・ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
手首の親指側に痛みや腫れが出て、親指を動かしたり広げたりすると痛みが強くなります。親指の使い過ぎによって腱鞘(けんしょう)にストレスがかかり、炎症を起こすことで手首の親指側付近に強い痛みが出ます。
・手首の腱鞘炎
手首には様々な腱が通っており、ドケルバン病以外にも様々な腱鞘炎が起こります。炎症が生じた腱に応じ、それぞれの部位に特定の動きで痛みが生じることが多いです。尺側手根屈筋腱腱鞘炎、尺側手根伸筋腱腱鞘炎、長母指伸筋腱腱鞘炎などがあります。仕事や家事での使い過ぎが原因のことが多く、難治性となることがあります。
・TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)
TFCCとは手首の小指側にある三角繊維軟骨複合体という靭帯や腱、軟骨などの軟部組織の事を言います。手を床について痛めたり、
症状として雑巾を絞れない、ペットボトルの蓋を開けられないなど手首を捻る動作で痛みが出現します。
・母指CM関節症
変形性関節症の一種で親指の付け根で手首に近い関節に痛みが出現します。親指を酷使するような動作を繰り返したり、年齢を重ねたりしてCM関節を構成する骨と骨の間にある関節軟骨が摩耗することで発症します。
安静にすれば痛みは治まりますが、進行すると安静にしていても痛みが生じ、関節が腫れる、変形するなどの症状が現れるようになります。
・橈骨遠位端骨折
手をついて転倒した際、手首の橈骨という骨の端が骨折するものです。通常手首の強い痛みが生じます。骨のズレが少ない場合では、痛みが強くなく捻挫と勘違いしてしまうこともあります。
・ガングリオン
関節の周辺や腱鞘のある場所にできるコブ状の腫瘤(しゅりゅう)をガングリオンと呼びます。原因ははっきりとわかっておらず、症状は特にないことが多いですが、神経を圧迫すると痛みやしびれが出ることもあります。
・キーンベック病(月状骨無腐性壊死)
手関節に8個ある手根骨(しゅこんこつ)の一つで、手首のほぼ中央にある月状骨(げつじょうこつ)がつぶれて壊死を起こす病気です。原因は不明で、手をよく使う壮年期の男性に多く見られますが、特にケガをしたりぶつけたりといった覚えがなくても、発症すると手を動かした後に痛みが出たり、握力の低下、手首を反らす方向の動きが悪くなるといった症状が現れます。
・インターセクション症候群(腱交叉症候群)
親指を伸ばすための短母指伸筋と親指を外に開くための長母指外転筋と手首を反らす働きをする長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋とが手首より少し肘側で交叉している部分に起こる腱鞘炎です。
大工仕事や手作業の多いデスクワークを職業とする人や、野球やテニス、バイクの運転など手首を返す動作の多いスポーツを好まれる方などの集中的に手を酷使する30~50代の方の多く見られます。
症状は手首より4~6cm手前のところの痛みや腫脹、違和感などです。手首を反らす動作、親指でキーボードを打つ際の痛み、また痛い部分を触れて動かすとギシギシとこすれる感じがする場合もあります。
・指が曲げられない・開かない
・手首が張れる
・何もしなくてもズキズキ痛む
・物が握れない
などが挙げられます。
検査・診断
身体所見、レントゲン検査、CT、MRI撮影、超音波検査などを必要に応じて行います。
治療
一般的に湿布、テーピング、服薬、痛み止めの注射、ブロック注射、ギプスによる安静、装具療法、マッサージ、アイシング、温熱療法、電気治療、手術療法などの対処を行います。
東洋医学では関節痛は「痺症」として考えられます。
「痺症」とは身体の外から侵入した外邪(風邪、湿邪、寒邪、熱邪など)が筋肉、骨、関節に影響を与え疼痛や重だるさ、しびれ、腫れ、熱感などの症状として現れることをいいます。
手首の痛みは経絡的には大腸経、肺経、心包経、三焦経、心経、小腸経とたくさんの経絡が関係しています。
筋疲労や筋肉の過緊張、萎縮により起こった関節痛では、血流促進や筋緊張緩和を目的として、原因となっている筋肉に鍼やお灸で刺激を与えます。また、状態によっては鍼に電気を流し、筋緊張を和らげる作用や鎮痛作用を促す場合があります。
痛みや腫れ、発赤等がみられる炎症部位に対しては、疼痛の軽減や抗炎症作用を目的とし、鍼に電気を流すことがあります。また関節の周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与えることで炎症により増えすぎた関節液や組織液の吸収を促し、腫れを改善し疼痛を軽減させていきます。
手首に異常がある方は、姿勢の影響などで骨盤周囲、背中、首や肩関節周囲の筋緊張が強く出ていたり、関節のバランスが崩れ、その結果手首を安定させる筋肉の働きを低下させたり、手首の関節が痛くなるような不安定性を生じている場合がよくあります。
そのため当院では全身の調整施術も行い身体の歪みを整え、根本的な原因を取り除いていきます。
また、東洋医学的観点から気血の流れを改善するツボや、痛みや圧痛のある部位から異常のある経絡を判別し、その流れを整えるツボを選択します。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:52 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)