎を起こしやすいです。
また、バレーボールなど、ジャンプを多く使う習慣のある人もこの疾患を起こしやすいことが知られています。
・変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝関節の変形と痛みを主症状とした進行性の病気です。40歳以上の中高年の女性に多く、その原因は様々で、加齢による膝関節の老化や体重増加(肥満)、外傷、素因(遺伝子)、生活習慣なども関与しています。
大腿四頭筋は歩行の際の蹴り出しと着地の際に、膝関節に加わる衝撃を吸収する役目を担っています。膝関節に加わる衝撃は普通に歩くだけでも自分の体重の1.5倍~2倍掛かると言われ、また階段昇降では2倍~3倍とも言われており膝関節と大腿四頭筋は切っても切れない関係です。
この大腿四頭筋が筋力低下を起こすとその衝撃をうまく吸収することが出来ず膝への負担がより一層掛かってしまいます。衝撃を受けた膝は時間の経過とともに変形していき、最終的には変形性膝関節症になってしまうということです。
東洋医学では人体には14本のエネルギーの流れがあると考えられていますが、大腿四頭筋は「小腸経」と関係のある筋肉です。
また、東洋医学では痛みを「痺証(ひしょう)」と呼びます。痺は「流れが悪く通じない」という意味で、身体の気や血の流れが悪くなり痛みを引き起こしていると考えます。また、これらの流れを妨害する原因としては風・寒・湿・熱・などの邪が侵入して起こると考えられています。
つまり何らかの原因で経脈(けいみゃく・・気血の流れる通路)が悪くなり気血が滞るためと考えるのです。
また、必要な気血などが足りない場合にも、筋肉が正常に働けずに痛みが出ると考えられています。
頭筋の筋緊張や膝の痛みに関与する場所に鍼やお灸を施します。
鍼灸は人間が持つ傷の修復作用を利用して、痛みにより固まった筋肉の緊張を緩和させます。
人間が体に傷を負うと血液循環が促進されるのですが、鍼灸では鍼やお灸を使用しあえて微細な傷を作り出すことで、血液循環を促し筋肉の緊張を緩和させます。
筋緊張が緩和され、血液循環が促進されると炎症物質や発痛物質の代謝を促し消炎・鎮痛効果、治癒促進の効果、関節可動域の拡大などが期待できます。
また、症状によって急性期には安静が必要な時期もあり、局所への治療はある程度炎症が治まってから行うのが無難ですが、この時期も経絡を応用した遠隔部よりのアプローチも消炎効果が期待できます。
東洋医学で神経性嘔吐症は吐き気、嘔吐は主に気滞(きたい)により生じる消化に関係する臓腑である「脾」「胃」「肝」の機能低下により、「胃」の気が下に降りられず上逆することによって生じると考えられています。
消化吸収は胃が食物を受け取り、揉み砕いて細かくし、小腸へ送る働きがあり、脾が食物の消化吸収を行います。
肝は気の流れの調節(疏泄作用)、胆汁の分泌と排泄により消化を助けるなどの働きがあります。
「気」は身体内を巡る生命エネルギーのような存在として捉えられていますが、脾胃を含めた臓腑はこの「気」の力により正常に働いています。
精神的ストレス(仕事の重圧、近所や家庭、職場などの人間関係、人によっては寒暖や湿度といった自然環境や騒音、日照りなどの生活環境が原因になることもあります。)などによって五臓六腑の「肝」の働きが低下し、「肝」の持つ疏泄作用(気を全身へ巡らす作用)が低下すると「気滞」に陥りやすくなります。「気滞」の他に「気の不足(気虚)」も気の流れが滞ってしまう原因になり、そうすると臓腑も十分にその力を発揮できなくなると考えられています。
気滞によって起こる典型的な消化器系症状としては吐き気、嘔吐、ゲップ、胃痛、食欲不振、下腹部痛、腹部の張り、ガス溜まり、下痢、軟便などが挙げられ、消化器系以外の症状としては胸のつかえ、喉のつまり、生理不順、イライラ感、気分の落ち込み、不眠症などが挙げられます。
当院ではまず、自律神経測定器にて測定を行い患者様のお身体の状態を把握した上で治療に移ります。
腹部、手足、背部などに存在する自律神経のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与えることで、消化器系を含む内臓機能の調整、免疫力の向上、全身的な血行を促進し自然治癒力を高めていきます。
また、自律神経系の調整を行うことで嘔吐中枢の興奮を抑え、吐き気や嘔吐の症状を和らげる効果が期待できます。
さらに、東洋医学的観点から脾、胃、肝の働きを調整するツボや気の流れを整えるツボを選択します。
20代 女性
4年ほど前から慢性的な吐き気に悩まされてきた。特に人と食事をしている際中や仕事で過度なストレスを受けた際に吐き気が出てしまって実際にトイレに駆け込んで吐いてしまうときもある。
食事は特に外食をしているときに吐き気が出やすく、また吐き気が出てしまうのではないかと外食の時は不安感も襲ってきてしまう。
吐き気は、仕事のある朝にも起きやすく、その時は動悸症状も併発することが多い。
数か月前から転職を機に吐き気が強くなって吐き気止めと抗不安薬を毎日服用。たまに眠れない日もあるため眠れない日は睡眠薬も服用している。
のど周りの締め付け感、ヒステリー球のような症状も常時気になってしまう。
当院の施術
自律神経測定器で自律神経の状態を測定したところ交感神経の活動が活発で副交感神経の活動が低い状態でした。
自律神経の状態、特に交感神経の活動を抑える背部兪穴や頭部のツボを用いてその他胃のツボ、のど周りの筋緊張の緩和、触診をしたところ肩甲骨の内側のコリがとても強い状態でしたのでその部分もしっかり緩めていきました。
とりあえずの目標は、吐き気止めと抗不安薬の服用頻度を減少させることで心療内科と並行して当院も受診していただきました。
施術頻度は2ヶ月間を週に1~2回ほどのペースで3か月目からは2~3週間ほどの施術頻度で行いました。
6回目の施術以降、症状が落ち着き始めたので薬を少しずつ減らしていった良いと医師から言われたとのこと。
それ以降症状に波はありますが徐々に回復傾向。
3日に1回ほど吐き気止めを服用するにまで頻度が減り、抗不安薬は1週間に1度ほどの服用でよくなりました。
さらに減薬するため通院加療中
神経性嘔吐症とは、嘔吐の原因となる身体的な異常が見られず、心理社会的ストレスが誘発、原因となり、頻繁に吐き気や嘔吐をに悩まされる病気です。
常にむかむかするだけで実際の嘔吐を伴わない場合や、実際に何度も続けて嘔吐してしまうものや、食事した後など決まったタイミングで嘔吐する習慣的なものまで様々です。
神経性嘔吐症はストレス耐性が低く脳の発達が完全でない子供に多い症状ですが、成人にも見られる病気です。
神経性嘔吐症の原因ははっきりとは解明されていませんが、精神的なストレスが深く関係しているのではないかと考えられています。
ストレスと吐き気の関係
吐き気を感じるということは、脳幹内にある嘔吐中枢が刺激されているという事を意味します。嘔吐中枢は自律神経などによって大脳皮質や咽頭、心臓、消化管などの各器官とつながっています。
ストレスを認知したり評価したり判断したりするのは大脳の仕事ですが、その際ストレスに対して適切な受け止めができず上手に処理できない場合に、不快な感情、不安、恐怖、怒りなどが神経を介して延髄にある嘔吐中枢を刺激して症状が引き起こされると考えられています。
また、過度なストレスにさらされる状態が続くと自律神経の乱れを引き起こしやすくなります。その自律神経の興奮が嘔吐中枢を刺激することも神経性嘔吐症の症状を引き起こす原因になると考えられています。
神経性嘔吐症を発症しやすい性格
何事にもまじめに取り組む几帳面な性格、細かいことが気になる神経質な性格、人からの頼みごとを断れずストレスを溜めやすい性格などが発症しやすい可能性があります。
また、集団生活や状況の変化が苦手意識のある方も発症しやすいといえるでしょう。
中心的な症状は吐き気と嘔吐になります。しかし、神経性嘔吐症を患っていても必ずしも嘔吐するわけではなく乾嘔(からえずき)を伴う吐き気や胃の不快感が主訴となるケースも多くみられます。
症状には波があり、何も感じない時もあれば、吐き気のために学校や職場へ行けなくなってしまう事もあります。
嘔吐が習慣的に繰り返されると胃酸の逆流により、胃と食道の境の粘膜が炎症を起こし、胸の中心あたりに痛みを感じることがあります。
また、歯のエナメル質が溶け出し虫歯になりやすいことも分かっています。
神経性嘔吐症の診断は、まず嘔吐の原因となる他の疾患がないかを確認します。血液、尿、便の検査、内視鏡や腹部エコーなどを行います。
そこで胃炎などの嘔吐の原因となる疾患が無いことを確認してから、症状の発現に心理的なストレスが関係していると判断された場合に診断されます。
治療法として基本的には薬物療法やカウンセリング、自己訓練法などが用いられます。薬物療法では、制吐薬や抗不安薬などが使用されます。
当院の頸椎椎間板ヘルニアに対する治療の目的は、第一に首や肩背部のツボや痛みの強い部位に鍼をさして痛みやしびれの軽減をすることです。
また必要であらば、微電流を流すことにより血行を良くしたり、筋の過緊張を和らげます。
頸椎椎間板ヘルニアは五臓六腑の「腎」と「肝」に深く関係しているので腎や肝に関する経穴を用いて「腎気」や「肝血」を補うことや頸部の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。頸椎椎間板ヘルニアは全身性の疲労や気血の滞りが原因の場合もあるので頸部だけの部分的な治療ではなく全身を診て治療していきます。
また頸椎椎間板ヘルニアで長い間その症状に悩まされていると自律神経の乱れに繋がります。当院では、自律神経測定器を用いてその日の体の状態を見極めてから施術することにより、ほかとは違う施術効果が得られるのです。
当院の頸椎椎間板ヘルニアニアの施術で、仕事や家事がスムーズにできるようになり意欲的に取り組めるようになったと喜びの声を頂いております。
東洋医学では頸椎椎間板ヘルニアは体の外から邪気を受けるため発症するものと中医学でいう「肝」と「腎」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。また「腎」は年齢を重ねるごとに機能が低下しやすく、40歳以上という頸椎椎間板ヘルニアの発症年齢層とも一致しており、「腎」は椎間板ヘルニアと深い関係にあると言えるでしょう。そういった原因で頸部付近の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。
体の外からの邪気として一番頸椎椎暗板ヘルニアが発生しやすいのは、寒く風のあたる場所にいた時などに体に悪さをする「風寒の邪気」を受けた時です。次いで湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時などです。
また長い間椅子に座ってパソコンなどの仕事をした時に気血は滞り、それが頸部付近であった場合に頸部椎間板ヘルニアを発症する可能性が高くなります。
中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉や骨などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記のような条件が加わると頸椎椎間板ヘルニアがおこりやすくなります。
両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。
50代女性
母の介護や日々の家事などにより一年前から常に肩や首のコリや重だるさを感じていた。ここ2カ月ほどは母の介護の量が増えて生活がさらに忙しくなってきた。その頃から腕に痺れを感じるようになってしまった。近くの整形外科を受診したところ頸椎椎間板ヘルニアと診断され、そこの整形外科で温熱療法や電気療法をしてもらっていたが、あまり症状の改善が見られないということで当院にご来院されました。
当院の治療
①問診
丁寧に問診していきます。この方の場合、母の介護や家事の忙しさがストレスとなり、痛みをさらに増強されているとも考えられるので、一通り問診した後は、自律神経測定器で自律神経の状態を計測していきました。
②自律神経測定器で計測
自律神経側器の結果、交感神経の活動が高い状態でした。
③仰向けで自律神経調整療法
まずは仰向けで自律神経調整のための施術をしました
④うつ伏せで痛みやしびれの改善
次にうつ伏せになっていただき、頸部~背部にかけてはりに電気をつないで流す通電気療法も行いました。
⑤最後の仕上げの手技療法
また一度仰向けとなっていただき頸部を軽く牽引したり、指圧をしていきました。
治療経過
◇1回目◇
首や肩の痛みや重だるさがだいぶ軽減された。
◇2回目◇
治療間隔が1週間ほど空いてしまい、症状は依然と同じように出ていた。
◇3回目◇
今回は首やの調子が良かったが痺れはまだかなり感じる。家事などしている時は特に。
◇4回目◇
痺れの感じ方が弱くなった。
◇5回目◇
ほぼ痺れを感じなくなった。
40代女性
当院にご来院される2か月ほど前から右手の痺れ、特に親指と人差し指の痺れと痛みを感じるようになった。しばらくして左ひじ周りにも痛みが出るようになったため心配になって整形外科を受診。
診断結果は、頚椎椎間板ヘルニアと左脛骨概則上炎ということでした。
前々から疲れたりすると首の痛みを感じていたが最近は強く出るようになって痺れや握力低下までも感じるようになってしまった。
デスクワークが主で仕事をしていると首や左右上腕がつらくなっていくる。
マッサージや整体なども受けてみたがあまり効果が感じられずに友人の紹介で鍼治療受けてみようと思いご来院されました。
当院の治療
まず仰向けで前頸部の筋緊張の緩和と左の上腕・前腕部の筋緊張を取り除く鍼灸施術を行っていきました。
次にうつ伏せとなり、首肩周りの筋緊張の緩和の鍼灸施術を行い、合わせて鍼通電治療を用いて鎮痛効果の期待できる施術法を行っていきました。
最後に、首肩周り左右上肢のストレッチを行い、筋肉を弛緩させていきます。
経過
一回目の施術で右手の痺れは2~3日消失4日目からまた気になるようになった。左ひじはあまり変わらず。
2回目以降、左ひじの痛みがだんだんと消失。左右上肢の痺れや痛みもだんだんと良くなっていった。
8回目の施術まで症状が良くなったり悪くなったりを繰り返していたが、9回目以降は症状に波がなくなっていって完全に消失していきました。
今でもたまに仕事や家事で負担をかけるとコリ痛は出るがそんなに長続きしていない。
40代女性
半年前から仕事が急激に忙しくなり、家でも仕事をするようになった。
もともとひどかった首、肩のコリが悪化し、常に重だるさを感じるようになった。
2週間前に腕に軽いしびれを感じたため整形外科を受診したところ、頚椎椎間板ヘルニアと診断された。手術の必要はないため、負担をかけないよう指導されたが仕事をしているとたまにしびれが出る。
まだ仕事が落ち着くまで数ヶ月かかりそうなので、仕事に支障がでない程度まで改善したいとのことで来院された。
当院の治療
触診したところ、長時間のデスクワークによる首肩こりが目立った。
背中も緊張状態がみられ、睡眠時間をきいたところ4〜5時間と短いことが分かった。
忙しさで交感神経が過剰になり睡眠中も体に力が入っていると推測できる。
十分な休息をとっていないため首肩こりもなかなか改善せずヘルニアに至ったと考えられる。
まずはうつ伏せで首、肩、背部の自律神経に関するツボを中心に鍼をさし、こりが強い首には鍼通電療法を用いた。
その後仰向けで自律神経の調整、首の牽引を行った。
◇1回目◇
施術後、首の重い痛みが軽減した。しびれの変化はまだわからない。
◇2回目◇
大きな変化なし。
◇3回目◇
毎日あった腕のしびれが1〜2日おきに減った。しびれている時間も以前より短くなっている。
◇4回目◇
首肩こりはまだ感じるがしびれは今のところ軽減してきている。
たまに違和感があるが、首のストレッチなど伸ばすことで楽になる。
◇5回目◇
今週はしびれを感じなかった。
首肩のこりもなくなってはいないが最初とくらべると随分楽になった。
これからも忙しくなるため今のペースでケアを続ける。
仕事が落ち着いたら間隔をあけてのメンテナンスに切り替えるつもり。
頸椎椎間板ヘルニアとは、首の骨の間にある椎間板が飛び出して、急激な片側の頸・肩・腕などの痛みを発症します。
頸椎とは、背骨のうちで頭蓋骨につながる7個の椎骨を指します。上から順に第一頸椎・第二頸椎と名付けられています。椎骨は円柱状の椎体と後ろにある椎孔をアーチ状に囲む椎弓よりなり、椎孔は上下に重なって脊髄を通す脊柱管をつくります。
椎体と椎体はいくつかの靭帯や椎間板という組織によりつながれています。椎間板は外縁部を構成する線維性軟骨組織でできた線維輪と中心部を構成する軟らかい髄核という組織でできています。髄核は弾力性とある程度の流動性があり、それらが圧の分配を行って脊柱の屈伸やねじれを可能にしています。
椎間板の線維輪が弱くなって全体として膨隆したり、線維輪が断裂して中の髄核が脱出したりして椎間板組織が神経根もしくは脊髄自体を圧迫して首や肩、腕の痛みや痺れを引き起こします。椎間板ヘルニアは腰椎に起こることが多いのですが、首にも起こることがあり、その場合は「頸椎椎間板ヘルニア」といいます。頸椎ヘルニアは腰椎椎間板ヘルニアに比べて発症年齢が高くて40歳以上に多く発症します。
頸椎椎間板ヘルニアの好発部位は頭を支えるのに最も負担を強いられる下位の頸椎です。したがって、第五頸椎と第六頸椎間の椎間板、第六頸椎と第七頸椎間の椎間板にヘルニアが多く発生します。
頸椎椎間板ヘルニアの主な症状は、首から背中にかけてのこり・不快感・疼痛などと首の運動制限が生じることに加え、飛びだした髄核が脊髄や神経根を圧迫するために圧迫された神経によって腕や手指のしびれや疼痛が現れます。
頸椎症状
頸椎症状では、後頭部・首から肩・肩甲背部のこりや不快感、疼痛などと首の運動制限が現れます。通常、首を後ろに倒す動作で増悪して安静にすると軽快します。またせきやくしゃみにより疼痛が生じることもあります。
神経根症状
神経根症状では片側の背部痛や上肢への放散する痛み、前腕や手指の痺れと感覚障害、脱力感、筋委縮などを認めます。圧迫される神経によって症状が現れる場所が違います。
脊髄症状
感覚障害としては手指や手掌全体に及ぶ痺れ感が主体で、さらに体幹、下肢に広がります。運動系では、筋力の低下や書字・更衣時のボタンかけ、食事動作など手の細かい動作が難しくなります。また圧迫がひどくなると、排便や排尿などに関する神経が障害され、頻尿や残尿感、便秘などの症状が現れます。
椎間板という組織自体は加齢とともに老化しやすい組織であり、歳をとるとともに髄核の水分が減少します。椎間板が水分を豊富に含んでいれば、クッション性も可動性も高いのですが、水分が減少してくると重い頭を支える働きも低下していきます。
そして椎間板の一部が外にはみ出しやすくなって、神経を圧迫するのです。それが頸椎椎間板ヘルニアの一番の原因です。また脊髄圧迫は生まれつき脊柱管が狭い人に起こりやすく、圧迫による脊髄症状を起こす危険性が高くなります。
当院の美容鍼灸は身体の状態を診て、顔面部の美容鍼灸と併せて全身治療をしていくのが特徴です。
美容鍼灸も近年多くの治療院で目にすることがありますが、ただお顔の気になる部分に鍼を打つというところとは違います。
顔には健康状態が出ているもので、顔と内臓(身体)は相関関係にあります。
例えば口まわりに肌荒れや炎症があったとしましょう。口や唇は消火器とその機能を表しやすいと言われています。食べ過ぎたり、飲み過ぎたりした翌日に口まわりに炎症が出ていたなんて経験もまさしくこの相関関係をよく示しています。
顔の気になる部分でも内臓の状態が描写されていておこることもあるのです。ですから顔だけでなく五臓六腑や自律神経を整える全身治療もすることが、より美しさを引き出すということにつながるのです。
中国では美容鍼灸科というものがあり、古くから日常の中に浸透していました。
世界三大美女の一人、楊貴妃も美容鍼を愛用していたと伝えられていて、3000年前よ2023美の悩みに答えてきた歴史があるのです。
東洋医学の考えの中に、健美(健美)という考え方があります。
真の美しさは健康の上に成り立つものであるという考え方で
美しさ・健康は表裏一体の関係で、内面的にも外面的にも美しい
ことが真の意味で美しいと言えるのです。
美容鍼の施術では、顔周りに鍼灸を行っていきます。
美容鍼を希望される方が、一番気になるところに対しては入念に施術して
いきます。
・顔周りのたるみが気になる方
・ほうれい線がきになる方
・肌質や肌荒れが気になる
・しわ・しみが気になる
・顔の左右差が気になる
このようなところが気になるところでいえば多いです。
美容鍼は本当に効果的なのか?と思う方もいると思いますので、そこの部分もお話させていただきます。
凝った表情筋はほぐし、使わなくて緩んだ表情筋は引き締めていくのです。
30代 女性
同僚に顔が疲れていると指摘されたことがきっかけで美容鍼に興味をもった。
確かにここ数年で目のくま、ほうれい線などが濃くなった気がしていて、マッサージなどをしてみるもののあまり変化がわからない。
1日中パソコンかスマホを見ているので目も重い状態が続いている。
顔の疲れをなくし、血色のいいお肌になりたい。首肩のこり、頭皮の硬さも慢性的に感じている。
当院の治療
触診したところ首肩のこりがかなり強く血行不良がみられる。
首肩のこりは目のまわりの血行不良にも繋がるためクマができやすくなり、また、
頭皮の硬さは顔全体のたるみを引き起こすため、ほうれい線が目立つようになる。
そのため顔だけでなく首肩など身体全体のケアをしている必要がある。
まずはうつ伏せで首肩、背中のツボを用いて全身のキン肉の緊張の緩和をはかる。
その後仰向けで顔と頭に鍼をして、顔の血流改善を目的に鍼通電療法を行った。
美容鍼灸は最初につめて施術をすると効果が現れやすいので、3日おきの施術をすすめた。
◇1回目◇
施術後は身体が軽くなり目がぱっちり開くようになった。
ほうれい線はまだわからないが目のまわりの血色はよくなりクマは少し薄くなった気がする。
◇2回目◇
前回同様、施術後はすごく楽になり、顔全体がゆるむ感じがする。
◇3回目◇
以前まで夕方以降は頭痛がでていたが、鍼灸を今週は一度も頭痛がなかった。
頭皮もゆるんできているのかもしれない。
目の疲れも軽減している。
◇4回目◇
同僚に顔がシュッとしたと言われた。
余分なむくみが取れて、ほうれい線も以前より気にならなくなっている。
◇5回目◇
目の調子がよく、クマも化粧で隠れる程度にまで改善した。
今後はペースを週1にのばして続けていきたい。
Q.顔に鍼を刺していたくないのですか??
全く痛みがないというわけではないですが、とても痛いというわけでもないです。
鍼の刺激が心地よく感じるという方もいますので個人差は多少あります。
表情筋が凝っていたり、老廃物が溜まっていたり、乾燥していたりする部分は痛く感じやすかったりするケースが多いです。
Q,安全ですか?血はでないですか?
使い捨ての美容鍼用の鍼を使っていきますので安全です。
美容鍼灸学のカリキュラムを履修しており、知識や技術も豊富ですので安心して受けていただけます。
血はほとんど出ませんが、ごく稀に出血することはあります。
大量に出血があるということはありませんからご安心ください。
Q,副作用はありますか?
化粧品を使って肌にアプローチする、美容外科的にメスをいれる、というわけではありませんから副作用という観点からみればかなり少ないと言えます。
刺鍼で100%内出血を防ぐことは残念ながらできません。鍼灸による内出血は通常数日~二週間ほどで消えていきます。これは身体のどの部分に関しても言えることです。
強いていうなら鍼を刺すという特徴上、内出血が起こることがあるくらいでしょうか。基本的に副作用はないと言えるレベルです
Q,女性の先生に施術してもらうことは可能ですか?
女性鍼灸師が在籍していますから、予約の際お申しつけください。
Q,男性でも施術してもらえますか?
営業マンの方や接客業の方などが身だしなみの一つとして受けられています。
男子の方でもお気軽にお申しつけください。
近年の鍼灸美容鍼灸において、美容鍼の施術方法・施術料金・時間・効果も含めて
様々です。当院では身体のことを含めてお顔の気になる部分や患者様のWⅰshを大切にしています。お顔のこの部分をもう少し良くしたい♪たるみを解消したい♪
身体やお顔の症状でも少しでもお役に立てればと思います。
毛細血管や細動静脈の微小循環は全身の各組織細胞に対する生活物資の供給と代謝産物の除去にありますので、微小循環の改善を目的として、お灸治療をします。
お灸は、皮下の毛細血管を拡張させて血流を改善できることと、温熱刺激による治療の方が患者さんが心地良いと感じるため冷え性治療に良く使います。
全身や下半身の冷えなどの範囲が大きいときにはMT式温灸器を使います。
これは先端が丸くなっていて、滑らせながら効率よく広範囲を温めていくことができます。
灸頭鍼
皮膚に刺した鍼の先端にもぐさをのせて火をつけて温めていきます。鍼の効果とお灸の効果が期待でき、当院でもよく使われる施術法です。
冷えに効く経穴に施すことで体内循環を整えて身体の内から温めていきます。
器械によりお灸と同じ効果がだせるもので、お腹や手足の末梢に効率良く温度を伝えていくことができるものです。
自律神経測定器により自律神経のバランス確認後
自律神経調節法を行います。これにより体内のバランスを取り戻し、自律神経を正常に働かせることでその人が本来持っている自然治癒力を最大限まで高めることができますので
自律神経由来の冷え症をかなり改善させることができます。
冷え症とは
冷え性の定義ははっきりと決まっていませんが
「中枢温と末梢温の温度較差がみられ、暖かい環境下でも末梢体温の回復が遅い病態であり、多くの場合、冷えの自覚を有している状態」や「通常の人が苦痛を感じない程度の温度環境下において、腰背部、手足末梢、両下肢、あるいは全身的に異常な感冷感を自覚し、この異常を一般的には年余にわたって持ち続ける病態で多くの場合、この異常に関する病識を有する」とも言われています。
両方共に言えるのは本人の自覚症状による病態であると考えられています。
ですので、他人が触って冷たくても本人が訴えなければ冷え性ではないことになります。
原因
原因はさまざまで自律神経の異常からくるものや、男女差、環境、生活習慣、心臓、血管障害、リンパなどがあります。冷え性の方は体の血液循環が悪く肩こりや腰痛・膝痛の原因となったり、体のあらゆる部分に悪影響を与えます。
交感神経が働き過ぎて冷え性になります。
交感神経は血管を収縮させて体温を外に逃がさないようにします。内臓の働きは生命にとって大事ですので、中心部には優先的に血液が供給されますが、末梢には血液量が少なくなります。末梢に温かい血液が回らなくなると手足に冷えを感じるようになります。
交感神経により血管が締められている状態ですと外側から温めても効きません。
このような状態には、温かい身体の中心部をさらに温めてあげることで、温度を下げようと末梢の血管が拡張して末梢血流量を上げることができます。
交感神経は人がストレスを感じると強く働きますので、お仕事や生活でストレスを多く感じる方はこのタイプの冷え性が多いと思われます。
逆に副交感神経が働き過ぎて冷え性になることもあります。
熱が外に逃げすぎてしまう場合です。
寒いときには血管が収縮して体表に流れる血液から温度が逃げないようにしますが、交感神経が弱い方は、血管の収縮が上手くできないために体表から温度が逃げてしまい冷えを感じるようになる場合もあります。
自律神経は互いのバランスが取れている状態が一番正常に働きます。
どちらかが優位の状態ですと身体のバランスを上手く取れないために冷え症へと繋がってしまします。
リンパ管系は組織液やリンパ液を回収してくれる働きがあります。このリンパ管系の運搬障害が生じると、皮下組織に過剰に水分が溜まりやすく、冷え症に繋がります。
静脈は老廃物を含んだ体内の水分の内約9割を回収しているため、静脈に障害がでると冷え性に繋がります。
重力により身体の中の水分は下半身へと流れていきやすいので、リンパや静脈が原因で冷えを感じる方はリンパ浮腫などのむくみなども一緒に悩まれていることが多いです。
熱産生力が低いタイプ
ダイエットなどをしている方に多いのですが、
身体は熱を食事や運動から作ります。ダイエットなどをしている方は食事量も減っているため食事からの熱エネルギーが少なくなっています。さらに筋肉は熱を作るためダイエットなどで筋肉量が落ちていくと熱産生量も少なくなってさらに熱を生み出さない体になります。
皮下組織にある脂肪は保温材の役割があります。この皮膚と血管の間にある保温材が少ないと外に熱が逃げやすくなってため身体が冷えやすくなります。
この熱産生量が低い冷えは10代~30代の女性に多いタイプです。
体温や血圧をコントロールしている自律神経のバランスを崩しやすいのも女性です。
50代女性
足先の冷えが強く、夜眠れないため来院された。
靴下をはいていても寒さを感じる。
足元以外の冷えは特に気にならない。
冷たい飲み物が好きで、がぶ飲みしてしまう。
慢性的に腰痛もあり、冷えと腰痛治療を希望したい。
当院の治療
触診したところ、足首からつま先までの冷えがとても強かった。
手は問題なく、お腹は下腹部あたりに冷えがあり、腰は仙骨のあたりに冷えがある。
もともと腰痛もちであるため、腰の血行不良から足の冷えが強くでてしまっていると推測した。また、冷たいものを好むことから内蔵にも冷えがあると考えられる。
腰から臀部は圧痛も多かったため、まずはうつ伏せで腰まわりの施術を行う。
その次にお腹を電子温灸器で温めながら、足に灸頭鍼と点灸を行う。
内蔵の機能低下も考えられるため、自律神経系の調節もあわせて行った。
経過
◇1回目◇
お灸を足にしているとぽかぽかする感じが気持ちよかった。
◇2〜9回目◇
施術のあとは足が温かく夜もぐっすり眠れる。
自宅でもできるセルフ灸を朝晩してもらうことにした。
◇10回目◇
足の冷えはかなり改善。
まだ冷たくなるときもあるが、毎日ではない。
規則正しい生活を送るとともに冷飲食をなるべく避けてもらい適度な運動をしてもらうことが大切です。本人の冷えに対する取り組みで冷え症を大きく改善できますので養生法も大事です。
患者とともに冷えに対する問題意識を持ち、それを改善していけるように治療と養生法を的確にアドバイスしていくことが当院の治療方針です。
西洋医学では冷え性は病気として認識されていません。東洋医学では寒熱は重要な要素として捉えていますので、冷え性の治療は東洋医学が有効的な疾患だと思っています。
漢方医学では、体を温めるショウガなどの食べ物と身体を冷やしてしまう食べ物があると考えられています。体を冷やす食べ物は熱症状が出ている時などに食すると非常に有効な場合もありますが、冷え性の方が食べてしまうと体の冷えをさらに加速させてしまい逆効果です。知らず知らずのうちに身体を冷やしてしまう食べ物を多く摂取してそれが冷え性の原因となっている場合もあるのです。
身体を冷やしてしまう食べ物として代表的なものとして
熱いところでよく取れるの食べ物
・バナナ
・レモン
・みかん
・パイナップル
・トマト
・きゅうり
・スイカ
・なす
などがあります。熱い地域で住む人たちは元来から体を冷やす食べ物を多くとるようになっているため熱い地域で多く取れる野菜や果物は体を冷やす作用のものが多いです。
その他、水分を多くとりすぎていたり、白砂糖や化学調味料も身体を冷やしてしまうものとして知られています。生野菜も身体を冷やしてしまうためなるべく火を通して食べることが好ましいです。
また、食べすぎも身体を冷やすもととなります。飲食物が胃の中に入り消化が行われると多量の血液が胃腸の壁に集まります。胃腸を働かせて消化活動を行う必要があるため、体のあらゆる器官から血液が運ばれるため体の熱は低下してしまうのです。
インピンジメント症候群とは、肩を使う動作の途中で痛みを感じたり、引っかかるような違和感を感じ、それ以上に動かせなくなる症状を引き起こす障害です。
この「インピンジメント」とは聞きなれない言葉ですが「衝突・突き当たる」を意味する英語です。
肩の関節はもともと骨と骨が非常に近い距離で動く構造になっています。通常であれば、腕を上げるときには周りの筋肉がタイミングよく働き連動するため、うまく擦れずに動くことができますが、筋肉の疲れや姿勢不良などが原因でそのバランスが崩れるとインピンジメントを起こしやすくなります。
多くのケースでインピンジメント症候群の原因はオーバーユース(使いすぎ)です。特に野球の投球動作、テニスのサーブ、バレーのアタックなどオーバーハンドスポーツをされる方に多く見られます。
繰り返しの肩の使用によりインナーマッスルである腱板は疲労し、肩を内側から支える力が弱くなり肩関節が不安定になります。
すると、肩を動かした時に肩関節を構成する上腕骨と肩峰の間に腱板の一部や、肩峰下滑液包などが挟み込まれやすくなります。その状態で繰り返し刺激が加わると腱や滑液包が炎症を起こします。
また、加齢による変形や血行不良、日々の動作の積み重ねによって症状が発症する場合があります。同一姿勢や、腕を頻繁に上げ下げすることによって筋肉や靱帯を損傷してしまいます。また、肩峰の形状には個人差があり、インピンジメントを起こしやすい方もいます。肩が柔らかい方(不安定性がある方)や潜在的な関節の硬さが影響していることがあります。
さらに、高齢者の方は肩峰にできた骨棘(こつきょく:尖った突起物)が年齢とともに大きくなり、腕を上げたときに骨同士が衝突するようになるケースがみられます。
インピンジメント症候群では、肩を上げたときに痛みや引っかかりを感じます。
最後まで上げた時より、むしろ上げる途中や、ある特定の角度で痛みを感じます。
具体的には、
・目線の上のものをとる
・吊革につかまる
・シャツを脱ぐ着る
・ハンガーをかける動作
などで痛みが出現しやすいです。
また、しばしば夜寝ているときや仰向けになった際に痛みが強くなります。インピンジメント症候群は腱板付着部で炎症が起こるため、腱板断裂と似た症状を感じます。肩の可動域が制限されることは少なく、動くけど痛いという状況になります。夜間に痛みが強くなるのは、炎症が強い時に特徴的な症状です。
症状が悪化すると夜間痛の他、こわばりや筋力低下を起こしたり、さらにひどくなると腱板断裂になることもあります。
検査・診断
問診、X線(レントゲン)検査で骨棘の有無、MRI検査で肩峰下滑液包の炎症や腱板の損傷の有無、造影検査で損傷範囲を確認して肩腱板断裂などの他の病気と区別します。
治療
治療は基本的に保存療法です。安静、肩甲骨周囲筋のストレッチ、肩甲骨の運動訓練、注射などを行いますが、症状が数か月以上続き日常生活や仕事に支障をきたす場合、関節鏡による手術(除圧術)を行います。
東洋医学では肩の痛みは体の外から邪気を受けるため発症するものと東洋医学でいう「肝」と「腎」と「脾」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。そういった原因で肩背部付近もしくは上肢の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。
またスポーツでの肩に負担のかかる動作の繰り返しや、長い間腕を上げながら作業していた時などに気血は滞り、それが肩背部付近であった場合にインピンジメント症候群を発症する可能性が高くなります。
また東洋医学でも冷えは、様々な症状をもたらすとわれており、インピンジメント症候群の場合でも肩を冷やしてしまった場合に発症確率が高くなると考えられています。
炎症がある急性期では、炎症を抑えることが最も優先されるため、インピンジメント症候群の痛みとして特徴的な肩峰下(肩先の骨の直下)、肩前面の部分やその周囲に鍼灸施術を行い、消炎作用、鎮痛作用を促します。
インピンジメント症候群は肩上部、肩甲間部、背部など広範囲に筋性の疼痛がみられることが多いことや、発症の要因として肩周囲だけの問題だけでなく猫背や反り腰などの姿勢不良による身体の歪み(主に背骨・骨盤)が連動して肩関節も歪ませてしまい、その結果として肩周りの筋肉や腱、靱帯に負担がかかり炎症が起きやすくなります。
そのため、当院では患部の治療のみではなく全身的なバランス調整を行うことで肩周りの組織の負担の軽減、疼痛の緩和、肩甲帯の可動域回復を図ります。
また、東洋医学的概念から肝、腎、脾に関係するツボや上肢の気血の流れを整えるツボも取り入れます。
さらに、自律神経系の調整施術を行うことで全身の血行促進と内臓機能や免疫力を高め、症状が治癒しやすいお体の状態へ整えます。
当院のテニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対する施術は、第一に患部が延焼していた場合、鍼やお灸の刺激により炎症を抑える効果を促します。
また肘関節付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は五臓六腑の「大腸」と「肝」「腎」に深く関係しているので、大腸や肝と腎に関するツボを用いて大腸の機能を正常に戻すこと、または肝血と腎気を補うことや肘関節の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
上腕骨外側上顆炎は日常生活動作での影響が大きく、自然と負担がかかる動作をしていたり、筋肉の使い過ぎによる原因がほとんどです。
当院では、日常生活動作での改善点をお伝えることも重要だと考えております。施術後、注意点の説明を行い、早期回復を目指します。
当院のテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の施術目的は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の回復程度を高めて、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでもテニス肘(上腕骨外側上顆炎)が回復できる機会を提供します。
※テニス肘の鍼灸治療効果の研究について
全日本鍼灸学会では、上腕骨外側上顆炎の論文が発表されています。
対象患者は平均年齢49・2歳で鍼治療と前腕伸筋ストレットを並行して行い、平均治療回数は6.5回で結果がVASが10から1になった(著効に軽減)のが15%でVAS10から2~5になった(有効)のが77%、VAS10から6~8になった(やや有効)のが8%と良好な治療成績が出たと報告されています。
中医学でテニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、肘付近の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みやしびれの原因となると考えられています。
寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間肘を酷使する仕事やスポーツをした時などに気血は滞り、それが肘外側付近であった場合にテニス肘(上腕骨外側上顆炎)を発症する可能性が高くなります。
上腕骨外側上顆に付着する長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋の走行は中医学でいう「大腸経」の走行と類似しており中医学でいう「大腸」にもなんらかの不調があると考えられます。
また中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記の条件が加わるとテニス肘(上腕骨外側上顆炎)がおこりやすくなります。
両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。
●肝血虚
肝血虚とは中医学でいう「肝」が血を貯蔵して必要に応じて供給・消費する機能と自律神経系の作用を通じて血管を収縮あるいは弛緩させ、体内各部の血流量を調整する機能が異常をおこして発症します。
筋のけいれん・手足のしびれ・目の乾燥感や女性では、月経のおくれ・月経血の過少・無月経などがみられることが特徴です。
30代 男性 テニス肘
◇症状◇
週末の土日に2時間ほどテニスをしていたが、先日テニス中に肘の外側が痛み当院に来院。学生時代は、テニス部に所属して毎日のようにテニスをしていた。
社会人となり、週末に趣味程度に楽しんでいた。右肘の内側は依然痛めたことはあるが、外側は初めてとのこと。その他にも脇腹の痛み(肋間神経痛のような痛み)が走るときもあり、テニスを最近休んでいる
◇当院の治療◇
肘を触ってみると少し腫れていて、熱感もあったため、はじめは炎症をとるような鍼灸治療を施しました。右上腕から肩部・頸部にかけて筋肉の緊張がみられたため、その部分には、筋の緊張をとるため鍼灸治療と軽いマッサージやストレッチを施しました。3週間ほどはテニスを中止していただき、4週目からは全力ではやらずに徐々にならすように再開していただきました。
◇経過◇
・1回目
治療後一日二日は、痛みが強く出たが三日目からは痛みが引いてきた
・2回目
まだ、痛みが出て日常生活の中でもたまに痛みが出る
・3~5回目
日常生活の中では、肘の痛みはほぼなくなった。
・6回目
無理をしない・痛くなったらすぐ中止することを守っていただきテニスを再開していただいた。
・7回目
テニスをしている最中は痛みや違和感を感じなかったが終わった直後に痛みが少し出た。テニスが終わった後に肘にアイシンなどの対応をしてもらった。
・8回目
ほぼ違和感なくテニスができるようになった。
◇考察◇
肘の部分の炎症があったが、首や肩の筋肉が固くてそれが、肘のほうにも影響を与えていた。首や肩の筋肉をほぐすことで肩もスムーズに回るようになり、肘への負担がおさえられて痛みも出づらくなったと考えられます。
30代 女性
◇症状◇
1年位前から両肘の外側が痛み始め、病院でテニス肘と診断された。そのまま整形外科で治療を続けてきたが一向に改善されず、鍼灸治療を試してみたいという事で当院に来院した。
テニスの経験や腕を動かす習慣はないが仕事でパソコン作業が多いせいか肩や肩甲骨まわりの柔軟性が低く、肩が前に丸まっている。それが原因で腕に連動して肘が動きにくくなっている。それに加えキーボードを長時間叩く動作を繰り返すため、前腕の筋肉が強く固まってしまい肘に負担がかかっている。特に右肘の方が痛みが強い。炎症はほぼない様子。
◇当院の治療◇
まず、筋肉の引っかかりがあり痛みが起きているので前腕部分や肘まわりの硬結部に刺鍼を行った。肩首、肩甲骨まわりの筋肉を緩めるために置鍼をし、最後に自然治癒力を高めるために自律神経治療を行った。
◇経過◇
・1回目
一回目を終わったあとはあまり変化なし。
・2回目
左肘は痛みが軽減したが右肘は痛みがある。
・3回目
肘はあまり変化がない。今まで刺激量が強かったので、少し抑えめで施術。右の臀部が少し痛いので、最後に横向きで大腿筋膜張筋や上殿筋を狙って刺鍼。
・4回目
左肘の痛みはほぼ無くなった。右肘は少しあるが軽減。
・5回目
痛みもだいぶ治まってきた。物をつかむ動作で少し違和感が出る程度に軽減。
・6回目
ほぼ痛みがなくなり、日常生活にも支障がない。
女性 40代
1か月前に肘周辺の痛みが出現。テニスで強い球を受け続けた事がきっかけになった。
患部は右腕の肘関節内側部で、軽く押しただけの圧痛があり腫脹や熱感がみられる。徒手検査法で陽性。テニスは学生時代から続けており、今は週に1~2回のペースで楽しんでいる。
物を持ったり、タオルを絞るなどの動作で強い痛みが出るため日常生活に影響が出ている。
お仕事はデスクワークで、1日10時間以上はパソコンに向き合っている。
◇当院の施術◇
上腕骨内側上顆の炎症が出ているため少し強めのお灸をして炎症を抑える施術を行いました。また前腕屈筋群の強い張りが見られたため患部と筋肉に電気鍼療法を用いて筋肉の筋緊張緩和と鎮痛を目的とした施術を行いました。
また日頃のデスクワーク影響からか、首肩の筋緊張が強く少し巻き肩になっていました。
巻き肩になると筋肉の張力が働き筋肉が付着している関節部に大きな負担がかかりテニス肘の大きな原因にもなります。そのため、首肩の筋緊張の緩和、自然治癒力を促すため自律神経調節治療も併せて行いました。
◇経過◇
・1回目
鍼は慣れていないためか少し緊張していたので、刺激を弱めで施術した
・2回目
前回より痛みが軽減して、腫れが引いてきた
・3回目
腫れは完全に引いたが、痛みはまだある。
・4回目
腕を動かしても痛みが無くなった。物を持ち上げたりタオルを絞るといった動きでまだ痛みが出る。
・5回目
物を持ち上げたりタオルを絞る動きで少し痛みがあるが、前回からかなり軽減した。
・6回目
押すとまだ痛みがあるが、それ以外ではほとんど痛みがない。
・7回目
テニスをプレイしてみたところ、両手打ちなら全く問題がない。
上腕骨外側上顆炎とは、手を使った際に肘関節の外側上方が痛むことです。
日常生活の中で発症する場合もありますが、多くは手を使うスポーツをしている人に発症する場合でテニス肘とも呼ばれます。
症状名が「テニス肘」というだけで、テニスプレーヤーにだけ発症するわけではなく、ゴルフ(ゴルフ肘)・バトミントン・ボーリングなど肘をよく使うスポーツでも発症します。
肘関節は、3つの骨から構成されており、肩から肘にある上腕骨、肘から手首まであり親指側の橈骨と小指側の尺骨があります。
上腕骨外側には、手首を反らせるあるいは親指側に倒す長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋、手首を反らせあるいは小指側に倒す尺側手根伸筋、指の人さし指から小指まで指を伸ばす総指伸筋、手のひらを上に向けるように腕を捻る動作をする回外筋という筋肉が付着しています。
そういった筋肉の使い過ぎなどによりこの付着している部分に負担が重なって細かい断裂や出血などによる炎症が起こります。炎症によりちょっとした動作で痛みを発症してしまうのです。
動作痛
•スポーツではテニスのバックハンドストロークの際・日常生活ではタオルを絞る・フライパンを持つ・ドアノブを回すなどの動作で痛みを発症する場合が多いです。
圧痛
•肘関節の外側を押すと痛みが出ます。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は30~50歳代の女性に好発し、種々の誘発試験により見分け方は比較的容易です。
誘発試験として、肘を伸ばした状態で手首を抵抗に逆らって反らせると肘関節の外側に痛みを生じるトムセンテスト、肘を伸ばした状態で中指を抵抗に逆らって伸ばすと肘関節の外側に痛みを生じる中指伸展試験、肘を伸ばした状態で椅子を持ち上げると肘関節の外側に痛みを生じるチェアテストなどがあります。これらのテストで痛みが生じる場合は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)と予想できます。
気分障害とは、精神障害のうち、長期間にわたり悲しみで気持ちがふさぎ込む、(うつ病)、喜びで過度に気持ちが高揚する(躁病)、またはその両方を示す感情的な障害を示す障害を気分障害といいます。
以前は「感情障害」と呼ばれていましたが、快不快、喜怒哀楽という感情の病気というよりも、もう少し長く続く感情の持続的な病気という意味で「気分障害」と呼ばれるようになりました。
うつ状態や躁状態が持続、悪化することによりこれまで普通に行ってきた日常動作や対人関係ができなくなり、社会生活が困難になります。そして重度の場合は、考え方に偏りやゆがみを生じ、極端な場合、考えの異常は妄想になり自殺の危険が高くなります。
うつ病
うつ病の明確な発症メカニズムは未だ解明されていません。しかし、うつ病患者は情動行動を制御する神経伝達物質の中のセロトニンやドパミンの機能低下が関与している可能性が示唆されています。
また、脳の海馬や前頭葉での領域で学習機能に重要な「神経栄養因子」が減少していることも示唆されています。
ストレスを受けるとストレスに対処するためにコルチゾールが分泌されますが、このホルモンが長期に過剰放出されると神経細胞が障害されることが知られており、うつ病発症を誘起すると考えられています。
双極性障害の原因は明らかになっていません。しかし、双極性障害の発症には遺伝子が影響するといわれています。
原因となる遺伝子は特定されていませんが、脳神経をつなぐシナプス、神経細胞からの神経伝達物質の放出、神経細胞の興奮性の調整に関わるイオンチャンネルなどに関連する遺伝子とのつながりが指摘されています。
症状
うつ病
・何をしても楽しくない、何にも興味がわかない、性欲がなくなる
・疲れているのに眠れない、一日中眠い、いつもよりかなり早く目覚める
・イライラして何かにせき立てられているようで落ち着かない
・思考力が落ちる
・死にたくなる
・食欲がない
・何をするにもおっくうになる
・悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる
双極性障害(躁うつ病)
双極性障害は、躁状態とうつ状態という二つの状態が現れます。
うつ状態のほうは症状の上ではうつ病と大きな差はありません。
<躁状態の場合>
・睡眠時間が短くても疲れを感じない、寝なくても元気で活動を続けられる
・人の意見に耳を貸さない、態度が横暴になる
。話し続ける、お節介になる
・根拠のない自信に満ちあふれる
・買い物やギャンブルにはまる
・性的に奔放になる
・イライラして怒りっぽくなる、やたらと説教をする
・絶好調と感じている
などの症状が現れます。
うつ病の場合
診断・検査
一般的な病気のように血液検査や画像検査で異常がみられることがありません。そのため、うつ病の診断は患者との面接場面で現れている症状、日常生活の困難さ、その誘因など様々な情報を総合して下されます。
治療
心の休養・環境調整
うつ病はストレスを誘引にして発症することが多いため、過度なストレスがかからない環境において心の休養をさせることが重要です。例えば仕事量の増加がきっかけでうつ病を発症した場合には仕事量の軽減や自宅療養などの措置を行います。
薬物療法・精神療法
うつ病治療の主体となるのは薬物療法です。現在日本で用いられる主なうつ病治療薬はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる「抗うつ薬」です。そのほか症状に合わせて「抗不安薬」「睡眠導入剤」「気分安定薬」「非定型抗精神病薬」などが使用されます。
また、薬物療法と同時に行うことが多いのが精神療法です。医師や臨床心理士と対面して会話をしていく中で症状の改善を目指します。また、絶望感や自己否定感など実際の状況にふさわしくない感情が強いときは、その考えと現実との歪みを修正する「認知行動療法」がよいとされています。
その他の治療法
その他うつ病の専門的治療法として、高照度光療法、修正型電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激法などが用いられる場合もあります。
双極性障害の場合
診断・検査
近年の精神科では、双極性障害の診断を「ICD」と「DSM」という操作的診断を基準に行っています。操作的診断とは「それぞれの基準にいくつ該当する症状があるか」という見方で、その結果によって病名を診断するやり方です。
また、症状の経過を見ながら、患者さん本人の生活や家族歴、併せて他の体の症状の有無、服薬状況などを総合的に見て診断します。場合によっては血液検査、CTやMRIなどの画像検査を用いることもあります。
双極性障害の分類
双極Ⅰ型障害
躁状態とうつ状態が現れるタイプです。Ⅰ型の躁状態は、社会生活に支障をきたすほどの激しい躁状態を引き起こします。たとえば、夜も眠らずに動き回る、話が止まらない、大きな声で話し遮られると怒るなどの突飛な行動を引き起こします。
双極Ⅱ型障害
Ⅰ型の躁状態と比べ、程度の軽い軽躁状態とうつ状態が現れるタイプです。軽躁状態がⅠ型の躁状態よりも激しくないから軽い病気ではないということではありません。また、うつ状態の期間はⅠ型より長く、自殺のリスクも高いとされています。
治療
薬物療法
気分安定薬や抗精神病薬を用いて治療を行います。躁状態に用いる薬剤、うつ状態に用いる薬剤などがあり、薬剤によって期待できる働きが異なります。
心理・社会的療法
心理・社会的療法では。病気に対する理解を深め対処法を学びます。心理教育や行動認知療法などがあります。
東洋医学では「鬱病」のことを「鬱証」といいます。鬱証は精神的抑圧から精神のバランスが崩れ体内の「気」の流れがスムーズに流れなくなってしまい鬱々とした気分が続いている状態と考えます。鬱証の起こるメカニズムは複雑ですが、最も重要なのは肝・脾・心の損傷と気血の失調です。
鍼によって、脳にも変化が起きることが最近の研究で分かりつつあります。
鍼治療の前後で脳の血流量を見たところ特に前頭葉で大きく改善。脳活動が活発に炎症物質を減らしたことが脳の神経細胞の活動を活性化し、その結果うつ病や双極障害の症状が改善されたという報告もあります。
また、鍼灸治療を施すことによって自律神経の状態を整えることで脳内の神経伝達物質やホルモンバランスを整え、症状を改善させていきます。