ドライアイの鍼灸治療

 

①ドライアイの当院の鍼灸施術

当院のドライアイに対する施術は、第一に目の周辺の経穴にハリやお灸の刺激を施し、目の血流改善を促します。涙は血液から作られており、血流が悪いと涙の量も減ってしまいます。

ドライアイの鍼灸治療

ハリ刺激がどうしても苦手という方は、お灸のみの施術を致します。お気軽にお申し付けください。お灸といっても決して痕の残らないものですのでご安心ください。

ドライアイの鍼治療

またドライアイは五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関するツボを用いたり、東洋医学の観点から全身の調整施術を施します。内臓とくに肝や脾がうまく働いていないと全身に栄養ある血液が行き渡りません。

 

自律神経測定

 

そこで当院では、お腹や背部のツボを刺激することで内臓を活性化して全身に栄養ある血液を行き渡らせることができるベースができた上で目周囲の施術を致します。
そうすることで多くの過多のドライアイが改善しました。

ドライアイの自律神経調整鍼灸

 

②ドライアイの東洋医学

 

中医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、目の疾患は肝の機能障害が深く影響していると考えられています。陰陽五行説で、涙は肝に影響すると考えられており、やはりドライアイは肝との関係が深いといえます。

 

③ドライアイの鍼灸治療症例

 

症例1

20代 男性
パソコン関係のお仕事をしており、毎日長時間デスクワークをしており、夜12時ごろまで残業することも多かった。そんな日々が続き疲れ目や目の疲れを感じるようになってきた。だんだんとパソコン画面を見ることがつらくなり、₁時間もしないうちに目がつらくなってとても仕事ができるような状態ではなくなってしまった。1か月程仕事を休み、体を休養している時にちょうど当院にご来院された。
眼科の方では、目薬を処方してもらったがあまり効果は見られなかったとのこと。

当院の治療
慢性的な体の疲れや睡眠不足などもあったことから自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから治療に入りました。自律神経測定器の結果、交感神経が非常に高い状態で疲労度も高くあまり体を休めることができていない状態でした。視力は左右ともに1.5程と良く、普段は全く目に関して問題を感じていないとのことでした。触診の結果右頸肩部の筋肉の緊張が強く、目の症状も右目の方がつらいとのこと。

当院の治療として

1,自律神経の状態を整える
2,頸肩部の筋緊張を緩める
3,目の周りの筋緊張の緩和・血流改善

主にこの3点を重点的に施術しました。

治療経過

◇1回目◇
鍼灸治療を受けるのが初めてということもあり、弱い刺激の治療からしていき、体の反応をみた

◇2回目◇
一回目の治療により右肩のはり感や右目の症状が以前よりも良くなった。しかし、まだパソコン画面などを見るとすぐに辛くなってしまう

◇3回目◇
徐々にパソコン画面などを見ているのがつらくなくなってきた。ドライアイの目薬をする回数が減ってきた

◇4回目◇
仕事に復帰するため、少しずつパソコン作業にならそうと試しているが、目の状態がさほど気にならなくなった

◇5回目◇
無事、仕事に復帰。最初は身体を慣らすためにも残業をせずに目への負担も軽くしていただいた。頸肩部や目の症状はだいぶ良く、気持ちよく仕事に復帰できたとのこと

◇6回目~◇
どうしても目を酷使する仕事なので長時間作業をしていると目が疲れてくるが、以前のような辛さはなくなった。再発予防のためや体調管理のためにも2~3週間に1回程のペースで治療させていただいています。

 

症例2

40代 女性

パソコンを主に使う仕事をしており、仕事の日はパソコンを1日10時間以上は見るような生活をしていた。普段から目の渇きが気になっていたが、最近特に感じるようになって1時間もパソコン画面を見ていると目が乾いて痛みとゴロゴロ感に悩まされている。眼科で目薬を処方してもらって目薬をひどいと1時間ごとにさしている。
このままずっと目薬をさし続けるのは嫌だということで当院にご来院された。

治療
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を測定してから施術していきました。自律神経のバランスも悪く、手足の冷えなどもあり全身の血流が悪い状態でしたので自律神経を整えて首肩のコリも軽減させる施術を行ったうえで目の周りを施術していきました。
治療と並行して仕事場でも目を定期的に休めるようにしてもらい、家ではホットタオルで目を温めるようにしていただきました。治療の感覚は1週間に2回もしくは1回ほど

◇1回目◇
治療後目がすっきりしたのように感じた。次の日の仕事も比較的楽にできるようになった。

◇2回目◇
全身が疲れていたのがすっと楽になりよく眠れて身体が楽とのこと。目の調子も比較的良い

◇3~7回目◇
目の調子は段々とよく、目薬を使う回数が減ってきている。気を抜いて目を酷使するとたまに目の渇きを感じる。

◇8回目◇
目薬を1日10回以上指していたのが、3回程までになってきた。

◇9回目◇
仕事中は、あまり目の渇きを感じにくくなった。

 

症例3

40代 男性

ここ2週間前から、目薬がないと目が乾燥して痛くなってしまう。2、3年前から毎日ドラッグストアで買っている目薬を使っているが、頻度がどんどん多くなってきている。目の調子が悪い時は30分に1回のペースで目薬をさしている。

仕事が忙しくなると、パソコンを一日中凝視することが多く、そんな日は余計に目が辛い。

 

治療

自律神経測定器で計測したところ、かなりストレスと疲労が身体に蓄積されているという結果がでた。また、交感神経がかなり優位になっており、本人も常に緊張状態でいると自覚があるようだった。

このことを踏まえた上で当院では、眼の周りに鍼とお灸で刺激を与え血行を促進する事で涙の生成を促す治療を行う。また、全身の筋肉が緊張状態、疲労の蓄積が激しいので固くなっている筋肉を緩めると同時にリラックス効果も高めていく目的で自律神経の調整治療も行う。

治療頻度は週1回

 

◇1回目◇

治療後は視界が明るくなった気がする。

◇2~5回目◇

治療してからしばらくは眼は見やすいが、症状の変化は感じない

◇6回目◇

目薬をさす回数が減ってきた。身体全体が軽く動く感覚がある。

◇7回目◇

忙しくしていても、仕事中の眼の痛みが軽減したように感じる。

◇8~12回目◇

目薬を使う回数が明らかに減っているのを実感している。家族からも目薬を最近使わなくなったと言われた。

◇13回目以降◇

治療頻度を伸ばして経過観察、現在も来院中。

 

症例 4
50代 女性

20代の頃からドライアイだった。点眼薬を用いているが、まぶたがはりつくような感じがある。特に空気が乾燥する季節は症状がひどくなる。眼科の検査では、右の角膜に傷がついている。涙点プラグ治療を行ったが、効果がなく症状はより悪化した。右の肩のこりが気になる。

当院の施術

目周辺の血流をよくするために、目の周囲へ鍼とお灸を行いました。首肩には鍼とお灸で筋肉を弛緩させるような施術をしていきました。また、全身的な血流の改善、筋緊張の緩和のため自律神経調整も行っていきました。

治療頻度は最初の二か月は週に一回、その後は二、三週間に一回。

一回目
目周りの鍼は少し恐怖心があった。

二回目
ドライアイが少し良くなった感じがある。

三回目
涙の量が増えて、目が潤っている感じがする。

四回目

眼科での検査の結果、右目の傷が良くなってきている。右肩のこりも少しずつ良くなっている。

五回目
まぶたがはりつく感じが少しずつ良くなっている。

六~九回目
ドライアイ、肩こりがほとんど気にならなくなった。

十回目

眼科での検査の結果、左目は傷がなく、右目はほんの少し傷がある。ドライアイ、肩のこりは気にならなくなった。

十一回目以降

季節的にも症状が気にならなくなったため、施術頻度を伸ばして経過観察、現在も来院中。

 

④ドライアイに対する鍼灸治療のエビデンス

 

ドライアイに対する鍼灸治療の効果について個人差はありますが、シンガポールの保健省による共同研究では、点眼薬と鍼灸治療を併用したグループで88%にドライアイが改善したという研究結果も出ています。
Hardly a dry eye in the house thanks to new acupuncture technique

オーストラリア・ウィーンの第一大学眼科学部の患者を対象に行われた研究もあります。対象は、ドライアイ症状が続いている期間が平均で19.3か月で年齢は31才~73才までの25人(女性22人・男性3人)です。涙量が著しく少なく、点眼薬では症状が消失しなかった患者に鍼治療が行われました。

治療期間は10週間で1回の治療時間は週当たり30分程度で目の周りのツボと手足のドライアイに関するツボも用いて施術してきました。

結果、鍼治療の1週間後には15人(60%)の患者で症状が消失しました。ドライアイ時に行われるシルマー試験の数値も改善が見られました。

鍼治療後の12か月後においても13人(52%)の患者で症状が消失しており、ドライアイの治療が必要がないほどになりました。

残念ながら5人(20%)の患者においては鍼治療によって改善は見られなかったと報告されています。

※参考文献 『鍼のエビデンス』 医道の日本社

⑤ドライアイとは

ドライアイとは目を守る役割をする涙の量が足りなくなったり、涙の性質のバランスが崩れたりすることによって目の表面を潤す力が低下した状態をドライアイと呼びます。

日本では、約800万人ものドライアイの患者さんがいると言われています。女性の方が男性よりもドライアイになりやすいと言われており、また歳を重ねるとどうしても涙の分泌量や質が低下するので中年女性に多いと言われています。

 

ドライアイの症状

 

ドライアイの症状として目の乾燥感だけではなく、異物感目の痛みまぶしさ目の疲れ眼精疲労など)など多彩な慢性の目の不快感を生じます。

目を使い続けることによる視力の低下も起こります。
パソコンやテレビゲーム、細かい作業によって目が乾いていると感じるときは、まばたきの回数が減少して涙の量が減っている場合があります。
まばたきの役割は、目の保護や目の休息時間の提供と様々挙げられますが、重要な役割としてまばたきをすることで涙を作れという指令の役割があります。集中して作業をしていると人間の本能的にまばたきの回数が減り、必然と涙の量が減ってしまいます。

そして、乾燥した目は目の表面の細胞に傷ができやすくなります。

涙は眼球の上外側にある涙腺で産生されています。
涙は弱アルカリ性の水性の液で、微生物を攻撃するリゾチームという酵素を含んでいます。
涙腺は1日約1mlの涙を産生しており、涙は眼球表面で油性のマイボーム腺などの分泌物と混じります。マイボーム腺などの分泌物は潤滑を助け、蒸発を遅らせる油膜を作ります。
涙はまだたきにより目の内側に集められ、涙点から涙小管へ排出されます。

 

またドライアイは、涙の量が減ってしまって目が乾燥するばかりではなく、涙がうまく排出できなくて状態の悪い涙があふれ出ている状態で角膜が傷ついてしまうドライアイもあります。これは高齢の方に多い原因です。

 

一見すると涙が今にも零れ落ちてしまいそうな状態でドライアイとは思えないほどですが、ドライアイと同じような症状を呈する場合もあります。

 

⑥ドライアイの西洋医学的考え

ドライアイの大きな原因は眼球表面の涙液が減ることですが、それには涙液の分泌の低下と涙液の蒸発が多くなることが影響しています。

 

ⅰ)空気の乾燥または汚れ
空気が乾燥していると目の表面から涙液が蒸発しやすくなります。このためドライアイの人の多くは秋から冬にかけての季節の変わり目やエアコン、ヒーターを使用している場所などで症状が強くなります。

 

ⅱ)まばたきが少ない
読書、コンピューターの使用、車の運転、テレビを見るなど目を集中的に使う場合にまばたきの回数は減ります。その結果涙液の蒸発が多くなり、分泌は減少して涙の膜は途切れてしまいます。最近は携帯電話やパソコンなどの普及によりドライアイの患者さんが増えています。

 

ⅲ)コンタクトレンズの装着
コンタクトレンズが水をはじくために、目が乾燥することがあります。また角膜が覆われていて感度が鈍くなることやまばたきが不完全になることで涙の分泌が低下します。

 

ⅳ)シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は中年女性に多い疾患で目や口、鼻などの粘膜が異常に乾燥する疾患です。涙はほとんど分泌されずに強いドライアイの症状が現れます。ドライアイのほか唾液の分泌が減少することにより味覚や嗅覚が鈍くなって、物を飲んだり食べたりすると痛みを生じます。また虫歯の原因にもなります。
シェーグレン症候群は自己免疫疾患であり、自分の身体の成分に対して免疫反応を起こすことによる疾患です。(シェーグレン症候群について詳しくはこちら

 

ⅴ)マイボーム腺の詰まり
マイボーム腺は油層の成分を分泌する所で、何らかの原因でそれが詰まると油膜の形成が不完全になって涙液の蒸発を防ぐことができません。

 

安易に市販の目薬をさしてはいけません

 

目が乾きやすいといって自分でドライアイと判断したり、眼科でドライアイと診断を受けたとしても、ただ単に目の表面が乾いているだけでそんなに重くない・目薬をさしていれば問題ないと考える方もいらっしゃいます。

 

しかし、ドライアイといいましてもさまざまな目の不調の原因になりえます。目の痛みや目やにの原因に、または光をまぶしく感じやすくなったり視力の低下までつながったりもします。

さらに目ばかりでなく慢性的な頭痛・首肩コリ・自律神経の乱れなどの根本的な原因にドライアイがなっている可能性もあります。

 

ドライアイの症状を感じると安易に良かれと思って市販の目薬をさして症状緩和させようと多くの方がするかと思いますが、それが余計に状態を悪化させてしまう場合もあります。

何回も目薬をさしてしまうことで目の表面をおおっている油分や栄養分・酸素が一緒に流されてしまうために涙本来の役割が果たせなくなってしまうこともあるのです。

また、市販の目薬には防腐剤が多く含まれている場合もあり、それによって眼の表面にアレルギー反応が出てしまったりすることもあるので目薬の使い過ぎに注意が必要です。

 

市販の目薬を使う場合でも防腐剤が入っていないものを選んだり、涙の性質に非常に近い涙液型の目薬を定められた回数さすようにしましょう。目が乾くと言って既定の回数以上に目薬をさすことは控える方がよろしいかと思います。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 12:42 / 院長コラム ドライアイの鍼灸治療 への6件のコメント

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