東洋医学では、乳汁の産生がうまくいかない状態と、乳汁産生はうまくいくが分泌がうまくいかない状態のどちらかによるものと考えます。
乳汁産生減少には、気や血が足りていないと考え、気血両虚と証をたてます。もともと気血不足の体質の方や、分娩時に多量の失血、長時間の陣痛などにより体力が下がってしまったためにおこることがあります。
分泌がうまくいかない状態は、気の巡りが悪い場合があります。妊娠から分娩後のストレスにより肝の気が溜まってしまい上手く分泌できないと考えます。肝鬱気滞と証をたてます。
乳汁分泌の鍼灸治療として、胸や背部などの経穴を使います。乳根・雲門・中府・檀中・天窓を主に使用して、証に合わせて他の経穴を増やしていきます。
気血両虚では、足三里・中かん・気海・三陰交・膈兪・脾兪などです。
肝鬱気滞では、太衝・合谷・肝兪・百会などです。
当院では、自律神経測定器で身体のバランスを調べた後にその方その方に合った治療方法で施術します。
自律神経測定器では、交感神経と副交感神経のバランスや肉体的ストレス・精神的ストレス・疲労度を調べられます。
この情報を元に身体のバランスがとれるよう鍼灸治療します。乳汁分泌不全はストレスが原因になることもあります。鍼灸治療は自律神経を整えるのに優れた治療方法で、ストレス解消にも良く効きます。
鍼灸治療は、身体が本来持っている自然治癒力を高める治療であるため非薬物療法になります。そのため母親や乳児への影響も心配ないです。
乳汁分泌不全における鍼灸治療は、乳房マッサージや生活を見直しても効果が出づらい場合などの補完的役割になります。
当院では、個室完備ですのでプライベートも保たれて、リラックスした気分で治療を受けられます。また、当院には女性鍼灸師が在籍しております
小一時間ほど鍼灸治療を受けられた後は、効果を実感していただけられると思います。
乳汁分泌不全は、ストレスや生活習慣も深く関係しているため当院ではしっかりと時間をかけて問診していきます。
その次に自律神経測定器で自律神経の状態を計測していきます。自律神経の乱れも乳汁分泌不全の原因となる可能性があります。
また、東洋医学的観点より診察をして東洋医学の病証である「証」を決定していきます。
問診内容・自律神経の計測結果・東洋医学の証これらをふまえて総合的な鍼灸治療をしていきます。
20代後半 女性
乳汁分泌不全にて来院。一日8回授乳、乳量は右乳10cc左乳30ccとの事。
乳房マッサージは二週に一度通われているがあまり変化は見られないので当院にご来院された。肩こりの訴えもあり。
当院の治療
育児のストレスや疲れを抱えており、自律神経測定器で自律神経の状態を計測した結果、自律神経が乱れている状態でしたのでまず、自律神経を調整する治療を行った後、肩周囲の筋肉と胸筋の筋緊張を緩める治療を行い、東洋医学的観点からも治療していきました。
最後に乳管の詰まりを感じる部分、その周囲にお灸と刺さない鍼(ローラー鍼)で周囲の血行を良くする施術を行いました。また、乳房マッサージの頻度が二週に一度との事でしたので、毎日入浴後に自身にてマッサージをして頂くよう指導しました。
治療経過
◇一回目◇
右の乳量が少し増えたが左はあまり変化なし。
◇二回目◇
右はまた少し乳量が増加した。左も少量ではあるが増えてきているとのこと。
◇三回目◇
乳量が二倍~三倍に増えた。
◇四回目◇
鍼治療の翌日はとても出が良いが間が空くと乳量が少なくなっていると感じる。
◇五回目◇
乳量が安定して出てくるようになった。
乳汁分泌不全とは、分娩後の数日で自然に分泌される乳汁が分泌されない状態や充分に乳汁が分泌されない状態をいいます。一回の哺乳で約60mlの分泌量が充足量だと言われます。
赤ちゃんにとって乳汁は最も理想な栄養になります。授乳は積極的に勧めたいものです。
乳汁不全には、分泌不足も含まれますが、病院などでは病気の概念には入れていないこともあります。
原因には、乳汁の産生が少ないことや、分泌が充分でも射乳ができないことで不全になることがあります。
陥没乳頭などの形の異常があると赤ちゃんが上手く吸えなくなるため乳汁の産生が充分でも分泌不全になります。
乳汁の産生にはプロラクチンというホルモンが乳腺細胞に作用して乳汁の産生を促します。射乳にはオキシトシンというホルモンが乳腺の筋上皮細胞に働きかけて乳汁の排出を促します。これらのホルモン産生が不十分だと乳汁分泌不全になります。
乳汁分泌不全は真性と仮性にわけられます。
真性乳汁不全は、
・乳腺欠損
・乳腺発育不全
・内分泌の異常
・下垂体機能障害
などになります。
仮性乳汁不全は、
・産婦の母乳栄養に対しての意識の低さ
・赤ちゃんの未熟性による吸啜障害
・扁平乳頭や陥没乳頭などにより赤ちゃんが吸引できない
などがあります。
乳汁分泌不全の多くは仮性によるものです。
また、ストレスや栄養不足、生活習慣の乱れからも分泌に関係します。そのような場合は、ストレスから避けるようにすることと、日常生活や食生活の改善も必要になります。
検査方法には、乳児の体重測定や母親の乳腺炎を調べます。乳児の健康診断を行うこともあります。栄養状態や体重の管理などです。母親は乳腺炎がないか炎症反応などの血液検査などを行います。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 15:04 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)