メニエール病の鍼灸治療

メニエール病に対する当院の鍼灸治療

 

当院のメニエール病に対する施術は、第一にハリやお灸を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えることです。当院のはり灸施術は、交感神経を抑制し副交感神経の働きを促すばかりでなく、双方の神経の活動量を高めて自律神経のバランスを整えることが研究結果でも出ています。当院では自律神経測定器で自律神経脳状態を知った上で施術致します。

 

メニエール病の鍼治療

また内耳の血流不足によるむくみを改善するという点から頸肩部周辺や耳周辺の経穴に鍼を刺します。頸肩部周囲の筋肉への治療穴として僧帽筋や頭半棘筋部の「天柱」「風池」、胸鎖乳突筋や頭板状筋の停止部の「完骨」、耳周辺の治療穴として「翳風」「耳門」「聴会」「聴宮」などを用います。

メニエール病は東洋医学的に診ると「」や「」の不調が原因で発症すると考えられているので、鍼灸治療を用いてツボを刺激することで「腎」の機能を活性化させたり、「肝」の機能低下・過亢進を抑えます。

過度な身体的・精神的ストレスは、自律神経を乱してメニエール病の原因となります。東洋医学の特徴である全身を診て治療することにより全身をリラックス状態へと導き、交感神経の過亢進を抑制して過度なストレスを和らげます。

メニエール病の鍼灸治療

また身体全体の調子が上がっていくことも期待でき、実際に当院でもめまいの治療で「目が疲れなくなった」「便秘が解消した」「ゆっくりと体が休められ、熟睡できた」などといった声が数多く聞かれます。東洋医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることで自然治癒力を高めるといわれ、様々な効果が期待できます。

当院の施術目的は、メニエール病の回復程度を高め、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでもメニエール病が回復できる機会を提供することです。
メニエール病の発作時の激しいめまいは、仕事が手に着かずにストレスを溜め込んだり、症状がいつ起こるかわからないといった不安がストレスとなり、更に症状を悪化させかねません。
症状が慢性化する前に病院で診断を受けた上で早期の治療をお勧めします。

 

メニエール病に対する東洋医学的考え

 

 

メニエール病において東洋医学では特に「」と「」が深く関係していると考えられています。

めまいは東洋医学では「水毒」といわれ、生体内を循環している津液が寒さや湿度などの外因の影響を受けたり、東洋医学での「肝」や「腎」などの内因の影響を受けて停滞して起こると考えられています。特に停滞している部分が耳である場合にめまいの症状としてあらわれます。

また、「腎は耳に開竅する」といわれ、腎精が不十分だと耳鳴りや聴力の減退・排尿異常・生殖能力の低下や・白髪・毛髪脱落などが発生するといわれています。

 

「津液」とは
津液とは、体内の生理的水液を意味して、例えば細胞内外の液・唾液・胃液・関節内腔・涙・リンパ液などすべてを含めた組織液に相当します。

津液は、飲食物から脾胃で生成され、大部分は三焦という通路を運航して全身に送られます。この過程で、「肝の疏泄をつかさどる」という機能と「腎の水をつかさどるという機能」が重要になってきます。

 

肝は疏泄をつかさどる
肝の疏泄をつかさどるという機能は、すみずみまで機能を通行させるということを意味し、津液を全身に送る場合にも一役かっています。またその他に情緒を安定させ、精神状態を快適に保つ機能や自律神経機能によって全身の各機能が円滑に行われる機能にも影響を与えています。
よって過度な精神的ストレスや自律神経の不調は、肝の疏泄をつかさどるという機能にも影響を与え、めまいの原因となります。

 

腎は水をつかさどる
体液の代謝全般に対し、腎が根本的な調節作用を行うことを示しています。有用な津液を蒸気のように変えて三焦を通して全身に巡らせ、身体の水分代謝に供給すると同時に、不要な廃液を尿として適宜排泄するという機能を腎が担っているのです。

また東洋医学では、腎は耳と関係が深いと考えられ、腎の不調は耳の症状に反映されやすいといわれています。
腎の機能異常は、全身に津液を停滞させ、特に耳に停滞しやすく、内耳にリンパ液が溜まることで起きるめまいや耳鳴り・難聴を引き起こすメニエール病の症状としてあらわれやすくなります。

 

腎精とは
腎が貯蔵する精は、人体の生長・発育・生殖及び生命活動を維持する物質的な基礎です。父母から受け継いだ「先天の精」は絶え間なく腎に注ぎ、成人を迎えるころには自然と減少していきます。

この不足した部分を飲食物で得られた「後天の精」で補おうとするのですが、それが間に合わなくなると身体は様々な老化現象を引き起こします。

 

「腎」と「肝」との関係
東洋医学では「腎」と「肝」との関係は密接と言われており、両者の症状は同時にあらわれることが多く、「肝腎同源」ともいわれています。
精が不足すると肝の血は、精に変化してそれを補い、血が不足すると腎の精は血に変化してそれを補います。精は高齢になると減少傾向にあり、それは同時に肝の血も減少傾向にあると考えられます。

 

 

メニエール病の鍼灸治療の効果に対する研究について

日本鍼灸医学会の研究によりますと、メニエール病に対する鍼灸治療の効果の科学的根拠は、まだまだ研究段階ではありますが、30症例のうちめまい症状が減退したのは、1~10回の治療でほぼ全員でメニエール病に対して鍼灸治療を認めざる得ないだろうとされています。

その他難聴は47%で有効、耳鳴りは80%で有効であったという結果が出ています。この研究では、鍼灸治療が自律神経系統やリンパ循環系などに作用して病的状態を正常な状態へと転向させて人間本来の持っている恒常性を高める作用があるのでないかとされています。

 

日本鍼灸医学会

「メニエール病の鍼灸治療」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1948/24/1/24_1_26/_article/-char/ja/

 

 

メニエール病とは?

 

メニエール病とは、自分や周りがグルグルと回る回転性めまいの突然発作を繰り返しながら、だんだんと聴力の異常を引き起こす疾患です。それまで何も徴候がなかったのにある日突然激しい回転性のめまいに襲われ、目も開けられず立つこともできないためパニック状態に陥る場合もあります。これが、メニエール病発端の典型であり、徐々に耳塞感耳鳴りを感じるようになって難聴へと至ります。
メニエール病の発症には、現代特有の身体的・精神的ストレスが関係しているといわれており、現代病とも都会病ともいわれています。
近年、メニエール病は増加傾向にあり、男女差は特にありませんが、仕事や家庭でストレスの多くかかる30~50代に多い疾患です。代表的な症状と共に嘔吐冷汗睡眠障害呼吸の乱れなど自律神経症状を伴うことも一つの特徴です。

 

メニエール病の特徴


■吐き気を伴う回転性のめまい■

自分や周囲がグルグルと回る回転めまいを感じ、症状が激しいために吐き気を伴います。座っていたり横になっていたりと自分が動いていない場合でもぐるぐると回転するようにめまいを感じます。

 

■耳鳴り・耳塞感・難聴■
めまい・耳鳴り・難聴はメニエール病の典型的な症状であり、初期の発作は激しいめまいのため耳の症状に気付かない場合が多いですが、発作を繰り返していくうちに耳の症状を感じるようになってきます。両側の耳に現れることはまれで片側の場合がほとんどです。

 

■発作は数分から数時間■
めまい発作は数分から数時間、長くても半日で徐々におさまっていきます。難聴や耳鳴りも軽くなりますが完全に消失しないことも多いです。また回転性めまいがおさまっても体がフワフワ浮いているような感じが残ることもあります。

 

■不定期に発作を繰り返す■
発作がおさまれば立つことや歩行が可能になり日常生活にあまり支障なく過ごすことができますが、しばらく経つとまた同じような発作に襲われ、早いと数日か数週間、長ければ数カ月から数年後に発作を繰り返します。そして発作を繰り返していくうちにたとえめまいがおさまっても耳鳴り難聴の症状が強く出てきます。

 

■随伴症状■
めまい・耳鳴り・難聴に伴って吐き気・嘔吐・顔面蒼白・冷や汗・動悸・寒気・熱感などの自律神経症状も呈する場合があります。

 


また、めまい・耳鳴り・難聴という三徴候を満たさないケースもあり、回転性めまいを欠く蝸牛型メニエール病や耳鳴り・難聴を欠く前庭型メニエール病があります。
メニエール病と似たような症状を起こす病気として、突発性難聴・聴神経腫瘍・中耳炎などがあります。

 

 

こんな場合はすぐ病院へ

 

めまいは、単独で症状が現れる場合は少なく、自律神経症状や意識障害、運動障害などを併発する場合がほとんどです。併発する症状によっては、生命の危険にかかわり、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。
下記のような症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。脳梗塞脳出血脳腫瘍などの脳の病気が疑われます。
・体の半身が不自由、感覚が鈍いと感じる
・舌がもつれたり、言葉が発しにくくなる
・物が二重に見え、目がかすむ(複視
・歩行困難
・激しい頭痛で意識がもうろうとする
・物の片側が見えない

めまいと共にこのような症状を呈する場合、様子を見ることなどせずにすぐに医療機関を受診してください。症状が重症化する場合もあります。

 

 

メニエール病の原因

 

メニエール病を引き起こす原因は、内耳の内リンパ液水腫であると考えられています。
耳は、音を聞くための聴覚器官であることは周知の事実ですが、体のバランスを保つための平衡器官でもあります。耳の中の「内耳」という器官は、カタツムリのような形をした蝸牛という器官(聴覚をつかさどる)と平衡感覚をつかさどる前庭という器官とがあります。内耳には、外リンパ液と内リンパ液があり、何らかの原因で内リンパ液が増えすぎると内耳全体は膨れ上がり、水ぶくれのような状態になってしまいます。この状態を内リンパ水腫といいます。

内リンパ水腫の状態になると、内リンパ液と外リンパ液を隔てている膜が破裂して二つのリンパ液が混ざりあい、前庭の平衡機能や蝸牛の聴覚機能などに混乱が起こります。するとめまい耳鳴り難聴などが症状としてあらわれるのです。内外のリンパ液を隔てている膜は、短時間で閉鎖されますが、また破裂するといった状態を繰り返します。
また平衡感覚の異常を伝える前庭神経が自律神経にも影響を及ぼして吐き気嘔吐などの自律神経症状を併発する場合があります。

内リンパ水腫を起こす原因はいまだ詳しく解明されていませんが、過労や睡眠不足などの肉体的ストレスあるいは、人間関係や仕事などでの精神的ストレスが発症の原因となることが多いとされています。よって、メニエール病の発作は、過労や睡眠不足からくるストレスが多い時、季節の変わり目あるいは、天気の変動による激しい気圧の変化などの時に多いです。

内リンパ水腫が発見されずにメニエール病の徴候であるめまい・耳鳴り・難聴がそろった場合は「メニエール病」とは診断されず、「メニエール症候群」といわれます。

 

メニエール病の治療症例

 

症例1

 

20代男性

 

耳鳴りとめまいがするため病院へ行ったらメニエール病と診断された。

そのまま病院の帰りに当院へ予約し、翌日に来院した。

普段ストレスはあまり感じないが、自律神経測定器で測定してみた結果ストレス度が高く、本人の自覚がない所でストレスが蓄積していた様子。

また、普段ウエートトレーニングを行っており、汗を大量にかくことがあるが喉が渇かない為水分補給が不足していたとのが原因と考えた。水分不足になると、体内に水分を溜め込もうとしてリンパ液が内耳から排出されなくなる。

 

当院の治療

まずは体質改善を目的とした自律神経調節治療を行った。

次に、耳周りのツボに刺鍼して電気を流す事によって、内耳の血液循環を促進し、溜まったリンパ液の排出を目的とした施術を行い、それと同時に首肩へのアプローチもした。

 

◇1回目◇

めまい、耳鳴り共に改善。

 

◇2回目◇

1週間後に2回目の来院。

ほぼ症状は出ていない。

 

◇3回目◇

状態を確認するため2週間空けて来院。

この時はすでに正常化。

 

◇4回目◇

最近少し耳鳴りがするという事で、半年後に来院された。

 

◇5回目◇

今は症状は落ち着いて、安定している。

 

 

症例2

70代 女性

当院にご来院される1年前くらいから歩くとフワフワとしためまいを感じるようになった。脳神経外科にて脳のMRIをとってが、異常なしと診断をうけた。

めまい症状の他にも身体の疲労が溜まってくると右耳がエレベーターや山の上に行った時のようなつまったような感覚。自分の呼吸音も聞こえて気になる。

あらためて耳鼻科を受診したところ、耳管開放症・メニエール病と診断を受けてお薬を処方してもらって服用。しかし、服用しても一向に症状が軽快されないために当院にご通院されたことのある方の紹介を受けて鍼灸治療を試してみたいとのことでご来院されました。

耳症状の他にも腰部脊柱管狭窄症で右足の痺れや痛み・むくみも併発。歩行時に足裏とくに親指裏あたりの感覚が鈍く一枚何か挟まったいるような感覚。

 

当院の治療

自律神経測定器にて自律神経の状態を測定。自律神経のバランスを整える全身的な調整施術と右の耳周りの特効穴を中心に施術を行っていきました。それと並行して腰回りの筋緊張の緩和や坐骨神経に沿ったツボも使用していきました。

 

 

経過

◇1回目◇

施術後特に変化なく、めまいや耳症状まだまだつらい。特に夜になると症状が強くなる感覚。

◇2回目◇

2回目施術後の1週間はめまい症状が日中は消えていた。夜になると少し出てくる。耳症状は特に変わりなし。腰がいくらか軽くなったように感じる

◇3回目◇

3回目終わってから1週間めまい症状が出なくなった。耳の詰まったような症状も出にくくなってきた。足裏の感覚異常は相変わらず

◇4回目◇

今まで週に一回だった治療ペースを2週に1度にして治療間隔を延ばしていった。めまい・耳症状は出ていない。1年間かなり悩まされていた症状だったので症状がほぼなくなったことで大変うれしいとのことだった。

5回目以降治療間隔を少しずつ伸ばしつつ経過観察。少しずつ腰部脊柱管狭窄症への比重を増やしてアプローチ

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 18:30 / 院長コラム メニエール病の鍼灸治療 への3件のコメント

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