当院の片側顔面けいれんに対する当院の治療は、第一に顔面部・頭部の筋肉の緊張を和らげます。目の周りや顔の筋肉を緩めることで症状緩和につながります。
また、自律神経を整えることにより、疲労やストレスの緩和もはかります。
片側顔面けいれんとは、顔の片側の筋肉が自分の意思に反してピクピクとけいれんを起こす病気です。
はじめは目のまわりのけいれんから始まることが多く、徐々に額や頬、口、あごにまで広がるのが特徴的です。
症状の進行はゆるやかですが、放置して自然に治ることはありません。
症状が強くでると顔がキューッと突っ張って歪んだ状態になったり、筋肉の麻痺が生じることもあります。
特に50〜70歳の中高齢者の女性に多く発症します。
また、仕事などで緊張やストレスがかかる場面で症状が強く出ることが多く、日常生活にも支障をきたします。
片側顔面けいれんは神経血管圧迫症候群のひとつであり、脳の深部で顔面神経が血管の圧迫を受けることが原因であると言われています。
多くの場合、高血圧や動脈硬化により脳の血管が神経を圧迫することで神経に興奮がおこり、顔のけいれんやゆがみとして現れます。
また、ストレス過多な状態は交感神経が活発になりますので、神経が興奮し、よりけいれんを引き起こしやすくなります。
症状の悪化を防ぐ方法としては、
・顔に冷気が当たらないようにする(冷やさない)
・十分な睡眠をとる
・ストレスを避ける
・禁酒
・禁煙
などが挙げられます。
50代男性
15年前に右目の下あたりがピクピク痙攣するようになった。範囲は徐々に頬や口まで広がり現在は右側全体に痙攣がある。脳神経外科で顔面神経の圧迫箇所が見つかりボトックス注射をするも特に変化はない。手術も提案されたが抵抗があるため鍼灸治療を試してみたいとのことで来院された。
1日8時間ほどデスクワークをしており首・肩こり(特に右側)が慢性化している。
首の付け根は雨の日など気圧の変化があるときは頭痛が出る。
人前で話すときに症状が出てしまうことがストレスになっている。
当院の治療
自律神経測定器の結果によると交感神経がかなり優位な状態であることが分かった。
常に神経が過敏になっているため、副交感神経を高め、リラックスできる治療を行う。
側頭筋や胸鎖乳突筋も右側のみ硬結があるため筋緊張の緩和を目的に鍼と灸を行った。
また、慢性的な首・肩こりも症状の原因になるため、全身治療によって症状緩和をはかった。
経過
◇1回目◇
治療後、痙攣の引きつり方が弱まった。
3日後にはもとに戻った。
右肩のこりは軽減した。
◇2回目◇
1回目同様、引きつりが弱くなり5日ほど調子がよかった。
◇5回目◇
痙攣はあるが引きつる感じの痙攣はなくなった。
肩こりも気にならない。
◇8回目◇
回数を重ねるごとに痙攣の回数も減っている。
家族からもかなり減ったと言われた。
◇15回目◇
雨の日など体調を崩しやすいときは痙攣が出るが、普段はあまり気にならない程度にまで回復。
今後は施術間隔をあけて治療を続ける。
40代女性
右目下から頬の部分にかけてピクピクと痙攣する症状でご来院。発症して3ヶ月ほど。病院ではMRIの検査を受けたが、特に脳の障害はみられなかったとのこと。
健康診断では、血圧は高くなく、脂質異常は指摘される程度でいつも健康と診断されていました。
3ヶ月ほど前から主に右目下のピクピクとした痙攣が気になり始めて今では1時間に4〜5回程度の頻度で5分間ほど継続する痙攣に悩まされている。病院では、特に治療法は提示されずに葛根湯を処方されて目の酷使を避けるように指導されたのみ。
なにか他に対処法はないかと検索をかけてみたところちょうど当院のホームページを見つけて鍼灸治療で以前腰痛が軽快したことがるので、鍼灸治療には抵抗がなかったため当院にご来院されました。
痙攣は仕事中など集中状態のときはあまり気にならないが家族との食事中や下を向いて顔を洗うときやお風呂に入っているときに必ず発症していた。
問診では仕事や家庭でのストレスも多く、自律神経も乱れがちではとご本人的にも感じておられたため自律神経測定器で測定の上、全身の自律神経のバランスを整える調整施術も行っていき、主に右目周りや右頬中心に鍼やお灸の施術を行っていきました。
経過
1回目の施術後、当日と翌日は痙攣の回数が激減。あまり気にならない状態だったが、時間とともに徐々に痙攣の回数が増えていってしまった。施術3回目辺りまではそのような状態で施術後数日は状態良くなるが戻ってしまう。
4回目以降右目周り中心に鍼通電治療を導入。鍼通電治療を開始して2回ほどで痙攣の回数が1日に2〜3回ほどになるまでに改善。日を追うごとに良くなっていきました。
8回目の施術後、仕事にも支障をきたすことなく、日常生活も普通に過ごすことができるようになったので治療を終了した。
・肝うつ
東洋医学ではストレスを発散させるのは五臓の「肝」(肝臓)の働きと考えます。
過剰なストレスで肝が弱ると、ストレスを発散できずけいれんが起こりやすくなります。
また、筋肉は肝が蓄える「血(けつ)」の栄養によって養われるため、肝機能が低下すると筋肉の状態が悪くなりけいれんを起こすこともあります。
・血虚
けいれんは無意識に筋肉の収縮が続いている状態です。
筋肉は「血(けつ)」の栄養によって養われるため、体内の血が不足すると筋肉の状態も悪くなり、けいれんを引き起こします。
また、血には気持ちを落ち着かせる鎮静の働きがあります。
そのため血が不足すると精神のたかぶりを抑えにくくイライラやストレスからけいれんを起こしやすくなることもあります。
・瘀血
片側顔面けいれんは動脈硬化により顔面神経が圧迫されて起こるとされています。
東洋医学では動脈硬化につながる要因を「瘀血」と考えます。
瘀血の原因は食の不摂生、ストレス過多、疲労だと言われています。
瘀血改善には十分な休息とストレス発散が大切です。
・眼瞼けいれん
まぶたがけいれんする、眩しくて目が開けられないなどの症状がみられます。
両目のまぶたにのみ発症し、範囲は広がりません。
・チック症
頻繁なまばたきやしかめっ面などの症状がみられます。
小児期や青年期に多く、自分の意思で一時的に症状を抑えることができます。
部位は移動します。
・眼瞼ミオキミア
片目のまぶたが一部ピクピクけいれんする症状がみられます。
数日から数週間で自然に消えます。
私たちの体内の環境を一定に保つ働きをするのが、自律神経です。
自律神経は交感神経と副交感神経の2つからなり、私たちの意思と関係なく呼吸や心臓の拍動・血圧・体温などを調整しています。
この2つのバランスが崩れると、全身疲労感・頭痛・肩こり・めまい・便秘・下痢・動機・食欲不振・異常発汗などのさまざまな症状があらわれます。
片側顔面けいれんの特徴である目の周りや顔の筋肉の不快症状も、自律神経が乱れることででることがあります。
過度なストレスは自律神経が乱れる原因にもなりますので、日頃のストレスケアが重要です。
・趣味の時間をつくる
・しっかり休息をとる
・湯舟につかる
・深呼吸をする
・適度な運動をする(軽いジョギングなど)
などリフレッシュすることを心がけましょう。
・のみ薬
症状が軽度の場合、薬で経過をみます。緊張がきっかけで起こることもあるため、鎮静薬や抗不安薬を内服します。
・ボツリヌス毒素治療
けいれんのある部位に注射をし、一時的に筋肉を麻痺させてけいれんを和らげる治療です。効果は3~4か月持続し、症状が出現したら再度うつ必要があります。
・手術
薬物療法がうまくいかないときは、異常な動脈と神経との間に小さなスポンジをおく手術が行われます。
スポンジをおくことで神経の圧迫がなくなり徐々に症状が改善しますが、治癒率は100%ではなく、わずかなけいれんが残る場合もあります。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 10:10 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)