足底筋膜炎の鍼灸治療

足底筋膜炎に対する当院の鍼灸治療

足底筋膜炎に対する当院の治療はまず第一に局所の抗炎症作用を促進させて、鎮痛効果を目的に施術していきます。

足底筋膜炎の鍼灸治療

 

かかと付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。

足底筋膜炎の鍼通電治療

 

また、足底筋膜炎は、五臓六腑の「」と「肝」の不調に深く関係しているので、「腎」と「肝」に関するツボを用いてそれらの機能を正常に戻し、足底部の気血の流れを良くします。「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。

足底筋膜炎の腰への鍼治療

 

足底筋膜炎は、オーバーユースによる負担のかけ過ぎやスポーツを行う前のストレッチ不足が原因の場合もあります。
当院では、日常生活動作での改善点をお伝えることも重要だと考えております。施術後、注意点の説明を行い、早期回復を目指します。

当院の足底筋膜炎の施術目的は、足底筋膜炎の回復程度を高めて、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも足底筋膜炎が回復できる機会を提供します。

足底筋膜炎の下肢への鍼灸治療

 

 

足底筋膜炎の鍼灸治療症例

30代 男性
ランニングが趣味で週末は10㎞以上ランニングをしていた。平日も仕事が早く終わった時はランニングするなどして体を動かしていた。マラソン大会に出場を予定しており、当院にご来院される数日前からランニングの量を増やしていた。すると、足裏の痛みを感じるようになり整形外科を受診。足亭筋膜炎と診断され、湿布薬が処方されて足底を普段から伸ばすように指導されて実践していたが、痛みがあまりひかなかったため当院にご来院されました。

最初は、ランニング中だけ足底の痛みを感じていたが、日常生活で歩行する際にも少しずつ痛みを感じるようになってきたとのこと。仕事は主にデスクワークで座ったままあまり動かない。

 

当院の治療
足底筋膜の鎮痛目的で内踝の下から足底筋に向かい鍼をして通電療法を用いました。また炎症を早くひかせる目的で足底に直接灸を行いました。
腰部の筋の左右のバランスの乱れ・骨盤の傾きも見られたのでそれらも調整していきました。ご本人がどうしてもマラソン大会に出場したいとのことで短期的な集中治療を行いました。大会は2週間後で治療は2日に一度のペースで行っていきました。

◇1回目◇
治療後、日常生活の歩行ではあまり痛みを感じなくなった。朝や貯時間座った後の動き始めは少し違和感を感じる。

◇2回目◇
治療後、歩く分には痛みをまったく感じなかったので試しにランニングをしてみたら10分後に痛みを感じた。

◇3~5回目◇
炎症が取れ切れていない段階でランニングをするとまた炎症が悪化する可能性があるのでランニングは大会の直前まで避けていただき、治療に専念してもらった。

◇6回目◇
大会2日前に軽く走って見たが痛みが全く出なくなっていた。距離を伸ばしていくとまだまだ不安があるが、大会に出ることになった。

◇7回目◇
大会後、ご来院された。大会中はうそのように痛みが感じなかったが、無理をしたせいか終わった後に痛みを感じて歩いても痛みを感じる。しかし、アイシングをしたらだいぶ治まった。今は違和感程度とのこと。

◇8回目◇
その後少し間隔を空けてのご来院。ランニングも再開して少しずつ距離を伸ばしていっている。痛みは感じないが、ランニングが終わると違和感を感じることがある。

 

症例2
40代 女性
普段はデパートでの立ち仕事でヒールを履くことが多い。休みの日は、山でのハイキングが趣味で体を動かすことが好きだった。ある日、ハイキングへ出かけた帰りに足の裏が痛むような感覚があり、次の日になるとさらに痛みが増していた。
その日の仕事中も常に足裏に痛みを感じていて仕事にも影響が出ていた。次の日からも動き始める時や夕方疲れがたまった時などに足裏に痛みを感じるようになってしまった。整形外科を受診したところ足底筋膜炎と診断されてしまった。

治療
足の前面から筋緊張をとるような鍼灸施術を行い、次にうつ伏せとなり足裏とふくらはぎ辺りに通電療法を行いました。また、腰にも筋肉の張り感があったのでそれらも取るような施術をしていきました。

経過
◇1回目◇
治療後、すぐは痛みが引いたように感じたが、次の日痛みが戻ってしまった

◇2回目◇
今回も治療後痛みが軽減。次の日も少し痛みが引いたように感じた
◇3回目◇
仕事に集中しているとあまり痛みを感じない程度になってきた

◇4回目◇
足裏の痛み少なくなってきたとのことでハイキングに参加。ハイキング後、足裏に違和感を感じたが痛みまでにはならなかった

◇5回目◇
ほぼ痛みは消失。多少違和感が出る時あり

 

症例3

25歳 男性

1か月前フルマラソン完走後、左足裏に違和感が出て少しずつ踵付近の所に鈍痛が起こり始めた。今は歩くたびに痛みが走りランニングを中止している。

今までも足の裏が痛くなることはあったが、今回はなかなか改善しないため通院を決意した。

2年前にマラソンを始め、今では1日に15km、休日は30km走っている。練習すればするほど良い成績が得られるため、走るのが楽しくついついオーバーワーク気味になってしまう。左腓腹筋肉離れの既往歴あり。

当院の治療

まず、脚全体の筋肉の状態を確認していきました。

腓腹筋と足底の筋緊張の左右差が見られたため、できるだけ均等な重心に近づけるよう左右の筋肉のバランスを整えていきました。

 

また、患部の炎症を抑えるために痛みが強く出ているところに施灸、鎮痛を目的に鍼通電療法を行いました。

 

自然治癒力を高めるために自律神経調節治療も合わせて行い、少しでも早く競技復帰に向けて施術を継続していきました。

経過

◇1回目◇

施術後は少し痛みが軽減したが、その日のうちにまた痛み出す

 

◇2回目◇

前回から痛みが軽減してきた

長く歩くとまた痛みが強くなる

 

◇3回目◇

ランニングはまだ難しいが、歩行時での痛みが気にならなくなってきた

 

◇4回目◇

歩行時ではほとんど痛みがない

まだ完全な状態ではないので、大事をとってランニングでなはくエアロバイクで身体を動かしている

 

◇5回目◇

軽く走ってみたら痛みが軽くなっていた

 

◇6回目◇

症状が緩和しているため少し長めに走ってみたら、徐々に痛みが増してきたのでランニングを中止した

 

◇7回目◇

痛みが増してからすぐに施術を受けたため、悪化を防ぐ事ができた

 

◇8回目◇

ランニング、歩行と共に徐々に痛みが軽減

 

◇9回目◇

長時間走ってもほとんど気にならない

 

足底筋膜炎の東洋医学的考え

東洋医学で足底筋膜炎は、足底部の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みやしびれの原因となると考えられています。
寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、慢性的な疲労が足底部の筋に蓄積した時に足底部の気血が滞ってしまうのです。

また、足底部は東洋医学の「腎経」という経絡が通っているため、「腎」の障害も起こりやすくなります。東洋医学の腎の障害の代表的なものとして全身の疲労感や膝・腰に力が入らない、耳鳴り、めまいなどがあります。

足底筋膜炎の場合それらの症状も出やすくなるので注意が必要です。
それに加えて東洋医学でいう「」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができないため、「肝虚」の状態ですと、足底筋膜炎にかかりやすくなってしまいます。

「腎」と「肝」の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。

●肝血虚
肝血虚とは中医学でいう「肝」が血を貯蔵して必要に応じて供給・消費する機能と自律神経系の作用を通じて血管を収縮あるいは弛緩させ、体内各部の血流量を調整する機能が異常をおこして発症します。

 

 

足底筋膜炎とは

足底筋膜炎とは、足の裏や踵から指の付け根にかけて伸びている足底筋という組織がスポーツや偏平足などにより過度に負担がかかり、炎症を起こして痛みを発症させてしまう疾患です。
主に足に負担が多くかかるランニングなどをする方に多く、スポーツ選手などにも多い症状の一つです。また、40代以上の方でスポーツをされる方にも多い症状で、年を重ねると足底筋膜が硬くなり、柔軟性がなくなることで亀裂が生じやすくなります。すると炎症が起こり、足の裏やかかとの部分に痛みが生じるのです。

足底筋膜は足の付け根からかかとまで伸びている膜で、足の裏に張っている腱組織です。足の甲の骨は、アーチ状になっていますが、足底筋膜はそのアーチの端を繋いで弦のように張っています。そうすることで、足の裏にかかる負担を軽減させているのです。

しかし、多くの負荷がかかっているためランニングやジャンプなどを繰り返すことによって負担が大きくなり、炎症が起きやすくなるのです。また、組織の弾力性がなくなることによっても炎症が起こりやすくなります。

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足底筋膜炎の症状

足底筋膜炎は足の裏やかかとの痛みが主ですが、痛みの出方にも特徴があります。

・朝の動き初めに痛む
朝起きて動き始める時に足の裏・かかとに痛みが出ることが多いです。夜の間、動かさなかったり、座っている時間が多かったりすると足底筋膜は硬くなり、弾力性が失われます。その状態で一歩目を歩くと痛みが出やすくなります。

・歩行時・ランニング時に痛くなる
日常生活ではそれほど痛みが出ていなくても、運動時だけに痛みが出る場合があります。強い負荷がかかる時だけに痛みが誘発される場合もあります。

・横になっている状態でも足裏に痛み・痺れが出る
炎症が強い場合ですと、何もしなくて横になっている状態でも足裏に痛み・痺れが出ます。炎症が強いため、鼓動を打つように痛みが出たり、患部に熱感を持っていたりします。

・足の裏に違和感を感じる
痛みまでも行かないまでも足の裏・かかとに違和感を感じる方もいます。症状が進行すると痛みに変わる可能性があります。

・足底筋膜炎の原因
足底筋膜に炎症が起こり、痛み症状として現れる原因はいくつか考えられています。

・オーバーユースや疲労の蓄積による炎症
使い過ぎによる炎症です。ランニングやジャンプの動作をよくするスポーツをする方に多く、足裏への過度な負担に耐え切られず、足底筋膜に炎症を起こしてしまいます。
また足底筋の疲労が蓄積して筋膜の柔軟性が損なわれて炎症が起きる場合もあります。筋肉は疲労が蓄積すると硬くなり、柔軟性が低下します。柔軟性が低下した筋肉は、少しの力で傷つきやすくなってしまうのです。

・足底筋をあまり動かしていない
普段から運動習慣がなかったり、長時間立ち仕事をしている方が足底筋膜炎にかかってしまう原因で多いのが、足底筋をあまり動かしていないということです。
筋肉は伸ばしたり動かしたりしていないと段々と硬くなります。足底筋に関しても普段から使う機会少ないと硬くなってしまい、急に運動をした際に傷ついてしまうのです。

・偏平足
足裏のアーチがあまりないと、地面からの衝撃を吸収できずに足裏に多くの負荷がかかりやすいです。すると足裏の筋肉も疲労しやすいため足底筋膜炎にかかりやすくなってしまうのです。

・靴
ヒールの靴や靴が足に合っていない場合でも足裏に多くの負担がかかるため足底筋膜炎にかかってしまいやすくなります。

足底筋膜炎の一般的治療

足底筋膜炎に対する治療は、急性期の場合まず患部を冷やして安静に保つことが重要です。局所の炎症が治まったら足湯などで温めて血流を良くしたり、軽くストレッチなどを行うなどして足底筋の柔軟性を戻していきます。筋肉の柔軟性を戻すことで足底筋膜への負担を軽減させる効果があります。
また、急性期の場合消炎鎮痛剤を内服したり、痛みどめの注射を痛みのある部分に打つ場合もあります。かかとの骨に骨棘というトゲができていて痛みの出ている場合は、そのトゲを除去する手術をする場合もあります。


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 17:40 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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