目のかゆみの鍼灸治療

目のかゆみの東洋医学的考え方

医学では目のかゆみは「」「」の弱りから体内の水分のバランス異常(水滞、水毒)が関与している他、五臓六腑の「肝」や「肝」の働きを補う「」の弱りと考えられています。

目のかゆみに対する当院での鍼灸治療

自律神経測定器にて自律神経のバランスを計測し、お身体の状態を把握した上で治療へ移ります。

目の周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与えることで血液循環を促進し、結膜の炎症物質の代謝を促すとともに、自律神経のバランスを整えるツボや内臓機能調整のツボを用い免疫機能を整えることで、症状の緩和を図ります。

目のかゆみの全身調整鍼灸治療

また、目の不調がある方には首や肩の筋が緊張されている場合が多く、顔面部の血行を促進する意味でも首肩の施術も合わせて行います。
また、東洋医学的観点から「脾、胃、肺、肝、腎」の機能調整をバランスよく行うことによって目のかゆみに対してアプローチを行っていきます。

 

目のかゆみの鍼灸治療

目のかゆみ

目のかゆみは主にまぶたや結膜(白目)についた異物の刺激や、異物に対するアレルギー反応、まぶたや結膜の炎症反応として起こります。

 

目のかゆみの原因となる疾患と症状

結膜炎の原因としてはアレルギー性、非アレルギー性のものがあります。

 

・アレルギー性結膜炎

外部からのアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)により炎症が起こる症状です。

①季節性アレルギー性結膜炎

一年の特定の時期だけにある決まった植物の花粉が原因となって発症します。日本では2月~5月に多く飛散するスギやヒノキの花粉が主な原因です。

アレルギー性結膜炎の患者は推計約2000万人いるとされ、その約85%は花粉が原因といわれています。アレルギー性結膜炎の場合目のかゆみの他に充血、目やに、涙、異物感、まぶたの腫れなどの症状が起こります。

 

・アトピー性結膜炎・春季カタル

アトピー性皮膚炎を伴うアレルギー性の結膜炎をアトピー性結膜炎と呼びます。アレルギー性結膜炎と同様の症状が出る上にまぶたの皮膚が厚くなったり感染を起こしたりするので、まばたきや涙の角膜保護作用が低下し、点状表層角膜症や角膜びらんなどといった角膜上皮障害を伴う場合があります。

また、季節の変わり目、特に春から夏にかけて起こる重度のアトピー性結膜炎を「春季カタル」と呼びますが、「春季カタル」の患者の実に70%以上がアトピー性皮膚炎が見られるといわれています。
病名にある「カタル」とは粘膜に炎症が起きて多量の粘液を分泌する状態です。春季カタルは結膜に炎症が起こり、かゆみの他白っぽい糸を引くような目やにが出たり、まぶたの裏側の結膜に隆起(石垣状乳頭)が出来てゴロゴロしたり、涙があふれる、点状表層角膜症、角膜びらん、角膜の混濁、血管侵入などの重い角膜症状を合併して視力にも影響を及ぼします。

 

②通年性アレルギー性結膜炎

一年中存在するアレルゲンが原因となり炎症を起こす病気です。ハウスダスト、ダニなどが主な要因となって発症します。コンタクトレンズの汚れ、ペットの毛、フケ、カビなども原因となることがあります。自覚症状として目のかゆみが特徴です。症状が軽い場合他の症状が無いことも多いのですが、炎症がひどくなると結膜や白目の充血、涙、目やにが出るなどの症状起こってきます。

 

アレルギー性結膜炎で目のかゆみが起こる仕組み

開いている眼は飛んできたアレルゲンが入り込みやすく、またアレルギー反応を引き起こす免疫細胞がたくさんあるのでアレルギー症状が起こりやすい部位です。

同じく外部から病原体が入り込みやすい口や鼻などは粘膜で覆われており、同じく目も異物から守るために「結膜」という粘膜で覆われていますが、この粘膜には異物から体を守るために作り出される「抗体」を作ることができる細胞が多く存在しており、この「抗体」によって異物を的確に、かつ効率よく排除できる免疫システムによって私たちの身体は守られているのです。

アレルギーはこの免疫システムが過剰に働いてしまった結果起こる症状です。通常であれば害のないはずの花粉やハウスダストに身体が反応してしまい、これらの物質を排除するために抗体を作ってしまうのです。作られた抗体が血液や粘膜内にある「肥満細胞」の表面にくっつくとかゆみを引き起こす「ヒスタミン」という物質が分泌されます。この「ヒスタミン」が知覚細胞を刺激して脳に「かゆい」という情報を伝えるためかゆみが起こります。

 

・感染性結膜炎

感染性結膜炎は「細菌性結膜炎」、「ウイルス性結膜炎」に分けられますが、特にアデノウイルスが原因となるウイルス性結膜炎は「はやり目」とも呼ばれ、非常に感染力が強く注意が必要です。症状として目がゴロゴロする、涙が出る、充血、目やにが出るなどが挙げられます。

 

③その他目のかゆみを生じる原因

ものもらい(麦粒腫)

まぶたの縁に黄色ブドウ球菌が感染することで起こり、痛みやかゆみを伴う病気です。

 

ドライアイ

長時間のパソコンでの作業などが原因で引き起こされるドライアイは涙の量が減って目が乾燥するだけでなく、痛みやかゆみを感じることがあります。また、ドライアイとアレルギー性結膜炎を同時に患う方も少なくありません。

 

 

西洋医学的治療

アレルギー性結膜炎

抗アレルギー点眼薬、症状がひどい場合はステロイドの点眼薬の処方が一般的です。アトピー性結膜炎、春季カタルも同様ですが、目の表面の治療と共にまぶたの皮膚炎の治療も合わせて行います。症状が重い場合、ステロイド懸濁液を結膜下に注射したり、免疫抑制剤の併用や乳頭外科的切除、角膜掻爬を行うこともあります。

感染性結膜炎

細菌性結膜炎の場合は病原菌に対して有効とされる抗生物質、抗菌剤の点眼薬の処方により症状が改善しますが、ウイルス性結膜炎の場合、現在特効薬はありませんが、炎症を抑えるための非ステロイド性抗炎症点眼薬などが使用されます。感染したウイルスに免疫ができて自然に治るのを待つしかないのです。ウイルス性結膜炎では感染してから抗体ができ、ウイルスを排除するまで時間がかかるので治癒までは2~3週間程度といわれています。

ものもらい(麦粒腫)

抗生物質(点眼薬、内服薬、塗り薬)などによる保存療法が一般的ですが、保存療法で治らない場合、切開排膿により膿を排泄することもあります。

ドライアイ

症状が軽い場合は点眼薬の処方が一般的ですが、点眼薬では改善されない場合、涙点プラグという涙の出口の腺に栓をすることで涙の排出を抑制して目の表面の涙の量を増やすことで症状を改善させる方法が選択される場合があります。

 

症例

もともと花粉症で春先になると鼻水や目の痒みがつらかったが、今年はさらに状態がつよくでてしまい、特に目の痒みが辛くて充血もしていた。
朝目覚めると目やにが出ていて上まぶたと下まぶたがくっついてしまうような状態でした。
目薬をするとある程度治まりますが、緑内障も患っておりあまり強いステロイドの目薬をすると眼圧が上がってしまうということを医師に言われたためあまり点眼をしたくないということで当院にご来院されました。

施術

花粉症などのひどいアレルギー反応は体に免疫異常が起こっている可能性も考えられますので体の免疫機能を主っている自律神経の状態も整えていく必要があります。
初診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定して自律神経のバランスを整える施術も行っていきました。

そのほか主に目や鼻周りのツボを用いて目の痒みや鼻水に対してアプローチを行っていきました。
施術後は鼻の通りが良くなりましたが一回の治療ではまだ目の症状に変化が見られなかったため一週間ごとに3回ほど施術を行い、徐々に効果が表れ始めて目の充血がなくなってきました。

目の痒みもひどいころに比べると半減して朝の目やにもなくなり、だいぶ日常生活も楽に過ごせるようになりました。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 16:54 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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