三叉神経痛に対する当院の治療はまず第一に痛みの強い部分に鍼灸刺激を与えて鎮痛効果を促します。当院では、当院独自の鍼通電療法を用いて高い治療効果を上げています。
また激しい痛みは交感神経の活動を活発にして、長期にわたると自律神経も乱しかねません。
当院では自律神経測定器を用いてその日の患者様のお体の自律神経の状態を把握したうえでその方にあったオーダーメイドの治療を施しております。
三叉神経痛でご来院される方は、交感神経の活動が過亢進状態で全身が緊張状態であったり、痛みのために眠れなくてさらに自律神経を乱してしまう悪循環を招いてしまう方が多いです。
当院では三叉神経痛の治療でも東洋医学の特徴である全身の調整治療が大切だと考えております。
全身に心地よい暖かさのお灸などを施すことで全身をリラックス状態に持ってきて副交感神経の活動を高めていきます。
また、東洋医学では、風邪・寒邪・湿邪を体外に出す治療がとても重要になってきますので、経絡の重要なツボを用いてそれらを排出する施術をいたします。
全身の調整治療(自律神経調整治療)
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背部や頸肩部の経穴を用いた邪気を出す治療
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疼痛の強い顔面部への鍼通電療法(鎮痛作用)
これらの治療を合わせて行っていくことで高い治療効果に繋がるのです。
60代 男性
ある朝髭剃りをしようとしたところ頬に痛みが走った。最初はカミソリで切ったからかと思ったが、そのような傷もなくその後もピリッとした痛みが顔に触れるたびに起きるようになった。ひどい時は冷房の風にあたるだけで痛みが出る。
病院で検査したところ三叉神経痛と診断されて鎮痛剤を処方されたが痛みは薬を飲んだ2~3時間後は良いが、その後はまた激しい痛みが出てしまう。痛みが出る範囲はほほ骨下辺りから口角の横辺りまで。友人に鍼灸治療が効くかもしれないと聞いて当院にご来院された。
治療
まずうつぶせとなり、首肩の筋緊張をとってから顔面部の施術をしていきました。自律神経測定器で自律神経の状態を計測したところ自律神経の状態も乱れていたので自律神経調整療法も同時に行っていきました。
◇1回目◇
治療後すぐは痛みが楽になったが、次の日には戻ってしまった
◇2回目◇
2回目の治療後から次の治療まで痛みをほぼ感じなかった
◇3回目◇
今度は治療後また痛みが戻ってしまった
◇4回目◇
症状に波がある。まったく痛みが無い日もあれば痛みが出る日もある
◇5回目◇
1週間のうちに痛みの出る日が2日ほど
◇6回目◇
朝の洗顔時や髭剃りの時に痛みを感じなくなった。たまにふとした瞬間に痛みが出る時もある
◇7回目◇
ほぼ痛みを感じない。以前は鋭い痛みを感じる時があったが痛みも感じなくなった
症例2
20代 女性
1週間前から急に顔左半分にチクチクするような鋭い痛みが走るようになった。
すぐに病院に診てもらったところ三叉神経痛と診断された。
痛みが出る場所は目の下から鼻の横、頬、口の横にかけて痛みが出て、シャワーを浴びたり、洗顔、歯磨き、うがいで痛みが増悪する。
痛みの感覚は、チクチク針で刺されているような痛みと、ひどい時は電撃が走るような痛みも有する。
病院で検査を受けたところ脳腫瘍や多発性硬化症などの所見はみられず、帯状疱疹の発症もないため、血管による神経の圧迫が原因と言われた。
普段はデスクワークで姿勢が悪くなることが多い。そのため慢性的な首肩のコリがある。
ストレスも感じやすく、物事に過敏に感じてしまうことも多い。
当院の施術
自律神経測定器で測定したところ、交感神経の過剰な働きがみられました。
交感神経の働きが強すぎると痛みに対して過敏になりやすく事もあるため、三叉神経痛の治療と並行して自律神経の調節治療も行いました。
次に顔面部の経穴や痛みが出ている患部に直接刺鍼し、刺激を入れていきました。
首肩の筋緊張も強い状態だったため、首肩の凝りを緩める治療も行いました。
鍼灸治療は初めてということでしたので、鍼に慣れるまでは弱い刺激で施術を行い、
慣れてきたらご本人の反応を確認しながら慎重に、少しづつ刺激量を上げていきました。
◇1回目◇
緊張したが、意外に大丈夫だった。
痛みの変化はまだ見られない。
◇2回目◇
少し痛みが引いてきたような気がする。
洗顔やシャワーを浴びたらいつもより痛みが軽く感じた。
◇3日目◇
痛みがかなり軽減した。
たまに痛くなることもあるが、以前より気にならない。
◇4回目◇
今はほとんど気にならないで、日常生活を送ることができている。
三叉神経痛とは、顔面部の感覚をつかさどる三叉神経に障害が起きてその支配領域に痛みが出る疾患です。
三叉神経は大きな神経から3つの大きな枝に分かれる脳神経の中でも最も大きな神経です。
三叉神経の大部分は側頭部から出てその部分から眼神経・上顎神経・下顎神経の3つの神経の枝を出します。
眼神経
眼神経は三叉神経の中で最も小さい枝の神経です。眼やおでこの部分、鼻の部分の感覚を主っています。
上顎神経
上顎神経は、上あごの部分、上部の歯の部分、口腔奈央の粘膜部部の知覚を主っています。
下顎神経
下顎神経は、三叉神経の中で最も大きい枝の神経です。下あごの部分、下部の歯、下唇、耳の一部の感覚を主っています。また咀嚼筋などを主る運動性の神経でもあります。
三叉神経痛にかかってしまうと上記のような神経支配部分に激しい痛みを生じるようになります。顔の片側だけに出る場合が多いです。痛みの程度は個人差がありますが、激しい痛みの場合が多く、突発的な痛みに悩まされます。痛みは通常数秒間ですが一日に100回以上も痛みが走る場合もあり、痛みの度に顔をしかめてしまうようになり、体にとっては相当な負担となってしまいます。
様々なことで痛みが誘発され、洗顔時やひげを剃る時、お化粧などをする時などに痛みが電気のように走ります。また冷たい風にあたっても誘発される場合があります。
三叉神経痛のでる三叉神経の枝によって痛む場所が異なりますが、1つの枝の場合や2つの枝に痛みが出る場合もあります。
三叉神経は脳から出た後は、3つの枝に分かれます。その中でも第一枝は目やおでこ、前頭部の知覚も主っているため、頭痛が起きたために病院を受診したところ三叉神経痛と診断されることもあります。三叉神経痛での頭痛の特徴は、痛みは突然訪れる激しいものですが、数秒で治まることが多いのが特徴です。
そのほか、頭に外的な刺激が加わるとピリッとした痛みやチクチクとした痛みが走ることもあります。洗髪時や髪をとかしている時、髪を乾かしている時などにピリッとした痛みを感じた場合は三叉神経痛による痛みかもしれません。また、外気温にも左右されることが多く、特に冬の冷たい風にあたると痛みを誘発することもあります。
三叉神経痛による頭痛が原因で睡眠に支障が出たり、痛みによるストレスで自律神経の状態が乱れることも多く、早期に治療を受ける必要があります。
三叉神経痛の起こる原因は、多くの方でわからない場合が多いです。
脳腫瘍による神経の圧迫やヘルペスウィルスの感染、多発性硬化症の疑いもありますので注意が必要です。
それ以外に有力な説としましては、三叉神経が脳から出る部分の血管が動脈硬化などで血管の弾力性が低下することで三叉神経を圧迫してしまい痛みを生じてしまうというものです。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 20:38 / 院長コラム 三叉神経痛の鍼灸治療 への2件のコメント