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花粉症の鍼灸治療

木曜日, 3月 24th, 2022

 

 

花粉症の鍼灸治療

 

花粉症はアレルギーに効果がある経穴を使用した経絡治療や自律神経調節治療を中心に行っていきます。目のかゆみや充血には「晴明」「太陽」「攅竹」「角孫」鼻炎症状がある場合は鼻周りの特効穴「迎香」「上迎香」「神堂」「神庭」にも刺鍼を行います。

鼻周りの経穴には、状態に合わせて電気鍼で刺激していきます。

 

花粉症の東洋医学的治療

 

東洋医学では、「気」「血」「水」の三つの流れ、バランスが重視されます。

この三つが絶えず体中を巡り合って健康な生命活動を維持していると考えられています。

しかし、この三つのバランスが崩れると体に不調が生じます。

花粉症の場合「水」と大きな関わりがあります。

 

体に必要以上の水が入ることを水毒と言い、過労やストレス、水の取りすぎで体調を崩すと胃腸の調子が悪くなり、吸収力が低下します。胃腸の働きが悪くなると液状の飲食物が体内に残ってしまい余った物が水毒となります。

 

花粉症は鼻水や涙が止まらない症状から、吸収されない水分が水毒なり体の外に出る事で発症すると考えられています。

 

水分調整には「脾」「肺」「腎」が大きな役割を担っています。

脾は全身にまんべんなく水分を運搬する機能で、肺は全身の水分をコントロールしています。腎は水分代謝の役割を担っており、余分な水分を尿に変え体外に排出する機能を持っています。

 

また、鼻づまりや目の充血は粘膜がうっ血状態となっている事から、「瘀血」と捉えています。

 

この瘀血は、のぼせやイライラなど気逆の症状が現れることもあるため、それらの状態が見られる場合は瘀血、気逆を正常に整えるツボも使用していきます。

 

花粉症とは

 

花粉症は、植物の花粉が原因の季節性アレルギーのことを言います。

主に鼻と目の症状からなるアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎が現れます。

また花粉に振れやすい顔や首回りに湿疹がおこる花粉皮膚炎も発症することもあります。

 

花粉症が起こるメカニズム

 

花粉といったアレルゲンが鼻粘膜に付着すると、抗体が体内で作られマスト細胞と結合します。

その後再び花粉が鼻粘膜に付着するとマスト細胞からヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサン、PAF(血小板活性化因子)等といったアレルギー誘発物質が放出され、それらの物質が鼻粘膜にある神経や血管を刺激し、鼻水やくしゃみ、鼻づまりといったアレルギー反応を引き起こします。

 

目の場合も同様で、花粉が瞼の粘膜に付着するとヒスタミンなどが発生し粘膜を刺激するため目の充血やかゆみを引き起こします。

また目の知覚神経が刺激されるとその影響で涙腺神経も刺激されるので流涙も強くなることがあります。

 

近年、花粉の飛ぶ時期でしか発症しないものでしたが、ダニや複数の花粉に対してアレルギー反応を起こし一年中花粉症に悩んでいる人も増加しています。

 

花粉症の症状

 

・鼻水

・くしゃみ

・鼻づまり

・鼻のかゆみ

・目のかゆみ

・目の充血

・流涙

・皮膚の湿疹

・皮膚のかゆみ

・頭痛

・微熱

 

花粉の時期と種類

 

春はスギ花粉を筆頭に、ヒノキ、白樺、ハンノキなどの樹木花粉が多く、これらの花粉は十数km、中には数百kmまで風に乗って飛ぶこともあり、スギやヒノキが少ない都市部まで大量に舞ってくる事があります。

時期は地域によって違いますが、2月~4月がピークと言われています。しかし、スギ花粉は10月から6月まで飛ぶこともあり、アレルギー反応が強く出やすい人はピーク時以外でも発症する事もあります。

 

秋の花粉はブタクサ、イネ、ヨモギ、カナムグラが多く、早くて8月の終わりころから飛び始め、11月まで飛びます。特に9月頃がピークになることが多いです。

イネに関しては5月頃がピークになります。

 

上記だけではなく、日本では61種類の花粉によるアレルギーが発見されています。

 

花粉症の西洋医学的治療

 

花粉症の治療は、鼻噴霧様のステロイド薬、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬の内服といった薬物療法が中心になります。

また、花粉のシーズン前にレーザー照射で鼻粘膜表面を変性、収縮させることにより鼻水、くしゃみ、鼻づまりといった症状を軽減させる治療もあります。しかし、この方法は花粉の症状が出てから行っても効果がでないので、シーズン前に受ける事が大切です。

 

また、アレルギーの原因となる抗原を体内に少しづつ投与する事によって、アレルギー反応を起こしにくい体質に変化させるアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法、皮下免疫療法)があります。これは免疫を獲得するために行われる予防接種とは違い、間違って獲得してしまった免疫の排除を目的として投与します。

 

日常生活の花粉症対策

 

花粉症は自律神経の乱れで症状が悪化することがあります。

まずは睡眠をよくとる事。規則正しい生活を送ることが大切です。

他には多量の飲酒、喫煙も鼻粘膜を刺激してしまうので控えましょう。  

外出時はマスクやメガネを装着する、室内に持ち込まないように工夫をしましょう。

 

アレルギー性鼻炎と自律神経の関係性

 

朝の起床時に鼻が詰まったり鼻水やくしゃみが止まらなくなる事があります。

これはモーニングアタックと呼ばれていて、自律神経のバランスが乱れることで起こります。

 

自律神経は活動時に働く交感神経と睡眠中やリラックス時に働く副交感神経があり、目覚めて副交感神経から交感神経に少しずつ切り替わります。

交感神経は鼻粘膜の血管を収縮させ、くしゃみや鼻水を抑えますが、起床直後はまだうまく働いていないためくしゃみや鼻水が出ます。

 

睡眠不足や慢性的なストレスで自律神経が乱れている人は、より花粉症の症状が強く出やすくなります。

 

リウマチの鍼灸治療

水曜日, 3月 16th, 2022

関節リウマチの東洋医学的鍼灸治療

リウマチの場合、関節に多く症状が出ていますから

関節周囲に鍼灸治療を行えばよいというものでもありません。まず五臓六腑の機能低下と自律神経の乱れを整えていくことで、自己免疫力を高めていくことを基本とします。

リウマチに対する自律神経調整鍼灸

『リューマ=流れ』が滞っている状態ですから、

全身の気血津液の流れや、関節に至るまでの経絡(ツボの流れ)を整えることは治療法において大切といえます。

またリウマチは自己免疫疾患に分類され、免疫系の不具合異常反応によって引き起こされる部分もあります。免疫機構において間違って自己の身体に攻撃してしまうことによっておこされます。攻撃してしまう部分が関節や滑膜であると、リウマチの症状となるのです。

リウマチに対するうつ伏せ鍼治療

免疫機構を正常な状態にするために、脊柱(中枢神経系)の背部兪穴と関節の症状に効果的な合水穴を用いていきます。

免疫機構を正常な状態に近づけていくには、体質を変えていく必要があります。(本治法)

ですからリウマチになってからの期間が長い場合であれば、

治療の期間も比例して、期間が必要になります。

逆をかえせば、早期に発見し早期に治療すれば症状が悪くなることはないのです。

また、症状が出ている部分に直接鍼灸施術を行い、症状緩和のアプローチも行っていきます。

リウマチ症状に直接アプローチする鍼灸施術

 

 

リウマチに対する鍼灸治療はWHOでその有効性が認められている

 

早期発見早期治療を原則とし、病歴や臨床症候などをふまえ適切な治療を選択することが重要です。

リウマチはWHO(世界保健機関)でも鍼灸の適応疾患とされており、代替療法として有効性が認められている疾患です。

西洋医学と東洋医学(鍼灸治療・漢方等)の良い部分を選択して症状を改善していくことが治療効果をあげやすいといえるでしょう。

 

症例

40代女性

3ヶ月前に手の関節にこわばりを感じ整形外科を受診したところ関節リウマチと診断された。

現在は薬を服用し経過をみているが、東洋医学の観点からも治療を行ってみたいとのことで当院を受診された。

デスクワークのため手を使うことが多く、症状が強く出ているときは仕事に集中できない。

季節の変わり目や湿気が多いときはときに症状がでる。

また、慢性的な肩こり、頭痛もあり最近は食欲も低下している。

当院の治療

リウマチは全身の結合組織を浸す病気であるため、痛みがでている場所だけでなく全身症状を軽減させ、全身の血流を改善していくことも重要です。

身体の機能を高め、調子を整えるためにお腹や背中のツボを鍼で刺激します。

首肩の緊張はかなり強かったため鍼通電療法を用いて筋緊張の緩和をはかりました。

また、痛みがでている部位に直接鍼とお灸をして、痛みの緩和・炎症の消失をはかる治療も行いました。

 

◇1回目◇

施術直後の指の変化はいまいち感じなかったが、全身がポカポカして身体が軽くなる感覚はあった。

◇2回目◇

お灸をすると痛みが和らぐ。炎症が前回よりも良くなっている。

◇3回目◇

肩こりは楽になってきた。

頭痛もここ最近はでていない。

セルフケア用にお灸を購入し、自宅でもやってみることにした。

◇4〜8回目◇

朝晩のお灸の効果もあってか、こわばりはでても以前より楽な日が増えた。

食欲も改善し、以前と同じだけ食べられるようになった。

今後も症状軽減のためセルフケアと鍼灸治療を継続する。

 

リウマチとは

リウマチとは、ギリシャ語の『リューマ』という『流れ』を意味する言葉から由来しています。関節が痛む病気は脳から悪い液体が流れ出していると考えられていました。

リウマチは一般的には関節リウマチのことをさします。

広い意味では関節や周囲の骨や筋肉が痛む全般の病気をさすこともあります。リウマチは女性に多く発症すると言われ、男性の5倍もの罹患率で30代~50代に発症のピークがあります。


以下リウマチ:関節リウマチ

リウマチの症状

リウマチの初期の症状は

・身体がだるい
・力が入らない
・気力がない
・脱力感
・微熱が続く
・貧血気味

などの症状がでることがあります。初期の場合だとなかなかリウマチに気づくことはまれで、風邪などの他の症状と思い、見過ごすことが多いです。

リウマチの典型的な症状といえば、朝のこわばり感がでることです。朝起きて1時間ほどは腫れぼったい感覚で動かしにくい症状が出ます。この症状は全身の関節に出ますが、手の手指関節や手首関節に起こりやすいです。上記のようなリウマチの初期症状にプラスして朝のこわばりを感じるようであればすぐに病院で検査を受ける必要があります。朝のこわばりが起こりリウマチが進行すると手の関節は独特な変形を起こして

・ボタン穴変形
手の第二関節に炎症が起き続けると起こりやすい状態です。指の第二関節は内側に第一関節は外側に曲がることでボタン穴のような形になります。

・スワンネック変形
その名の通り白鳥の首のように指関節が曲がってしまう状態です。指の第3関節に炎症が続いてしまう場合に起きます。

・尺側偏位
親指を除くすべての指が小指側に常に曲がってしまっている状態です。尺側偏位は徐々に進行するため変化に気づきにくいです。

リウマチ

リウマチの症状

リウマチの初期の症状は身体がだるい、力が入らない、気力がない、脱力感、微熱が続く、貧血気味などの症状がでることがあります。初期の場合だとなかなかリウマチに気づくことはまれで、風邪などの他の症状と思い見過ごすことが多いです。

リウマチの典型的な症状といえば、朝のこわばり感がでることです。朝起きて1時間ほどは腫れぼったい感覚で動かしにくい症状が出ます。この症状は全身の関節に出ますが、手の手指関節や手首関節に起こりやすいです。

リウマチの症状は緩解と増悪を繰り返し、慢性的な経過をたどることが多いです。手の関節ばかりでなく、全身の関節にも起こる可能性があり左右対称性におきやすいといわれています

手関節以外にも

・膝関節
・股関節
・肘関節
・頚椎

などの関節にもリウマチは起きることがあるのです。

また初期症状のように関節以外にも全身の症状を呈することがあります。皮膚の下にできる皮下結節や血管系への炎症や目の炎症も出現することもあります。

 

リウマチの原因

リウマチの原因ですが、今のところ明確には原因はわかっていません。ただ分かっているところもあります。

①免疫調節機構の異常

リウマチは大まかに分類すると自己免疫疾患になります。簡単にいうと、この免疫機能が味方なのか敵なのかわからなくなり、自分の組織を攻撃してしまうことによるものではないかと考えられています。

②遺伝子的素因

リウマチにはなりやすい人となりにくい人がいます。遺伝子的要因は関係していますが、必ずしも遺伝するというわけでもありません。リウマチ患者の男女比は4対1で女性になりやすい疾患といえるでしょう。

③感染症によるもの

最近の研究ではリウマチは感染症が原因になっているというデータもあります。

リウマチの治療法

 

①薬物療法

薬物療法は関節の炎症を抑えることを目的とします。

 

・抗炎症剤(炎症を抑えて痛みを和らげる薬で非ステロイド系、ステロイド系にわけられる)

・抗リウマチ剤(免疫の異常を改善して病気の進行を抑える薬)

・生物学的製剤

(生物によってつくられるタンパク質などを利用比較的新しい薬。サイトカインの動きを抑制する働きがある薬です。)

 

②リハビリテーション

リハビリテーションの分野でも運動療法や物理療法で症状をコントロールすることも大切と言えます。

運動療法では、関節や筋肉の機能を高めて機能低下を防ぎます。

物理療法では、超音波や温熱、光線などの物理的刺激により血液循環を良くして痛みを和らげることもできます。

 

③手術療法

関節の機能が失われて、日常生活に支障をきたす場合だと手術の対象になります。また薬を服用しても痛みが激しく続く場合も手術の対象です。手術(関節固定術、人工置換術等)は関節の機能を回復させるためで、リウマチの症状が完全に治るということではないのです。

 

ものもらいの鍼灸治療

月曜日, 2月 28th, 2022

①ものもらいに対する当院の鍼灸治療

当院のものもらいに対する施術目的は、第一に目の周辺の経穴にハリ刺激を施すことにより抗炎症作用を促します。

またものもらいは五臓六腑の「」に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補うことや「肝気」の巡りをよくします。また肝の陽気が過亢進して頭の方へのぼっていくことでものもらいの症状を起こしているとも考えられるので肝の陽気を抑え、なおかつ下げる治療もする必要があります。風熱の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す施術が必要になります。

ものもらいは、風邪や糖尿病の時など免疫力の低下が原因と考えられることが多く、自律神経の乱れから起こる場合もあります。当院では、自律神経の状態を把握した上で施術させていただき、全身の自律神経のバランスも調整します。

また当院では、ものもらいの治療に対してお灸治療を多く用います。目の周りにお灸をいたしますが、痕などは残らず心地よいお灸を施しますのでご安心ください。

 

③ものもらいの東洋医学的考え

 

東洋医学では五臓六腑の「肝」は目に開竅するといわれており、目の疾患は肝の機能障害が深く影響していると考えられています。
肝血」が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。
また肝の陰陽のバランスが崩れてしまい肝の陽気の過亢進がおきると次第に陰液を消耗して肝陽が頭の方へ上がっていきます。するとものもらいなどのさまざまな目の疾患高血圧頭痛自律神経失調症などを引き起こします。

また外からの風熱の邪気が体に侵入すると目は犯されやすく、ものもらいを引き起こす原因にもなります。また熱邪は肺を犯し津液を濃縮して「」を生じます。東洋医学では「痰」は気道から分泌される痰だけではなく、他の広義の「痰」があり、気血や津液の循環を阻害します。それは霰粒腫の原因となります。

ものもらいの東洋医学

③症例

 

30代女性

1カ月ほど前から右まぶたが赤く腫れてしこりがあった。眼科で処置をしてもらい一時的には腫れが引くが、2.3日経つとすぐにまた赤く腫れあがり、痛みを感じるようになってきた。1か月ほど前から特に仕事も忙しく睡眠不足が続いていた。仕事が忙しい時は、帰宅後化粧を落とさず気づかずに寝ている時もあり、目の周りの衛生環境はよくなかったとこと。最近目の痛みが強く出ていて仕事にも支障が出てしまう程となってしまったため当院を受診されました。

 

当院の治療

まず自律神経測定器で自律神経の状態を把握して治療に入りました。仕事のストレスや睡眠不足も重なり、自律神経の乱れている状態でした。まず、全身の調整治療で自律神経の調整を行い、右目周りを中心にお灸の施術を行いました。

経過
◇1回目◇
治療後、目の痛みは軽減されたが腫れはまだ引いていない

◇2回目◇
腫れはまだ引いていないが、痛みがだいぶ軽減されて夜ぐっすり眠れるようになった

◇3回目◇
体調がよくなってきたと実感。赤みは残っているが、腫れが少しずつ引いてきた

◇4~5回目◇
腫れは引き、若干の赤みがある。

体調が崩れてくるとまた再発の恐れがあるので、2~3週間に1回ほどの治療間隔で3か月ほど通院していただいています。

 

④症例

 

60代 女性

2カ月前に両目ともにものもらいが出来て眼科を受診した。抗炎症作用のある点眼薬を処方されてしばらくすると右目はすぐに痛みもなく、ものもらいも改善していったが、左目のものもらいに関しては点眼薬をしてもものもらいは小さくなっていかなかった。痛みはだいぶ軽減されたが、左目下にものもらいが残っており、違和感を常に感じる。再び眼科を受診したが、切って中の膿を出す方法もあるがそこまで大きなものでないため、経過観察するとのことで帰された。
しかし、一向に左目下のものもらいは小さくならずになんとかしたいとのことで当院にご来院されました。

 

当院の治療

仕事は忙しい時と忙しくない時の波があり、忙しいと夜遅くまでパソコン作業をすることがあり、ちょうど2カ月前は仕事が忙しかったとのこと。また、家庭でもご主人が病気をされて看病しないといけなくなり、心労も重なっていた。寝つきも悪く、睡眠も浅い状態で夜中に目覚めることもあり、体の疲れは溜まっている状態だったとのこと。
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を把握した上で自律神経を整える施術、ものもらいが出来ている周囲を中心に鍼やお灸で炎症を抑えるような施術を行っていきました。

 

経過
◇1回目◇
一回目の施術後、ものもらいの大きさは3分の2程度に軽減。しかしまだ違和感はある。施術した夜は良く睡眠がとれて夜中目覚めることが無かった。

◇2回目◇
2回目治療後の3日後くらいに左目下のものもらいは半分程度の大きさになった。

◇3回目◇
3回目の治療後、左目下のものもらいは3分の1程度に軽減された。全体的な身体の調子は少し悪く天気が悪いとふわふわとした軽い頭痛とめまいを感じるとのこと。

◇4回目◇
ものもらいはほぼ軽快。違和感も感じられなくなった。

◇5回目◇
目の施術より身体全体の施術を中心に行っていった。以前よりも寝つきが良くなり、途中で目覚めることがなくなった。

 

⑤症例

 

30代男性

3週間前に右目のまぶたの上あたりにものもらいができて眼科を受診。霰粒腫と診断された。
眼科ではとりあえず経過観察で状態が変わらなければステロイド注射か切開手術を行うと言われた。

3週間たっても一向によくならないばかりか少しずつしこりが大きくなっていると感じており、ステロイド注射をしたがあまり改善が見られなかった。切開手術は痕も残る可能性もあるためあまり気が進まずほかに治療法がないかと鍼灸治療を試してみたいということでご来院されました。

治療
霰粒腫ができて間もなくは痛みや赤みが強く出ていたが今では痛みを消失している状態。
当院の施術では、目の周りに鍼やものもらいの特効穴として知られている『二間』などにお灸を用いて用いて施術を行っていきました。また目の周りにホットタオルをおいて温めてマイボーム腺に詰まっている脂成分を軟らかくすることで自然排出や吸収を促すように施術も行っていきます。

経過
段々としこりが小さくなっていって6回の施術でほぼ消失したので施術を終えました。

 

⑥症例

 

20代女性

2か月前に右瞼が腫れて眼科に受診したら霰粒腫と診断された。

ステロイド注射を受けたが腫れが完全に引かず、手術を回避するため来院した。

以前は痛みがあったが、現在は痛みはなく赤く腫れているのみ。

まつ毛の下まで濃い目のアイラインをよく引くので、それが原因でマイボーム腺が詰まり霰粒腫が発症したと考えられる。

当院の治療

初めに自律神経測定器でお体の状態を確認しました。

夜の時間帯にもかかわらず、自律神経の交感神経が過剰に働いていました。

お話をお伺いすると、ここ数か月間寝不足の日が続いていて、疲労がなかなか抜けない状態ということです。

まず、うつ伏せで首肩の筋緊張に対する治療を行い、次に仰向けで眼の周辺にある攅竹、四白、太陽、魚腰に刺鍼し、同時にものもらいの特効穴である二間にお灸、自然治癒力を高めるために自律神経調節治療も行いました。

治療間隔は1週間に1~2回ペース。

治療経過

◇1回目◇

鍼は初めてで少し緊張気味でしたので、初回はソフトな刺激で行って、慣れてきたら少しずつ刺激量を上げていきました。

◇2回目◇

まだ大きな変化はない。

◇3回目◇

患部の変化はないが、よく寝れて疲れが感じにくくなってきた。

◇4回目◇

腫れが少し引いてきた。

◇5回目◇

前回より腫れが半分の大きさに縮小。

◇6回目◇

目立った変化はない

◇7回目◇

さらに腫れが小さくなってきた。

◇8回目◇

赤みが少しだけ残っているが、ほとんど気にならない。

 

⑥ものもらいとは


ものもらいとは、目の周囲のまぶたが赤く腫れて、痛みかゆみを伴う症状を指します。ものもらいには2種類あり、原因や症状はそれぞれ異なります。

◆麦粒腫
麦粒腫とは、まぶたの表面についている黄色ブドウ球菌などの細菌がまぶたの分泌腺や毛穴に入って感染し、化膿したものです。症状は主にまつ毛の根元あたりのまぶたの一部が赤く腫れて次第にかゆみが痛みへと変わっていきます。
まぶたが赤く腫れる他にまばたきすると目が痛い充血するゴロゴロするなどの症状を伴う事もあります。時には耳たぶの付け根やリンパ節まで腫れる事があります。麦粒腫の特徴として化膿が進行していくと腫れが大きくなっていくことが挙げられ、まつ毛の根元付近が腫れてくると見た目としても非常に目立ちやすくなります。

◆霰粒腫
霰粒腫とはまぶたの中にできるやや硬いできものです。まつ毛の生え際近くに脂の成分を出すマイボーム腺というものがあり、それが詰まって腫瘍ができて慢性の炎症を起こします。細菌に感染してしまうこともあり、その場合は麦粒腫との区別がつきにくくなります。
霰粒腫の症状としてはまず、まぶたにしこりを感じるようなり、炎症を起こした場合はかゆみや痛みも伴います。霰粒腫の特徴としてまぶたの裏側が腫れるため、見た目としてまぶたがぼっこり膨らんだ状態になってしまいます。症状が進行していくと腫れが大きくなっていき、不自然なほどにまぶたが盛り上がり更に患部が赤くなってしまいます。

 

 

⑦ものもらいの西洋医学的考え

ものもらいができる原因は様々で次のようなものが考えられています。

ⅰ)まぶた周辺の不衛生
まぶた周辺を清潔にしておかないと黄色ブドウ球菌などの細菌に感染しやすくなります。また,まつ毛の根元は雑菌がたまりやすいため、できるだけ清潔にしておく必要があります。

ⅱ)目をこする
目に異物が入ったときや目が疲れた時などに目をこすってしまうと手に着いた細菌などが目に入ってしまい、細菌に感染しやすくなります。

ⅲ)免疫力の低下
細菌が体に入っても体に抵抗力があれば、ものもらいにはなりにくいです。しかし風邪や糖尿病、自己免疫疾患などで免疫力が低下している状態の時はものもらいにもかかりやすくなります。

ⅳ)化粧品
アイシャドウなどといった化粧も細菌を増殖させる原因となり、ものもらいになりやすくなります。またまつ毛の内側まで化粧すると分泌腺の出口が塞がれてしまい、ものもらいの原因となります。

ⅴ)コンタクトレンズ
コンタクトレンズの装着時に細菌が目や目の周囲につきやすくなり、ものもらいの原因となります。

 

⑧ものもらいの予防法

◆まぶたの周辺を清潔に保つ
まぶたの周辺とくにまつ毛の根元は細菌がたまりやすので、汚れた手などで目をこすらないようにしましょう。

◆化粧品類に注意する
アイメイク関連の化粧品は出来るだけ使用しないか、刺激の少ないものにしましょう。またメイクは残さずにしっかりとクレンジングしましょう。

◆前髪
前髪から細菌が目に入ることもあるので、前髪はできるだけ目にかからないようにしましょう。

◆規則正しい食生活
身体の抵抗力を上げるためにも普段から規則正しい食生活や睡眠をとることが大切です。

◆コンタクトレンズの使用
コンタクトレンズを使用している場合は、毎日のケアをしっかりと行いましょう。コンタクトレンズをつけたり、はずしたりする時には手指を清潔にしてから行ってください。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

【東京・池袋】ものもらいの原因や症状・治療方法・費用・注意点などを徹底解説

 

胸郭出口症候群の鍼灸治療

月曜日, 2月 21st, 2022

胸郭出口症候群に対する当院の鍼灸治療

 

当院の胸郭出口症候群に対する治療は胸郭出口付近のツボにお灸を施すことにより斜角筋群の筋の過緊張を緩めてその下に通る動脈・静脈・神経の通りをよくします

 

胸郭出口症候群の鍼治療

また、痺れや痛みの強い付近のツボを刺激することで血行を良くし、筋肉や骨に栄養が行き渡るように促します。また鍼を刺すことにより筋肉の弛緩を促し、鍼の刺激により痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。

胸郭出口症候群は五臓六腑の「」と「」と「」に深く関係しているので肝と腎と脾に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことや脾の作用不足を正常に戻すように促します。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。胸郭出口症候群は、全身性の疲労気血の滞りが原因の場合もあるので部分的な治療ではなく全身を診て治療していきます。
また、お腹や背部も施術することで身体全体の緊張を緩め、自律神経の調整も行っていきます。

 

胸郭出口症候群の全身調整鍼灸治療

腕や手の痺れでお困りの方は、腕の置き場所がなく、夜もよく眠らないという方が多いです。そういった方々に当院独自の自律神経調整法を行うことで改善される方が多いです。

 

 

胸郭出口症候群の東洋医学的考え

 

東洋医学では胸郭出口症候群は体の外から邪気を受けるため発症するものと東洋医学でいう「」と「」と「」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。そういった原因で頸部付近もしくは上肢の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。

体の外からの邪気として一番胸郭出口症候群が発生しやすいのは、寒く風のあたる場所にいた時などに体に悪さをする「風寒の邪気」を受けた時です。次いで湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時などです。

また長い間重いものを背負っていた時やパソコン作業をしていた時などに気血は滞り、それが頸部付近であった場合に胸郭出口症候群を発症する可能性が高くなります。
東洋医学でいう「肝」は血を貯蔵して必要に応じて供給・消費する作用や自律神経系の作用を通じて血管を収縮あるいは弛緩させて、体内各部の血液量を調節する作用があります。

「腎」は人体の生命活動の基礎となる物質を貯蔵しており、「脾」は筋肉や軟部組織に栄養を供給しています。「肝」・「腎」・「脾」のそれらの機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉や骨などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記のような条件が加わることで胸郭出口症候群がおこりやすくなります。

 

 

胸郭出口症候群とは?

胸郭出口とは、鎖骨、一番上の肋骨の間、前斜角筋、中斜角筋などによって構成される隙間のことをさしており、胸郭出口症候群とは、この部分を通る鎖骨化動脈や静脈、それに神経が圧迫されるために起こる疾患です。圧迫される場所によって斜角筋症候群肋鎖症候群過外転症候群頸肋症候群と呼ばれますが、総称して胸郭出口症候群と言います。

症状としてもっとも多いのは、上肢のしびれ感放散痛脱力感など自覚症状が目立つがときに上肢にチアノーゼや筋委縮のような他覚的所見を伴うこともあります。また電車のつり革につかまる時のように手を上にあげる動作でしびれを感じたり、手指の冷感首や肩の凝り・痛みなども症状として挙げられます。

胸郭出口症候群は15~50歳の各年齢層にみられますが、20代に最も多い疾患です。なで肩の体型の人に起こりやすい傾向があり、一般に女性のほうに多いようです。また発症に左右差はなく、両側性よりも片側性のことが多いようです。

 

 

胸郭出口症候群の原因

 

鎖骨周辺で神経や血管を圧迫する原因は、いくつかあり、これらをまとめて胸郭出口症候群と言います。

 

斜角筋症候群
前斜角筋もしくは中斜角筋という首にある筋肉の間で神経・血管が圧迫されると生じると考えられるものです。

 

肋鎖症候群
第1肋骨と鎖骨の間が狭く、そのために神経・血管の圧迫を生じると考えられているものです。

 

過外転症候群
腕を上げて後ろにそらす運動をすることで烏口突起のところで神経・血管が伸ばされ過ぎて小胸筋によって圧迫されて生じるものです。

 

頸肋症候群
頸肋の存在によって胸郭出口が狭められて神経・血管の圧迫を生じるものです。頸肋とは、第7頸椎に接続する余分な異常肋骨で、一種の奇形です。

 

 

胸郭出口症候群の原因は様々なものが考えられています。多い原因としまして過度な筋力トレーニング猫背による小胸筋の過度な筋緊張が起こってしまい胸郭出口症候群の症状が現れます。ジムなどでベンチプレスなどのハードなトレーニングをしている方やデスクワークなどで常に前傾姿勢となってしまい猫背やストレートネックになってしまう方がこれに当てはまります。こういった方々たちに場合症状が慢性化・重症化してしまう場合も少なくなく、上肢や肩の症状ばかりでなく、耳鳴り難聴などの耳症状や顔面部の痺れ症状の原因となってしまう危険性もあります。
耳鳴りについて
難聴について
また、胃や食道の状態も影響を与える場合があり、特に逆流性食道炎で胃液が逆流して食道や口腔内が胃液で刺激されて首肩の筋収縮が起きてしまうために呑酸や胃の使え感とは別に頚椎症・肩こりや胸郭出口症候群の原因となってしまうのです。
逆流性食道炎について
肩こりについて
頚椎症について

その他にもストレスや不安感、精神的な緊張感も斜角筋群・胸筋群に影響を与えてしまいやすいと言われており、過度なストレスや不安感は首肩回りの筋肉に過緊張状態を作り出してしまい胸郭出口症候群を患ってしまうこともあります。

 

※胸郭出口症候群の徒手検査
徒手検査とは、体の中の筋肉の筋力や腱反射、圧迫部位などを特定する検査法で病院などでも行われるものです。当院でも徒手検査をすることでどこの筋肉に異常があるかまたは中枢性の障害か末梢性のものかを特定して施術に反映していきます。胸郭出口症候群の徒手検査では、実際にどの部分の神経が圧迫されているのか徒手検査で特定していきます。
代表的な胸郭出口症候群の徒手検査として

・モーレイテスト
患者さんに座っていただき、鎖骨上の腕神経叢という部分を母子で圧迫します。そのときに腕などに痛みが放散した場合、腕神経叢の圧迫によって胸郭出口症候群が起きている可能性があります。

・ルーステスト
患者さんに座っていただき、肩関節を90度外転・90度外旋・肘を90度屈曲の姿勢をとり、3分間指の曲げ伸ばし運動をしてもらいます。その時3分持たずに前腕部のだるい感じや手指の痺れを感じて腕を下してしまった場合、肋鎖間隙での腕神経叢の圧迫が疑われます。

・ライトテスト
患者さんに座っていただき、施術者は背後から患者さんの橈骨動脈の拍動を触ります。そして、患者さん自身で腕を動かさずに施術者が肩関節を90度外転・90度外旋・肘を90度屈曲に患者さんの橈骨動脈に触れながら腕を動かしていきます。その際に橈骨動脈の拍動が触れなくなった場合、肋鎖間隙での血管の圧迫が疑われます。

・エデンテスト
施術者が患者さんの背後に回り、ライトテストと同様な形で橈骨動脈の拍動を触ります。そして施術者は拍動を触りながら、患者さんの腕を後ろの方へ引っ張っていきます。その際に拍動が弱くなった場合に肋鎖間隙での血管の圧迫が疑われます。

・アレンテスト
施術者は患者さんの背後に回り、患者さんの症状が出ている方の腕の脈を触りながら、患者さんの腕をルーステストと同様の肢位をとります。さらに患者さんは腕を上げた方と逆側に首を回します。その際に橈骨動脈の拍動が弱くなった場合、斜角筋群の過緊張状態や短縮による神経もしくは血管の圧迫が疑われます。

 

 

 

⑥症例

40代 男性

・症状
デスクワークを一日10時間以上こなしていて、普段から肩こりや首の痛みを感じていた。ここ二週間前より肩より上に腕を上げる動作が強くなり、パソコンを打っている時に腕に痺れを感じるようになってきた。当院来院の2,3日前より痺れ症状が強くなり、腕に力が入りにくくなってきた。整形外科で胸郭出口症状群と診断されて当院に来院された。
趣味のテニスなども力が入らずにつらい状況であったため、なんとか鍼灸で痛み無くテニスを行いたいとのことだった。

・当院の治療
1.まず、問診や触診をしっかり行います。
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2.自律神経側器で自律神経の状態を測定します。
自律神経測定

3.自律神経測定治療・圧迫している部位をほぐす治療をします。
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4.最後に手技療法で仕上げの治療をします。
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・治療経過

1回目
治療後の反応として痺れは強く出たが、肩こりや首の痛みはだいぶ楽になった。

2回目
仕事が忙しく、少し間隔があいてしまったため痛みが戻っていた。治療後は、1回目と同じような体の反応があった。

3回目
4日後に来院。痺れはまだ残っているが痛みの方はだいぶ軽減。パソコン作業を長時間すると腕にだるさを感じる。

4~6回目
仕事が立て込み疲れてくると症状が強く出るが、痺れも比較的楽な日が出てきた。

7~10回目
控えていたテニスを再開。5割程度の力と量で行っていただいた。プレー中は痛みは出なかったが、終わってからは少し症状が出た。

11回目
痛みが出る以前と同じようにテニスができるようになった。仕事でパソコン作業を行ってもつらくなくなった。

 

症例2
30代男性

2~3年ほど前から左側の首から背中の痛みを感じるようになってきた。仕事はパソコン作業と力仕事が半分半分程度とのこと。その状態が長く続いて、あまりに辛い症状が出た時はマッサージに行くなどしてその場をしのいでいた。そして、ここ2カ月ほど前から首や背中の症状に加えて左上腕や左手までに痛みや重だるい感じが出てきた。

整形外科を受診して電気治療・湿布・牽引の治療等行ったが、あまり改善されずに当院にご来院されました。

 

治療経過

触診の結果、左の胸鎖乳突筋や斜角筋群が硬く筋緊張が見られた。また左上腕・前腕も硬く特に上腕二頭筋・橈側手根伸筋に筋緊張が強くみられた。治療としては筋緊張の強く出ている筋肉に置鍼療法・鍼通電療法とお灸刺激を加えて筋緊張をとっていきました。

まずうつぶせで施術を行い、次にうつ伏せで左右の首肩部の経穴に刺激をして筋緊張をとるアプローチをしてから最後にそれでも取れきれない部分を手技療法やストレッチ療法で取っていきました。

◇1回目◇
治療後、身体全体のだるさが出た。次の日にはだるさもなく、身体が楽になった感じ。左側の症状はあまり変化は見られず

◇2回目◇
治療後、前回ほどのだるさは見られない。左側の症状、次の日は痛みやだるさがいくらかましになったと感じたとのこと。

◇3回目◇
左側の症状、痛みが強く出る場所が日によって違う。

◇4回目◇
左側全体的に楽になってきた。一番つらい時の痛みを10とすると4回目治療後では4程度とのこと。

◇5回目◇
今週仕事が忙しいことに加えて天候悪く身体も重だるい。治療後はすっきり。痛みの段階は前回同様4程度。

◇6回目◇
左の頚部が一番つらい。その他の部分の痛みやだるさは感じなくなった。

◇7回目◇
左頚部の痛みほぼ感じない。仕事で疲労してくると少し気になる程度。痛みの段階は2程度。

◇8回目以降◇
仕事が立て込んだり、身体の調子を崩すとその都度ご来院されて身体の調子を整えています

 

 

症例3

50代男性

3か月前から右手~腕にかけて強いしびれが発症した。ゴルフ中首を痛めたのがきっかけだったが、病院の診断では胸郭出口症候群と言われた。時間に経過とともに軽減してきたが、1か月前から右前腕、上腕、示指、母指にしびれが強くなり始めた。

徐々に強くなり、現在も進行中。

他にも鍼灸やマッサージを受けてみたがあまり良くならず、藁をつかむ思いで来院した。

年に80回プレイをするぐらいゴルフ好き。ゴルフが生活の一部で、しびれによりゴルフが思うようにできないのがかなりつらい。

ボールインパクト時に頸部が浮いてしまう癖があり、それを防ぐために首に力が入り負担が掛かっている可能性がある。

頸部は前弯が消失しており、ストレートネック。

首を前屈することでしびれが増強される。

 

当院の施術

頸部や肩、肩甲骨周辺に鍼を打ち、電気を流して筋緊張による神経の圧迫を解消する施術を行いました。とくに頸部の斜角筋や、小胸筋といったしびれの原因部分である筋肉を徹底的に緩めていきます。

しびれが出ている患部にも直接鍼やお灸を施し、症状を抑制していきました。

治療経過
◇1回目◇

5%程良くなった。

◇2回目◇

前回からあまり変わらない。

◇3回目◇

前回よりは軽くなったが、まだしびれは強い。

◇4回目◇

少しずつ良くなっている。

◇5回目◇

前回後、しびれがかなり軽快してきた。

◇6回目◇

調子が良かったため少しゴルフを練習して、また悪化してしまった。

◇7回目◇

しびれが前回から30%まで軽減。

◇8回目◇

しびれは50%まで軽減。

◇9回目◇

しびれはほとんど気にならなくなった。

ゴルフをしてみたが、悪化もせず以前のようにプレイできた。

◇10回目◇

2か月ぶりに来院。調子がいい。ゴルフも問題なくできる。

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

足底の痛みの鍼灸治療

木曜日, 2月 10th, 2022

足底の痛みの原因

 

足底の痛みの原因

足底の痛みを引き起こす病気や怪我として以下のようなものが挙げられます。

足根管症候群

下足首の内側で脛骨内果、距骨、踵骨、などの骨とそれを覆ってている屈筋支帯で囲まれる部分を足根管と呼びます。足の裏(足底)の感覚を伝える神経である後脛骨神経(こうけいこつしんけい)は、この足根管を通りその中で枝分かれしています。

足根管症候群とは何らかの原因によって足根管の内圧が高くなり、足根管内に存在する後脛骨神経(こうけいこつしんけい)が障害されることで発症します。

症状

足底部のしびれや痛み、感覚障害が生じます。さらに経過が長くなると足の裏の筋肉が萎縮を起こします。

原因

足根管の中を通る腱の炎症が波及したり、ガングリオンなどの病変による圧迫によるものが多いとされています。その他、きつい靴による圧迫、骨折などによる怪我や距踵骨癒合症などによっても足根管症候群になることがあります。

治療

消炎鎮痛剤やビタミンB12などの飲み薬、塗り薬、局所の安静、腱鞘炎を治めるための足根管内注射などの保存的療法が原則です。また、土踏まずが浅い場合はアーチサポートを装着します。

難治性の場合や筋萎縮のあるもの、足首の変形や腫瘤のあるものなどは手術が必要になる場合もあります。手術は屈筋支帯の切離を行い原因となっている組織を取り除き脛骨神経の減圧と剥離を行います。

 

足根管症候群の鍼灸治療について

 

足底筋膜炎・足底腱膜炎

足の指の付け根からかかとまで、足の裏に張っている腱組織、筋組織が繰り返し受けた物理的ストレスにより炎症が起きる病気です。

原因

歩行時に床からの繰り返しのストレス(衝撃)を受けることで足底腱膜のかかとの付着部に炎症が生じます。また、歩くとき足の土踏まずは浮き沈みの動作を繰り返しますが、この動作で足底腱膜に伸び縮みのストレス(牽引)が生じ、腱膜付着部の炎症を引き起こします。

また、扁平足、甲高、肥満の方などは足底腱膜炎の危険因子とされています。

症状

朝、歩きはじめにかかとの裏が痛いのが典型的な症状です。酷くなってくると、長時間の歩行や立位でも痛みが強くなります。

治療

圧痛、X線、超音波検査、MRI検査などを必要に応じて行います。治療は保存療法が一般的で安静、消炎鎮痛薬による炎症の軽減、外用薬の塗布、貼付などを行います。また、症状が強ければステロイド薬の注射を行うこともあります。その他運動療法や物理療法、テーピング、踵骨パッド、足底板、アーチサポートなどの検討を行います。

 

足底筋膜炎の鍼灸治療について

 

踵骨下滑液包炎

滑液包とは皮膚や筋肉、腱、靭帯と骨が擦れる部分で衝撃を吸収する役割を担っている部分です。

その滑液包が炎症を起こすことがあり、それがかかとの足底部に発生したしたものを踵骨滑液包炎といいます。

歩きすぎ、スポーツなどでアキレス腱やかかとを使いすぎたときや、ハイヒールなどかかとに負担のかかる靴を長時間履いていた時に起こりやすいといわれています。かかとやかかとの底の部分が痛み、腫れを起こすことがあります。

 

 

種子骨障害

足の親指の付け根には種子骨という小さな骨があり、筋肉や腱の働きを助けています。この種子骨に炎症が起こったものが種子骨障害で、歩く、走る、踏み込むなどの動作親指の付け根のふくらみに痛みを感じます。

また、指を反らしたり指で押したりした場合にも痛みを生じます。バスケットボールや、陸上競技、踏み込むことの多い剣道や空手などの格闘技をする人に多く見られます。

 

東洋医学的見方

中医学では筋肉や関節のしびれ、痛み、だるさなどを「痺証(ひしょう)」として捉えます。

「痺証」の痺の文字は通じない、塞がるの意味を表しており体の気や血の流れが障害されている状態を指します。

「痺証」は生体の弱りなどにより、風邪、寒邪、湿邪、熱邪などの外邪が体内に侵入し経絡の気血運行を阻害することで生じると考えられています。

 

当院の治療

足底の痛みがある方は足底のみに原因があるとは限らず、足関節、膝関節、股関節周囲の筋緊張が見られたり関節のバランスが崩れている場合が非常に多いため、まず腰部、臀部、大腿部、下肢のツボに鍼やお灸で刺激を与え、筋肉や関節のバランスを整えます

足底部の痛みのうつ伏せ治療

 

また、東洋医学的観点から足の経絡の気や血の流れを整えるツボも取り入れます。

そして足部のツボに鍼やお灸で刺激を与えることで筋緊張を緩和し、血液循環を促進させることで炎症を早く抑えたり、疲労物質や発痛物質の代謝を促す、神経の圧迫を除く作用が期待できます。

足底部への痛みのはり灸治療

足底部は痛点(痛みを感じる感覚受容器)が多く痛みを感じやすい部分なためお灸をメインに施術を行いますが、状態によっては痛みの強い部分や筋緊張の強い部分に鍼を刺し微弱な電気を流すでことで鎮痛効果や抗炎症作用を促していきます。

足底部への鍼通電治療

 

当院では合わせて自律神経系の調整施術を行うことで全身的な血行を促進し、内臓機能調整や免疫力を高めることで症状が治癒しやすいお体の状態を整えていきます。

 

足裏の痛みの症例

 

40代女性

 

20代の頃からバレエや社交ダンスが趣味で多いときでは週に5日練習をしていた。発表会などもあり最近では練習に熱が入って足首周りが痛むようになってしまった。

 

普段もたまに足首周りが痛くなることはあったが今回は足の裏や腰まで痛みが出てしまって、バレエのつま先立ちが痛みでうまくできない。

痛みを我慢しながら過ごしていたら更に悪化。

日常生活でも階段の上り下りでも痛みが出るようになってしまった。

 

普段鍼治療をしてもらっている治療院があるが、足の裏に鍼を指すことは難しいと言われてどこか足の裏に鍼を刺してもらえるところがないかと検索したところ当院のホームページを見つけてご来院されました。

 

当院の治療

腰部から下肢全体にかけて触診したところ腰部の筋緊張が強くそれが背部まで筋肉の引くつれが起きてしまっている状態でした。

また、脛の前脛骨筋や後面の腓腹筋・ヒラメ筋にも固結部位がみられそれらも足首の可動域に影響を与えて足裏の痛みにも関与していると考えました。

 

まず、仰向けとなり下肢前面や股関節周りに鍼やお灸をして筋肉を緩めていきます。

次にうつ伏せとなり腰背部への刺鍼やお灸で筋緊張を緩和させて下肢後面にもアプローチをしてメインの足裏の鍼通電治療を行っていきます。

 

足裏は痛点も多く点在しているため、細い鍼をしています。筋肉に届かせて鍼通電治療を行うため刺入深度はある程度入れていきます。

15分ほど電気鍼治療を行い、最後に軽く筋肉をほぐすマッサージをして治療を終えました。

 

次の日の練習からバレエでの足首の伸びが軽やかになって痛みが半減したとのこと。その日の状態に合わせて治療を変えてコンディション管理を行っています。

 

 

 

目の充血の原因と鍼灸治療

金曜日, 1月 28th, 2022

目の充血と東洋医学の関係

目は五臓六腑の肝臓と深い関わりがあることは以前のブログでもお伝えしてきました。

東洋医学の肝は、血を貯蔵して必要に応じて身体に送る役割や気血を体の隅々に行き渡らせる役割、筋の緊張や運動を制御する役割があり、目に開竅することで肝の状態は目に反映されやすいと考えられています。

目の充血に関しましても東洋医学では肝の異常ととらえられています。

病態としては、『肝陽上亢』や『肝火上炎』といいます。

肝陽上亢は肝の陰液不足で肝陽を制御できないがために肝陽が頭の方へ上って行ってしまい、顔面部や頭部に熱証の症状が見られます。

肝陽上亢では目の充血の他にめまい・頭痛・顔面紅潮・イライラ感・耳鳴りなどの症状が見られることがあります。東洋医学的な治療として肝の機能を整えて肝陽を制御したり、肝陰を補う治療となります。

肝火上炎では、肝の陽気の勢いがあまりに強すぎて肝の陽気が上に登ってしまう状態です。その場合、肝陽上亢の症状とは違い、虚証の症状が見られません。

自律神経系の過亢進や中枢神経系の興奮あるいは、炎症による症候と考えられます。肝火上炎では、目の充血の他に睡眠障害・頭痛・自律神経失調症・高血圧症・肝炎・口喝・便秘などの症状が見られる場合があります。東洋医学的な治療としては肝の機能を正常に戻して肝火を瀉す治療が中心となります。

 

目の充血に対する鍼灸治療

 

目の充血に対する鍼灸治療では、まず第一に目の炎症や痛みを引かせるような鍼灸施術を行っていきます。

目の充血に対する鍼灸治療

その他、その人の充血原因に合わせたオーダーメイドの施術も行っていきます。

目の充血に対する下肢への鍼灸治療

また、東洋医学的にみると目の充血は五臓六腑の『』の異常が原因で起きることが多いと考えられています。
特に肝の陰液不足である肝陽上亢の状態や肝の陽気が過亢進による肝火上炎の状態によって目の充血が起きやすいので、それらの状態を取り除く効果のあるツボを刺激していきます。

目の充血に対するうつ伏せ鍼灸治療

施術後、好転反応として一時的に充血が強くなったように感じる場合がございますが、その後充血が落ち着いてきて充血が気にならなくなる方が多いです。治療感覚の目安は最初の4~5回は治療間隔をつめて3~7日の間隔で治療、その後治療間隔を徐々に延ばしていきます。

 

 

目の充血の原因

目の充血は、誰もが経験したことがある症状です。目の充血はよくあることといって放置しておくと重い病気が隠れている場合があります。

目の充血だからと言って放置せずにすぐに対処しなければいけない疾患もあるのです。

それを判断するには、目が充血する部分を確認することが重要です。目の充血する部分によって主に3つの充血の種類に分類できます。

目の充血

結膜充血

結膜充血は、その名の通り結膜が充血することです。結膜は、眼球とまぶたを結ぶ組織でまぶたの内側と白目の部分を覆っています。役割としてまぶたの運動をスムーズに行わせたり、黒目部分で強膜と結びついて眼球運動の手助けをしています。この部分が充血していると結膜炎の可能性が高く、黒目から離れるにしたがって充血が強くなってくる・眼球の下ちょうどあっかんべーのポーズをした時に充血が確認できることが特徴です。

結膜炎にも細菌性結膜炎・ウィルス性結膜炎・アレルギー性結膜炎の3つがあります。

 

・細菌性結膜炎
細菌性結膜炎の場合、結膜部分の充血の他にも目やにが多く出ることが特徴です。原因となる細菌として黄色ブドウ球菌インフルエンザ菌などが挙げられます。 特に黄色ブドウ球菌は人間の肌や喉・鼻に存在している菌で健康で免疫力が備わっている時は、特に影響をもたらしません。しかし、体の抵抗力や免疫力が低下した時に、不衛生な手のまま目をこすったり、コンタクトレンズの付け外しをした時に結膜炎を発症してしまいます。

 

・ウィルス性結膜炎
ウィルス性結膜炎は細菌性結膜炎よりも感染力が強く、集団感染の危険性のある病気です。ウィルス性結膜炎も目の充血の他に大量の目やに目のゴロゴロ感、涙やまぶたの晴れなどの症状が特徴です。ウィルス性結膜炎の場合、目やにに特徴があり、糸を引くようなねばねばとした白い目やにが出ます。

ウィルス性結膜炎の原因となるウィルスにはアデノウィルス・エンテロウイルスなどがあります。その中でもアデノウィルスによる結膜炎が特に多く見られます。アデノウィルスの感染力は強く、ウィルスの付着したタオルで目をこすってしまうと感染したり、プールの水を介しても感染することがあります。

ウィルス性結膜炎にかからないためにも日ごろの手洗いの習慣・タオルや目薬を共有しない・プール後には目を洗うなどの対策が必要です。

 

・アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎はよく見られるのが花粉症やハウスダストによるものです。花粉やハウスダストがアレルゲンとなり、目にアレルギー反応を起こさせます。アレルギー性結膜炎の症状は、目の充血のほかに目の異物感・かゆみ・まぶたの腫れがあります。目の症状ばかりでなく、アレルギー性結膜炎で悩まされている方のほとんどは鼻炎や気管支喘息などの症状にも悩まされている方が多いです。

 

・その他
上記の3つ以外にも目の酷使ドライアイ・コンタクトレンズの長時間使用・紫外線の影響も考えられます。特に近年ではパソコンやスマートフォンの普及により、目を酷使する人が増えています。そういった画面を集中してみている時は、どうしてもまばたきの回数が減ってきます。まばたきは涙を目の表面に行き渡らせる働きや涙を生成するように脳に働きかけるといった役割もあります。よってまばたきの回数が減ってしまうと涙の量が減って目が傷つきやすくなってしまい充血してしまいドライアイや眼精疲労の症状が出てしまうのです。

 

 

毛様充血

毛様充血は黒目に近づくにしたがって充血が濃くなってくることが特徴です。毛様充血の場合、まぶたの裏の充血は見られません。黒目の部分は角膜と言いますが、角膜はカメラでいうレンズの枠割があり光の屈折に影響を与えて網膜にピントを合わせる働きがあります。毛様充血は、結膜充血よりも重篤な疾患が隠れている場合があり、すぐに病院で検査を受ける必要があります。

毛様充血に隠れている病気として角膜炎・強膜炎・ぶどう膜炎・緑内障などがあります。

 

・角膜炎

角膜はちょうど黒目の部分で角膜炎はその部分い炎症が起こったです。原因は外傷や細菌・ウィルス感染によって起こるものや原因不明のものもあります。感染性の原因となるものとして、真菌・アカントアメーバ・ヘルペスウィルスなどがあります。

角膜炎の治療について

 

・強膜炎

強膜炎は充血が強く出て痛みも伴います。原因として自分の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患や梅毒・結核・サルコイドーシスなどがあります。また原因が分からない場合も多く眼科領域の中でも実態が分かっていない病気のうちの一つです。

強膜炎の治療について

 

・ぶどう膜炎

ぶどう膜は、強膜とぶどう膜の中間に存在して虹彩・毛様体・脈絡膜の3つがあります。瞳孔から入る光の調節や水晶体の厚さを変える働きなどがあり目にとってとても重要な組織です。このぶどう膜が炎症を起こしてしまうと、視力の低下・目の痛み・充血・光の量がうまく調節できない・かすみ目・飛蚊症など様々な症状を呈します。原因は、ぶどう膜炎と診断されても3人に1人は原因不明です。原因が分かるもので多いものとしてサルコイドーシスや原田病、ベーチェット病などが挙げられます。

 

・緑内障

緑内障は、網膜上で入ってきた光の情報を脳へと伝達する視神経に異常が生じてしまい視力低下や視野欠損が見られる疾患です。硝子体の中の房水が排出と産生のアンバランスを起こして視神経を圧迫することにより、緑内障が発症しますが、急激に眼圧が高まることで目の充血が見られることがあります。充血の他にも急激に眼圧が上昇すると目の痛みや頭痛、吐き気なども伴います。

緑内障の治療について

 

結膜下出血

結膜下出血は結膜の下にある毛細血管が破れて出血したものです。原因は、過度な飲酒・くしゃみや咳・外傷などによっても起きる可能性があります。

目の出血が明らかにわかり心配になりますが、多くの場合は1~2週間で自然に吸収されることが多いです。症状もほとんどなく、結膜下出血の場合、目の痛み・かゆみや視力低下などの症状も伴いません。 しかし、頻繁に網膜下出血を繰り返す場合血管の異常である動脈硬化や高血圧・糖尿病などが隠れている場合があります。

網膜下出血の場合、血管が破れて出血したものなので結膜充血や毛様充血などとは違い血管の走行が見えないことが特徴です。

充血

 

 

目の充血を予防する生活習慣

・目の酷使をしない
特に現代ではパソコンやスマートフォンを見る機会が仕事・プライベートでも増えてきています。そういった画面を集中的に見ている時は自然と瞬きの回数が減るということがわかっています。瞬きの回数が減少してしまうと涙を生成する機能が低下してドライアイとなり、目の疲労や目の充血につながってしまいます。パソコン・スマートフォンを使用している時は40~60分ごとに休憩時間を設けて目を休めるように心がけましょう。また意識的に瞬きをすることも効果的です。

・コンタクトレンズの取り外しと使用時間
コンタクトレンズを取り外しするときは必ず手を洗い衛生面を保つことを心がけましょう。手が不衛生のままコンタクトレンズの取り外しをしてしまうとそこから菌やウィルスが侵入してしまい、目の充血・炎症につながってしまいます。コンタクトレンズを日常的に着用するような人は特に注意してください。またコンタクトレンズの長時間の着用もコンタクトレンズの汚れや目の表面が乾燥することで目の充血の原因となってしまいます。

・部屋の湿度とエアコンの風
部屋の湿度が低い状態ですと目の乾燥を招き、目の充血につながりやすくなります。エアコンの風も直接目にあたらないように気を付けましょう。

・アイメイク
まぶたの内側には目の表面のうるおいを保つ役割を持つ油が分泌されるマイボーム腺があります。その部分をアイメイクにより化粧で覆ってしまうとうまく油の分泌が行われずにドライアイとなり、目の充血とつながってしまいます。

・紫外線
外出時はサングラスや帽子をかぶるなどして直接紫外線が目にあたらないように気を付けましょう。紫外線は目の組織を傷つけてしまい、目の充血へとつながってしまう危険性があります。

・睡眠
十分な睡眠がとれずに体の疲労が蓄積されると目へも影響が出て眼精疲労や目の充血、ドライアイなどの原因となってしまいます。

 

症例

40代 男性

一か月前から目が充血しはじめて、時間がたてば治まると思ったが全く治らなかったので、来院した。普段はプログラミングの仕事をしており長時間のパソコン作業が日課になっている。眼精疲労は常にあるが、目薬して誤魔化している。

目の表面の痛みはなく、どちらかといえば奥の方が痛い。

睡眠時間は4~5時間程度で常に体の疲れ、だるさがある。

 

当院の治療

目の表面の痛みがない事や、長時間のパソコン作業、睡眠時間、白目の充血具合を踏まえて考察した結果、炎症による物ではなく、強度な眼精疲労が原因による物と判断しました。

首肩コリは自覚がないという事でしたが、触診してみると張りが強く、眼の血流を阻害している原因の一つと考えました。

まず、自律神経測定器で自律神経やストレス度をチェックしたところ交感神経が高くなっており、精神的ストレス、肉体的ストレス共にやや高い状態でした。

施術はうつ伏せで首肩の筋肉を緩める治療から入り、仰向けでは眼の周りに鍼を刺し、電気を流して血流改善を促し、同時に自律神経調節治療も行いました。

 

1回目

充血の変化はないが、身体や目の疲れは取れやすくなった

2回目

眼精疲労が軽快してきた

3回目

少し赤みが取れてきた

4回目

両目とも中心部分はほぼ赤みが取れたが、外側が残っている

5回目

外側も少しずつ薄くなってきた

6回目

全体的に充血軽快

7回目

ほぼ気にならなくなった

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

高血圧の鍼灸治療

日曜日, 1月 23rd, 2022

高血圧に対する当院の鍼灸治療

 

当院の高血圧に対する治療目的は、まず第一に鍼灸治療を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えます。中医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、全身治療を行うことにより自然治癒力を高めます。

高血圧のはり灸治療

 

また高血圧は中医学的に見ると「心」「腎」「肝」作用不足や相互関係の崩れなどで発症すると考えられているので、鍼灸治療を用いてツボを刺激することで「心」「腎」「肝」の作用不足を補ったり、相互関係の崩れを修復するように治療します。その他高血圧の患者さんでは頭痛肩こり慢性的な痛みを訴える方が少なくありません。そういった患者さんには頭痛や肩こりの解消、痛みの緩和を目的とした治療も並行して行っていきます。

高血圧の背部への鍼灸治療

当院の鍼灸治療による高血圧の治療は、降圧を目的としてそれにより、高血圧の合併症を予防することです。
また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しで高血圧が正常に回復できる機会を提供することです。それにより、患者さんの仕事の質の向上や生活の質の向上、生活習慣病の予防が期待できます。

 

 

高血圧の東洋医学的考え

 

高血圧は、中医学でいう「心」「腎」「肝」が深く関係していると考えられています。

ⅰ)心腎不交
中医学では「心」と「腎」の正常の関係は「心の陽気」が「腎の陰液」を温め養って、逆に「腎の陰液」も「心の陽気」に栄養を与え、陽気が強くなり過ぎないように抑制する相互関係を保っています。しかし、その関係が疲労や慢性病、精神的緊張などで崩れると「心の陽気」を抑えきれずに「心火」に変化して上昇したり、「腎の陰液」を消耗しすぎて「腎陰虚」という病態が発生したりします。
「心腎不交」は高血圧の他に不眠症や自律神経失調症、更年期障害、甲状腺機能亢進症なども引き起こすと考えられています。

 

ⅱ)肝陽上亢
「肝陽上亢」とは「肝」の陰液不足で、「肝陽」を抑制できずに「肝陽」が上昇することです。また「肝」と「腎」の関係はとても深くどちらかが不足した状態になるともう一方も不足した状態になりやすく「肝腎同源」ともいわれます。よって「腎」の異常は「肝」にも影響を与え、「腎陰」不足は「肝陽上亢」の症状を呈する事もあります。
「肝陽上亢」は高血圧の他に上半身とくに顔面や頭部に明らかな熱の症状が見られ、自律神経失調症や更年期障害、慢性肝炎、慢性腎炎、不眠症なども見られます。

 

 

高血圧の鍼灸治療症例

 

70代 男性
数年前より血圧が高く、降圧剤を服用していた。薬を飲み続けると内臓などに負担がかかるということを知人からきいてできれば、薬の服用をやめたいと思い当院にご来院されました。
また、首肩のコリ・慢性的な腰痛の症状もあり、高血圧の治療と並行して行っていきました。
治療は主に自律神経の調整治療と血流の改善、硬い筋肉を緩める治療をして行きました。

治療経過
◇1回目◇
首肩や腰の症状は一回でだいぶ改善されたとのこと。血圧にまだ変化は見られない

◇2~8回目◇
一週間に一回ほどのペースで治療、全身の調整治療をして行きました。毎朝家で血圧を計測していただき、その経過をみていきました。
治療開始から2か月ほど経過した時に徐々に血圧が下がっていき、降圧剤を飲んでいると血圧が低すぎる値にまでなりました。処方していただいている医師と相談していただき、徐々に薬を減らしていくことになりました。

 

60代 男性

約10年前、健康診断で高血圧が分かった。最高血圧165mmHg、最低血圧が120mmHg。

飲酒・喫煙をやめ、食事も減塩をこころがけるなど生活習慣を改善したが、数値は変化なし。運動は毎日2.5キロのジョギングを行っている。

薬の服用に抵抗があるため、鍼灸や漢方で治していきたい。

以前までほかの鍼灸院に通院していたが、5回定期的に通っても変化がみられなかったため当院に来院された。

 

当院の治療

本人は無自覚の身体のこりがあり、自律神経測定器の結果からも交感神経が高く緊張状態が強いことがわかった。また、手足も冷えており血行不良もみられた。

身体が冷えると末端まで血液を送り込もうと心臓のポンプに圧力が加わり血圧があがることもあるため、自律神経の調整と四肢末端の血流改善を行い、心臓の負担を減らすように治療をした。

治療経過

◇1回目◇

特に変化なし。

◇2回目◇

初回治療の翌日150mmHgまで低下した。2日目からはもとに戻った。

◇3回目◇

前回と同様で大きな変化なし。

◇4回目◇

最高血圧150mmHgまで低下。

◇5回目◇

4回目から1か月半あいて来院したが、血圧は最高150mmHgを維持している。

正常血圧を目指して今後も継続して経過をみていく。

 

 

高血圧とは

高血圧とは動脈内の圧力が異常に高い状態のことです。

心臓はポンプのように毎分60~70回くらい血液を血管へと押し出しています。心臓が収縮して血液を押し出した瞬間は、血管に一番強く圧力がかかり、最高血圧といいます。

そして収縮した後に心臓が拡張する時には、圧力が一番低くなり、最低血圧といいます。最高血圧と最低血圧のどちらが高くても高血圧といいます。
血圧は重症度によって分類されますが一般的に最高血圧140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上に保たれた状態を高血圧といいます。日本人では40~74歳の人のうち男性は約6割、女性は約4割が高血圧にかかっていると言われており、日本人に大変多い疾患です。

 

血圧を調節しているのは、無意識下に体内の代謝などを調節する神経系の一部、自律神経系の交感神経と腎臓です。何らかの脅威に対する体の生理的反応が起こると、交感神経はいくつかの方法で一時的に血圧を上昇させます。腎臓も血圧の変化に直接的に反応し、血圧が上昇すると、腎臓が塩分と水分の排出量を増やすので、血液量が減り、血圧は正常に戻ります。
また血圧が低下すると、腎臓はレニンという酵素を分泌して血圧を上昇させます。

 

血圧は運動後やカフェインが含まれている飲み物を飲んだ時、たばこを吸ったりすると上がり、安静時には下がります。また時間によっても変動して、朝が最も高く、夜寝ている間が最も低くなります。

血圧は変動しやすく、また病院や診療所で血圧を測るときだけ高血圧を示す場合もあり、一回の測定で高血圧を示すことが問題なのではなく、血圧の高い状態が続いた時に問題となります。

最近では家庭血圧計が普及していますが、家庭でリラックスした状態で測定した血圧値のほうが、診察室で医師によって測定された血圧よりも将来の脳卒中や心筋梗塞の予測に有効であるという疫学調査結果が出ています。

高血圧に自覚症状はほとんどなく、人によっては高血圧と診断される直前から肩こりがひどくなった、頭痛がするようになったなどと訴える場合もありますが、これは高血圧の特有の症状ではないので、症状だけでは高血圧を見つけることはできません。

高血圧は、症状がほとんどないままに、長年にかかってひそかに血管を蝕んでいくため「サイレント・キラー」とも呼ばれています。

高血圧

 

高血圧の合併症

血管を流れる血液の圧力が高くなると、つねに血管に刺激がかかって、血管内皮から血管収縮物質が分泌される事で、血管内皮が障害されます。またこの修復過程で動脈硬化の原因となる物質が形成されます。それと同時に血液を高い圧力で送り出しているのは、心臓なので、心臓が多くのエネルギーを必要として疲れやすくなります。

ⅰ)脳卒中

脳梗塞脳出血は、高血圧ととても深い関係にあります。高血圧により動脈硬化となると、それは全身に広がって血液の流れを悪くしますが、時に多くの血液を必要とする臓器である脳や心臓に害が及びます。動脈硬化により脳血管が硬くなると血液の流れが悪くなり、そこに血の塊ができて血管がつまりやすくなります。これが脳梗塞です。

一方、硬くなった細い血管はもろくもなりやすく、そこに高い圧力がかかると脳の血管が破れて、脳出血がおこります。

ⅱ)虚血性心疾患

心臓の筋肉に酸素と栄養を運ぶのは冠状動脈と呼ばれる血管で、これが硬くなると血液の流れが滞ってそこに血の塊ができやすくなります。そして血管が詰まって心筋が血液不足になり、狭心症心筋梗塞などを引き起こします。

ⅲ)腎障害

高血圧は脳卒中や心臓病以外にも腎臓も影響を大きく受ける臓器です。腎臓は、血液の中からいらない老廃物や有害なものをろ過してとりだして尿にし、体外に出すという大きな役割を担っています。
そのため腎臓の本質部分は、糸球体という毛細血管の集合体になっており、動脈硬化がおこって血液の流れが悪くなると、腎臓の働きは低下します。糸球体は再生しないため、最終的には腎不全となり、人工透析などの治療を受けなければならなくなります。

ⅳ)心臓肥大・心不全

高血圧が長い状態続くと、心臓の仕事量が増えてそれに対応しようとして心筋が肥大していきます。肥大した心筋はさらに高血圧の負荷によって拡張し、最終的には心不全に陥る可能性があります。

ⅴ)高血圧脳症

これまで述べてきた慢性的な影響とは別に急激な高血圧により、脳圧が亢進し、頭痛・視力障害などの急性症状を引き起こした状態を高血圧脳症と呼びます。

頭痛

 

 

高血圧の種類

高血圧の原因は様々なことが考えられるが、その中ではっきりと原因がわかる高血圧は、全体の1割にも満たしません。日本人の高血圧の大部分は原因が特定できない高血圧なのです。

ⅰ)本態性高血圧

本態性高血圧は、原因がはっきりと特定できない高血圧で日本人の高血圧のほとんどがこれにあたります。両親からの遺伝素因に加えて、生後の成長過程、日々の食事、ストレスなどの生活習慣が複雑に絡みあって生じると言われています。

ⅱ)二次性高血圧

二次性高血圧は、原因がわかっている高血圧で、原因として次のような疾患があげられます。

  • 腎疾患(慢性糸球体腎炎・糖尿病性腎症など)
  • 内分泌疾患(クッシング症候群・褐色細胞腫・甲状腺機能亢進症など)
  • 血管病変(大動脈縮窄症など)
  • 薬剤症(ステロイドなど)

 

⑦高血圧の生活上の注意点

  • 食塩摂取量を制限する(1日6g未満)
  • 適正体重を維持する(BMI22程度)
  • アルコール摂取量を適量にする
  • 適度な運動療法をする(一日30~45分程度)
  • 禁煙
  • 脂質の摂取量を制限する

 

子宮筋腫の鍼灸治療

土曜日, 12月 25th, 2021

子宮筋腫に対する当院の鍼灸治療

当院ではまず、女性ホルモンと深く関与している自律神経のバランスや血管の状態を自律神経測定器で測定させて頂き、お身体の状態を診ていきます。

自律神経とホルモンバランスの調整は脳の視床下部でコントロールされているため自律神経のバランスが乱れると引きずられるようにホルモンバランスも乱れを生じやすくなります。そのため、ホルモンバランス、自律神経のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与えます。

子宮筋腫の鍼灸治療

また、腰部、下腹部、下肢の冷えや筋肉の緊張があると子宮の血液循環が悪くなりやすく、自己治癒力も低下してしまいます。そのため鍼やお灸を用い下半身を温め、筋肉の緊張を緩和する施術をしていきます。下半身の血液循環を促進する事で子宮や卵巣など骨盤内に十分な酸素と栄養が行き届き、健康な細胞に生まれ変わる作用を促します。

子宮筋腫のうつ伏せ鍼灸治療

 

 

当院では、さまざまな種類のお灸を用いて下腹部・下肢を中心に身体全体を温めていきます。

・電子温灸器
お腹をしっかりと温めていきます。もぐさを使うお灸とは異なり、持続的に熱を入れることが可能で火傷の心配もありません。

・灸頭鍼
さした鍼の上にもぐさをのせて火をつけていくことでお灸と鍼の両方の効果が期待できます。

子宮筋腫に対する灸頭鍼治療

・長生灸
簡易式のお灸で腰部や肩部などに行っていきます。

子宮筋腫に対する長生灸

・点灸
直接皮膚にもぐさをのせて線香で火を付けます。もぐさが燃え消える前に火を消すたやけどの心配はございません。ツボにピンポイントに熱を入れる際に行っていきます。

 

 

子宮筋腫の東洋医学

 

東洋医学的に診ると子宮筋腫は、五臓六腑の『』の「疏泄を主る」という機能が深く関係していると考えられています。肝の疏泄を主るという機能は、すみずみまで気や血を体の細部に送り届ける機能のことをさします

。疏泄を主るという機能が正常に働くことで体の機能が正常に保たれたり、情緒を安定させて精神状態の安定化もつかさどっているのです。また、自律神経の部分にも作用して全身の各機能が正常に行われるようにもしています。

その疏泄を主るという機能が不調となってしまうと気がうっ滞した病態となってしまいます。東洋医学では肝の機能以上によって生じた気がうっ滞してしまった状態を『肝気鬱結』といい、機体の病態から血おや陰虚の病態へと悪化してしまうこともあります。肝気鬱結は憂うつ感や情緒不安定などの精神的な状態の他にも食欲不振や嘔吐、便秘、月経痛、月経不順などの病態も症状として現れます。このほか、肝気鬱結によって血管運動神経系の失調が続いてしまうと、血も滞ってしまい、子宮筋腫などの腹部の腫瘍も生じてしまうことがあるのです。

鍼灸治療では、肝に関するツボを刺激して肝の機能を正常化するような施術を行っていきます。

 

 

子宮筋腫とは

子宮筋腫とは子宮を形成する筋肉(平滑筋)の細胞が増殖して出来る良性の腫瘍です。
腫瘍自体に命への危険性はありませんが、放置すると大きく成長してしまい10kgを超えるような大きさまでになることもあります。子宮筋腫の代表的な症状は経血量の増加です。しかし、子宮内膜症などとは違い月経痛はそれほど強くならないようです。

他にも生理周期が乱れたり、月経以外の出血、下腹部痛や頻尿、排尿痛を伴うこともあります。子宮筋腫の詳しい発生原因はいまだ解明されていませんが、初潮前の女性には見られず、閉経後には腫瘍が小さくなることから、「エストロゲン」という女性ホルモンが関わっていると考えられています。
そのため、ホルモンの分泌の盛んな30才以上の成熟期に多く見られ、成人女性の4~5人に1人がなると言われるほど身近な病気です。この説の他に免疫力の低下ストレスの影響なども考えられています。
子宮筋腫は出来る場所と発育する方向によって、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫の3つに分類されます。現れる症状はその大きさよりも出来る場所に影響を受けます。

・粘膜下筋腫
子宮の内側を覆う子宮内膜のすぐ下に出来る筋腫で、子宮の内部に向かって発育する筋腫です。
子宮筋腫の中で発生頻度は低いですが筋腫が小さくても症状は重くなりやすいのが特徴です。不正出血、貧血、動悸、息切れ、月経過多、月経期間が10日以上続く「過長月経」などを引き起こします。粘膜下筋腫は筋腫の中でも月経過多により貧血の症状が出やすいといわれています。
また、筋腫が大きくなり膣や子宮頚管の中に押し出される「筋腫分娩」になると不正出血時の量が多くなります。不妊や早産の原因となりやすく手術が必要になるケースも多くあります。

・筋層内筋腫
子宮内膜の外側にある「子宮筋層」という筋肉の層に形成される筋腫です。
子宮筋腫のうち約70%と最も多くみられる筋腫で、小さい時はほとんど無症状ですが、筋腫が大きくなるにつれて子宮も大きくなり変形します。子宮が強く収縮する事で下腹部痛や腰痛の他、過長月経、頻尿、便秘などを引き起こす事があります。出来た場所や大きさによっては不妊や流産の原因にもなります。

・漿膜下筋腫
子宮の外側を覆う漿膜のする下に出来る筋腫で子宮の外側に向かって大きくなります。
無症状のことがほとんどなので気付きにくく、粘膜下筋腫、筋層内筋腫と比べて過長月経の症状は少ないのが特徴です。筋腫が捻じれて「茎捻転」を起こすと急激な腹痛を引き起こします。

診断

婦人科の検診、内診など

・超音波検査
これらの検査でおおよそ子宮筋腫かその疑いがあるかが分かります。

・子宮筋腫の検査
MRI,CTなどの影像による検査、貧血検査、腫瘍マーカー検査、血液検査、子宮卵管造影検査、子宮鏡検査、子宮癌検査、心電図検査などから症状に応じて検査が選択されます。

 

西洋医学的治療

治療方は筋腫の大きさや位置、症状、年齢や本人の希望等を医師と相談して選択していきます。良性のコブですから症状が出ていないのであれば治療をせずに経過を見ていく事もあります。

・薬物療法
女性ホルモンの「エストロゲン」が子宮筋腫の発生、発育に関係していると考えられているため「GnRHアゴニスト」などの薬剤でエストロゲンの分泌量を抑え、子宮筋腫を小さくする方法がとられることもあります。他にも漢方薬によってホルモンバランスを整え、根本的な体質改善を目指す方法もありますが筋腫自体の治療に用いられることは稀です。

・手術
薬物療法でも症状が緩和されなかったときには子宮そのものを取り除く子宮全摘術や、腫瘍のある部分だけを取り除く筋腫核出術が検討されます。

 

その他にも子宮に栄養を供給する血管を薬で閉じて筋腫への栄養を断ち筋腫の成長を止める「子宮動脈塞栓術(UAE)」と超音波の力で筋腫を小さくする「収束超音波治療(FUS)」などの新しい治療法がありますが、子宮の機能を低下させる恐れがあります。

子宮筋腫が出来てしまうと受精卵が着床するスペースが減ってしまうだけでなく、子宮の内壁が硬くなったり、変形したりと受精卵が着床しずらい状態が引き起こされてしまい、初期流産を引き起こす可能性が高くなります。
また、卵管付近の筋腫は卵管が精子や受精卵を運ぶ機能を低下させ、卵管自体を閉塞させて受精卵の移動を妨げます。明らかな不妊原因になっている場合は子宮筋腫の摘出手術を行う事もありますが、子宮筋腫があっても100%妊娠できないわけでは無く大きさや場所によるため産婦人科の医師との相談によって治療法を選択していきます。

 

症例

40代 女性

一年前に子宮筋腫と診断されて、病院で定期的に通院、治療を行ってきたが、ここ最近になって症状が強くなってきた。症状は不正出血、月経不順で出血量が多く、常に貧血に悩まされていて鉄剤が欠かせない。痛みなど他の症状はない。

 

 

当院の治療

まずお身体の状態を細かくチェックするため、触診や脈診をさせていただきました。

脈は細く、特に腎経と肺経の脈が弱くなっていました。腹部は全体的に冷えており、下肢の冷えもかなり強いです。

お仕事の影響で生活が不規則になり、ストレスも強く感じている様子でした。

 

まず、仰向けで自律神経調節治療に加え、足や腹部の冷えを取るため鍼とお灸を施し子宮の血流循環の促進を目的とした施術を行いました。

次にうつ伏せになり首肩や背中、腰の緊張を取る施術や、仙骨の八りょう穴という女性ホルモンに効果的なツボを刺激し、骨盤血流量を増加させました。

 

 

1回目

まだあまり変化はないが、施術後は身体がポカポカして気持ちよかった。

 

2回目

出血量が少し減少した。

 

3回目

出血量がさらに減少し、貧血の症状が軽減。

次回から変化を見るため週1の間隔から、週2に変更。

 

4回目

2週間空けたが、調子はいい。

 

5回目

忙しくて睡眠時間が短かったせいか、少し出血したが以前よりは少ない。

 

6回目

ほとんど出血していない

 

現在、経過観察中

 

 

光視症の鍼灸治療

土曜日, 12月 25th, 2021

光視症の当院の鍼灸治療

まず、首肩のコリに対する治療を行っていきます。心臓から目に送られる血液は首の血管を通ります。首肩が硬くなっていると、コリにより血管が圧迫されてしまい良い血液の流れを阻害してしまいます。また、役目を終えた古い血液も心臓に戻りにくくなり、頭部に悪い血液が留まってしまいます。

 

光視症の頸肩鍼治療

次に、目の周りのツボに鍼を打ち、さらに微弱な電気を流す事によって目の血流の改善と電気の刺激により網膜の癒着を緩めていきます

 

光視症の鍼通電治療

光視症の治療は目や筋肉に対するものだけではなく、「」や「」といった東洋医学的な五臓六腑の調整と自律神経のバランス調整を加えることにより、疲労の蓄積やストレスの軽減といった体質改善を行い、光視症の改善や症状の進行を防止していきます。

 

 

光視症の東洋医学的考え

 

東洋医学では目は五臓六腑の「」と深くかかわりがあると考えられています。そのため「肝」の機能が低下すると目に異常が出やすいといわれています。肝は血液の流れをコントロールしたり血液を貯蔵する役目があり、肝の機能が低下することにより全身に回る血流が低下してしまいます。特に目は血液が届きにくい場所でもあるため、目に何かしらの異常が出やすくなってしまいます。これを「肝血虚」といいます。

また、高齢者や慢性的な疲労を抱え込む人の場合は肝だけではなく、「」の機能低下も目に影響されるといわれています。「腎」は、東洋医学的には生命力を表しており、加齢や慢性的な疲労やストレスにより腎の力が弱まっていきます。

血液は骨髄でも作られるのですが、東洋医学では骨髄を司っているものは「腎」であり、腎がうまく働かなくなると血液が作られなくなるのです。血液の製造力が低下すると、血液の量も少なくなってしまうので、目の虚血状態が生まれてしまうのです。これを「腎虚」といいます。

 

 

 

光視症とは

 

 

光視症とは硝子体剥離や網膜剥離の前兆によって起こる症状の1つで、目に光が当たらない状態や暗いところにもかかわらず突然稲妻のような光が視界を走る症状の事をいいます。光視症は中高年に発症しやすく、飛蚊症と同じように網膜剥離や網膜裂孔の初期症状として現れる事もあります。

 

また、片頭痛に伴うチカチカ光が見える症状は閃輝暗点とも言われ、原因ははっきり解明されていませんが脳の血管が急激に収縮し、視覚を司っている視覚野への血流量が一時的に減少する事で起こると言われていて、片頭痛の前兆に閃輝暗点が起きることでも知られています。末梢性の物を光視症、中枢性の物を閃輝暗点と2つに分類されます。

 

 

片頭痛の鍼灸治療

 

光視症

 

光視症の原因

 

 

光視症は、硝子体が網膜から剥がれようとする硝子体剥離の前触れとして起きる事が原因ですが、若い時は硝子体は透明なゼリー状になっているのですが、老化が進むとゼリー状のものが液化と収縮をし、その変化から硝子体と映像を脳に伝えるフィルムの役割をする網膜の間に隙間ができ硝子体を包む膜が網膜から分離します。

この状態を硝子体剥離と言いますが、硝子体と網膜の癒着が強いとその部分はすぐに剥がれようとせず、目を動かすたびに硝子体が揺れて網膜が引っ張られます。その時に生じる牽引力を網膜は光の信号として変換してしまい、視界に光が発生したように見えてしまいます

 

これらは、老化ストレス過労睡眠不足、強い近視が引き金になって起きるのですが、ストレスの蓄積や老化が始まると自律神経が正しく働かなくなります。そうすると自律神経がコントロールしている血液循環も悪くなり硝子体に異常を起こしてしまいます。

 

 

 

他には、打撲やコンタクトレンズの不適切な使用により角膜に傷がついたり、細菌やウイルスなどによる角膜の感染というような角膜の異常や急激な眼圧の上昇でも光視症が起こることがあります。

 

 

光視症の症状

 

 

閃輝暗点は、光視症とは違いモザイク模様のようなチカチカした光やノコギリの様なギザギザした光、水面から反射したような光が15分~30分くらい見えることがありますが、光視症は閃輝暗点と違い、瞬間的に稲妻や流れ星のような光が走ったり、光が点滅しているように見えます。

特に、視野の外側に見えることが多く、目を動かしたり頭を振るときに症状が現れやすいのが特徴です。

網膜剥離網膜裂孔硝子体剥離の初期症状として、視界にゴミや蚊が飛んでいるように見える飛蚊症の症状以外にも、こうした光視症の症状も出る場合もあるので注意が必要です。

 

 

 

光視症の西洋医学的治療

 

光視症は、硝子体剥離や網膜剥離、片頭痛の前触れが原因として起こるため、それらの治療を行っていきます。加齢による硝子体剥離は時間が経つと自然に回復していくため病院での治療は経過観察のところがほとんどですが、網膜剥離や網膜裂孔を起こしている場合はレーザーで傷を塞ぐレーザー光凝固術や硝子体手術を行います。片頭痛の場合は、脳の拡張しすぎた血管を元に戻す薬や、神経の活動を抑える薬を使用して治療していきます。

 

 

 

光視症の症状が出たなら…

 

光視症は網膜の強い癒着で症状が出現しますが、硝子体と網膜が剥がれると症状はなくなります。しかし、癒着が強い状態で剥離を起こすと網膜が裂けてしまい失明の危険もあるので、眼科医への受診が必要です。

 

 

 

症例

50代 男性

 

ある日気が付いたら電気が走るような光が見えるようになった。特に、首を動かすと視界の外側に光が見える。飛蚊症も以前から発症していたため念のため眼科で検査を受けたが異常が見つからなかった。

疲労の蓄積や睡眠不足、目の使い過ぎの時に光視症が発現することが多い。

普段はIT関連でエンジニアの仕事しているため長時間のデスクワークをしている。

そのため、眼精疲労や肩こり、ひどくなると頭痛が起こる。

 

当院の治療

 

まず自律神経測定器で自律神経やストレスの状態を確認したところ、精神的ストレスと疲労度がやや高く、自律神経も交感神経が非常に高く副交感神経が低い状態でバランスが乱れていました。お話を伺うと睡眠時間が平均5時間程度と短く、疲れがなかなか取れない状態が続いていました。

また、首肩のコリも強く緊張していたため、うつ伏せで首肩の筋緊張の緩和を目的とした施術を行いました。

次に、仰向けで目の周りの経穴(攅竹、魚腰、太陽、四白)に鍼を打ち、低周波の電気を流し刺激をしました。同時に副交感神経を働かせるため、自律神経調節治療も行いました。

 

 

1回目

緊張したが、思ったより痛くなかった。

 

2回目

まだ変化はない。

 

3回目

首肩は軽くなってきたが、目の症状は変わらない。

 

4回目

光の見える頻度が少なくなってきた。

 

5回目

前回よりさらに減少。

 

6回目

気になることはほとんどなくなってきたが、首を振ると光が強く出る。

 

7回目

ほとんど気にならない。

 

過敏性腸症候群の鍼灸治療

月曜日, 11月 15th, 2021

①過敏性腸症候群に対する当院の鍼灸治療

 

当院の過敏性腸症候群に対する施術は、第一にハリやお灸などの刺激により自律神経のバランスを整える自律神経調整法を行います。
中医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、全身治療を行うことにより自然治癒力を高めます

また過敏性腸症候群は東洋医学的に見ると「」や「」の機能低下が原因で発症すると考えられているので、鍼灸施術を用いてツボを刺激することで「脾」「胃」の機能を正常化させます。
また過敏性腸症候群の方は、手足の温度や体温が低い場合が数多く見受けられるので、腹部を温めるお灸などを施し、体の内側から温めることで全身の血流改善体の冷えの改善を試みます。

その他過敏性腸症候群の患者さんでは頭痛肩こり・慢性的な痛み・めまいなどを訴える方が少なくありません。そういった患者さんには頭痛・肩こりやめまいの解消・痛みの緩和を目的とした治療も並行して行っていきます。

当院の施術は、東洋医学の観点により少しでも過敏性腸症候群を改善できる機会を提供することにより、患者さんの仕事の質の向上や生活の質の向上が期待できます。

 

 

過敏性腸症候群の鍼治療

 

電気のお灸でお腹を温めて自律神経の調整を行います。

 

鍼灸治療で腸の蠕動運動が活発化するという研究結果も

全日本鍼灸学会では、足三里と合谷への鍼刺激と腹部のツボ(中かん・天枢・関元)への鍼刺激によって腸の蠕動運動の指標であるグル音が亢進したという研究結果が報告されています。

また、研究では、過敏性腸症候群とクローン病患者ともに4年以上罹患期間があり長期の薬物療法を受けている方に鍼灸治療を行ったところ症状の改善とともに薬の量の減量もしくは中止することが出来たという報告もあります。

「鍼灸で過敏性腸症候群が改善する」

www.jsam.jp/pdflib/kiso_p10.pdf

 

 

②過敏性腸症候群に対する東洋医学的考え

過敏性腸症候群は、東洋医学でいう「」「」の病変が大きく関係していると考えられています。
東洋医学でいう「脾」「胃」は西洋医学でいうそれらとは違った役割・機能を持ちます。
たとえば東洋医学でいう「脾」は、消化器系全般の消化吸収機能・栄養代謝・体液調節の一部・免疫機能などの機能やリンパ系の循環などを含めた役割を担っています。
また、「胃」は、胆汁・膵液ならびに胃・十二指腸・小腸などの消化機能すべてを含めた役割を担っています。「脾」と「胃」は互いに密接な関係があり、「胃」が飲食物を消化して栄養物に変化させて「脾」が栄養物を吸収し、体中に運搬します。

また、その過程でできた不要物は、小腸や大腸に運ばれるのです。その際に「脾」「胃」に異常があると小腸や大腸にも影響を与えて下痢や便秘、腹部膨満感などを引き起こすと考えられています。

「脾」「胃」は熱や寒の邪気を受けると異常をきたしやすく(主に冷た過ぎる食べ物や熱過ぎる食べ物、刺激物)、またストレスなどにより「肝」の「情緒を安定させ精神状態を快適に保つ機能」や「視床下部・自律神経系の機能によって、全身の各機能が円滑に行われるように調節する機能」が低下すると、「脾」「胃」に影響を与えるといわれています。

 

 

 

③過敏性腸症候群とは?

過敏性腸症候群とは、腸の検査などを行っても炎症や潰瘍などの目に見える異常がないのにもかかわらず、慢性的な下痢便秘などの便通異常と腹痛腹部の張り感などの腹部症状を呈する症候群です。
過敏性腸症候群は、高頻度な心身症のうちの一つで、社会的・環境的ストレスなどにより消化器症状が増悪することが特徴です。文明が発展していくことに伴って、以前には見られなかった現代文明特有のストレスによる関連疾患が増加しており、過敏性腸症候群はその代表的な疾患です。

過敏性腸症候群により、QOL(生活の質)は著しく低下し、仕事の質にも影響を与えることから過敏性腸症候群の治療していくことはとても重要なことです。

 

過敏性腸症候群

 

④過敏性腸症候群の鍼灸治療症例

 

30代 男性 会社員

一年前よりお腹の張り感と下痢の症状が出るようになってきた。会議での発表やお客様との大事な打ち合わせがある日の朝に特に感じるようになり、電車の中で腹痛に耐え切れなくなり、目的地の手前で降りてトイレに駆け込むこともあった。市販の薬などで対応していたが、ここ2~3週間で毎日のように症状が出るようになってしまい、さすがに心配になり胃腸内科を受診。

検査では特に大きな原因は見つからず、過敏性腸症候群と診断された。
胃腸内科から処方された薬を飲む以外にも治療法はないかとインターネットで探していたところ当院を見つけてご来院されました。

・自律神経測定の結果
お昼頃計測したのにもかかわらず副交感神経が非常に高い状態で、自律神経の乱れが出ていた。副交感神経は、日中低くて夕方・夜にかけて上がってきて自然と眠りにつくことが理想的です。この方の場合平日は夜遅くまで仕事しており、副交感神経の理想的な形とは真逆の反応が出ていると考えられます。また、寝つきも悪くてご本人としても眠りが浅い状態と感じており、朝目覚めてもすっきりした感じはない。
自律神経の状態を正常に戻すことが重要だと考えられます。

治療経過
◇1回目◇
鍼灸治療が初めてということもあり、弱い刺激でお灸は心地よい柔らかい暖かさのお灸法を用いました。治療後、体がすっきりした感じがあったとのことでしたが、次の日の朝には治療前と同じような症状が出てしまった。

◇2~3回目◇
1回目の治療後少しだるさが出てしまったが、少し横になるとだるさが取れてくるということで刺激の量も少しずつ増やしていきました。治療後の朝腹痛などの症状はあまり感じられなかったが、次の日には症状が戻ってしまっていた。

◇3~5回目◇
下痢の症状は治まってきたが逆に便秘になることもあり、下痢と便秘を繰り返すようになった。

◇6~8回目◇
夜寝つきが良くなってきた。時間のある時や出勤時間などにウォーキングなどの運動をすることで夜程よい身体の疲れを感じる。便秘も解消されてきた。

◇9~10回目◇
再度自律神経測定器で計測した結果、昼頃では副交感神経が前回よりも低く正常に近い値だった。下痢・便秘の状態も良く、体調が良いとのこと。重要な会議の前などは少し緊張して少し寝つきが悪かったり、腹部に違和感を感じることは少しある。

 

この方の場合、運動習慣もなく、お酒も毎日のように飲まれるということで食生活も乱れていました。当院での施術と並行して生活習慣も改善していただけるようなプログラムを組みました。現在も身体の調子を整えるという目的で定期的にご来院していただいております。

 

 

 

30代 女性 営業職

当院ご来院1週間前から下痢が続いている。内科で薬を処方されて服用しているが、なかなか改善されてこない。最近仕事でのストレスを強く感じており、特に朝出社する直前に腹痛及び下痢症状が出ることが多い。
日常生活でも普段から身体の冷えが強く、夕方以降は足のむくみもひどくなる。疲れた時は顔色が悪くなり、血色が悪く同僚からも心配されていたとのこと。睡眠や食事はとることができているが、食欲はなく食べる量も少ない。また朝疲れが残っていると感じる日が多い。運動は週末にパーソナルトレーナーの指導のもとでトレーニングやストレッチを行っている。

 

当院の治療
自律神経測定器の結果、自律神経の乱れがあったのでまず第一に自律神経を整える目的で施術しました。下肢のむくみや冷えに関しましてはお灸を多用して施術して改善をはかります。東洋医学的検査法の脈診や舌診を行った結果、『肝血虚』『脾胃陽虚』だったのでそれらを整える治療もしていきました。

治療経過
◇1回目◇
鍼灸治療が初めて刺激に対して少し不安があるということで細い鍼・熱すぎないお灸を用いて弱い刺激を心掛けました。治療を受けた日の夜は寝つきが良く、深い睡眠がとれたとのこと

◇2回目◇
治療後、身体の疲れが取れてきていると実感。まだ朝は腹痛や下痢症状が出る。週末以外にも軽いストレッチやウォーキングをしてもらうようにした。

◇3回目◇
身体の冷え・疲れがだいぶ取れてきた。脈診をしても脈に力が出てきて「肝」や「脾」もだいぶ回復してきた様子

◇4回目◇
週に2日ほどしか朝の下痢・腹痛症状を感じなかった。以前は薬を飲んでもあまり効果がなかったが、同じ薬でも症状が止まり効果が出るようになってきた。

◇5回目◇
ほぼ朝の症状を感じなくなった。食欲も出て睡眠も深くなり身体の疲れも感じにくくなった

◇6回目以降◇
今まで週に1~2回のペースで治療を受けていたが間隔を空けて治療を受けるようになった。どうしても仕事などで疲れることもあるので今は1か月に1~2回のペースで通院加療中。

 

過敏性腸症候群 20代女性

 

もともと精神的ストレスが強く胃腸も弱い体質であったが、半年前に強いストレスを受け下痢と便秘を繰り返すようになった。とくに電車通勤時に腹痛が出現することが多く、非常に苦痛になっている。仕事も忙しく、ここ最近はゆっくり寝れていない。

全体的に腹部の張りが強く、特に左側と下腹部に軽度の圧痛がある。手先足先末端の冷えが強い。デスクワークのためか首肩の強い筋緊張がみられる。

痩せ型で、全身的に筋量が少ない。

当院の治療

ストレスにより自律神経が乱れが腸の機能に異常をきたしていると考え、まず自律神経調節治療を行いました。

さらに内臓の負担を軽減するため腹部に鍼を打ち、筋緊張の緩和を目的とした施術を行いました。

また、うつぶせの状態で五臓六腑のツボを刺激し、東洋医学の観点に基づいた全身の調節を行いました。

治療経過

◇1回目◇

とてもリラックスできた。当日は便秘だったが、少し排便することができた。

◇2回目◇

便秘と下痢の波が少なくなってきた。

◇3回目◇

お腹の筋緊張が緩和してきた。鍼に対する緊張も和らいできた様子だったので、首肩コリの治療も開始した。

◇4回目◇

電車内での腹痛が減少し、電車に乗る不安感が減少。

◇5回目◇

良く寝れるようになった。

まだ少しお腹の調子が悪い時もある。

腹部のお灸を開始

◇6回目◇

前回から少し良くなったような気がする。

◇7回目◇

大きな変化はない

◇8回目◇

腹痛は気にならなくなってきた。

便秘はたまにあるが、頻度は少ない。

 

 

 

 

⑤過敏性腸症候群の症状

過敏性腸症候群は、消化管症状と同時に精神症状もあらわれます。不安感睡眠障害倦怠感うつ病自律神経失調症状などが多くみられます。
過敏性腸症候群もそれら精神症状も精神的・身体的ストレスが引き金と考えられており、合併頻度が非常に高いのです。

過敏性腸症候群は、20代~40代の女性に多く発症すると言われていますが、日々変化している現代社会において近年は、男性や小児・高齢者においても発症することが少なくありません。
一般的に便秘型過敏性腸症候群は女性が多く発症して、下痢型過敏性腸症候群は男性が発症しやすいといわれています。女性は大腸の収縮力が男性よりも弱く、大腸通過時間が遅くなることから便秘になりやすいと考えられています。

 

 

⑥過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群の発生メカニズムは未だ十分に明らかにされていませんが、遺伝と社会環境職業・教育環境などの環境要因の両方がその発生頻度に影響する可能性が考えられており、ストレスとの関わりが大きいです。
社会環境的な要因として農村部より都市部、発展途上国よりも先進国、一般人よりも医学部学生の発生頻度が高いという報告もあり、ストレスの大きいと考えられる環境の方が発症しやすいといえます。

 

過敏性腸症候群における症状は、下痢・便秘などの便通異常と腹痛・腹部不快感などの知覚に関するものに大きく分けられます。
一般的に消化管運動が亢進すると下痢が誘発されて消化管の圧力が上昇し、腹痛をも引き起こすと考えられています。また逆に消化管運動が低下すると便秘になると考えられます。

脳は消化管における運動・分泌・血流などを調節しています。一方、消化管からの情報は脳へ伝達され、脳から消化管へ伝えられる調節機能にも影響を与えます。すなわち、脳と消化管の間は一方通行ではなく、相互に情報が行き来しているのです。

 

近年、過敏性腸症候群ではこの脳と腸の相関関係がとても重要なことと考えられているのです。
様々なストレスは、自律神経のバランスを崩して、自律神経によって支配されている消化管運動に異常を起こし、さらに痛みを感じやすくさせます。そういった消化管異常は、便通異常を引き起こし、消化管内の圧力を上昇させて腹痛をも引き起こします。

そして便通異常や腹痛の情報は、脳にストレスを感じさせてさらに消化管異常や痛みを増悪させる、そういった負のスパイラルが過敏性腸症候群の病態把握として注目されています。
この負のスパイラルを解消するには、全体を診て治療するという東洋医学の特徴が重要であり、鍼灸施術が有効であると当院は考えています。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

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