尿閉の鍼灸治療

 

尿閉の東洋医学

東洋医学では尿閉、または排尿困難の状態を「癃閉(りゅうへい)」といいます。癃は、小便が出にくく出ても点滴して出ることを表し、緩慢に発症するという特徴があります。

閉は小便が全く出ないこと(小便不通)を表し、急性に発症するという特徴があります。

東洋医学では尿は腎が体に不要なもの(濁)を気化作用により膀胱に送り、膀胱から体外に排出されるものをいいますが、癃閉の発症の多くは五臓六腑の脾、肺、腎、三焦の機能が関わっていると考えられており、肺熱、膀胱湿熱、肝鬱、血瘀、脾気虚、腎陽虚などが原因で起こると考えられています。

 

 

尿閉に対する当院の鍼灸治療

 

排尿は膀胱や尿道括約筋が脳や自律神経などによりコントロールされることで行われています。

そのため、過度のストレス疲労生活習慣の乱れなどにより自律神経のバランスが乱れることが尿閉の原因の一つとなると考えれています。そのため、当院では自律神経測定器にて自律神経のバランスを計測し患者様のお身体の状態を把握した上で治療に移ります。

 

 

治療内容は自律神経系を整えるツボや、膀胱や尿道括約筋の支配神経に関連する下腹部、腰仙部にあるツボに鍼やお灸で刺激を与え、排尿機能、全身の血行促進、内臓機能調整、免疫力を高める作用を促し、自然治癒力を高める治療を行うことで症状の緩和、改善を図ります。また、東洋医学的観点から脾、肺、腎、三焦の機能を高めるツボも用います。

 

尿閉のうつ伏せ鍼灸治療

 

 

尿閉とは

体外に排出されるはずの尿が、膀胱の機能低下や何らかの問題により膀胱内に貯留して排出できない状態を尿閉といいます。全く排尿できないものを完全尿閉といい、少しは排尿できるもののほとんどは膀胱内に残っている場合を不完全尿閉といいます。

また、尿閉には急性と慢性のものとがあります。

 

急性尿閉

膀胱内には尿が充満しているにもかかわらず、急に尿が一滴も出なくなり下腹部が腫れて苦しい、強度の不安感が生じ冷や汗などがみられます。

 

慢性尿閉

下部尿路閉塞が慢性的に経過し、それに伴い残尿が多くなり膀胱内には尿が充満し、尿意を感じなくなり尿が少しずつ漏れる状態です。尿も少しずつでも出ているので本人の自覚は軽いものが多いといわれています。放置すると上部尿路内圧が上昇し腎不全に陥る場合があります。

 

 

尿閉の原因

 

・下部尿路の通路障害によるもの

男性の場合、前立腺肥大症や前立腺癌、尿道狭窄のために尿道が細くなっていたり、尿道に結石が詰まっていることが多いです。中でも最も多いのが前立腺肥大によるものです。

女性の場合腹圧性失禁に対する手術、骨盤臓器脱に伴う尿道の屈曲や下垂した直腸や子宮による膀胱頸部への圧迫、子宮や卵巣の腫瘍の膀胱への圧迫や浸潤などにより尿閉が生じる場合があります。

・排尿筋、括約筋協調不全(膀胱収縮と括約筋弛緩の調整の欠如)

 

・膀胱の神経障害によるもの

膀胱を中心とする下部尿路を支配する末梢神経や脊髄、または行為中枢における神経系が何らかの原因で器質的に障害されたものです。糖尿病や脊髄損傷などに起因する神経因性膀胱があげられます。

 

・薬剤の影響によるもの

排尿障害をきたす薬剤には、最も多いものとして副交感神経遮断作用の強い胃腸薬と複合感冒薬中の抗ヒスタミン薬や解熱、鎮痛薬、一部の抗うつ薬などがあげられます。その他にも膀胱利尿筋の収縮力を減弱させる薬剤(副交感神経遮断薬、平滑筋抑制薬、βアドレナリン刺激薬)や膀胱出口の圧を高める薬(αアドレナリン刺激薬やβアドレナリン遮断薬)があります。

 

 

・その他の原因によるもの

手術後や膀胱鏡検査施術後では疼痛や緊張のために腹圧がかけられずに尿閉になることがあります。また、重度の便秘により便が直腸を満たすことで膀胱を圧迫することなども原因として挙げられます。

 

 

 

尿閉の症状

排尿ができない、または排尿困難が挙げられます。膀胱が拡張することで下腹部の強い張りとその部分に痛みを伴うことがあります。

また、合併症による発熱や腰痛、尿閉による不安やストレスから頻脈、血圧上昇などが起こることもあります。不完全尿閉では頻尿や尿失禁が見られることがあります。長時間の尿閉は尿路感染症の原因となるほか、膀胱圧を上昇させることで閉塞性尿路疾患を引き起こす事もあるため注意が必要です。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 14:12 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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