蝸牛型メニエール病の鍼灸治療

蝸牛型メニエール病の症状

 

蝸牛型メニエール病の症状は、

① 難聴

② 耳閉塞感

③ 耳鳴り

④ 音が響く

などがあり、一般的なメニエール病と違い、めまいを伴わない事が特徴ですまた、ストレスにより頭痛や肩こりを訴える人もいます。

難聴は低音が聞こえづらくなる人が多く、低音障害型感音難聴と診断されることもあります。

耳の構造

 

耳は大きく分類すると、外側から、外耳、中耳、内耳と分かれています。


外耳

外耳は耳介と外耳道からなる場所で、耳の穴の部分に相当します。音はまずこの耳介から入り外耳道を通り耳の奥にある中耳に到達します。

中耳

中耳は入ってきた音の振動の増幅を調節する場所です。

中耳と外耳の間には鼓膜があり、その奥には中耳ので骨に囲まれた個室という空間があります。ここには耳小骨という小さな骨が存在しております。この耳小骨は鼓膜と内耳の間に架かる橋のように繋がっており、外耳から入ってきた音を鼓膜と耳小骨が振動し内耳に伝える役割があります。

また中耳には鼻と耳を繋げる耳管という細い管状の通路があります。この耳管は耳の奥にある鼓室という場所の内圧と外気を同じ圧に保つ役割があります。耳管は通常は閉じていますが、あくびをしたり何か飲み込むと一時的に開きます。

この耳管が何かしらの原因により閉じなくなってしまうと、耳の閉塞感(耳づまり)、自声強調、などの症状がある耳管開放症が発症してしまいます。

 

耳管開放症の鍼灸治療

https://alfashinkyu-tokyo.com/column/index-1333.html

 

内耳

内耳は中耳の更に奥の骨の中に埋もれている場所に存在します。

内耳には、聴覚に関わる蝸牛、平衡感覚をつかさどる前庭や三半規管があります。

蝸牛には、鼓膜と耳小骨から伝導された音の振動をキャッチし、聴神経に伝える有毛細胞があり、蝸牛、前庭、三半規管の中にはリンパ液という水で満たされています。

蝸牛のリンパ液は、音の振動を水の振動に変え有毛細胞に伝導する役割があり、前庭、三半規管のリンパ液は、体の動きに合わせて動く特徴から頭部の回転や体の平衡バランスの動きを脳に伝える働きがあるため存在します。

 

蝸牛型メニエール病の原因

 

蝸牛型メニエール病の原因はまだ解明はされていませんが、自律神経の乱れによる内耳のリンパ液の調節力が低下する事が大きく関わっていると考えられています。

自律神経は交感神経と副交感神経の2つでバランスをとっており、ストレスを感じると交感神経が働きます。

交感神経は身体を活発に働かせる神経で生体機能に不可欠なものですが、強いストレスを受け続けると交感神経が過剰に働いてしまいます。交感神経は血管を収縮する作用もあるため、耳の血流が低下からリンパ液が蝸牛内に流水し、メニエール病が発症します。

またこの他にも、内耳構造の生まれつきの異常や、アレルギー、免疫異常などの可能性もあり単独ではなくこれらの要因がいくつか重なって発症するとも考えられています。

 

蝸牛型メニエール病の東洋医学

 

蝸牛型メニエール病は東洋医学において、「肝」と「腎」が大きく関わりを持っていると考えられています。

東洋医学における肝は、気・血・津液の巡りをコントロールする役割があります。また精神状態を安定する働きもあり、気の流れを通じて感情の調節や、自律神経によって身体全体の機能が正常に行われるようにコントロールするものと考えられています。

しかし、精神的緊張が長く続いたり、強いストレスを受けることで肝に負担が掛かり、次第に肝の働きが低下し感情や自律神経のコントロールが効かなくなってしまいます。耳にも気や血が循環しなくなりメニエール病が発症します。

「腎は精を蔵し、精は骨髄に変化する。髄は脳を満たし耳の機能を維持する」と言われており、生殖活動や骨、脳、耳、髪の毛まで関係しており、特に耳に強く影響している臓器と考えられています。

腎の機能低下は全身の津液の停滞につながり、特に耳に停滞しやすく、それは内耳の蝸牛にリンパ液が溜まってしまいます。その結果、難聴、耳閉感、耳鳴りという蝸牛型メニエール病の症状が起こってしまいます。

 

津液とは・・・

津液は体内に存在する血以外の液体の事で、涙、よだれ、関節液、胃液、腸液、汗、尿、鼻水などがあり、脳や、骨髄にも潤いを与える働きがあります。

津は体の表面を流れていて、液は体の中を流れています。

また、津液は血のように栄養分や滋養作用があるため血の働きを補完する役目もあります。

津液は血の生成の原料になるため、健康な体を維持するために非常に重要なものになります。

体の各部で利用され不要になった津液は腎に送られ尿になり、膀胱を通じて体外へ排出されます。

 

蝸牛型メニエール病に対する当院での鍼灸治療

 

当院での蝸牛型メニエール病の治療は、内耳の血液循環の促進を第一に行っていきます。

蝸牛型メニエール病は血液循環の低下による浮腫みが原因であるため、耳周囲や首に刺鍼し血管活動を促進させることで蝸牛のリンパ液排出を促します。

使用する経穴は、「耳門」「聴宮」「聴会」「翳風」「完骨」「風池」「天柱」「下関」「角孫」「肩井」、その他にもお体の状態に合わせて経穴を組み合わせていきます。

 

次に、自律神経の調節を行っていきます。

蝸牛型メニエール病の方のほとんどは、慢性的なストレス、強いストレス、大きな環境の変化、生活習慣の乱れなどの生活背景があり、不眠、体のだるさ、肩こり、のぼせ、だるさなどといった自律神経の不調を訴えることが少なくありません。

自律神経は血流をコントロールしており、自律神経を正しい働きに調節することにより血液循環が促進されます。血液循環を促し内耳のリンパ液を排出する体質改善を行っていきます。

自律神経を整えることは血液循環の促進だけではなく、自然治癒力を高めることも目的になります。

肩こりを訴える方には、筋肉のコリに直接刺鍼し筋緊張を緩め、耳への血流を促していきます。

 

蝸牛型メニエール病の病院で治療方法

 

現在行われている病院での治療方法は、ビタミン剤、抗ヒスタミン剤、血管拡張剤、精神安定剤、ステロイドホルモン、漢方薬などの薬物療法、外科的処置、水分摂取や有酸素運動などの生活指導があります。

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 15:54 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

お問い合わせはこちらから
ここをタッチするとすぐにお電話が出来ます
メールでのお問い合わせはこちらから