めまいの原因とは

 

めまいとは

めまいといっても様々な病態があり、生命の危険がある重症なものからちょっとした疲れや体の異常・はっきりと原因のわからないものまであります。
しかし全体的にみるとめまいを訴える方は年々増加しており、今や5人に1人以上の割合でめまいを慢性的に感じています。
めまいは高齢になるほど羅患率は増えてきますが、最近では比較的若い世代の働き盛りの男性や20代・30代の主婦などにも多くみられます。
めまいは様々な疾患を見分けるための重要な症状であり、身体にとっては異常事態を知らせる重要なシグナルでもあるので、まずは原因を究明し、体のどこに異常があるか知っておく必要があります。

◆どの科を受診すべきか◆
耳鼻咽喉科
めまいの多くは、耳鳴り耳塞感などの耳の症状も同時に現れる場合が多いのでそういった場合はまずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。

内科
めまいの他に吐き気嘔吐冷や汗などの症状が強く出ている場合は内科を受診しましょう。

脳神経外科・神経内科
めまいに加えて手足の痺れ舌のもつれ物が二重に見える歩行困難意識低下などがみられる場合は早急に脳神経外科・神経内科を受診しましょう。

かかりつけ医
高血圧糖尿病高脂血症などの生活習慣病の治療を受けている場合は薬の影響によるめまいの可能性もあるのでまずはかかりつけ医に相談してみましょう。

大学病院・総合病院
様々な科が集まる大学病院や総合病院では、それぞれの科が連携しており、さらにめまい外来や神経耳科などさらに細かく分かれて診療科が設置されている病院もあります。

 

 

めまいの種類

めまいといいましても感じ方は人それぞれであり、そのタイプだけで原因疾患を特定することはできませんが、一つの目安となります。めまいの感じ方は大きく分けると「回転性めまい」と「非回転性めまい」の二つに大別されます。さらに「非回転性めまい」ではそのほかいろいろなタイプがあります。

◆回転性めまい◆
回転性めまいは、自分や周囲がぐるぐると回っているように感じます。激しいめまいである場合が多く、めまいの他に吐き気や歩行困難、難聴、耳鳴りなどの症状も併発する場合もあります。
座っていたり横になっていたりと自分が動いていない場合でもぐるぐると回転するようにめまいを感じます。その場合メニエール病前庭神経炎などの可能性が高いですが、脳出血や一過性の脳虚血発作のような脳の病気の場合もあります。
また寝返りや起床時にめまいを感じる場合もあり、良性発作性頭位めまいと呼ばれています。
一般的に回転性めまいは、内耳などの平衡器官に血流障害や炎症・むくみが起きることが原因ですが脳の障害の場合もあるので注意が必要です。

メニエール病
自分や周囲がぐるぐる回ると感じる回転性めまいを起こす代表的な疾患がメニエール病です。メニエール病は、40代~50代の方に多く発症し、肉体的・精神的ストレスが引き金になる場合が多いため、現代病とも都会病ともいわれ、近年は増加傾向にあります。
メニエール病の典型的な始まりは、ある日突然何も前触れなしに激しい回転せめまいが起こり、目も開けられずに吐き気がして嘔吐するといった症状が起きます。次いで耳鳴り難聴などの耳の症状があらわれます。めまいの発作は、数時間から半日程度でおさまっていくのが普通ですが、メニエール病が厄介なのは、定期的に発作を繰り返すということです。

メニエール病を引き起こす原因は、内リンパ液が増えすぎる内耳の内リンパ水腫であると考えられていますが、内リンパ水腫を引き起こす原因はいまだ詳しく解明されていません。しかし、過労や睡眠不足などの肉体的ストレスや仕事や人間関係などからくる精神的ストレスが発症の誘因となることが多いとされており、心身症の一つとしてとらえられています。

 

◆非回転性めまい◆
自分や周囲がぐるぐると回っていると感じる回転性めまいと違い非回転性めまいは回っているとは感じません。非回転性めまいは、めまいの感じ方により「浮動性めまい」「動揺性めまい」「眼前暗黒感」に分類されます。
浮動性めまい
浮動性めまいの場合は、「体がふわふわと宙に浮いた感じがする」や「船に乗っている感じがする」などの身体の不安定感を呈します。両側の内耳の異常でも起こりますが、脳の障害でも浮動性めまいは起こりやすいです。
動揺性めまい
動揺性めまいでは、頭や首・体全体がぐらぐらと揺れているように感じます。実際に歩行してみるとふらつくこともあります。内耳の平衡器官が左右両側で侵されたり、運動をつかさどる小脳に病変が出た場合にあらわれやすくなります。

眼前暗黒感
眼前暗黒感はわかりやすくいうと「立ちくらみ」のことであり、立ち上がった瞬間にくらっと感じたり、長く立っていると眼の前が遠く真っ暗になるなどの症状を呈します。10歳以上の学童に多く見られる疾患でほとんどの場合は耳や脳には異常はありません。

 

※女性に多いめまい
女性の場合特に月経の前1週間ほど前の黄体期に体調が崩れやすく、めまい症状やイライラ感や抑うつ感などの精神的な症状もあらわれやすいとされます。特に現代社会では、女性の社会進出が進み、職場でのストレスや過重労働での体の疲労が男性と同様にかかりそれに加えて育児や家事、独身女性の場合将来への莫大な不安といった心身ともにストレスがかかりやすくなっています。
最初のうち、身体にエネルギーがあるときは何とかやり過ごせますが、それが許容量を超えてしまうと心身がSOSサインをだして心身に異常が出てしまうのです。

また、脳下垂体という女性ホルモンの分泌指令を送る器官は、視床下部という自律神経をコントロールしている器官のすぐ近くにあるため、女性ホルモンの変化が自律神経のバランスを崩れる原因となりがちです。
日常的にも心身のストレス過多状態でさらに黄体期で女性ホルモンのバランスが崩れると自律神経のバランスが乱され、それがめまいの原因となってしまうのです。
自律神経バランスの乱れ以外にも女性は月経のたびに鉄分が失われるため、脳が虚血状態となり貧血によるめまいが起こりやすいので注意が必要です。それに加えて過度なダイエットで食生活が乱れて栄養が十分に摂取できていない状態ですとさらに月経時にめまいが起こりやすいです。

その他、閉経後に女性ホルモンの分泌低下の影響でカルシウムの吸収が低下して耳石がもろくなり剥がれやすい状態となります。すると耳石が剥がれ落ちてしまい体の平衡感覚をつかさどる三半規管のなかに落ちてしまってめまいが起こる良性発作性頭位めまい症という疾患もかかりすやすいとされます。

 

 

めまいと共に起きやすい症状

めまいは、単独で症状が現れる場合は少なく、自律神経症状意識障害運動障害などを併発する場合がほとんどです。併発する症状によっては、生命の危険にかかわり、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。
下記のような症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。脳梗塞・脳出血・脳腫瘍などの脳の病気が疑われます。

・体の半身が不自由、感覚が鈍いと感じる
・舌がもつれたり、言葉が発しにくくなる
・物が二重に見え、目がかすむ
・歩行困難
・激しい頭痛で意識がもうろうとする
・物の片側が見えない

めまいと共にこのような症状を呈する場合、様子を見ることなどせずにすぐに医療機関を受診してください。症状が重症化する場合もあります。

耳鳴りや難聴が併発する
めまいと耳鳴り、難聴は同時に起こることが多いです。このような場合は脳の疾患の可能性は低くなります。
平衡感覚をつかさどる器官と聴覚をつかさどる器官は、もともと同じ器官から分化したもので両方とも内耳の中で隣り合っています。お互いは細い管で連結しているために密接に影響を及ぼし合います。
また内耳と脳をつなぐ神経は、平衡感覚器から出ている前庭神経と聴覚器から出ている蝸牛神経の2種類でどちらかの神経が障害されるともう一方にも影響を及ぼすためにめまいと耳鳴り・難聴が併発することが多くなるのです。

 

めまいの治療症例

症例1

 

40代 男性

 

2年前から自転車の走行中や電車の中、片足立ちをするとフワフワするようなめまいを感じるようになった。

パソコン関係の仕事が忙しく、めまいが起こった2年前ぐらいから不眠が続いていて、今はめまいだけではなく動悸も感じる。毎日睡眠時間が2~3時間程のため、疲れが抜けきれない。

 

当院の治療

お話を聞いていると、重度な自律神経失調症の症状であるため、自律神経測定器で計測してみたところ、予想通り交感神経が過活動していた。

 

まずは、自律神経調節のための施術を行い精神的リラックスを目的として頭のツボに電気パルス鍼を行った。

首肩のコリに関しては、デスクワークのためか非常に強い。首肩が硬くなると脳に対する血流量も下がってしまいめまいの原因の1つになるので、首肩の電気鍼の施術も行った。

長期的な治療になるため、まずは1週間に1回のペースで施術。

 

 

◇1回目◇

あまり大きな変化はないが、少しだけ軽くなった気がする。

 

◇2回目◇

1週間のうちに2日程夜に眠気を感じることが出来た。

めまいは前回から変化なし。

 

◇3回目◇

めまいはあまり変わらないが、睡眠の質は良くなってきている。

 

◇4回目◇

片足立ちの時はまだめまいがするが、それ以外の状態ではあまり気にならなくなってきた。

 

◇5回目◇

睡眠時間が平均5時間まで延びてきた。

 

◇6回目◇

めまいが少なくなってきた。睡眠時間も安定。

 

◇7回目~15回目◇

あまり変化はないが、状態は安定している。

 

◇16回目~25回目◇

仕事が忙しかったり、精神的なストレスがあると症状が酷くなる時もあるが、前ほど悪くならない。

 

◇26回目~30回目◇

気が付いたらいつの間にか、めまいを感じなくなっていた。

睡眠時間も6~7時間寝れるようになってきた。

 

現在も通院中。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 20:00 / 院長コラム めまいの原因とは への6件のコメント

お問い合わせはこちらから
ここをタッチするとすぐにお電話が出来ます
メールでのお問い合わせはこちらから