弱視に対する当院の鍼灸治療
当院の弱視に対する施術は、弱視の眼の周辺の経穴に鍼をさして微電流を流すことにより目の血行状態を良くして視機能の回復を促します。また弱視は五臓六腑の肝と腎に深く関係しているので肝や腎に関する経穴を用いて肝血や腎精を補うことや肝気の巡りをよくします。
また東洋医学の診断方法に基づき全身の調整施術も行います。部分的な治療ではなく全身を治療することは東洋医学の特徴でもあります。全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めます。
当院の弱視の施術目的は、弱視の回復程度を高めて、体に回復を促すことです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも弱視が回復できる機会を提供することです。
東洋医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝機能の障害が深く影響していると考えられています。肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。
また肝は精神情緒の安定、自律神経系を介した機能調節もおこなっており、精神的ストレスは肝気を滞らせて巡りを阻害します。そのため眼の障害を引き起こします。また弱視は子供の成長過程での問題でもあるので東洋医学での腎とも関係が深いです。
腎が貯蔵する精は、人体の成長、発育、生殖および生命活動を維持する物質的な基礎です。それが不足してしまうと人体の成長、発育、成熟、老化の全過程に影響を及ぼして知能や知覚、運動系に支障が出ます。
小さい頃の生活環境は、目に大きな影響を与えることが知られています。特に近年ではパソコン・スマホの普及により、低年齢でも以前にまして目への環境は悪くなっています。暗い部屋で読書や勉強をしていると目が悪くなるということは以前より言われていました。
暗い部屋での目への負担はどのような影響があるのでしょうか。この問題を考える時に光の量が重要となってきます。ある実験によるとサルやひよこに光を遮断したところで生活したら近視となったという報告があります。また、人では夜明るいところで寝かせた赤ちゃんは近視になりやすいという報告もあります。
これは、視力において日常生活での光の環境が重要だということです。暗すぎても逆に明るすぎても目に影響が出て近視となる危険性があるのです。なぜ、そのような結果となるのかまだまだ解明されていない部分ですが、日常生活で部屋の照明を明るすぎたり暗すぎたりしないように気を付ける必要があります。
また、目への負担を小さなころからなるべく減らしてあげることも重要です。長時間の読書・勉強・ゲームなどの目への負担となる作業は控えて40~50分に1回は作業を中断して5~10分ほど休憩時間を設けて少し遠くに視点を合わせるようにして目の周りの筋肉を休ませてあげる必要があります。
弱視とは眼から送られてくる信号を脳が無視するために起こる視力の低下です。弱視では、視力低下が起こる主な原因は脳の機能異常であり、眼そのものの異常ではありません。
これは小児期にのみおこり、子供の視力障害の原因として最もよく見られます。左右の眼から入ってくる2つの映像はわずかに異なる角度でとらえられていて、これによって奥行きの感覚が生じます。
脳はこの2つの映像を結びつけて融合させ、立体感をもった1つの画像にまとめます。脳において、この映像を融合させる能力が発達するのは小児期だけです。生まれたばかりの赤ちゃんの眼球の構造は、大きさが少し小さいこと以外、ほぼ成人と同じ程度に完成しています。
しかし視力はまだわずかです。網膜から脳へ信号を伝えて映像にする仕組みが育っていないからです。その仕組みは、実際に物を見て網膜から脳の神経に刺激が加わることで成長します。視力の発育するスピードは、生後間もない時期ほど急速です。具体的には、生まれたばかりのときの視力は0.01ぐらいで、1年後には0.1前後に育ちます。その後はゆるやかに発育し、4~5歳で1.0となり、だいたい完成します。
乳幼児の視力の発育段階に、なにかの理由で網膜にはっきりと像が写らず刺激が加わらなかった場合、視力が育ちません。なぜなら脳に届いた映像のうち片側の目だけにぼやけて見える、二重になって見えるなどの問題がある場合に脳はその映像を抑制し、問題のある映像情報を事実上無視します。
視力の発育するスピードが遅れた場合、遅れを取り戻して1.0の視力が完成するのではなく、遅れた分は失われたまま追いつけないことが多いのです。その結果、弱視になってしまいます。
弱視があっても幼い子供では症状を訴えられないことがあります。または片方の眼で物が見えていないということを本人が認識していないこともあります。子供がテレビを前の方で見る、目を細める、いつも頭を傾けて物を見るなどの症状がみられた場合には早期に眼の検査をする必要があります。
弱視につながる原因として斜視による弱視、形態覚遮断による弱視、屈折性の弱視、不同視による弱視などがあります。
ⅰ)斜視による弱視
左右の両眼はつねに連動して動き、物を見るときはそこに両眼の視線が向いて、真っすぐになります。これがうまくできず、左右の眼の視線が一致しないことを斜視といいます。斜視があると、両眼視ができないために物が二重に見えます。物が二重に見えると脳が混乱するため、斜視になっている片方の眼を使わないようになり、使わない方の眼が弱視になる場合があります。
ⅱ)形態覚遮断による弱視
先天性白内障やまぶたの腫瘍、眼瞼下垂、眼帯の使用などにより視覚情報が妨げられることによって起きる弱視です。新生児にこのような関連要因がはたらくと数日間でも弱視化する可能性があり、注意が必要です。
ⅲ)屈折性の弱視
強度の遠視、乱視などが原因となる弱視です。中等度以上の遠視や強度の近視、乱視があると、物がはっきり見えないので、網膜から脳へ情報を伝える経路が育ちにくく、弱視になります。
ⅳ)不同視による弱視
左右の眼の屈折度の差がある程度以上大きくなるとピントを合わせやすいほうの眼の視覚情報が優先され、ピントを合わせにくい方の眼は弱視化します。またメガネの度が左右で極端に異なる場合にも度の強いほうの眼は使われず、弱視になります。
弱視が早期に始まった場合や長期間続いている場合は弱視が永久的に残る可能性が高くなります。治療をより早期に始めれば、弱視を防ぐことや矯正できる可能性をそれだけ高くさせます。治療では視力の良い方の眼を決められた時間眼帯で覆ったり、その眼だけに点眼薬を用いて視野をぼやけさせたりして強制的に弱視のほうの眼を使わせる方法が基本です。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 16:58 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)