
足底の痛みを引き起こす病気や怪我として以下のようなものが挙げられます。
足根管症候群
下足首の内側で脛骨内果、距骨、踵骨、などの骨とそれを覆ってている屈筋支帯で囲まれる部分を足根管と呼びます。足の裏(足底)の感覚を伝える神経である後脛骨神経(こうけいこつしんけい)は、この足根管を通りその中で枝分かれしています。
足根管症候群とは何らかの原因によって足根管の内圧が高くなり、足根管内に存在する後脛骨神経(こうけいこつしんけい)が障害されることで発症します。
症状
足底部のしびれや痛み、感覚障害が生じます。さらに経過が長くなると足の裏の筋肉が萎縮を起こします。
原因
足根管の中を通る腱の炎症が波及したり、ガングリオンなどの病変による圧迫によるものが多いとされています。その他、きつい靴による圧迫、骨折などによる怪我や距踵骨癒合症などによっても足根管症候群になることがあります。
治療
消炎鎮痛剤やビタミンB12などの飲み薬、塗り薬、局所の安静、腱鞘炎を治めるための足根管内注射などの保存的療法が原則です。また、土踏まずが浅い場合はアーチサポートを装着します。
難治性の場合や筋萎縮のあるもの、足首の変形や腫瘤のあるものなどは手術が必要になる場合もあります。手術は屈筋支帯の切離を行い原因となっている組織を取り除き脛骨神経の減圧と剥離を行います。
足底筋膜炎・足底腱膜炎
足の指の付け根からかかとまで、足の裏に張っている腱組織、筋組織が繰り返し受けた物理的ストレスにより炎症が起きる病気です。
原因
歩行時に床からの繰り返しのストレス(衝撃)を受けることで足底腱膜のかかとの付着部に炎症が生じます。また、歩くとき足の土踏まずは浮き沈みの動作を繰り返しますが、この動作で足底腱膜に伸び縮みのストレス(牽引)が生じ、腱膜付着部の炎症を引き起こします。
また、扁平足、甲高、肥満の方などは足底腱膜炎の危険因子とされています。
症状
朝、歩きはじめにかかとの裏が痛いのが典型的な症状です。酷くなってくると、長時間の歩行や立位でも痛みが強くなります。
治療
圧痛、X線、超音波検査、MRI検査などを必要に応じて行います。治療は保存療法が一般的で安静、消炎鎮痛薬による炎症の軽減、外用薬の塗布、貼付などを行います。また、症状が強ければステロイド薬の注射を行うこともあります。その他運動療法や物理療法、テーピング、踵骨パッド、足底板、アーチサポートなどの検討を行います。
踵骨下滑液包炎
滑液包とは皮膚や筋肉、腱、靭帯と骨が擦れる部分で衝撃を吸収する役割を担っている部分です。
その滑液包が炎症を起こすことがあり、それがかかとの足底部に発生したしたものを踵骨滑液包炎といいます。
歩きすぎ、スポーツなどでアキレス腱やかかとを使いすぎたときや、ハイヒールなどかかとに負担のかかる靴を長時間履いていた時に起こりやすいといわれています。かかとやかかとの底の部分が痛み、腫れを起こすことがあります。
種子骨障害
足の親指の付け根には種子骨という小さな骨があり、筋肉や腱の働きを助けています。この種子骨に炎症が起こったものが種子骨障害で、歩く、走る、踏み込むなどの動作親指の付け根のふくらみに痛みを感じます。
また、指を反らしたり指で押したりした場合にも痛みを生じます。バスケットボールや、陸上競技、踏み込むことの多い剣道や空手などの格闘技をする人に多く見られます。
中医学では筋肉や関節のしびれ、痛み、だるさなどを「痺証(ひしょう)」として捉えます。
「痺証」の痺の文字は通じない、塞がるの意味を表しており体の気や血の流れが障害されている状態を指します。
「痺証」は生体の弱りなどにより、風邪、寒邪、湿邪、熱邪などの外邪が体内に侵入し経絡の気血運行を阻害することで生じると考えられています。
足底の痛みがある方は足底のみに原因があるとは限らず、足関節、膝関節、股関節周囲の筋緊張が見られたり関節のバランスが崩れている場合が非常に多いため、まず腰部、臀部、大腿部、下肢のツボに鍼やお灸で刺激を与え、筋肉や関節のバランスを整えます。

また、東洋医学的観点から足の経絡の気や血の流れを整えるツボも取り入れます。
そして足部のツボに鍼やお灸で刺激を与えることで筋緊張を緩和し、血液循環を促進させることで炎症を早く抑えたり、疲労物質や発痛物質の代謝を促す、神経の圧迫を除く作用が期待できます。

足底部は痛点(痛みを感じる感覚受容器)が多く痛みを感じやすい部分なためお灸をメインに施術を行いますが、状態によっては痛みの強い部分や筋緊張の強い部分に鍼を刺し微弱な電気を流すでことで鎮痛効果や抗炎症作用を促していきます。

当院では合わせて自律神経系の調整施術を行うことで全身的な血行を促進し、内臓機能調整や免疫力を高めることで症状が治癒しやすいお体の状態を整えていきます。
40代女性
20代の頃からバレエや社交ダンスが趣味で多いときでは週に5日練習をしていた。発表会などもあり最近では練習に熱が入って足首周りが痛むようになってしまった。
普段もたまに足首周りが痛くなることはあったが今回は足の裏や腰まで痛みが出てしまって、バレエのつま先立ちが痛みでうまくできない。
痛みを我慢しながら過ごしていたら更に悪化。
日常生活でも階段の上り下りでも痛みが出るようになってしまった。
普段鍼治療をしてもらっている治療院があるが、足の裏に鍼を指すことは難しいと言われてどこか足の裏に鍼を刺してもらえるところがないかと検索したところ当院のホームページを見つけてご来院されました。
当院の治療
腰部から下肢全体にかけて触診したところ腰部の筋緊張が強くそれが背部まで筋肉の引くつれが起きてしまっている状態でした。
また、脛の前脛骨筋や後面の腓腹筋・ヒラメ筋にも固結部位がみられそれらも足首の可動域に影響を与えて足裏の痛みにも関与していると考えました。
まず、仰向けとなり下肢前面や股関節周りに鍼やお灸をして筋肉を緩めていきます。
次にうつ伏せとなり腰背部への刺鍼やお灸で筋緊張を緩和させて下肢後面にもアプローチをしてメインの足裏の鍼通電治療を行っていきます。
足裏は痛点も多く点在しているため、細い鍼をしています。筋肉に届かせて鍼通電治療を行うため刺入深度はある程度入れていきます。
15分ほど電気鍼治療を行い、最後に軽く筋肉をほぐすマッサージをして治療を終えました。
次の日の練習からバレエでの足首の伸びが軽やかになって痛みが半減したとのこと。その日の状態に合わせて治療を変えてコンディション管理を行っています。
目は五臓六腑の肝臓と深い関わりがあることは以前のブログでもお伝えしてきました。
東洋医学の肝は、血を貯蔵して必要に応じて身体に送る役割や気血を体の隅々に行き渡らせる役割、筋の緊張や運動を制御する役割があり、目に開竅することで肝の状態は目に反映されやすいと考えられています。
目の充血に関しましても東洋医学では肝の異常ととらえられています。
病態としては、『肝陽上亢』や『肝火上炎』といいます。
肝陽上亢は肝の陰液不足で肝陽を制御できないがために肝陽が頭の方へ上って行ってしまい、顔面部や頭部に熱証の症状が見られます。
肝陽上亢では目の充血の他にめまい・頭痛・顔面紅潮・イライラ感・耳鳴りなどの症状が見られることがあります。東洋医学的な治療として肝の機能を整えて肝陽を制御したり、肝陰を補う治療となります。
肝火上炎では、肝の陽気の勢いがあまりに強すぎて肝の陽気が上に登ってしまう状態です。その場合、肝陽上亢の症状とは違い、虚証の症状が見られません。
自律神経系の過亢進や中枢神経系の興奮あるいは、炎症による症候と考えられます。肝火上炎では、目の充血の他に睡眠障害・頭痛・自律神経失調症・高血圧症・肝炎・口喝・便秘などの症状が見られる場合があります。東洋医学的な治療としては肝の機能を正常に戻して肝火を瀉す治療が中心となります。
目の充血に対する鍼灸治療
目の充血に対する鍼灸治療では、まず第一に目の炎症や痛みを引かせるような鍼灸施術を行っていきます。

その他、その人の充血原因に合わせたオーダーメイドの施術も行っていきます。

また、東洋医学的にみると目の充血は五臓六腑の『肝』の異常が原因で起きることが多いと考えられています。
特に肝の陰液不足である肝陽上亢の状態や肝の陽気が過亢進による肝火上炎の状態によって目の充血が起きやすいので、それらの状態を取り除く効果のあるツボを刺激していきます。

施術後、好転反応として一時的に充血が強くなったように感じる場合がございますが、その後充血が落ち着いてきて充血が気にならなくなる方が多いです。治療感覚の目安は最初の4~5回は治療間隔をつめて3~7日の間隔で治療、その後治療間隔を徐々に延ばしていきます。
目の充血は、誰もが経験したことがある症状です。目の充血はよくあることといって放置しておくと重い病気が隠れている場合があります。
目の充血だからと言って放置せずにすぐに対処しなければいけない疾患もあるのです。
それを判断するには、目が充血する部分を確認することが重要です。目の充血する部分によって主に3つの充血の種類に分類できます。

結膜充血は、その名の通り結膜が充血することです。結膜は、眼球とまぶたを結ぶ組織でまぶたの内側と白目の部分を覆っています。役割としてまぶたの運動をスムーズに行わせたり、黒目部分で強膜と結びついて眼球運動の手助けをしています。この部分が充血していると結膜炎の可能性が高く、黒目から離れるにしたがって充血が強くなってくる・眼球の下ちょうどあっかんべーのポーズをした時に充血が確認できることが特徴です。
結膜炎にも細菌性結膜炎・ウィルス性結膜炎・アレルギー性結膜炎の3つがあります。
・細菌性結膜炎
細菌性結膜炎の場合、結膜部分の充血の他にも目やにが多く出ることが特徴です。原因となる細菌として黄色ブドウ球菌やインフルエンザ菌などが挙げられます。 特に黄色ブドウ球菌は人間の肌や喉・鼻に存在している菌で健康で免疫力が備わっている時は、特に影響をもたらしません。しかし、体の抵抗力や免疫力が低下した時に、不衛生な手のまま目をこすったり、コンタクトレンズの付け外しをした時に結膜炎を発症してしまいます。
・ウィルス性結膜炎
ウィルス性結膜炎は細菌性結膜炎よりも感染力が強く、集団感染の危険性のある病気です。ウィルス性結膜炎も目の充血の他に大量の目やにや目のゴロゴロ感、涙やまぶたの晴れなどの症状が特徴です。ウィルス性結膜炎の場合、目やにに特徴があり、糸を引くようなねばねばとした白い目やにが出ます。
ウィルス性結膜炎の原因となるウィルスにはアデノウィルス・エンテロウイルスなどがあります。その中でもアデノウィルスによる結膜炎が特に多く見られます。アデノウィルスの感染力は強く、ウィルスの付着したタオルで目をこすってしまうと感染したり、プールの水を介しても感染することがあります。
ウィルス性結膜炎にかからないためにも日ごろの手洗いの習慣・タオルや目薬を共有しない・プール後には目を洗うなどの対策が必要です。
・アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎はよく見られるのが花粉症やハウスダストによるものです。花粉やハウスダストがアレルゲンとなり、目にアレルギー反応を起こさせます。アレルギー性結膜炎の症状は、目の充血のほかに目の異物感・かゆみ・まぶたの腫れがあります。目の症状ばかりでなく、アレルギー性結膜炎で悩まされている方のほとんどは鼻炎や気管支喘息などの症状にも悩まされている方が多いです。
・その他
上記の3つ以外にも目の酷使やドライアイ・コンタクトレンズの長時間使用・紫外線の影響も考えられます。特に近年ではパソコンやスマートフォンの普及により、目を酷使する人が増えています。そういった画面を集中してみている時は、どうしてもまばたきの回数が減ってきます。まばたきは涙を目の表面に行き渡らせる働きや涙を生成するように脳に働きかけるといった役割もあります。よってまばたきの回数が減ってしまうと涙の量が減って目が傷つきやすくなってしまい充血してしまいドライアイや眼精疲労の症状が出てしまうのです。
毛様充血は黒目に近づくにしたがって充血が濃くなってくることが特徴です。毛様充血の場合、まぶたの裏の充血は見られません。黒目の部分は角膜と言いますが、角膜はカメラでいうレンズの枠割があり光の屈折に影響を与えて網膜にピントを合わせる働きがあります。毛様充血は、結膜充血よりも重篤な疾患が隠れている場合があり、すぐに病院で検査を受ける必要があります。
毛様充血に隠れている病気として角膜炎・強膜炎・ぶどう膜炎・緑内障などがあります。
・角膜炎
角膜はちょうど黒目の部分で角膜炎はその部分い炎症が起こったです。原因は外傷や細菌・ウィルス感染によって起こるものや原因不明のものもあります。感染性の原因となるものとして、真菌・アカントアメーバ・ヘルペスウィルスなどがあります。
・強膜炎
強膜炎は充血が強く出て痛みも伴います。原因として自分の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患や梅毒・結核・サルコイドーシスなどがあります。また原因が分からない場合も多く眼科領域の中でも実態が分かっていない病気のうちの一つです。
・ぶどう膜炎
ぶどう膜は、強膜とぶどう膜の中間に存在して虹彩・毛様体・脈絡膜の3つがあります。瞳孔から入る光の調節や水晶体の厚さを変える働きなどがあり目にとってとても重要な組織です。このぶどう膜が炎症を起こしてしまうと、視力の低下・目の痛み・充血・光の量がうまく調節できない・かすみ目・飛蚊症など様々な症状を呈します。原因は、ぶどう膜炎と診断されても3人に1人は原因不明です。原因が分かるもので多いものとしてサルコイドーシスや原田病、ベーチェット病などが挙げられます。
・緑内障
緑内障は、網膜上で入ってきた光の情報を脳へと伝達する視神経に異常が生じてしまい視力低下や視野欠損が見られる疾患です。硝子体の中の房水が排出と産生のアンバランスを起こして視神経を圧迫することにより、緑内障が発症しますが、急激に眼圧が高まることで目の充血が見られることがあります。充血の他にも急激に眼圧が上昇すると目の痛みや頭痛、吐き気なども伴います。
結膜下出血は結膜の下にある毛細血管が破れて出血したものです。原因は、過度な飲酒・くしゃみや咳・外傷などによっても起きる可能性があります。
目の出血が明らかにわかり心配になりますが、多くの場合は1~2週間で自然に吸収されることが多いです。症状もほとんどなく、結膜下出血の場合、目の痛み・かゆみや視力低下などの症状も伴いません。 しかし、頻繁に網膜下出血を繰り返す場合血管の異常である動脈硬化や高血圧・糖尿病などが隠れている場合があります。
網膜下出血の場合、血管が破れて出血したものなので結膜充血や毛様充血などとは違い血管の走行が見えないことが特徴です。

・目の酷使をしない
特に現代ではパソコンやスマートフォンを見る機会が仕事・プライベートでも増えてきています。そういった画面を集中的に見ている時は自然と瞬きの回数が減るということがわかっています。瞬きの回数が減少してしまうと涙を生成する機能が低下してドライアイとなり、目の疲労や目の充血につながってしまいます。パソコン・スマートフォンを使用している時は40~60分ごとに休憩時間を設けて目を休めるように心がけましょう。また意識的に瞬きをすることも効果的です。
・コンタクトレンズの取り外しと使用時間
コンタクトレンズを取り外しするときは必ず手を洗い衛生面を保つことを心がけましょう。手が不衛生のままコンタクトレンズの取り外しをしてしまうとそこから菌やウィルスが侵入してしまい、目の充血・炎症につながってしまいます。コンタクトレンズを日常的に着用するような人は特に注意してください。またコンタクトレンズの長時間の着用もコンタクトレンズの汚れや目の表面が乾燥することで目の充血の原因となってしまいます。
・部屋の湿度とエアコンの風
部屋の湿度が低い状態ですと目の乾燥を招き、目の充血につながりやすくなります。エアコンの風も直接目にあたらないように気を付けましょう。
・アイメイク
まぶたの内側には目の表面のうるおいを保つ役割を持つ油が分泌されるマイボーム腺があります。その部分をアイメイクにより化粧で覆ってしまうとうまく油の分泌が行われずにドライアイとなり、目の充血とつながってしまいます。
・紫外線
外出時はサングラスや帽子をかぶるなどして直接紫外線が目にあたらないように気を付けましょう。紫外線は目の組織を傷つけてしまい、目の充血へとつながってしまう危険性があります。
・睡眠
十分な睡眠がとれずに体の疲労が蓄積されると目へも影響が出て眼精疲労や目の充血、ドライアイなどの原因となってしまいます。
症例
40代 男性
一か月前から目が充血しはじめて、時間がたてば治まると思ったが全く治らなかったので、来院した。普段はプログラミングの仕事をしており長時間のパソコン作業が日課になっている。眼精疲労は常にあるが、目薬して誤魔化している。
目の表面の痛みはなく、どちらかといえば奥の方が痛い。
睡眠時間は4~5時間程度で常に体の疲れ、だるさがある。
当院の治療
目の表面の痛みがない事や、長時間のパソコン作業、睡眠時間、白目の充血具合を踏まえて考察した結果、炎症による物ではなく、強度な眼精疲労が原因による物と判断しました。
首肩コリは自覚がないという事でしたが、触診してみると張りが強く、眼の血流を阻害している原因の一つと考えました。
まず、自律神経測定器で自律神経やストレス度をチェックしたところ交感神経が高くなっており、精神的ストレス、肉体的ストレス共にやや高い状態でした。
施術はうつ伏せで首肩の筋肉を緩める治療から入り、仰向けでは眼の周りに鍼を刺し、電気を流して血流改善を促し、同時に自律神経調節治療も行いました。
1回目
充血の変化はないが、身体や目の疲れは取れやすくなった
2回目
眼精疲労が軽快してきた
3回目
少し赤みが取れてきた
4回目
両目とも中心部分はほぼ赤みが取れたが、外側が残っている
5回目
外側も少しずつ薄くなってきた
6回目
全体的に充血軽快
7回目
ほぼ気にならなくなった
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の高血圧に対する治療目的は、まず第一に鍼灸治療を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えます。中医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、全身治療を行うことにより自然治癒力を高めます。

また高血圧は中医学的に見ると「心」「腎」「肝」作用不足や相互関係の崩れなどで発症すると考えられているので、鍼灸治療を用いてツボを刺激することで「心」「腎」「肝」の作用不足を補ったり、相互関係の崩れを修復するように治療します。その他高血圧の患者さんでは頭痛や肩こり、慢性的な痛みを訴える方が少なくありません。そういった患者さんには頭痛や肩こりの解消、痛みの緩和を目的とした治療も並行して行っていきます。

当院の鍼灸治療による高血圧の治療は、降圧を目的としてそれにより、高血圧の合併症を予防することです。
また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しで高血圧が正常に回復できる機会を提供することです。それにより、患者さんの仕事の質の向上や生活の質の向上、生活習慣病の予防が期待できます。
高血圧は、中医学でいう「心」「腎」「肝」が深く関係していると考えられています。
ⅰ)心腎不交
中医学では「心」と「腎」の正常の関係は「心の陽気」が「腎の陰液」を温め養って、逆に「腎の陰液」も「心の陽気」に栄養を与え、陽気が強くなり過ぎないように抑制する相互関係を保っています。しかし、その関係が疲労や慢性病、精神的緊張などで崩れると「心の陽気」を抑えきれずに「心火」に変化して上昇したり、「腎の陰液」を消耗しすぎて「腎陰虚」という病態が発生したりします。
「心腎不交」は高血圧の他に不眠症や自律神経失調症、更年期障害、甲状腺機能亢進症なども引き起こすと考えられています。
ⅱ)肝陽上亢
「肝陽上亢」とは「肝」の陰液不足で、「肝陽」を抑制できずに「肝陽」が上昇することです。また「肝」と「腎」の関係はとても深くどちらかが不足した状態になるともう一方も不足した状態になりやすく「肝腎同源」ともいわれます。よって「腎」の異常は「肝」にも影響を与え、「腎陰」不足は「肝陽上亢」の症状を呈する事もあります。
「肝陽上亢」は高血圧の他に上半身とくに顔面や頭部に明らかな熱の症状が見られ、自律神経失調症や更年期障害、慢性肝炎、慢性腎炎、不眠症なども見られます。
70代 男性
数年前より血圧が高く、降圧剤を服用していた。薬を飲み続けると内臓などに負担がかかるということを知人からきいてできれば、薬の服用をやめたいと思い当院にご来院されました。
また、首肩のコリ・慢性的な腰痛の症状もあり、高血圧の治療と並行して行っていきました。
治療は主に自律神経の調整治療と血流の改善、硬い筋肉を緩める治療をして行きました。
治療経過
◇1回目◇
首肩や腰の症状は一回でだいぶ改善されたとのこと。血圧にまだ変化は見られない
◇2~8回目◇
一週間に一回ほどのペースで治療、全身の調整治療をして行きました。毎朝家で血圧を計測していただき、その経過をみていきました。
治療開始から2か月ほど経過した時に徐々に血圧が下がっていき、降圧剤を飲んでいると血圧が低すぎる値にまでなりました。処方していただいている医師と相談していただき、徐々に薬を減らしていくことになりました。
60代 男性
約10年前、健康診断で高血圧が分かった。最高血圧165mmHg、最低血圧が120mmHg。
飲酒・喫煙をやめ、食事も減塩をこころがけるなど生活習慣を改善したが、数値は変化なし。運動は毎日2.5キロのジョギングを行っている。
薬の服用に抵抗があるため、鍼灸や漢方で治していきたい。
以前までほかの鍼灸院に通院していたが、5回定期的に通っても変化がみられなかったため当院に来院された。
当院の治療
本人は無自覚の身体のこりがあり、自律神経測定器の結果からも交感神経が高く緊張状態が強いことがわかった。また、手足も冷えており血行不良もみられた。
身体が冷えると末端まで血液を送り込もうと心臓のポンプに圧力が加わり血圧があがることもあるため、自律神経の調整と四肢末端の血流改善を行い、心臓の負担を減らすように治療をした。
治療経過
◇1回目◇
特に変化なし。
◇2回目◇
初回治療の翌日150mmHgまで低下した。2日目からはもとに戻った。
◇3回目◇
前回と同様で大きな変化なし。
◇4回目◇
最高血圧150mmHgまで低下。
◇5回目◇
4回目から1か月半あいて来院したが、血圧は最高150mmHgを維持している。
正常血圧を目指して今後も継続して経過をみていく。
高血圧とは動脈内の圧力が異常に高い状態のことです。
心臓はポンプのように毎分60~70回くらい血液を血管へと押し出しています。心臓が収縮して血液を押し出した瞬間は、血管に一番強く圧力がかかり、最高血圧といいます。
そして収縮した後に心臓が拡張する時には、圧力が一番低くなり、最低血圧といいます。最高血圧と最低血圧のどちらが高くても高血圧といいます。
血圧は重症度によって分類されますが一般的に最高血圧140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上に保たれた状態を高血圧といいます。日本人では40~74歳の人のうち男性は約6割、女性は約4割が高血圧にかかっていると言われており、日本人に大変多い疾患です。
血圧を調節しているのは、無意識下に体内の代謝などを調節する神経系の一部、自律神経系の交感神経と腎臓です。何らかの脅威に対する体の生理的反応が起こると、交感神経はいくつかの方法で一時的に血圧を上昇させます。腎臓も血圧の変化に直接的に反応し、血圧が上昇すると、腎臓が塩分と水分の排出量を増やすので、血液量が減り、血圧は正常に戻ります。
また血圧が低下すると、腎臓はレニンという酵素を分泌して血圧を上昇させます。
血圧は運動後やカフェインが含まれている飲み物を飲んだ時、たばこを吸ったりすると上がり、安静時には下がります。また時間によっても変動して、朝が最も高く、夜寝ている間が最も低くなります。
血圧は変動しやすく、また病院や診療所で血圧を測るときだけ高血圧を示す場合もあり、一回の測定で高血圧を示すことが問題なのではなく、血圧の高い状態が続いた時に問題となります。
最近では家庭血圧計が普及していますが、家庭でリラックスした状態で測定した血圧値のほうが、診察室で医師によって測定された血圧よりも将来の脳卒中や心筋梗塞の予測に有効であるという疫学調査結果が出ています。
高血圧に自覚症状はほとんどなく、人によっては高血圧と診断される直前から肩こりがひどくなった、頭痛がするようになったなどと訴える場合もありますが、これは高血圧の特有の症状ではないので、症状だけでは高血圧を見つけることはできません。
高血圧は、症状がほとんどないままに、長年にかかってひそかに血管を蝕んでいくため「サイレント・キラー」とも呼ばれています。
血管を流れる血液の圧力が高くなると、つねに血管に刺激がかかって、血管内皮から血管収縮物質が分泌される事で、血管内皮が障害されます。またこの修復過程で動脈硬化の原因となる物質が形成されます。それと同時に血液を高い圧力で送り出しているのは、心臓なので、心臓が多くのエネルギーを必要として疲れやすくなります。
ⅰ)脳卒中
脳梗塞と脳出血は、高血圧ととても深い関係にあります。高血圧により動脈硬化となると、それは全身に広がって血液の流れを悪くしますが、時に多くの血液を必要とする臓器である脳や心臓に害が及びます。動脈硬化により脳血管が硬くなると血液の流れが悪くなり、そこに血の塊ができて血管がつまりやすくなります。これが脳梗塞です。
一方、硬くなった細い血管はもろくもなりやすく、そこに高い圧力がかかると脳の血管が破れて、脳出血がおこります。
ⅱ)虚血性心疾患
心臓の筋肉に酸素と栄養を運ぶのは冠状動脈と呼ばれる血管で、これが硬くなると血液の流れが滞ってそこに血の塊ができやすくなります。そして血管が詰まって心筋が血液不足になり、狭心症や心筋梗塞などを引き起こします。
ⅲ)腎障害
高血圧は脳卒中や心臓病以外にも腎臓も影響を大きく受ける臓器です。腎臓は、血液の中からいらない老廃物や有害なものをろ過してとりだして尿にし、体外に出すという大きな役割を担っています。
そのため腎臓の本質部分は、糸球体という毛細血管の集合体になっており、動脈硬化がおこって血液の流れが悪くなると、腎臓の働きは低下します。糸球体は再生しないため、最終的には腎不全となり、人工透析などの治療を受けなければならなくなります。
ⅳ)心臓肥大・心不全
高血圧が長い状態続くと、心臓の仕事量が増えてそれに対応しようとして心筋が肥大していきます。肥大した心筋はさらに高血圧の負荷によって拡張し、最終的には心不全に陥る可能性があります。
ⅴ)高血圧脳症
これまで述べてきた慢性的な影響とは別に急激な高血圧により、脳圧が亢進し、頭痛・視力障害などの急性症状を引き起こした状態を高血圧脳症と呼びます。
高血圧の原因は様々なことが考えられるが、その中ではっきりと原因がわかる高血圧は、全体の1割にも満たしません。日本人の高血圧の大部分は原因が特定できない高血圧なのです。
ⅰ)本態性高血圧
本態性高血圧は、原因がはっきりと特定できない高血圧で日本人の高血圧のほとんどがこれにあたります。両親からの遺伝素因に加えて、生後の成長過程、日々の食事、ストレスなどの生活習慣が複雑に絡みあって生じると言われています。
ⅱ)二次性高血圧
二次性高血圧は、原因がわかっている高血圧で、原因として次のような疾患があげられます。
当院ではまず、女性ホルモンと深く関与している自律神経のバランスや血管の状態を自律神経測定器で測定させて頂き、お身体の状態を診ていきます。
自律神経とホルモンバランスの調整は脳の視床下部でコントロールされているため自律神経のバランスが乱れると引きずられるようにホルモンバランスも乱れを生じやすくなります。そのため、ホルモンバランス、自律神経のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与えます。

また、腰部、下腹部、下肢の冷えや筋肉の緊張があると子宮の血液循環が悪くなりやすく、自己治癒力も低下してしまいます。そのため鍼やお灸を用い下半身を温め、筋肉の緊張を緩和する施術をしていきます。下半身の血液循環を促進する事で子宮や卵巣など骨盤内に十分な酸素と栄養が行き届き、健康な細胞に生まれ変わる作用を促します。

当院では、さまざまな種類のお灸を用いて下腹部・下肢を中心に身体全体を温めていきます。
・電子温灸器
お腹をしっかりと温めていきます。もぐさを使うお灸とは異なり、持続的に熱を入れることが可能で火傷の心配もありません。

・灸頭鍼
さした鍼の上にもぐさをのせて火をつけていくことでお灸と鍼の両方の効果が期待できます。

・長生灸
簡易式のお灸で腰部や肩部などに行っていきます。

・点灸
直接皮膚にもぐさをのせて線香で火を付けます。もぐさが燃え消える前に火を消すたやけどの心配はございません。ツボにピンポイントに熱を入れる際に行っていきます。

東洋医学的に診ると子宮筋腫は、五臓六腑の『肝』の「疏泄を主る」という機能が深く関係していると考えられています。肝の疏泄を主るという機能は、すみずみまで気や血を体の細部に送り届ける機能のことをさします
。疏泄を主るという機能が正常に働くことで体の機能が正常に保たれたり、情緒を安定させて精神状態の安定化もつかさどっているのです。また、自律神経の部分にも作用して全身の各機能が正常に行われるようにもしています。
その疏泄を主るという機能が不調となってしまうと気がうっ滞した病態となってしまいます。東洋医学では肝の機能以上によって生じた気がうっ滞してしまった状態を『肝気鬱結』といい、機体の病態から血おや陰虚の病態へと悪化してしまうこともあります。肝気鬱結は憂うつ感や情緒不安定などの精神的な状態の他にも食欲不振や嘔吐、便秘、月経痛、月経不順などの病態も症状として現れます。このほか、肝気鬱結によって血管運動神経系の失調が続いてしまうと、血も滞ってしまい、子宮筋腫などの腹部の腫瘍も生じてしまうことがあるのです。
鍼灸治療では、肝に関するツボを刺激して肝の機能を正常化するような施術を行っていきます。
子宮筋腫とは子宮を形成する筋肉(平滑筋)の細胞が増殖して出来る良性の腫瘍です。
腫瘍自体に命への危険性はありませんが、放置すると大きく成長してしまい10kgを超えるような大きさまでになることもあります。子宮筋腫の代表的な症状は経血量の増加です。しかし、子宮内膜症などとは違い月経痛はそれほど強くならないようです。
他にも生理周期が乱れたり、月経以外の出血、下腹部痛や頻尿、排尿痛を伴うこともあります。子宮筋腫の詳しい発生原因はいまだ解明されていませんが、初潮前の女性には見られず、閉経後には腫瘍が小さくなることから、「エストロゲン」という女性ホルモンが関わっていると考えられています。
そのため、ホルモンの分泌の盛んな30才以上の成熟期に多く見られ、成人女性の4~5人に1人がなると言われるほど身近な病気です。この説の他に免疫力の低下やストレスの影響なども考えられています。
子宮筋腫は出来る場所と発育する方向によって、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫の3つに分類されます。現れる症状はその大きさよりも出来る場所に影響を受けます。
・粘膜下筋腫
子宮の内側を覆う子宮内膜のすぐ下に出来る筋腫で、子宮の内部に向かって発育する筋腫です。
子宮筋腫の中で発生頻度は低いですが筋腫が小さくても症状は重くなりやすいのが特徴です。不正出血、貧血、動悸、息切れ、月経過多、月経期間が10日以上続く「過長月経」などを引き起こします。粘膜下筋腫は筋腫の中でも月経過多により貧血の症状が出やすいといわれています。
また、筋腫が大きくなり膣や子宮頚管の中に押し出される「筋腫分娩」になると不正出血時の量が多くなります。不妊や早産の原因となりやすく手術が必要になるケースも多くあります。
・筋層内筋腫
子宮内膜の外側にある「子宮筋層」という筋肉の層に形成される筋腫です。
子宮筋腫のうち約70%と最も多くみられる筋腫で、小さい時はほとんど無症状ですが、筋腫が大きくなるにつれて子宮も大きくなり変形します。子宮が強く収縮する事で下腹部痛や腰痛の他、過長月経、頻尿、便秘などを引き起こす事があります。出来た場所や大きさによっては不妊や流産の原因にもなります。
・漿膜下筋腫
子宮の外側を覆う漿膜のする下に出来る筋腫で子宮の外側に向かって大きくなります。
無症状のことがほとんどなので気付きにくく、粘膜下筋腫、筋層内筋腫と比べて過長月経の症状は少ないのが特徴です。筋腫が捻じれて「茎捻転」を起こすと急激な腹痛を引き起こします。

婦人科の検診、内診など
・超音波検査
これらの検査でおおよそ子宮筋腫かその疑いがあるかが分かります。
・子宮筋腫の検査
MRI,CTなどの影像による検査、貧血検査、腫瘍マーカー検査、血液検査、子宮卵管造影検査、子宮鏡検査、子宮癌検査、心電図検査などから症状に応じて検査が選択されます。
治療方は筋腫の大きさや位置、症状、年齢や本人の希望等を医師と相談して選択していきます。良性のコブですから症状が出ていないのであれば治療をせずに経過を見ていく事もあります。
・薬物療法
女性ホルモンの「エストロゲン」が子宮筋腫の発生、発育に関係していると考えられているため「GnRHアゴニスト」などの薬剤でエストロゲンの分泌量を抑え、子宮筋腫を小さくする方法がとられることもあります。他にも漢方薬によってホルモンバランスを整え、根本的な体質改善を目指す方法もありますが筋腫自体の治療に用いられることは稀です。
・手術
薬物療法でも症状が緩和されなかったときには子宮そのものを取り除く子宮全摘術や、腫瘍のある部分だけを取り除く筋腫核出術が検討されます。
その他にも子宮に栄養を供給する血管を薬で閉じて筋腫への栄養を断ち筋腫の成長を止める「子宮動脈塞栓術(UAE)」と超音波の力で筋腫を小さくする「収束超音波治療(FUS)」などの新しい治療法がありますが、子宮の機能を低下させる恐れがあります。
子宮筋腫が出来てしまうと受精卵が着床するスペースが減ってしまうだけでなく、子宮の内壁が硬くなったり、変形したりと受精卵が着床しずらい状態が引き起こされてしまい、初期流産を引き起こす可能性が高くなります。
また、卵管付近の筋腫は卵管が精子や受精卵を運ぶ機能を低下させ、卵管自体を閉塞させて受精卵の移動を妨げます。明らかな不妊原因になっている場合は子宮筋腫の摘出手術を行う事もありますが、子宮筋腫があっても100%妊娠できないわけでは無く大きさや場所によるため産婦人科の医師との相談によって治療法を選択していきます。
症例
40代 女性
一年前に子宮筋腫と診断されて、病院で定期的に通院、治療を行ってきたが、ここ最近になって症状が強くなってきた。症状は不正出血、月経不順で出血量が多く、常に貧血に悩まされていて鉄剤が欠かせない。痛みなど他の症状はない。
当院の治療
まずお身体の状態を細かくチェックするため、触診や脈診をさせていただきました。
脈は細く、特に腎経と肺経の脈が弱くなっていました。腹部は全体的に冷えており、下肢の冷えもかなり強いです。
お仕事の影響で生活が不規則になり、ストレスも強く感じている様子でした。
まず、仰向けで自律神経調節治療に加え、足や腹部の冷えを取るため鍼とお灸を施し子宮の血流循環の促進を目的とした施術を行いました。
次にうつ伏せになり首肩や背中、腰の緊張を取る施術や、仙骨の八りょう穴という女性ホルモンに効果的なツボを刺激し、骨盤血流量を増加させました。
1回目
まだあまり変化はないが、施術後は身体がポカポカして気持ちよかった。
2回目
出血量が少し減少した。
3回目
出血量がさらに減少し、貧血の症状が軽減。
次回から変化を見るため週1の間隔から、週2に変更。
4回目
2週間空けたが、調子はいい。
5回目
忙しくて睡眠時間が短かったせいか、少し出血したが以前よりは少ない。
6回目
ほとんど出血していない
現在、経過観察中
まず、首肩のコリに対する治療を行っていきます。心臓から目に送られる血液は首の血管を通ります。首肩が硬くなっていると、コリにより血管が圧迫されてしまい良い血液の流れを阻害してしまいます。また、役目を終えた古い血液も心臓に戻りにくくなり、頭部に悪い血液が留まってしまいます。

次に、目の周りのツボに鍼を打ち、さらに微弱な電気を流す事によって目の血流の改善と電気の刺激により網膜の癒着を緩めていきます。

光視症の治療は目や筋肉に対するものだけではなく、「肝」や「腎」といった東洋医学的な五臓六腑の調整と自律神経のバランス調整を加えることにより、疲労の蓄積やストレスの軽減といった体質改善を行い、光視症の改善や症状の進行を防止していきます。
東洋医学では目は五臓六腑の「肝」と深くかかわりがあると考えられています。そのため「肝」の機能が低下すると目に異常が出やすいといわれています。肝は血液の流れをコントロールしたり血液を貯蔵する役目があり、肝の機能が低下することにより全身に回る血流が低下してしまいます。特に目は血液が届きにくい場所でもあるため、目に何かしらの異常が出やすくなってしまいます。これを「肝血虚」といいます。
また、高齢者や慢性的な疲労を抱え込む人の場合は肝だけではなく、「腎」の機能低下も目に影響されるといわれています。「腎」は、東洋医学的には生命力を表しており、加齢や慢性的な疲労やストレスにより腎の力が弱まっていきます。
血液は骨髄でも作られるのですが、東洋医学では骨髄を司っているものは「腎」であり、腎がうまく働かなくなると血液が作られなくなるのです。血液の製造力が低下すると、血液の量も少なくなってしまうので、目の虚血状態が生まれてしまうのです。これを「腎虚」といいます。
光視症とは硝子体剥離や網膜剥離の前兆によって起こる症状の1つで、目に光が当たらない状態や暗いところにもかかわらず突然稲妻のような光が視界を走る症状の事をいいます。光視症は中高年に発症しやすく、飛蚊症と同じように網膜剥離や網膜裂孔の初期症状として現れる事もあります。
また、片頭痛に伴うチカチカ光が見える症状は閃輝暗点とも言われ、原因ははっきり解明されていませんが脳の血管が急激に収縮し、視覚を司っている視覚野への血流量が一時的に減少する事で起こると言われていて、片頭痛の前兆に閃輝暗点が起きることでも知られています。末梢性の物を光視症、中枢性の物を閃輝暗点と2つに分類されます。

光視症は、硝子体が網膜から剥がれようとする硝子体剥離の前触れとして起きる事が原因ですが、若い時は硝子体は透明なゼリー状になっているのですが、老化が進むとゼリー状のものが液化と収縮をし、その変化から硝子体と映像を脳に伝えるフィルムの役割をする網膜の間に隙間ができ硝子体を包む膜が網膜から分離します。
この状態を硝子体剥離と言いますが、硝子体と網膜の癒着が強いとその部分はすぐに剥がれようとせず、目を動かすたびに硝子体が揺れて網膜が引っ張られます。その時に生じる牽引力を網膜は光の信号として変換してしまい、視界に光が発生したように見えてしまいます。
これらは、老化やストレス、過労や睡眠不足、強い近視が引き金になって起きるのですが、ストレスの蓄積や老化が始まると自律神経が正しく働かなくなります。そうすると自律神経がコントロールしている血液循環も悪くなり硝子体に異常を起こしてしまいます。
他には、打撲やコンタクトレンズの不適切な使用により角膜に傷がついたり、細菌やウイルスなどによる角膜の感染というような角膜の異常や急激な眼圧の上昇でも光視症が起こることがあります。
閃輝暗点は、光視症とは違いモザイク模様のようなチカチカした光やノコギリの様なギザギザした光、水面から反射したような光が15分~30分くらい見えることがありますが、光視症は閃輝暗点と違い、瞬間的に稲妻や流れ星のような光が走ったり、光が点滅しているように見えます。
特に、視野の外側に見えることが多く、目を動かしたり頭を振るときに症状が現れやすいのが特徴です。
網膜剥離や網膜裂孔、硝子体剥離の初期症状として、視界にゴミや蚊が飛んでいるように見える飛蚊症の症状以外にも、こうした光視症の症状も出る場合もあるので注意が必要です。
光視症は、硝子体剥離や網膜剥離、片頭痛の前触れが原因として起こるため、それらの治療を行っていきます。加齢による硝子体剥離は時間が経つと自然に回復していくため病院での治療は経過観察のところがほとんどですが、網膜剥離や網膜裂孔を起こしている場合はレーザーで傷を塞ぐレーザー光凝固術や硝子体手術を行います。片頭痛の場合は、脳の拡張しすぎた血管を元に戻す薬や、神経の活動を抑える薬を使用して治療していきます。
光視症は網膜の強い癒着で症状が出現しますが、硝子体と網膜が剥がれると症状はなくなります。しかし、癒着が強い状態で剥離を起こすと網膜が裂けてしまい失明の危険もあるので、眼科医への受診が必要です。
症例
50代 男性
ある日気が付いたら電気が走るような光が見えるようになった。特に、首を動かすと視界の外側に光が見える。飛蚊症も以前から発症していたため念のため眼科で検査を受けたが異常が見つからなかった。
疲労の蓄積や睡眠不足、目の使い過ぎの時に光視症が発現することが多い。
普段はIT関連でエンジニアの仕事しているため長時間のデスクワークをしている。
そのため、眼精疲労や肩こり、ひどくなると頭痛が起こる。
当院の治療
まず自律神経測定器で自律神経やストレスの状態を確認したところ、精神的ストレスと疲労度がやや高く、自律神経も交感神経が非常に高く副交感神経が低い状態でバランスが乱れていました。お話を伺うと睡眠時間が平均5時間程度と短く、疲れがなかなか取れない状態が続いていました。
また、首肩のコリも強く緊張していたため、うつ伏せで首肩の筋緊張の緩和を目的とした施術を行いました。
次に、仰向けで目の周りの経穴(攅竹、魚腰、太陽、四白)に鍼を打ち、低周波の電気を流し刺激をしました。同時に副交感神経を働かせるため、自律神経調節治療も行いました。
1回目
緊張したが、思ったより痛くなかった。
2回目
まだ変化はない。
3回目
首肩は軽くなってきたが、目の症状は変わらない。
4回目
光の見える頻度が少なくなってきた。
5回目
前回よりさらに減少。
6回目
気になることはほとんどなくなってきたが、首を振ると光が強く出る。
7回目
ほとんど気にならない。
当院の過敏性腸症候群に対する施術は、第一にハリやお灸などの刺激により自律神経のバランスを整える自律神経調整法を行います。
中医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、全身治療を行うことにより自然治癒力を高めます。
また過敏性腸症候群は東洋医学的に見ると「脾」や「胃」の機能低下が原因で発症すると考えられているので、鍼灸施術を用いてツボを刺激することで「脾」「胃」の機能を正常化させます。
また過敏性腸症候群の方は、手足の温度や体温が低い場合が数多く見受けられるので、腹部を温めるお灸などを施し、体の内側から温めることで全身の血流改善・体の冷えの改善を試みます。
その他過敏性腸症候群の患者さんでは頭痛・肩こり・慢性的な痛み・めまいなどを訴える方が少なくありません。そういった患者さんには頭痛・肩こりやめまいの解消・痛みの緩和を目的とした治療も並行して行っていきます。
当院の施術は、東洋医学の観点により少しでも過敏性腸症候群を改善できる機会を提供することにより、患者さんの仕事の質の向上や生活の質の向上が期待できます。

電気のお灸でお腹を温めて自律神経の調整を行います。

※鍼灸治療で腸の蠕動運動が活発化するという研究結果も
全日本鍼灸学会では、足三里と合谷への鍼刺激と腹部のツボ(中かん・天枢・関元)への鍼刺激によって腸の蠕動運動の指標であるグル音が亢進したという研究結果が報告されています。
また、研究では、過敏性腸症候群とクローン病患者ともに4年以上罹患期間があり長期の薬物療法を受けている方に鍼灸治療を行ったところ症状の改善とともに薬の量の減量もしくは中止することが出来たという報告もあります。
「鍼灸で過敏性腸症候群が改善する」
www.jsam.jp/pdflib/kiso_p10.pdf
過敏性腸症候群は、東洋医学でいう「脾」「胃」の病変が大きく関係していると考えられています。
東洋医学でいう「脾」「胃」は西洋医学でいうそれらとは違った役割・機能を持ちます。
たとえば東洋医学でいう「脾」は、消化器系全般の消化吸収機能・栄養代謝・体液調節の一部・免疫機能などの機能やリンパ系の循環などを含めた役割を担っています。
また、「胃」は、胆汁・膵液ならびに胃・十二指腸・小腸などの消化機能すべてを含めた役割を担っています。「脾」と「胃」は互いに密接な関係があり、「胃」が飲食物を消化して栄養物に変化させて「脾」が栄養物を吸収し、体中に運搬します。
また、その過程でできた不要物は、小腸や大腸に運ばれるのです。その際に「脾」「胃」に異常があると小腸や大腸にも影響を与えて下痢や便秘、腹部膨満感などを引き起こすと考えられています。
「脾」「胃」は熱や寒の邪気を受けると異常をきたしやすく(主に冷た過ぎる食べ物や熱過ぎる食べ物、刺激物)、またストレスなどにより「肝」の「情緒を安定させ精神状態を快適に保つ機能」や「視床下部・自律神経系の機能によって、全身の各機能が円滑に行われるように調節する機能」が低下すると、「脾」「胃」に影響を与えるといわれています。
過敏性腸症候群とは、腸の検査などを行っても炎症や潰瘍などの目に見える異常がないのにもかかわらず、慢性的な下痢・便秘などの便通異常と腹痛・腹部の張り感などの腹部症状を呈する症候群です。
過敏性腸症候群は、高頻度な心身症のうちの一つで、社会的・環境的ストレスなどにより消化器症状が増悪することが特徴です。文明が発展していくことに伴って、以前には見られなかった現代文明特有のストレスによる関連疾患が増加しており、過敏性腸症候群はその代表的な疾患です。
過敏性腸症候群により、QOL(生活の質)は著しく低下し、仕事の質にも影響を与えることから過敏性腸症候群の治療していくことはとても重要なことです。
30代 男性 会社員
一年前よりお腹の張り感と下痢の症状が出るようになってきた。会議での発表やお客様との大事な打ち合わせがある日の朝に特に感じるようになり、電車の中で腹痛に耐え切れなくなり、目的地の手前で降りてトイレに駆け込むこともあった。市販の薬などで対応していたが、ここ2~3週間で毎日のように症状が出るようになってしまい、さすがに心配になり胃腸内科を受診。
検査では特に大きな原因は見つからず、過敏性腸症候群と診断された。
胃腸内科から処方された薬を飲む以外にも治療法はないかとインターネットで探していたところ当院を見つけてご来院されました。
・自律神経測定の結果
お昼頃計測したのにもかかわらず副交感神経が非常に高い状態で、自律神経の乱れが出ていた。副交感神経は、日中低くて夕方・夜にかけて上がってきて自然と眠りにつくことが理想的です。この方の場合平日は夜遅くまで仕事しており、副交感神経の理想的な形とは真逆の反応が出ていると考えられます。また、寝つきも悪くてご本人としても眠りが浅い状態と感じており、朝目覚めてもすっきりした感じはない。
自律神経の状態を正常に戻すことが重要だと考えられます。
治療経過
◇1回目◇
鍼灸治療が初めてということもあり、弱い刺激でお灸は心地よい柔らかい暖かさのお灸法を用いました。治療後、体がすっきりした感じがあったとのことでしたが、次の日の朝には治療前と同じような症状が出てしまった。
◇2~3回目◇
1回目の治療後少しだるさが出てしまったが、少し横になるとだるさが取れてくるということで刺激の量も少しずつ増やしていきました。治療後の朝腹痛などの症状はあまり感じられなかったが、次の日には症状が戻ってしまっていた。
◇3~5回目◇
下痢の症状は治まってきたが逆に便秘になることもあり、下痢と便秘を繰り返すようになった。
◇6~8回目◇
夜寝つきが良くなってきた。時間のある時や出勤時間などにウォーキングなどの運動をすることで夜程よい身体の疲れを感じる。便秘も解消されてきた。
◇9~10回目◇
再度自律神経測定器で計測した結果、昼頃では副交感神経が前回よりも低く正常に近い値だった。下痢・便秘の状態も良く、体調が良いとのこと。重要な会議の前などは少し緊張して少し寝つきが悪かったり、腹部に違和感を感じることは少しある。
この方の場合、運動習慣もなく、お酒も毎日のように飲まれるということで食生活も乱れていました。当院での施術と並行して生活習慣も改善していただけるようなプログラムを組みました。現在も身体の調子を整えるという目的で定期的にご来院していただいております。
30代 女性 営業職
当院ご来院1週間前から下痢が続いている。内科で薬を処方されて服用しているが、なかなか改善されてこない。最近仕事でのストレスを強く感じており、特に朝出社する直前に腹痛及び下痢症状が出ることが多い。
日常生活でも普段から身体の冷えが強く、夕方以降は足のむくみもひどくなる。疲れた時は顔色が悪くなり、血色が悪く同僚からも心配されていたとのこと。睡眠や食事はとることができているが、食欲はなく食べる量も少ない。また朝疲れが残っていると感じる日が多い。運動は週末にパーソナルトレーナーの指導のもとでトレーニングやストレッチを行っている。
当院の治療
自律神経測定器の結果、自律神経の乱れがあったのでまず第一に自律神経を整える目的で施術しました。下肢のむくみや冷えに関しましてはお灸を多用して施術して改善をはかります。東洋医学的検査法の脈診や舌診を行った結果、『肝血虚』『脾胃陽虚』だったのでそれらを整える治療もしていきました。
治療経過
◇1回目◇
鍼灸治療が初めて刺激に対して少し不安があるということで細い鍼・熱すぎないお灸を用いて弱い刺激を心掛けました。治療を受けた日の夜は寝つきが良く、深い睡眠がとれたとのこと
◇2回目◇
治療後、身体の疲れが取れてきていると実感。まだ朝は腹痛や下痢症状が出る。週末以外にも軽いストレッチやウォーキングをしてもらうようにした。
◇3回目◇
身体の冷え・疲れがだいぶ取れてきた。脈診をしても脈に力が出てきて「肝」や「脾」もだいぶ回復してきた様子
◇4回目◇
週に2日ほどしか朝の下痢・腹痛症状を感じなかった。以前は薬を飲んでもあまり効果がなかったが、同じ薬でも症状が止まり効果が出るようになってきた。
◇5回目◇
ほぼ朝の症状を感じなくなった。食欲も出て睡眠も深くなり身体の疲れも感じにくくなった
◇6回目以降◇
今まで週に1~2回のペースで治療を受けていたが間隔を空けて治療を受けるようになった。どうしても仕事などで疲れることもあるので今は1か月に1~2回のペースで通院加療中。
過敏性腸症候群 20代女性
もともと精神的ストレスが強く胃腸も弱い体質であったが、半年前に強いストレスを受け下痢と便秘を繰り返すようになった。とくに電車通勤時に腹痛が出現することが多く、非常に苦痛になっている。仕事も忙しく、ここ最近はゆっくり寝れていない。
全体的に腹部の張りが強く、特に左側と下腹部に軽度の圧痛がある。手先足先末端の冷えが強い。デスクワークのためか首肩の強い筋緊張がみられる。
痩せ型で、全身的に筋量が少ない。
当院の治療
ストレスにより自律神経が乱れが腸の機能に異常をきたしていると考え、まず自律神経調節治療を行いました。
さらに内臓の負担を軽減するため腹部に鍼を打ち、筋緊張の緩和を目的とした施術を行いました。
また、うつぶせの状態で五臓六腑のツボを刺激し、東洋医学の観点に基づいた全身の調節を行いました。
治療経過
◇1回目◇
とてもリラックスできた。当日は便秘だったが、少し排便することができた。
◇2回目◇
便秘と下痢の波が少なくなってきた。
◇3回目◇
お腹の筋緊張が緩和してきた。鍼に対する緊張も和らいできた様子だったので、首肩コリの治療も開始した。
◇4回目◇
電車内での腹痛が減少し、電車に乗る不安感が減少。
◇5回目◇
良く寝れるようになった。
まだ少しお腹の調子が悪い時もある。
腹部のお灸を開始
◇6回目◇
前回から少し良くなったような気がする。
◇7回目◇
大きな変化はない
◇8回目◇
腹痛は気にならなくなってきた。
便秘はたまにあるが、頻度は少ない。
過敏性腸症候群は、消化管症状と同時に精神症状もあらわれます。不安感・睡眠障害・倦怠感・うつ病や自律神経失調症状などが多くみられます。
過敏性腸症候群もそれら精神症状も精神的・身体的ストレスが引き金と考えられており、合併頻度が非常に高いのです。
過敏性腸症候群は、20代~40代の女性に多く発症すると言われていますが、日々変化している現代社会において近年は、男性や小児・高齢者においても発症することが少なくありません。
一般的に便秘型過敏性腸症候群は女性が多く発症して、下痢型過敏性腸症候群は男性が発症しやすいといわれています。女性は大腸の収縮力が男性よりも弱く、大腸通過時間が遅くなることから便秘になりやすいと考えられています。
過敏性腸症候群の発生メカニズムは未だ十分に明らかにされていませんが、遺伝と社会環境・職業・教育環境などの環境要因の両方がその発生頻度に影響する可能性が考えられており、ストレスとの関わりが大きいです。
社会環境的な要因として農村部より都市部、発展途上国よりも先進国、一般人よりも医学部学生の発生頻度が高いという報告もあり、ストレスの大きいと考えられる環境の方が発症しやすいといえます。
過敏性腸症候群における症状は、下痢・便秘などの便通異常と腹痛・腹部不快感などの知覚に関するものに大きく分けられます。
一般的に消化管運動が亢進すると下痢が誘発されて消化管の圧力が上昇し、腹痛をも引き起こすと考えられています。また逆に消化管運動が低下すると便秘になると考えられます。
脳は消化管における運動・分泌・血流などを調節しています。一方、消化管からの情報は脳へ伝達され、脳から消化管へ伝えられる調節機能にも影響を与えます。すなわち、脳と消化管の間は一方通行ではなく、相互に情報が行き来しているのです。
近年、過敏性腸症候群ではこの脳と腸の相関関係がとても重要なことと考えられているのです。
様々なストレスは、自律神経のバランスを崩して、自律神経によって支配されている消化管運動に異常を起こし、さらに痛みを感じやすくさせます。そういった消化管異常は、便通異常を引き起こし、消化管内の圧力を上昇させて腹痛をも引き起こします。
そして便通異常や腹痛の情報は、脳にストレスを感じさせてさらに消化管異常や痛みを増悪させる、そういった負のスパイラルが過敏性腸症候群の病態把握として注目されています。
この負のスパイラルを解消するには、全体を診て治療するという東洋医学の特徴が重要であり、鍼灸施術が有効であると当院は考えています。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の中心性網膜症に対する治療の目的は、第一に目の周辺の経穴に鍼をさして(決して痛い鍼ではありません。またどうしても鍼が苦手という方には鍼をささずに治療する方法もあります。)温灸器で目の周囲を温めることにより目の血行を促進させます。また、刺激量を高めて治療を行う場合は電気針療法を施すことをもあります。

目の周りの血流量を高めることにより、網膜と脈絡膜の間に溜まっている漿液を排出するように促します。
また中心性網膜症は、ストレスとの関係が考えられていることから全身を診て施術していきます。特に当院では、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握した上で施術に入ります。自律神経は自分の意志とは無関係に働いていてくれている神経で目の働きともとても深い関係にあります。鍼灸治療で自律神経を整えることにより、目の不調が改善されることが多いです。

東洋医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能の障害が深く影響していると考えられています。肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。
また中医学では「肝腎同源」といわれており、肝血と腎精は互いに補い合っています。肝の異常は、すぐに腎にも影響をもたらし、またその逆もしかりです。
肝の機能異常や過労・睡眠不足が腎の機能に影響をもたらして腎の水を主る機能を減退させて中心性網膜症を引き起こしてしまうと考えられます。
中心性網膜症 男性 40代
二年前に物が少しゆがんで見えることから眼科を受診。中心性網膜症と診断される。
その時は、軽快したが体調により再発を繰り返す。
当院に来院する一週間前より症状が強く出ていた。
◆経過◆
◆1~5回目◆
目の症状あまり変化なかった。しかし、身体が軽くなり、夜しっかりと眠れるようになってきた。
◆6~10回◆
目視界の歪みが少しずつ軽減してきて視界が明るくなってきたと感じる。
◆11回◆
目の症状ほぼ気にならなくなった。
◆現在も体調管理のため2週に1回のペースで来院中
・考察
仕事の忙しさや夜眠れないこともあったことからストレスをとても感じている状態でした。
当院の自律神経測定器で自律神経の状態を測定したところ交感神経が優位な状態でした。仕事が終わるのも遅く、自律神経のバランスが乱れていたと考えられます。目の周りの血流改善、首肩の筋肉の緊張の緩和、全身の自律神経を整える治療を施し、効果が見られた症例でした。
症例2
中心性網膜症 男性30代
2か月前の朝に突然物が歪んで見えて中心が暗く感じた。少し時間をおいたら治るだろうと思い、そのままにして仕事をしていたら中心の暗さが朝よりも強く感じてきたため仕事を早めに切り上げてもらい眼科を受診された。眼科では中心性網膜症と診断された。ストレスが大きな原因だと言われ、ビタミン剤と血液循環を改善する薬が処方された。出された薬をに見続けて一か月経つが特に目の症状に変化がみられなかったため他に何かできることはないかと探していたところ、偶然当院のホームページを見つけてご来院された。
当院の治療
ストレスが大きな原因で自律神経を乱して末梢の血液循環が悪くなったことも考えられるので自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから治療をしました。自律神経測定器の結果、測定したのが夜8時だったのにもかかわらず、交感神経が高い状態で副交感神経の活動が低い状態でした。
また問診をして行くと、発症前から仕事が急に忙しく睡眠もしっかりとれずに体に疲れをすごく感じていたとのこと。
自律神経の調整・全身の疲れの改善を目的に治療をした後に目の周りを電気鍼療法で刺激していきました。
治療経過
◇1回目◇
治療後、普段感じていた目の疲れを感じなかった
◇2~4回目◇
視界の歪み・暗さはあまり変化が見られなかったが、深い睡眠がとれるようになり身体の疲れはだいぶ取れてきた。
◇5回目◇
眼科の検査で、網膜にできた滲出液のでっぱりが小さくなっていると言われたとのこと。
◇6~9回目◇
視界の歪み・暗さが少しずつよくなってきた。
◇10回目◇
眼科の検査で滲出液がほぼ吸収されていると言われた。視界も良好。
再発防止のため定期的に当院を受診されている
症例3
中心性網膜症 50代男性
一か月前に中心性網膜症と診断され、ビタミン剤や血流改善の薬を処方されたが改善されず、他の治療方法を試したく来院した。
左目に物が歪んで見える、黒いもやの様な物が視界の中心に見えるという症状があり、そのせいで非常に目が疲れる。
営業職のためストレスが感じやすく、生活習慣も乱れ気味で睡眠時間も平均5時間と少し短め。出張も多いので外食が増えている。ランニングやマリンスポーツが好きなので、休日はなるべく運動をしてストレスを発散している。
自律神経測定の結果
ストレスが慢性化しているという事だったので、まず自律神経測定器でお身体の状態を診てみました。
夜の時間にも関わらず交感神経が高く、副交感神経があまり働いていない状態でした。また、肉体的、精神的ストレスと共にやや高く、交感神経過剰の原因の可能性があると考えました。
血管老化度は運動習慣のおかげで実年齢と変わりないとても優れた結果が出ました。
治療方針
まずうつぶせで、首肩に鍼を打ち筋緊張を緩和、その後仰向けで眼の周りに低周波鍼療法を行い血流改善を目的とした施術を行いました。
また、自律神経測定器の結果をもとに、副交感神経を優位にさせ自然治癒力を高める施術も同時に行いました。
◇1回目◇
眼は大きな変化はない。施術を受けた日の夜はよく眠れた。
◇2回目◇
まだ変化はない。終わった後はリフレッシュできてスッキリする。
◇3回目◇
症状は変わらずだが、眼の疲れは軽快。今回から刺激量、電気の出力を上げてみた。
◇4回目◇
前回後、視界のゆがみが軽減。
◇5回目◇
黒いもやが薄くなってきた
◇6回目◇
さらにゆがみ、黒いもやが軽減
◇7回目◇
前回施術後の帰宅中、ほとんど気にならなかった
◇8回目◇
眼が疲れると歪みが出るが、それ以外は気にならなくなってきた
◇9回目◇
ほとんど気にならない
中心性網膜症とは、網膜の内側にある脈絡膜という組織から血漿が漏れ出して網膜の下に溜まってしまい、網膜がドーム状に剥離してしまう疾患です。
脈絡膜は、血管が多くあり、眼球に栄養を行き渡らせる働きがあります。
網膜は、視覚的な映像を電気的な信号へ変えて、脳へ情報を送るカメラのフィルムのような役割があります。
この脈絡膜と視細胞の間にある網膜色素細胞は、血管を透過する漿液全てが網膜に作用しないようにしています。しかし、この網膜色素上皮に異常が発生すると、漿液が漏れて眼底に浮腫ができます。
中心性網膜症の症状として
ⅰ)中心暗点
視野の中心が暗く見えます。
ⅱ)小視症
物が実際よりも小さく見えます。
ⅲ)変視症
物が歪んで見えます。
中心性網膜症は、30代~50代の働き盛りの男性に多い傾向にあり、片側の目に多く起こります。稀に両目に起こることがあり、多くは網膜剥離が治ることで症状が軽快してきます。
中心性網膜症の原因はいまだはっきりとはわかっていません。しかし、30代~50代の働き盛りの男性に多いことや過労や睡眠不足が続いたあとに起こることが見られることからストレスが目に悪影響をもたらして発症していると考えられています。
また、妊娠時期に発症することもあることからホルモンバランスの変化やステロイド剤などの副作用でおこることも考えられています。
中心性網膜症の原因は、いまだはっきりとした原因はわかっていませんが、働き盛りの男性にかかりやすいことから心身のストレスが大きな要因の可能性があると考えられています。当院にご来院される中心性網膜症も患者さんの中でもパソコン仕事や細かい作業を長時間行っていて発症してしまったという方が少なくありません。仕事が立て込んでろくに休みが取れずに睡眠時間が少なかったなどという日常生活でのストレスが大きかった方が発症しやすいと感じます。
・ストレスを溜め込まない
ストレスを溜め込むと心身に様々な悪影響をもたらすということは誰もが知っていることかと思いますが、目に関してもそうです。特に目は細かい毛細血管が多く張り巡らされており、ストレスなどによる自律神経の乱れは目にあらわれやすくなります。趣味を適度にしたり、軽いウォーキングなどの有酸素運動などをすることで心身をリラックスするように心がけましょう
・睡眠時間を十分に確保する
中心性網膜症を発症した多くの方は、その前の期間に睡眠時間が少なくなっていたと言います。しっかりと睡眠時間を確保することで治りも早くなりますし、発症・再発の予防となります。
・労働時間を考える
特に主に事務仕事やカメラマンなど目を酷使する時間が長いと目に負担がかかり、中心性網膜症にかかりやすいです。長時間の労働は避けて仕事中は必ず1時間に一度は休憩を取って目を休めることが必要です。
・飲食に気を付ける
中心性網膜症を治す、再発予防をする際に飲食に気を付けることは大変重要です。お酒は一時的に体の巡りを良くしますが、大量の飲酒は体の疲れを蓄積させて目にも悪影響がでます。食事も三食きちんと摂って塩分を摂りすぎないように注意しましょう。
当院では顔だけではなく、肩こりや頭痛など全身の症状も併せて施術を行っていきます。
まず、背部にある五臓六腑に関係するツボに鍼やお灸で刺激をしていきます。
また首肩の筋緊張を緩め、お顔の血流循環を促進していきます。
仰向けでは、肌荒れと関係する大腸や自然治癒力を促進するため自律神経調節治療、直接顔面部の肌荒れが起きている患部に刺鍼を行いお肌の再生を促していきます。

レーザー脱毛はメラニン色素という黒い色素に反応するレーザーを照射し、毛乳頭という毛を作る細胞を熱で破壊する施術で、近年では女性だけではなく男性の方も利用することが増えてきました。
レーザーで照射すると軽いやけどのような皮膚が赤くなることがあります。この赤みは数日で消えていきますが、レーザー脱毛後に日焼けをした場合、肌荒れやニキビが現れることがあります。
レーザーを照射すると軽いやけど状態になり、そこに日焼けするとさらに肌が乾燥するためバリア機能が低下し肌荒れやニキビが発生することがあります。
肌にはターンオーバーがあり、20代は約28日、30~40代は約45日と年齢によってその周期が違ってきます。
そのターンオーバー中に集中して治療を行うことがポイントで、目安として最初の1か月は1週間に1回、その後はメンテナンスとして2週間~1か月に1回のペースで行うことが理想的です。
ターンオーバーとはお肌の新陳代謝の事で、古い皮膚が剥がれ落ち新しい皮膚が産生されるサイクルのことを言います。
皮膚は大きく分けて、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層で形成されており、このうちターンオーバーに関係するのは表皮になります。この表皮をさらに細かく分類すると、外側から角質層、顆粒層、有棘層、基底層、があります。
表皮を形成するのはケラチノサイト(角化細胞)というもので、これは基底層で作られます。このケラチノサイトが作られると古いケラチノサイトはどんどん表面へ押し出され角質層へ移動していきます。そして古い角質層のケラチノサイトは垢となり剥がれ落ち、新しい皮膚が作られていきます。
正常であれば20代は約28日、30~40代は約45日で新しい皮膚が生まれ変わりますが、何かしらの原因によりこの周期が乱れる事があります。
ターンオーバーの乱れは古い皮膚が剥がれ、新しい皮膚が生まれるサイクルに異常をきたす現象の事をいいます。ターンオーバーの速度が低下すると新しい皮膚に生まれ変わることも遅くなるのでニキビやシミ、そばかすができやすくなります。
ターンオーバーは年齢とともに時間の速度が低下していきますが、それ以外の乱れる原因は紫外線にあります。
肌は紫外線を浴びるとサンバーンといわれる炎症反応を起こし皮膚発赤します。この現象は2~3日後に落ち着いてきますが、この数日後にはサンタンと言われる皮膚の黒化を起こします。これが俗にいう日焼けの状態です。
皮膚に影響を及ぼす紫外線はUV-Bと言われ、これが表皮に吸収されるとターンオーバーが乱れ乾燥を引き起こします。乾燥するとバリア機能が低下しニキビや肌荒れを起こします。
紫外線を浴びるとメラニンという色素が産生されます。メラニンは紫外線を吸収して皮膚を守る重要な役割がありますが、紫外線を多く浴び続けるとメラニンがお肌に沈着されてしまいシミやそばかすの原因になってしまいます。
通常、紫外線を浴びるとターンオーバーで新陳代謝が起こりメラニンは表面に押し出され垢とともに剥がれ落ちていきますが、ターンオーバーが乱れるとメラニンがうまく排出されないので、皮膚内部に蓄積しシミになります。
さらに表皮の奥にあるメラニンを作るメラノサイトが紫外線に刺激され、メラニンを過剰に産生してしまいます。

ターンオーバーが乱れる原因として睡眠不足があります。
ターンオーバーを促す成長ホルモンは睡眠中に分泌されます。良質な睡眠に欠かせないのはメラトニンというホルモンです。メラニンと名前が似ていますが、全く別物です。人間はは就寝の14時間~16時間前に光を浴びることによって体内時計がリセットされます。体内時計がしっかりリセットされることによって睡眠中にメラトニンが分泌されます。
しかし、PCやスマホのブルーライトの強い光を浴びると体内時計に影響し、メラトニンの分泌を抑制してしまいます。一般的な家庭の室内照明は問題ないですが、就寝2時間前のPCやスマホの使用は避けましょう。
頚椎症の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されています。

頸椎症は、急に発症するというものではなく加齢に伴う血行不良や首を支える筋の筋力低下があらわれて徐々に症状が悪化していきます。
そこで当院では、まず頸部・肩部・腕付近のツボに鍼やお灸を施して血流改善をはかります。筋肉や軟部組織に栄養を行き渡るようにし、退行性変化に歯止めをかけます。
また鍼を刺すことにより筋肉の弛緩を促したり、刺激することで痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。

また、刺した鍼に電気を流す鍼通電治療を行う場合もあります。鍼通電治療により鎮痛効果がより一層期待できます。

頸椎症は五臓六腑の「肝」と「腎」に深く関係しているので肝と腎に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことや頸部付近の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めます。頸椎症の鍼灸治療は中国でも有効とされており、多くの方が治療されています。
東洋医学では頸椎症は体の外から邪気を受けるため発症するものと中医学でいう「肝」と「腎」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。そういった原因で頸部付近の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。
体の外からの邪気として一番頸椎症が発生しやすいのは、寒く風のあたる場所にいた時などに体に悪さをする「風寒の邪気」を受けた時です。次いで湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時などです。
また長い間椅子に座ってパソコンなどの仕事をした時に気血は滞り、それが頸部付近であった場合に頸椎症を発症する可能性が高くなります。
東洋医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉や骨などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記のような条件が加わると頸椎症がおこりやすくなります。
40代男性
3年ほど前から左首肩のコリで悩まされていた。一度整形外科で診てもらったが、レントゲン検査などでは顕著な異常は見られずに湿布薬を処方してもらう程度。
最近、左首肩のコリがあまりにひどく痛みも強く出ており、左ひじ付近まで痛みを強く感じるようになっていた。整形外科では、ブロック注射を打ってもらって処置をしたが、ほとんど痛みが取れずに鍼灸治療を試してみたいということで当院にご来院されました。
治療経過
コロナ禍によって在宅ワークが増えてノートパソコンを使うようになって姿勢がより前のめりになったことで頸部への負担が増えて左腕・左ひじまでに痛みが出ていると考えられるため主に左首肩回りの筋緊張の緩和・鎮痛目的の鍼通電治療・15分を行っていきました。
また、タイピング動作によって左上肢の筋緊張も強い状態でしたので左上肢や左ひじの痛みが強く出ている部分にも鍼通電治療・10分を行うことで直接アプローチをしていきました。
◇1回目◇
治療後、左首肩コリ痛の痛みがVAS10段階中3~4にまで軽減された。左の肘は直後はだいぶ痛みが取れたが仕事中にすぐに痛みが戻ってしまった。
◇2回目◇
治療後、左ひじの痛みがなくなり、別の左肩前面に痛みが移動したように感じたとのこと。
◇3回目◇
左首肩のコリ痛仕事が忙しく根詰めてしていたため少し痛み出てきた。全体的に体の左側がつらい
◇4回目◇
左ひじの痛みが10段階中1~2までに軽減された。久しぶりに左こぶしを力強く握れる感覚が出てきた
◇5回目◇
左首肩・左肘周りのコリ痛がかなり軽減されて仕事も軽快にできるようになった。忙しく疲れてくるとどうしても症状が出るがそこまで長続きせずに回復するようになってきた。
50代男性
右腕の痛みによって来院される。一週間くらい前から痛みで早朝目が覚めてしまう。また、頸部を後屈すると肩甲骨上角に痛みが出現。この症状は6~7年前から続いている。最近両親が亡くなられ葬儀などで忙しくストレスにより最近あまり眠れていない。昔はサラリーマンでPCを使うことが多く、慢性的な肩こりはあった。
当院での治療
1仰向け治療
まず、自律神経測定器で自律神経を測定してから治療を行っていきました。交感神経が過亢進しており自律神経の乱れがみられたので自律神経の調整を行う。右頸部から右腕にかけての筋緊張の緩和を目的に施術していきました。痛みや筋緊張の強い部分には鍼通電、お灸を積極的に用いました。
2うつ伏せ治療
頚部、肩甲骨、肩関節周囲の筋肉に固結がみられたのでマッサージ、鍼通電、お灸、を用いてその部分を中心に施術していきました。
治療経過
◇1回目◇
あまり大きな変化は見られず。
◇2回目◇
夜眠れるようになってきた。腕は痛みの範囲は狭くなっているがまだ痛みはある。
◇3回目◇
朝痛みで目が覚める事が少なくなってきた。首を後屈しても痛みが出なくなった。腕の痛みの範囲がさらに狭くなった。
◇4回目◇
時々腕の痛みがあるが、痛みがだいぶ軽くなり日常生活に支障をきたすことは無くなった。腕の痛みで目が覚めることは今は無い。
30代 女性
仕事は主にパソコン作業で一日中タイピングやマウスを使って作業をしている。趣味は、ギターでここ3か月くらい左の手指の小指側が痺れるようになってきてしまった。仕事中も首の痛みが強く出ることがあり、首を後ろに倒すとさらに痛みが増強してしまう。病院で検査を受けたところ変形性頚椎症と診断された。痛みが強い時に服用する鎮痛剤と湿布薬を処方されたが一向に良くならないので鍼治療で何とか警戒できないかということでご来院された。
左手がうまく動かすことができず、動かすと手指に痛みが出るので趣味のギターを現在は中止している。
治療
1.仰向け治療
左肩前面の筋緊張も強く出ていたので右肩に鍼とお灸を施して筋緊張の緩和をねらいました。そのほか腹部や下肢の経穴も用いて自律神経を整える全体施術も行っていった。
2.うつ伏せ治療
うつ伏せとなり頸肩に鍼通電療法を行い、左前腕や腰部に鍼灸施術を行っていきました。
治療経過
◇1回目◇
治療後、頸肩に何となく重さを感じたが、次の日にはその重さがなくなり、以前よりも頸肩が軽くなったように感じた。
◇2回目◇
仕事の最中、午前中はまだ頸肩の調子が良いが午後疲れてくるとまだ重さと痛みを感じる。
◇3~5回目◇
首の可動域が段々と広くなり、動かせるようになったので頸肩のストレッチをお風呂上りに行うようにしてもらった
◇6回目◇
日常生活では症状をあまり感じることがなかったので久しぶりにギターを弾いてみたところ激しい左手の動きは痛みや違和感が出る。
◇7~9回目◇
ギターを弾いても痛みを感じなくなってきた。今は痛みがない時と同じように引くことができるようになるまで回復

頸椎症は、頸椎ととりわけ運動と荷重を負担する椎間板の加齢による変化などにより頸椎の椎体周辺の骨増殖と椎間が狭くなることにより頸神経や脊髄が圧迫されて症状を呈する疾患です。用語として頸部変形性脊椎症・変形性頸椎症・頸椎症は同じものと考えられます。
頸椎症は退行変性により生じることにより、中年以降に好発します。たとえ頸部に愁訴がないものでも65歳以上では75%に頸椎症の典型的なX線撮影上の所見があるという研究結果もあり、とても多い疾患です。
頸椎症の症状としては症状が急激に現れることなく、頸部の症状から始まり、徐々に上肢や下肢の症状が出てきます。頸部の症状としては、椎間板変性による頸肩部の疼痛、頸部の前屈や後屈時に痛みが現れることにより運動制限が長期にわたり先行して症状が進行する傾向にあります。通常、首を強制的に縮める動作で増悪し、安静にしていると軽快します。
上肢の症状としては圧迫に伴う神経根刺激症状で、上肢のしびれ・痛み・脱力感・疲労感・冷感・感覚異常を感じます。また手先の仕事や書きごと、物を摘むなどの動作ができにくくなります。しびれは神経の支配領域によって異なり症状が進行すると、手の筋肉が萎縮したり、皮膚温の低下、発汗異常などがみられます。
脊椎に圧迫がおこると下肢の症状が現れて歩行障害、便秘、排尿障害などの症状があらわれます。脊髄が圧迫されると通常は歩行の変化が最初の徴候で、足が震えるようになり、歩行が不安定になります。
首を横に曲げて頭部を圧迫した時に上腕に痛みが走る(スパーリング検査)、首を軽く後方へ曲げて頭部を圧迫した時に上腕に痛みが走る(ジャクソン検査)などの症状があらわれた場合に頸椎症を疑います。
頚椎の骨運動は、曲げる・伸ばす・横に倒す・回すという6方向もあり、胸椎や腰椎と比べても動きが大きいです。したがって関節にかかる負担も大きくちょっとした衝撃で痛みやすい部分でもあります。頸椎の関節にも様々な働きがあり、代表的なものでいうと第一頚椎と後頭骨との関節である環椎後頭関節や第一頚椎と第二頚椎とでなす環軸関節などがあります。
環椎後頭関節の骨運動は、首を曲げる・伸ばす・横に倒す動作で回す動作はほとんど起きません。しかし環軸関節の場合は、骨運動は首を回す動作を起こさせます。そういった関節のズレなどが生じると脊髄や神経根が圧迫されてしまうと腕の痺れや痛み、症状が悪化すると筋肉の委縮や歩行障害や膀胱直腸障害などが起きてしまうのです。
頸部は胸部や腰部と比べても非常に大切な部分です。少しでも異変を感じたらすぐに対処する必要があります。放っておくと症状が悪化し、取り返しのつかない場合も出てくる可能性があるからです。
頸椎部の脊柱管は、上部ほど広く下部に向かって細くなっています。その最も狭い部分は第5~第6頸椎部にあります。一方、脊髄はちょうどその辺りで太くなっており、そのために脊柱管と頸髄が近接しています。したがって余分な空間が最も少なくてこの部分で容易に圧迫を受けやすい構造になっています。さらに頸椎はこの辺りで生理的弯曲が最も大きく、神経圧迫症状が出現しやすくなっています。
第5~第6頸椎部がもっとも疾患が出現しやすく、次いで第6~第7、第4~第5の順で出現しやすいですが、全頸椎で起こる可能性が十分にあります。椎間板変性の進行とともに
・椎間間隙の狭窄
・椎間関節の変性
・骨のトゲ(骨棘)の形成
・頸椎の配列異常
などが生じます。そして結果として脊柱管などを圧迫して神経症状を引き起こします。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

当院の角膜炎・角膜潰瘍に対する施術は、第一に目の周辺の経穴にハリをさして角膜の炎症をおさえる作用を促します。痛みの強い場合は電気鍼療法を用いて痛みの閾値を上げて鎮痛効果が期待できる施術を行うこともあります。電気鍼療法は、刺激の量が強いため鍼に慣れていない方には行うことはありませんので安心してください。

また角膜炎・角膜潰瘍は肝の機能と深く関係していることがいわれておりますので、肝に関連の強いツボを多く用います。肝の陽気が過亢進して頭の方へのぼっていくことで症状を起こしているとも考えられるので肝の陽気を抑えて下げる治療もする必要があります。
風熱の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
また東洋医学の全身の状態を診て治療していくという特徴によって当院でも全身の調整施術を行っていきます。部分的な治療ではなく全身を治療することは中医学の特徴でもあります。全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めます。

角膜の炎症がおさまったら第二段階としてお灸や微弱の電気刺激を用いて徐々に血流の改善施術を行っていきます。
角膜炎・角膜潰瘍の治療を受けられることにより目の治療効果はもちろんのこと全身の治療効果が期待できます。

中医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能障害が深く影響していると考えられています。
肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。また肝の陰陽のバランスが崩れてしまい肝の陽気の過亢進がおきると次第に陰液を消耗して肝陽が頭の方へ上がっていきます。
すると角膜炎・角膜潰瘍・高血圧、頭痛・自律神経失調症などを引き起こします。また外からの風熱の邪気が体に侵入すると目は侵されやすく、結膜炎や結膜潰瘍を引き起こす原因にもなります。
40代男性
以前に数回左目に角膜感染症を患っていたが、眼科で治療を受けて少し経つと軽快していた。しかし、数ヶ月前から目の痛みが強く出て仕事もままならずに睡眠も痛みで阻害されるようになった。眼科で治療を受けてもなかなか改善されず、当院を受診された。パソコン作業などのデスクワークが主なお仕事で仕事を休みがちになり、気分も落ち込んでいるご様子でした。左目の瞼も腫れあがり、目も開けていることがつらそうな状態。
当院の治療
睡眠不足や仕事が思うようにできないというストレスから自律神経の乱れが生じているのではないかという判断から治療に入る前に自律神経測定器で自律神経の状態を計測しました。結果は交感神経の活動が高く身体全体の調子も崩れている状態でした。
まず仰向けで自律神経を整える自律神経調整療法を施してからうつ伏せで首肩のコリをとっていきました。長年の長時間でのデスクワークや痛みによるストレスからか特に胸鎖乳突筋が過緊張状態だったので、その部分が取れるようにしっかり施術しました。
最後に目の周りに鍼灸施術を施し、鎮痛効果を促しました。最初の2・3回は置鍼術とお灸治療で対応してはり灸刺激に慣れてきたところで目の周りに通電療法を施しました。最初の一カ月は集中的に一週間に2回ほど治療を受けてもらい、その後は一週間に1回程度の感覚で治療を受けていただきました。
治療経過
◇1~5回目◇
治療後は、目の痛みは楽に感じ睡眠もとれる。しかし、痛み止めの薬は欠かさず飲むような状態
◇6~8回目◇
少しずつ痛み止めの薬の量が減ってきた。長年感じていた首肩のコリ・つらさが感じにくくなってきた
◇9~12回目◇
痛みで休みがちだった仕事にも徐々に復帰して日常生活で痛みを感じることが少なくなってきた。
◇13~15回目◇
痛み止めを飲まなくてもほぼ痛みを感じない。ただし、菌を除去するために眼科で角膜を削る処置をした後の1日は痛みを感じる。
2週間前に右目の痛みが強くなり、蛍光灯の光にも眩しさも感じたため眼科を受診したところ真菌性の角膜炎と診断を受けた。
痛み止めの内服薬と抗菌剤の点眼薬を処方された。痛みが強く眠れない時もある。元々は記者の仕事などパソコン作業や細かい字を見ることが多く、目に負担がいっていたが、角膜炎を発症後は仕事もままならずに休職している。
他に改善方法がないかと模索していたところインターネットで当院をみつけてご来院されました。
ご来院当初は、痛みもつよく鎮痛薬を服用してなんとかご来院できる状態。真菌性角膜炎が出ている右目は腫れもあって目の充血・瞼の赤みもある。
鍼灸治療と経過
まず第一に右目の激痛の緩和を目的に施術を行っていきました。右目周りに少し強めの鍼通電治療を施し、鎮痛効果を促します。15分ほど電気をかけて睡眠もうまく取れないとのことなので自律神経の状態も整えつつ、睡眠に効果的とされる『神門』や『太谿』『失眠穴』なども選穴して施術を行っていきます。
うつ伏せの施術では、頸部の筋緊張の緩和や背部兪穴のツボを用いて五臓六腑の『肝』『腎』『心』の状態を特に整えていきました。
施術間隔は3~4日に行い、とりあえず5回ほど間隔をつめて施術を行っていきました。
施術回数を重ねるごとに痛みのVASの値が10段階中3まで下がっていきました。その頃には睡眠もとれるようになり、腫れや赤みもだいぶ軽快。
6回目以降は目の周りのお灸施術を加えていき、炎症をしっかりと抑えるような施術を中心に行います。
トータルで12回の施術で治療を終了。炎症も治まり、抗菌薬も点眼しないまでに回復。

角膜炎とは角膜に何らかの原因で炎症をきたした状態の総称です。
角膜炎は片目に起こるのが普通で両目同時に発症することはまずありません。角膜潰瘍とは角膜組織が障害を受けて実質に及ぶ組織欠損をきたした状態を総称したものです。
角膜、強膜は眼球外壁の最外側を覆う膜で、これらによって眼球の形が保たれています。角膜は外壁のうち前方部分に位置する透明な部分で、直径11mmで厚さ約0.5mmの無血管組織です。角膜は外からの光線を通過させて眼球内に送る役目のほかに眼球のうち最も大きな屈折力をもつことから、レンズとしても重要な役割を果たします。角膜には三叉神経が分布していて知覚が非常に鋭敏であるという特徴があります。(三叉神経痛について)
角膜炎・角膜潰瘍の症状は、病変の原因や位置、大きさなどによって異なりますが一般的には次のようなものがあります。
ⅰ)流涙
眼痛や異物感による反射性の涙液分泌増加が原因です。
ⅱ)目の痛みや異物感
角膜には三叉神経が分布していて知覚が鋭敏であるため、潰瘍や炎症による角膜障害は非常に強い疼痛を引き起こします。
ⅲ)視力低下
角膜炎や角膜潰瘍では角膜の浮腫、瘢痕、血管侵入などをきたすために角膜の透明性の低下や乱視の増悪により視力低下をきたします。
ⅳ)虹輪視
角膜上皮の浮腫のために光の散乱や回折現象をきたし、光の周りに虹が見える場合があります。
ⅴ)羞明
角膜炎や角膜潰瘍では光刺激に対して敏感となるため、光が異常にまぶしく痛く感じます。
角膜炎の原因としては様々な角膜感染症・外傷・紫外線・放射線・眼科手術・角膜異物・アレルギー性疾患・自己免疫疾患などがあります。角膜潰瘍の原因としては角膜感染症が最も多いですが、外傷・手術浸襲・自己免疫疾患・三叉神経や顔面神経の麻痺・重症のドライアイなどで生じることもあります。
・顔面神経麻痺について
・ドライアイについて
ⅰ)帯状ヘルペス角膜炎
単純ヘルペスと同様に神経内に潜伏した水痘、帯状ヘルペスウィルスが活性化されて神経を下降していき、角膜炎を生じます。三叉神経の第一領域にウィルスが現れると額からまぶたにかけて水泡や発疹が生じます。その後目の症状も現れて、角膜炎、結膜炎などが生じます。(帯状疱疹について)
ⅱ)アカントアメーバ角膜炎
アカントアメーバが角膜に感染しておこる角膜炎で、ソフトコンタクトレンズを使用している人に多く見られます。レンズ洗浄液に水道水を使用するとその中でアカントアメーバが増殖して感染源になると考えられています。
ⅲ)びまん性表層角膜炎
角膜の表面の上皮と呼ばれる部分に浅い傷ができた状態をびまん性表層角膜炎といいます。傷自体は擦り傷のようなものですが角膜は知覚が発達しているために非常に痛く、異物感のため目を開けられないこともしばしばです。
傷の原因として異物やまつ毛などの機械的刺激・コンタクトレンズ・紫外線などの体の外からくる刺激や涙液減少症・糖尿病・シェーグレン症候群などの疾患も角膜の傷の原因となります。
ⅳ)乾性角膜炎
涙の分泌が低下する(ドライアイ)ために角膜炎がおこります。乾性角膜炎は中年以降の女性に多いとされてきましたが、最近ではコンタクトレンズ、パソコンや携帯電話の普及によりそれらの使用頻度の高い若年層にも男女を問わず増えてきています。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院