眼精疲労の鍼灸治療

眼精疲労の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されています。

WHOの適応疾患について←

また眼精疲労に対する鍼灸治療の有効性は、臨床研究でも明らかになっています。

明治国際医療大学の研究
鍼治療による眼精疲労および眼精疲労軽減効果
研究では、日ごろから目の疲れを感じている96名(平均年齢23歳)を対象に行われ、攅竹や太陽などの目のツボや合谷や手三里などの手のツボを使って様々な鍼の手技を用いました。ほとんどの被験者でVAS(Visual Analogue Scale)の改善がみられたとのことです。

眼精疲労に対する当院の鍼灸治療

1.まずはしっかり問診します。


目の疲労ばかりでなく、体の不調を全てお教えください。治療効果の向上に繋がります。

2.問診をした上で自律神経測定器で自律神経の状態を計測していきます。

自律神経測定器

 

3.まずはうつ伏せで首肩こりや背部兪穴の目に関するツボを用いて施術していきます。

眼精疲労の頸肩鍼灸治療

 

首肩の筋緊張を緩和させることで目にも栄養ある血液が行き渡りやすくなります。

5.次に仰向けとなり目の周りの施術と自律神経調整施術に入ります。

眼精疲労の鍼灸治療

 

当院では、目の周りに打つ鍼は、体打つ鍼よりも細い鍼を使用しており、美容鍼で使われるような刺激がソフトな鍼を使用しております。また鍼を刺したうえで濡れタオルに包んだ電子温灸器で目の周りを温めていきます。

鍼の刺激+電気温灸器の心地よい刺激で目の周りの筋緊張の緩和、血流改善につながります。ここでほとんどの方が気持ちよく眠ってしまうほどです。

顔に針を刺されるのがどうしても苦手という方もご安心ください。そういった方の場合はお灸で対応することも可能です。顔に直接お灸をのせて火をつけるのですが焼ききる前に火を消すため火傷の心配も跡がついてしまう心配もありません

眼精疲労のお灸治療

 

特にお腹を電子温灸器で心地よく温めることにより、体をリラックス状態にすることで自律神経を整えていきます。

 

眼精疲労に対する当院の鍼灸治療の特徴

 

当院の眼精疲労に対する施術は、第一に目の周辺の経穴にハリを刺して刺激することにより目の血行状態をよくします。目に刺すというものではなく、目周囲にハリを刺します。顔に刺されるのが怖いという方は、お灸で対応致します。お灸は、痕を残さず心地よい温かさの刺激です。目の奥の痛みなど痛みに対しては鍼通電療法を用いて鎮痛効果をねらって施術していく場合もございます。

 

また眼精疲労は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いたり、東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療を行います。東洋医学の特徴に全身を診て、状態を把握した上で施術を行うというものがあります。

 

眼精疲労は、目ばかりでなくうつ睡眠障害など自律神経系の疾患も患っている場合が少なくありません。そこで当院では、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を知った上で施術致します。自律神経の状態を把握して当院独自の自律神経調整療法を行うことで、他にはない施術効果が期待できるのです。

 

眼精疲労についての東洋医学的考え

中医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能の障害が深く影響していると考えられています。
肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。そのほか肝は運動神経系の調節に関係があると考えられています。

 

眼精疲労は、上記の筋性眼精疲労や眼のピントを合わせる働きのある毛様体筋の運動機能が低下していると考えられ、そのことからも眼精疲労は肝の機能との関係が深いことがわかります

また、肝は精神情緒の安定、自律神経系を介した機能調節もおこなっており、それらの機能低下は上記の神経性眼精疲労を引き起こすと考えられます。

 

眼精疲労の鍼灸治療症例

40代 女性
主にパソコンでの作業がお仕事で一日10時間以上、パソコン画面を見るという生活を送っていた。普段から目の疲れや乾き、首肩こりを感じていたが、たまにマッサージなどでほぐしてもらうことで症状は軽減できていた。
しかし、ここ一週間前程から仕事が忙しくなり、目や体の症状が強く出るようになってしまった。マッサージを受けても終わった直後は良いが、一日経つともうつらくてなかなか改善されないということで当院にご来院されました。当院ご来院時には、まぶたが重く感じたり、眉間辺りがパソコン画面を見ていると痛くなり、仕事にも支障をきたすほどとなってしまっていた。

当院の治療
睡眠不足や朝すっきりと起きれることが少ない・日中体がだる重くことなども問診時にわかったので、自律神経測定器で自律神経の状態を計測した上で治療を行ないました。自律神経測定器の結果、交感神経の活動が高く、自律神経のバランスが悪かったため仰向け治療にて自律神経のバランスを整える施術を行い、うつ伏せ治療で首や肩の筋緊張を取り除き、最後に目の周りを鍼灸施術で刺激していきました。

◇1回目◇
治療後少し首や肩に重だるさが残ったが、夜しっかりと眠れることができて翌朝体がすっきりとした。目の症状も朝は非常に楽だった。しかし、仕事をしていて夕方ごろからは目の疲れや痛みを少し感じた。

◇2回目◇
鍼灸治療によって首肩・目の周りがとても軽くなったと感じた。仕事のほうもだいぶ落ち着いてきて目の疲れも感じにくくなってきた。

◇3回目◇
今週は仕事がとても忙しく目の症状が気になり始めてしまった。治療後は軽快。

◇4回目◇
症状は軽減されたがまだ気になる

◇5回目◇
パソコン作業をしても目の疲れをほとんど感じなくなった。目が疲れる前に遠くを見るなどして目の筋肉を休めることも日常的な疲れ目予防として行っていただいた。

 

症例②
50代男性
10年以上前から目の疲れを感じていた。主にパソコン仕事なので目の疲れがひどくなってくると目の奥が痛くこってくる感じで目も動かしづらくなるとのこと。さらに進行すると首のこりも強く出てきて仕事にも支障をきたしていた。症状がひどく出るとマッサージなどに通って痛みをとっていたが、2~3日するとまた症状が戻るという状態を繰り返していた。
当院にご来院される2か月程前から目の奥に急激な痛みを感じるようになり、病院で検査を受けるも原因はわからなかった。

当院の治療
目の症状の他にも首こり・手の痺れも感じることがあったとのこと。目の周りの施術の他にも首肩の筋緊張をほぐす施術をしっかり行っていきました。また、天気が悪くなるとめまいや軽い動悸を感じることもあり、自律神経の乱れも考えられるので測定器で検査してから施術に入りました。

◇1回目◇
治療後、首肩がすっきりしていつもより深い睡眠がとれたような気がしたとのこと

◇2回目◇
以前は仕事をしていない時でも体に力が入って目が疲れていると感じることがあったが、最近はそれがなく仕事をしていないと目の疲れを感じにくくなった。仕事中は依然として疲れる

◇3回目◇
目の動かしづらさがとれてきて目が動かしやすくなってきた

◇4~6回目◇
全体的には身体の調子が良くなっている気がするが、そこまで変化が見られなかったとのこと

◇7回目◇
仕事で長い時間パソコン画面を見ていて疲れを感じにくくなった。目の奥の痛みもあまり感じなくなったが、たまに仕事中に痛くなる時あり

◇8回目◇
出張で治療間隔が少し空いた。目・首肩の症状は当院に来る前より断然良いとのことだが、少し戻ってしまった感じとのこと

◇9回目◇
前回の久しぶりの治療でだいぶ症状がよくなったとのこと。目の疲れ・痛み・首肩こりをあまり感じなくなったとのこと

◇10回目以降◇
少しずつ治療間隔を延ばしながら、身体のメンテナンスを含め施術している

 

症例③
20代女性
IT関係の仕事についてパソコンを見て仕事をする時間が増えてきた。以前よりスマホやパソコンの画面を見る機会は比較的多かったが、就職するとみる時間が倍以上となり、目の疲れを感じるようになってきた。就職して3年ほど経って視力の低下に気づいた。以前は視力左右とも1.2。急激に視力が低下したと感じて眼鏡を作ろうと眼鏡屋にいって視力を測ったところ0.7までに低下していた。常に眼鏡はかけず、車の運転などで眼鏡をかけていたところ、さらに目の疲れを感じるようになってしまった。
目の疲れがひどいときは、首肩こり・頭痛を感じて画面を見るのも次第につらくなっていった。簡易マッサージなどで何とか過ごしていたが我慢できなくなり、当院にご来院された。

治療
触診の結果、頸肩の筋緊張が強く、自律神経測定器の結果もよくありませんでした。全体の調子も整えつつ、頸肩と目の周りを中心に施術していきました。

◇1回目◇
施術後、体の疲れがどっと出てきた感じで帰ったら深い睡眠がとれた。目の調子も少し良い感じ

◇2回目◇
施術後は頸肩の調子が改善。しかし2~3日すると調子が戻ってしまう

◇3回目◇
以前は1時間もするとパソコン画面を見ているとつらくなってきていたが、1時間経ってもつらくならくなってきた

◇4回目◇
視界がくっきりとして普段あまり眼鏡をかけなくてもよくなってきた。

◇5回目◇
仕事後は少し首肩こりや目の疲れを感じるが仕事中は全く感じなくなった。

 

症例③
30代男性
二年ほど前から急に目の疲れやショボショボ感を感じるようになった。市販の目薬をさしていたが、なかなか改善されずに過ごしていた。仕事でパソコンを5~6時間ほど使うが、20代の頃もそれ以上に目を酷使していたように思うが、30歳後半となると目の疲れや身体の疲れが取れにくくなったように感じたとのこと。
最近はまぶたも重たくなってきているように感じて目の疲れが酷い時は目を閉じている方が楽に感じる。首肩こりの症状も出てきて、パソコン作業を30分ほどしているとすぐにつらくなってくる。睡眠は良好。運動習慣も週に2~3回程はランニングをしている。

治療
◇1回目◇
目のショボショボ感は少し楽になったとの事。夕方になると目の疲れや身体の疲れは感じやすい

◇2回目◇
目の疲れやショボショボ感はつらい時の半分ほどに軽減。

◇3回目◇
パソコン作業を1時間ほぼしていても首肩こり・目のつらさは感じなくなってきた。

◇4回目◇
仕事の終わりごろでもまぶたの重たさを感じない。目が開きやすくなった

◇5回目以降◇
3~4週間に1回のペースで来院。仕事をしているとどうしても目の疲れや首肩こりを感じるのでその緩和のために施術を受けられている。

 

 

目のアンチエイジング

パソコンやスマホなど目を酷使する機会の多い現代では、目の血流低下や筋肉の疲労により目の老化現象が起きやすくなっています。また目の疲労眼精疲労は、目の老化現象である白内障や緑内障、飛蚊症などにかかりすくなってしまいます。

目の使い過ぎによりカメラのレンズの役割のある水晶体の弾力性が失われたり、水晶体の厚さを調節する毛様体筋の疲労がおこってしまいます。するとピントを合わることに時間がかかったり、近くのものにピントを合わすことができなくなる老眼現象へとつながってしまうのです。

まずは、目のアンチエイジングとしてこの毛様体筋の疲労をとること・水晶体の弾力性を保つことが重要となってきます。
近くの物を見続けていると毛様体筋は緊張しっぱなしの状態となり疲労していきます。パソコン作業の合間に遠くに視点を合わせることで毛様体筋の緊張をとってあげることも重要です。
また、10分間ほどのまとまった休憩を取り下記のようなトレーニングを行ってみてください。

 

 

  •  1.ピント遠近トレーニング
    近くの物を見た状態が続いてしまうと毛様体筋が常に緊張した状態が続いてしまいます。遠くを見るようにして緊張した状態の毛様体筋を弛緩させることで疲労をとります。腕を前に伸ばし、目線の高さまで約30cm程の位置に親指をたてます。次に動かない目標物をで2~3m先に目標物を定めます。そして親指と動かない2~3m先の目標物を交互にみてピントを合わせることを30回繰り返します。このトレーニングの際は、特に速さは求めません。正確に確実に親指と目標物にピントを合わせるようにしてください。
  • 2.ピント前後左右トレーニング
    自分の2~3m前後左右それぞれに目標物を定め、上から時計回りにをそれぞれ5秒ずつ目いっぱい見ます。それを、3セット繰り返します。外眼筋や目の周りの表情筋などの運動になります。
  • 3.目の閉眼トレーニング
    目をギュッと閉じて次に大きく開きます。これも5秒ずつ3セット繰り返します。目を開ける上眼瞼挙筋や目を閉じる眼輪筋の運動になります。パソコンなど近くのものを注視して作業していた場合は、ちゃんと一時間ごとに目の休息をとり、1~3の運動を順に行いましょう。

 

目の老化を防ぐ生活習慣

  • 1. バランスの良い食事
    紫外線などを受けて発生してしまった活性酸素は、目の場合緑内障や飛蚊症となる危険性もあります。それらの疾患は、目を見えづらくするばかりではなく、眼精疲労にもつながります。
    活性酸素による細胞の酸化を防ぐ食事を心がけましょう。緑黄色野菜やトマトやイチゴなどをバランスよくとりましょう。またカシスやブルーベリーに含まれるアントシアニンは目の酸化を防ぐと言われていますので、積極的に摂ってください。
    その他、疲れ目には古くからホタテガイが効果があるとされ漢方では扇貝と言われ利用されています。漢方では、消化を促す作用やのどの渇きをおさえて各臓器の機能を回復させるなどの作用があると言われています。特に目と深い関係があるとされる五臓六腑の肝の肝陽が上がって目の異常が出てしまう状態に効果があるとされ、疲れ目や視力の回復にも作用があります。現代医学の研究でもホタテガイに多く含まれているタウリンの働きによって目の機能を回復させるという研究結果があります。タウリンは胃腸にやさしいとされ、悪玉コレステロールを下げながら、善玉コレステロールのレベルを維持する働きがあったり、動脈硬化を予防する働きもあると言われています。食物繊維は、タウリンの働きを助ける効果があるためホタテガイと一緒に食物繊維の多い大根やレンコン、ニンジンなどと摂取すると良いです。その他、ホタテガイには嗅覚障害を回復させる亜鉛や糖質や脂質の代謝に関与するビタミンB2などを豊富に含みます。亜鉛が不足してしまうと嗅覚障害や免疫力の低下、うつ状態へとなりやすいとされ、それらの状態にある場合にもホタテガイは非常に有効な食べ物でもあります。

 

 

  • 2. タバコは吸わない。
    タバコを吸うと体に良くないということは周知の事実ですが、タバコは目にとってもよくありません。喫煙は、目を含む全身の細胞の酸化につながり、抗酸化作用のある体内のビタミンCも大量に消費してしまいます。
    また、血管を収縮させて全身の血流量の低下にもつながります。

 

 

  • 3.目薬に頼りすぎない
    目に異物が入った時などたまに目薬を使用することは問題ありませんが、点眼が習慣化してしまうと体外からの細菌などの侵入物を撃退する力が弱まってしまいます。細菌への防御反応が低下して細菌が繁殖しやすくなってしまいます。またドライアイなどの方で涙の成分が入っている目薬を多用されている方も注意が必要です。習慣化してしまうと目が本来持っている涙を作るという機能も低下してしまいさらにドライアイが進んでしまう可能性もあります。

 

患者さんからよくある質問

Q.目に鍼を刺すのですか?

A.
眼球自体に鍼を刺すことはしません。また眼窩内に鍼を刺入する方法もありますが、眼球を傷つけて炎症を起こす危険性もあるので当院では行っておりません。しかし、目の周りに鍼灸施術を行うことにより眼窩内の施術と同じような効果が得られます。

Q.コンタクトはつけたままで大丈夫ですか?

A.
眼球自体には鍼を刺入することはありませんのでコンタクトレンズをつけたままでも大丈夫です。まぶたを閉じたままでまぶたの上から温めるお灸をすることもありますが、強く抑えたりすることもありません。

Q.治療の頻度はどれくらいですか?

A.
症状の強さや患っている期間によってもかわってきます。基本的に3か月以上の慢性的な症状となってしまっている場合には治療期間も長くなり、1週間に1度程度の治療間隔をお勧めしています。逆にここ1,2週間の目の疲れなどの場合は2~3回程度の治療を3~4日おきの頻度で治療させていただくことをお勧めしています。

Q.効果はどれくらい見込めますか?

A.
個人差があります。2,3回程度の治療でパソコンなどのデスクワークで目が疲れなくなったという方や2か月の治療でようやく効果が見られるようになってきたという方もいらっしゃいます。日常生活での行動も大切になってきます。目を休めずに酷使ばかりしているとやはり目は疲れてきてしまいます。治療と並行して上記の生活上での注意点を実践してください。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 15:30 / 院長コラム 眼精疲労の鍼灸治療 への9件のコメント

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