HOME >  胃潰瘍・十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)の鍼灸治療

Archive for the ‘院長コラム’ Category

胃潰瘍・十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)の鍼灸治療

金曜日, 3月 15th, 2019

胃潰瘍・十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)

本来胃は塩酸やぺプチンなどを分泌して食べ物の消化を行っていますが、この胃液が何らかの原因で胃や十二指腸の組織を溶かして胃や十二指腸の粘膜が傷つき、部分的に欠損した状態が胃に出来た場合が胃潰瘍、十二指腸に出来た場合が十二指腸潰瘍といい、両者を合わせて消化性潰瘍といいます。

 

 

原因

 

胃十二指腸潰瘍の原因は様々でピロリ菌との関連や非ステロイド系消炎鎮痛の影響、ストレスや暴飲暴食などが挙げられます。

胃はペプシンという消化酵素と塩酸を分泌しこれらの消化作用は非常に強力です。胃の壁自体も消化されそうに思いますが、胃壁を攻撃する消化液(攻撃因子)に対して、胃壁を守る機構として胃の粘膜分泌や胃の粘膜の血流など(防御因子)がバランスよく働くことで胃は自らの消化液で傷つくことを免れています。

 

しかし、この攻撃因子が増強したり防御因子が減弱したりしてバランスが崩れ、攻撃因子が優勢になると胃の粘膜が傷つき、さらにこの傷が深くなり潰瘍になると考えられています。

攻撃因子と防御因子のバランスが崩れる原因は様々ありますが、強い精神的ストレス、性格的要因(完璧主義、細かいことが気になる、几帳面など)飲酒、喫煙習慣、暴飲暴食、不規則な生活、薬物、ピロリ菌などが深く関わっていると考えられています。

 

※ピロリ菌とは

胃の粘膜に生息する細菌です。子供のころに感染すると多くの場合除菌するまで生息し続けます。感染経路は完全には解明されていませんが上下水道設備が整っていないなど不衛生な環境が原因と考えられています。
そのため衛生環境が整備された若年層では近年減少傾向にあるといわれています。ピロリ菌はウレアーゼという酵素を分泌し胃の中の尿素からアルカリ性のアンモニアを作り出し胃酸を中和することで、身の回りをバリアし住みやすい環境を作り出します。粘膜に定着したピロリ菌は様々な酵素や分泌物を作り粘膜障害や胃炎を起こします。

症状

消化性潰瘍の代表的な症状は心窩部(しんかぶ、みぞおち)の痛みで、時には背中に抜けるほどの痛みとなります。その他にも胸やけやゲップなどの胃酸過多症状を伴うこともあります。潰瘍が悪化すると出血を伴うことが多く、一時的に大量出血すると口から血を吐いたり(吐血)、便に赤い血が混じったり(下血)します。

比較的ゆっくりと出血が続く場合出血した血中のヘモグロビンが酸化されて便が真っ黒になりタール便と呼ばれ、胃や十二指腸からの出血に特徴的です。出血により貧血を起こすと疲れやすさや顔色不良などが現れます。

 

胃潰瘍と十二指腸潰瘍では痛みの発生するタイミングに違いがあり、胃潰瘍の場合胃の中に食べ物が入った状態で痛みが発生することが多く、食事中や食後早い時間に痛みが発生します。
それに対して十二指腸潰瘍の場合は空腹時、特に早朝に痛みが発生します。また、食事をすることにより痛みが和らぐという特徴があります。

西洋医学的治療

消化性潰瘍の検査として上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が行われます。必要に応じて血液検査を行うこともあります。また、ピロリ菌の関与が疑われる場合にはピロリ菌の検出を目的とした血液検査や迅速ウレアーゼ検査なども行われます。

治療としてピロリ菌の関与が疑われる場合にはピロリ菌を除去するための抗生物質の使用を検討します。胃酸の分泌を抑制する目的のある内服薬の服用が使用されます。その他、胃の粘膜を増加させる薬剤や、胃の血流を促進する薬剤、組織の修復を促進する薬剤などが用いられます。

潰瘍部分の出血に緊急に対応する必要があるときは、胃カメラで止血を行います。

 

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の東洋医学的考え方

 

東洋医学では胃潰瘍や十二指腸潰瘍をその器質的変化で分類するのではなく、胃痛を主訴とする状態と捉えます。
東洋医学では「通じざれば、すなわち痛む」という言葉があり何らかの原因で気血(きけつ)の流れが悪くなると痛みが生じると考えられています。

虚寒:冷えたときや冷たいものを摂った際に痛みが強くなるタイプで胃の衛気がダメージを受けることで起こります。陽気が不足している人に起こりやすいと言われています。

胃熱:しくしくと胃がやけるように痛むのは虚寒とは反対に胃に熱がこもっているタイプで熱を冷ます治療を行うと痛みが和らぎやすいです。

肝気鬱滞:ストレスにより気を全身へ巡らす肝の働きが低下し、消化器系への気や血の流れが滞った状態です。

食滞:暴飲暴食により食べ物が停滞し痛みを引き起こすタイプです。

 

 

胃潰瘍・十二指腸潰瘍に対する当院の鍼灸治療

当院ではまず胃酸の分泌や胃の粘膜分泌や血流に深く関わる自律神経のバランスを計測しお体の状態を把握したうえで治療に移ります。

全身の血液循環、内臓機能、免疫などを司る自律神経のバランスを整えるツボや消化器系を主とした内臓機能を整えるツボに鍼やお灸で刺激を与え本来体の持つ自然治癒力を高め、消化器の働きを整えることで症状の改善を図っていきます。

胃潰瘍・胃十二指腸潰瘍に対する鍼灸治療

 

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

痔の鍼灸治療

金曜日, 2月 1st, 2019

痔の東洋医学的考え方

痔に対する鍼灸治療は、WHO(世界保健機関)で適応疾患として認められている疾患の一つです。

WHOの鍼灸治療適応疾患について

東洋医学では痔は「瘀血(おけつ)」によって起こると考えられています。「瘀血」とは停滞した状態の血液、古い血が滞ることをいいます。

つまり、肛門付近の血液循環が悪くなることにより痔が生じるということです。肛門付近で「瘀血」が起こるのは体の冷えや便秘が主な原因と考えられています。

当院の痔に対する鍼灸治療

当院では、自律神経測定器にて自律神経のバランスを計測させて頂き、お身体の状態を把握したうえで治療に移ります。

自律神経は腸の蠕動運動や全身の血液循環に深く関わるため、自律神経系を整えるツボに鍼やお灸で刺激を与え、内臓機能、血液循環、免疫機能を高め、体のバランスを整えます。自律神経のバランスを整えることは全身的な循環を促進させ、冷えを除き、消化器官の働きを整え、便秘や下痢を改善する、または防ぐためにとても重要といえます。

痔に対する鍼灸治療

 

また、東洋医学的観点から「血」の流れを整えるツボや腰部、骨盤周囲、腹部、下肢などのツボに刺激を与え肛門周囲の血液循環を促進し、痔の症状を和らげていきます。

痔の鍼灸治療

痔とは

肛門部周辺の静脈が圧迫され血液の流れが滞ることにより発生する疾患の総称です。痔には痔核(じかく)、痔瘻(じろう)、裂肛(れっこう)の3つのタイプがあります。

痔核(いぼ痔)

肛門の血行が悪くなり毛細血管の一部がこぶ状になったものです。形状がイボに似ており肛門と直腸の境界の歯状線より内側に出来た物を「内痔核」、外側に出来た物を「外痔核」といいます。

痔瘻(じろう)

肛門の周辺が細菌に感染し、炎症を起こし膿を出すおでき状の「ろう管」が出来るものです。老年~中高年の男性に多いといわれています。

裂肛(きれ痔)

硬い便により歯状線の外側の肛門上皮が切れたり、裂けたりするもので切れ痔、裂け痔とも呼ばれます。痛みが強く治りにくいため慢性化するケースも少なくありません。男性より女性に多いといわれています。

 

痔の原因

痔核

長期にわたる不適切な排便習慣(排便時のいきみや便秘など)などにより肛門の粘膜の間にある組織(毛細血管などが集中するクッション部分)やそれを支える部分に負担がかかり弱くなることで、結果として腫大、出血、脱出といった痔核を起こします。また、肛門部の血流が悪くなる事で肛門のクッション部分にうっ血を起こすことも悪化に繋がります。

痔瘻

下痢をしていたりすると、肛門陰窩(こうもんいんか)と呼ばれる小さなくぼみに便が入りやすくなります。肛門陰窩の奥には肛門腺という線組織があり、便中の細菌がこの肛門腺に細菌感染を起こし化膿します。このように膿が溜まってしまった状態のことを肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)といいますが、進行すると肛門に向かって膿の通り道(トンネル)が形成され、穴から膿が出るようになり痔瘻を生じます。

裂肛

便秘の硬い便や、下痢が勢いよく肛門を通過することで、肛門上皮が傷ついたり切れてしまうことが主な原因です。浅い傷であれば通常すぐに修復されますが、何度も繰り返すと傷が深くなり、より深い部分に潰瘍ができます。慢性の裂肛では、肛門括約筋の緊張が高まり硬くなってしまい(硬化)肛門を狭くしてしまうことがあります。そうすると血流が悪くなり傷の治りはより遅くなってしまいます。

※肛門周囲の血行不良の原因

長時間の座位や立位、精神的、肉体的ストレス、体の冷え、妊娠、出産、香辛料やアルコールなど刺激物の過剰摂取、

 

痔の症状

痔核

・内痔核

初期は排便時の出血のみですが、排便時に自然に戻る脱出が起きるようになり、次第に排便後に指で戻さなければ戻らない脱出になります。
肛門の奥の直腸と肛門の境界である歯状線の内側は知覚神経が通っていない為、内痔核はほとんどの場合痛みを感じませんが、病状が進むと排便時にイボが肛門外に出て炎症などによる痛みを生じることがあります。

・外痔核

肛門皮下の静脈のうっ血による血栓や血腫ができた状態で、歯状線の下にある肛門上皮には知覚神経が通っているため、多くの場合肛門付近の痛みを伴います。
肛門付近に痛みや違和感があって気付いたり、手で触って確認できる場合があります。

 

痔瘻

痔瘻は通常痛みはなく、しこりを触れたり、分泌物が出たり痒みを感じるなどが症状です。しかし、痔瘻が化膿して肛門周囲膿瘍を起こすと、比較的急に肛門の腫れ、痛み、発熱を起こします。

裂肛

排便時に強い痛みと出血があります。通常出血はトイレットペーパーにつく程度で多くはありません。また、硬い便や下痢便は通過する際の痛みも強くなります。

 

西洋医学的治療

診断は問診、視診、触診、肛門指診、肛門鏡検査、超音波検査、大腸カメラなどを必要に応じて行います。

痔核の治療

基本的には食生活や排便習慣などのライフスタイルを改善し、悪化させないようにする生活療法や、薬物療法を主とした保存療法を行います。保存療法を行っても出血がひどい場合や、脱出により日常生活に支障をきたす場合は、外来処置(注射療法など)や手術療法(結索切除術など)を行います。

 

痔瘻の治療

保存療法や薬物療法での治癒は難しく、いったん治ったようでも再発しやすく根本的な手術が必要になります。肛門周囲膿瘍の場合は、まず切開して膿を出す手術を行いますが、多くは後日痔瘻に対する手術を行います。

裂肛の治療

保存療法、座薬、内服薬などの薬物療法が基本となりますが、これらの治療でも改善しない場合や、慢性化したものの場合手術療法が選択されることがあります。

 

痛風の鍼灸治療

木曜日, 12月 13th, 2018

痛風の東洋医学的考え方

東洋医学では痛風は痺証の一種として捉えられており、疼痛が比較的激しいところから痛痺、また痛みが走り定まらないところから風痺。「風湿熱痺(ふうしつねつひ)」と捉えられ、体質として脾虚(消化器系が弱く、身体に湿を溜めやすい)、湿熱の方がなりやすい傾向があります。

痛風に対する当院の鍼灸治療

まず、自律神測定器にて血管の状態や自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を把握した上で治療に移ります。疲労やストレス、生活習慣の乱れなどから自律神経のバランスが乱れると全身の血液循環が悪くなったり、内臓機能や免疫力が低下することにより尿酸の代謝が低下する原因の一つになるためです。

痛風に対する内臓への治療

自律神経のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与え、内臓機能や免疫機能を活性化し、自然治癒力を高め、身体のバランスを整えることで炎症の治癒を促進させ、尿酸の代謝や排泄を促すとともに、炎症部位の周囲のツボや経絡に関連のあるツボを用い、鍼やお灸を施すことで血行を促進し余分な熱を除き消炎作用を促します。

 

痛風の鍼灸治療

痛風とは

尿酸が身体の中にたまり、それが結晶になり関節炎を伴う症状を引き起こす病気です。

現在日本では痛風患者は約60万~70万人で、痛風の前段階である高尿酸値血症の人は約600万~650万人と推定されています。

これは、約成人男性の5人に1人は痛風予備軍といわれるほど増えており、しかも従来は中高年の男性に多かった病気ですが、最近は食生活の変化に従って20~30代の若い男性にも増えているといわれています。10~15%に遺伝要因が見られ、大酒家や肉類を多く摂取する人に好発します。

 

尿酸は体の正常な営みによりできる老廃物の一つで、どんな人の身体の中にも一定量あり、血液などの体液に溶けて循環し、尿の中にこし取られて排出されます。

ところが、何らかの原因により体内の尿酸量が増えてしまうと高尿酸血症になります。高尿酸血症になると血液中に溶けきれない尿酸が結晶となって関節に付着し痛風発作を起こします。

しかし、高尿酸血症からすぐに痛風発作に結びつくのではなく、発作が起きるまでには少なくとも8年以上は経過しているといわれています。

 

※痛風はなぜ男性が多いのか

痛風は男性100人に対して女性1~2人という割合で、圧倒的に男性に多い病気です。その理由は女性ホルモンのエストロゲンには尿酸の排泄を促す作用があるためといわれています。

そのため、女性でも女性ホルモンが減少する更年期以降は痛風を発症するリスクが高まるため注意が必要です。

 

痛風の症状

 

急性の関節炎が主な症状です。

発作の約70%が足の親指の付け根に起きますが、足首、膝、肘、手関節などのどこの関節にも起こる可能性があります。なぜ関節部に炎症が起こりやすいのかというと関節の部位は体の中心部より遠く体温も3~4度低いため、体温が下がると尿酸が結晶化しやすいことや、足の親指には関節に体重がかかるため関節内に結晶ができやすく、また、体重がかかる刺激により沈着した尿塩酸が剥がれやすくなるためと考えられています。

痛みは発症してから24時間ほどでピークを迎え、その後2時間ほどかけてゆっくりと鎮静していきます。人によっては発作が起こる12時間ほど前に、足がピリピリしたり違和感を覚えたりすることがあります。痛風性関節炎の激しい痛みは通常7日~10日以内に収まります。

痛風発作は炎症を抑える薬で比較的早く治ることが多いですが、多くの場合一年以内に同様の発作が発生すると言われており、繰り返しているうちに足首や膝の関節まで腫れが拡がり、発作の間隔も次第に短くなっていく怖い病気です。

また、痛風は合併症も多く、高脂血症、動脈硬化、肥満は特に危険因子といわれています。

 

痛風の多様な病態

 

痛風は激しい関節の痛み以外にも痛風結石や尿路結石と呼ばれる症状があります。痛風結石とは痛風発作を治療せずに放置しておくと体内の尿酸が異常に多い状態が続き、手足の関節付近や耳などに尿酸の塊が沈着してくることをいいます。

また、尿の通り道に尿酸結晶が固まって結石ができると尿路結石になります。腎臓に尿酸の結晶が蓄積されると腎不全を引き起こす事もあり注意が必要です。

 

 

原因

・食生活の問題

食事内容は尿酸値に影響します。プリン体が多い魚卵、肉類、レバー類などの摂り過ぎは注意が必要です。しかし、プリン体は上記の食品に限らず、多くの食品に含まれています。そのため特定の食品にだけ注意するのではなく、普段の食事の慢性的な食べ過ぎも注意が必要です。

 

・飲酒の影響

アルコール飲料を飲むと尿酸値は一時的に上がります。アルコールが体内で分解される時に尿酸が作られること、その際に出来る乳酸が体内に尿酸を蓄積すること、一部のアルコール飲料に含まれるプリン体が多く含まれていることなどが原因として挙げられます。

お酒の種類によってもプリン体の量はかなり違いがあります。プリン体はビールに最も多く含まれ、ウイスキー、ブランデー、焼酎などの蒸留酒はあまり含まれていません。

どんな種類のお酒でも尿酸値や痛風には影響するため、節酒または禁酒をすることが望ましいでしょう。

 

 

・脱水による尿酸の血中濃度の変動

夏場の汗が多い時期やスポーツ後、飲酒後などに体内の水分量が少なくなると相対的に血中の尿酸の濃度が上昇します。そうすると体内で尿酸が結晶となって析出しやすくなり、痛風発作が起こりやすくなります。

 

・ストレスの多い生活

ストレスを多い生活を送っていたり疲労が蓄積したりすると、ホルモンの分泌に悪影響を与え、尿酸の排出が妨げられたり、血管を収縮させ腎臓の働きを低下させるため、結果的に尿酸値が高くなります。

 

・利尿剤などの薬剤の副作用

 

 

西洋医学的治療

痛風の治療は関節炎の治療とその背景にある高尿酸血症の治療の2つに分類されます。痛風関節炎には原則的に薬物療法が中心となり非ステロイド抗炎症薬やコルヒチンという薬を服用します。重度の場合には副腎皮質ステロイド薬を使用することもあります。

高尿酸血症の治療においても薬物療法が中心となり血液中の尿酸値を正常域に下げるために尿酸産生抑制薬や尿酸排泄促進薬が用いられます。

 

オスグット病の鍼灸治療

金曜日, 12月 7th, 2018

オスグッド病に対する当院での鍼灸治療

オスグットの場合、大腿四頭筋の柔軟性を出すよういわれますが、この部分だけ筋緊張を緩めてもまたすぐに緊張状態となりやすく根本治療にはなりません。大腿四頭筋が緊張する原因が股関節、骨盤、足関節のバランス、可動域が問題になっていることがあります。

 

特に猫背など背中が丸くなると骨盤が傾き、結果的に膝にストレスがかかり痛みが発症しやすくなります。

そのため、まずうつ伏せで背部、腰臀部、大腿四頭筋の拮抗筋であるハムストリング、下肢のツボを用い、身体のバランスを調整し膝関節の運動性を高めます。

 

オスグッド病の下肢への鍼灸治療v

 

オスグッド病のうつ伏せ鍼灸治療

その後仰向けで大腿部四頭筋や前脛骨筋、腓骨筋など膝の周囲の筋肉の緊張を和らげ、膝関節へかかる負担を減らし血行を促進することで、疲労物質や炎症物質の代謝を促し治癒を促進させる効果が期待できます。

オスグッド病の膝鍼灸治療

また、痛みや炎症が強い場合はアイシングや鍼に微弱な電気を流すことで消炎、鎮痛作用を促していきます。

 

 

オスグッド病の東洋医学的考え方

中医学では関節痛は「痺症」と呼ばれ、風、寒、湿、熱邪などの侵入(外因)により経絡の気血の運行を阻害した場合や、体質、飲食の不摂生、生活習慣、過労、ストレス、運動不足、外傷、気候変化、加齢、慢性疾患(内因)などが原因で、血の巡りが悪い(瘀血)、津液の巡りが悪い(水滞)等により、気血水が停滞し「不通則痛(ふつうそくつう)」(エネルギー物質の運行障害)、「不栄則痛(ふえいそくつう)」(栄養不足による運行障害)に陥ることが原因として考えられています。

 

 

オスグット・シュラッター病

 

オスグット・シュラッター病とは
小学校高学年から中学の発育期の成長期に好発するオーバーユース(使いすぎ)に起因するスポーツ障害の一つです。

成長期には急激に骨が軟骨から成長する時期で、骨の成長に筋腱の伸長が追い付かず、一時的に骨に対し筋の長さが短くなり筋肉の緊張が高くなる時期です。膝関節を伸ばす筋肉である大腿四頭筋は成長軟骨のある脛骨粗面に付着しており、この部分は軟骨が多く弱いため大腿四頭筋の伸長が追い付かず筋の緊張が高くなり、繰り返し引っ張られることで脛骨粗面への負担が大きくなると、骨や軟骨の一部が剥離してしまうことがあるのです。運動をすると痛みを生じ、休むと痛みは和らぎますが運動を再開するとまた痛みを生じます。

 

ジャンプ、ランニング、キックの多いスポーツ(バスケットボール、サッカー、バドミントン、陸上競技、剣道、バレーボールなど)をしている子供に多いといわれています。
変形が強くなり骨が引っ張られたままだと大人になってからも痛みを残すことがあるため適切な治療を受けることが重要です。

 

オスグッド病の原因

膝に慢性的な運動負荷がかかることにより発症します。急激な身長の増加、柔軟性不足、筋肉の慢性的な疲労、不十分なウォーミングアップ、間違ったフォーム、姿勢の悪さ、偏平足や回内足、猫背など身体の歪みによるバランスの崩れなどが挙げられます。

 

 

予防法

筋肉の柔軟性を保つことと、オーバーユース(使いすぎ)を防ぐことが基本になります。
疲れや筋肉の硬さを翌日に残さないようにストレッチウォーミングアップ、クールダウンを徹底し筋肉の柔軟性を保つ工夫が必要です。ストレッチは大腿四頭筋やハムストリングスなどを優しく時間をかけて伸ばすことが重要です。

 

症状

・膝の下の痛み(活動時、階段昇降時などの動作で増悪する)
・しゃがめない
・膝を曲げようとすると痛い
・膝の下が膨隆する
・膝の下の骨の出っ張った部分の圧痛
・熱感、腫れがある

などが主な症状です。

 

 

オスグッド病の西洋医学的治療

X線撮影やエコー、MRI撮影などにより診断されます。治療に関しては保存療法が基本となります。患部の炎症が強い場合にはアイシングや電気治療などにより炎症を抑えます。

運動の休止と患部の安静を原則として、大腿部のストレッチ、消炎鎮痛薬(外用内服)や超音波、レーザー治療、低周波などの物理療法、専用サポーターの装着などがあります。通常、対処療法で十分ですが、激しい痛みや炎症症状が考えられる時には局所への局麻剤とステロイドの注射を行うことがあります。

まれに治りが悪く脛骨結節部の変形が強い場合は、手術療法として骨片摘出術や骨穿孔術などが行われる場合もあります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

心臓神経症の鍼灸治療

木曜日, 11月 29th, 2018

心臓神経症の鍼灸治療

 

心臓神経症の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)でもその効果が認められている疾患のうちの一つです。

 

心臓神経症に対する当院の施術は、まず自律神経測定器にて、心臓の動きや血圧などを調整している自律神経のバランスや血管の状態を測定し、お体の状態を把握した上で治療に移ります。

自律神経のバランスを整える施術をメインに、五臓六腑の機能を高めるツボも取り入れ、免疫力を高め身体全体のバランスを整えていきます。

 

心臓神経症の自律神経調整鍼灸治療

 

 

鍼やお灸の刺激による血管拡張作用や筋の緊張を和らげる作用で、血液の循環を促進し、東洋医学的観点から心や腎の経穴や気血を補うツボも取り入れることで心や腎の機能を高め、全身の気血の巡りを整える作用を促します。

心臓神経症のうつ伏せ鍼灸治療

 

心臓神経症の鍼灸治療症例

 

30代女性

一か月ほど前から発作的に起こる胸の締めつけられるような痛みと動悸、息苦しさに悩まされている。夜寝る前に特に起こりやすいが、徐々に頻度が増えているように感じている。病院で心電図検査や心臓エコーなど検査を行うも特に異常は見あたらなかった。半年ほど前に転職をし、環境の変化により生活が不規則になったり人間関係や仕事のストレスを感じておりそういったことが関与しているのではないかと考えている。

 

当院での治療

自律神経測定にて計測を行ったところ交感神経が過亢進状態で精神的ストレスが高いという結果でした。心臓の動き、血圧などを司る自律神経の調整と、首や肩周囲の筋緊張がみられたため首肩にも鍼やお灸で刺激を与え体の緊張を除きリラックス神経である副交感神経の働きを活性化させる作用を促しました。

手足の冷えもあり、遠赤外線やお灸を用い冷えを緩和する作用を促し全身的な血液の循環を高める施術も行いました。

 

1回目

大きな変化はないが、身体の冷えと首や肩の緊張はすこし緩和された。

 

2回目

発作の頻度はまだ変化ないが、症状の持続時間は軽減したと感じる。

 

3回目

前回施術から一回だけ症状がみられたが、頻度は減ってきた。

 

4回目

仕事が過酷な日があり、その日の夕方に症状が出た。次の日の夜にも症状が出たが持続時間は短かった。

 

5回目

今週は一度も症状起こっていない。首肩の緊張も緩んできたと感じる。

 

6回目

前回施術後から一度だけ動悸のような症状があったがすぐに消失した。胸痛や息苦しさは出ておらず、身体の状態は改善してきたように感じる。

7回目

症状ほぼ消失した。たまに動悸を感じるが持続時間はかなり短くなった。足の冷えは感じる日もあるが、手の冷えはかなり改善された。状態維持のためにもう少し通院を続けたい。

 

8回目

動悸の症状も消失した。体の調子が安定して良くなったと感じている。

 

 

心臓神経症の東洋医学

東洋医学では五臓六腑の「心」は現代医学の心臓と同じように循環器系に関係する臓器と機能を表します。

その他大脳の働きである精神、意識、思考なども心の動きととらえ、睡眠、心臓、血管系の機能をコントロールすると考えられています。

 

心気虚
加齢や過労により心気が不足すると心のポンプ作用が弱まり動悸、息切れ、全身倦怠感、精神疲労などの症状が現れます。

 

心血の不足
ストレスが多い、睡眠不足、偏食、欠食などが原因で「血」が不足した状態です。意識が散漫になったり、忘れっぽくなったり動悸や不安を生じやすくなります。頭がフラフラしめまいを生じることもあります。

 

心と腎のバランスの崩れ(心腎不交)
東洋医学では五臓の心と腎は、心が火の性質を持ち、腎は水の性質を持ち、互いに反対の性質を持つと同時に互いを育てる関係にあります。心の心火(活発な精神活動)の行き過ぎを腎が抑える役割を果たしており、火の心は上半身、腎の水は下半身に分かれ、これを腎の生命力が心と腎を交通させ身体の平衡を保っていると考えられています。心腎不交とは加齢や慢性病、疲労、精神的緊張、情緒の変動などが原因で心と腎のバランスが失調した状態です。
寝汗が多い、のぼせや火照り、のどの渇き、耳鳴り、イライラ、口内炎、焦燥感、腰や膝がだるく無力などの症状が現れます。

 

 

心臓神経症とは

胸の痛みや動悸など心臓に関わる症状があるのにも関わらず、検査では異常が認められず特定の身体疾患と診断できないものを指します。

ストレスや不安、抑うつ状態と関連しているものが多く、神経症的な素因や※無力性体質の人に起こりやすいといわれています。不安神経症や身体表現性障害といった精神疾患に準じた治療が行われます。好発年齢では思春期より30代前半までが多く、その他に中年期にも一つの山があり男性より女性のほうが2倍多いといわれています。

 

※無力性体質とは
体系が細長くて筋肉の発達が不良で痩せている、胸が平らで内臓が下垂しやすく、色白、全般的に体力の低い体質。血圧は常に低く、自律神経の機能は不安定で精神的に過敏な傾向が
顕著にみられます。

 

 

心臓神経症の症状

胸の痛み、呼吸苦、動悸、不整脈、発汗、しびれ、めまいなど循環器疾患と同様の症状を自覚します。

このうち胸痛は「ズキズキ」、「チクチク」「重苦しい」と表現されるような痛みで、痛む部分が左胸のごく狭い範囲に限られており、手で圧迫すると痛みが強くなることが特徴です。

この痛みは運動したり興奮したりしている時ではなく、むしろ安静時にそれを感じ、持続時間も長いのが特徴です。

 

 

心臓神経症

 

 

 

心臓神経症の原因

 

一般的に日常生活や職場でのストレス、過労、環境の変化などにより不安や緊張が高まっていたり、抑うつ状態であったりすることなどが発症の原因であるといわれています。

また、心臓は生命に直結する臓器ですから、心臓の病気=死ぬ病気という解釈から新たな不安を起こしやすく、それがさらに心臓の症状を悪化させるという悪循環を作ってしまうことも多いようです。

私たちの体には血圧、呼吸、体温、内臓機能などを無意識のうちに調整している自律神経と呼ばれる神経があります。この自律神経は環境に応じて身体に備わった恒常性(体の中をいつも一定の状態に保とうとする働き)があります。

自律神経は交感神経と副交感神経に分けられますが、ストレスにさらされると交感神経の働きが高まり、さらに副腎皮質からより多くホルモンが分泌されることになります。交感神経の働きが高まるとアドレナリンとノルアドレナリン(どちらも副腎から分泌される物質)が大量に放出され、心臓のポンプの働きが急に活発になります。

皮膚や消化管粘膜などの細い血管では血管が収縮し、身体の血液が脳や心臓など重要な臓器により多く運ばれるようになるため、胃や腸の働きは抑えられます。逆にリラックスした状態のときは副交感神経の働きが優位となり、心臓の拍動は抑えられ反対に胃や腸の運動が高まります。

精神的ストレスにさらされると、喫煙や飲酒量が増加したり、運動不足になったりして生活習慣が乱されることも症状の悪化の一因となります。

 

 

西洋医学的治療

 

一般的に循環器疾患や呼吸器疾患、消化器疾患などがないか調べ、臓器による異常による疾患が除外された場合に診断されます。そのため、心臓神経症の診断に特別な検査はなく、胸部レントゲン検査、血液検査、心電図検査、心臓超音波検査、上部消化管内視鏡など循環器疾患や呼吸器疾患、消化器疾患を診断するための一般的な検査が行われます。

治療は不安神経症や身体表現性障害などの精神疾患に準じた薬物療法や非薬物治療が行われます。治療の際には内科や循環器内科の医師だけでなく、心療内科や精神科の医師と協力して行われます。

薬物療法
不安や緊張感を和らげる目的で抗不安薬、抗うつ薬などが一般的に使用されます。頻脈や動悸などの自律神経症状が強い場合にはβ遮断薬が併用されます。

非薬物療法
症状の原因となっている不安やストレスを避けるような生活を心がけることのほか、認知行動療法と呼ばれる医師やカウンセラー、臨床心理士との会話のなかで、病気や自己に対する認識を変えていくことで回復を促す治療法が用いられることもあります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

動脈硬化の予防鍼灸

金曜日, 11月 16th, 2018

 

動脈硬化に対する鍼灸治療は、WHO(世界保健機関)にも効果が認められている鍼灸治療対象疾患のうちの一つです。近年、鍼灸治療は肩こりや腰痛などの整形外科系疾患の他にも内科系疾患などにも効果があると研究が進められており、欧米などでも多くの疾患で施術が行われています。

 

動脈硬化に対する鍼灸治療

 

東洋医学では、動脈硬化の状態を『瘀血』ととらえられています。

瘀血とは、体内の血の巡りが悪くなっていう状態で血は汚れてスムーズに血管内を進むことができなくなっています。東洋医学では、血の循環は、五臓六腑の『肝』と『心』が大きな役割を担っています。

肝の機能として「肝は血を蔵する」という役割があります。これには2つの意味があり、肝が血を貯蔵して必要に応じて供給または消費することと、自律神経系の作用を介して血管を収縮または弛緩させて体内のすみずみまで血流量を調整するというものです。

また心の機能として「心は血脈をつかさどる」という役割があります。これは、心臓のポンプ作用によって血液の運搬や体内各部の新陳代謝を促しています。

この肝と心の2つの作用が上手く働いている状態ですと血はスムーズに供給されて身体の細部に行き渡るようになるのです。この2つは相互に密接な相関関係にあります。

心の血脈をつかさどるという作用と菅野血管運動神経調節機能によって循環系は正常に保たれ、肝の臓する血に含まれる栄養分によって心も正常に機能して全身に運ばれるのです。

肝と心どちらが不調な状態でも血はうまく運ばれずに瘀血の状態を引き起こしやすくなってしまうのです。

東洋医学では、瘀血が起きている場所によって様々な症状が出るとされ、肩こりや腰痛など身体の痛みや痺れの原因にもなると言われています。当院では、体のどの部分に瘀血が生じているのか、五臓六腑の肝と心を中心としたどの部分が弱っているのか逆に強くなりすぎているのかを脈診や舌診などで判断して施術していきます。

動脈硬化の予防鍼灸

その他、血液の流れは自律神経が支配しているため、自律神経測定器で自律神経のバランスを測定したいうえで自律神経のバランスを改善していきます。

動脈硬化の自律神経調整鍼灸

当院の動脈硬化の予防・改善を目的とする鍼灸治療では、瘀血という東洋医学的観点と自律神経という西洋医学的観点の双方からアプローチしていきます。

※動脈硬化症の鍼灸治療予防の効果について

閉塞性動脈硬化症の鍼灸治療の効果につきまして全日本鍼灸学科では研究されています。

「鍼で血管が新生されるー閉塞性動脈硬化症(ASO)の鍼灸治療」

www.jsam.jp/pdflib/kiso_p16.pdf

下肢の閉塞性動脈硬化症で鍼灸治療の前後において下肢の皮膚温をサーモグラムで測定した結果、鍼治療後のサーモグラムでは著名な皮膚温の上昇が認められました。

鍼刺刺激で増加すると言われる血管拡張物資が増加していることがわかり、さらに血管新生誘導因子の生産に関する遺伝子を発現させて血管を新生させることも研究結果で分かっています。この結果、閉塞性動脈硬化症の症状に対する改善緩和やその他の体の箇所の動脈硬化症の予防にもつながることが推測されます。

動脈硬化とは

 

動脈硬化とは、その名の通り動脈が硬くなってしまうことでそれ自体は症状を何も起こしません。しかし、動脈硬化が進行してしまうと、動脈の弾力性が失われて血管が傷つきやすくなってしまったり、血管内に脂肪や悪玉コレステロールなどが沈着してしまって血管内が狭くなってしまうことで動脈が破れてしまったり、詰まったりしてしまいます。

 

すると、心筋梗塞や脳梗塞など死にも直結してしまう取り返しのつかない病気にかかってしまう危険性が高くなってしまうのです。

 

動脈の役割

私たち人間の中に流れる血管には、「動脈」と「静脈」との2種類があります。

動脈は基本的に心臓から送り届けられた酸素や栄養素の富んだ血液を体の細部に運ぶことで人間が生きていくうえでとても大切な役割を担っています。動脈は心臓から全身や肺に向かって血液の流れを作っています。

特に心臓に直結している大動脈は最も太い動脈で酸素やぶどう糖などを多く含んでおり、そこから細動脈に枝分かれをして細胞組織に血液を運んでいる重要な動脈です。

大動脈は直径で約3cmもあり、その大動脈が異変を起こした場合、大動脈瘤や大動脈破裂などの重篤な疾患にかかってしまいます。

動脈の特徴として心臓から勢いのある血液が送られてくるため、動脈の血管壁は分厚く弾力性が高くなっています。簡単に破れたりつまらないような構造となっているのです。

動脈の血管壁は、3層に分かれおり、内側から内膜→中膜→外膜となっておりそれぞれに役割があります。

内膜
内膜は血管壁の一番内側に位置しているため、血液に直接触れることができる膜です。よって内膜から血液に含まれる酸素や栄養素を必要な分だけ取り込む役割があります。その他、血管の収縮や拡張なども調節する血管作動物質も放出しています。

 

中膜
中膜は血管壁の真ん中に位置することで血管の弾力性を保つ役割を担っています。中膜は平滑筋細胞と弾性繊維が何層に重なることで血管にしなやかさや血管の収縮・拡張運動を実現しています。

 

外膜
外膜は血管の一番外側に位置することで血管を保護しています。また外膜には細いリンパ管や神経などが張り巡らされています。

 

 

一方、静脈は身体や肺から戻ってくる血管を静脈といい、肺静脈系と大静脈系に二分されています。動脈が体の深層を通っているのに対して静脈は体の表層を通り、体の熱を放出する放熱器官の役割や血液の貯溜の役割を担っています。

 

動脈硬化が原因で起こる疾患

動脈硬化は、別名サイレントキラーと呼ばれています。動脈硬化が怖いところは、なり始めは特に症状が無く、症状が体に出ないうちに進行していって症状が出るころには手遅れな状態となり死へ至る危険性のあることです。実際に動脈硬化が大きな原因とされる脳卒中や心疾患が原因で死に至る日本人は全体で3割にものぼるというデータもあります。

 

動脈硬化は、動脈の血管が細くなったり、破れたりしてしまい必要な酸素や栄養が全身に行き渡らなくなってしまい臓器や組織に異常をきたします。そのほか動脈硬化は、心臓に大きな負担をかけて高血圧や心肥大を引き起こしてしまいます。

動脈硬化が原因で起こる疾患の代表的なものとして

 

・脳梗塞
脳の血管に動脈硬化が起こってしまい、血栓となりそれが詰まると半身不随や言語障害などの後遺症が残ってしまったり、梗塞が起こった場所によっては死に至ることもあります。

 

・心筋梗塞
心臓に酸素や栄養素を供給する冠動脈が動脈硬化となり、血管内が狭くなってしまうと必要な物質を心臓に送り届けることができなくなり、心臓が酸欠状態となってしまいます。心筋梗塞は突然死をまねくとても怖い疾患です。

 

・腎疾患
腎臓は血液内の不要になった物質をこすフィルター作用がありますが、その腎臓の血管に動脈硬化が起きてしまうと腎機能が低下して腎臓病となってしまいます。

 

・閉塞性動脈硬化症
下肢の血管に動脈硬化が起こってしまった場合、下肢の血流が著しく悪化して痛みや痺れ症状が起きて症状が進行して最悪の場合、足の切断が必要になる場合もあります。

 

 

動脈硬化の危険因子

動脈硬化は血管の老化現象と言われており、年齢を重ねていくごとに動脈の弾力性が損なわれてしまうことや血管が狭くなってしまうことはある程度仕方ないことです。年齢を重ねていくにしたがって血管内の内膜には悪玉コレステロールや脂肪が沈着していき、内側は盛り上がってきて60歳ともなると血管自体が狭くなってしまいます。

その結果、血液がスムーズに全身に行き渡らなくなり、心臓は全身に血液を送り届かせようとすることで心筋は肥大してより多くの圧で血液を拍出します。すると、内膜には無理なストレスが生じて内膜を覆っている細胞や蓄積した脂肪斑が剥がれて血栓ができ、それが詰まることで心筋梗塞や脳梗塞を起こしてしまうのです。

高血圧や糖尿病・肥満の方は、血管内の内皮細胞が傷つきやすかったり、血液中の脂質や悪玉コレステロールの値が高くなり、動脈硬化となりやすいのです。

このような高血圧や糖尿病・肥満などの日々の生活習慣が高い割合で原因とされる動脈硬化の進行は、日々の生活習慣を変えることである程度防ぐことが可能と言われています。

 

・高血圧
高血圧の状態が続いてしまうと心臓からの血液の流れの圧が血管壁を傷つけやすい状態が続くということで血管内にコレステロールが付着しやすくなります。すると、内皮細胞の機能が低下して動脈硬化となってしまうのです。 動脈硬化が進みやすい血圧は、「収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上」とされています。

血圧は塩分の摂りすぎや肥満によって高くなりやすいので、日々の食生活で塩分を控えたり、お腹7分目に抑えて決して食べ過ぎないように心がけましょう。

高血圧予防の鍼灸治療

・肥満
肥満で内臓脂肪が過剰に溜まった状態ですと血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が増えて血管内の内皮細胞に付着しやすくなり、動脈硬化を引き起こします。さらに肥満は高血圧や糖尿病の合併しやすく、日々の体重を注視する事はとても重要です。

日本肥満学会の基準では、BMI値[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]が25以上となると肥満気味とされており、自分自身で計算して頂いて25以上となる方は、食生活に見直しや運動習慣を取り入れるなどを行うようにしてください。

肥満に対する鍼灸治療

・糖尿病
糖尿病は、慢性的に血糖値が高くなる状態で、血液中に高血糖状態が続いてしまうと、血糖を下げる役割のあるインスリンの働きが低下して血液中に脂質が多い状態となります。

すると内皮細胞に脂肪斑ができやすい状態となってしまうのです。

糖尿病予防に対する鍼灸治療

・喫煙習慣
タバコをすると煙に含まれる一酸化炭素により、善玉コレステロールが減ってしまい逆に悪玉コレステロールが増える要因となります。すると血液は粘度が増した状態となりやすく、血管内は傷つきやすくなり動脈硬化を引き起こします。

また、煙に含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があるため動脈硬化を引き起こしやすいといえます。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

胆嚢炎の鍼灸治療

木曜日, 11月 15th, 2018

胆嚢炎に対する鍼灸治療は、意外に思われますが消化器系疾患にも効果があるとされてNIH(米国 国立衛生研究所)で多くの疾患に対して鍼灸治療が有効と発表されています。

「公益財団法人 日本鍼灸師会 こんな症状に効果があります」

https://www.harikyu.or.jp/general/effect.html

胆嚢炎もNIHで鍼灸治療が有効とされている疾患の内の一つです。

 

胆嚢炎の東洋医学

五臓六腑の「肝」と「胆」は肝経を通じて表裏関係にあり、「胆」の働きは肝の疏泄機能に調節されていると考えられています。
「胆」に関係する代表的な病証として「肝胆湿熱」があります。これは湿熱の邪により肝胆の疏泄作用が低下すると、胆汁の生成と排泄の異常を引き起こします。

これは「脾胃」の運化作用にも影響し消化不良、口の苦み、嘔吐、黄疸などの症状を引き起こすと考えられています。

 

胆嚢炎に対する鍼灸治療

当院の胆のう炎の治療目的は胆のう炎の回復程度を高めることと、胆のう炎の完治までの時間を短縮することです。

過度なストレスや生活習慣の乱れなどにより、自律神経のバランスが乱れると内臓の働きにも影響が及び、その結果胆汁が胆のうの中で滞り胆石ができる原因になる場合もあります。

胆嚢炎の鍼灸治療

そのため当院では自律神経測定器にて自律神経のバランスを測定し現在のお体の状態を把握したうえで治療を行います。

 

東洋医学的観点から肝、胆の経絡のツボを用いて湿熱の邪を除き気血の流れを整え、肝や胆の機能を高める施術や、自律神経のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与え、内臓機能調整を行い免疫機能や自然治癒力を高め、弱った消化器の働きを改善し体全体のバランスを整えます。

 

胆嚢炎のうつ伏せ鍼灸治療

 

 

 

胆嚢炎とは

胆嚢は右上腹部にあり、肝臓で作られた胆汁を一時的に貯めて濃縮する袋状の臓器です。その胆汁は食事の際に収縮して貯めていた胆汁を十二指腸へ排出し、脂肪分の分解、消化を助ける消化液です。

胆嚢炎はこの胆汁を貯めておく胆のう内に石ができ(胆石症)
痛みが生じたり、細菌感染などにより炎症を引き起こす炎症性疾患です。

胆嚢は袋のようになっているため出口が塞がると細菌を外へ出すことができないので短期間のうちに非常に重症化しやすい病気です。胆嚢炎にはその経過から急性と慢性とがあります。

 

 

 

胆嚢炎の症状

吐き気や嘔吐、右脇腹の痛み、吸気時の腹痛(マーフィー徴候)、右肩甲骨付近の痛み、悪寒、発熱、黄疸(皮膚や粘膜が黄色くなる)などの症状が現れます。

 

胆嚢炎

 

胆嚢炎の原因

・急性胆嚢炎
急性胆のう炎の原因の90~95%は、胆のう結石です。胆のう結石が胆のうの出口にある胆のう管にはまり込むことで、胆汁がうっ滞します。

すると胆のう内側の粘膜が障害され、炎症が起こります。ここへ細菌の感染が加わると胆のう炎を発症します。

一般的に6時間以上の継続した腹痛(右季肋部)や発熱、悪心、嘔吐などの症状が現れます。場合によっては12時間以上痛みが継続することもあります。痛みは右肩甲骨の下部や背中に広がっていくことがあります。

また、胆のう結石を伴わない急性胆のう炎(無石胆のう炎)を発症する場合があり、無石胆のう炎の多くは外傷や大きな手術を受けた方、長期間の絶食時など胆汁の排出に乏しく、胆汁が胆のう内にうっ滞する場合に起こります。膵液の逆流が関与している場合もあります。
また、まれですが胆のう癌が原因で胆のう炎になる方もいます。

 

 

・慢性胆嚢炎
胆のうの炎症が長時間持続する病気です。ほぼ例外なく、胆石または過去に発生した急性胆のう炎に起因します。慢性胆のう炎では、急性の炎症(多くは胆石が原因)が繰り返されて胆のうに損傷が生じ、通常胆のうの壁が厚くなり、胆のうが瘢痕化して小さくなります。

瘢痕が広範囲に及ぶ場合、カルシウムが胆のうの壁に付着して、壁の硬化を引き起こすことがあります。

慢性胆のう炎の特徴は胆石が腸胆管を塞ぐことにより起こる痛みの反復発作(胆道疝痛)です。一般的に症状は急性胆のう炎よりも軽いといわれています。

※胆石症とは
胆汁の成分が固まって石状になり、腸管や胆のうに溜まる病気です。
女性、肥満気味の方、中高年の方に多いといわれています。胆石はなぜ出来るのかというと、胆汁の成分は、ビルビリン、コレステロール、胆汁酸、レシチンを中心とするリン脂質ですが、濃縮する過程の中で胆汁成分の偏りがあったり、細菌感染により成分が分解され、その成分が結晶となり石となるのです。結石が出来る過程の違いでコレステロール結石や色素結石など色々な性状の石ができます。

 

 

胆のう炎の予防法

胆のう炎を予防するには胆石を予防することが重要といえます。胆石は乱れた生活習慣(脂肪の取りすぎ、アルコールの飲みすぎ、睡眠不足、運動不足、過剰なストレス)が原因となっていることが多いので、日々の生活を見直すことが大切です。

 

 

西洋医学的治療

血液検査で白血球数の増加、血沈亢進、CRP陽性がみられます。診察、腹部超音波検査やCT検査などにより診断されます。

胆嚢炎診療ガイドラインに基づき胆嚢炎の診断を行うとともに軽症、中等症、重症という3つの重症度に分類して治療を選択していきます。いずれの重症度でもまずは、食事を中止して点滴を行い、抗菌薬の投与を開始します。そのうえで重症度に沿い治療方法を選択していきます。

炎症の程度が軽い場合絶食や抗生物質などで軽快することがほとんどですが、炎症の程度が重い場合は手術療法(胆のう摘出術)や経皮経肝胆のうドレナージ術、内視鏡的経鼻胆のうドレナージ術などを行います。また、腹膜炎が発生した場合には緊急手術を要します。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

口内炎の鍼灸治療

火曜日, 11月 6th, 2018

口内炎の東洋医学的考え

東洋医学では、消化吸収といった消化器系の機能を司っている部位を「脾」といいます。
「脾」は消化吸収だけではなく、食べた物や飲んだ物の中から身体に必要な栄養物を全身の各組織に供給する働きがあります。さらに、「脾」は口と関係が深く、「脾」の機能が低下すると、口内炎や口臭というような口に何かしらの異常が発生すると考えられています。

また、「脾」は気血を生むと言われ、「脾」の機能が低下することにより精神作用の中枢と言われている「心」に気血という養分が行き渡らなくなり、不安定状態の不眠の症状が現れてしまいます。
「脾」は、考え過ぎたり常に心配ごとをしていることが機能低下の原因と言われています。

さらに、人間の体にはもともと炎症を抑える力を持っています。その力を東洋医学的には「腎陰」といい、全身に滋養作用をもたらします。「腎陰」が不足する事により免疫力が低下し炎症を起こすと言われています。

 

口内炎に対する当院の治療

口内炎は疲労やストレスによる自律神経の乱れが大きな原因となるため、自律神経のバランスを整える治療を行っていきます。

口内炎の自律神経調整鍼灸

 

また、首回りや顎下に鍼を打ちリンパや血液の流れを改善することにより、自然治癒力を高めていきます。さらに、口元に鍼やお灸をして炎症を抑える治療をしていきます。

口内炎の鍼灸治療

 

それと並行して東洋医学的観点より、五臓六腑の調整も行っていきます。

 

口内炎のうつ伏せ鍼灸

口内炎とは

 

舌や口腔内粘膜に発症する炎症を総称として「口内炎」と言います。また、発症する場所に限局する場合部位ごとに舌に出来たなら舌炎、唇なら口唇炎、口角なら口角炎、歯茎なら歯肉炎と名称が変わります。

 

 

口内炎の原因

 

口内炎の原因は、疲労やストレス、睡眠不足による免疫機能の異常や、誤って口の中を噛んでしまったり、熱傷や虫歯やサイズの合っていない義歯や矯正装置、入れ歯による粘膜刺激によるもの、ドライマウス、ウイルスや細菌などの感染、自己免疫疾患、女性ホルモンの乱れ、ビタミン不足、というように様々です。

 

その中でも一番多い原因が疲労やストレスによるもので、ストレスや疲労が蓄積すると自律神経のバランスが乱れてしまいます。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、疲労や心配事といったストレスが蓄積することにより交感神経が過剰に働いてしまいます。交感神経ばかり過剰に働いてしまうと、白血球の顆粒球が異常に増加してしまいます。

 

この顆粒球は体内に細菌やウイルスなどの異物が侵入してきたらそれらと戦い体を守る役割をしていますが、顆粒球は役目を終えると活性酸素を放出しながら死んでいきます。

この活性酸素は老化の元と言われているのですが、顆粒球が増加することにより活性酸素も増えてしまい、活性酸素が体内に蓄積すると健康な細胞にも自己免疫が攻撃をし破壊してしまいます。これによって引き起こされるのが口内炎になります。

 

ウイルスによるものだと、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹、麻疹 風疹、手足口病、ヘルパンギーナ、細菌によるものなら梅毒、淋病が口腔内に侵入してできる口内炎があります。

 

自己免疫疾患なら、ベージェット病やクローン病、全身性エリテマトーデス、尋常性天疱瘡や類天疱瘡など全身の皮膚に水疱などができる皮膚疾患も、口腔内に皮疹が発生することがあります。

 

 

口内炎の症状

 

口内炎の症状は口内炎のタイプにより症状が少し異なります。ウイルスや細菌、アレルギー、精神的ストレスによるアフタ性口内炎は、口の中の粘膜に直径3~5mmのアフタと呼ばれる白い潰瘍ができます。刺激痛を伴い、悪化すると出血する事もあります。また、周りの粘膜との境界がはっきりしているのも特徴です。

 

通常は1週間~2週間ほどで自然に治癒しますが、自律神経が乱れたままでいると再発を繰り返す場合があります。

 

口腔内の粘膜を誤って噛んでしまったり、入れ歯や矯正器具による刺激、食べ物による火傷や虫歯や歯周病による不衛生によって起こるカタル性口内炎は、口腔内の炎症部が白くなることもあれば赤くなることもザラザラになることもあります。

アフタ性口内炎とは違い、炎症の境界ははっきりしていません。炎症が強い場合は唾液が粘っこくなり口臭が気になることもあります。また、辛い物や酸っぱい物といった刺激物がしみて痛みを感じたり、口の中が焼けるような灼熱感を感じたりすることがあります。

 

 

カンジダ菌というカビの一種による口内炎は、免疫力が低下したり薬物の服用により体内の常在菌のバランスが崩れてしまい、他の常在菌より優位になることで口内炎を引き起こします。カンジタ性口内炎は炎症部が偽膜と呼ばれる白い薄皮ができ簡単に剥がれます。

剥がれたら赤みを帯びていて、周りの粘膜も赤くなり腫れていることがあります。その場合、灼熱感やヒリヒリ痛むといった症状が出ます。さらに舌や粘膜の奥の方にまで炎症が進行すると、治療をしても痛みや味覚障害を起こす危険性があります。

 

炎症が広範囲に出現したり、二週間以上炎症が続く場合はカンジダ菌による口内炎の可能性があるので、耳鼻咽喉科や口腔外科、歯科といった医療機関で検査をおすすめします。

 

 

単純性ヘルペスウイルスの感染による起こるヘルペス性口内炎は、口腔内粘膜に複数の水疱ができ、歯茎や喉の奥に炎症ができ激しい痛みや発熱といった症状が現れます。基本的に乳幼児に多発する口内炎ですが、一度ヘルペス性口内炎にかかると症状が無くなってもその後もヘルペスウイルスは体内に残るので、大人になって体調を崩したときに再発することがあります。しかし、症状自体は乳幼児期よりも軽度に現れることが多いです。

 

 

 

*口腔ガンに要注意

 

口腔ガンは口内炎と間違われることが良くあります。

口腔ガンは、舌の側面や裏側に出来る舌ガンや歯肉に出来る歯肉ガン、下顎の歯茎の内側と舌の間に出来る口底ガン、頬の内側に出来る頬粘膜ガン、上顎の天井部分に出来る口蓋ガンがあります。

口腔ガンは痛みを伴わないことが多いですが、早期の場合見た目は口内炎と区別がつかないことがあります。しかし、口内炎と思ったものがなかなか完治しなかったり、周りの健全な組織との境界がはっきりしていないできものや腫れがある、頬や舌が動かしづらい、舌にしびれるような感覚がある、噛みづらい、首のリンパの腫れが3週間以上続くというようなことがあったら口腔ガンの可能性があるので、早めに病院で受診をお勧めします。

味覚異常の鍼灸治療

金曜日, 11月 2nd, 2018

味覚異常とは、味覚の感度が低下したり症状がひどい場合には全く味覚が感じられない場合をいいます。その他口の中に何もなくても塩味や苦味を感じてしまったり、何を食べても同じような味でまずく感じてしまう、これも味覚異常ととらえます。

 

味覚異常の東洋医学

味覚異常を東洋医学では五臓六腑の『心』や『脾胃』の機能低下と捉えることが多いです。東洋医学では、心は舌に開竅するといわれます。舌には多くの血管が走行しており、心の異常は舌にあらわれやすいとされます。心の機能低下『心虚』の状態となると味覚に異常が出しやすくなります。

また、脾胃の機能低下で食物が胃に停滞してしまった病態で味覚が起こりやすいとされます。

 

味覚異常に対する当院の鍼灸治療

 

味覚異常に対する当院の治療は、口周りや鼻周りの経穴を用いて鍼灸刺激することによって血流促進・五臓六腑の『心』や『脾胃』の機能改善・自律神経の乱れを整えることを行っていきます。

味覚異常の鍼灸治療

 

口周りを施術することで唾液の促進や鼻周りの経穴で鼻詰まりの解消をしていき味覚の改善をはかります。また、味覚の異常を訴える方の多くは自律神経の乱れもあります。自律神経が乱れることで味蕾の新陳代謝がうまくいかなかったり、神経の感度が低下している可能性が考えられます。それらを自律神経のバランスを整え全身のバランスも整えることで改善していきます。

 

味覚異常のうつ伏せ鍼灸治療

 

味覚異常の鍼灸治療症例

 

30代女性

三か月ほど前に酷い風邪を引いてから以前より味覚が乏しくなり、食事の味が分かりにくい、味の濃いものを食べても以前より薄く感じるようになってしまった。
匂いにも鈍感になった気がする。また、唾液の分泌が少なく口の中が乾きやすい。

耳鼻咽喉科にて検査を行ったが器質的な異常は認められなかった。
亜鉛のサプリメントは検査後からずっと飲み続けている。
そのうち治るだろうと思い放置していたが一向に改善しないため、食欲も徐々に低下し
てしまっている。
加えて発症以前より慢性的な首や肩のこり、全身の倦怠感があり生活の質が低下している。

 

当院の治療
自律神経測定器の結果交感神経が過亢進状態でバランスに大きく乱れがありました。
唾液の分泌を司る自律神経のバランスを整える施術と首肩の筋緊張の緩和、顔面部の経穴を用いて血液循環を促進し、神経伝達機能の改善を図りました。

また、東洋医学的観点から心、脾胃の経穴も用いて治療を行っていきました。

1回目
大きな変化はないが、首肩のコリは少し和らいだ。

2回目
前回施術後夕食とった際に少し味が普段よりも分かるような感覚があったが、翌日には元に戻ってしまった。

3~4回目
首のコリが楽になった。匂いが少し分かるようになってきたように感じる。味覚はまだ変化感じない。ただ、口の渇きがやや改善された。

5~7回目
大きな変化はないが口の渇きは以前よりも良くなっている。匂い感じる日と感じない日があるが感じない日のほうがまだ多い。

8回目
旋回施術後何日か味、匂い共に少し分かるような気がした。症状半減まではいかないが改善傾向にはある。

9回目
味、匂いは全体的に以前よりは感じるようになってきた。体の血の巡りが良くなったのか首肩こりや倦怠感も薄れてきている。

10回目
味、匂い共に感じる日のほうが増えてきた。しかしまだ、味は薄い感覚はある。
食欲も以前よりはある。少し体重も増えた。

11回目
食事が美味しいと感じられるようになってきた。唾液の分泌が改善され口の渇きほぼ消失。
症状8割ほど改善している。

12回目
前回と同じ状態だが、最近は肩こりや倦怠感はほとんど感じていない。

13回目
味覚、嗅覚共に発症以前の状態に戻ったと感じている。
肉体的な疲れも以前よりずっと楽になった。

 

 

味覚のメカニズム

味覚は、主に舌で感じられるものです。舌の粘膜にある味蕾(みらい)という感覚受容器によって感じられるため、味蕾を味細胞ともいわれます。味蕾は、粘膜のくぼみの部分に多く分布しており、その他にも頬の内側や口の中の上にある軟口蓋にも分布しています。味蕾で感じ取られた味の感覚は神経細胞を通して脳に伝達されます。

味覚を生物学的に捉えると5つの基本的味から構成されます。それは、酸味・塩味・苦味・旨味・甘味です。5つで構成されているのにはそれぞれの味に理由があるからです。

 

酸味
酸味は、酢酸やクエン酸などから生じる水素イオンを感じ取るために感じられます。それは、新陳代謝の促進や腐った飲食物を体に取り込まないような理由があります。

 

塩味
塩味はナトリウムイオンや金属系のイオンを感じ取るためです。それは、体液のバランスや体に必要なミネラルを取り込めるという理由からです。

 

苦味
苦味は、カフェインやキニーネ、アルカロイド系物質をを取り込み、毒物への警告を脳に送るためです。苦味が発達していないと有害なものを摂取してしまう危険性もあるため苦味もとても重要な味覚のひとつです。しかし、苦味は経験を重ねていくことによってなれる性質があるため、子供の頃は苦いものが苦手でも大人になると平気になるといった現象が起きるのです。

 

旨味
旨味は、グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムを体内に取り込み、人体に必要不可欠なアミノ酸類やタンパク質の供給に役立ちます。アミノ酸やタンパク質は筋肉や臓器、皮膚や毛髪を作る機能をもっています。

 

甘味
甘味は、砂糖や人工甘味料に反応して大切なエネルギー源となります。甘味を感じ取ることで体はエネルギー源かどうかを判断しているのです。

 

 

美味しく食事を摂ることは、身体をリラックスさせ体の免疫や自律神経の活動も高めてくれます。しかし、味覚に異常が出てしまうと、それがストレスとなり自律神経の乱れや免疫力なども低下しがちとなってしまうのです。

また、味覚は嗅覚からも感じられるものです。嗅覚は空気中にある揮発性の物質を判別します。嗅覚に異常があると正常に味覚も感じられない場合もあります。鼻風邪で鼻づまりが起きた状態では、味が感じにくくなるといったのは味覚の異常というよりはむしろ嗅覚の異常から味が感じにくくなっているのです。

味覚と嗅覚はとても密接な関係にあり、味覚と嗅覚の情報が脳内で一つに合わさることによって風味を初めて感じられるようになっています。

 

脂漏性皮膚炎の鍼灸治療

木曜日, 11月 1st, 2018

 

脂漏性皮膚炎の東洋医学アプローチと鍼灸治療

 

東洋医学では『面ゆう風』と呼ばれ、顔(面)に風邪などの邪気が停滞することによっておこると考えられています。

 

まず始めに当院独自の自律神経調整治療で、自律神経のバランスを整えて行きます。

脂漏性皮膚炎の方は、炎症や痒み、症状のストレスなどで自律神経系の乱れがおきていることが多いです。ですから最初に自律神経のバランスを調整して自然治癒力をあげることがベースになるわけです。

脂漏性皮膚炎の自律神経調整鍼灸

 

次に東洋医学のツボで皮毛や気・血に関係している経穴を用いながら、全身の気血・臓腑の状態を整えていきます。

 

主要穴

中府・列穴・血海・膈兪・肝兪・肺兪・膏肓

 

天井・腎兪・顔面部及び頭部の炎症部位など

脂漏性皮膚炎の頭部への鍼治療

 

 

のツボを使っていきます。炎症部分に関しては鍼通電治療も併用していくことで、皮膚炎を抑制したり、局所の血液循環や白血球の働きも高まるため、炎症部分の赤みがフケの状態にも変化が出てきます。

脂漏性皮膚炎のうつ伏せ鍼灸治療

 

脂漏性皮膚炎は慢性化しやすい症状ですから、治療も2~3か月ほどのスパンで長期的な視点でみていただく必要があります。

鍼灸治療で自律神経のバランスを整え、皮膚の新陳代謝を高めることで免疫力も高まり、症状を改善していきます。

理想をいえば、西洋医学の薬物治療と鍼灸治療を併用して行えるとより効果的かつ症状の改善もはやいでしょう。

 

頭皮での脂っぽいフケや皮膚の赤み、Tゾーンや頬周りの赤ら顔。痒みやかさつきも気になりますが、周りからの視線も嫌になりますよね。

脂漏性皮膚炎がなかなか良くならないという方

お気軽にご相談ください。

 

脂漏性皮膚炎の鍼灸治療症例

 

40代男性

 

二年ほど前から脂漏性皮膚炎を発症し胸部、前頸部、顔面部、頭部に湿疹が出ている。皮膚科にて処方された塗り薬を塗り続けているがなかなか改善されない。頭皮はかさぶた状に

なっている部分と痒みがあり掻くとフケが出るようになっている。

食事、生活習慣等自分でできることは気を付けるようにしているものの、徐々に症状が重くなってきていると感じており、鍼灸治療も試してみたいとのことで来院される。

 

当院での治療

 

自律神経測定器の結果交感神経が過亢進状態でバランスに大きく乱れがみられました。うつ伏せで自律神経、内臓機能調整、頭部、顔面部の血行促進のため、首肩周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与えました。仰向けで自律神経調整と胸部、顔面部、頭部のツボを用いて患部の血行を促進させ皮膚のバリア機能を高め、抗炎症作用を促しました。また、頭部には梅花鍼という刺さない鍼も併用していきました。

 

1回目

特に変化はない

 

2~4回目

大きな変化は見られないが赤みが以前よりは落ち着いてきたように思う。

 

5~7回目

赤みは引き続き抑えられてはいるが湿疹はまだ変化ない。

 

8回目

胸、首、頭部の湿疹が徐々に減少してきている。赤みと痒みも以前よりは抑えられている。

頭皮のかさぶたが半減程度になってきている。フケも減少傾向にある。

9回目

湿疹以前は胸から上部全体だったのが、現在は顔面部の鼻、頬の辺りに湿疹があるが、ほかの部分は八割ほど消失してきている。

 

10回~12回目

顔面部も徐々に湿疹減少してきた。前胸部、前頸部、頭部はほとんど湿疹消失した。

 

13回~15回目

顔面部の湿疹もほとんど気にならなくなってきた。若干の赤み、痒みはある。

 

16~17回目

顔面部の湿疹もほぼ消失した。

 

脂漏性皮膚炎とは

 

脂漏性皮膚炎は読んで字のごとく皮脂が漏れ出すことによっておこる皮膚炎の症状です。

当然皮脂分泌の多い頭部や顔面部(Tゾーン)に多く発症し、かさぶたのような赤い湿疹や、フケのような付着物を伴う湿疹が現れるのが特徴的な皮膚炎です。

適切な治療をせずにいると、症状が悪化したり、慢性化して何度も繰り返すことなども多い疾患です。生後3か月くらいまでの赤ちゃんと思春期以降の成人にかかりやすい疾患だといわれています。

 

脂漏性皮膚炎は脂漏性湿疹とも言い、頭にできた場合ですと、フケ症と勘違いしてしまうかたも多いようです。

また皮脂が酸化されて加齢臭のような匂いを放つ原因ともなります。

 

脂漏性皮膚炎の原因

 

皮脂の中に含まれるトリグリセリド(中性脂肪)が、真菌の異常増殖などによって分解されて、それにより生じる遊離脂肪酸(代謝物)が、皮膚を刺激して炎症をひきおこすと考えられています。

他にも原因についてはわかっていない部分もおおくありますが、

寝不足やストレスのほか不適切な洗顔や洗髪での洗いすぎやすすぎ残しもあげられます。

脂漏性湿疹は皮脂分泌が多い男性の方が罹患率が高いです。(男性ホルモンが皮脂分泌を促進するため)

しかしながら女性でもホルモンバランスの乱れなどによっておこることも珍しくありません。

また赤ちゃんは皮脂の分泌が豊富なことと毛穴に皮脂がつまりやすいため炎症を起こしやすく脂漏性皮膚炎にかかりやすいとされています。

そのほかマラセチアという真菌が異常増殖することによって起こるとも考えられており、マラセチアは靱帯の皮膚に常在する菌で皮脂が多い環境では異常増殖し、マラセチアの代謝物によって炎症を引き起こすとも考えられています。よくアトピー性皮膚炎とも間違われますが、脂漏性皮膚炎は皮脂の多い箇所に出ることが特徴なのでアトピー性皮膚炎では出やすい膝裏や背中などにはできにくく、皮脂の多い頭部や鼻周囲などにできやすいのが特徴です。

・アトピー性皮膚炎の鍼灸治療について

脂漏性皮膚炎

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

お問い合わせはこちらから
メールでのお問い合わせはこちらから