老人性白内障の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されています。
当院の白内障に対する施術は、眼の周辺の経穴にハリやお灸をすることにより、眼の血行状態を良くして視機能の回復を促します。当院では、初期の老化による白内障・紫外線の活性酸素増加に伴う白内障を施術対象と考えております。目の周囲の血流改善により老化を防ぎ、活性酸素を排出することで白内障を予防する効果が期待できます。
また白内障は五臓六腑の「肝」と「腎」に深く関係しているので肝や腎に関する経穴を用いて「肝血」や「腎精」を補うことや肝気の巡りをよくします。
目の老化が原因で白内障が発生している場合、目ばかりでなく体全体が老化しています。当院では、東洋医学の診断法に基づき診断して、東洋医学の特徴である全身を診て調整施術致します。そうすることで、目ばかりでなく体の老化予防や体調改善に繋がります。
白内障の手術は、日帰りの手軽にできる手術の場合が多く、視力回復が期待できます。しかし、はり灸施術でも病状の初期や予防には対応できますのでぜひ一度ご相談ください。
中医学では五臓六腑の肝は眼に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能の障害が深く影響していると考えられていてその中でも「肝血」が不足した状態に陥ると視覚の異常や運動系の異常などがみられます。
また中医学では肝と腎は同じ源にあるといわれており、「肝血」と「腎精」は互いに補い合っています。加齢により「腎精」が減少した状態だと「肝血」にも影響を与えると考えられます。それは白内障を引き起こす原因にもなります。
白内障はさまざまな原因で眼の水晶体という部分が濁る病気です。昔から俗に「しろそこひ」と呼ばれています。私たちが眼で見ている映像は、外から入ってきた光が角膜・水晶体や硝子体を通り抜けて網膜で集められた映像が電気信号に変わり視神経から脳へと伝えられ、はじめて物として見ることができるのです。
また物を見るために対象物にピントをあわせているのが毛様体です。毛様体には毛様体筋があって、この働きにより遠くの物を見るときには水晶体が薄くなり、近くの物を見るときは水晶体が厚くなります。その水晶体が様々な原因で濁って様々な症状の原因となります。
症状として
ⅰ)目がかすむ
一番多い症状で、ひどくなると前に人がいるのがわからなくなるまで進行します。
ⅱ)明るいところで眩しく感じる
光のあたる明るい場所に出るとまぶしくつらさを感じます。
ⅲ)物がだぶって見える
片目で見ていて、二重三重に物がだぶって見えます。(複視)
ⅳ)視力が低下する
細かい字が読みにくくなって老眼と間違えやすいが、白内障の場合は老眼鏡をかけてもよく見えません。
ⅵ)近くが一時的に見えやすくなる
中心部の濁りが強くなることで近くが見えるようになるために老眼が一時的に良くなったように思われがちだが、やがて全体が見えにくくなります。
白内障の発症は45歳以上の中年世代に多く、年齢を重なるにつれて発症しやすくなります。また80歳以上の高齢者はほとんどなんらかの原因により白内障の症状を引き起こしています。進行の速さには個人差があって、目が見えづらくなるといった症状に至るとは限りません。
白内障は老人性白内障・糖尿病による白内障・アトピー性皮膚炎による白内障・先天性白内障・紫外線や赤外線による白内障・薬の副作用による白内障などがあります。
ⅰ)老人性白内障
白内障でもっとも多い原因が加齢によるものです。年を取れば誰しも体力が落ちて身体機能が低下し、病気になりやすくなります。それと同じように白内障も眼の機能が低下して水晶体がだんだんと濁ってきます。進行のスピードは人それぞれですが、10年、20年かけてゆっくり進行していきます。
ⅱ)糖尿病による白内障
高血糖が長く続くことにより水晶体の成分に変化が起こって白内障が発症することがあります。早い人では30~40歳代から発症してたちまち進行していきます。また糖尿病による白内障の場合、白内障手術後に網膜剥離や緑内障を発症する可能性が高くなると言われています。
ⅲ)アトピー性皮膚炎による白内障
アトピー性皮膚炎の場合に眼瞼皮膚炎や顔に強い湿疹がある人は白内障になる可能性が高いと言われています。かゆみにより眼部をたたくことで白内障を発症する外傷説やステロイド投与による副作用だと考えられています。
ⅳ)先天性白内障
先天性白内障は遺伝であったり母親の胎内で風疹に感染したりすることで、先天的に白内障をもって生まれてきます。
ⅴ)紫外線や赤外線による白内障
活性酸素は本来、体の中の病原菌などを退治してくれる強い味方ですが、それが増え過ぎると自分の細胞までも攻撃してしまいます。外で紫外線を浴びることで活性酸素が発生して水晶体の中のたんぱく質を酸化させて白く濁らせ白内障となります。
初期の白内障は点眼薬で進行を遅らせることができる場合もありますが、濁った水晶体を戻すことはできません。進行した白内障に対しては濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを挿入する方法が一般的です。最近は手術により大多数の患者さんにとって視力を回復することができる安全な手術となりましたが、手術の合併症によって重篤な視力障害が生じる場合もあるようです。
白内障を予防するには、活性酸素を増やさないことが大事です。活性酸素は、体内に適度にあれば侵入してきた細菌などを破壊して身体を守ってくれる働きがあります。
しかし、体の中で活性酸素が増えすぎてしまうと細菌だけでなく自分の大事な細胞までも攻撃して破壊してしまうのです。また、活性酸素は身体を酸化させる(体を錆びさせる)恐れもあり、身体の老化を促進させてしまう可能性もあります。
目の観点から見ると紫外線を浴びることで眼球に活性酸素ができて、それが増えすぎてしまうと水晶体の白濁がおきてしまい白内障となってしまいます。体が健康な状態の時は、活性酸素を排除する働きで白内障になることを防ぐことができます。しかしそれらの働きが弱いと白内障となる確率が高くなります。白内障を予防するのに重要なことは食事です。
食べ物の中でも活性化酸素を防ぐ食材があり、それらの食材をバランスよくとることが重要です。
症例1
40代 女性
半年前に白内障と診断され、手術を勧められたが抵抗があるため他の治療方法はないかと探し当院を受診した。
半年前から少しずつ進行しており、不安になってきている。
症状はかすみや羞明、眼精疲労、ドライアイなどがあり、目の見えにくさから首肩コリ、頭痛が強く感じる。
仕事や人間関係のストレスから睡眠障害や不安感も見られるようになり、心療内科で神経症と診断され投薬治療を受けている。
仕事はデスクワークで1日10時間パソコンを使用し、それ以外でもスマートフォンを頻繁に見るため目はかなり酷使している様子。
当院の施術
まず、ストレスやお身体の緊張度合いから自律神経の乱れの可能性が高かったため、自律神経測定器で現在のお身体の状態を確認しました。
ストレスの度合いは非常に高く、交感神経が8、副交感神経が2という割り合いから自律神経の乱れがあることを判明しました。
まず全身の血流や自然治癒力の向上を目的に自律神経調節治療を行いました。
他に首肩の筋緊張の緩和、眼の周囲に刺鍼し低周波鍼療法で刺激していきました。
治療頻度は週に1~2回のペースで通っていただきました。
経過
1回目
初めての鍼で緊張されていたので、初回はソフトな刺激量で施術を行いました。
2回目
前回後、とてもよく眠れるようになった。
鍼も慣れてきた。
3回目
眼の状態はまだ変わりないが、肩首の緊張が緩和し、リラックスできる。
4回目
睡眠の質が向上してきた。
5回目
目の疲れやすさが以前より出にくくなってきた。
6回目
少しかすみが減少してきた。
7回目
視界が少しだけクリアになってきた。
首肩コリも緩和。
8回目
かすみが薄くなってきた。まぶしさも減少。
9回目
視界が広がり、視力が上がったように感じる。
10回目
まぶしさはほとんど気にならない。
11回目
かすみ、まぶしさともにほとんど気にならない。
現在もメンテナンスのため通院中。
症例 2
70代 女性
3年程前に白内障と診断された。視界はかすんで見えている。緑内障も患っており、点眼薬を20年ほど使用している。眼圧は安定しており視野欠損はない。白内障の手術を避けたいため、ご来院された。
施術
白内障と緑内障の進行予防のため、眼の周りのツボに鍼通電とお灸を行い、血液循環の促進を図っていきました。腎や肝を補うツボを用い、全身的な自律神経調整施術も同時に行いました。
来院頻度は1週間に1回。
一回目
初めての鍼治療のため、鍼の刺激は弱めで、置鍼とお灸で施術を行った。リラックスでき、身体や眼の周りがほぐれたように感じた。
二~十回目
眼の周りに鍼通電を行った。施術後は視界のかすみが減り、見えやすくなる。
十一~二十回目
施術を受けるようになってから、体調が良く、睡眠時間が伸びた。視界は以前よりはっきりして見えるようになった。
以降も週一回のペースでご来院中。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 15:20 / 院長コラム 白内障の鍼灸治療 への3件のコメント