肩の痛みの原因は多岐にわたります。当院では、徒手検査や問診、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握することで一人一人に合ったオーダーメイドの施術を行っております。
40代 女性
趣味がテニスで毎週週末にテニスをしていた。月一回ほどのペースで試合もあるなど痛みが少し出ても無理して続けていた。ある時、テニスの練習が終わると右肩が何となく痛みを感じた。薬局で買った湿布薬を貼って何とか対処してテニスを数回続けていたが、急に痛みが強く出てテニスをするのもつらくなってきた。その頃には湿布薬だけでは痛みが引かず整形外科を受診したところ腱板の筋肉を痛めている可能性があると言われて安静を指示された。
しかし、今度テニスの大会があり、どうしても出場したく痛みをどうにかしてほしいということで当院にご来院された。
治療
まず仰向けで右肩前面から鍼を刺してその鍼に電極をつないで電気を流して鎮痛効果を促しました。次にうつ伏せとなり左右肩後面・左右肩甲骨周囲に鍼を刺して通電していきました。最後に筋肉が硬くなっているところを軽くストレッチで伸ばしていきました。
治療経過
治療後はそこまで変化がみられなかったが次の日には肩が軽くなったと感じてテニスの試合に出場できることができたとのこと。しかし、次の日また痛みが出てしまったのではり灸施術を受けて痛みが軽減。その後もテニスを長時間すると痛みが出る時があるのでその都度施術を受けられている
症例2
40代男性
左肩の痛みで来院される。以前から左肩に違和感を感じることはあったが、これほどの痛みを感じることは初めて。
朝、起床時から急に痛み始めたとの事。左腕の挙上動作で痛みが増悪。動かさなければ痛みはない。シャツや上着の着脱が困難な状態。整形外科を受診してレントゲンをとったが特に異常は見られないとのこと。
治療方針
肩関節前面の炎症部分に消炎、鎮痛を目的とした鍼通電と灸をしていきました。また、左頚部から肩関節、上腕部に筋緊張がみられた為頚部から上腕部までマッサージと鍼と灸を用いて筋緊張を緩める治療を行っていきました。
一回目
あまり変化は見られない。
二回目
痛みはあるがゆっくりと腕を動かすことが出来るようになってきた。しかしまだ一人でシャツの着脱は難しい。
三回目
痛みが軽減してきた。腕を挙上すると痛みは出るが我慢できる程度。ゆっくりとならシャツも着脱できる。
四回目
さらに痛みが軽減してきた。最近はあまり腕に負担をかける動作は行っていないが日常動作は問題ない。
五回目
痛みを感じることは無くなり、通常通り腕を動かせるようになった。
症例3
50代 女性
半年ほど前から肩に違和感を感じるようになってきた。日常生活にはそれほど支障は起きない程度だったがここ最近は右肩から上腕の後面にかけて鋭い痛みがふい襲うことがある。五十肩のような運動制限はそれほどなく腕を上げようとすれば挙げられるし、腕を後ろにまわすこともできる。しかし、何かをとろうとした時やドアの開け閉めなど何気ない動作をした時に鋭い痛みが走ってうずくまってしまうこともある。
整形外科を受診したところ肩関節周囲の炎症と言われて注射を打たれたが、その時は調子が良くてもすぐに痛みの状態が戻ってしまう。
治療
痛みが強く出る肩後面から上腕後面には鍼通電療法を用いて、首肩には鍼とお灸で筋肉を弛緩させるような施術をしていきました。痛みで眠りが浅くなることもあるとのことで自律神経調整を行ってから首肩の場所を中心に施術していきました。
一回目
いつも方が重たい感じがあったのが1回目のの治療後は、その重さが取れていくらか楽に感じた
二回目
日中の方の痛みはそれほど変化は無いが夜は眠りやすくなったように感じて途中で起きることは無くなった。
三~五回目
痛みが半分程度にまで軽減。いつ起こるかわからない痛みの怖さが和らいできた
六回目
夜間の痛みはほぼなく、ぐっすりと眠ることが出来た。
七~九回目
日中の痛みはほぼ感じなくなり、肩や腕を楽に動かせるようになった。
症例 4
60代 男性
1週間前にゴルフをしてから右の肩の痛みが気になり始めた。
肩関節の側方外転と屈曲で痛みが発生し、可動域の低下も見られるが、肩関節の伸展では痛みが起きず、可動域の極端な低下は見られなかった。
肩関節の側方外転で三角筋中部に強い筋緊張が起こり、同部に痛みが発生する。
念のため整形外科で検査をしてみたが、特に異常が見られなかった。
ゴルフは昔から好きで、1週間に2〜3回は練習をしていて、2週間に1回はラウンドを回っている。
以前も同じような状態になったことがあり、放って置いても2、3日で全快したが、今回は長引いている。
元々全身の筋緊張が強く、特に肩こりが常に感じている。
当院の施術
まずドロップアームテスト、ペインフルアークテストなど、肩関節の徒手テスト法を行いました。
肩の筋肉の状態を見てみたところ、患部の三角筋をはじめ、僧帽筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の強い筋緊張がおきている状態でした。
患部である三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、僧帽筋の硬結部や圧痛部に刺鍼し、電気を流して筋緊張の緩和を中心とした施術を行っていきました。
1回目
痛みが軽減し、動きも少し良くなったが、まだ疼痛、可動域は完全に治ってない。
2回目
前回よりもさらに痛みが軽減した。
ゴルフのプレイ時もあまり気にならない。
3回目
痛みは少し残っている程度まで落ち着いた。
腕を動かしても違和感はない。
4回目
日常生活に支障が無い所まで改善した。
肩関節は、5つの関節から構成されています。人体の中で最も可動域の広い関節の一種で複雑な構成をしています。
肩甲上腕関節
上腕骨と肩甲骨で構成されています。狭義では肩甲上腕関節を肩関節といいます。
第二肩関節
肩峰と上腕骨で構成されています。
肩鎖関節
肩甲骨と鎖骨によって構成されています。周りの肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯によって位置を保っており、転倒などの外傷などによって脱臼や捻挫の原因となります。
胸鎖靭帯
胸骨と鎖骨で構成されています。体幹と上司を連絡する唯一の関節です。
このように肩関節は様々な骨が関節を作り構成されています。それらの関節は様々な靭帯によって繋ぎ止められています。
肩の痛みと言いまして原因は様々あります。上記のように肩関節は様々な骨や靭帯によって構成されているため、どの部分を痛めたかによって痛みの程度もかわってきます。
肩の痛みで最も注意しなければいけないのは、内臓の病変が方にあらわれる場合です。単純に肩の痛みといっても肩に異常があるばかりでなく内臓に異常がある場合があるので注意が必要です。
内臓の病変による肩の痛み
肩周囲の筋肉や靭帯が損傷を受けて痛みを引き起こしている場合はある一定の動作をして痛みが誘発される場合がほとんどです。安静にしていれば特に痛みを感じることは少ないです。しかし、特に肩を動かしていなかったり、横になって安静にしているのに痛みが誘発される場合は、肩の異常ではなく内臓の異常が方にあらわれる場合があります。
両肩の痛み
肩の痛みの他に咳や痰が続く場合は、肺に異常がある場合があります。肺の異常により呼吸を大きく吸うことができなくなり、呼吸による背部・肩部の動きが少なくなり、コリや痛みの原因となる可能性があります。
右肩の痛み
右肩から右の胸部にかけて痛みが走るまたは右手にも痺れなどの異常がみられる場合は心臓病の可能性があります。
左肩の痛み
左肩の痛みは肝臓・胆のう・胃腸が不調の原因である場合があります。
肝臓は体幹の左側に位置しており、肝がんや肝硬変など肝臓に異常がある場合は肝臓の上にある横隔膜に影響を与えて右肩の動きが悪くなるためコリや痛みの原因となります。
胆のうや胃腸に病変がある場合は肩ばかりでなく肩甲骨の間にコリや痛みが出やすくなります。
これら内臓の病変によっても肩の痛みが誘発されるため、安静にしていても肩の痛みが続く場合は一度病院で検査を受ける必要があります。
様々な原因が肩の痛みとなりますが、ここではよく見られる代表的な疾患についてご紹介させていただきます。
・変形肩関節症
変形性関節症は、骨と骨とのクッション役である軟骨がすり減ってしまい、痛みや腫れを起こす病気です。軟骨がすり減って減少することにより、骨と骨との間に摩擦が生じて骨棘という骨のとげができたりします。それらが周りの組織を刺激するため痛みを引き起こします。進行すると関節液がたまり、関節の可動域も狭くなります。変形性関節症の多くは体重等の負担がかかる膝関節や股関節に起こりますが、肩関節でも起こる場合がります。また肩関節は脱臼することが他の関節よりも多く脱臼を繰り返すことによって変形性肩関節症になる場合もあります。
・腱板損傷
腱板は棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋で構成されており、上腕を上げる動作や内側・外側に捻る動作をする筋肉です。これら4つの筋肉は、肩甲骨から上腕骨に伸びてその間に肩峰と上腕の間狭い隙間を通ります。肩関節を無理に動かしたり、繰り返し肩関節を動かしていると肩峰と上腕との狭い隙間で圧迫されて炎症や腫れを引き起こしてしまうのです。症状が進行すると腱板断裂の可能性があります。炎症がなかなか引かずに夜間でも痛みを伴ったり、腕を伸ばした状態で真横に上げることができない場合は腱板損傷が疑われます。
五十肩や四十肩という言葉はよく効かれるかと思いますが、正式には肩関節周囲炎といいます。言葉の通り肩関節周囲の筋肉や腱・靭帯が損傷を受けることにより痛みや可動域制限がおこります。
急性期では痛みが強く出て運動時痛や安静時痛・夜間痛も見られて徐々に関節が拘縮していき、肩関節の運動制限がみられるようになってきます。日常生活でも支障をきたして、腕を上げることができない・ドライヤーをかけられない・ブラジャーのホックが止められないなどの支障が出てきます。炎症が治まってくると痛みは軽減されてきますが、周りの組織が硬くなっているために可動域制限がかかります。
・肩関節唇損傷
肩関節唇は、上腕骨頭と肩甲骨関節窩との間にある繊維状のクッションの役割をする組織です。その他、肩関節審は肩関節を前後左右にずれないように固定する役割もになっており、肩関節の中でもとても重要な組織です。通常、肩関節唇は骨にくっついているのですが、外傷や肩のオーバーユースなどにより、骨から剥がれてしまうことによって肩関節の動きが制限されたり、肩を動かすと痛みの原因となります。
肩関節唇は繰り返し肩を酷使する方に多くみられ、野球のピッチャーに多く見られる症状です。
・肩こり
肩こりは特に病名というわけではありませんが、パソコン作業による長時間の姿勢や過度なストレスなどにより、肩に発痛物質や乳酸などが溜まり、痛みやこりの原因となります。肩こりとなる原因は人によってそれぞれで当院では問診時に詳しくうかがっていきます。
関節リウマチは手指の関節に起こることが一般的ですが、肩関節にも起こる場合があります。関節リウマチとは、自己免疫疾患の一つで自分の体の組織を外的だと勘違いをしてしまい、攻撃してしまう疾患で、関節を覆う骨膜や骨自体を攻撃してしまうために炎症や関節のこわばりが起きてしまいます。肩関節のリウマチは、手指のリウマチが進行して肩にくる場合が多く、30~50代の女性に多い病気です。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 14:30 / 院長コラム コメント&トラックバック(%)