足関節は脛骨、腓骨、距骨から構成されており、足関節を安定化させる靱帯として、内側の三角靱帯、外側の前距骨靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯、脛腓靱帯などがあります。
・足関節捻挫
捻挫とは関節にかかる外力によって、関節を支持している靱帯や関節包が損傷することです。靭帯の損傷程度によって捻挫の程度を三つに分けられており、靭帯が伸びる程度の損傷を1度捻挫、靭帯の一部が切れるものを2度捻挫、靭帯が完全に切れるものを3度捻挫と定義しています。
内反捻挫
足関節の捻挫の約85%は足首を内側に捻ることで生じるといわれています。
足首の外側には前距腓靭帯、後距腓靭帯、踵腓靭帯、三角靭帯の四つの靭帯が付いており、前距腓靭帯の損傷が最も多く、外くるぶしの前に痛みが起こりやすいといわれています。
外反捻挫
足首を外側へ捻る捻挫で、こちらはなかなか日常生活では起こりにくいですが、サッカーなどのスポーツで多く見られます。他にもテニスやラグビー、野球でも発生しやすいです。損傷部位として内くるぶしの下方(三角靱帯)、外くるぶしの上方(脛腓靱帯結合)が挙げられます。
・捻挫の後遺症
足関節捻挫の約20%~40%に痛みが残るという報告もあり、痛みの原因として足関節前方インピンジメント症候群、距骨骨軟骨損傷などが挙げられます。
①足関節前方インピンジメント症候群
足関節の外側靭帯が緩んだ状態で癒合すると、足関節に回旋方向、前後方向時の不安定性を生じるようになり、その影響により足関節の前方で、前下脛腓靱帯や滑膜組織などが引っかかるようになり痛みを起こします。
②距骨骨軟骨損傷
捻挫など強い外力が加わったときに、距骨が脛骨や腓骨の関節面と衝突することで骨軟骨損傷が生じると考えられています。しかし、明らかな怪我がなくても毎日繰り返される運動の中で徐々に発生する場合もあります。足関節を捻挫した際に同時に発生していることが多く、捻挫による痛みが軽快した後も長期にわたって痛みが続きます。通常は運動後に足関節に痛みや腫れを訴えます。
・変形性足関節症
足関節の軟骨が損傷して炎症が起こり痛みを生じる病気です。高齢の女性に多いといわれています。
足関節は複数の靭帯で守られていますが、捻挫を繰り返したり、骨折をすると足首の靭帯が緩んで関節が不安定になります。加齢により軟骨が退行性変性を起こして弾力性が失われることや、先天性内反尖足や先天性偏平足などのアライメント不良(骨格や骨の並びが崩れた状態)や距骨滑車の剥離性軟骨症、関節リウマチ、血友病などによる関節の破壊が要因となります。
また、O脚の人は体重が足首の内側にかかることで、内側の軟骨を傷めやすくなるといわれています。
・痛風、偽痛風
関節内に結晶ができることで関節に腫れや痛みを引き起こす病気です。痛風は尿酸、偽痛風はピロリン酸が結晶になり関節に溜まり痛みを引き起こす原因になります。
痛風は足の親指の付け根や足首やくるぶしの周りに多く、偽痛風は足首、膝、手首、肘に起こりやすいといわれています。
・偏平足
足の骨をアーチ状に吊り上げる筋肉(後脛骨筋)や腱が年齢とともに脆弱化(ぜいじゃくか)したり、体重がかかり過ぎたりして足のアーチが保持できなくなることで、内側のくるぶしの痛みや腫れを引き起こしたり歩きにくくなる場合があります。
・アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎
スポーツ等による慢性的な刺激や不適切な靴等により踵骨の後ろにあるアキレス腱やその周囲に炎症が生じる病気です。歩行時、運動時にアキレス腱付着部周囲に痛みを訴え、同部位に強い圧痛を認めます。
・足根管症候群
踵と足の裏に通っている神経の圧迫や損傷により、足首やつま先に痛みや痺れが起こる病気です。歩行や運動時の痛みが主ですが入浴時、夜間などにも痛みや痺れが出ることもあります。
・腓骨筋腱脱臼
腓骨筋という足の筋肉を繋ぐ腱がずれ、外くるぶしの上に脱臼してしまうことがあります。テニスやサッカーなどのスポーツで起こりやすく運動時(歩行時、左右への切り替えし時)の後足部外側の痛みや外くるぶし後方に腱の脱臼感や不安定感が出現し、脱臼が慢性化すると外くるぶし後方に沿った腫れを認めるようになります。
・関節リウマチ
免疫の異常により体の様々な関節に炎症を起こし、悪化すると関節の変形や破壊を起こす病気で、足の外反母趾のような変形をきたしたり変形性関節症が生じる場合があります。
症状により検査方法は異なりますが問診、徒手検査法、血液検査、超音波検査、X線、CT、MRIなどの画像検査等を必要に応じて行い診断されます。治療方法として一般的に大きく分けて保存療法、手術療法があります。
・保存療法
①薬物療法(消炎鎮痛剤、ビタミンB剤、ステロイドなどの内服薬、湿布、塗り薬など)
②神経ブロック療法(神経節への局所麻酔、関節内注射など)
③手技療法
④物理療法(干渉波、ホットパック、超音波など)
⑤装具療法(ギブス固定、足底板、サポーター等)
・手術療法
保存療法で痛みのコントロールが難しい場合、変形が進行したり、関節軟骨の損傷が激しく保存療法が効果がみられない場合などは手術療法が選択される場合もあります。手術方法は年齢、活動性などにより患者と相談し決定していきます。
人工足関節置換術、骨切り術や関節固定、足関節の靱帯再建など症状に合わせた様々な手術が選択されます。
関節の痛みを中医学では「痺証」として捉え、風、寒、湿、熱などの外邪の侵入が経絡の流れを停滞させることが原因と考えられています。
気滞、瘀血などにより気や血の流れが滞ることで痛みの原因となるとも考えられています。
つまり外邪の侵入や気血の滞りが足首で起こると足首の痛みとして現れると考えられているのです。
足首に対する鍼灸治療は、足首やその周囲に鍼を刺すことで鍼治療効果の一つの鎮痛効果を目的に施術を行っていきます。また、お灸には抗炎症効果もあるため炎症が出ている場合は炎症部位に直接お灸施術を行っていきます。
その他、足首の痛みが出ている場合脛部分の筋緊張も強くみられることが多いためその部分にも筋緊張緩和のために施術を行っていきます。
また、東洋医学的観点より気血の滞りが痛みに影響を与えるため気血の流れをよくする全身のツボにも施術を行います。
趣味で登山をしていたところ下山中に段差で踏み外して足首を捻ってしまい足首の外側が痛みが出て腫れも少し出てしまっていた。
整形外科を受診したところ足首外側の人体を軽度損傷した捻挫と診断されて湿布薬を処方されて安静にと指導されたとのこと。
出来るだけ早く治したいとのことで湿布以外の治療はないかと思い鍼灸治療を試してみたいとのことで当院にご来院されました。
治療
まだ腫れている状態でしたので腫れている部分の周囲に鍼を刺して鍼通電療法を施すことで痛みを抑制して周りの血液循環を早く排出させて上げることで治癒の速度を上げる処置を行っていきました。
その他前脛骨筋や腓腹筋などの下腿の筋肉にも筋緊張状態も見られましたのでそれらの筋肉にもアプローチをかけていきました。鍼灸治療後、軽いテーピングで足首への負担を軽減する処置を行いました。
日常的にはアイシングを行っていただくようにしていただきました。
受傷後、1週間ほどで腫れは解消されて歩行時に少し痛みが出る程度に回復、さらに治療を続けて3週間後には軽くランニングを行えるまでに回復しました。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 20:40 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)