寒冷蕁麻疹の鍼灸治療

室内から室外へと出る時または室外から室内に入る際など、肌が敏感な方に起きる疾患の一つとして寒冷蕁麻疹という疾患があります。
寒冷蕁麻疹とは温められた体が急に冷やされることによって全身に蕁麻疹がおこり、強いかゆみや赤みが生じます。
寒冷蕁麻疹は日常生活の中で様々な場面で起きてしまう可能性があります。寒冷蕁麻疹がよく起きてしまう場合として

 

・冬に暖房のきいた室内から室外に出るとき
・お風呂から出て脱衣所などで体が冷えたとき
・ジョギングなどの運動をした直後に汗で体が冷やされたとき
・暖房で温められた室内で厚着をして汗をかき、体が冷やされたとき

 

などが挙げられます。また、あまりピンと来ないかもしれませんが夏場でも寒冷蕁麻疹が起きる場合があります。

 

・夏場にアイスや冷たい飲み物を飲んで体が冷やされたとき
・エアコンの冷気が直接身体にあたっているとき
・水温の低いプールに入ったとき

 

 

夏場の場合でも寒冷蕁麻疹が起きる可能性があるのです。

寒冷蕁麻疹

 

 

 

寒冷蕁麻疹の東洋医学的考え

 

東洋医学では蕁麻疹の状態を瘀血といいます。瘀血とは、循環の滞りや脈からはみ出した浸出液のことを指します。東洋医学では瘀血の状態の原因となるのは多くの原因が考えられています。循環に大きな影響を与える要因は多種多様あり、気虚・陽虚・血虚・陰虚など様々です。その中に寒凝(寒冷による血管の収縮・血管凝固・血栓)も含まれます。

 

よって東洋医学でも寒さ・冷えによって循環が滞り、発疹ができると考えられているのです。

また循環が滞ることによって津液不足や血が足りない血虚という状態となり、慢性の栄養不良となることで皮膚のかゆみや乾燥、筋肉の衰えなどの症状が出るのです。

 

 

寒冷蕁麻疹に対する当院の鍼灸治療

 

当院の寒冷蕁麻疹に対する施術は、第一に発疹の起きている周辺もしくはその周辺の経穴に鍼やお灸を施して皮膚の炎症をおさえる作用を促します。

寒冷蕁麻疹のお灸治療

 

かゆみの強い場合は電気鍼療法を用いることでかゆみを抑える効果が期待できます。

寒冷蕁麻疹の鍼通電治療

電気鍼療法は、刺激の量が強いため鍼に慣れていない方には行うことはありませんので安心してください。
またアレルギー性結膜炎は肝の機能や東洋医学でいう風邪と深く関係していることが考えられていますので、肝に関連の強いツボを多く用います。肝の陽気が過亢進して頭の方へのぼっていくことで症状を起こしているとも考えられるので肝の陽気を抑えて下げる治療もする必要があります。

風邪は五臓六腑のから侵入することが多いので肺に関するツボも刺激していきます。

 

寒冷蕁麻疹に対する肺経への鍼灸治療

 

また東洋医学の全身の状態を診て治療していくという特徴によって当院でも全身の調整施術を行っていきます。自律神経の状態を整えていくこも寒冷蕁麻疹を治療していく上で重要だと考えます。

自律神経を整える全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めます。

 

寒冷蕁麻疹の鍼灸治療症例

 

30代女性

一か月程前に日課のジョギングの後、手足首周囲に膨疹と痒みが出現。数時間で消失したが、それから寒い環境にいると同じような症状が良く起こるようになった。皮膚科にて皮膚科にて寒冷蕁麻疹との診断を受け、ヒスタミン薬とかゆみ止めの塗り薬を処方されるも根本的には改善されていない気がする。
体質的に冷え症で去年から職場が変わり仕事が多忙になったり、人間関係のストレスや睡眠不足、疲労の蓄積があると感じている。

当院での治療
自律神経測定器の結果副交感神経が過亢進状態でバランスに大きく乱れがありました。
副交感神経が過亢進状態になることで免疫機能が過亢進となり、炎症反応も起こりやすくなると考えられるため自律神経系の調整を主に炎症反応の起きている腕や下肢のツボや、東洋医学的観点から五臓六腑の肺や肝のツボを取り入れ治療を行いました。

一回目
特に大きな変化ないが施術当日は体が温まりよく眠れた。

二回目
前回施術後2,3日は膨疹出なかったが、昨日バス停で冷たい風にさらされたせいか夜から膨疹出現した。

三回目
末梢の冷えが少し改善されたと感じる。蕁麻疹も来院する前よりは良くなっていると感じる。

四回目
蕁麻疹出る頻度が減少してきた。しかし、残業が続いたり、食事の質が低下すると出現する日もある。以前と比べ睡眠の質が良くなった。

五回目
ここ一週間はとても調子が良い。一回だけ蕁麻疹出た日があったがそれ以外は全く気にならなかった。

六回目
天気のせいもあるのか比較的良い状態続いている。

七回目
数日寒い日もあったが、一回だけ膨疹出現するも2~3時間で引いた。以前よりも症状自体が軽くなっていると感じる。末梢の冷えも以前より良いと感じる。

八回目
前回治療後からは寒い環境下でも蕁麻疹出ていない。冷えもあまり感じなくなってきている。体調面安定してきたので一度間隔を伸ばしてみる。

九回目
蕁麻疹引き続き出ていない。最近仕事がハードで首肩こり、腰痛等全身的な疲れが気になるとの事でメンテナンスもかねて施術希望。

 

なぜ寒冷蕁麻疹が起きるのか

なぜ寒冷蕁麻疹が体に起きてしまうのかということは細かい部分まではわかっていないのが現実です。しかし、寒さが何かしらの引き金となり皮膚の血管周囲にある肥満細胞が反応して赤みやかゆみの原因となるヒスタミンを放出すると考えられています。

肥満細胞は寒冷蕁麻疹にかかわらずあらゆる蕁麻疹に関係していると言われています。

肥満細胞と名だけ聞くと肥満になってしまう細胞かと思われますが、別に体が太る肥満とは何ら関係もありません。肥満細胞の名の由来は様々な諸説がありますが、肥満細胞が発見されたときに肥満細胞がヒスタミンを含む顆粒をたくさん抱えている様が名の由来とされています。

肥満細胞は、皮膚の血管周囲ばかりでなく、気管支や鼻の粘膜にも存在します。肥満細胞の役割は外部からの異物を体外に排出する重要な免疫反応です。
身体に異物が侵入すると肥満細胞の表面に抗体ができそ、それが異物と結びつくと肥満細胞はヒスタミンなどの物質を放出します。ヒスタミンは血管を拡張させる作用があり、血管から浸出液が飛び出すことによって皮膚が赤く腫れあがるのです。またヒスタミンは炎症作用やかゆみ・咳・鼻水・くしゃみを引き起こします。
花粉症や食物アレルギーの増加などから肥満細胞による免疫反応は身体に害をもたらすと考えられがちですが、身体が正常な反応を起こせば身体にとって異物を体外に排出する重要な役割があるのです。

しかし、近年では身体が花粉や食物など様々な物質に過剰に反応することが多くなっています。寒冷蕁麻疹もその一種だと考えられます。
寒冷蕁麻疹の場合は、異物も侵入してきていないのに身体が異物が侵入してきたと判断して免疫反応を起こしていることから体の異常な反応だと言えます。

アトピー性皮膚炎について詳しくはこちら

寒冷蕁麻疹にかかる人の特徴

当たり前ですが、暖房のきいた室内から室外に出た際に寒冷蕁麻疹が起きる人と起きない人がいます。寒冷蕁麻疹にかかりやすい人には特徴がいくつかあります。
・体温が低く、冷え性の人
・手足の血行が悪く、手足がいつも冷えている人
・痩せ型の体型の人
・汗をよくかく人
・自律神経のバランスが乱れがちな人

などが挙げられます。日々の生活習慣の乱れや仕事でのストレスで体温の低下血行不良自律神経のバランスが乱れている方が多いように感じます。
寒冷蕁麻疹は近年増えてきた一種の現代病だと考えられます。

寒冷蕁麻疹

蕁麻疹が出てきたら

蕁麻疹が出てきたらまず病院で検査を受ける必要があります。発疹を見て何がアレルギー反応の原因となっているかわからないためです。今はペットを飼っている人が多く動物アレルギーであったり、食物アレルギーであったりと判断が難しくなっています。
アレルゲン検査をして原因が特定できない場合もあります。その場合、寒冷刺激も蕁麻疹を引き起こしている一つの原因として挙げられるのです。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 18:42 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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