生体は何らかのストレスを受け、常にストレス状態にあると考えられます。
つまり、ストレスのない人などはいなく、ストレスの強度が重要な意味を持つ
といえます。
適度なストレスは人間の活動性を高め生活を豊かにしてくれます。
一方でストレスレベルが過剰な状態では、上記にあげた身体的症状や精神的症状
が出現し、最終的に度をこすと疾病という形で現れるのです。
適度なストレスがあり心身ともに健康な状態が理想的な状態といえます。
そのうえで過度なストレスを抱えている人に鍼灸施術を行うと以下の変化がみられます・
鍼灸施術後、多くの患者の気分は全般的に陽性気分(いい気分・爽快・心地よい)に傾く研究結果が出ています。
鍼灸治療の特徴は、経絡経穴(ツボ)を用いて、マイルドな物理的刺激を生体に作用させることによって全身の機能を調整していきます。鍼による置鍼刺激やお灸の温熱刺激・適度な刺激量の鍼通電刺激を行うと、脳波のα波が増大します。
α波は閉眼時に発生する脳波でリラクゼーション状態を誘導する一つの指標になります。
鍼灸治療および鍼通電刺激は、快ストレスとしての作用が期待できます。
仕事や日常生活を送るうえで、ストレスは一種、体のバロメーターてきなものであると
私は考えます。
過度なストレスは病気の原因や心身の不定愁訴の原因になりますが、
ストレスが何もない・・という環境もすこし問題といえますね。
現代の鍼灸治療は体感的なアプローチをとっていますが、身体的な感覚だけでなく
精神的反応も取り込んでいるといえそうです。
ストレスで心身共に疲れた時は鍼灸施術も効果がありますので一つの手段と考えて頂けたらと思います。
現代社会ではストレスを多く抱えている人はかなり多いです。ストレス社会といわれ、職場や家庭でのストレスを発散せずに溜め込んでしまって様々な悪影響が身体に出ます。
当院でも『ストレス』から起因する症状で来院される方も少なくありません。
当院では、ほとんどの患者様に対して初診時に自律神経測定器を用いて『ストレス指数』をチェックしていきます。驚くのは自分では日々の生活の中で全くストレスに感じていない場合でもストレス指数が高く出る場合が多々ある事です。
ストレス指数が高い人ほど、症状が強くでていたり、複数あったりすることは多いです。
東洋医学の予防医学の観点からしますと
このストレスをいかに処理するか(発散させるか)、もしくはストレスに対して強い体質をいかにつくるか(ストレス対処能力の向上)がとても重要になってきます。
ストレスが溜まって起きてしまう精神疾患の代表としてうつ病が挙げられます。うつ病患者はこの10年の間に50万人から100万人に倍増したと言われています。
産業精神医学の分野では90年代以降に『ストレスが原因でうつになる』という考え方が定着してきました。
かつてうつ病は仕事のしすぎや、仕事のプレッシャーなどでおしつぶされるケースが多かったように思えます。しかし今の若い世代のうつ病の症状は承認欲求がみたされないことや、コミュニケーションで承認を得ることができないことなどのことからくるケースが多いです。
承認欲求が満たされない⇒ストレス⇒うつ病・不定愁訴という構図ができている
といえます。このストレスを取り除くことで、身体におこる各症状を改善していくわけです。
しかし、承認欲求が満たされないと、先ほどの流れを繰り返してしまいますから、生活習慣や職場環境なども変えていく必要があるといえます。
『ストレス』は、もともと物理学用語で物体に力が加わった時に生じる
『ひずみ』のことさします。
丸いボールがあり、ボールを指で押すとへこみます。
このへこみの状態をストレス(ストレス反応)といい、押した指のことをストレッサーと言います。
これをカナダの医学博士のセリエが医学領域で用いたことにより、浸透していきました。
普段はストレスの原因となるストレッサーのことを『ストレス』と呼んでします。
ストレスが限度を超えて加わると身体や心に様々な症状が出ます。
身体的症状
・吐き気
・頭痛
・下痢
・便秘
・不眠
・蕁麻疹
・アトピー
・生理不順
・腰痛
・肩こり
精神的症状
・イライラする
・落ち着きがない
・不安感
・やる気がでない
・集中できない
・怒りやすい
身体的症状や精神的症状以外にもストレスに起因する症状はたくさんあると言われています。その代表的な疾患としましては自律神経失調症や頭痛・神経痛、過食症や拒食症などが挙げられます。
自律神経失調症
ストレスが加わると、頭痛・耳鳴り・めまい感・嘔吐・睡眠障害・食欲不振などの自律神経失調症の症状が出ます。自律神経失調症の場合ですと、長時間のストレス環境下にいることやストレスに対して抵抗力が落ちていてる状態の時、ストレスが強いものであったりする場合におこりやすいです。
頭痛・神経痛
ストレスが加わると体内のストレスホルモンが分泌され、頭痛の症状をきたすことは多いです。
過食症・拒食症
過食症の原因のひとつとしてストレスが挙げられます。
過食症は簡単に言うと、食べすぎてします症状です。
ストレスを感じることにより、欲求不満を食べることによって解消しようとしてなることがおおいです。
拒食症も大きな原因としてストレスが挙げられます。
拒食症は神経性食欲不振症とも呼ばれ、対人関係のトラブルからくるストレスや
過去のトラウマが影響している場合もあります。
精神的・身体的な過度なストレスによって発症する危険性の高いうつ病に鍼治療などでのツボの刺激が効果的とされる研究結果が出ています。
イギリスのヨーク大学の研究で2013年にうつ病患者755人を対象にした研究が行われています。
鍼治療を取り入れたグループとそうでないグループとに分けて3か月後の心身の健康スコアを比べたところ鍼治療を受けていた群のほうが大きくスコアの改善が見られたとのことです。
ツボ押しはご自身でもできますので、最近ストレスが溜まっていると思われる方はぜひ実践してみてください。
『百会』のツボ押し
百会は頭頂部に位置するツボで「百」もの経絡がそこで「合」うということから「百会」と名付けられています。とても重要なツボで様々な疾患に対して刺激されるツボです。
自律神経の働きにも良い影響を与えて自律神経の活動を整えてリラックス効果が期待できます。また気分がなんとなく落ち込んだりといった軽いうつ状態にある際にも有効です。
ツボの押し方は、両耳の上端に親指を押して中指を頭頂部に持っていき両手の中指が交わったところで押していた気持ちいい箇所を探します。
その部分をゆっくりと深呼吸しながら押すようにしてください。
鍼灸の鍼の皮膚接触刺激とお灸による燃焼刺激で血液中の各種白血球が2~3倍に増加したという実験結果もあります。
施術直後に白血球が増加し2~3日持続して数週間続けるとリンパ球も増えます。
また白血球の血管の流れるスピードも速くなり貪食力も上がります。
つまり鍼灸治療をすることによって『白血球やリンパ球が増加する→免疫力が高まる→風邪や病気になりにくい身体を作る“未病治”(未だ病まざるを治す)』ということになるのです。
当院が鍼灸治療をする上で自律神経の状態を把握することはとても重要だと考えております。今、体の状態がどちらが優位な状態となっているのか把握することで治療法なども変わってくるのです。そこで当院では、急性の患者さん以外のほとんどは自律神経測定器で自律神経の状態を測定してから治療に入ります。
ここで今まで治療症例を2件ほどご紹介させていただきたいと思います。
・足三里
膝下外側にあり、免疫力を高めるほか下肢のだるさ、また胃経に属するため胃の不調がある時にも有効です。
・合谷
合谷は万能ツボとも言われ、様々な疾患の時にも用いられます。
とくに免疫力を高めるためや眼の疲れ、歯痛、抑うつ気分の時などに用いられます。
・関元
おへその下、指4本分にあるのが関元というツボで免疫力を高めるほかに頻尿や更年期障害の時にも有効とされます。
・中かん
おへそから上5本分にあるのが中かんというツボで免疫力を高めるほかに胃の不調や食欲不振などの時に用います。
アフリカ大陸の東側に位置するウガンダでは命をも奪う危険性のある疾患に対してお灸が施されることがあるそうです。
近年、NHKの番組でもその活動内容が取り上げられて注目されています。
その命をも奪う危険性のある疾患はなと結核です。結核はアフリカでは年間数十万人もの死者を出すほどの重篤な病気です。結核は、栄養不足や免疫力の低下などによって結核菌が体内で増殖して発症する病気です。
結核の患者さんに足三里という膝下外側に位置するツボにお灸をすることで免疫力が上がり症状が回復することがあり、ウガンダの病院では少しずつお灸を使用することが広がっているようです。
臨床研究では、足三里にお灸をすると血中のヘモグロビン値が大きく増加したという研究結果が出ており、それによって免疫力向上の効果が高いという結果が出ています。
この足三里にお灸をすると免疫があがることが論文に記されているのは、1929年に原志免太郎医師が発表した論文内にあります。当時、日本では結核が流行しており、お灸の研究をしていた原志免太郎医師が結核に感染しているラットにお灸を施したところラットの結核菌に対する抵抗力が高まったという結果が出ています。
しかし、一回お灸をしたからと言って免疫が上がるという事ではなく、6カ月間お灸する群としない群に分けて血液検査の免疫機能を果たす細胞の増減を調べたとのことです。日々の積み重ねが、免疫・健康を維持するポイントの様です。
今は自分でできる簡易的な台座灸が一般の薬局でも販売されており簡単に手に入ります。また、当院でも販売されています。
台座灸は、紙の台座の上にもぐさがのせてあるもので台座の裏にはシールがあり肌と固定できるため安全に使用することが出来ます。お灸の熱さも様々な種類があるため調整できます。
基本的に1日1回程度を目安に1~4か所ほど行うと良いでしょう。
50代 女性 主婦
主訴
肩こり・腰痛・不眠・目の疲れ
症状
10年ほど前から肩こりや腰痛の症状が続いていました。なんとか日常生活に支障なく生活できていましたが、最近お孫さんの世話をするようになり夜も痛みで起きるほどとなってしまいました。朝も肩こり・腰痛症状はつらく、少し動き出すと症状が和らいでくるという状態です。パソコンやスマホをすることでストレスの解消となっていましたが、長時間使用することで目の疲れやドライアイの症状も強く出てきました。
当院の治療
治療を行う前に自律神経の状態を測定すると、交感神経が優位な状態でした。よくよく話を伺ってみると寝つきも悪く、食欲不振で便秘美味とのことでした。交感神経優位の状態が長く続き、体の状態にも相当影響を与えていると判断し、自律神経のバランスを整えることが先決だと思い施術にあたりました。副交感神経が優位となり、体がリラックスな状態となったところで肩や腰の筋加えて目の周囲の筋肉をほぐすような施術をいたしました。
経過
1~3回目
最初の3回ほどは、自律神経の状態を整えることに重点を置いて施術しました。
4~7回目
自律神経の状態が少しずつ落ち着いてきたと判断した上で肩こりや腰痛症状に対してアプローチしました。
痛みが少しずつ取れてきて、夜も眠れる日が増えてきたとのこと。
8~10回目
眼科鍼灸で目周囲の筋肉にもアプローチしました。
目が楽になり、肩こりの方も自然と軽快してきた
考察
症状が強く出ていたため、7回目までは3日置きに施術しました。症状が軽快してきて目処が立ったところで治療間隔を1週間に1度ほどに延ばしていきました。自律神経の乱れが顕著だったため、自宅などでもゆっくりお風呂につかることや軽い運動をしてもらいました。まだまだお孫さんのお世話をしていかないということで今でも定期的に通院されております。
20代 男性 建築業
主訴
頭痛・首肩こり・不眠
症状
2年ほど前に建築業に就職してから日々の過酷な労働により頭痛・首肩こりを感じるようになってきました。1か月ほど前から夜勤と日勤の日が休みなく続き、一日中働いているような状態でした。頭痛の症状も悪化してきて横になっていてもつらい状況で会社も休みがちとなり、当院に来院されました。
当院の治療
まず自律神経の状態を測定したところ副交感神経がとても優位な状態でした。日中も眠たさやだるさを感じて仕事がままならないこともしばしばあったとのこと。しかし、夜は目がさえてくるような状態でしたので自律神経が乱れていたと思います。また、首肩の筋緊張が顕著に出ていたため自律神経を整える施術をしたから筋緊張をとっていきました。
経過
1~2回目
鍼やお灸の刺激も敏感だったため、鍼やお灸を使わない手技療法で対応しました。
3~5回目
3回目からは身体の状態も少しずつ落ち着いてきたため、鍼やお灸の施術も加えていきました。
6~8回目
日中も気怠さを感じることが少なくなってきた。朝は症状はつらいとのことだが、夕方は症状が軽快
9~12回目
朝もつらさが軽減してきた。痛みどめや睡眠導入剤なども服用していたが、量が減ってきた
考察
仕事が忙しいため、1~2週間のペースで来院していただきました。治療で補えない部分は、貼るタイプの置き鍼で対応していただき、ストレッチも怠らないようにしていただきました。
自律神経には“交感神経”と“副交感神経”の二つがあり、両者バランスをとりながら働いていることによって健康の状態を保っています。
現代社会において「自律神経」が乱れてくることにより身体に様々な不調が現れています。
例えば自律神経の乱れによる主な症状として
このように自律神経の症状は多岐にわたります。
自律神経のうちの“交感神経”が働くと
良い意味でも悪い意味でも活動的な状態になります。
逆に副交感神経が働くと脳と体もリラックスします。副交感神経はリラックス神経とも呼ばれ睡眠とも深く関連があります。
日中の活動的な状態は交感神経が優位に働き、体を休める夜に副交感神経が優位に働きぐっすり寝られることが良い状態と言えます。
交感神経優位 | 副交感神経優位 |
瞳孔 大きくなる 器管 広がる 血圧 高くなる 胃腸 活動を抑える 心臓 脈拍が早くなる 顆粒球 増加 |
瞳孔 小さくなる 気管 狭くなる 血圧 低くなる 胃腸 活動が進む 心臓 脈拍が遅くなる リンパ球 増加 |
病気から身を守る防衛システム免疫系は主に血液中の白血球(リンパ球、顆粒球)が中心的役割を果たしています。白血球は血液循環をしながら体外から侵入してきた細菌などの異物を排除する役割があります。白血球の中にはリンパ球と顆粒球とがあり、それぞれに役割分担があります。顆粒球は細菌や細胞の死骸などを処理してリンパ球はウィルスなど比較的小さな異物に対して抗体をつくって対抗しています。
いわゆるこのリンパ球の働きが、『免疫』と言われるものです。このリンパ球は副交感神経の支配下にあり、逆に顆粒球は交感神経の支配下にあります。自律神経のバランスが良い時には、リンパ球と顆粒球のバランスも保たれており免疫力も十分な状態です。
しかし、現代では過度なストレスから交感神経優位の状態の方が多く、顆粒球の過多状態と陥りやすくなってしまうのです。顆粒球も免疫機能の約やりを担っていますが、過度に増えすぎてしまうと常在菌までも攻撃してしまい、炎症を起こしてしまう危険性があり、胃炎や虫垂炎、腎炎、肝炎などの原因となってしまう可能性があるのです。また交感神経の過緊張状態が続くと、血管は収縮して血流を阻害して心臓病や高血圧の原因となったり、新陳代謝も低下することから老廃物が溜まりやすくなり、痛みや筋肉のコリの原因となってしまうのです。
このように白血球の数や働きは 自律神経の影響を受けています。
つまりは自律神経の乱れは免疫力の低下となるわけです。
やる気の低下は「気」のバランスが崩れていることによって起きると考えられています。「気」とは生命活動のエネルギーを表し、全身を巡り各臓器の機能の維持に大きな役割を果たしています。
この「気」を十分に取り込めない状態や、流れに乱れがある状態が続くことで、「気虚」の状態となりこれが慢性的な疲労状態が続く要因と考えられています。
「気」が不足している状態が続くことで「血」が不足する「血虚」も引き起こし、時にはより状態の悪い「気血両虚」の状態となります。
このような状態が続くことで体内の気の巡りが悪くなり、血液の養分が不足の状態に陥ってしまうことで回復力が低下してしまうと考えられます。
また、怒り(ストレス)の感情は肝によって処理されるため、精神的ストレスが続くと気が肝に鬱積し気が滞ることや脾虚(脾臓という消化器系の機能低下)により、栄養が不足したり、余分な水分が体にこもってしまい経絡の流れを阻害してしまうこと、腎虚(腎の機能低下)によってエネルギーが不足することなども原因として考えられています。
まず、最初に自律神経測定器で血管の状態や自律神経のバランスを測定しお身体の状態を診させて頂きます。
自律神経測定器で自律神経の状態を把握することでよりその方に合った施術法を選択してオーダーメイドの施術を行うことが可能なのです。やる気の低下でご来院される方の多くは、自律神経の乱れが見られます。
自律神経のバランスは日中などの活動的な時間帯は交感神経が優位な状態で逆に夕方から夜にかけてはリラックス神経である副交感神経の活動が優位になっていくのが正常な反応です。
しかし、やる気の低下でご来院される方の多くは自律神経のバランスが日中夜逆転してしまっている方が多くいらっしゃいます。鍼灸治療は自律神経のバランスを整える効果があり、自律神経のバランスを整えることでやる気の低下を改善していきます。
その他、東洋医学の観点より気血の状態も整えていきます。やる気の低下は特に気血の状態が重要で、気血が不足している気血両虚という状態が多く見られます。
気血に関する経穴を刺激することで気血を補う施術を行っていきます。
30代 女性
特に朝倦怠感が強く出て、仕事に集中できずやる気が起こらない状態が2か月ほど続いていた。
仕事がない休日も一日中眠気があり、外出もせずにずっと横になっているような状態。次第にパソコン作業中手汗がすごく出てキーボードが濡れるほどで睡眠も途中で起きてしまうような自律神経のバランスの乱れが見られるようになってきた。
友人の勧めで鍼灸治療を勧められて当院にご来院されました。
自律神経測定
まず初めに自律神経を測定してから施術を行っていきました。
副交感神経の活動が強く自律神経の乱れが見られましたので自律神経の状態を整える治療を中心に施術していきました。
治療
仰向けでお腹や手足のツボを使って自律神経の状態を整える治療を行って次にうつ伏せとなり、背中にある背部兪穴という五臓六腑に重要なツボを使って五臓六腑の状態を整えていきました。
治療後、まず睡眠の質が改善されたと実感。中途覚醒の症状が出る頻度が減りました。1週間に1~2回ほどの治療を2か月ほど続けて朝の倦怠感は段々と良くなり、仕事での集中力も上がってきました。
症例2
20代 男性
10年前から疲労感が感じやすくなり、ここ一か月ぐらいでやる気の低下が著明に感じる。
一日の睡眠時間は十分寝ているはずだが、日中の眠気が強い。
首や肩のコリ感もあり、頭痛も気になる。
当院の施術
問診で詳しくお話をお聞きしたところ、お仕事の関係で海外出張が多く、生活が不規則という事がわかりました。生活習慣や症状の特徴から自律神経の乱れが強い可能性があるため、まず自律神経測定器でお身体の状態を測定したのですが、夜の時間でも副交感神経の働きが弱く自律神経の乱れが大きく出ていました。
また、触診において全身の張りとくに首肩の緊張の強さが目立っていました。
この患者様は睡眠の質が悪く寝ても疲れが取れない体質のため、まず副交感神経を高める治療から始めました。睡眠の質が低下すると疲労が蓄積され、心にも余裕がなくなるため活力が低下してしまいます。そのため、まずは副交感神経を高めて疲労を回復させるようにリラックス作用が期待できる治療方法を行いました。
その後に、全身の筋緊張の解消を目的としたアプローチを行っていきます。
特に首が硬くなることにより、脳から放出される幸福ホルモンのセロトニンが分泌できなくなり、やる気の低下を引き起こす原因になります。
1回目
あまり大きな変化はないが、体は軽くなった。
2回目
やる気の低下や精神的な調子は改善した。
疲れはまだ取れにくい。
3回目
眠りが浅いせいか疲れはまだ残りやすいが、精神的な状態は安定している。
4回目
気持ちが安定し、やる気が出てきた。疲労感も以前より軽減している。
5回目
気持ちに活力が出てきて、仕事中の集中力も増してきた。
やるべきことがあってもやる気が出ない、積極的に物事を成しとげようという気になれない、という状態になるのはなぜなのでしょうか。それには、脳の伝達物質の影響が関係しています。
脳の神経伝達物質は、心に影響して喜びや不安などを感じさせたり、身体に影響してだるさをもたらしたりします。やる気が出なくなるのは「セロトニン」や「ドーパミン」「ノルアドレナリン」という神経伝達物質のバランスが乱れているからです。
私たちの身体は平常時、神経伝達物質の分泌をコントロールして精神のバランスをとっていますが、人間がストレスを感じるとドーパミンやノルアドレナリンが過剰分泌され、セロトニンの量が減ってしまいます。セロトニンの量が減ると神経伝達物質のバランスが崩れ、脳内の神経細胞の働きに影響が出てやる気が出なくなるといわれています。
神経伝達物質のバランスが崩れる原因は、明確には解明されていませんが、慢性的な疲労や過度なストレス、睡眠不足、食生活の偏り、不規則な生活習慣などが関係していると考えられています。
・身体的疲労
身体に疲れが蓄積する身体的疲労の原因として挙げられるのが、過度な運動や重労働、長時間の筋肉の酷使、運動不足や眼精疲労、睡眠不足、栄養不足などといわれています。
疲労している時は筋肉を動かすためのエネルギーが不足し、乳酸などの疲労物質が蓄積していきます。糖質が分解されてエネルギーとなる時に出来る乳酸は酸性です。筋肉は酸性に弱く、乳酸が多く蓄積されると十分に働けなくなります。その結果、疲れやだるさや筋肉の張りにつながります。また、同じ姿勢や同じ動作を続けて一部の筋肉が緊張したり、運動不足により筋肉が萎縮し弱くなることも乳酸が蓄積する原因となります。
・ストレスが原因で起きる精神的疲労
「ストレス社会」といわれる現代においてストレスと無縁で過ごしている人はほぼいません。精神的に感じているストレスは気持ちが重くなってしまうだけではなく、自律神経やホルモン分泌にも悪影響を与えます。
・身体、精神の管理能力が低下してしまう脳疲労
人が感じる疲れの中には、身体的な疲れや精神的な疲れ以外に脳の疲れもあります。脳疲労は脳が疲れている状態を指します。脳疲労の原因は睡眠不足とストレスといわれています。
脳が疲れてしまうと身体を管理する機能が低下してしまうため能増機能が上手く働かなかったり、身体や脳を動かそうと思ったときに上手く命令を出せずに動作が緩慢になったり、集中力、思考力、注意力の低下や、記憶力の低下、自律神経の乱れによる情緒不安定、脳の血流が悪くなることでストレスに過敏になるなどの症状が現れます。
セロトニンとは
セロトニンには脳内物質のバランスを整え、精神を安定させる働きがあります。睡眠と覚醒のリズムや痛みの抑制などにも関わっている物質です。セロトニンが不足するとイライラしたり、不安を感じやすくなるほか、うつ病との関連も指摘されており、食欲や性欲、睡眠、記憶、情動、学習機能へ作用します。
ドーパミンとは
意欲や喜びなど快感を得た時に活発になる物質です。ドーパミンがたくさん出るとやる気が出ます。また、人間が行動を起こす時にはドーパミンが分泌されており正常に分泌されていると、行動の動機づけに正しく作用します。
ノルアドレナリンとは
ノルアドレナリンは動物が危険を感じた時に分泌される物質です。脳と身体を覚醒させる作用と、環境や対人、精神などから受けるストレスの対応する作用などがあります。
ノルアドレナリンの分泌を活性化させることで、ドーパミンの分泌も活発になります。
・うつ病
うつ病とは、「不眠や食欲不振などの特定の症状が、2週間以上にわたりほぼ毎日続いている状態」です。うつ病になる原因は心身のストレスなどで、やる気が出ない症状はうつ病の初期症状として見られます。うつ病になるとセロトニンが不足するのでやる気が出ない他に、喜びの喪失や悲壮感にかられるなど、様々な精神障害の症状が出てきます。
セロトニン不足以外でやる気が起きなくなる病気
・橋本病
身体を守る働きをするリンパ球が何らかのきっかけで甲状腺を攻撃し、甲状腺の機能が低下することで代謝を促す甲状腺ホルモンの分泌が正常に行われなくなり、代謝機能が低下することで心身の機能が低下します。橋本病はやる気が出なくなる以外にも疲れやすくなる、汗をかきにくくなる、体重増加、脈拍や体温の低下、眠気などの症状が見られます。
・自律神経失調症
精神ストレスや過労などが原因で、交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで起こる症状の総称です。自律神経は心身の状態を調節しているので、そのバランスが乱れることにより、だるさなどの全身症状だけでなく、頭痛や耳鳴りなどの器官的症状、やる気が出ない、イライラするなどの精神的症状が出ることがあります。現れる症状は人により様々です。
・無気力症候群(アパシーシンドローム)
特定の事に関して意欲や自発心が無くなる症状です。趣味は積極的に取り組む一方、仕事に関してはやる気が出なくなる、というような状態になります。感情の起伏が小さくなったり、様々な出来事に対して無関心になったりします。これは強いストレスから身を守るための逃避行動と考えられています。受験を乗り越えた大学生に多いとされていましたが、最近では社会人にも見られる症状です。
病気や心身の不調によりやる気が出なくなる以外にも、日常的な習慣が原因となっていることがあります。それは、睡眠不足や不規則な生活です。睡眠不足や不規則な生活が続くと体内時計が狂い、脳内物質のバランスを整えるセロトニンの分泌量が減ります。セロトニンの分泌量が減ると、入眠時に必要なメラトニンというホルモンが分泌されにくくなります。すると寝つきが悪くなったり、途中で目覚めることが増えたりして睡眠の質が下がりやすくなってしまいます。
やる気を出すために必要なセロトニンの分泌を正常にするには、睡眠サイクルを整える事が重要です。何となくやる気が出ないと思っている人は、起きた後や眠る前の習慣を見直す事が大切です。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院
・大臀筋
お尻を形成する大きな筋肉で、臀部の筋肉の最も表層部に位置します。大臀筋の作用は主に股関節の伸展動作に働き、その他に股関節を外旋させる作用もあります。歩行や走る動作など全ての日常動作に関与します。
・中臀筋
大臀筋の上部に位置し、一部は大殿筋に覆われている筋肉で、股関節の外転、屈曲、伸展、内旋、外旋といった動きに関与します。直立のとき、小臀筋と共に骨盤を支える筋肉で、例えば歩行中体重が片足にかかった時に逆側に骨盤が傾かないように保持する筋肉でもあります。もし、この筋肉に障害や機能不全が起こるとトレンデンブルグ徴候が見られるようになります。
※トレンデンブルグ徴候とは
立っているときや歩行の際に反対側の骨盤が下がってしまう現象で、股関節障害の検査法の一つです。骨盤が下がることで重心が左右に振られ、側方に揺れるような歩き方になってしまいます。
・小臀筋
小臀筋は臀部上部側面にあり、中殿筋の深部にある筋肉です。作用においては中臀筋とほぼ同じで主に股関節の外転や内旋などの動作に関与します。中臀筋と同じように片足に重心をのせたときの軸足の骨盤の安定にも関与しています。
深層外旋六筋(股関節の外旋動作に重要な働きをする筋肉群)
・梨状筋
大臀筋のさらに深層にある筋肉で、文字通り梨の様な形をした筋肉です。主に股関節の外旋に働く筋肉ですが、深層外旋六筋のうち上方に位置しており貢献度は低いものの股関節の外転にも関与しています。また、股関節の安定にも関わる筋肉です。日常動作では、歩行時に方向を転換する際や、立位など股関節を安定させる全ての動作に関与しています。
梨状筋下孔を通る坐骨神経は梨状筋の絞扼を受けやすいので、その影響で坐骨神経痛が出現する場合があります。これを梨状筋症候群といいます。
・内閉鎖筋
股関節の外旋動作に関わる深層外旋六筋の中で最も強力な筋肉で、日常動作では歩行の安定、歩行時の方向転換時、体の向きを変える際の軸足の動き、直立姿勢での骨盤の安定などに貢献しています。
・外閉鎖筋
外閉鎖筋は内閉鎖筋の裏側にあり、外旋深層六筋の中でも最も深部に位置する筋肉です。作用として股関節の外旋と股関節の内旋にもわずかに関わっています。日常動作には歩行時などの方向転換で体の向きを変える時に動きのサポートと制御に働きます。
臀部の痛みを引き起こす怪我や疾患
・腰椎椎間板ヘルニア
椎間板は繊維輪と髄核でできていて、背骨を繋ぎクッションの役割をしています。その一部が出てきて神経を圧迫すると腰部、臀部痛、下肢に痺れや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなります。椎間板が加齢などにより変性し繊維輪に亀裂が起こり断裂して起こります。悪い姿勢での動作や作業、喫煙でヘルニアが起こりやすくなることが知られています。
・梨状筋症候群
スポーツなどによる梨状筋を含む股関節周囲の筋肉が硬くなり臀部に痛みを生じる状態を指します。梨状筋の真下を通る坐骨神経を圧迫すると臀部痛、大腿後面痛などを引き起こします。
・腰部脊柱管狭窄症
脊柱管は背骨の中央にあり、脊髄とそれに続く神経(馬尾神経)が通っています。この脊柱管が何らかの原因で狭くなり中を通る神経を圧迫するのが脊柱管狭窄症です。
臀部、下肢の痛み、痺れ、間欠性跛行などの歩行障害が見られます。脊柱管狭窄症の原因は加齢による椎間板の変性や後方の椎間関節の肥大と考えられています。
・仙腸関節障害
仙腸関節とは骨盤にある仙骨と、腸骨の間にある関節で、周囲の靭帯により強固に連結されています。仙腸関節は脊椎の根元にある関節で3~5mm程度の可動域しかありません。この関節では日常生活の身体を支える働きとして根元から脊椎のバランスをとっています。中腰での作業や不用意な動作、あるいはその繰り返しの負荷で関節に微小な不適合が生じ、周辺の靭帯や筋肉に痛みが発生してしまいます。
症状として片側の陽臀部痛、下肢痛が多く見られます。
・肉離れ
肉離れとは運動やその他日常生活の動作で、筋肉に急激な負荷がかかった際に起こりやすい症状です。筋肉が吸収できないほどの負荷が筋肉にかかると筋肉がダメージを受けて損傷し、患部が腫れたり内出血を起こすなどの症状を起こすこともあります。軽度、中度、重度とあり症状の度合いによっては歩行困難となるほど生活への支障も出やすいのが肉離れです。
臀部の痛みの原因は様々ですが、大きく分けて3つの原因が考えられます。
・肉離れ、打撲などの外傷
・椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの腰部の構造的な変形
・腰と臀部の筋肉との連携に機能不全が起きている状態
肉離れや打撲などの外傷による臀部痛は痛み出したきっかけを本人が自覚している場合が多く、損傷の程度が大きくなければ治癒までの期間を安静に過ごしていればその後長期にわたって痛みが続くことは通常ありません。
鍼灸治療では炎症による痛みでも、患部の血液循環を促進し炎症物質の代謝を早めたり、お灸による抗炎症作用により治癒を早める効果が期待できます。
腰部の構造的な変形の場合は臀部の知覚を支配している神経に圧迫や摩擦といった刺激が加わるとその神経の影響下に痛みや痺れが現れます。そのため腰や臀部、下肢のツボに鍼やお灸で刺激を与え、血液の循環を良くしたり筋肉の緊張を和らげることで神経の圧迫や摩擦を軽減させ症状を抑えるのが目的となります。
筋肉や筋膜、靭帯などの軟部組織に機能不全が起こる原因は様々で、お仕事などで長時間の座位、立位、反復的な負荷などによって臀部の筋肉が緊張していたり、姿勢不良による関節のバランスの崩れ、産後の骨盤の関節のねじれや歪み、スポーツによる使いすぎなどが挙げられます。
鍼灸治療では腰部、臀部、下肢の重要なツボに鍼やお灸で刺激を与え、血液循環の促進と筋肉の過緊張を和らげ関節のバランスを整えます。また、必要であれば鍼に微弱な電気を流すことで痛みを抑制する効果を促していきます。
また、当院では自律神経調整の治療も合わせて行い、内臓機能を高めたり全身的な血行を促進し、免疫力を高めることで、全身的なバランスを整え症状が治癒しやすいお体の状態を整えていきます。
40代 女性
デスクワークで長時間座っていることが多く、1時間程座っていると右側のお尻の部分が痛く太とももの裏に軽いしびれが出るようになってしまった。
接骨院などでマッサージを受けていたがあまり改善されなくなって鍼灸治療に興味を持って当院にご来院されました。
治療
身体の筋肉が固まってしまっている所など触診をしていった結果、腰部と臀部の筋緊張、大腿外側部や鼠径部の筋緊張もみられました。
まずうつ伏せになって頂き腰部や臀部、大腿外側部の筋緊張の見られる部位に鍼を刺して電極を繋げる鍼通電療法を行っていきました。その後、大腿周りの筋肉をストレッチなどでもほぐしていきました。
次に仰向けとなって頂き、鼠径部にも鍼を刺してゆるめるほかに大腿前面と下腿前面の筋肉にもアプローチを行っていきました。
経過
毎週末に1回ほどの治療ペースで2ヶ月ほどご通院して頂きました。
30分~1時間ごとに立たないと臀部の痛みが耐えられない程でしたがだんだんと痛み始める時間が延びてきて最終的にはほぼ痛みやしびれを感じないようになりました
ブシャール結節とは変形性指関節症の一種で指の第二関節(PIP関節)の軟骨が摩擦することで関節の変形、腫れ、痛みや動きの制限が生じる病気で、40代以上の女性に多く見られます。へバーデン結節(指の第一関節の変形性指関節症)と合併することもあります。
※結節とは
関節内で骨と骨との摩擦により生じた骨の変形部分に骨組織が異常増殖する結果、その部位の骨が腫大したものです。
指の第二関節の痛みや腫れ、こわばり、変形、水膨れ(ミューカシスト)などの症状を伴い、変形が進行すると、関節を動かすことが難しくなります。
また、雑巾が強く絞れなかったり、ペンや箸をうまく使えないなど、日常生活に支障をきたすような症状が現れることもあります。
原因ははっきりと解明されていませんが、加齢による軟骨組織の減少と、過度な手指運動が発症に関与していると考えられています。
女性ホルモンとの関連も指摘されており、腱や滑膜(関越を包む膜)の腫れをとる抗浮腫作用のあるエストロゲンが減少することで、関節に炎症が起こりやすくなるとも考えられています。
エストロゲンの急激な減少は更年期や妊娠時、授乳期に起こりやすいといわれています。また、家族歴、肥満、手の外傷の既往、前腕の筋力が強い(関節負荷がかかりやすい)、関節の弛緩などが変形性手関節症のリスク因子として挙げられます。
問診、視診、触診、画像検査などを行います。診断をするうえで最も重要な検査はレントゲン検査で骨と関節の状態(軟骨の擦り減りや骨棘の有無、関節裂隙の狭小化など)を確認します。また、関節リウマチや感染症などと鑑別するために、血液検査で炎症反応やリウマトイド因子などを調べることもあります。
治療は保存療法として患部の安静と消炎鎮痛剤の外用や内服、レーザー照射、温熱療法、テーピングや装具による固定、関節内へステロイド注射などがあります。
保存療法で症状が改善しない場合や関節の変形が強く日常生活に支障をきたす場合などには指を曲げる機能を担う「腱」を部分的に切除したり、指の第二関節を固定したり、人工関節に置き換える手術を行う場合があります。
中医学では筋、関節などの疼痛、腫脹、しびれなどを主症状とする病証を「痺証(ひしょう)」と呼びます。痺証の「痺」は通じない、塞がるという意味を持っており、体の気血の流れ(神経、血液の流れ)が生体の弱りに乗じて風邪、寒邪、湿邪、熱邪などの身体の外部からの因子によって妨げられて起こると考えられています。
痺証の代表的な種類
・痛痺(寒痺)
寒邪が強い痺証で温めると良くなり、冷やすと悪化します。熱感や赤みが無く痛みが強い特徴があります。
・行痺(風痺)
風邪が一番強い痺証で風邪の性質である遊走性があり、痛いところが変わる遊走痛、冷風に当たると悪化する特徴があります。
・着痺(湿痺)
湿邪が強い痺証で、局所の腫脹、重だるさ、固定痛、雨天での痛みの増加、飲酒での悪化などが特徴です。
・熱痺
関節や筋肉が赤く腫れ熱感を持ちます。発熱、口喝、患部を冷やすと気持ちが良いなどの特徴的な症状が見られます。熱がこもっているため熱を消そうと体が冷たい物を欲します。全般的に熱をイメージする症状が多いことからこの名前が付けられています。リウマチなどの膠原病の活動期によく現れる病証です。
また、痺証は血虚、瘀血(おけつ)腎虚を伴うことが多く、血虚や瘀血は気虚から伸展して現れると考えられています。
東洋医学では「肝は筋を主り、腎は骨を主る」との言葉があります。そのため肝や腎の働きが弱れば筋や骨にトラブルが起こりやすくなるのです。また、腎と肝は支え合う関係にあり、どちらかが弱ればもう片方も弱りやすくなってしまいます。
内臓機能や免疫機能、血液循環などを司る自律神経の調整やホルモンバランスの調整施術を行い、症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えます。また、ブシャール結節の方は首肩周り、胸部、前腕の筋肉が緊張しやすいため、まずその部分の筋緊張を和らげ、手指の血液の循環を促進します。
東洋医学的観点から患部に関係する経絡の流れを整えるツボ、腎や肝の機能を高めるツボ、気血を補うツボも取り入れていきます。
患部である指先は感覚が鋭敏で痛みを感じやすいため、基本的にはお灸でアプローチしていきます。鍼を用いる場合は美容鍼など痛みを感じにくい非常に細い鍼を使用していきます。
全身的なバランスを整え、患部やその周囲の血流を良くすることで痛みや腫れを緩和する効果や関節可動域制限の改善、変形の進行を抑える効果が期待できます。
へバーデン結節とは指の第一関節(DIP関節)が変形し曲がってしまう疾患で、変形性関症の一種です。第一関節の背側の中央の伸筋腱付着部を挟むように2つのコブ(結節)が出来るのが特徴です。
すべての人が強い変形になるとは限らず色々な程度の変形があります。発症は30歳を過ぎたころから多くなり、年齢とともに増加します。痛みや変形の強い方は女性に多いです。
第一関節の腫れ、変形、関節の曲がりにくさなどの症状が現れます。ズキズキとした痛みを伴うことが多く、痛みは安静時の痛み、夜寝ているときの痛み、物をつまむ動作の痛みなどがあります。
また、関節に水が溜まるとその付近に水膨れのようなものができることがあり、ミューカシストと呼ばれています。潰れたり化膿することもあり注意が必要です。
へバーデン結節の直接の原因は不明です。しかし、病気の性質から変形性関節症の一種であると考えられているため、加齢や使い過ぎが原因となっていると考えられています。また、最近では女性ホルモンとの関連が指摘されています。
指の第一関節には他の関節同様軟骨が存在し骨を守っていますが、年齢とともに軟骨が擦り減り骨と骨との隙間が狭くなり、骨同士が擦れあうことで骨の新たな隆起が生じ、結節ができます。また、骨の変形と共に炎症が生じ痛みが生じます。
へバーデン結節のリスク因子として年齢(特に40歳以降)、家族歴、肥満、痛風、関節への負担などが挙げられます。
※女性ホルモンの働き
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、骨、関節、靭帯、皮膚、血管などに作用し全身を守る役割を果たしています。
エストロゲンの分泌が減少すると手指の関節や関節を包む膜、腱、腱を包む腱鞘などがダメージを受けやすくなり、しびれやこわばり、炎症による腫れや痛みの原因になるといわれています。そのため更年期以降や女性ホルモンのバランスが崩れる妊娠中、産後などは関節などのトラブルが起こりやすいといわれています。
外見上の第一関節の結節性隆起やゆがみ、痛み症状でも診断できますが、レントゲン検査が診断にとって有効です。
関節間隙が狭小化していることで診断します。一般的な治療として保存療法としては、安静(固定も含む)や消炎鎮痛薬、局所のテーピングなどがあります。急性期では、少量の関節内ステロイド注射も有効です。
保存療法で痛みが改善しない場合や、変形がひどくなり日常生活に支障をきたす場合は手術療法が選択されます。手術法には結節を切除するものや関節を固定する方法が行われます。
中医学では筋、関節などの疼痛、腫脹、しびれなどを主症状とする病証を「痺証(ひしょう)」と呼びます。
痺証は四肢経絡が風邪、寒邪、湿邪、熱邪などの身体の外部からの因子に気血の運行が妨げられて起こると考えられています。
痺証の代表的な種類
・痛痺(寒痺)
寒邪が強い痺証で温めると良くなり、冷やすと悪化する。熱感や赤みが無く痛みが強い特徴があります。
・行痺(風痺)
風邪が一番強い痺証で風邪の性質である遊走性があり、痛いところが変わる遊走痛、冷風に当たると悪化する特徴があります。
・着痺(湿痺)
湿邪が強い痺証で、局所の腫脹、重だるさ、固定痛、雨天での痛みの増加、飲酒での悪化などが特徴です。
・熱痺
関節や筋肉が赤く腫れ熱感を持ちます。発熱、口喝、患部を冷やすと気持ちが良いなどの特徴的な症状が見られます。熱がこもっているため熱を消そうと体が冷たい物を欲します。全般的に熱をイメージする症状が多いことからこの名前が付けられています。リウマチなどの膠原病の活動期によく現れる病証です。
また、痺証は血虚、瘀血(おけつ)腎虚を伴うことが多く、血虚や瘀血は気虚から進展して現れると考えられています。
東洋医学では「肝は筋を主り、腎は骨を主る」との言葉があります。そのため五臓六腑の肝や腎の働きが弱れば筋や骨にトラブルが起こりやすくなるのです。また、腎と肝は支え合う関係にあり、どちらかが弱ればもう片方も弱りやすくなってしまいます。
内臓機能や免疫機能、血液循環などを司る自律神経の調整やホルモンバランスの調整を行い症状が治癒しやすいお身体の状態へ整える施術や、へバーデン結節の方は首肩周り、胸部、前腕の筋肉が緊張しやすいため、まずその部分の筋緊張を和らげ、手指の血液の循環を促進します。
また、東洋医学的観点から患部に関係する経絡の流れを整えるツボや腎や肝の機能、気血を補うツボも取り入れていきます。
患部である指は感覚が鋭敏で痛みを感じやすいため、基本的にはお灸でアプローチしていきます。鍼を用いる場合は美容鍼など痛みを感じにくい非常に細い鍼を使用していきます。
全身的なバランスを整え、患部やその周囲の血流を良くすることで痛みや腫れ、しびれを緩和する効果や関節可動域制限の改善、変形の進行を抑える効果が期待できます。
胃痙攣とは上腹部に起こる発作性の痛みの総称で、胃の壁にある筋肉層が異常に緊張して痛みを発する状態がけいれんを起こしているかのように感じるためそう呼ばれています。
胃痙攣は腹痛や頭痛などと一緒で症状に対する呼び名で病名ではありません。
胃炎や胃潰瘍、胃がん、十二指腸潰瘍、胆石症、膵炎、虫垂炎、急性胃腸炎、腎結石などの疾患や、食中毒、腹部の冷え、ヒステリー、過食後やアルコールの飲み過ぎた後に起こることがあります。また、強いストレスを感じて緊張しすぎた場合にも起こることがあります。
胃はもともとストレスに敏感な臓器だと考えられています。それは自律神経の働きが胃と連動しやすいことと関係しています。極度のストレスや緊張が長時間続いてしまうと自律神経が乱れることで胃酸が出過ぎたり、逆に胃酸が出なかったりということが起こります。
また、便秘になると胃の動きが停滞し消化機能が働きにくくなります。冷えも胃痛には大敵で、冷え性の人や、腹部周辺が冷えやすい人、冷たい飲食物を好んで摂られる人は胃痙攣を起こしやすいといえます。
・胃十二指腸潰瘍の鍼灸治療について
・胃酸過多症の鍼灸治療について
・慢性胃炎の鍼灸治療について
心窩部(しんかぶ)(みぞおち)のあたりを中心に痛みの発作が起こります。発作の時間は数分から長いものでは1~2時間続くこともあります。
痛みによって呼吸困難に陥ったり、冷や汗をかいたりすることもあります。また、腹痛だけでなく吐き気や下痢、食欲不振などの症状を引き起こす場合もあります。
・食欲不振に対する鍼灸治療について
血液検査や内視鏡検査、尿検査、X線画像検査、超音波検査などを行い胃痙攣が起こる原因を調べ、原因に対する治療を行います。痛みを抑えるための鎮痛薬が処方されます。
中医学では、西洋医学における急性、慢性胃炎や十二指腸潰瘍、胃痙攣、胃下垂などの疾患は胃痛として弁証することが多いです。
飲食から必要な栄養を吸収して、不要なものを下に降ろすという働き(受納・降濁:じゅのう・こうだく)は、肝の協調によって行われています。
慢性的なストレスは肝鬱気滞という情志の鬱滞からくる気の停滞を意味しますが、これが胃の働きを阻害し胃痛を生じます。
当院では自律神経測定器にて自律神経のバランスを測定しお身体の状態を把握した上で治療へ移ります。
内臓機能に大きく関わる自律神経の働きを整え、東洋医学的観点から胃や肝に関わるツボを用います。
腹部への施術は鍼ばかりでなくお灸の施術も行い、胃部等への冷えを解消して働きを正常に戻すように施術を行っていきます。
お灸にも様々な種類がございますが、当院で使用しているお灸施術は決して跡が残らず心地よい温熱刺激で副交感神経の活動を高めることで身体をリラックス状態へと導きます。
胃痙攣の原因は上述されいます通り、様々な原因が挙げられますが最も多いのがストレスによるものや腹部の冷えからくるものです。
それらは日常生活習慣を見直すこといくら改善されることが多いです。
①食事
お肉や脂っこい食べ物を日常的に食べ過ぎている状態や消化に悪いものを多く摂取すると胃内に飲食物が長く停滞することになります。すると体は早く消化しようと胃酸を過剰に分泌することになります。それにより胃の粘膜が傷つくことで胃痙攣となりやすすくなります。
その他、ビールなどの冷えた飲み物やアイスクリームなどの食べ過ぎ、辛い物の食べ過ぎも胃痙攣を引き起こす危険性があります。
胃も筋肉の働きによって活動しているため、寒い季節は手がかじかんでうまく動かせなくなるように胃も冷えると活動が低下してしまいます。
それらの食べ物の過剰摂取は控えて胃の調子が良くないと感じたらよく煮込んだ野菜スープやおかゆなどの消化の良い食べ物を摂取するようにしましょう。
②睡眠
睡眠時間の低下は自律神経の活動を乱すことで胃の活動にも影響を与えます。
また胃の活動を考えると右側を下に向けたほうが良いとされています。
それは胃の構造上の理由で胃は十二指腸へと繋がるのですがその繋がる部分がお腹の右寄りにあるため右側を舌にして寝たほうがよりスムーズに胃の中の飲食物が十二指腸へと流れやすくなるのです。
③体を温める・リラックスできる時間をつくる
ぬるま湯にゆったり20~30分ほど浸かって体の芯までしっかりと温まるように心がけましょう。体が冷えてしまうと胃の活動にも影響が出ます。冬は肌着の上からホッカイロを張ったり夏は冷房の冷えから身体を守る腹巻を巻くことも有効です。
リラックスできる時間をつくるのは、実践するとなかなか難しく感じることもあるかもしれませんが、趣味や読書、軽いウォーキングなどの運動でリラックスできる時間が増えると胃の活動にもいい影響が出てきます。
更年期障害と聞くと、女性で閉経後の前後にホルモンバランスが崩れ様々な不調があらわれるものというイメージを持たれる方が多いと思いますが、実は女性だけでなく男性にも起こることがあります。
この男性更年期障害は日本でも十数年前から知られるようになりました。医学上はLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれています。
男性更年期障害は加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされます。
男性と女性の大きな違いは女性の場合は閉経前後10年間に起きることが多いのに対して男性は環境による影響が大きく、ホルモンの減少する時期や期間、程度においてかなり個人差があることです。
発症するのは概ね40歳以降が多いですが、中には30代の方もあり、逆に60歳~70歳になって初めて発症する方もいます。一般的にテストステロンの量は10代前半から急激に増え始め、20歳頃をピークに年齢とともになだらかなカーブを描いて減少していきます。
しかし、何らかの原因でテストステロンが急激に減少してしまうと、体はバランスを崩し様々な不調を引き起こすのです。テストステロンを減少させる要因はいくつかありますが、その代表的なものがストレスといわれています。
テストステロンは大脳の視床下部からの指令によって主に精巣で作られますが、心理的ストレスを長く受け続け、交感神経が優位の状態が続くと大脳から「テストステロンをつくるな」という指令が出されてしまうのです。
男性の50~60代に患者数が多いのは加齢によるテストステロンの減少に加えて、職場でも家庭でもストレスの多い時期だからと考えられています。
男性ホルモンは全身に作用し、筋肉や骨を強くする、性機能を正常に保つ、判断力や理解力などの認知能力を高める役割などがあり、低下すると様々な症状が現れます。
症状は身体症状と精神症状に分けられます。
身体症状は、朝立ちの消失や勃起不全(ED)といった男性機能の低下がまず挙げられます。
その他にものぼせ、多汗、全身倦怠感、筋肉や関節の痛み、筋力や骨密度の低下、頭痛、めまい、耳鳴り、頻尿など、
精神症状としては、不眠、イライラ、性欲減退、集中力や記憶力の低下などとともにうつ症状が出る場合もあります。
さらに、男性更年期障害になるとメタボリックシンドローム、心筋梗塞、脳梗塞やがんなどの生活習慣病のリスクが高まることもわかってきました。このことからテストステロンというホルモンが男性にとっていかに幅広く大きな役割を担っているかがわかります。
・頭痛の鍼灸治療について
・めまいの鍼灸治療について
・耳鳴りの鍼灸治療について
・頻尿の鍼灸治療について
・不眠症の鍼灸治療について
・EDの鍼灸治療について
診断は問診と血液検査によって行われます。問診では、心身にどのような症状が出ているか、性機能の低下が無いかなどを確認します。血液検査では男性ホルモンが十分に分泌されているかどうかを調べます。血液中のフリーテストステロンの値が8.5pg/mL未満で、心と体の症状が強い場合男性更年期障害と診断されます。
男性ホルモンの値がそれほど低くない場合や、症状が軽い場合は、漢方薬や症状の応じた薬を使って治療していきます。うつ症状や不安症状など、精神症状がある場合には抗うつ薬、抗不安薬などを使うことがあります。また、男性ホルモンが低下すると骨が弱くなってくるため、骨粗鬆症薬を使うこともあります。さらに勃起力や性欲が低下するなどの性機能に関わる症状がある場合は、ED治療薬が処方されます。
男性ホルモンの値が著しく低下して、症状が重い場合は、男性ホルモン補充療法を行います。ただし、テストステロンを補充すると、精子を作る機能が抑制されて、男性不妊を起こすおそれがあります。そのため、将来子供を希望する場合にはhcgホルモンでテストステロンの分泌を促します。
中医学では男性更年期障害は、女性と同様に「腎」機能の低下「腎虚(じんきょ)」が基礎にあると考えます。東洋医学における「腎」とは西洋医学の腎臓の働きである尿の排泄機能だけでなく、生殖、発育機能も持ち合わせています。
加齢、ストレス、食生活の乱れ、運動不足など様々な要因が「腎」の機能を低下させると考えられています。腎虚の症状は頭、耳、下半身に現れやすく、物忘れ、抜け毛や白髪、聴力低下、足腰のだるさ、腰痛、頻尿、生殖機能の衰えなどが挙げられます。
また、中医学では「肝腎同源」といわれている通り五臓六腑の「肝」と「腎」は互いに相互し合う関係であることから、「腎」の機能向上には「肝」の機能を高めることも重要と考えられています。
当院では自律神経測定器で、まず患者様の自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を把握した上で治療に移ります。
ホルモン分泌や内臓機能、免疫力に大きく関わる自律神経の調整施術と、東洋医学的観点から五臓六腑の腎、肝の機能を補うツボ、気や血を補うツボを用いて治療を行います。また、更年期障害の方は現れる症状も様々なため、それぞれ症状に合わせたツボも用いて治療していきます。
めまいといっても様々な病態があり、生命の危険がある重症なものからちょっとした疲れや体の異常・はっきりと原因のわからないものまであります。
しかし全体的にみるとめまいを訴える方は年々増加しており、今や5人に1人以上の割合でめまいを慢性的に感じています。
めまいは高齢になるほど羅患率は増えてきますが、最近では比較的若い世代の働き盛りの男性や20代・30代の主婦などにも多くみられます。
めまいは様々な疾患を見分けるための重要な症状であり、身体にとっては異常事態を知らせる重要なシグナルでもあるので、まずは原因を究明し、体のどこに異常があるか知っておく必要があります。
◆どの科を受診すべきか◆
耳鼻咽喉科
めまいの多くは、耳鳴りや耳塞感などの耳の症状も同時に現れる場合が多いのでそういった場合はまずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。
内科
めまいの他に吐き気や嘔吐、冷や汗などの症状が強く出ている場合は内科を受診しましょう。
脳神経外科・神経内科
めまいに加えて手足の痺れや舌のもつれ、物が二重に見える、歩行困難、意識低下などがみられる場合は早急に脳神経外科・神経内科を受診しましょう。
かかりつけ医
高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の治療を受けている場合は薬の影響によるめまいの可能性もあるのでまずはかかりつけ医に相談してみましょう。
大学病院・総合病院
様々な科が集まる大学病院や総合病院では、それぞれの科が連携しており、さらにめまい外来や神経耳科などさらに細かく分かれて診療科が設置されている病院もあります。
めまいといいましても感じ方は人それぞれであり、そのタイプだけで原因疾患を特定することはできませんが、一つの目安となります。めまいの感じ方は大きく分けると「回転性めまい」と「非回転性めまい」の二つに大別されます。さらに「非回転性めまい」ではそのほかいろいろなタイプがあります。
◆回転性めまい◆
回転性めまいは、自分や周囲がぐるぐると回っているように感じます。激しいめまいである場合が多く、めまいの他に吐き気や歩行困難、難聴、耳鳴りなどの症状も併発する場合もあります。
座っていたり横になっていたりと自分が動いていない場合でもぐるぐると回転するようにめまいを感じます。その場合メニエール病や前庭神経炎などの可能性が高いですが、脳出血や一過性の脳虚血発作のような脳の病気の場合もあります。
また寝返りや起床時にめまいを感じる場合もあり、良性発作性頭位めまいと呼ばれています。
一般的に回転性めまいは、内耳などの平衡器官に血流障害や炎症・むくみが起きることが原因ですが脳の障害の場合もあるので注意が必要です。
メニエール病
自分や周囲がぐるぐる回ると感じる回転性めまいを起こす代表的な疾患がメニエール病です。メニエール病は、40代~50代の方に多く発症し、肉体的・精神的ストレスが引き金になる場合が多いため、現代病とも都会病ともいわれ、近年は増加傾向にあります。
メニエール病の典型的な始まりは、ある日突然何も前触れなしに激しい回転せめまいが起こり、目も開けられずに吐き気がして嘔吐するといった症状が起きます。次いで耳鳴りや難聴などの耳の症状があらわれます。めまいの発作は、数時間から半日程度でおさまっていくのが普通ですが、メニエール病が厄介なのは、定期的に発作を繰り返すということです。
メニエール病を引き起こす原因は、内リンパ液が増えすぎる内耳の内リンパ水腫であると考えられていますが、内リンパ水腫を引き起こす原因はいまだ詳しく解明されていません。しかし、過労や睡眠不足などの肉体的ストレスや仕事や人間関係などからくる精神的ストレスが発症の誘因となることが多いとされており、心身症の一つとしてとらえられています。
◆非回転性めまい◆
自分や周囲がぐるぐると回っていると感じる回転性めまいと違い非回転性めまいは回っているとは感じません。非回転性めまいは、めまいの感じ方により「浮動性めまい」「動揺性めまい」「眼前暗黒感」に分類されます。
浮動性めまい
浮動性めまいの場合は、「体がふわふわと宙に浮いた感じがする」や「船に乗っている感じがする」などの身体の不安定感を呈します。両側の内耳の異常でも起こりますが、脳の障害でも浮動性めまいは起こりやすいです。
動揺性めまい
動揺性めまいでは、頭や首・体全体がぐらぐらと揺れているように感じます。実際に歩行してみるとふらつくこともあります。内耳の平衡器官が左右両側で侵されたり、運動をつかさどる小脳に病変が出た場合にあらわれやすくなります。
眼前暗黒感
眼前暗黒感はわかりやすくいうと「立ちくらみ」のことであり、立ち上がった瞬間にくらっと感じたり、長く立っていると眼の前が遠く真っ暗になるなどの症状を呈します。10歳以上の学童に多く見られる疾患でほとんどの場合は耳や脳には異常はありません。
※女性に多いめまい
女性の場合特に月経の前1週間ほど前の黄体期に体調が崩れやすく、めまい症状やイライラ感や抑うつ感などの精神的な症状もあらわれやすいとされます。特に現代社会では、女性の社会進出が進み、職場でのストレスや過重労働での体の疲労が男性と同様にかかりそれに加えて育児や家事、独身女性の場合将来への莫大な不安といった心身ともにストレスがかかりやすくなっています。
最初のうち、身体にエネルギーがあるときは何とかやり過ごせますが、それが許容量を超えてしまうと心身がSOSサインをだして心身に異常が出てしまうのです。
また、脳下垂体という女性ホルモンの分泌指令を送る器官は、視床下部という自律神経をコントロールしている器官のすぐ近くにあるため、女性ホルモンの変化が自律神経のバランスを崩れる原因となりがちです。
日常的にも心身のストレス過多状態でさらに黄体期で女性ホルモンのバランスが崩れると自律神経のバランスが乱され、それがめまいの原因となってしまうのです。
自律神経バランスの乱れ以外にも女性は月経のたびに鉄分が失われるため、脳が虚血状態となり貧血によるめまいが起こりやすいので注意が必要です。それに加えて過度なダイエットで食生活が乱れて栄養が十分に摂取できていない状態ですとさらに月経時にめまいが起こりやすいです。
その他、閉経後に女性ホルモンの分泌低下の影響でカルシウムの吸収が低下して耳石がもろくなり剥がれやすい状態となります。すると耳石が剥がれ落ちてしまい体の平衡感覚をつかさどる三半規管のなかに落ちてしまってめまいが起こる良性発作性頭位めまい症という疾患もかかりすやすいとされます。
めまいは、単独で症状が現れる場合は少なく、自律神経症状や意識障害、運動障害などを併発する場合がほとんどです。併発する症状によっては、生命の危険にかかわり、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。
下記のような症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。脳梗塞・脳出血・脳腫瘍などの脳の病気が疑われます。
・体の半身が不自由、感覚が鈍いと感じる
・舌がもつれたり、言葉が発しにくくなる
・物が二重に見え、目がかすむ
・歩行困難
・激しい頭痛で意識がもうろうとする
・物の片側が見えない
めまいと共にこのような症状を呈する場合、様子を見ることなどせずにすぐに医療機関を受診してください。症状が重症化する場合もあります。
耳鳴りや難聴が併発する
めまいと耳鳴り、難聴は同時に起こることが多いです。このような場合は脳の疾患の可能性は低くなります。
平衡感覚をつかさどる器官と聴覚をつかさどる器官は、もともと同じ器官から分化したもので両方とも内耳の中で隣り合っています。お互いは細い管で連結しているために密接に影響を及ぼし合います。
また内耳と脳をつなぐ神経は、平衡感覚器から出ている前庭神経と聴覚器から出ている蝸牛神経の2種類でどちらかの神経が障害されるともう一方にも影響を及ぼすためにめまいと耳鳴り・難聴が併発することが多くなるのです。
めまいの治療症例
症例1
40代 男性
2年前から自転車の走行中や電車の中、片足立ちをするとフワフワするようなめまいを感じるようになった。
パソコン関係の仕事が忙しく、めまいが起こった2年前ぐらいから不眠が続いていて、今はめまいだけではなく動悸も感じる。毎日睡眠時間が2~3時間程のため、疲れが抜けきれない。
当院の治療
お話を聞いていると、重度な自律神経失調症の症状であるため、自律神経測定器で計測してみたところ、予想通り交感神経が過活動していた。
まずは、自律神経調節のための施術を行い精神的リラックスを目的として頭のツボに電気パルス鍼を行った。
首肩のコリに関しては、デスクワークのためか非常に強い。首肩が硬くなると脳に対する血流量も下がってしまいめまいの原因の1つになるので、首肩の電気鍼の施術も行った。
長期的な治療になるため、まずは1週間に1回のペースで施術。
◇1回目◇
あまり大きな変化はないが、少しだけ軽くなった気がする。
◇2回目◇
1週間のうちに2日程夜に眠気を感じることが出来た。
めまいは前回から変化なし。
◇3回目◇
めまいはあまり変わらないが、睡眠の質は良くなってきている。
◇4回目◇
片足立ちの時はまだめまいがするが、それ以外の状態ではあまり気にならなくなってきた。
◇5回目◇
睡眠時間が平均5時間まで延びてきた。
◇6回目◇
めまいが少なくなってきた。睡眠時間も安定。
◇7回目~15回目◇
あまり変化はないが、状態は安定している。
◇16回目~25回目◇
仕事が忙しかったり、精神的なストレスがあると症状が酷くなる時もあるが、前ほど悪くならない。
◇26回目~30回目◇
気が付いたらいつの間にか、めまいを感じなくなっていた。
睡眠時間も6~7時間寝れるようになってきた。
現在も通院中。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
声のかすれに対する当院の治療は、東洋医学で機能不全を起こしていると考えられている五臓六腑の『肺』の機能を正常に戻すことや自律神経の状態を整えることを主眼において施術していきます。
声帯の開閉時に働く喉頭内の筋肉は、迷走神経によって支配されています。その迷走神経は、副交感神経が大部分からなり、頭部・頸部・胸部・腹部すべての内臓に分布して感覚や運動、分泌の役割を担っています。
副交感神経は安静に優位になるリラックス神経です。ストレス社会と言われる現代では多くの人が副交感神経の活動が低下していると言われています。実際に当院の自律神経測定器で測定すると多くの方は交感神経の活動が優位となっており、声のかすれでご来院される方々も例外ではありません。
声のかすれ症状の方も初診時に自律神経測定器で自律神経の状態を把握させていただき、施術していきます。
基本的には、副交感神経の活動を高めるリラックスできるような施術を行っていきます。特に鍼灸施術は副交感神経の活動を高めて自律神経を整える効果が期待できます。
その他、肺に関するツボや嗄声の方は五臓六腑の『腎』の働きが弱っている方も多く、腎に関する経穴も用いて施術していきます。
発生は大きく分けて4つの動作から成り立っており、息を送り出す→声帯が振動する→共鳴→言葉の形成の流れです。まず息を吸うことで肺に空気を溜め込みます。そして膨らんだ肺が収縮することで息が送り出されます。送り出された息は、声帯を振動させて音となります。声帯とは、咽頭腔の左右両側から突出する筋肉性のひだのことを指します。発生の時声帯は両側から狭くなりそれを肺から押し出された息が押しのけて通過することで声となるのです。
声帯の開閉は、喉頭軟骨や喉頭筋によって行われ、喉頭内の筋肉運動は迷走神経によって支配されています。
喘鳴声のかすれ(嗄声)は、この過程でどこかしらに不具合が生じて発症します。
声のかすれの原因は様々です。声のかすれは、風邪などの症状の一つで軽く見られがちですが、声のかすれが長引く場合は、喉頭がんなどの危険性もあるため耳鼻咽喉科などで検査を受ける必要があります。
・風邪やインフルエンザに伴う声のかすれ
風やインフルエンザのウィルスに感染することによって咽頭部に炎症が起きる咽頭炎を患ってしまった場合、のどの違和感や痛み、声のかすれが起こります。この場合はその他風邪症状の軽快に伴って声のかすれも軽快していきます。
・甲状腺の異常
甲状腺炎や甲状腺機能低下症などで甲状腺に炎症が起こると声のかすれも現れます。これは、20代~40代の女性に多く発症します。免疫力の異常によって甲状腺に炎症が起こり慢性的な倦怠感や低血圧、むくみ、生理不順などの症状が現れることもあります。
・喉頭がん
喉頭がんでは喉頭部に発生した悪性腫瘍によって声帯に障害を与えてしまい嗄声となります。肺がんや食道がんが周囲に広がって喉頭部の発声することに重要な筋肉を支配する迷走神経を阻害することによって嗄声となる場合もあります。
・声帯ポリープ
声帯に小さな腫物ができて声がかすれて症状がひどいと声が全く出せなくなってしまいます。これは、声帯のオーバーユースが原因でよく声を出す職業の人や大声でしゃべりまくる子供などに見られる症状です。声帯のオーバーユースで声帯ポリープまでいかないまでも声帯が軽い炎症やむくみを起こすことで声がかすれることがあります。
・タバコやお酒による声のかすれ
タバコの煙に含まれるタールによって気管を刺激して声帯が炎症してしまうことで声のかすれも起こります。アルコールも気管を刺激して声帯が炎症を起こすことで声のかすれを引き起こします。アルコール濃度が高かったり、飲みすぎは声帯を傷つける危険性もあるので注意する必要があります。
・加齢による声のかすれ
加齢によって声帯や声を出す筋肉もどうしても衰えていきます。加齢に伴い声帯は委縮してしまい発声時に息がもれやすく、声のかすれの原因となってしまいます。
・思春期の声変わり
特に思春期を迎える男性はのどぼとけと言われる甲状軟骨が急速に成長して声帯が引き延ばされるため声が低くなります。声帯が引き延ばされる時期はまだ声帯がうまく振動できないため安定するまでは声がかすれることがあります。
嗄声は東洋医学では五臓六腑の『肺』が関係していると考えられています。東洋医学の『肺』は西洋医学の肺と似ているところもありますが、全く機能的に異なる部分もあります。
東洋医学の肺には
・肺は気を主る
呼吸によって外の清気を吸入して体内の濁気を排出してガス交換を行います。その他体内で「気」の生成に関与することで全身の様々な機能をつかさどっています。
・肺は宣さん・粛降を主る
肺には気や津液を全身のすみずみに送り届けます。肺呼吸や皮膚呼吸によって津液を発散させたり、末梢血管内外を浸透圧を調整して体液バランスを維持します。
嗄声はこの肺の機能低下によって起こると考えられており、特に『肺陰虚』という状態となったときに嗄声となりやすいといわれています。
・肺陰虚
肺の陰液不足という病態で慢性的疾患によって起こる栄養障害や炎症疾患による津液の消耗・乾燥した環境などの労働や居住などによって生じると言われています。気管支の粘液分泌不足や慢性炎症や自律神経系の過亢進などが関与すると考えられます。
嗄声症状やノドの乾燥感、口の渇きなども現れます。
声のかすれの治療症例
30代女性
1か月前に急性副鼻腔炎に罹ってしまい、それがきっかけで声がかすれるようになってしまった。声優をしているため、一刻も早く治したいと来院された。
副鼻腔炎はほぼ良くなっているが、少し鼻水が出る。
当院の治療
声のかすれは咽頭の炎症によるものである為、喉周りのツボに刺鍼をしさらにお灸をして炎症を改善を目的とした施術を行った。
さらに、自律神経測定器で測定してみた結果、免疫力が低下している状態であるので体質改善のため自律神経調節治療も同時に行った。
また、副鼻腔炎も完治していないので、そちらの治療も並行した。
◇1回目◇
あまり変化はない。
◇2回目◇
声が出しやすくなってきた。
◇3回目◇
鼻水も出なくなり、声も通常通りに戻ってきた。
◇4回目◇
声が元に戻った
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院