1.まずは詳しく問診をします。
ストレスやホルモンバランスの変化などが原因の場合があります。しっかり問診することで原因を割り出していきます。また、どういった時に症状があらわれるのかということも重要になってきます。
2.自律神経の状態を計測します。
耳管開放症の原因が自律神経の乱れにある場合も多いので、自律神経測定器で自律神経の状態を計測した上で治療に入ります。
3.まずは仰向けで自律神経調整療法を行います。
多くの方が、体が冷えていたり、症状に対するストレスなども多くかかっているのでここ治療お灸療法なども併用してリラックスできる体の状態に持ってきます。
4.うつ伏せで首肩の筋緊張をとります。
僧帽筋や胸鎖乳突筋などの筋の過緊張状態は、耳の血行不良をまねきます。それらの筋をほぐすことで血行不良の改善を目指します。また「腎」や「肝」の重要な経穴を刺激することで「腎」や「肝」の働きを調整します。
5.横向きななっていただき耳周りを集中的に施術します。
症状の出る耳側を上にして横になっていただき、集中的に施術することで、耳や耳周辺の血流を改善します。体の状態により耳周りにはりを刺して電気をつなぐ通電療法も行います。
30代女性
半年ほど前から仕事を辞めて耳管開放症の症状を発症。働いている以前は、症状は全く起きていなかったが、結婚して家事を優先するようになり仕事もやめてから外出時に耳閉感や自声強調を感じるようになった。1日1~2回症状を感じてそれがまたストレスとなり外出も少し億劫に感じている。耳鼻科では、耳管開放症と診断されたが具体的な治療はされず、生活指導を少しされただけとのことだった。
その他にも目や胃の症状などの体の症状も抱えており、それらのストレスも耳管開放症に関係していると考えられる。
当院の治療
生活環境が変わり、仕事をしている時とはまた違うストレスが耳管開放症の引き金となっている考えられました。自律神経の状態も乱れがちで、全体的な調整療法も重要だと感じました。
また、頸部や肩の凝りも強くそれらも鍼灸施術により改善を目指しました。
治療経過
◇1回目◇
鍼灸施術に対する恐怖感が少しあったため最初は刺激量を抑え、痛電気療法を控えました。治療後体が少し軽くなったが耳の症状は変わらない
◇2回目◇
1回目の治療後だるさが出たため今回も治療の刺激量を抑えて治療しました。
耳の症状は変わらず
◇3回目◇
鍼灸治療にも徐々に身体が慣れてきたため刺激量を上げていきました
◇4~5回目◇
少し耳閉感や自声強調が治まってきた気がするとのこと
◇6回目◇
前回までは耳の症状は少し良くなっていたが、また以前に戻ってしまった
◇7~9回目◇
以前から気になっていた体の症状を精密検査したところ何も異常が見られなかったとのことでご本人としても気が楽なったとのこと。当院施術後身体も非常に楽になり、それから徐々に耳の症状が1日1回出ていたのが2~3日に1回ほどとなった。
症状が出ても数秒で程度で治まる。
症例2
50代女性
当院にご来院される2年ほど前から耳のつまり感が気になるようになった。症状の変化が激しく、強く耳のつまり感が出る時は同時に自分の発した声が自分の頭の中で響くように聞こえたり、めまいを感じたりしていた。家事や仕事で疲れも溜まっていたせいもあり、少し休めば症状がとれると思って病院を受診しないでいた。しかし、睡眠をしっかりとって休息してもなかなか症状が緩和されないため病院の検査を受けることにした。結果、耳管開放症と診断されて精神安定剤などを処方されて服用したがあまり改善されなかった。
身体の調子が悪い時は、曇りや雨の天気になると一日中、耳の詰まった感じ・自分の声が頭の中に響く感じ・めまいを感じていた。
治療経過
耳の症状の他にも腰痛や子宮内膜症も患っていたため、同時に治療していきました。耳・腰・子宮の症状ということで東洋医学的には『腎』の機能が弱まることによって『肝』にも影響を与えて様々な症状を引き起こしている考えられるので特に腎に関する経穴を中心に治療していきました。
◇1回目◇
治療後、体は少し楽になった感じはあるが耳の症状はあまり変化が見られなかった。
◇2回目◇
右の耳の塞がった間隔はなくなった。それと同時に左の耳塞感を強く感じるようになった。
◇3回目◇
左の耳閉塞の改善は見られない。右の耳塞感は完全されてきた。
◇4~6回目◇
一進一退の状態が続いた。基本的に天気の良い日は耳も調子よく、天気が崩れ始めると同時に耳の症状も強くなる。
◇7回目◇
左耳の症状が軽減されてきた。
◇8回目◇
一番耳症状が弱かった時を『1』強く出た日を『10』とすると2~3くらいのレベルまで回復してきた。普段は全然気にならない。身体が疲れてきたり、天候が悪くなると少し気になる程度
症例3
50代 男性
20年ほど前から自分の声が異常に響く症状に悩んでいた。その時は原因がわからなく、特に薬なども処方されなかった。自分でサプリメントや漢方などを飲んでなんとか過ごしていた。しかし、昨年風邪を引いて体調を崩してから左耳だけ耳塞感と自分の声が響く症状が強く出るようになってしまった。それを境に左の鼻もつまるようになって睡眠の妨げにもなっていた。
かなり症状が強く出たため、もう一度耳鼻科を受診したところ耳管開放症と診断された。鼻炎薬などの薬を処方されていくらか軽快することもあったが、仕事で疲れた時や天候が悪くなる日などは症状が強く出て薬の効果もあまり感じられない。
治療
自律神経調整と首肩の筋緊張の緩和、耳周りの施術に加えて鼻炎止めの経穴も用いて総合的に治療して行きました。初診時に自律神経の状態を測定したところ交感神経の活動が高く自律神経の乱れがみられました。
◇1回目◇
治療後2日ほどは耳塞感と自分の声が響く症状は感じられなくなった。3日以降は疲れた時に感じる程度
◇2回目◇
次回から4日空けて来院。以前見られた首肩の筋緊張は和らいでいるように感じた。
◇3回目◇
今回も治療後2日ほどは治療効果が継続
◇4~7回目◇
段々鼻炎も治まってきて、治療効果も延びてきた。1週間に一度ほどのペースで来院。その間はほぼ症状は感じられない
◇8回目◇
2週間後に来院。たまに疲れてくると自分の声が響くかなと感じるが、睡眠をとると直ぐに軽快
◇9回目◇
また2週間後に来院。今回は疲れてきても症状は感じられなくなった。
症例4
◇症状◇
一か月前ぐらいから仕事が忙しくなり、そのストレスのせいか耳の耳塞感や自声強調といった症状が出始めた。横になったり口を大きく開いたりすることによって症状はなくなるが、日に日に閉塞感や自声強調が強くなる。両耳に症状が現れているが特に右側が強い。その他にも疲れてくると眼瞼痙攣の症状も現れる。
◇当院の治療◇
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を測定したところ、ストレスを受け続けたのが原因で自律神経のバランスが乱れていたので自律神経調節の治療を行った。また、首肩の筋肉が固まっていて、心臓から耳への血液の流れを阻害して異常を起こしているので、頸肩を含めた全身の筋肉を緩める治療を行っていきました。
最後に、全身の筋肉が緩まり血流が良くなったところに、今度は耳周りに鍼をうち耳に血液を集め、耳管の周りの細胞の動きを正常に戻す治療を行いました。
◇経過◇
・1回目
少し症状が軽くなった気がするが、まだ症状はつよい
・2~5回目
耳の症状の状態は波があり少し軽いかなといった日もあるが、基本的にはやはり耳塞感や自声強調が気になる
・6回目
以前は体の疲労感をすごく感じていたが、疲れを感じることが少なくなり、耳の症状も以前よりは気にならなくなったかもとのこと。
・7~11回目
治療を受ける度に耳の症状が軽減していって11回目を終えたころには日常生活で全く気にならない日も出てきた。
・12回目
体調によって耳の調子も悪くなってしまうかなと感じてもなんとか持ちこたえて耳塞感までも行かなくなった。
症例5
30代男性
中学生の頃に耳の詰まり感や自声強調や呼吸音が響くなどの耳の不調が発症し、病院で両耳の耳管開放症と診断された。それから様々な治療を試したが効果が現れず約15年間悩まされている。
ストレスはあまり感じないが、パソコン作業が多いため姿勢が悪く首肩コリが強い。また慢性的な鼻炎や顎関節症があり、幼少期に中耳炎を繰り返していた事が耳管開放症の発症や慢性化の要因と考えられる。
当院の治療
まずうつ伏せで背部兪穴や首肩の筋緊張が強い部分に刺鍼を行いました。
次に仰向けになり耳の経穴(耳門、聴宮、聴会、翳風)や首前面にある胸鎖乳突筋、こめかみの側頭筋に低周波鍼療法を行いました、また自然治癒力を高めるために自律神経を整える経穴も刺激していきました。
治療間隔は3日~7日に1回ペースでご来院頂きました。
治療経過
◇1回目◇
まだ大きな変化はないが、耳の詰まり感は軽快したような気がする。
◇2回目◇
鼻詰まりと眼精疲労も気になるため、耳に併せてそちらの治療も行った。
◇3回目◇
前回から耳の変化はないが、よく寝れる。
◇4回目◇
耳の詰まりや自声強調が軽快し、症状が全く出ない日があった。
目の疲れや鼻詰まりも楽になってきた。
◇5回目◇
さらに症状が軽快。以前は両耳同時に症状が現れていたが、現在は片耳ずつになってきた。
◇6回目◇
気になる日が少なくなってきた。
◇7回目◇
疲れや睡眠不足の日は症状が出やすいが、それ以外は気にならない。
◇8回目◇
完全には消失していないが、症状が現れる日はほとんどない。
現在、経過観察中。
耳管開放症は、東洋医学で言う「腎」と「肝」が深く関係していると考えられています。
東洋医学では、五臓六腑の「腎」と耳が深い関係にあると言われています。
「腎は耳に開竅する」と言われており、聴覚が東洋医学でいう腎臓と深いかかわりがあるということを示しています。
東洋医学の「腎」は、西洋医学でいうそれとは違った役割を持っています。
東洋医学の「腎」の役割は、主に生長・発育・生殖・水液代謝を主ることです。その中でも腎の精気は、聴覚と関係が深く、多ければ聴覚機能は正常に働き、逆に少なければ聴覚機能は減退してしまいます。
また東洋医学の「肝」には「疏泄をつかさどる」という役割があります。すみずみまで機能を通行させることをさし、情緒を安定させ精神状態を正常に保つ・自律神経系の機能によって全身の機能を円滑に保つという重要な機能があります。
この「肝」と「腎」はとても深い関係にあり「肝腎同源」と言われており、同時に障害されることが多いです。そして同時に障害されると耳管開放症にかかりやすいと考えられています。
・深くおじぎをする
・しばらく横になり休む
・ガムをかむ
・首や耳の後ろにカイロなどを当てて温める
・水をのむ
・耳の後ろを軽く揉む
・お風呂に入って温まる
・肩を回して筋肉をほぐす
・首周りのストレッチをする
耳管開放症とは、通常は閉じているはずの耳管が開いたままであったり、うまく開かなかったりして、耳の詰まり感や自分の声が響くなど耳の症状を呈する疾患です。耳鼻科などで検査を受けても異常なしといわれることも多く、多くの人が悩んでいる症状の一つです。
まだまだ認識の薄い疾患ですが、耳管開放症にかかっている人は日本で軽症者を含めると600万人にも上るといわれており、患者数が増え続けている疾患のうちの一つです。
もし、耳の詰まり感や自分の声が響くような感じがして耳鼻科にいっても異常なしと言われたらこの耳管開放症かもしれません。耳管開放症が常に出ている場合は少なく、病院では症状が出ていないので診断が難しいといわれているからです。
耳管開放症の症状
耳管開放症の症状は、耳閉感・自声強調・フワフワしためまい・低音が聞き取りづらいなどがあります。
耳塞感
最初は、エレベータで上った時に起こるような耳が詰まったような感覚が突然あらわれる場合が多いです。そして気付いた時には症状が消えています。
自声強調
耳閉感が起こり、次第に自分の声が響くようになります。耳が詰まった時に自分の声が耳にこもるというような感覚は誰しも経験があるかと思います。しかし、耳管開放症の症状の場合、それが何倍も感じるようになり、声がこもるというより声が自分に響くというような感覚に陥り、とてもストレスに感じます。重症化すると自分の声が響き過ぎて自分が今何をしゃべっているのかわからないほどとなってしまいます。
そして、進行すると耳が聞こえなくなることもあるとてもこわい症状です。
耳管開放症の自己チェック法
1.あくびやエレベータなどに乗っていない何気ない時に耳の詰まり感を感じる
2.自分の声がこもる・響くような感じがする
3.1・2の症状が深くおじぎをしたり、横になって休むとなくなる
このような場合は耳管開放症かもしれません。
耳管の役割
耳の構造は外耳・中耳・内耳に分かれます。
外耳
外耳とは、その名の通り耳の外側にあたる部分です。私たちが目で確認できる体外に出ている耳介で音を集めて、外耳に伝えます。そして外耳道を介して中耳に音を伝えていきます。外耳とは私たちが耳かきをする部分です。
中耳
中耳とは、鼓膜の奥にある部分です。鼓膜の奥にはツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨という3つの小骨に繋がっています。内耳の中は空洞となっていますが、空気圧を適切な状態に保ったり、細菌の排出機能などとても重要な役割を担っています。
内耳
内耳は、耳介→外耳→中耳と伝えられてきた音を蝸牛という器官で電気信号に変えて蝸牛神経に伝えて脳に伝えるとても重要な器官です。また平衡感覚もつかさどっており、内耳が障害されると耳の症状と加えてめまいなどの平衡感覚に異常をきたす場合が多いです。
耳管
耳管とは、中耳と鼻の奥をつなぐ約3.5センチ程の器官です。外気と中耳の圧を一定に保つ重要な役割があります。
なぜ外気と中耳の圧を保つのが重要なのかと言いますと、外気と中耳との圧が違うと鼓膜がうまく振動せずに音がうまく伝わらないからです。
例えば、エレベーター高い階に移動したとします。すると、気圧は低下するので、中耳の圧の方が外気よりも高くなり鼓膜が外側につっぱった状態となります。鼓膜がつっぱった状態だと鼓膜がうまく振動せずに音が伝わりません。よって耳が詰まったような感覚や「キーン」と耳鳴りが起きたような状態となってしまうのです。
そこで、その状態を解消してくれるのが耳管というわけです。耳管は中耳と鼻の奥と繋いでいて普段は閉じています。しかしあくびやつばを飲み込むと耳管は開くことにより、鼻の穴を通して中耳と外気の圧が一定となり、鼓膜の突っ張った状態を解消するのです。
なぜ耳管が開きっぱなしだと問題なのか?
中耳と外気と一定に保つ役割のある時間ですが、開きっぱなしだとやはり問題があります。
鼻から空気を吸うとき、鼻と耳をつないでいる耳管が開いた状態だと耳からも空気を取り入れようとしてしまうため、鼓膜は内側につっぱってしまいます。逆に空気を吐くときは空気を耳から排出しようとしてしまうため鼓膜が外側につっぱってしまいます。
鼓膜が突っ張った状態は、音が振動しづらいため耳塞感を生じやすくなります。
なぜ自声強調が起きる?
自分の発した声は喉から鼻へ伝わり、耳管が閉じている状態では鼓膜の方まで音は伝わりません。しかし、耳管が開いている状態では、鼻から耳管を通して自分の声が鼓膜に伝わってしまうため自分の声がこもる感じや自分の中で響く感じがしてしまうのです。
耳管開放症の原因は、かぜに伴う上気道炎や副鼻腔炎に伴う後鼻漏の場合があります。
鼻とのどは繋がっていますが、鼻汁が喉の方へ流れて行ってしまう症状が後鼻漏といいます。後鼻漏の状態が続くととても不快に感じ食欲や睡眠にも影響を与えます。
またその他にも
・急激なダイエット
急激な体重減少により、耳管の周りの脂肪組織も減少することで耳管が開放しやすくなってしまいます。
・ホルモンバランスの変化
特に女性に多いですが、妊娠などのホルモンバランスの変化により耳管開放症にかかってしまう場合があります。妊娠すると6人に1人の割合で、耳管開放症に罹ってしまうほどといわれています。
・自律神経の乱れ(血行不良)
自律神経の乱れ特に交感神経活動の亢進は、耳管開放所の原因になる場合があります。
交感神経は活動的な状態で、交感神経が活発な状態は体が戦闘状態にあるということです。体が戦闘状態の時は、体の重要な器官(内臓など)に血流を確保しようとするため自然と末梢の血流は少なくなってしまいます。すると耳管や耳管周囲の血流も低下してうっ血がとれるため耳管が開きやすい状態となってしまいます。
・脱水症状
激しい運動時に耳管開放症の症状が出る方も多いです。先ほど述べたとおり自律神経、交感神経活動が活発が原因の場合もありますが、体の水分が少なくなり、耳管周りにむくみが取れて耳管が開きやすい状態となります。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:22 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)