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白内障の鍼灸治療

木曜日, 6月 8th, 2023

白内障の予防

老人性白内障の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されています。

WHOの適応疾患について←

 

 

白内障に対する当院の鍼灸治療

当院の白内障に対する施術は、眼の周辺の経穴にハリやお灸をすることにより、眼の血行状態を良くして視機能の回復を促します。当院では、初期の老化による白内障・紫外線の活性酸素増加に伴う白内障を施術対象と考えております。目の周囲の血流改善により老化を防ぎ、活性酸素を排出することで白内障を予防する効果が期待できます。

白内障の鍼灸治療

また白内障は五臓六腑の「」と「」に深く関係しているので肝や腎に関する経穴を用いて「肝血」や「腎精」を補うことや肝気の巡りをよくします。
目の老化が原因で白内障が発生している場合、目ばかりでなく体全体が老化しています。当院では、東洋医学の診断法に基づき診断して、東洋医学の特徴である全身を診て調整施術致します。そうすることで、目ばかりでなく体の老化予防や体調改善に繋がります。

白内障の全身調整鍼灸

 

 

白内障の手術は、日帰りの手軽にできる手術の場合が多く、視力回復が期待できます。しかし、はり灸施術でも病状の初期や予防には対応できますのでぜひ一度ご相談ください。

 

 

白内障の東洋医学的考え

中医学では五臓六腑の肝は眼に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能の障害が深く影響していると考えられていてその中でも「肝血」が不足した状態に陥ると視覚の異常運動系の異常などがみられます。

また中医学では肝と腎は同じ源にあるといわれており、「肝血」と「腎精」は互いに補い合っています。加齢により「腎精」が減少した状態だと「肝血」にも影響を与えると考えられます。それは白内障を引き起こす原因にもなります。

 

白内障とは

白内障はさまざまな原因で眼の水晶体という部分が濁る病気です。昔から俗に「しろそこひ」と呼ばれています。私たちが眼で見ている映像は、外から入ってきた光が角膜・水晶体や硝子体を通り抜けて網膜で集められた映像が電気信号に変わり視神経から脳へと伝えられ、はじめて物として見ることができるのです。
また物を見るために対象物にピントをあわせているのが毛様体です。毛様体には毛様体筋があって、この働きにより遠くの物を見るときには水晶体が薄くなり、近くの物を見るときは水晶体が厚くなります。その水晶体が様々な原因で濁って様々な症状の原因となります。
症状として

ⅰ)目がかすむ
一番多い症状で、ひどくなると前に人がいるのがわからなくなるまで進行します。

ⅱ)明るいところで眩しく感じる
光のあたる明るい場所に出るとまぶしくつらさを感じます。

ⅲ)物がだぶって見える
片目で見ていて、二重三重に物がだぶって見えます。(複視

ⅳ)視力が低下する
細かい字が読みにくくなって老眼と間違えやすいが、白内障の場合は老眼鏡をかけてもよく見えません。

ⅵ)近くが一時的に見えやすくなる
中心部の濁りが強くなることで近くが見えるようになるために老眼が一時的に良くなったように思われがちだが、やがて全体が見えにくくなります。

白内障の発症は45歳以上の中年世代に多く、年齢を重なるにつれて発症しやすくなります。また80歳以上の高齢者はほとんどなんらかの原因により白内障の症状を引き起こしています。進行の速さには個人差があって、目が見えづらくなるといった症状に至るとは限りません。

 

 

白内障の種類

白内障は老人性白内障・糖尿病による白内障・アトピー性皮膚炎による白内障・先天性白内障・紫外線や赤外線による白内障・薬の副作用による白内障などがあります。

ⅰ)老人性白内障
白内障でもっとも多い原因が加齢によるものです。年を取れば誰しも体力が落ちて身体機能が低下し、病気になりやすくなります。それと同じように白内障も眼の機能が低下して水晶体がだんだんと濁ってきます。進行のスピードは人それぞれですが、10年、20年かけてゆっくり進行していきます。

ⅱ)糖尿病による白内障
高血糖が長く続くことにより水晶体の成分に変化が起こって白内障が発症することがあります。早い人では30~40歳代から発症してたちまち進行していきます。また糖尿病による白内障の場合、白内障手術後に網膜剥離や緑内障を発症する可能性が高くなると言われています。

ⅲ)アトピー性皮膚炎による白内障
アトピー性皮膚炎の場合に眼瞼皮膚炎や顔に強い湿疹がある人は白内障になる可能性が高いと言われています。かゆみにより眼部をたたくことで白内障を発症する外傷説やステロイド投与による副作用だと考えられています。

ⅳ)先天性白内障
先天性白内障は遺伝であったり母親の胎内で風疹に感染したりすることで、先天的に白内障をもって生まれてきます。

ⅴ)紫外線や赤外線による白内障
活性酸素は本来、体の中の病原菌などを退治してくれる強い味方ですが、それが増え過ぎると自分の細胞までも攻撃してしまいます。外で紫外線を浴びることで活性酸素が発生して水晶体の中のたんぱく質を酸化させて白く濁らせ白内障となります。

 

 

白内障の一般的治療

初期の白内障は点眼薬で進行を遅らせることができる場合もありますが、濁った水晶体を戻すことはできません。進行した白内障に対しては濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを挿入する方法が一般的です。最近は手術により大多数の患者さんにとって視力を回復することができる安全な手術となりましたが、手術の合併症によって重篤な視力障害が生じる場合もあるようです。

 

白内障を予防する食事

白内障を予防するには、活性酸素を増やさないことが大事です。活性酸素は、体内に適度にあれば侵入してきた細菌などを破壊して身体を守ってくれる働きがあります。
しかし、体の中で活性酸素が増えすぎてしまうと細菌だけでなく自分の大事な細胞までも攻撃して破壊してしまうのです。また、活性酸素は身体を酸化させる(体を錆びさせる)恐れもあり、身体の老化を促進させてしまう可能性もあります。

目の観点から見ると紫外線を浴びることで眼球に活性酸素ができて、それが増えすぎてしまうと水晶体の白濁がおきてしまい白内障となってしまいます。体が健康な状態の時は、活性酸素を排除する働きで白内障になることを防ぐことができます。しかしそれらの働きが弱いと白内障となる確率が高くなります。白内障を予防するのに重要なことは食事です。

べ物の中でも活性化酸素を防ぐ食材があり、それらの食材をバランスよくとることが重要です。

 

 

  • ・緑黄色野菜を摂る
    ホウレンソウやブロッコリー、ニンジンなどに含まれるルテインは抗酸化作用があると言われています。

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  • ・赤ワインを飲む
    赤ワインに含まれる赤ワインポリフェノールは抗酸化作用があると言われています。

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  • ・ブルーベリーを摂る
    ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、目の血流を改善し、新陳代謝を上げることが言われており、抗酸化作用が期待できます。

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白内障の鍼灸治療の症例

40代 女性

半年前に白内障と診断され、手術を勧められたが抵抗があるため他の治療方法はないかと探し当院を受診した。

半年前から少しずつ進行しており、不安になってきている。

症状はかすみや羞明、眼精疲労、ドライアイなどがあり、目の見えにくさから首肩コリ、頭痛が強く感じる。

仕事や人間関係のストレスから睡眠障害や不安感も見られるようになり、心療内科で神経症と診断され投薬治療を受けている。

仕事はデスクワークで1日10時間パソコンを使用し、それ以外でもスマートフォンを頻繁に見るため目はかなり酷使している様子。

当院の施術

まず、ストレスやお身体の緊張度合いから自律神経の乱れの可能性が高かったため、自律神経測定器で現在のお身体の状態を確認しました。

ストレスの度合いは非常に高く、交感神経が8、副交感神経が2という割り合いから自律神経の乱れがあることを判明しました。

まず全身の血流や自然治癒力の向上を目的に自律神経調節治療を行いました。

他に首肩の筋緊張の緩和、眼の周囲に刺鍼し低周波鍼療法で刺激していきました。

治療頻度は週に1~2回のペースで通っていただきました。

 

経過

1回目

初めての鍼で緊張されていたので、初回はソフトな刺激量で施術を行いました。

2回目

前回後、とてもよく眠れるようになった。

鍼も慣れてきた。

3回目

眼の状態はまだ変わりないが、肩首の緊張が緩和し、リラックスできる。

4回目

睡眠の質が向上してきた。

5回目

目の疲れやすさが以前より出にくくなってきた。

6回目

少しかすみが減少してきた。

7回目

視界が少しだけクリアになってきた。

首肩コリも緩和。

8回目

かすみが薄くなってきた。まぶしさも減少。

9回目

視界が広がり、視力が上がったように感じる。

10回目

まぶしさはほとんど気にならない。

11回目

かすみ、まぶしさともにほとんど気にならない。

現在もメンテナンスのため通院中。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

扁桃炎の鍼灸治療

月曜日, 5月 29th, 2023

扁桃炎に対する当院の鍼灸治療

当院の扁桃炎に対する治療の目的は、第一に咽頭周辺解熱の特効経穴に鍼やお灸をすることで抗炎症作用を促します。

扁桃炎の鍼灸治療

症状の強い場合は刺した鍼に微電流を流すことにより鎮痛作用を促したり、少し強めのお灸で抗炎症作用を促します角膜の炎症をおさえる作用を促します。
また扁桃炎は五臓六腑の「」と「大腸」に深く関係しているので肺に関する経穴を用いて肺の機能を正常に戻るように促します。風熱の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。それらのツボは背中に多くあるためうつ伏せとなっていただき、背部の治療も行っていきます。

 

扁桃炎の鍼治療

 

東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。扁桃炎は、免疫機能の低下が原因の一つと考えられているので、全身の調整治療を行い自律神経のバランスを整えることで、免疫力を高めます。

当院では、施術前に自律神経測定器で今現在の体の状態を診極めてから施術致します。そうすることでより高い治療効果が期待できます。
当院の扁桃炎に対する施術目的は、まず炎症や痛みを抑え、慢性化することを防ぐことです。また、西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも症状が軽くなり、慢性化しない機会を提供することです。

患者さんの仕事の質の向上や生活の質を高められるように治療はもちろんのこと生活上のアドバイスなども積極的に行っていきます。

 

 

扁桃炎の東洋医学的考え

 

扁桃炎は、東洋医学で主に五臓六腑の『』が障害された疾患と考えられています。

 

肺の機能として東洋医学では・・・
「気を主る」
呼吸によって外界の清気を吸入し、体内の濁気を排出して、気の交換をします。
また体内の気の生成に関与しています。

 

「宣散・粛降を主り、水道を通調する」
気と津液の両面に関与する機能であり、気と津液を全身の隅々まで行き渡らせて機能を発現させます。末梢の体液バランス・肺呼吸と皮膚呼吸の調節などに関与しています。

 

「皮毛を主り、鼻に開きょうする」
汗孔の開閉・汗の分泌・立毛筋の調節などを行っています。さらに病邪が侵入するのを防止して、もし侵入された場合抵抗し排除する重要な役割があります。

 

 

風熱犯肺・熱邪犯肺
上記のような肺の機能が熱邪(細菌やウィルス)の侵入により障害されて、機能が低下して扁桃炎が起こると考えられます。

 

 

肺と大腸は表裏関係
肺と大腸は、表裏関係にあり肺が侵されると、大腸にも影響受けやすくなり、腹痛や下痢・便秘なども引き起こしやすくなります。

 

扁桃炎の鍼灸治療症例

 

風邪が流行する時期となると扁桃腺が腫れて扁桃炎と診断されていました。ノドの違和感や微熱・軽度な頭痛などの症状が出ていました。

通常は抗生物質などを服用すると1週間以内に体調は回復していましたが、今回の扁桃炎は長く続いて体はそこまでつらくはないが長引く微熱と倦怠感・ノドの違和感を緩和したくてご来院されました。
病院で処方されたお薬を服用していますが、改善されていません。

 

 

経過

日々のストレスで免疫機能が低下してしまって扁桃炎となってしまっている可能性もありますので、初診時に自律神経測定器で自律神経を測定していきましてそれに見合った施術法や施術ツボを選別して施術を行っていきます。

1か月ほど週に1~2回ほどのペースで通院していただいておりました。

鍼灸を受けた後の期間では免疫力が向上したのか風邪や扁桃炎などの症状が出ることが少なくなったとのことです。

現在は症状も落ち着いておりますので、施術間隔も長くしていき、自律神経の状態や体のメンテナンスもかねて鍼灸治療を受けられております。

 

 

例2

 

20代 女性

 

1週間前に風邪を引いてしまい、熱は下がったがのどの痛みがなかなか引かないため、来院された。

扁桃腺を見てみると赤く腫れあがっており強い炎症を起こしているようであった。

体調を落とす前に、仕事の忙しさやプライベートでの人間関係による精神的ストレスが強く感じていた為か、自律神経の乱れも自覚がある。

 

当院の治療

まず第1に、喉周りや顎周りに刺鍼を行い、さらにお灸をして炎症を抑える施術を行った。

また、自律神経の乱れによる免疫力の低下が気になったので、自律神経測定器で体の状態をチェックしたところ、交感神経が過活動しており免疫力を働かせる副交感神経があまり活動していなかった。

そのため、副交感神経を高める施術や、東洋医学観点から扁桃腺炎に関わるツボにも刺鍼をし、全身的な体質改善の施術も行った。

治療間隔は1週間に2回のペース。

 

 

◇1回目◇

あまり大きな変化はないが、よく眠れるようになった。

 

◇2回目◇

少しのどの痛みが軽くなった。

 

◇3回目◇

まだ少し痛みがあるが、順調に改善している。

 

◇4回目◇

前回からは、変化なし。

 

◇5回目◇

ほとんど痛みがない。

 

症例3

30代 女性

 

3週間前に風邪を引いてしまい病院に受診した。症状は発熱、咳、鼻水、喉の痛みがあったが、喉の痛みだけが全く改善されず残ってしまった。

食べ物や飲み物を飲み込むと激痛が走り、食事が苦痛に感じる。

ここ最近仕事が忙しく、睡眠時間も短くなっておりあまり身体が休めていない状態が続いている。

 

当院の施術

 

喉の状態を確認したところ、扁桃腺がひどく腫れてしまい発赤が見られ、発声もままならない状態でした。

日頃のデスクワークに加え、咳が酷かったため首や背中の筋肉が強く緊張していました。

自律神経測定器でお体の状態を確認したところ、交感神経が優位で副交感神経があまり働いていない状態でした。

当院では自律神経の調節に合わせ、首肩背中の筋緊張を緩める施術、扁桃腺の炎症を抑える施術を行いました。

 

経過

 

1回目

少し楽になったような気がする。

施術の夜はゆっくり眠れる。

 

2回目

水を飲みこむ時の痛みが軽くなった。

 

3回目

朝は痛みが強いが、夕方以降は落ち着いてくる。

 

4回目

痛みが軽くなってきた。

食事や飲み物、唾液を飲むこと以外はあまり気にならない。

 

5回目

少し痛むがほとんど気にならない。

 

6回目

ほぼ痛みはない。

 

 

 

扁桃炎とは

扁桃炎とは、風邪や疲労などによって体の抵抗力が弱まった時に口腔内に潜んでいた常在菌(レンサ球菌・ぶどう球菌・肺炎球菌など)が口蓋扁桃を足場に増殖して炎症を引き起こす疾患です。

扁桃はアーモンドという意味で形がアーモンドに似ていることが由来です。扁桃は体内に侵入する微生物を最初に防御する免疫機能の役割を担っているといわれています。
特にあまり体の免疫機能が未発達の幼少期は、扁桃に免疫機能の大きな役割を担っているいますが、大人になってからその機能不明で扁桃を摘出しても免疫機能に弊害が起きることも少ないことから大した役割を担っていないとも考えられています。

症状としまして、悪寒を伴う発熱咽頭の激しい痛み倦怠感頭痛関節痛などがあります。また耳下腺や顎下腺などのリンパ節が腫れることもあり、痛みが側頭部や耳に広がることもあります。

扁桃炎は急性と慢性の疾患があります。

 

・急性扁桃炎
急激に悪寒を伴う高熱で発症し、激しい咽頭痛も起きます。急性扁桃炎は、炎症が周囲に波及して扁桃周囲炎となる場合もあります。
急性扁桃炎が治りかけたところで治療を怠り、悪化していく場合が多いようです。

 

・慢性扁桃炎
年に何回も扁桃炎が起きる場合を慢性扁桃炎といいます。扁桃のくぼみに細菌が蓄積されていき、風邪や過労、ストレスが誘因となってしばしば炎症を引き起こします。菌が常在されているためそれが原因で、関節リウマチや内臓の疾患に繋がることもあります。慢性扁桃炎は主に慢性単純扁桃炎・習慣性扁桃炎・扁桃病巣感染症の3つに分類されます。
慢性単純性扁桃炎は主に大人が発症するもので、能登の痛みや乾燥感、ノドの違和感を感じます。習慣性扁桃炎は子供に発症して高熱が出る急性扁桃炎を何回か繰り返します。扁桃病巣感染症は、扁桃部分の痛みは軽いものではありますが、リウマチや腎炎など関節や内臓にまでに炎症が広がることがあります。

 

頭痛 扁桃炎

 

 

 

扁桃炎の原因

扁桃炎は、常在菌(レンサ球菌・ぶどう球菌・肺炎球菌など)インフルエンザウィルスなどが原因となります。それらが、風邪や過労、過度なストレスなどにより体の免疫力が低下した時に増殖して炎症を起こします。
また子供の場合は扁桃で免疫機能の大きな役割を担っている部分が多く、扁桃炎に侵されると習慣化してしまう場合も多いです。

 

 

日常生活での注意点

扁桃炎は、免疫機能の低下や日常生活での不摂生が原因で起こる疾患なので、日々の生活を見直す必要があります。また一度扁桃炎にかかってしまうと慢性化しやすく、普段から予防することがとても重要です。
扁桃炎を予防する、慢性化することを防ぐためには、体の免疫力を高める・過労やストレスを避ける・喉を乾燥させないなどがあります。扁桃腺は、細菌やウィルスが体内へ侵入してきた時に最初に防いでくれる体の免疫にとってとても重要な器官です。ノドの乾燥は、菌を増殖させる危険性があるので、うがいやマスクでノドの乾燥を防いで菌を増殖させないことがポイントです。体の免疫力を高めるためには日々の食事に気を付けることや睡眠をしっかりと取ることです。また、過労やストレスは体の抵抗力や免疫力を低下させる危険性があります。扁桃炎になるということは体が弱っている証拠なのです。

 

・手洗い、うがいを欠かさない
・十分な睡眠をとる
・食事を三食きっちりと摂り、ビタミンCを多く摂る
・はちみつは殺菌力がある
・週に3~4日の運動習慣
・たばこを吸わない
・暴飲暴食をしない
・仕事や家庭でのストレスを溜め込まない

 

男性不妊

月曜日, 5月 29th, 2023

男性不妊の鍼灸治療

精子に関わるものと性交時に関わるものの両方ともにある精神的ストレスの緩和をさせます。勃起障害は自律神経の乱れが原因となる場合も多く、交感神経が過亢進状態にあります。自律神経を整えることで勃起しやすい体の状態にもっていきます。

男性不妊の鍼治療

 

男性不妊のお灸治療

骨盤内循環をよくするために骨盤内血流量を上げる経穴を選択するのと下半身の循環を改善します。

男性不妊のうつ伏せ鍼灸治療

東洋医学では腎精の不足が考えられます。腎精の作用は身体の成長や発育、生殖機能などに関わる機能を持ちますので腎を中心に施術します。

 

自律神経調整鍼灸治療

当院では、自律神経測定器で交感神経と副交感神経のバランスを調べられます。身体が不調になったときに一番頼りにするのは、自然治癒力です。

元々持っている力で治すことが根本治療に繋がります。自然治癒力は自律神経のバランスが鍵になります。自律神経が整っていると身体の循環がスムーズになり自然治癒力の向上に期待できます。

強いストレスや悪い生活習慣を過ごすと脳にある自律神経中枢が乱れて骨盤周りの血液循環を悪くします。
自律神経測定器で計測したデータを元にその方その方に合った治療法で施術します。

自律神経は一日で変化を起こすことが難しく反応がいい方でも数回はかかります。
治療間隔としては、初めの5回を4~5日に一度のペースで来院していただくと効果がでやすいです。
その後効果が出始めてから一週間に一度、二週間に一度と間隔を広げていき症状の改善をしていきます。

 

※自律神経測定器
自律神経測定器

 

 

 

男性不妊とは

 

不妊の原因は男女ともに原因の可能性があります。以前は、不妊の原因は女性側だけにあると考えられていましたが、現在では約半数は男性側にも原因があると言われています。

WHO(世界保健機構)による不妊症原因調査では、男性のみ24%、女性のみ41%、男女とも24%、原因不明は11%と報告されています。このことから男性におる不妊の原因は、48%もあると考えられます。

男性不妊の原因の一つに精子の数が関係します。この精子の数は世界各国の報告で毎年減少傾向にあると言われています。日本では過去30年間で10%の精子減少があると言われているため、これからも不妊に悩む夫婦が増えてくると考えられます。

このように男性側による不妊の原因が大きいにも関わらず男性の意識は自分に原因があるとは考えないことが多いため積極的に取り組まないようです。不妊は女性の問題という間違った考えがいまだ世間ではあります。

男性不妊

 

 

不妊症とは生殖年齢の男女が妊娠を希望し、二年間性生活を行っているのにもかかわらず妊娠しない場合を言います。二年間妊娠しない場合は不妊治療を考えた方がいいです。

不妊で悩まれている夫婦は相互理解と協力のうえで不妊治療に取り組むことが理想です。

 

 

男性不妊の原因

男性不妊の原因には、精子の異常・精子の通路障害・性交障害などにわけられます。

精子の異常

精子の異常には、乏精子症や無精子症、精子無力症があります。

・乏精子障害は射出された精液中の精子濃度が低い状態をいいます。自然妊娠を望むには、精子の数が4000万以上だと言われています。ただし2000万以上で正常だと決められています。WHO(世界保健機関)の基準では精子濃度や運動率、奇形率などを総合的にみて判断します。

乏精子障害は、原因不明なことが多いのですが、精索静脈瘤がみるかることがあります。この精索静脈瘤を治療することで正常になる人もいます。

 

・無精子症は、精液中に精子が見つからない状態をいいます。染色体異常を除いて、元々精子がつくられないものと精子は作られるが精子の通り道で精子が見つからなくなる二つがあります。閉塞性のものは手術をすることで通り道を再建することができます。非閉塞性のものは難しく薬物治療や外科的な治療になる場合もあります。

 

・精子無力症は、精子の運動状態が低下していることをいいます。ほとんどが先天的な原因だと言われています。後天的な原因としては、おたふくかぜによる精巣の炎症、前立腺炎、精索静脈瘤、膿精液症などがあります。

運動率は、正常な精子で7から8割以上が運動しますが、精子無力症では、重い場合1割以下しか運動していません。

 

精子の通路障害

精子の通路障害は、生まれつき尿道が細いと粘液である精液が通りにくくなります。それ以外には、結核菌や淋菌などに侵されて炎症が起こると狭くなり精液がでにくくなります。

 

 性交障害

性交障害には、早漏、遅漏や性器の形態などいろいろありますが、多くの場合は勃起障害によるものです。勃起障害は性交できる程度に勃起できことや勃起を維持できない状態をいいます。
原因には神経の損傷内分泌疾患精神的ストレスなどがあります。

・勃起障害は性交時に勃起が不十分や勃起を維持できないため挿入できないことを定義としています。

勃起障害は様々な原因があります。心理的な要因や加齢、生活習慣、神経系の障害、手術や外傷、病気などです。一部の薬剤により勃起障害を引き起こすこともあります。

死の四重奏である高血圧・高脂血症・糖尿病肥満などを持つと勃起障害になるリスクが高まります。勃起が性的刺激を受けて脳からの信号により神経を伝って陰茎に血液を送り込むため血管にかかわる要因は勃起障害になりやすいということです。

 

症例

 

30代 男性

 

ここ最近勃起が不十分になり性生活が困難な状態に悩まされている。

子供は現在1人で、2人目を希望しているため当院を受診した。

朝立ちは確認できるが、性交時は勃起が不十分なため性交が成立しない。

とくに睡眠不足や疲労が蓄積していると反応できない事や、途中で中折れすることも多い。

平均の睡眠時間は4~5時間程度。ストレスは感じやすい。

 

当院の施術

 

EDによる男性不妊はストレス、睡眠不足、慢性的な疲労が影響していきます。

睡眠時間の少なさ、お身体の筋緊張の強さなどから自律神経の乱れの可能性があったため、自律神経測定器でお身体の状態を確認しました。測定の結果、交感神経の割合が高く、逆に副交感神経の割合がかなり低い状態でした。

まずは自律神経調節、とくに勃起に関係する副交感神経の働きを促す施術を行いました。

また、足の冷えや臀部の筋緊張も強いため陰部の血流低下を引き起こしていると考え、冷えや筋緊張を改善し血流促進で勃起を促す施術も行いました。

 

1回目

よく眠れるようになったが、勃起は変わらず。

 

2回目

慢性的な疲労感が抜けてきた。

 

3回目

少し勃起力が強くなってきた。

 

4回目

まだ途中で中折れするが、立ちやすくなってきた。

 

5回目

以前より勃起が長持ちするようになり、反応も良い。

 

無事、2人目の妊娠に成功したというご報告を受けました。

 

視力回復の鍼灸治療

月曜日, 5月 29th, 2023

視力低下の原因

視力低下の原因には、様々なものがあり特に急激な視力低下には隠れた病気が発見される場合もあります。主に視力低下が疑われる疾患としまして

黄斑変性症
近視
乱視
老眼
緑内障
白内障
網膜色素変性症
ぶどう膜炎
中心性網膜症
シェーグレン症候群
・糖尿病

などが挙げられます。特に急激な視力低下が見られた場合、すぐに処置が必要な場合もございますので、一度眼科の方で診断を受けてください。

視力回復の鍼灸治療の臨床研究

 

鍼刺激によって視力が向上するという研究結果は様々な論文で報告されています。

白内障手術を行った患者30例を対象として、合谷・太陽・上せいめいというツボに鍼刺激を行った結果、裸眼視力および矯正視力に有意な視力向上が認められたという報告や屈折異常意外に特別な疾患を持たずに日頃から疲れ目を感じている被験者を対象として合谷・太陽・攅竹に鍼刺激を行った結果、鍼刺激を行ったグループに有意な裸眼視力の向上または被験者が普段用いている眼鏡を用いた際の視力の向上が見られたなどの報告があります。

また、それらの報告では、シャム経穴刺激群といってツボの正確な位置から少し外した群や実際に鍼は刺さないが鍼管といって鍼を刺入する際に用いる管だけで刺激を与える偽鍼刺激群に分けてランダム化した研究を行い、それらに実際の鍼刺激群との有意な差は見られなかったという報告もあります。

したがって鍼刺激をしないまでも自分である程度のツボの位置を刺激するだけでも一定の視力回復効果が得られるかもしれません。

 

その他、海外の研究でも鍼治療の視力向上効果に対する症例集積による報告もあり、網膜色素変性症や強度近視、白内障、無水晶体症、緑内障などの疾患に鍼治療を行ったところ中心視力が改善する場合があることや近視・緑内障・網膜色素変性症・視神経委縮などの患者50例を対象に鍼治療を行ったところすべての患者に自覚的な視力向上が認められとの報告があります

 

視力向上の鍼治療のエビデンス

 

鍼治療による視力向上のメカニズムはいくつかの可能性が考えられています。
一つは鍼刺激によって縮瞳が生じてピンホール効果という効果によって視力が向上するというものです。
ピンホール効果は眼内に入ってくる光を制限して網膜上にずれを少なくするというもので、小さい穴から景色を見ると見えやすくなるという原理を利用した効果です。

鍼治療では、そのピンホール効果を小さい穴出なく縮瞳によって行い視力が回復しているという可能性があります。
点眼薬によって賛同させた場合では鍼治療の視力向上効果が認められなくなったという報告からも鍼治療でピンホール効果が起こり視力向上が起こるという可能性が高いとも言われています。

なぜ縮瞳が起こるかについては、縮瞳は副交感神経優位の状態であり、鍼刺激によって副交感神経が優位になったと考えられています。

その他、鍼刺激後に眼精疲労が軽減するという研究報告があり、目の調節機能の改善の関与や緑内障患者における鍼治療によるコントラスト視力の有意な向上なども研究報告もされており、まだ未解明な要素もありますが、鍼刺激によって視中枢の反応性増大なども考えられています。

参考文献
鍼灸臨床最新科学
医歯薬出版株式会社

当院の視力回復の鍼灸治療

当院では、目の周りに鍼刺激・鍼通電刺激・お灸刺激を行い視力回復の施術を行っていきます。

視力回復の鍼治療

 

その他にも首肩の筋緊張の緩和や全身施術によって自律神経のバランスを整えることも行い、施術効果の持続性を上げていきます。

視力回復の首肩鍼灸治療

 

 

視力回復の自律神経調整鍼灸

視力回復の鍼灸治療 症例

60代女性

目の酷使により視力が著しく低下。パソコンとスマホをほぼ一日中みていた。今はそれらをやめ、遠くをみたり負担をあまりかけないように注意している。明日運転免許の試験があるため、どうしても視力をあげたいとのことで来院された。

当院の治療

原因がパソコンとスマホの使いすぎと明確になっているため、目の血液循環の改善を第一に施術を行った。首のこりもあったのでうつ伏せから首肩まわりの血流改善から行う。目のまわりだけでなく頭も固さがでていたため、目と頭に鍼通電療法を行った。

治療後

治療直後は目がスッキリして視界がクリアになり、翌日の検査で0.7まで視力が回復したと報告があった維持を目標に適度な運動とスマホを見すぎないようにするなどのアドバイスを行った。それ以降1か月に1回メンテナンスとして治療を継続しており、視力は保たれている。

 

 

40代 男性

 

ここ最近、歳とともに徐々に視力が低下してきている。

1か月後に運転免許の更新をするが、できれば裸眼で更新したいため当院で視力回復の施術を希望。視力は両目で0.5。

普段はデスクワークが中心で、多い時は1日12時間はパソコンを使用している。

首肩コリも強く、睡眠も浅く感じる。

当院の施術

まず、うつ伏せで首肩の筋緊張を緩める施術を行いました。首肩の筋緊張を緩めることによって眼の血流が改善します。

次に、仰向けで眼の周囲に低周波鍼療法で眼の血流を促し、さらに自然治癒力、血流のコントロールを担っている自律神経の調節も合わせて行いました。

 

更新が1か月後と短いスパンで結果を出さなくてはいけない状態だったため、週に2~3回と短いスパンでご来院して頂きました。

 

1回目

目の疲れは少し軽減。

とてもリラックスできた。

 

2回目

目の疲れが改善してきた。

施術後の帰宅中の視界が少しクリアになってきた。

 

3回目~6回目

仕事後の視界は同じだが、朝起床時の視界はクリアになってきた。

 

7回目~11回目

今まで見れなかった字が少し見えるようになったような気がする。

 

その後、無事裸眼で免許を更新できたというご報告をいただきました。

 

 

視力回復させる生活習慣

視力を回復させるためには生活習慣も重要です。特にパソコンやスマートフォン操作が増えてきている現代では近くのものを集中してみる時間が増えています。

近くのものを集中してみている時間が長くなってしまうと目のピントを合わせる毛様体筋が疲労してきてピントを合わせる機能が不十分となってきてしまいます。

・作業の間に遠くのものを見るようにして目の休憩を入れる
最低でもパソコンやスマートフォン操作、細かい目を使う作業をした後には最低でも1時間に一回は遠くのものに視点を合わせるようにして毛様体筋を休めるようにしましょう。遠くといいましても遠くの景色を眺めるというわけではなく、4~5メートル離れたものに視点を合わせるだけでも毛様体筋が休むことができると言われています。

・目の周りのマッサージ
お昼休憩や仕事の終わりなど時間が比較的長く取れる休みの際に目の周りを軽くマッサージすることで目の周りの血液循環の改善に繋がり、老廃物質を排出させることで目の疲労がとれやすく、疲労が蓄積されにくくなります。
顔面部の血管はとても細く繊細であるためあまりグリグリと押しすぎないように注意してください。

・目の周りを温める
これも目の周りをマッサージする効果と同じような効果が期待できます。
一番簡単な方法としましてタオルを熱湯で濡らして程よい暖かさにして目の上に置くという方法でも良いです。また、お風呂の際にシャワーを30秒ほど当てるだけでも効果が期待できます。
目は比較的血液循環が豊富な部分でもありますので少しの刺激だけも血液循環は改善されやすいです。

執筆者

眼精疲労専門の鍼灸師
清水大地

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

お腹の張りでお悩みの方の鍼灸治療

土曜日, 5月 20th, 2023

腹部膨満感(お腹の張り)とは

 

腹部膨満感とはお腹が張って苦しい状態のことを指します。

一般的に腹部膨満感は大きく分けて2種類あります。

「お腹が張って苦しい」「お腹が重い」「お腹がゴロゴロする」などの消化器官にガスが溜まって生じるものと、「胃が重苦しい」「胃に不快感がある」などの胃の運動機能が低下して起こる腹部膨満感です。

その他、腹腔内の炎症、腫瘍、妊娠などが原因で腹部膨満感がみられる場合があります。

お腹の張り

 

腹部膨満感(お腹の張り)が伴う病気

 

・便秘

便秘とは3日以上排便していない状態、もしくは毎日排泄していても残便感がある状態のことをいいます。便秘が長い期間続くと、腸内に溜まったガスが排出されずに膨満感を引き起こします。

 

・腸閉塞

腸閉塞は腸管の流れが途中で阻害されてしまう状態のことを言います。腹痛や膨満感、嘔吐などの症状を引き起こします。

 

・過敏性腸症候群(IBS)

ストレスによって自律神経が乱れ、大腸の蠕動運動が過剰に活発になった結果、膨満感や下痢が起こります。成人の5人に一人が過敏性腸症候群に悩んでいると言われており、どちらかというと女性に多い病気です。

過敏性腸症候群の鍼灸治療について

 

・呑気症

呑気症とは、無意識に大量の空気を飲み込むことで、胃や食道、腸の中に空気が溜まり、腹部膨満感やげっぷ、おならが頻繁に出る症状のことを言います。
日本では20~50代の女性の患者が多い傾向にあります。呑気症の最大の原因はストレスといわれており、仕事や学業などでストレスを抱えやすい現代社会において増えてきている病気です。

吞気症の鍼灸治療について

腹部膨満感の原因

お腹が張る原因

 

<腹部膨満感のメカニズム>

人は食事をとると、必ず消化管でガスが発生します。そして定期的に溜まったガスは呼気(呼吸)や放屁(おなら)として排泄されていきます。
この時消化管内のガスの産生と排泄のバランスが崩れ、ガスが腸管内にたまった状態の時に腹部膨満感は起こります。

 

ガス過剰生産

・心因性

緊張したりストレスがかかると空気を異常に飲み込んでしまう呑気症や自律神経の機能異常があります。最近多くみられる過敏性腸症候群(IBS)による腹部膨満感や腹痛の原因にもなります。

 

・腸内ガス産生の過剰

腸内細菌叢の変化で悪玉菌が増えてくると、異常発酵による腐敗ガスが発生します。また、繊維質の多い食事や糖質を含む食べ物はガスを増やしやすく、吸収不良や腸内細菌叢の変化により過剰なガスが発生します。

 

・ガス排泄量低下

消化管の運動機能が低下すると、腸管にたまったガスが排泄されずに腹部膨満感が起こります。便秘や過敏性腸症候群がこの状態です。その他、腸閉塞では、腸内容物とともにガスも排泄できません。腸粘膜の炎症や循環障害では、ガスが体に吸収されて呼気として排泄できませんので腹部膨満感が起こります。

 

症状

消化器症状としてお腹の張り、吐き気、便秘、下痢などを伴います。

 

お腹の張りの予防

 

食べ過ぎない・飲みすぎない

食べ過ぎや飲みすぎなど不規則な食生活を続けると胃腸に負担がかかります。食事はバランスよく腹八分目を心掛け、規則正しい時間に食事を摂るようにしましょう。

 

ストレスを溜めない

ストレスは胃腸の働きを低下させます。ストレスを溜めすぎない生活を心がけ、趣味や運動などでストレスを上手に解消させることも大切です。

 

張りを解消する食べ物・飲み物を摂る

お腹の張りを解消してくれる食べ物や飲み物を積極的に摂取するのは有効な手段です。

①ヨーグルト・乳酸菌飲料

ヨーグルト、乳酸菌飲料には腸内環境を整えてくれる善玉菌が多く含まれています。ヨーグルトの他キムチや漬物、納豆などの発酵食品にも善玉菌が多く含まれています。

 

②生姜

生姜には消化不良による膨満感を和らげてくれる働きがあります。

 

③バナナ・アボガド

主に食塩として摂取されるナトリウムには細胞内に水分を引き込む作用があるため、摂取しすぎるとお腹の張りの原因となります。バナナやアボガドには過剰なナトリウムを排出し、体内の水分バランスを適切に保ってくれるカリウムが豊富に含まれています。

 

西洋医学的治療

検査

問診、診察を通して原因を特定し必要に応じて血液検査、腹部超音波、胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査、レントゲン検査を行います。

 

治療

病気が原因の場合その治療を行います。

また、便秘や消化機能低下が原因の場合には下剤や消化管運動亢進薬による治療を行います。腸内フローラのバランスを改善するようプロバイオティクス(乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌、糖化菌、豆菌、酵母菌)も有効です。医師の判断で胃腸のガスや腹部膨満感を和らげる薬を処方することもあります。

 

お腹が張る東洋医学的考え方

胃は六腑の一つであり、飲食物を受け入れ(受納)、消化(腐熟)し食べたものを人体に有用な形(清)に変化させ、それを脾に渡し、その残りかす(濁)を下の小腸・大腸に降ろします(降濁)。

また、五臓の一つである脾は、清を吸収し肺に持ち上げ(昇清)気血を生成し全身に輸送(運化)します。

腹部膨満感はこの五臓六腑の脾胃の機能の失調が深く関わっていると考えられています。また五臓の肝の機能失調のよる肝気鬱滞も関わりが深いと考えられています。

 

当院の鍼灸治療

当院では、内臓機能に深く関わる自律神経のバランスを機械で測定し、患者様のお体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

自律神経系の調整施術を行うことで胃腸の機能を整える作用を促します。また、免疫機能、自然治癒力を高める作用も期待できます。東洋医学的観点から脾胃や肝の機能を整えるツボや気の巡りを整えるツボにも鍼やお灸で刺激を与えます。

 

また、冷えは胃腸の働きを低下させます。触診を行い冷えがみられる場合、腹部を中心にお灸の施術を行い冷えを取り除いていきます。

お腹へのお灸治療

 

慢性胃炎の鍼灸治療

日曜日, 5月 14th, 2023

 

慢性胃炎の鍼灸治療

慢性胃炎の当院の治療はまず自律神経測定器で自律神経の状態を計測することから始めます。慢性胃炎でご来院される多くの方は、交感神経の活動が活発で逆に副交感神経の活動が弱い方がほとんどです。

慢性胃炎の鍼灸治療

まずは、自律神経の調整療法を行い、東洋医学的観点から『』や『』の機能を正常に戻すような施術をしていきます。

慢性胃炎の背部への鍼灸治療

施術間隔の目安は、最初の1か月程度は週に1~2回程度でその後叙情に施術間隔を延ばしていきます。

 

 

慢性胃炎の東洋医学的考え

 

慢性胃炎は東洋医学では、が深い関わりがあると言われています。脾の『運化を主る』作用と胃の『受納と腐熟を主る』という働きは、飲食物の消化・吸収・排泄に関連しています。

よって『脾』と『胃』の働きが低下してしまうと消化・吸収の働きも鈍くなってしまうので慢性胃炎の原因となってしまいます。代表的な病証としましては、脾陽虚胃陽不足』などが挙げられます。

 

 

慢性胃炎の鍼灸治療症例

50代 男性

40代の頃から慢性的な胃炎に悩まされていた。発症当時は、胃潰瘍が発見されて胃潰瘍は薬など服用して治ったがその後も胃もたれ上腹部の違和感を感じるようになってしまった。その度に薬を飲んでいるが、最近仕事のストレスや家庭内のトラブルで薬の効果も薄れてきたように感じる。
外で接待など外食することも多く、接待の次の日は必ず胃の調子が悪くなり、仕事にも集中できない。

治療
まず自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから施術していきました。問診していくと接待以外にも暴飲暴食をすることがあり、特に仕事がうまくいかなかったときはストレス解消でついつい食べすぎたりお酒に頼ることがあるとのことでその習慣は少しずつ改善していただくように指導しました。

◇1~3回目◇
体全体の体調がよくなっていることを実感。まだまだ胃の不調を感じることはあるが、薬を飲むと落ち着くようになった。

◇4~6回目◇
症状に波があるが、胃の不快感を感じることが少なくなってきた。

◇7~10回目◇
徐々に薬に頼ることも少なくなってきた。さすがに接待などでお酒を飲みすぎると胃の不快感を感じるが半日ほどで不快感を感じなくなった。

 

慢性胃炎とは

慢性胃炎はその名の通り、何らかの原因により慢性的に胃に炎症がおきている状態です。

胃は飲食物の消化の第一段階と殺菌の重要な役割があります。胃の粘膜からは大量の胃液が分泌されて胃壁の保護や外来の細菌を殺す役割などを担っています。

胃酸は非常に強い酸性で、慢性胃炎を考えるうえで特に重要となるのが胃粘膜を覆っている粘液です。粘液が不足してしまうと非常に強い酸性を持つ胃酸によって胃壁は傷つけられてそれが慢性化してしまうと慢性胃炎となってしまうのです。

慢性胃炎

慢性胃炎の症状

慢性胃炎の場合でも症状を呈さない方もいますが、慢性胃炎の代表的症状としまして

 

・上腹部に違和感
慢性胃炎の中で一番多い症状です。食事をしている時または食事をしていない時でも常に胃部や上腹部に不快感を感じます。上腹部が締めつけられる感じや重たいような感覚になることもあります。

・胃もたれ
慢性的に胃もたれを感じます。脂っこい食べ物などを食べた時には誰でも胃もたれを起こした経験があるかと思いますが、慢性胃炎となるとその他にも胃にそこまで負担とならない食べ物でも胃もたれを感じてその感覚が長く続いてしまいます。

・食欲不振
慢性胃炎となってしまうと胸やけを感じる事があったり、胃液の分泌が減少しているため食べ物の消化がされにくく、そのため食欲不振となってしまう場合もあります。

・嘔吐
食べ物がなかなか消化されずに胃の内容物が逆流して嘔吐してしまうこともあります。症状が重症化してしまうと吐血などの急性胃炎のような症状も呈します。

・口臭
胃の機能が低下して分泌液が減少すると食べ物がなかなか消化されないため、胃の中で食べ物が異常発酵してしまい、卵の腐ったような口臭となることが多いです。

・なにも症状が出ていない場合も
慢性胃炎の厄介なところは胃炎となっていてもほとんど無症状で少し不快感を感じる程度などで症状を自覚する頃には疾患が進行している場合もあることです。

 

 

慢性胃炎の分類

慢性胃炎は胃壁の状態によって分類されます。

 

・表層性胃炎
表層性胃炎はその名の通り比較的表層の胃壁が軽い炎症を起こしてしまっている状態です。若い年代に多く発症し、空腹時に胃の痛みや腹部膨満感などを感じます。症状は比較的軽く、胃がんなどに進行する可能性は低いですが、胃壁の炎症と修復を繰り返していくうちに胃の運動機能も低下して症状が進行してしまうこともあります。

 

・萎縮性胃炎
萎縮性胃炎は表層性胃炎と違い、胃がんに進行してしまうリスクが高いと言われています。萎縮性胃炎を発症していない方の3.8倍も胃がんを発症するリスクがあると言われているほどです。

 

・肥厚性胃炎
肥厚性胃炎は炎症と修復を繰り返していくうちに胃の粘膜が厚くなってしまう疾患です。胃の粘膜が厚くなってしまうと何が問題かといいますと、胃液や胃酸の分泌が増えてしまって胃粘膜を傷つけやすくなってしまい胃の痛みや胃もたれに繋がりやすくなってしまいます。肥厚性胃炎も胃がんにかかるリスクが高くなると言われています。

 

 

慢性胃炎の原因

慢性胃炎の原因は多岐にわたり、ストレスや老化、ピロリ菌感染などが挙げられます。

 

・ストレスによる自律神経の乱れ

自律神経は自分の意識とは無関係に働いている内臓や血液循環などを主っている神経です。胃の働きもこの自律神経と深い関わりがあります。胃腸の働きは主に自律神経の中の副交感神経が管理しています。副交感神経は、体を休めるリラックス神経です。食事をすると胃腸が働きだすことで副交感神経の活動も高まり、人によっては眠気を誘うのです。

また胃酸の分泌も自律神経が調整しています。

職場や家庭などでの過度なストレスは自律神経を乱します。それらのストレスは主に副交感神経の活動を弱られてしまい胃腸の働きを低下させてしまうために慢性胃炎の原因となってしまうのです。

 

・暴飲暴食や喫煙習慣

脂っこい物を多く食べ過ぎたりと偏った食生活を続けていると胃粘膜が傷つけやすくなってしまい慢性胃炎の原因となります。過度な飲酒も胃液を減少させて胃粘膜の炎症繋がります。喫煙は、血管を収縮させることが知られていますが、胃粘膜に対しても同様に血流を悪くさせて胃酸の分泌促進に繋がります。

 

・胃の老化現象

胃をはじめとした内臓も筋肉で出来ています。体の見える部分の筋肉と同じように内臓の筋肉も高齢となると年々筋力・働きが低下していってしまうのです。胃に関しても活動が年々低下していってしまう傾向にあり、消化不良を起こして慢性胃炎の原因となります。

 

・ホルモンバランスの変化

ホルモンバランスの変化も慢性胃炎の原因となります。特に更年期となると女性ホルモンや男性ホルモンの分泌が異常を引き起こし、それを主っている自律神経にも影響を与えて自律神経の乱れに繋がってしまいます。

 

日常生活での注意点

慢性胃炎は、胃壁が炎症を引き起こし、胃の機能が低下する疾患です。胃炎は食生活や生活習慣などが原因となって起こることが多く、予防には以下のようなポイントがあります。

食事

  1. 食事の改善

胃炎のリスクが高まるのは、過剰なアルコールやカフェイン、辛い食べ物や脂質の多い食品を摂取することによって胃の粘膜がダメージを受けるためです。栄養バランスの良い食事を心がけ、消化の負荷が少なく、胃腸に刺激を与えない食物を摂取するようにしましょう。また、食事の間隔が長すぎるのも胃に負担をかける原因となるため、ある程度決まった時間に食事を摂ることも重要です。

 

  1. 禁煙

喫煙は胃酸の分泌を促してしまい、胃炎を引き起こす原因の一つです。喫煙量が多ければ多いほどリスクは高くなりますので、完全に禁煙することが大切です。

 

  1. ストレスマネジメント

ストレスがたまりすぎると胃に負荷がかかり、胃酸の分泌が亢進して胃炎を引き起こすことがあります。ストレスを軽減するためには、趣味や運動、スキルアップなど自分の好きなことに時間を使うことが良いでしょう。また、十分な睡眠をとることもストレス軽減につながります。

瞑想やヨガでのゆったりとして呼吸法も有効です。

 

 

  1. 薬の服用の注意

過剰な非ステロイド性抗炎症薬の使用や、抗生物質の長期使用は胃炎の原因になります。薬剤師や医師の指導の下で正しく薬を使い、過剰な使用をしないよう注意しましょう。

 

  1. 定期健診を受ける

胃炎の早期発見・治療は胃がんなど重い疾患を予防するためにも大切です。定期的な胃カメラ検査や腹部のエコー検査など、胃腸の健康状態を定期的にチェックしましょう。

 

以上により、健康的な生活習慣を心がけ、胃に負担をかけないような食生活の改善を行っていくことが、慢性胃炎の予防につながります。

 

自律神経失調症の鍼灸治療

水曜日, 5月 10th, 2023

自律神経失調症の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されています。

WHOの適応疾患について←

①自律神経失調症に対する当院の鍼灸治療

当院の自律神経失調症に対する施術は、第一に鍼灸治療を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えます。施術をする前に自律神経測定器を用いてその時の自律神経の状態を把握してから施術致します。そうすることで的確な施術ができて他にはない施術効果が期待できます。

東洋医学では症状を局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、自律神経失調症などの全身性の症状を施術するのに適しているといえます。

自律神経調整鍼灸治療

自律神経失調症は東洋医学的に見ると「気」の不足「気」の作用不足「気」流れの滞りが原因で発症すると考えられているので、ハリやお灸を用いてツボを刺激することで「気」を補ったり、「気」の流れの滞りを解消させるように促します。その他自律神経失調症の患者さんでは頭痛、肩こり、慢性的な痛み、めまいなどを訴える方が少なくありません。そういった患者さんには頭痛、肩こりやめまいの解消、痛みの緩和を目的とした治療も並行して行っていきます。

自律神経調整鍼治療
当院の鍼灸治療による自律神経失調症の施術目的は、西洋医学とは異なる東洋医学の観点により少しでも自律神経失調症が回復できる機会を提供することです。自律神経失調症では、日常生活の活動が重要となってきます。施術後の日常生活の注意点などもしっかりとサポートして患者さんと共に症状改善に努めます。

自律神経測定器

自律神経測定器

②自律神経失調症の鍼灸治療症例

30代 男性
3か月前より仕事が急に忙しくなり、期限などにも間に合わず上司や同僚にも冷たい目で見られるようになってきた。その頃より朝動悸がしたり、肩の痛みや目の痛み、寝つきが悪い・夜中急に目を覚ましてしまうといった症状が出てきた。痛みや眠れないせいか日中は仕事に身が入らなくなり、さらに仕事が溜まるようになってきた。身体の調子もどんどん悪化してきたので心療内科を受診したところ自律神経失調症と診断された。

病院では抗不安薬や抗うつ剤などが処方されたが、改善させず鍼灸治療やマッサージなども受けてみたが一向に改善されなかった。そうこうしているうちに会社にも行けなくなり1か月のお休みをもらうことになり、当院にご来院された。

治療経過
しっかりと時間をかけて問診をしたうえで自律神経測定器で現在の自律神経の状態を測定しました。この方の場合お昼頃にもかかわらず交感神経の数値が低く逆に副交感神経が高い状態でした。自律神経の状態はその日や時間によって変化していきます。日中は活動的な時間帯ですので、本来は交感神経が高く副交感神経が低い状態が理想的です。
しかしこの方の場合は逆で日中のだるさや夜なかなか寝付けないなどの症状がこれが一つの原因だと考えられます。

◇1回目◇
自律神経調整療法を中心に痛みの強い部分の鎮痛目的に治療しました。
治療後、痛みは軽減されたがだるさや睡眠は改善されない。

◇2~4回目◇
治療して数日すると痛みが戻り、治療をするとまた改善するという状態が続く。

◇5~8回目◇
痛みはだいぶ改善されてきた。日中少しずつ外に出て活動できるようになってきた。

◇9回目◇
夜しっかり睡眠がとれて朝も早く目覚めて本などを読めるようになって規則正しい生活ができるようになってきた。

◇10~12回目◇
一か月間の休養を終えて職場に復帰された。今のところ以前のような症状は出ていないが、仕事が忙しく時間に追われるようななると肩の痛みや多少の動悸がする。そのような症状を軽減させるため現在も通院中です。

自律神経失調症の鍼通電治療

 

 

③自律神経失調症の東洋医学的考え

 

自律神経失調症は、東洋医学でいう「虚証」が大きく関係していると考えられます。「虚」とは、人体にとって必要な物質や機能不足の事をいいます。虚証の中にもいろいろな種類があり、自律神経失調症は「気虚」と「陽虚」つまり中医学でいう「陽気」が不足している状態であると考えられています。

「気」は、体内を流動する精微物質のひとつであり、人体の各種の生理的機能に相当します。「気」は中医学でいう脾胃や肺によって生成され、心または肺の作用によって全身に行き渡ります。そして肝や腎の作用によって量を調節されます。「気」の基本的機能としては、生長、発育、代謝の推進、推動の維持及び体温の維持・調節、病邪の防御または排除などがあります。自律神経失調症はそういった作用を持った「気」が不足したり、流れが滞ったりすることで発症するものと考えられます。

・「気」の作用不足
「気」の作用不足による症候では臓腑の機能低下や抵抗力の減退などがあらわれ、元気が出ない、気力がない、無力感、声に力がない、動きたがらない、食欲不振、息切れなどの全身的な虚弱の症状が出ます。とりわけ心の気の不足(心気虚)では自律神経失調症の症状が出やすく、加えて不安感や胸苦しいなどの精神面または循環系の症候がよく見られます。

・「気」の流れの滞り
精神的ストレスなどにより「気」の流れが滞ると自律神経系の緊張や過亢進による症候があらわれると考えられています。とりわけ肝の気の流れが滞ると精神的な素因に関係する症状があらわれ、憂うつ感、怒りやすい、胸脇部の張った痛みなどの症状が見られます。また肝の流れが滞る状態が長く続くと、自律神経系の過亢進に伴って、頭痛、のぼせ、胸やけ、難聴、不眠などの症状をあらわします。
自律神経失調症は、うつ病に発展する場合も多く、早期の対応が求められます。

 

④自律神経失調症とは?

自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることにより、身体や精神に様々な症状が現れる病気の総称です。器質的な疾患や顕著な精神障害が認められず、医学的な検査によって原因や悪い部分を特定することが困難な疾患です。

そのため、内科、耳鼻科など様々な科を受診し、ほとんど異常はないので原因がわからずにいろいろな病院を行ったり来たりする場合も少なくありません。自律神経失調症という病気は今では、最近よく耳にするようになった言葉ですが、医学的にもまだまだ確立されておらず、自律神経失調症は日本でしか使用されていない病名です。
日本心身医学会では「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」と定義されています。
自律神経とは、血管、リンパ腺、内臓などに分布しており無意識のうちに循環器系・呼吸器系・消化器系の身体機能を調節して自分の意志とは無関係で環境や状況に適応して生命活動の維持や調節を行い、絶えず活動している神経です。自律神経は、交感神経と副交感神経からなっており、絶妙なバランスをとって相互に協力し合い安定した体調管理を行っています。

 

 

自律神経失調症

 

 

交感神経
主に昼間に働く神経で代謝や消化などの生命活動を活発にする働きがある。また精神活動を促進・興奮させたり、心拍数の増加や血圧を上昇させたりする。

副交感神経
主に夜に働く神経でリラックスした安定した精神状態にあり穏やかな気持ちにする。また呼吸をゆっくりさせ、心拍数の減少や血圧を下降させたりする。

自律神経失調症の症状はあらゆる身体部位に多種多様な症状が現れてきます。自律神経は、体の各部位に分布しており、関わっている器官・機能が多岐にわたるために人によって症状に個人差が大きく、症状が単独で現れたり、2つ3つ同時に現れたりして何度も出たり消えたりします。
代表的な症状としては、体が疲れやすい倦怠感がある動悸や息切れがする肩や頸部に張りを感じる頭痛眠れない食欲不振吐き気めまいなどがあります。これらに伴い多くの場合は、精神的にも不安定になりやすく不安緊張過敏抑うつなどを感じている方も少なくありません。
また自律神経失調症は女性に非常に多く発症しやすい病気で女性ホルモンのバランスの変化が大きく関係していると考えられています。

 

 

自律神経と免疫力との関係
自律神経と免疫力とは深い関係にあると言われています。精神的・肉体的ストレスなどによって自律神経のバランスに乱れが生じてしまうと免疫力が低下してしまい、外部からウィルスや細菌が容易に侵入しやすくなったり、内部ではがん細胞も増えやすくなるとも言われています。

体には、生まれたころから備わっている基本的な免疫力である自然免疫と病気に対する新しい抵抗力を身につけていく獲得免疫とがあります。それらの働きによって細菌やウィルスは容易に体内に侵入して悪さをすることができない仕組みとなっています。

しかし時に外敵がそれらの免疫を突破して体内に侵入して悪さをしようします。その際には、身体は非常事態と察知して、白血球という細胞が血液に乗って運ばれて外敵を排除する機能が働くのです。白血球には大きく分けてマクロファージ・顆粒球・リンパ球の3種類が存在してそれぞれに役割があります。
マクロファージは情報を収集しながらその他二つに指令を出して指揮をとります。顆粒球やリンパ球は、侵入してきた外敵やウィルス、がん細胞などを実際に退治する役割があります。正常に免疫を働かせて免疫力の高い状態を維持するためには白血球の3種類のバランス・比率が重要です。

マクロファージは司令部なのでそこまで多くなくてもよいですが、顆粒球やリンパ球の比率が落ちてしまいます。この白血球の比率を調整するのが自律神経の役割とも言われているため自律神経の乱れによる自律神経の不調は免疫力にも影響を与えてしまうのです。

 

 

⑤自律神経失調症の種類

自律神経失調症は自律神経の交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることにより、身体や精神のバランスが崩れて多種多様な症状が現れる病気です。
交感神経と副交感神経は、絶妙なバランスをとってお互いに協力し合って安定した体調や心理状態を維持しています。しかし、何らかの原因によりどちらかの神経が過剰に働いたり、働きが弱くなり過ぎることによって自律神経失調症の症状が現れてくることになります。

自律神経が乱れる原因や身体症状・精神症状などにより自律神経失調症は、4つのグループに分類されます。

ⅰ)本態性型自律神経失調症
遺伝的素因によって、幼少期から自律神経のバランスが崩れやすく、身体の調整機能が乱れやすいのが特徴です。発症の原因は、心因性・精神的なものではなく、生まれ持った体質に起因する自律神経失調症のタイプです。

ⅱ)神経症型自律神経失調症
自律神経そのものに異常がないのに自分の身体や精神に関して敏感な人や不安・恐怖・葛藤といった心理的要因に弱い人が神経質なためには発症する自律神経失調所のタイプです。

ⅲ)心身症型自律神経失調症
最も多い自律神経失調症のタイプで、感情の変化や肉体疲労など日常生活における心身への強いストレスが原因で発症し、身体と精神の両方に症状がでることが多くあります。

ⅳ)抑うつ型自律神経失調症
その人がおかれている環境や人間関係などから受ける慢性的なストレスの蓄積が原因で発症する自律神経失調症のタイプです。最終的にはうつ病へと発展してしまう場合も少なくありません。

 

自律神経失調症にならないために

 

自律神経失調症は、交感神経と副交感神経の調節が乱れて起こる症状で、ストレスや生活習慣の乱れなどが大きな原因となります。

自律神経失調症を患わないためには生活習慣の改善がとても重要になってきます。

自律神経を整える

  1. 適度な運動を心がける

自律神経失調症を予防するためには、適度な運動を心がけることが大切です。

有酸素運動やストレッチなどを行い、血流や代謝の促進を図ります。最初は運動強度を弱めて一番大事なのは続けられる強度で行うことです。

運動が習慣化できれば、運動強度は上がっていきます。

運動により筋肉が強くなれば、筋肉の収縮・緩和に役立つ副交感神経の働きも高まると言われています。また、筋肉量が増えることでストレス耐性も上がることがわかっています。

 

 

  1. 良質な睡眠をとる

自律神経失調症の原因の一つに、睡眠不足が挙げられます。深い睡眠を促すためには、就寝時間や睡眠環境の整備が必要です

た、安眠効果が期待できるハーブティーや、寝る前のリラックス効果のあるストレッチなども取り入れると良いでしょう。今一番多いのが寝る前のスマートフォン操作です。光によって脳が活動的になってリラックスできずに睡眠の質の低下につながります。
寝る前のスマホ操作はなくして寝る前の行動をルーチン化することがポイントです。

 

 

  1. 食生活の改善

意外にも一番重要なのが、食事の改善です。
コンビニ弁当やファーストフードなど栄養の偏りの多い食生活を続けていると腸内環境が乱れてしまって自律神経のバランスが乱されやすくなってしまいます。

自律神経失調症の症状が改善するといわれている栄養素は、マグネシウム、ビタミンB群、ビタミンC、イノシトールなどです。これらの栄養素が多く含まれる、野菜や果物、豆類、ナッツ類などを積極的に摂取するようにしましょう。
また、胃腸を刺激する刺激物やアルコール、カフェインの摂取は控えるようにします。

 

  1. ストレスを減らす

ストレスは自律神経失調症の大敵です。ストレスを減らすためには、自分なりのストレス解消法を見つけることが必要です。ヨガや瞑想、アロマセラピーなどを活用する方も多く、自分にあった方法を見つけることが大切です。
趣味でもなんでも没頭できる時間を作ることもポイントです。没頭できる時間が長ければ長いほど人生の幸福度が上がるという研究結果もあります。

 

  1. リラックスタイムを確保する

時間の確保も重要です。必要に応じて仕事量を減らす、家事代行サービスを利用するなど時間を確保するようにしましょう。
自律神経失調症を予防するためには、身体と心の休息が必要です。リラックスタイムを設け、趣味やマッサージ、温泉などでリラックスする時間を確保するようにしましょう。

 

以上のように、適度な運動、良質な睡眠、食生活の改善、ストレスの減少、リラックスタイムの確保などを意識することで、自律神経失調症の予防につながります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

吉祥寺αはりきゅう院開院

月曜日, 5月 1st, 2023

令和5年5月1日(月)より

吉祥寺αはりきゅう院

が開院いたしました。4店舗目の分院となります。

吉祥寺駅から徒歩3分ほどに場所にありましてとてもアクセスが良い場所にあります。

施術内容は、他の院と特に変わりございませんのでお近くの方はお気軽にご利用ください。

 

吉祥寺αはりきゅう院
東京都武蔵野市南町1-11-11武蔵野ビル402
TEL:0422-29-9938
HP:https://kichijoji-shinkyu.com/

複視の鍼灸治療症例

日曜日, 4月 23rd, 2023

 

複視症状

 

当院には、複視でお悩みの方が多くご来院されております。複視になってしまった原因も様々で神経麻痺や筋肉の異常、自己免疫疾患、また病院で精密検査を受けても特に原因が分からなかったという方もいらっしゃいます。効果には個人差もございますが、多くの方が複視の程度が軽減されて日常生活が楽になったというお声を頂いております。

発症して早期に施術を受けて頂くほどその効果は良いです。複視症状で悩まれている方は、一度試しにでも施術を受けてみることをお勧めします。

複視の鍼通電療法
複視の鍼通電治療

複視のお灸治療

複視のお灸治療

 

 

複視の鍼灸治療症例

60代 女性
1か月ほど前に急に左目の痛みと圧迫感を感じるようになった。仕事や家事でストレスとなることがあり、その体の反応かなとおもい、体を休めれば良くなると思ってそのままにしておいた。すると2日後くらいから物が二重に見えるようになってしまい特に左側の物が強く二重に見えてしまう。病院を受診したところ左目の外転神経麻痺と診断された。しかし、特に何も処置を行ってもらえずに体を休めるように言われただけだった。目の症状が出てきて耳鳴りや左顔面部の痛み・頭痛も出るようになってきてしまった。

治療
触診の結果、頚部の筋緊張が強く出ていました。そのほか自律神経のバランスも悪く、症状が出てからは不安で眠りも浅いとのことでした。
まず、うつ伏せ施術で首肩の筋緊張の緩和と東洋医学の肝と腎の経穴を中心にはり灸施術を施していきました。次に仰向けとなり左目中心の施術と自律神経のバランス調整を行っていきました。

◇1回目◇
1回目の治療後、身体のだるさが強く出て家に帰ると直ぐ眠ってしまったとのこと。次の日身体は軽く、左首肩・頭痛症状は半分程度に軽減。左目の痛みや複視症状は改善は見られない

◇2回目◇
2回目治療後、左目の動きが少し良くなったと感じた。正面を凝らしてみると複視は起こらない。動いているものを見るとまだ複視状態。

◇3回目◇
耳鳴り症状が半減。寝つきが良くなったとのこと。目の症状は2回目以降変化なし

◇4回目◇
右目も何となくまぶたの重たさを感じたとのことで右目も施術。

◇5回目◇
頭痛薬を飲む回数が明らかに減少。以前は飲んでもう頭痛が治まらなかったが今は薬の効果も感じられる。

◇6回目◇
左目の動き改善。日常生活ではほぼ複視の症状で悩まされない。動きの速いものをみるとずれる時がある。病院でも左目の動きが良くなっていると言われたとのこと

◇7回目◇
早い動きの物にも目が慣れるようになってきた。しかし、注意してみるため、目の疲れは感じやすいとのこと。

◇8回目◇
右目のまぶたの重たさ軽減。視力も良くなったとのこと。

 

 

症例②

60代男性
2週間ほど前から新聞やパソコン画面がぼやけて見えるようになってきた。以前から遠くのものは見えづらく、視力の低下を感じていた。最近近くのものが見えづらくなってきたことから老眼の症状が始まったかなと感じていた。しかし、2週間ほど前から近くのものを見ることがつらくなってきて徐々に二重に物が見えるようになってしまった。
日常生活でも不自由を感じていてあまりに症状がひどくなってしまったので眼科を受診したところ、右目の動きが悪いため二重に物が見えていると言われた。確かに右側に視線をやると二重の幅が広がるとのこと。しかし、なぜそのような状態になってしまったのかという原因は眼科の検査でもわからずに経過観察と言われた。

 

治療
以前、交通事故に遭った時に頸部を損傷して常に首に違和感を感じているとのことでした。たまにひどい時は整形外科でけん引してもらっていた。触診してみると頸肩の筋緊張が強く、それも何かしら目に影響を与えていると考えられたのでまずうつ伏せ施術で頸肩に鍼通電療法を施した後に仰向けとなり自律神経の調整施術と右目を中心に目周囲に鍼通電療法を施していきました。

◇1~3回目◇
3回目までは目についてはあまり変化がみられなかった。頸肩の筋緊張はいくらかほぐれている。

◇4回目◇
4回目の施術終了後から真正面のものは二重に見えることがなくなった。普段複視症状がつらく、片眼で見るための眼帯をしていたが眼帯せずに過ごせるようになった。

◇5~8回目◇
徐々に右に視線をやっても複視になる範囲が狭くなってきた。8回目終了後には日常生活には支障なく過ごせるようになった。

◇9~12回目◇
たまに集中して近くのものを見て目を使った時は複視症状が出る時もあるが以前のようなつらさはない。その日しっかりと睡眠をとると複視症状は回復できる。まだ電車内などで速く動いている物を目でとらえようとすると目が追い付かない感じがあるが普段は全然複視症状は気にならなくなった。

 

 

症例②

30代 男性
当院にご来院される2週間前から複視の症状が出た。複視は像が上下にずれてしまうタイプで近くが大きくずれてしまい、遠くの物を見ても少し像がずれてしまい車の運転に支障が出てしまう。仕事で車を運転するため3週間ほど仕事を休むことになった。
仕事は、朝早くから夜遅くまで長時間労働でたまに夜勤もあり、生活はかなり不規則だった。体の疲れもとても溜まっていて複視の症状が出た可能性があった。病院で脳の検査や重症筋無力症の検査を行ったが特に検査結果に異常はみられなかった。病院では治療は特に行われず安静を指示されたが、ご本人としては何か手はないのかと探していたところ当院のホームページを見つけてご来院されました。

 

治療
普段からの不規則の生活のせいか、自律神経のバランスも大きく崩れていた。首の付け根付近の筋緊張も強く出ていたのでまず初めにうつ伏せ治療で首肩の筋緊張の緩和、背部兪穴の肝・心を中心に施術していきました。次に仰向けとなり目の周りの施術と自律神経のバランス調整治療を行っていきました。

◇1回目◇
治療後、複視のずれ幅が少し改善。日常生活でのつらさが少なくなった。

◇2回目◇
以前は正面を見ても像がずれることが多かったが2回目の施術以降は正面は像が合うようになった。朝方はまだ日常生活でも辛さを感じる

◇3回目◇
視線を左右に動かすとピントがついていかずに像がずれるように感じる

◇4回目◇
4回目治療以降は日常生活で複視の症状が出る事はなくなった。ここで仕事への不安感などから夜寝つきが悪くなったり、突然胸の圧迫感や手足のしびれを感じるようになったとのことで心療内科系疾患への治療へ方針をシフトしていった。

◇5~8回目◇
夜寝つきもだんだんと改善。仕事へも無事に復帰することができたが、仕事している際中にたまに胸の圧迫感やわき腹当たりのはり感などが出ることがあり現在も通院加療中です。

 

 

症例③

50代 男性
当院にご来院される6ヶ月前に転倒して頭部を強打した。すぐに救急病院に行き、処置をしてもらったが、その時から2週間ほどかけて物が二重に見える症状が強くなっていってしまった。特に脳神経の異常は画像診断などで見られなかっため、経過観察となった。お医者さんには、3カ月ほどかけて徐々に良くなっていくと言われ、ビタミンB12が処方された。しかし、6カ月ほど経過しても複視の症状は一向に改善されずに何かほかに治療の手段はないかとインターネットで調べて当院にご来院されました。
ご本人の感覚としては、左目の動きが悪く物が二重に見えているような感覚とのこと。正視の状態では少し左目が内側を向いている。視界以外には、頭部を強打した後遺症は見られない。

 

治療
頸部の筋緊張が強く、特に後頭部付近の板状筋の硬直が見られたので、まず最初にうつ伏せとなり、背部や頸肩部の筋緊張を緩める鍼灸施術を行っていきました。次にうつ伏せとなり、左目中心に鍼を刺してさらに刺した鍼に電気の刺激を加えることで目周囲の筋肉や神経に刺激を与えて症状改善を図っていきました。近く地方に転勤するとのことで2日おきに集中的に治療していきました。

◇1回目◇
治療後若干、左目の動きが良くなったように感じるが、複視の状態は特に変化なし

◇2~5回目◇
左目の動きが徐々に良くなっていっている。以前感じていた頸肩こりも感じにくくなった

◇6~8回目◇
以前はどの方向を見ても物が二重に見えていたが、今は左下のほうだけが二重に見えている状態となった。それ以外は正常に見えている

◇9回目◇
大体正常に見えるようになった。少し左下方向を見ると複視の状態が出るが日常生活ではほぼ支障なく生活できる。しかし、目を凝らして物を見ているせいか目の疲労感を感じやすくなった。目を良く使った日の夜に複視の状態が出る時がたまにある。
治療9回目を終了したころに地方に転勤となったため、生活でのケアの方法などをアドバイスして治療を終了した。

 

症例④

70代 男性

1か月ほど前から物が二重に見える複視症状を発症。年齢も年齢なだけにすぐに病院で検査を受けて脳のMRIなどを受けても特に原因が特定されなかったとのこと。

図面など細かいものやパソコンなども仕事で見る機会が多く、目の疲れからくる一時的なものだと医師から言われた。
ビタミン剤を処方されて服用していたが、一向に良くなる気配がないため他に治療法がないかと検索したところ当院のホームページを見つけてご来院されました。

 

治療

図面やパソコンなどの近くの物を見るときも物が二重に見える・左側の視界はさらに二重の幅が大きく感じるとのこと。また、遠くの景色もさらに二重の幅が広くなって気持ち悪くなってしまう。

高齢であることから針の刺激量を少し抑えつつ調整しながら目の周りは電気鍼治療も行っていきました。

◇1回目◇

一回目の治療後、翌日の朝から効果が感じられたとのこと。まず、近くの物が見えやすくなってパソコン作業時や図面を見るときはしっかりと一つに見えるようになった。少し離れたテレビ画面などはまだ二重に見える

◇2回目◇

治療日から日数が経過するごとに状態が少し戻って行ってしまったが、2回目治療後も1回目同様に近くの物が見えやすい。

いくらか遠くの物も二重の幅が狭くなったように感じる

◇3回目◇

3~4メートルくらい離れた物だとほとんど正常に見えるようになった。家の中ではそこまで不憫を感じない。遠くの景色や階段を降りるときはやや少し怖さを感じる。

◇4回目◇

遠くの景色もほとんど一つに見えるが、夕方以降仕事で目を使っていると目の疲れを感じて物が二つに見えるときもあり。

目の疲れを感じた時などにメンテナンスのために通院加療。

 

症例⑤

80代 男性

 

当院にご来院される1か月ほど前から急に朝物が二重に見えてしまうようになってしまった。すぐに病院でMRIなどの検査をしたが、原因がわからずに動眼神経麻痺と診断を受けた。

医師からは経過観察で半年ほどかけて治っていく場合もあるとのことで、特に何も処方されなかったとのこと。

 

特に右眼の動きが悪く、真正面から左側の視界は物がひとつに見えるが、右側の視界は物が二重に見えてしまう。またテレビ画面を見るくらいの距離だと二重に見えてしまう、眼の前ほどに物を持っていくと正常に見える。

 

物が二重に見えてしまうため人との距離感がわからなくなって外で歩く際は、右眼のを隠す眼帯をして何とか歩行している状態。階段も恐々と手すりを持ちながら降りている

 

治療経過

初診時触診をしたところ、頸部の筋緊張も強いような状態でした。まずうつ伏せで首肩や背部兪穴を用いて首肩周りの筋緊張の緩和や五臓六腑の特に肝や腎に関するツボを刺激していきます。

 

次に目の周りに鍼をさして電気を流す鍼通電療法を用いて目の周りの筋肉や神経に直接刺激を与えていき改善をはかります。

 

5回目の施術終了後、だんだんとひとつに見える範囲が広がってきて、右側の視界もひとつに見えるようになってきた。ご家族にも眼球の動きが良くなっていると指摘されたとのこと。

 

施術8回目までだんだんと症状改善していったが、テレビを夜遅くまで見ることが多くなってしまって少し症状がぶり返した感覚。遠くの視界が複視

 

施術10回目以降また症状が改善してきた。以前は、人とすれ違う時が二重に見えてしまうためこわかったが、怖くなくなりテレビ画面もひとつに見えて遠くの視界もひとつに見えるようにだんだん変化していった。

日常生活に支障がない程度に回復。右側に視線をやると少し二重に見えるかなという程度。

 

耳閉感(耳が詰まる、耳が詰まった感じ)の鍼灸治療

土曜日, 4月 22nd, 2023

耳閉感とは

 

耳がつまる感じとは、専門用語では耳閉感(じへいかん)といいます。耳閉感はごくありふれた症状で誰でも一度や二度は経験していることと思いますが、原因はいろいろなことが考えられます。

また、「耳がつまった感じ」、「塞がった感じ」、「耳の中に水が入った感じ」、「膜が張った感じ」など耳閉感の訴え方は様々です。

耳閉感

 

耳閉感の原因

 

耳閉感は聴覚路のどこが原因でも起こります。代表的なものとして、耳垢や気圧の変動などで耳管が影響を受ける、中耳炎で水や膿がたまる、その他メニエール病や突発性難聴などがあります。

 

耳閉感を伴う主な疾患

 

・急性中耳炎

喉の奥から耳管を介してウイルスや細菌が中耳で炎症を起こしている状態です。風邪などをきっかけとして起こります。

中耳炎に対する鍼灸治療

 

・慢性中耳炎

鼓膜に穴が開いて中耳の炎症が慢性化した状態です。

 

・滲出性中耳炎

耳と鼻をつないでいる耳管の機能不全や副鼻腔炎、アデノイド増殖症などの鼻の病気が原因で鼓室に浸出液が持続的に溜まる病気です。幼児期、学童期前半までのお子さんに多い疾患です。

 

・好酸球性中耳炎

中耳の粘膜に血球の一つでアレルギー疾患と関連がある好酸球が浸潤し、にかわ状の浸出液が溜まる中耳炎です。
難治性であり慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、気管支喘息が合併していることがほとんどです。貯留液が中耳腔に溜まることで難聴や耳閉感、耳鳴りなどが生じます。

 

・耳管狭窄症

耳管の換気機能が低下して、鼻の奥から中耳(鼓膜の内側)に空気が通らない病気です。

 

・耳管開放症

正常な耳管の閉開が出来ず、耳管が常に開放、またはほとんどずっと開放されいている状態です。短期間での無理なダイエット、ストレス、手術などによって体重が大きく減少したときに、耳管近くの脂肪が落ちることが原因になります。耳閉感、自分の声が響く、めまい、難聴などの症状を伴います。

耳管開放症の鍼灸治療

・突発性難聴

内耳障害により、突然聞こえの悪くなる病気です。はっきりとした原因はわかっていませんが、ストレス、慢性疲労などが発症と関わっているのではないかと言われています。耳閉感、耳鳴り、めまい、吐き気などの症状を伴います。

突発性難聴の鍼灸治療

 

・低音障害型感音難聴

低音の周波数の聞こえに支障が出るのと同時に耳閉感があるのが低音障害型感音障害です。
はっきりとした原因は不明ですが、大きなストレスを感じたり、睡眠不足や疲れ、体調不良などが続く度に何度も起こるようになります。

 

・メニエール病

内リンパ液が過剰にたまり、内耳が浮腫んだ状態です。はっきりとした原因はわかっていませんが、耳閉感、難聴、耳鳴り、めまいなどの症状を伴います。

メニエール病に対する鍼灸治療

 

・聴神経腫瘍

聴神経を包む細胞から発生する良性腫瘍です。平均して一年間で直径で約2mm弱大きくなるといわれています。増大してくると聴神経のすぐ隣の顔面神経の圧迫により難聴、耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺が起こってくるようになります。

 

・耳垢栓塞

耳垢が完全につまってしまい、鼓膜が見えない状態です。

 

・外耳炎

鼓膜の手前を指す外耳(外耳道)と呼ばれる部位に炎症が起こる病気のことです。耳かきや耳の中をかくことなどで外耳に傷ができ、最近が感染することで発症します。

 

 

西洋医学的治療

問診では聞こえ方や最近の体調、ストレスの有無などについて確認します。外耳や中耳は、顕微鏡または内視鏡で診ることで状態が把握でき、そこで異常がなければ内耳の疾患の可能性が高くなります。中耳炎の場合は鼻の中も確認します。

 

検査

・鼓膜所見

耳垢などがあれば視診で分かります。

 

・聴力検査・ティンパノメトリー

中耳や内耳の評価を行います。

 

西洋医学的治療

 

耳閉塞感の治療は、原因となる疾患の治療を行うことで改善されます。

外耳道の異物や耳垢栓塞の場合、異物や耳垢を取り除きます。外耳炎は炎症を抑える処置や内服治療、滲出性中耳炎は鼓室の中の貯留液を取り除いていくための鼓膜切開またはチュービングが必要になります。

好酸球性中耳炎はそれらに加えて中耳に直接ステロイドを注入します。鼻や副鼻腔の炎症を抑えるため、鼻処置やネブライザー療法も必要となる場合が多いです。その他、マクロライドの少量長期療法、抗アレルギー剤内服を行うこともあります。

また、内耳疾患から耳閉感がある場合、内リンパ水腫という病態を取り除くことが必要なので、日常生活ではなるべくストレスを溜めないようにしつつ、高浸透圧利尿剤を内服します。ビタミンB12やアデホスなどを内服し、内耳の代謝を助けることも有効です。

 

耳閉感に対する東洋医学的考え方

耳閉感を東洋医学的に考えると、気滞血瘀(きたいけつお)、腎虚、水滞が挙げられます。

この気滞血瘀は首周辺の筋肉のコリなどで血行をはじめとする代謝が低下して気や血が滞った状態を指します。

五臓の腎は「腎は耳に開竅する」と言われ、泌尿器以外に免疫、生殖、骨、耳、髪、成長に関係すると考えられています。年齢を重ねるごとに腎の機能は低下し骨や歯は弱くなり、耳が弱くなると耳鳴りや難聴をはじめとした耳の異常を起こしやすくなります。
また、体質の虚弱や慢性疲労などで腎虚を生じる場合もあります。

水滞は水毒とも呼ばれ、いわゆる浮腫みに起因するもので、水分の取りすぎ、お酒の飲みすぎ、内臓機能の低下、自律神経のバランスの乱れなどから体の中の水分の巡りが悪くなると耳にも余分な水が溜まりやすく、それが原因でめまいや難聴、耳閉感などの症状を引き起こすことがあります。

 

 

当院の耳閉感に対する鍼灸治療

当院では、内耳の血液循環やストレスなどに関わる自律神経のバランスを機械で測定し、お体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

自律神経の調整施術を行い免疫機能、内臓機能、血液循環を整え症状が治癒しやすいお体の状態へ整えます。

東洋医学的観点から腎を補うツボや気・血・水の流れを整えるツボを取り入れます。また、腎と関係の深い肝のツボなどにも刺激を与えます。

また、首や肩周りの筋緊張は耳への血流に大きく影響を及ぼします。そのため首や肩の筋緊張を緩める施術も行います。

耳閉感に対する首周りの治療

さらに、直接耳の周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与えることで、血行を促進し耳の機能を整えていきます。

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