当院の腸脛靭帯炎の治療はまず第一に炎症部位を特定してその部分に鍼やお灸を施すことによって炎症を早く抑える治療を施します。
また、痛みが強く出ている場合は鍼に電極をつないで電気を流す鍼通電療法を行う場合もあります。鍼通電療法は炎症を抑えてなおかつ痛みを抑制するのに効果的です。
また、腸脛靭帯炎は大腿筋膜張筋と大殿筋の柔軟性も重要です。腸脛靭帯炎で悩まされている方の多くは、この大腿筋膜張筋と大殿筋にコリや過緊張状態が見られます。その部分に鍼やお灸、マッサージやストレッチ療法を用いていることで弛緩させます。
2つの筋肉の緊張度が高いと腸脛靭帯炎の治りは遅くなってしまうのです。その他もも前の筋肉である大腿四頭筋が張っている場合でも膝蓋骨の可動性が悪く、膝に負担がかかってしまってそれと連動して大腿筋膜張筋が過緊張状態を引き起こしてしまっているケースもあります。
そういった場合は、大腿四頭筋の筋緊張も取り除いていく必要があります。
腸脛靭帯炎で痛みが慢性化していて痛みを我慢してランニングをしている方も多く見受けられます。その場合は、痛みをかばいながら走るためふくらはぎ・アキレス腱や前脛骨筋などの下腿全面の筋肉に負担がいってしまいその部分の筋緊張が強く出ている場合もあります。症状が出ている逆の足にも負担が行っている場合もあり、総合的バランスを見て治療していく必要があります。
腸脛靭帯炎は、一回の治療ですぐに治る場合もありますが、多くは慢性化していて慢性化している場合はそれだけ施術期間はかかってしまいます。
膝の痛みや桃の外側に違和感を感じたらすぐに専門機関で診てもらい治療を開始する必要があります。
腸脛靭帯とは太ももの外側にある靱帯です。腸脛靭帯は大腿筋膜張筋の延長線上にある靱帯であり、大腿筋膜張筋は腰骨から始まり腸脛靭帯に付着します。最終的には足のすね部分の大きな骨である脛骨に腸脛靭帯は付着します。
大腿筋膜張筋の働きとして股関節を体感に向けて曲げる・外側に開く・足先を外側に向けるなどの動作があります。 よって大腿筋膜張筋は歩行やランニングの際によく使われる筋肉であり、歩きすぎや走りすぎなどのオーバーユースによって痛めることの多い組織です。走りを伴う競技を行っている人の約20人に1人は腸脛靭帯炎で悩まされているともいいます。
また、大腿筋膜張筋はお尻の筋肉である大殿筋とも連動しており、大殿筋の筋収縮が起こると一緒に引っ張られます。大殿筋も股関節の動き、ももを背中側に伸ばす・足先を内側に向ける作用があるために歩行時や走る時によく使われる筋肉です。お尻の筋肉は主に大殿筋・中殿筋・小殿筋とがあり、その名の通り大殿筋が一番大きな筋肉で表層にあります。
腸脛靭帯炎の痛みが出る箇所は、膝外側によく現れます。腸脛靭帯はももの骨の大腿骨の外側に位置しており、膝の曲げ伸ばしにより大腿骨の前方や後方に移動します。その際に大腿骨外側の部分に擦れて摩擦が生じてしまい、それが腸脛靭帯炎の痛みにつながってしまうのです。
腸脛靭帯炎の症状 前述したとおり腸脛靭帯炎の一番痛みが出る部分は膝上の外側部分です。その他にもまれに股関節付近にも痛みが出る場合があります。
・歩行時や走っている際にだんだんと膝の上外側が痛くなってくる
・連動して股関節も痛くなってくる。 ・階段の上り下りで膝の痛みを感じる
・膝の曲げ伸ばしでも痛みを感じる
このような場合、腸脛靭帯炎の可能性があります。しかし、腸脛靭帯炎はレントゲンでは診断できず、MRIを使ってもわからない場合もあります。
腸脛靭帯炎の痛みの症状の初めは、走り出して少し膝の違和感を感じる程度が多いです。そして、だんだんと痛くなってきて走ることがままならくなってきます。痛みをこらえてランニングなどを続けていると炎症がどんどんとまして痛みが強くなってくる場合も多く、症状が進行すると日常生活の歩行などで支障が出てくる場合もあるので注意が必要です。
腸脛靭帯炎の原因は、主に歩行のし過ぎや走りすぎなどのオーバーユース、運動前のストレッチ不足です。運動前にしっかり大腿筋膜張筋を伸ばしておかないと筋肉の柔軟性が損なわれてしまい、大腿骨外側との摩擦が生じやすくなってしまうのです。このことから長距離ランナーなどの陸上部の学生などが腸脛靭帯炎で悩まされている場合が多いです。
その他にも近年の健康ブームにより初心者ランナーにも最近多くみられる症状のうちの一つです。走る筋力がまだあまりついておらず、靱帯への負担が大きくなっているパターンです。
その他、O脚の人や靴底の外側がよく擦り減ってしまうという方も腸脛靭帯炎になりやすいといわれています。それは、O脚や足が内反していることで大腿部分から下腿部分にかけて外側の筋肉や靱帯が外側に引っ張られやすいためです。そのため、大腿骨外側との摩擦が生じやすくなってしまうのです。
またO脚の方の多くは、変形性膝関節症も患っている場合があります。変形性膝関節症は、よく膝の内側の軟骨が擦り減ってしまい関節のクッションの役割が十分に果たせないために膝を動かすときの痛みとなったり、炎症が起きて膝に漿液が溜まってしまうのです。
腸脛靭帯炎の一般的治療 腸脛靭帯炎の一般的治療は、オーバーユースが原因で発症していた場合、練習を中止して絶対安静が基本です。運動後痛みが出た場合は炎症を早く消失させるために氷水で冷やします。医療機関で行われる処置は、消炎鎮痛薬のシップや内服薬が処方されたり、電気療法や温熱療法などが行われます。ごく稀ではありますが、ステロイド注射や手術が行われる場合もあるようです。
また、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯の部分をストレッチで柔軟性を保つのも腸脛靭帯炎を予防・回復させるためには重要です。特に運動前と後に入念に大腿筋膜張筋と腸脛靭帯を伸ばすことは予防のの観点で大切です。
その他よく見られるスポーツ疾患
症例
20代 男性
大学で陸上の長距離をやっていて、2週間前から膝から太ももの外側にかけて鈍痛が気になり始めた。病院で診察を受けたところ骨に異常はなく、腸脛靭帯炎と診断された。
最初は練習後に痛みが出現する程度だったが、徐々に痛みが強くなり、今は安静時でも痛みが続くようになってきた。階段の上り下りや、立ち上がり動作、しゃがむ動作で痛みが生じる。
特に痛いのは膝の外側で、圧痛や熱を感じる。
少しでも早く競技に復帰したいと思い、当院を受診した。
当院の施術
患部の状態を確認し、炎症の度合いに適した施術を行いました。
患部には施灸、患部周辺には刺鍼を行い抗炎症を促します。
また、腸脛靭帯やそれに繋がる大腿筋膜張筋、大殿筋にも刺鍼し、そこに電極をつないで電気を流す低周波鍼通電を行い筋緊張を緩めていきました。
通院間隔は週に1~2回ペース。
経過
1回目~2回目
まだ変化はない。
3回目~4回目
以前より鈍痛が軽減してきた。
熱感も引いてきたのが分かる。
5回目
安静時には痛みは気にならない。
階段を上ったり、立ち上がりに痛む。
6回目
階段の上り下りやしゃがみ立ち上がり、歩行といった日常生活ではあまり気にならなくなってきた。
7回目
日常生活では痛みはない。
軽く走ってみたらまだ少し鈍痛が出るが、確実に良くなっている。
走りたい気持ちを抑えてまだ練習は中止している。
8回目~9回目
400mだけゆっくり走ってみたら、痛くなかった。
徐々に距離を伸ばしていく予定。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 10:00 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)