睡眠障害の鍼治療

睡眠障害の鍼治療

 

当院では、睡眠障害に関しまして自律神経の乱れが深く関係していると考えております。そのため、初診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定したうえで鍼灸治療していきます。そしてその方々に合わせた治療を行い、自律神経の状態を整えていきます。また睡眠障害で即効性のあるツボ「失眠」や腎経のツボなどを用いて症状の改善をはかっていきます。

睡眠障害の鍼治療

 

失眠へのお灸治療

失眠ツボへのお灸

 

睡眠障害とは

睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題がある状態をいいます。睡眠障害はただ単に夜眠れないというばかりではなく、日中の耐えられない眠気途中で目覚めてしまう中途覚醒寝つきが悪い入眠障害などがあります。
また、こむら返りや最近知られるようになってきたむずむず脚症候群、睡眠中に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群などの睡眠関連障害も問題視されるようになってきました。

日本で成人を対象として行われた「睡眠障害に関する疫学調査」では、不眠を訴える人が21.4%、日中の眠気で悩んでいる人が14.9%もいました。
睡眠障害による重大な交通事故や労働生産性の低下は、莫大な経済的損失を生みだしており、睡眠障害への理解や治療は年々重要性が増してきているのです。

 

 

<睡眠障害と交通事故>
自動車設備の発展に伴い交通事故による死者は減ってきてはいるのですが、今だに交通事故自体はとても多いです。その中で、居眠り運転によるものと明らかに特定できる事故は全体の3%程度ですが、眠気による反応の遅れや運転ミスを加えるとさらに増えることが予想されます。

現在は、飲酒運転の罰則が厳しくされ、飲酒運転の危険性が知られるようになりましたが、飲酒運転と同じくらいに睡眠不足による運転は危険性が高いのです。睡眠制限した人とアルコール摂取した人との実験では、通常8時間睡眠をとっている人がたった2時間睡眠を削っただけでほろ酔い状態のアルコールを摂取した人と同じ眠気が起こることがわかりました。
飲酒運転は、厳しく取り締まる必要がありますが、睡眠不足での運転も同じように危険であるわけですから取り締まる必要があるともいえます。

 

 

<睡眠障害による日本経済の損失>
日本大学精神科の内山教授は、日本での睡眠障害による経済的損失を推計しています。その推計のよると眠気が原因の作業効率低下が3兆665億円と最も多く、次いで眠気による交通事故が2413億円、欠勤731億円、遅刻810億円、早退75億円と試算され、合計すると年間3兆4694億円にも達すると考えられます。これは、国内総生産(GDP)の0.7%が失われたこととなります。
莫大な金額ですよね。睡眠障害を一人一人理解し、症状が重くなる前に予防・治療していくことは日本経済を活性化させる重要なファクターとも言えるのです。
また睡眠障害は、昇進の機会を失ったり、減給の対象となる可能性が高く、働く人個人個人から見ても大きな損失を受けかねません。

 

 

 

 

睡眠障害の分類

現在、標準的な睡眠障害の分類として用いられている「睡眠障害国際分類」というものがあり、「不眠症」のほか「過眠症」や「睡眠関連呼吸障害」「睡眠関連運動障害」など様々な睡眠障害に分類されています。

 

<不眠症>
眠れない期間が1週間以内の不眠を一過性不眠と呼びます。この状態ではまだ病気とはいい切れず、睡眠環境を整えれば再び十分に睡眠をとれるようになります。
重症なのが3週間を超える慢性不眠症です。睡眠時間の適正は、人それぞれで5時間のみで足りる人もいれば8時間眠らないといけない人もいます。夜眠れないことも問題ですが、本来活動的である昼間の時間帯に眠気を感じて日常生活に支障をきたすことが問題であり、どれかが一つの指標となります。

 

 

<過眠症>
過眠症の代表と知られているものとしてナルコレプシーがあります。ナルコレプシーは日本人に比較的多く1万人に16人~18人の割合で発症しているといわれており、欧米と比較しても8倍ほど割合が高いです。
ナルコレプシーの症状は、危険な作業や大事な会議など緊張感を要する通常眠気を感じない場面でも眠気を感じ、突然眠り込んでしまいます。また寝つく時に幻覚を見たり、金縛りが起きて中途覚醒してしまいます。通常は、90~120分してから現れるレム睡眠が寝ついてすぐ起き、体は休んでいますが脳は活動した状態であるため、脳が起きても体は動かせない金縛り状態を感じる場合があるのです。

 

 

<睡眠不足症候群>
慢性的に睡眠が不足しているのにかかわらずに本人が気づいておらず、およそ3カ月以上も昼間の深刻な眠気寝つきの悪さに悩んでいることが特徴的です。
睡眠不足のために脳活動の低下がみられ、強い疲労感倦怠感・意欲の低下・記憶力の低下・注意力散漫などによる仕事上のミスなどが目立つようになります。

 

 

<睡眠相後退症候群>
明け方にならないと眠りにつけず、朝は目覚まし時計pをかけても起きられない、起きるといつも昼過ぎという生活を長い休みの間に続けてしまい、休みが終わってももとの睡眠パターンに戻れない症状を睡眠相後退症候群と呼びます。
休み明けの出社や恋人とのデートがある時でも本人の強い意志にもかかわらず、朝起きられず自信をなくし、うつ状態になる場合もあります。
無理して早くに起きると頭痛頭重感疲労感食欲の減退などの症状が現れます。こういった症状が続くと重症な精神疾患に発展する場合も少なくありません。

 

 

<睡眠相前進症候群>
睡眠の時間帯が早い時刻に固定されてしまい極端な早寝早起きが1週間以上続くことを睡眠相前進症候群といいます
睡眠相前進症候群は子供や若い人に少なく、年齢を重ねるごとに頻度が増えて高齢者に多い睡眠障害の一つです。高齢の方には午後8時には寝ついてしまい、朝3時頃に目覚めてしまうという方も多いのではないでしょうか。夕方の強い眠気や早朝覚醒は、他人が考える以上に強い精神的ストレスを抱えます。

 

 

<こむら返り>
こむら返りとは、夜中寝ている最中、主にふくらはぎがつってしまう事で痛さにより目が覚めてしまい、それが連続すると睡眠不足となってしまうことが多いです。筋肉のつりは、数秒~数分間続いて大抵消失しますがその後痛みや不快感・疲労感が残ることがあり、睡眠の妨げになります。
年を重ねるごとにこむら返ることが多くなり、60歳以上では6%もの方が毎晩経験しているとも言われています。妊婦の方にも多く発症し、40%の方がこむら返りを経験し、ほとんどの方が出産後は軽快しています。
こむら返りの後の痛みは主に筋肉に老廃物が溜まっていたり、血流が悪くなっていることが原因ですが、こむら返りを起こす原因として糖尿病肝臓疾患内分泌障害などが知られており、病気の重要なサインの場合があるので注意が必要です。
こむら返りの鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

 

<むずむず脚症候群>
むずむず脚症候群とは、あまり普段耳にしない言葉ですが、最近は増えている睡眠障害の一つで夕方から夜にかけて脚がむずむずして眠れないというのが特徴です。
日中でも症状を感じますが、特に夜寝床に入った時にふくらはぎや足の裏・甲に不快感や痛みなどの異常感覚を感じます。異常感覚のために足を動かしており、本人が気付かない場合も多いです。
脳の中のドーパミンがうまく造ることができないのが原因ではないかと言われており、鉄欠乏性貧血糖尿病慢性腎不全パーキンソン病関節リウマチ下肢静脈瘤高コレステロール血症などが原因疾患として知られています。

 

症例

 

40代 男性

 

一日中パソコン作業のお仕事を長年続けていて、約5年前から不眠の症状に苦しんでいる。その後から徐々に多汗やめまい、耳鳴りという自律神経症状が出始めた。

仕事での強い精神的ストレスや疲労感があり、不眠症を発症した頃はほとんど休みがない状態だった。

日中の眠気も強く、仕事に集中できない。一日の睡眠時間は3~6時間と安定していない。

 

 

当院での治療

 

自律神経測定器で測定した結果、交感神経の過剰な働きがみられ、リラックス神経の副交感神経はあまり働いていない状態でした。

そのため、まずは自律神経調節治療を行い精神面での異常な高ぶりを抑えるために副交感神経を高める施術を行いました。

次に触診で首や肩、肩甲骨周りの硬さが異常に強かったため、それらの筋肉のツボにも鍼をうち緊張の緩和を目的とした施術を行いました。首肩や肩甲骨周りの緊張は深い呼吸が

困難になり副交感神経の働きを低下させる原因にもなります。

また、その他にも腎のツボや、安眠穴に鍼やお灸で刺激をしていきました。

 

 

 

1回目

あまり変化は見られない。

 

2回目

まだ寝つきが悪いが、施術後は何となく体がリラックスできている。

 

3回目

施術した当日、久しぶりに7時間以上熟睡できた。

 

4回目

最近寝つきが良くなっている。

 

5回目

仕事が忙しくなり寝つきが悪い時もあるが、途中で目が覚めることも減ってきた。

 

6回目

週の3~4日は6時間寝れるようになってきた。

 

7回目~9回目

仕事で忙しい時以外は6時間~7時間寝れるようになり。疲れも残りにくい。

日中の眠気も減ってきた。

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:30 / 院長コラム 睡眠障害の鍼治療 への10件のコメント

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