後鼻漏(こうびろう)のはり治療

【後鼻漏】

後鼻漏とは、鼻の奥の粘膜から分泌された粘液が、鼻の奥や喉の方に流れてしまい、鼻水や咳、痰の原因となる症状のことを指します。一般的にはアレルギーや鼻炎、副鼻腔炎、鼻ポリープなどが原因となるケースが多いです。

吐き気

【鼻水の役割】

鼻水の役割には主に「温湿化」「粘着作用」「防御機能」の3つがあります。

 

◯温湿化: 鼻水は鼻腔の粘膜上にある微小な毛状構造である繊毛によって運ばれます。この過程で、鼻水は鼻腔内の空気を加湿し、温める役割を果たします。これにより、呼吸する空気は体内に適切な湿度と温度で入ってきます。

 

◯粘着作用: 鼻水は微粒子や異物をキャッチし、粘着作用によって鼻腔内に捕らえます。これにより、鼻腔内の異物や細菌が呼吸器系に入り込むのを防ぎます。鼻水はまた、ウイルスや細菌などの病原体を排除するための防御メカニズムとしても機能します。

 

◯防御機能:鼻水には抗体や酵素が含まれており、これらは呼吸器系の感染症に対する防御機能を持っています。鼻水は病原体を中和し、排除するための役割を果たします。

 

後鼻漏の原因

先天的に後鼻漏になりやすい鼻の構造を持つ方もいますが、多くは鼻の中で起きている炎症により粘液が分泌されて起こります。

 

◯鼻の解剖学的な異常:鼻腔や副鼻腔の形態や機能の変化が後鼻漏を引き起こすことがあります。例えば、鼻中隔(鼻の仕切り)の偏位、鼻腔や副鼻腔のポリープ、鼻腔の狭窄などが原因となることがあります。

 

◯アレルギー性鼻炎:アレルギー反応による鼻粘膜の炎症が後鼻漏を引き起こすことがあります。アレルギー性鼻炎では、鼻腔の粘膜が腫れて鼻水や粘液の産生が増え、これが後鼻漏となることがあります。

 

◯副鼻腔炎(ふくびくうえん):鼻や副鼻腔の慢性的な炎症や感染が後鼻漏の原因となることがあります。鼻や副鼻腔の炎症によって鼻腔内の分泌物が増え、これが後鼻漏となることがあります。

 

◯上気道逆流(じょうきどうぎゃくりゅう):喉から胃への逆流(逆流性食道炎)が後鼻漏を引き起こすことがあります。胃酸や消化液が喉を通って鼻腔に逆流すると、後鼻漏の原因となることがあります。

 

◯上咽頭炎(じょういんとうえん):上咽頭(のどの奥の部分)の炎症を指す医学的な用語です。主な原因はウイルス感染や細菌感染で、炎症が上方に上がってくると鼻腔内の分泌物が増え後鼻漏の原因となることがあります。

 

後鼻漏の症状

◯喉の奥からの鼻水感:後鼻漏の典型的な症状として、喉の奥から鼻水や粘液が感じられることがあります。この感覚は、鼻の奥から鼻水が逆流しているために生じます。

 

◯喉の痛みや違和感:鼻水や粘液の逆流によって、喉の奥が刺激を受けるため、喉の痛みや違和感を感じることがあります。

 

◯咳:後鼻漏が喉に流れ込むことにより、咳が引き起こされることがあります。特に寝ている間や寝起きのときに咳が増えることが多いです。

 

◯口臭: 鼻水や粘液が喉に逆流することで、口臭が発生することがあります。これは鼻腔内の細菌や分泌物が喉に移動することによるものです。

 

◯味覚の変化: 後鼻漏が口腔内に逆流することにより、味覚の変化を感じることがあります。特に鼻水や粘液の味が口内に広がることがあります。

 

副交感神経が優位になることで鼻腔内の分泌液が増えます。そのため、寝る前・朝起きた時・リラックスしたい時ほど、咳や喉の異物感が増します。

 

また。症状が悪化すると、食べ物が美味しく感じなくなり食事が楽しくなくなる方や、口臭に悩む方もいます。

 

【後鼻漏の東洋医学的な考え】

洋医学で、主な後鼻漏の原因は「肺・脾の弱まり」と考えられます。

肺とは、呼吸器系の機能と体表面の分泌液(汗や鼻水)を司っている機能の事です。

また、脾は、身体の水分の運搬に関わっており、肺の機能を強めてくれる能力もあります。

これらの機能が弱くなることで後鼻漏の症状が見られやすくなります。

他にも以下の原因が考えられます。

 

気の滞りと湿邪:後鼻漏は体内の気の滞りや湿邪(湿気の異常な状態)によって引き起こされると考えられています。気の滞りは通常、ストレスや情緒的な要因、不規則な食事や生活習慣などによって引き起こされるとされています。湿邪は、外部からの湿気や内部の消化不良などによって体内に留まる湿気の状態を指します。

 

脾胃の不調:後鼻漏は脾胃の不調によるものとも考えられます。脾胃は消化・吸収の働きを担っており、消化不良や脾胃の弱さが湿邪の蓄積を引き起こし、後鼻漏を発生させる可能性があります。

 

気血の循環の乱れ:後鼻漏は気血の循環の乱れによるものとも考えられます。気血のスムーズな流れが阻害されると、鼻腔内の湿気や粘液が滞り、後鼻漏の症状が現れるとされています。

 

【後鼻漏のセルフケア】

ご自身でケアする際は、局所的(喉と鼻)と全身的があります。

 

◯喉と鼻のケア

・喉の保湿:喉の乾燥を防ぐために、こまめに水分を摂ることが重要です。水を十分に飲んだり、加湿器を使ったりして喉の乾燥を防ぎましょう。

 

・喉のうがい:温かい塩水やうがい薬を使って、喉をうがいすることで、鼻水や粘液を洗い流すことができます。

 

・鼻腔の洗浄:鼻腔洗浄(ネットポットや洗浄器具を使用)を行うことで、鼻腔内の余分な鼻水や粘液を除去することができます。

 

◯全身

・呼吸器機能の向上:持続的なランニング、階段昇降、胸郭のストレッチ。日常生活より負荷の高い運動を行いましょう。

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 14:47 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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