HOME >  片側顔面けいれんの鍼灸治療

Archive for the ‘院長コラム’ Category

片側顔面けいれんの鍼灸治療

木曜日, 12月 4th, 2025

 

当院の治療法

 

当院の片側顔面けいれんに対する当院の治療は、第一に顔面部・頭部の筋肉の緊張を和らげます。目の周りや顔の筋肉を緩めることで症状緩和につながります。

 

また、自律神経を整えることにより、疲労やストレスの緩和もはかります。

 

片側顔面けいれんとは?

 

片側顔面けいれんとは、顔の片側の筋肉が自分の意思に反してピクピクとけいれんを起こす病気です。

はじめは目のまわりのけいれんから始まることが多く、徐々に額や頬、口、あごにまで広がるのが特徴的です。

症状の進行はゆるやかですが、放置して自然に治ることはありません。

症状が強くでると顔がキューッと突っ張って歪んだ状態になったり、筋肉の麻痺が生じることもあります。

特に50〜70歳の中高齢者の女性に多く発症します。

また、仕事などで緊張やストレスがかかる場面で症状が強く出ることが多く、日常生活にも支障をきたします。

 

 

片側顔面けいれんの原因

 

片側顔面けいれんは神経血管圧迫症候群のひとつであり、脳の深部で顔面神経が血管の圧迫を受けることが原因であると言われています。

多くの場合、高血圧や動脈硬化により脳の血管が神経を圧迫することで神経に興奮がおこり、顔のけいれんやゆがみとして現れます。

また、ストレス過多な状態は交感神経が活発になりますので、神経が興奮し、よりけいれんを引き起こしやすくなります

 

症状の悪化を防ぐ方法としては、

・顔に冷気が当たらないようにする(冷やさない)

・十分な睡眠をとる

・ストレスを避ける

・禁酒

・禁煙

などが挙げられます。

 

片側顔面けいれんに対する鍼灸治療 症例①

 

50代男性

15年前に右目の下あたりがピクピク痙攣するようになった。範囲は徐々に頬や口まで広がり現在は右側全体に痙攣がある。脳神経外科で顔面神経の圧迫箇所が見つかり注射治療をするも特に変化はない。手術も提案されたが抵抗があるため鍼灸治療を試してみたいとのことで来院された。

1日8時間ほどデスクワークをしており首・肩こり(特に右側)が慢性化している。

首の付け根は雨の日など気圧の変化があるときは頭痛が出る。

人前で話すときに症状が出てしまうことがストレスになっている。

 

当院の治療

自律神経測定器の結果によると交感神経がかなり優位な状態であることが分かった。

常に神経が過敏になっているため、副交感神経を高め、リラックスできる治療を行う。

側頭筋や胸鎖乳突筋も右側のみ硬結があるため筋緊張の緩和を目的に鍼と灸を行った。

また、慢性的な首・肩こりも症状の原因になるため、全身治療によって症状緩和をはかった。

 

経過

◇1回目◇

治療後、痙攣の引きつり方が弱まった。

3日後にはもとに戻った。

右肩のこりは軽減した。

◇2回目◇

1回目同様、引きつりが弱くなり5日ほど調子がよかった。

◇5回目◇

痙攣はあるが引きつる感じの痙攣はなくなった。

肩こりも気にならない。

◇8回目◇

回数を重ねるごとに痙攣の回数も減っている。

家族からもかなり減ったと言われた。

◇15回目◇

雨の日など体調を崩しやすいときは痙攣が出るが、普段はあまり気にならない程度にまで回復。

今後は施術間隔をあけて治療を続ける。

症例②

 

40代女性

右目下から頬の部分にかけてピクピクと痙攣する症状でご来院。発症して3ヶ月ほど。病院ではMRIの検査を受けたが、特に脳の障害はみられなかったとのこと。

健康診断では、血圧は高くなく、脂質異常は指摘される程度でいつも健康と診断されていました。

3ヶ月ほど前から主に右目下のピクピクとした痙攣が気になり始めて今では1時間に4〜5回程度の頻度で5分間ほど継続する痙攣に悩まされている。病院では、特に治療法は提示されずに葛根湯を処方されて目の酷使を避けるように指導されたのみ。

なにか他に対処法はないかと検索をかけてみたところちょうど当院のホームページを見つけて鍼灸治療で以前腰痛が軽快したことがるので、鍼灸治療には抵抗がなかったため当院にご来院されました。

痙攣は仕事中など集中状態のときはあまり気にならないが家族との食事中や下を向いて顔を洗うときやお風呂に入っているときに必ず発症していた。

問診では仕事や家庭でのストレスも多く、自律神経も乱れがちではとご本人的にも感じておられたため自律神経測定器で測定の上、全身の自律神経のバランスを整える調整施術も行っていき、主に右目周りや右頬中心に鍼やお灸の施術を行っていきました。

経過

1回目の施術後、当日と翌日は痙攣の回数が激減。あまり気にならない状態だったが、時間とともに徐々に痙攣の回数が増えていってしまった。施術3回目辺りまではそのような状態で施術後数日は状態良くなるが戻ってしまう。

4回目以降右目周り中心に鍼通電治療を導入。鍼通電治療を開始して2回ほどで痙攣の回数が1日に2〜3回ほどになるまでに改善。日を追うごとに良くなっていきました。

8回目の施術後、仕事にも支障をきたすことなく、日常生活も普通に過ごすことができるようになったので治療を終了した。

 

症例③

40代 女性

1ヶ月ほど前から左顔面部の痙攣がでるようになった。慢性的な舌の痛みと左側頭部痛にも悩まされている。

顔面部は左のほうれい線から鼻の横、目頭にかけて、時々ピクピクと痙攣する。側頭部は、触れるとピリピリと痛む時がある。右側の舌は違和感とジンジンするような痛みがある。側頭部と舌の痛みは、意識をしなければ、気にならない。

病院の検査の結果、特に問題は見つからなかった。歯医者も受診したが、口腔内の問題もなかった。

不安感が強く、自律神経の乱れも気になるため、当院へご来院された。

施術

1ヶ月前に引っ越しや職場が変わるといった、環境の変化があり、普段よりストレスを感じやすく、心身ともに緊張状態が続いていた。

環境の変化により、自律神経のバランスを乱し、交感神経が優位な状態が続き、顔面の筋肉のけいれんを引き起こしたと考えられる。そのため、自律神経を整え、副交感神経を働かせる施術を行いました。また、側頭部や舌の痛みも、時期によって気になる時と気にならない時があることから、自律神経の乱れによる血行不良や神経伝達の不具合によるものと考えられる。

全身的な自律神経調整施術と、顔面部の血流改善を目的に顔面部の経穴に鍼とお灸を行った。

来院頻度は1週間に1回。

一回目
施術後は、身体が緩む感覚があり、リラックスできた。

二回目

顔面の痙攣の回数が減った。

三回目

仕事で緊張するような場面以外では、顔面が痙攣することはなくなった。

四~六回目
顔面の痙攣は1日1回程度に減った。側頭部と舌の痛みも程度がマシになってきた。不安感が軽くなり、以前より気持ちが明るくなった。

七回目

顔面の痙攣の症状はでなくなった。側頭部や舌の痛みはまだ少し気になる時があるが、以前より楽になった。

片側顔面けいれんに対する東洋医学的考え

 

・肝うつ

東洋医学ではストレスを発散させるのは五臓の「肝」(肝臓)の働きと考えます。

過剰なストレスで肝が弱ると、ストレスを発散できずけいれんが起こりやすくなります。

また、筋肉は肝が蓄える「血(けつ)」の栄養によって養われるため、肝機能が低下すると筋肉の状態が悪くなりけいれんを起こすこともあります。

 

・血虚

けいれんは無意識に筋肉の収縮が続いている状態です。

筋肉は「血(けつ)」の栄養によって養われるため、体内の血が不足すると筋肉の状態も悪くなり、けいれんを引き起こします。

また、血には気持ちを落ち着かせる鎮静の働きがあります。

そのため血が不足すると精神のたかぶりを抑えにくくイライラやストレスからけいれんを起こしやすくなることもあります。

 

・瘀血

片側顔面けいれんは動脈硬化により顔面神経が圧迫されて起こるとされています。

東洋医学では動脈硬化につながる要因を「瘀血」と考えます。

瘀血の原因は食の不摂生、ストレス過多、疲労だと言われています。

瘀血改善には十分な休息とストレス発散が大切です。

 

片側顔面けいれんとよく似た病気

 

・眼瞼けいれん

まぶたがけいれんする、眩しくて目が開けられないなどの症状がみられます。

両目のまぶたにのみ発症し、範囲は広がりません。

 

・チック症

頻繁なまばたきやしかめっ面などの症状がみられます。

小児期や青年期に多く、自分の意思で一時的に症状を抑えることができます。

部位は移動します。

 

・眼瞼ミオキミア

片目のまぶたが一部ピクピクけいれんする症状がみられます。

数日から数週間で自然に消えます。

 

自律神経と片側顔面けいれんの関係性

 

私たちの体内の環境を一定に保つ働きをするのが、自律神経です。

自律神経は交感神経と副交感神経の2つからなり、私たちの意思と関係なく呼吸や心臓の拍動・血圧・体温などを調整しています。

この2つのバランスが崩れると、全身疲労感・頭痛・肩こり・めまい・便秘・下痢・動機・食欲不振・異常発汗などのさまざまな症状があらわれます。

片側顔面けいれんの特徴である目の周りや顔の筋肉の不快症状も、自律神経が乱れることででることがあります。

過度なストレスは自律神経が乱れる原因にもなりますので、日頃のストレスケアが重要です。

 

・趣味の時間をつくる

・しっかり休息をとる

・湯舟につかる

・深呼吸をする

・適度な運動をする(軽いジョギングなど)

などリフレッシュすることを心がけましょう。

片側顔面けいれんの西洋医学的な治療

 

・のみ薬

症状が軽度の場合、薬で経過をみます。緊張がきっかけで起こることもあるため、鎮静薬や抗不安薬を内服します。

 

・局所注射治療

けいれんのある部位に注射をし、一時的に筋肉を麻痺させてけいれんを和らげる治療です。効果は3~4か月持続し、症状が出現したら再度うつ必要があります。

 

・手術

薬物療法がうまくいかないときは、異常な動脈と神経との間に小さなスポンジをおく手術が行われます。

スポンジをおくことで神経の圧迫がなくなり徐々に症状が改善しますが、治癒率は100%ではなく、わずかなけいれんが残る場合もあります。

 

男性更年期障害(LOH症候群)の鍼灸治療

木曜日, 12月 4th, 2025

男性更年期障害(LOH症候群)とは

更年期障害と聞くと、女性で閉経後の前後にホルモンバランスが崩れ様々な不調があらわれるものというイメージを持たれる方が多いと思いますが、実は女性だけでなく男性にも起こることがあります。

この男性更年期障害は日本でも十数年前から知られるようになりました。医学上はLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれています。

 

 

男性更年期障害の原因

 

男性更年期障害は加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされます。

男性と女性の大きな違いは女性の場合は閉経前後10年間に起きることが多いのに対して男性は環境による影響が大きく、ホルモンの減少する時期や期間、程度においてかなり個人差があることです。

発症するのは概ね40歳以降が多いですが、中には30代の方もあり、逆に60歳~70歳になって初めて発症する方もいます。一般的にテストステロンの量は10代前半から急激に増え始め、20歳頃をピークに年齢とともになだらかなカーブを描いて減少していきます。

しかし、何らかの原因でテストステロンが急激に減少してしまうと、体はバランスを崩し様々な不調を引き起こすのです。テストステロンを減少させる要因はいくつかありますが、その代表的なものがストレスといわれています。

テストステロンは大脳の視床下部からの指令によって主に精巣で作られますが、心理的ストレスを長く受け続け、交感神経が優位の状態が続くと大脳から「テストステロンをつくるな」という指令が出されてしまうのです。

男性の50~60代に患者数が多いのは加齢によるテストステロンの減少に加えて、職場でも家庭でもストレスの多い時期だからと考えられています。

 

症状

男性ホルモンは全身に作用し、筋肉や骨を強くする、性機能を正常に保つ、判断力や理解力などの認知能力を高める役割などがあり、低下すると様々な症状が現れます。

症状は身体症状と精神症状に分けられます。

身体症状は、朝立ちの消失や勃起不全(ED)といった男性機能の低下がまず挙げられます。

その他にものぼせ、多汗、全身倦怠感、筋肉や関節の痛み、筋力や骨密度の低下、頭痛、めまい、耳鳴り、頻尿など、

精神症状としては、不眠、イライラ、性欲減退、集中力や記憶力の低下などとともにうつ症状が出る場合もあります。

さらに、男性更年期障害になるとメタボリックシンドローム、心筋梗塞、脳梗塞やがんなどの生活習慣病のリスクが高まることもわかってきました。このことからテストステロンというホルモンが男性にとっていかに幅広く大きな役割を担っているかがわかります。

頭痛の鍼灸治療について
めまいの鍼灸治療について
耳鳴りの鍼灸治療について
頻尿の鍼灸治療について
不眠症の鍼灸治療について
EDの鍼灸治療について

 

西洋医学的治療

診断は問診と血液検査によって行われます。問診では、心身にどのような症状が出ているか、性機能の低下が無いかなどを確認します。血液検査では男性ホルモンが十分に分泌されているかどうかを調べます。血液中のフリーテストステロンの値が8.5pg/mL未満で、心と体の症状が強い場合男性更年期障害と診断されます。

男性ホルモンの値がそれほど低くない場合や、症状が軽い場合は、漢方薬や症状の応じた薬を使って治療していきます。うつ症状や不安症状など、精神症状がある場合には抗うつ薬、抗不安薬などを使うことがあります。また、男性ホルモンが低下すると骨が弱くなってくるため、骨粗鬆症薬を使うこともあります。さらに勃起力や性欲が低下するなどの性機能に関わる症状がある場合は、ED治療薬が処方されます。

男性ホルモンの値が著しく低下して、症状が重い場合は、男性ホルモン補充療法を行います。ただし、テストステロンを補充すると、精子を作る機能が抑制されて、男性不妊を起こすおそれがあります。そのため、将来子供を希望する場合にはhcgホルモンでテストステロンの分泌を促します。

 

男性更年期障害の東洋医学的考え方

 

中医学では男性更年期障害は、女性と同様に「腎」機能の低下「腎虚(じんきょ)」が基礎にあると考えます。東洋医学における「腎」とは西洋医学の腎臓の働きである尿の排泄機能だけでなく、生殖、発育機能も持ち合わせています。

加齢、ストレス、食生活の乱れ、運動不足など様々な要因が「腎」の機能を低下させると考えられています。腎虚の症状は頭、耳、下半身に現れやすく、物忘れ、抜け毛や白髪、聴力低下、足腰のだるさ、腰痛、頻尿、生殖機能の衰えなどが挙げられます。

また、中医学では「肝腎同源」といわれている通り五臓六腑の「肝」と「腎」は互いに相互し合う関係であることから、「腎」の機能向上には「肝」の機能を高めることも重要と考えられています。

 

更年期障害に対する当院の治療

 

当院では自律神経測定器で、まず患者様の自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を把握した上で治療に移ります。

ホルモン分泌や内臓機能、免疫力に大きく関わる自律神経の調整施術と、東洋医学的観点から五臓六腑の腎、肝の機能を補うツボ、気や血を補うツボを用いて治療を行います。また、更年期障害の方は現れる症状も様々なため、それぞれ症状に合わせたツボも用いて治療していきます。

 

男性更年期障害の鍼灸治療

 

肩こりと頭痛がつらい方へ

木曜日, 12月 4th, 2025

こんにちは。
院長の清水です。梅雨から夏にかけての食中毒に注意!

台風の季節が来ましたね。最近は突発的なゲリラ豪雨も多く、以前と比べても湿度が高いジメジメとして日が増えてきているように感じます。ジメジメと暑い日は苦手な方が多いかと思います。
しかし、私はそこまで嫌いではありません。気温が高くなってきて、夏を感じるとどこか気持ちがウキウキと高まります。雨の日は空気が澄んでいるように感じ、寝つきと朝の目覚めがいいように感じます。

ジメジメとしたこの季節は食中毒に注意です!

気温が高くジメジメする夏の時期に気を付けなければいけないのが、食中毒です‼気温が高くなってくるこの季節は、細菌やウィルスが繁殖しやすく、飲食店でよく集団食中毒が起きたと話題になりますが、家庭内でも気を付けなければなりません。

家庭内での食中毒は報道されることがまずなく、明るみに出ないため軽視しがちですが、料理を作る時などは細心の注が必要なのです‼
家庭でできる簡単な食中毒対策として

①しっかりと手洗いした後、手をアルコール消毒する

②ふきんやスポンジは使い終わったらしっかりと洗い、乾燥させる

③一週間に一度はふきんやスポンジを煮沸して殺菌する

④肉・魚・野菜でまな板と包丁は、使い分けて使用後は熱湯で殺菌する

当たり前のことかと思いますが、この季節は、こういったことを忘れずに行うことが重要です。

肩コリと頭痛でお悩みの方へ

肩こりと頭痛の症状二つでご来院される方が、とても多いです。
それは、肩の筋肉(僧帽筋・肩甲挙筋・板上筋など)の多くが後頭部に付いており、肩の筋肉が疲れて過緊張状態になると頭部にまで悪影響をもたらすからです。
また、肩こりといいましてもその他に出る症状によっては、怖い病気が潜んでいる場合もあり、病院で詳しく検査を受けないといけない場合もございます。

こういった場合は注意が必要です

①.特に首や肩をを動かしたわけではなく安静時に発症した肩こり・肩の痛み
⇒胆石や大動脈解離、くも膜下出血などの場合があります

②.安静にしていても肩の痛みが徐々に強くなってくる
⇒悪性腫瘍や線維筋痛症などの場合があります。

③.階段を上り下りするときにも肩が痛む
⇒狭心症や心筋梗塞などの場合があります。

④肩こりの他に上肢にしびれや麻痺の症状が出る
頸椎椎間板ヘルニアや胸郭出口症候群などの場合があります。

当院では、上記の症状が出ていた場合はすぐに病院の方で検査していただき、重い病気でないとわかった時点で施術させていただいております。当院の都合で無理な施術は致しませんのでご安心ください。
当院で施術している首肩の痛みは、

五十肩・四十肩
頚腕症候群
頚椎症
胸郭出口症候群
線維筋痛症     etc

などです。

肩こりと頭痛との関係

 

肩こりと頭痛の関係

 

肩こりと頭痛が併発して起こる原因としまして緊張性頭痛が挙げられます。緊張性頭痛とは、精神的または身体的ストレスによって頭を支える頸部や肩部の筋肉が過緊張状態に陥ってしまい、筋肉の伸縮性が損なわれて側頭部や後頭部などに締め付けられる痛みを発症します。

今は仕事でのパソコン作業時間の増加やスマートフォンの普及により特にうつむき姿勢を長時間することが多くなり、頸肩部に負担が多くかかってしまう方が多いです。そのような長時間の頸肩への負担により、緊張性頭痛をまねいている方がとても多いのです。そのような方の多くは首肩こりと後頭部や側頭部の頭痛を併発しています。

また抑うつ感や睡眠不足などの精神的ストレスによっても緊張性頭痛になるといわれています。

緊張性頭痛が慢性化してしまうと症状が数か月にわたる慢性緊張性頭痛となってしまう危険性もあります。そのような状態に陥ると痛みがさらに体にストレスとなり、自律神経が乱れることで血行不良で疲労物質が溜まりやすくなったり、さらなる筋肉のコリと原因となってしまうのです。

そうなる前に早期治療や生活習慣の改善が必要になります。パソコン作業やスマホ操作などの際のうつむき姿勢は長時間避けて休み時間の時はストレッチや温めたタオルを頸肩に巻いたりすることで筋緊張を緩和しましょう。

当院の施術

当院の肩こり・肩の痛みに対する施術は、肩ばかりでなく、自律神経のバランスを整えて体の全体調子を上げていくことが特徴です。
まずお腹から鍼灸で刺激することにより内臓の働きを活性化し、身体の治ろうとする自然治癒力を引き出します。よく患者さんに肩が痛いのにお腹から施術するのですかと聞かれますが、お腹から施術したほうが、痛み緩和の効果が引き出せます。

肩こり・肩の痛みの自律神経調整鍼灸

 

身体全体を診て施術して、自律神経を整えることで血液循環も改善されて肩部に溜まっている老廃物や発痛物質を流して痛みを軽減させます。

当院では、肩こりや肩の痛みに対する施術も積極的に行っており、なかなか改善されない頑固な肩こり肩の痛み五十肩でお困りの方はお気軽にご相談ください。

肩こり・肩の痛みに対する鍼灸治療

 

 

五十肩に対する鍼灸治療

 

症例

 

40代女性

 

以前から慢性的な肩こりに悩まされていたが、2週間前から肩と首に痛みが生じるようになった。それに伴って、頭痛が発生し夜も寝れないほどつらい。頭痛は後頭部から側頭部にかけての重い痛い感覚。ひどい場合では脈打つように痛みが出る場合もあるとのこと。

普段からパソコン作業が多く、視力も低下している。前かがみになって視線を下に向ける時間が長く姿勢が悪いこともご自身で自覚されている。

首が硬直しており左右に向けない状態。振り向く動作が出来ず、今は身体ごと向けている感じ。

 

 

 

当院の治療

首肩の痛みは筋肉の過緊張が原因とみて筋緊張の緩和を目的としたトリガーポイント治療、低周波鍼通電療法を行った。

首肩コリや頭痛の直接的な原因は姿勢の悪さで、眼精疲労による視力低下が直接的な原因とみて、眼と頭にも低周波鍼通電療法を行った。

 

 

 

治療経過

 

◇1回目◇

首肩の痛み、頭痛が軽減した。10段階で5くらいの感覚まで回復。

コリ感は少し残っているが、痛みはほとんど気にならない。

可動域も広がって首が動かしやすくなった。

 

 

◇2回目以降◇

段々と頭痛・首肩の症状が改善。仕事が忙しくなるとどうしても症状が出てきてしまうので1か月に1回程度メンテナンスとして施術を受けて頂いています。

 

40代女性

以前より頚肩こりを自覚しており、放っておくと頭痛が出現するようになる。頭痛が出現すると頭痛鎮痛剤を服用するがあまり効果は得られない。

仕事上、PCでの業務が多いのに加え、ストレスが多く、溜まってくると症状は増悪する。

 

当院の治療

頭板状筋や僧帽筋、菱形筋など頚から背中にかけての筋肉に緊張と圧痛がみられた為、まずは頚肩こりの症状を緩和するよう低周波鍼通電療法を行った。

仰向けでの治療ではストレスを緩和するような鍼とお灸の治療を行った。

 

治療経過

 

◇1回目◇

初診のうつ伏せの治療後、仰向けになってもらった際、すでに頭痛は消失。首肩こりも改善し、首がスムーズに動くようになった。

 

◇2回目以降◇

症状は改善傾向にあるが、仕事の忙しさやストレスに比例し、症状が出現してしまうので、2週間に1回程度、メンテナンスとして来療している。

 

50代女性

 

以前から慢性的な肩こりや頭痛に悩まされてきたが、1週間前から耐えきれないほどの頭痛が発症した。全体的に締め付けられるような痛みで、とくに側頭部が押されるような感覚がある。肩は痛みまではないが強いこり感を感じる。

仕事はデスクワークで1日8時間以上パソコンを使用している。仕事の合間にストレッチを行ってできるだけ筋肉を動かそうと心がけているが、パキパキ音がなり伸びているように感じない。

 

当院の施術

 

まずお体の状態を確認するために触診で筋肉の状態を入念に調べました。

この方は肩が巻き方で首もストレートネックになっていたため、首の強い筋緊張や肩甲骨の可動域の狭小が目立ちました。肩のこりは肩甲骨まで広がっており広範囲の筋緊張があります。

 

まず、うつぶせで背中、肩、肩甲骨周辺、首に刺鍼し、鍼通電療法を行いました。

筋肉の弛緩が確認できたら、仰向けになり頭部の筋緊張を緩和させるための鍼通電療法、自然治癒力向上を目的とした自律神経の調節も行いました。

 

治療経過

 

◇1回目◇

体がスッキリした。肩がとても軽くなった。

 

◇2回目◇

また仕事が忙しくなり、肩こりのつらさが出てきたが、頭痛は治まった。

◇3回目◇

肩こりは少し気になるが、以前ほどでもない。

頭痛は治まっている。

 

◇4回目◇

首や肩の柔軟性が出てきているような気がする。

ストレッチをしても、筋肉がスムーズに伸びやすくなっている。

 

◇5回目◇

よく眠れるようになっているため、以前のようなだるさはない。

肩こりもあまり気にならず、頭痛も今の所落ち着いている。

 

 

30代 男性

 

デスクワークで業務時間はずっと画面を見ており、家に帰るとオンラインゲームを深夜までプレイするため、24時間のほとんどをブルーライトをあびながら過ごしている。

そのせいか、慢性的な首、肩こりと眼精疲労、頭痛があり、特に頭痛がひどい時は吐き気が止まらず夜に眠れないこともある。

ゲームをやめる、時間を減らせば良いのは分かっているが、自分の生きがいなのでゲームはやめたくない。

鍼灸は初めてで注射は苦手だが、鍼灸の治療用の鍼は痛みが少ないと聞いて来院。

 

当院の治療

 

触診した時、頭皮〜腰まで筋肉がガチガチに固くなっておりました。長時間座りっ

ぱなしだからか、ふくらはぎの浮腫もみられ全身がお辛そうな状態でした。

首、肩周りの筋肉が固くなりすぎて血流が悪くなり、それが原因で頭痛が起きているので当院の治療としては、血流改善を第一に行っていきます。

それと同時に筋肉の緊張を緩め、眼精疲労の回復なども行いました。

 

治療経過

 

◇1回目◇

かなり視界が明るくなった気がする。

鍼が刺さっている時のズーンとくる感覚は効いている感じがして気持ちいい。

◇2~5回目◇

回数を重ねると、肩の動きが良くなってきた。頭痛も吐き気がするくらい痛みが出る回数が減った。

◇6~10回目◇

気づいたら頭痛がほぼ無くなっていた。

回数を減らしてこれからも通院する。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

肩の痛みの鍼灸治療

木曜日, 12月 4th, 2025

肩の痛みに対する当院の鍼灸治療

肩の痛みの原因は多岐にわたります。当院では、徒手検査や問診、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握することで一人一人に合ったオーダーメイドの施術を行っております。

 

方の痛みに対する鍼灸治療

肩の痛みに対する鍼灸治療症例

40代 女性
趣味がテニスで毎週週末にテニスをしていた。月一回ほどのペースで試合もあるなど痛みが少し出ても無理して続けていた。ある時、テニスの練習が終わると右肩が何となく痛みを感じた。薬局で買った湿布薬を貼って何とか対処してテニスを数回続けていたが、急に痛みが強く出てテニスをするのもつらくなってきた。その頃には湿布薬だけでは痛みが引かず整形外科を受診したところ腱板の筋肉を痛めている可能性があると言われて安静を指示された。
しかし、今度テニスの大会があり、どうしても出場したく痛みをどうにかしてほしいということで当院にご来院された。

治療
まず仰向けで右肩前面から鍼を刺してその鍼に電極をつないで電気を流して鎮痛効果を促しました。次にうつ伏せとなり左右肩後面・左右肩甲骨周囲に鍼を刺して通電していきました。最後に筋肉が硬くなっているところを軽くストレッチで伸ばしていきました。

治療経過
治療後はそこまで変化がみられなかったが次の日には肩が軽くなったと感じてテニスの試合に出場できることができたとのこと。しかし、次の日また痛みが出てしまったのではり灸施術を受けて痛みが軽減。その後もテニスを長時間すると痛みが出る時があるのでその都度施術を受けられている

 

症例2
40代男性
左肩の痛みで来院される。以前から左肩に違和感を感じることはあったが、これほどの痛みを感じることは初めて。
朝、起床時から急に痛み始めたとの事。左腕の挙上動作で痛みが増悪。動かさなければ痛みはない。シャツや上着の着脱が困難な状態。整形外科を受診してレントゲンをとったが特に異常は見られないとのこと。

治療方針
肩関節前面の炎症部分に消炎、鎮痛を目的とした鍼通電と灸をしていきました。また、左頚部から肩関節、上腕部に筋緊張がみられた為頚部から上腕部までマッサージと鍼と灸を用いて筋緊張を緩める治療を行っていきました。

一回目
あまり変化は見られない。

二回目
痛みはあるがゆっくりと腕を動かすことが出来るようになってきた。しかしまだ一人でシャツの着脱は難しい。

三回目
痛みが軽減してきた。腕を挙上すると痛みは出るが我慢できる程度。ゆっくりとならシャツも着脱できる。

四回目
さらに痛みが軽減してきた。最近はあまり腕に負担をかける動作は行っていないが日常動作は問題ない。

五回目
痛みを感じることは無くなり、通常通り腕を動かせるようになった。

 

症例3
50代 女性
半年ほど前から肩に違和感を感じるようになってきた。日常生活にはそれほど支障は起きない程度だったがここ最近は右肩から上腕の後面にかけて鋭い痛みがふい襲うことがある。五十肩のような運動制限はそれほどなく腕を上げようとすれば挙げられるし、腕を後ろにまわすこともできる。しかし、何かをとろうとした時やドアの開け閉めなど何気ない動作をした時に鋭い痛みが走ってうずくまってしまうこともある。
整形外科を受診したところ肩関節周囲の炎症と言われて注射を打たれたが、その時は調子が良くてもすぐに痛みの状態が戻ってしまう。

治療
痛みが強く出る肩後面から上腕後面には鍼通電療法を用いて、首肩には鍼とお灸で筋肉を弛緩させるような施術をしていきました。痛みで眠りが浅くなることもあるとのことで自律神経調整を行ってから首肩の場所を中心に施術していきました。

一回目
いつも方が重たい感じがあったのが1回目のの治療後は、その重さが取れていくらか楽に感じた

二回目
日中の方の痛みはそれほど変化は無いが夜は眠りやすくなったように感じて途中で起きることは無くなった。

三~五回目
痛みが半分程度にまで軽減。いつ起こるかわからない痛みの怖さが和らいできた

六回目
夜間の痛みはほぼなく、ぐっすりと眠ることが出来た。

七~九回目
日中の痛みはほぼ感じなくなり、肩や腕を楽に動かせるようになった。

 

 

症例 4

60代 男性

1週間前にゴルフをしてから右の肩の痛みが気になり始めた。

肩関節の側方外転と屈曲で痛みが発生し、可動域の低下も見られるが、肩関節の伸展では痛みが起きず、可動域の極端な低下は見られなかった。

肩関節の側方外転で三角筋中部に強い筋緊張が起こり、同部に痛みが発生する。

念のため整形外科で検査をしてみたが、特に異常が見られなかった。

ゴルフは昔から好きで、1週間に2〜3回は練習をしていて、2週間に1回はラウンドを回っている。

以前も同じような状態になったことがあり、放って置いても2、3日で全快したが、今回は長引いている。

 

元々全身の筋緊張が強く、特に肩こりが常に感じている。

 

当院の施術

 

まずドロップアームテスト、ペインフルアークテストなど、肩関節の徒手テスト法を行いました。

肩の筋肉の状態を見てみたところ、患部の三角筋をはじめ、僧帽筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の強い筋緊張がおきている状態でした。

患部である三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、僧帽筋の硬結部や圧痛部に刺鍼し、電気を流して筋緊張の緩和を中心とした施術を行っていきました。

1回目

痛みが軽減し、動きも少し良くなったが、まだ疼痛、可動域は完全に治ってない。

2回目

前回よりもさらに痛みが軽減した。

ゴルフのプレイ時もあまり気にならない。

3回目

痛みは少し残っている程度まで落ち着いた。

腕を動かしても違和感はない。

4回目

日常生活に支障が無い所まで改善した。

 

 

症例 5
40代 女性
半年ほど前から肩に違和感を感じるようになってきた。日常生活にはそれほど支障は起きない程度だったがここ最近は左肩から上腕の後面にかけてにぶい痛みがある。腕を背中側にもっていく結帯動作で痛みがあり、右に比べて腕を動かすことが出来ない。夜間痛はない。仕事はパソコン作業が長く、慢性的に首肩のこりがある。

施術

痛みが強く出る肩後面から上腕後面を中心に、鍼とお灸で筋肉を弛緩させるような施術をしていきました。鍼通電が苦手ということでしたので、鍼通電は行わず、置鍼で行っていきました。全身的な筋緊張の緩和、血流の改善のため、同時に自律神経調整施術を行いました。

一~二回目
施術後肩の痛みが少し軽減した。

三~五回目
痛みが半分程度にまで軽減。肩の可動域が広がってきている。

六~九回目
首肩のこりは以前より軽減している。

十回目
痛みはほぼ感じなくなり、肩や腕を楽に動かせるようになった。

 

 

肩関節とは

肩関節は、5つの関節から構成されています。人体の中で最も可動域の広い関節の一種で複雑な構成をしています。

肩甲上腕関節

上腕骨と肩甲骨で構成されています。狭義では肩甲上腕関節を肩関節といいます。

第二肩関節

肩峰と上腕骨で構成されています。

肩鎖関節

肩甲骨と鎖骨によって構成されています。周りの肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯によって位置を保っており、転倒などの外傷などによって脱臼や捻挫の原因となります。

胸鎖靭帯

胸骨と鎖骨で構成されています。体幹と上司を連絡する唯一の関節です。

 

 

このように肩関節は様々な骨が関節を作り構成されています。それらの関節は様々な靭帯によって繋ぎ止められています。

肩

 

 

肩の痛み

肩の痛みと言いまして原因は様々あります。上記のように肩関節は様々な骨や靭帯によって構成されているため、どの部分を痛めたかによって痛みの程度もかわってきます。

 

肩の痛みで最も注意しなければいけないのは、内臓の病変が方にあらわれる場合です。単純に肩の痛みといっても肩に異常があるばかりでなく内臓に異常がある場合があるので注意が必要です。

内臓の病変による肩の痛み

肩周囲の筋肉や靭帯が損傷を受けて痛みを引き起こしている場合はある一定の動作をして痛みが誘発される場合がほとんどです。安静にしていれば特に痛みを感じることは少ないです。しかし、特に肩を動かしていなかったり、横になって安静にしているのに痛みが誘発される場合は、肩の異常ではなく内臓の異常が方にあらわれる場合があります。

両肩の痛み

肩の痛みの他に咳や痰が続く場合は、肺に異常がある場合があります。肺の異常により呼吸を大きく吸うことができなくなり、呼吸による背部・肩部の動きが少なくなり、コリや痛みの原因となる可能性があります。

右肩の痛み

右肩から右の胸部にかけて痛みが走るまたは右手にも痺れなどの異常がみられる場合は心臓病の可能性があります。

左肩の痛み

左肩の痛みは肝臓・胆のう・胃腸が不調の原因である場合があります。

肝臓は体幹の左側に位置しており、肝がんや肝硬変など肝臓に異常がある場合は肝臓の上にある横隔膜に影響を与えて右肩の動きが悪くなるためコリや痛みの原因となります。

胆のうや胃腸に病変がある場合は肩ばかりでなく肩甲骨の間にコリや痛みが出やすくなります。

 

 

これら内臓の病変によっても肩の痛みが誘発されるため、安静にしていても肩の痛みが続く場合は一度病院で検査を受ける必要があります。

 

 

内臓の病変以外の方の痛み

様々な原因が肩の痛みとなりますが、ここではよく見られる代表的な疾患についてご紹介させていただきます。

 

・変形肩関節症

変形性関節症は、骨と骨とのクッション役である軟骨がすり減ってしまい、痛みや腫れを起こす病気です。軟骨がすり減って減少することにより、骨と骨との間に摩擦が生じて骨棘という骨のとげができたりします。それらが周りの組織を刺激するため痛みを引き起こします。進行すると関節液がたまり、関節の可動域も狭くなります。変形性関節症の多くは体重等の負担がかかる膝関節や股関節に起こりますが、肩関節でも起こる場合がります。また肩関節は脱臼することが他の関節よりも多く脱臼を繰り返すことによって変形性肩関節症になる場合もあります。

 

腱板損傷

腱板は棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋で構成されており、上腕を上げる動作や内側・外側に捻る動作をする筋肉です。これら4つの筋肉は、肩甲骨から上腕骨に伸びてその間に肩峰と上腕の間狭い隙間を通ります。肩関節を無理に動かしたり、繰り返し肩関節を動かしていると肩峰と上腕との狭い隙間で圧迫されて炎症や腫れを引き起こしてしまうのです。症状が進行すると腱板断裂の可能性があります。炎症がなかなか引かずに夜間でも痛みを伴ったり、腕を伸ばした状態で真横に上げることができない場合は腱板損傷が疑われます。

 

 

肩関節周囲炎(五十肩)

五十肩や四十肩という言葉はよく効かれるかと思いますが、正式には肩関節周囲炎といいます。言葉の通り肩関節周囲の筋肉や腱・靭帯が損傷を受けることにより痛みや可動域制限がおこります。

急性期では痛みが強く出て運動時痛や安静時痛・夜間痛も見られて徐々に関節が拘縮していき、肩関節の運動制限がみられるようになってきます。日常生活でも支障をきたして、腕を上げることができない・ドライヤーをかけられない・ブラジャーのホックが止められないなどの支障が出てきます。炎症が治まってくると痛みは軽減されてきますが、周りの組織が硬くなっているために可動域制限がかかります。

 

 

・肩関節唇損傷

肩関節唇は、上腕骨頭と肩甲骨関節窩との間にある繊維状のクッションの役割をする組織です。その他、肩関節審は肩関節を前後左右にずれないように固定する役割もになっており、肩関節の中でもとても重要な組織です。通常、肩関節唇は骨にくっついているのですが、外傷や肩のオーバーユースなどにより、骨から剥がれてしまうことによって肩関節の動きが制限されたり、肩を動かすと痛みの原因となります。

肩関節唇は繰り返し肩を酷使する方に多くみられ、野球のピッチャーに多く見られる症状です。

 

肩こり

肩こりは特に病名というわけではありませんが、パソコン作業による長時間の姿勢や過度なストレスなどにより、肩に発痛物質や乳酸などが溜まり、痛みやこりの原因となります。肩こりとなる原因は人によってそれぞれで当院では問診時に詳しくうかがっていきます。

 

 

慢性関節リウマチ

関節リウマチは手指の関節に起こることが一般的ですが、肩関節にも起こる場合があります。関節リウマチとは、自己免疫疾患の一つで自分の体の組織を外的だと勘違いをしてしまい、攻撃してしまう疾患で、関節を覆う骨膜や骨自体を攻撃してしまうために炎症や関節のこわばりが起きてしまいます。肩関節のリウマチは、手指のリウマチが進行して肩にくる場合が多く、30~50代の女性に多い病気です。

 

飛蚊症の鍼灸治療

木曜日, 12月 4th, 2025

①飛蚊症に対する当院の鍼灸施術

 

飛蚊症の鍼灸治療方針

 

 

当院の飛蚊症に対する施術は、目の周辺のツボにハリやお灸を施して、目の血行状態をよくします。目の血行状態をよくすることで線維化した硝子体内の物質を排出しやすくします

 

飛蚊症の鍼治療

当院では目にもお灸治療も積極的に取り入れてお灸による暖かさで血液循環の改善を図っていきます。

飛蚊症の鍼治療

また飛蚊症は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補って肝陽の抑制などを行います。東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。当院に飛蚊症でご来院される方は、忙しい日常を送っている方が多く、精神的・肉体的なストレス過多状態の人が少なくありません。

そこで当院では、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を検査してから施術することで自律神経のバランスを整える効果が期待できます。また部分的な治療ではなく全身を治療することは東洋医学の特徴でもあります。

全身施術を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めて様々な不定愁訴を取り除く効果が期待できます。

飛蚊症の全身調整鍼灸

当院では、飛蚊症の原因がわかった段階で施術します。飛蚊症は、失明に繋がる怖い病気の前兆の場合もあり、早急な対応が必要な場合があるからです。原因によっては当院で施術できない場合もありますので、ご相談ください。

 

②飛蚊症についての東洋医学的考え

東洋医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能の障害が深く影響していると考えられています。肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。
また肝の陰液不足のため肝陽を抑制できないためにおこる肝陽上亢や肝の陽気の過亢進による肝火上亢によって目の充血や炎症が起こります。目の充血や炎症は飛蚊症の原因になると考えられます。

※肝陰虚・肝陽上亢
肝の陰液不足によって、肝の陽を抑制できないため肝陽が上に昇っていってしまうために起こる病態です。上に昇っていくことで顔面部や頭部に熱証が見られます。具体的には、のぼせ・めまい・ふらつき感・頭痛・顔面紅潮・目の充血・耳鳴りなどが挙げられます。
また、『肝腎同源』と言われ、東洋医学では肝と腎はとても深い関係にあるため、肝の陰液不足は、腎陰不足にも繋がります。よって肝腎陰虚の症状もあらわれるのです。肝腎陰虚は、西洋医学でいう高血圧症・自律神経失調症・更年期障害・慢性腎炎・不眠症などの症状がみられます。

 

 

 

③飛蚊症の鍼灸治療症例

30代男性 飛蚊症

数年前から目の前を細かい浮遊物が飛んで見えるようになり、眼科を受診したところ生理的飛蚊症と診断された。眼科では、ドライアイの目薬を処方されて症状は昇降状態だったが、当院に来院される半年前頃から飛蚊症の症状がひどくなり始めた。仕事はデスクワークが主でパソコンの前に座って作業する時間が多く、夕方など目が疲れてくると、浮遊物が多くなり仕事に集中できないとのこと。

それに伴い首や肩にこりに痛みを感じてつらい。またずっと座っていると右腰もつらくなってきて、右足も重だるくなってくる。

 

治療
生理的飛蚊症の場合、パソコンを多く見る習慣や不規則な睡眠・食事、運動習慣の少なさなど生活習慣が多くかかわってきます。まず問診や自律神経側的でお体のバランスをしっかり把握したうえで施術にはいります。

この方の場合、お仕事が多忙で交感神経が過亢進状態で、寝つきも悪いことが週に2~3日あるとのことでした。また運動習慣も少なく、パソコン作業をすると6時間休憩を取らずにぶっ続けで行うこともあり、そういった習慣も改善していく必要があります。

治療ではまず全身の自律神経のバランスを整える自律神経調整療法を施し、首・肩・腰部の治療をしてから最後に目の周りの施術をしました。

 

治療経過
◇1回目◇
触診したところ首肩の筋肉に左右差があり、右が明らかに金の緊張がみられる状態でした。それらの筋肉をほぐすと共に以前に鍼治療を受けられており鍼治療に慣れているということで一回目から目の周りにの施術も少し強めで行いました。

◇2回目◇
目・首・肩・腰の症状にあまり変化が見られなかったが1回目の治療後お腹が動く感じがあり、胃腸の働きが良くなったと実感できたとのこと

◇3回目◇
以前たまに夜目覚めることがあったが、最近それがみられなくなったとのこと。

◇4回目◇
以前は右肩がつらかったが、それがとれて今度は左肩の不調を感じるようになった。目やにの量が少なくなった。

◇5回目◇
身体全体的な状態は楽になってきた。

◇6回目◇
飛蚊症の症状に変化が見られてきた。以前は目が疲れると浮遊物が増えて仕事に集中できなかったがそれがなくなった

◇7回目◇
以前の状態が続いている

◇8回目◇
日常生活の中で飛蚊症の症状が気になることは少なくなった。ただしまだ青空を見上げると浮遊物があると確認できる。

◇9回目◇
体の状態に変化見られず。

◇10回目◇
青空を見上げても浮遊物が見えなくなった。

 

 

 

症例2
60代 女性
当院にご来院された2か月ほど前から目の前に浮遊物の見える飛蚊症の症状が出てきた。眼科で検査を受けたが特に異常は見られなかった。眼科では特に治療は受けずに経過観察と言われて他に治療法はないかと探していたところ当院のホームページを見つけてご来院された。

 

当院の治療
普段からパソコンで仕事をしていて、それ以外にもスマホやテレビを見る機会が多く、目は相当酷使していたとのこと。普段から目の疲れは感じていた。
それに加えてここ最近は母の介護が加わり、体力的にも落ちていて胃の調子など体調を少し崩している状態でした。目の浮遊物は両方見えて特に右目に大きな黒い塊が見える。視力は左右ともに0.3でコンタクトレンズをつけている状態。

自律神経のバランスを測定したところ、自律神経のバランスが乱れている状態でしたのでバランスを整えつつ、目の周りの施術をしていきました。

 

治療経過
◇1回目◇
施術後、目の疲れはだいぶ軽減されたように感じた。飛蚊症はまだまだある。

◇2回目◇
仕事と介護でストレス。睡眠不足で目の調子も少し悪い

◇3回目◇
今回施術後から飛蚊症の細かい浮遊物は見えなくなってきた。まだ右目の大きな黒い塊はある

◇4~6回目◇
段々と飛蚊症も薄くなってきていると感じる。身体の疲れも良くなってきて睡眠の質も向上

◇7回目◇
飛蚊症、明るい所や天気の日に少し気になる程度になってきた

◇8回目◇
目が疲れてくると細かい浮遊物は多少見えるが、それ以外普段は浮遊物を見られなくなった

 

 

症例3
30代 男性

 

2年前から視界に糸くずのような物が飛んでいて気になるようになっていた。その後、前から視力が悪く気になっていたためレーシック手術を受けて視力の回復をする手術を受けた。手術を受けて視力は上がったように感じたが、飛蚊症がさらに気になるようになってしまった。

最初は、右目だけ気になるようだったが今では左目も糸くずのようなものが飛んでいるのが気になる。

 

パソコン作業が主な仕事のため、明るいデスクを見ると飛蚊症がさらに気になり、仕事にも集中できない。

飛蚊症が気になり始めると、頭痛や目の周りの痛みも感じることが多い。

 

飛蚊症の他に、ひざ痛や左坐骨神経痛もあり、ランニング中や趣味のテニスをしている時に痛みが強くなるとのことで目の施術と合わせて施術を行っていきました。

 

鍼灸治療

 

以前から鍼治療は良く受けており、受け慣れていたため刺激の量は若干はじめから強めに行ってしっかりと刺激量は入れていきました。

目の周りの鍼通電治療やお灸施術を中心にして膝周りや大腿四頭筋の筋緊張の緩和、頸部の板状筋・僧帽筋の筋緊張の緩和なども併せてはり灸施術を行いました。

 

■1回目

飛蚊症に対しては特に変化は見られない。ランニング中の膝の痛みは軽減された。VAS7→3

 

■2~6回目

あまり変化は見られない。飛蚊症は少し薄く見えるようになったかもとのこと。まだ仕事中もかなり気になる。天気のいい日の空を見上げるとはっきりと飛蚊症が見える

 

■7~15回目

治療開始8回目あたりから少しずつ飛蚊症の数が減少。以前は視界全体にバーっと拡がっていたが今はだいぶ少なくなってきた。パソコン作業の仕事も集中してできる時間が段々と増えてきた。

 

身体もだいぶ楽になってランニングやテニス時のひざ痛や坐骨神経痛はVAS8→2にまで痛みは軽減された。

 

症例4

50代 女性

1年前から飛蚊症が気になるようになった。半年ほど前から中心に濃く見えるようになり、パソコン作業中に特に気になるようになったためご来院された。眼科で検査の結果、生理的飛蚊症と診断された。

仕事はほぼ1日中パソコン作業を行っており、普段から目の疲れや、目から頭にかけてのおもだるさを感じている。また、全身の疲れや首肩のこりも慢性的にある。

治療

飛蚊症の原因となっている硝子体内の物質の排出を促すため、血流改善・新陳代謝の活性化を目的に、目の周りに鍼通電を行いました。また、全身的な血流の改善、筋緊張の緩和のため自律神経調整施術も行っていきました。

治療頻度は一週間に一回。

一〜五回目
目の周りや頭にかけての重さがとれた。飛蚊症は色が少し薄くなった。首肩のこりは依然気になる。

六〜十回目
飛蚊症は施術の回数を重ねるごとに段々と色が薄くなっていった。首肩のこりも以前より気にならなくなってきた。

十一〜二十回目

飛蚊は色がさらに薄くなり、中心から外側に移動した。身体の疲れが軽くなり、首肩のこりは気にならない。

二十五回目以降

飛蚊症の色は透明になり、輪郭がぼやけて見えている。パソコン作業では気にならなくなった。

 

④飛蚊症とは

飛蚊症とは、明るいところや白い壁などを見つめた時、目の前を小さな浮遊物が飛んでいるように見えます。その形状は虫や糸くずであったりします。視界からはずそうと視線を動かしても一緒に移動してきます。また、まばたきや目を擦っても一向にきえません。

眼球の内容の大部分は硝子体が占めています。硝子体は透明で粘稠な組織で血管や神経はありません。目から入ってきた光はこの硝子体を通過して網膜まで達します。ところがその硝子体になんらかの原因で濁りが生じると蚊や糸くずが飛んでいるように見えます。

 

 

 

⑤飛蚊症についての原因

 

飛蚊症の主な症状

 

飛蚊症の原因は大きく分けて5つあります。

ⅰ)生理的飛蚊症
母体内で胎児の眼球が作られる途中では、硝子体に血管が通っています。眼球が完成すると普通血管はなくなります。しかし、生後血管が残っていると飛蚊症として感じることがあります。このタイプの飛蚊症は生理的なもので健康な人にも起こりうるので症状が悪化しないかぎり心配する必要はありません。
成人の場合では、硝子体内の分質の変化により線維化した物質が浮遊物として見える場合があり、眼科で検査しても病的ではなく、原因がわからない場合が多いです。

ⅱ)硝子体剥離による飛蚊症
硝子体剥離は飛蚊症の原因としてもっとも多いと考えられています。高齢者に多くて、歳をとると硝子体はゼリー状から液状に変化し、硝子体は次第に網膜から剥がれます。この現象を硝子体剥離といい、飛蚊症の症状をもたらします。また若い人でも強度の近視の場合は硝子体剥離がおこります。

ⅲ)網膜裂孔、網膜剥離による飛蚊症
網膜裂孔は硝子体と網膜が癒着した部分があると、網膜が委縮した硝子体に引っ張られた際に破れて孔が開いてしまいます。その時に網膜の血管が切れて出血が起こり、硝子体が濁ることによって飛蚊症の症状が現れてきます。
網膜裂孔が起こる前に目の前を光が走るように感じられることがあります。それは、暗い場所でも目を閉じていても感じられます。網膜剥離は網膜裂孔を放置しておいた場合に起こる場合がほとんどです。網膜剥離が起こると剥がれた部分ではものを見ることができなくなります。また黄斑部という視力に深くかかわっている部分が剥離すると極端に視力が低下してしまいます。無症状でゆっくり進行するものもありますので、注意が必要です。

ⅳ)硝子体出血による飛蚊症
目の中に出血して血液が硝子体のなかに入ると飛蚊症として感じます。出血量が比較的少ない場合に飛蚊症の症状が現れます。
出血量が大量であると視力も落ちます。硝子体出血を起こすものとして糖尿病網膜症と網膜静脈閉塞症があります。どちらも眼底を走る血管の血流が阻害されることにより血管が破れて出血を起こします。
硝子体は血管がなく、血の循環が悪いところなのでなかなか血液を吸収せず、症状が改善するのに時間がかかります。

ⅴ)炎症による飛蚊症
眼球の炎症性の病気によって硝子体が混濁して飛蚊症の症状が現れることがあります。最も多いものが、ぶどう膜炎です。目に炎症が起こると血管から白血球や滲出液が硝子体に入り込み硝子体を混濁して飛蚊症の症状が現れます。この場合の飛蚊症は症状の軽いものから始まり、だんだん症状が悪化していき、やがては物を見るのに支障をきたす場合もありますので注意が必要です。

 

⑥飛蚊症の自分でできる対策

飛蚊症を予防・改善させる自分できる対策として目に発生した活性酸素を分解させる・なるべく活性酵素を発生しにくくさせるという対策があります。

硝子体や水晶体は紫外線を浴びると活性酸素が発生してしまいます。通常、その活性酸素を分解してくれる酵素が分泌されますが年齢を重ねていくとどうしてもその分泌量が減少していってしまうのです。
さらに、今は目を酷使している人が増えているため目の周りの循環も悪くなってしまい、わかくても活性酸素を分解してくれる酵素の分泌量が減っている人が多く、若くして飛蚊症で悩んでいる方も少なくあります。

 

よって飛蚊症となってしまう過程で活性酸素をできるだけ発生させない・活性酸素を分解してくれる酵素を出しやすい体の状態にするという事が重要となるわけです。

 

 

・サングラスをかける
紫外線を浴びると水晶体や硝子体に活性酸素が増えやすくなってしまいますので外に出る時はなるべくサングラスをかけるかUVカットのメガネを着用するようにしてください。

 

・パソコンやスマホ画面を長時間見ない
パソコンやスマホ画面を長時間見ると目の周りの筋肉が過緊張状態となり、血液循環が悪くなるので最低1時間に5~10分程は目を休める時間を取りましょう。

 

・蒸しタオルなどで目の周りを温める
目の周りを温めることで目の周りの血液循環が改善されて活性酸素が分解される酵素が分泌されやすくなります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

 

円形脱毛症の鍼灸治療

水曜日, 12月 3rd, 2025

円形脱毛症に対する当院の鍼灸治療

当院の円形脱毛症に対する治療は、第一に頭部に鍼灸施術で刺激して血流を良くすることにより発毛活動の促進を促します。これが最終目標ですが、頭部ばかりの血流を施しても根本的な治療にはつながりません。

治療の手順

1.まずしっかり問診をして原因がどこにありそうなのか特定していきます。生活でストレスに感じていることなど、些細なことでもお伝えください。

丁寧な問診

2.自律神経測定器で自律神経の状態を計測します。自律神経の状態を把握することでその患者さんにとって最良の治療を選択していきます。

自律神経測定器

3.いよいよ治療に入ります。治療を受けやすいお着替えもご用意しておりますので、ご利用の際はお申し付けください。

 

4.まずは、仰向け治療で自律神経の状態を整えていきます。

冷え性対策

5.次は、うつ伏せになっていただき首肩などの筋の緊張をとっていきます。首周りの筋肉が過緊張状態ですと、その下を通っている血管を圧迫して頭部に栄養ある言い血液が循環していきません。当院では、円形脱毛症の治療でも首肩の筋肉の緊張をしっかりととっていきます。

うつ伏せ治療

6.最後に頭部にはりやお灸を施します。はりに電気を通して当院独自の通電療法を施す場合もあります。それは、患者さんの状態を診て判断しますが、電気の刺激がどうしても苦手という方は、お申し付け下さい。

円形脱毛症の鍼治療

 

当院ではその方に合ったオーダーメイド療法を心掛けています。また治療を受ける時間や仕事帰りや休日といったことでも体は変化します。その日の体に合わせた治療を施します。

 

円形脱毛症の鍼灸治療の研究

全日本鍼灸学会では、円形脱毛症の鍼灸治療についての研究結果が報告されています。

『円形脱毛症の治験』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1955/24/1/24_1_35/_article/-char/ja/

この研究では、交感神経の緊張は血管の収縮をまねいて毛髪の種子層細胞を退化させて脱毛現象を促進させて円形脱毛症の原因となると書かれています。また、内分泌系に関して脳下垂体後葉ホルモンやアドレナリンは血管を収縮させて脱毛傾向を促進させるとも言われています。

22の脱毛症例に対して脱毛部に梅花針やお灸治療、首肩背部への鍼灸治療を行った結果、良好および治癒が8例だったと報告されています。

 

円形性脱毛症の東洋医学

円形脱毛症は東洋医学の「」と「」が大きな影響を与えていると考えられています。

腎の大きな役割として、「腎は精を蔵し、生長・発育・生殖をつかさどる」というものがあります。腎は、人体の生長・発育・生殖および生命活動を維持する精を貯蔵して監視するというものです。

この腎精が不足すると、骨格の発育不良・運動能力の発達不良・内分泌機能や栄養代謝の低下など様々な機能の低下が起きると考えられています。髪の毛の視点からしても腎精が不足すると脱毛に繋がります。
腎精は生まれつきに備わってる部分が大きく、年をとるとともに減少傾向をたどるのが正常ですが、異常を起こし若いうちに腎精が不足すると円形脱毛症になると考えられます。
また、肝の異常により肝血が不足すると、腎精がこれを補うので、肝と腎はとても深い関係にあります。

肝血が不足すると、栄養障害や視覚の異常、運動系の異常などをもたらしますが、同時に腎精不足で起きる症状も呈しやすくなり、円形脱毛症になると考えられます。

 

 

円形脱毛症の鍼灸治療症例

 

・症状
30代 女性

・仕事
医療事務
半年ほど前に美容院に行ったところ、右後頭部に2cmほどの楕円形の脱毛部分があると指摘された。指摘されてすぐ皮膚科を受診。ステロイド薬を処方されるが変化は見られなかった。脱毛部分は少しずつ広がっていき、500円玉程の大きさとなってしまったところで当院を受診されました。
問診では特に日常生活でストレス感じていない様子で、最近の生活の変化も見られなかった。

・治療
まず自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握したところ、問診では「日常生活でそこまでストレスを感じていない」とのことでしたが、交感神経の数値が高く、精神的ストレス指数も高い状態でした。
そこでまず仰向きで交感神経の活動を鎮めて副交感神経の活動を高めるような、自律神経調整療法を施しました。次にうつ伏せ状態で頸部から腰部を触診したところ、頸肩部の硬固がつよく、そういった反応点にはり灸施術を施しました。

身体の血液循環をよくしたところで最後に仰向けで脱毛部分にはりを刺していきました。

 

・治療経過
◆1回目◆
頭皮・脱毛部分に大きな変化見られず身体の感覚は少し良くなった。

◆2~4回目◆
頭皮・脱毛部分に大きな変化は見られないが、髪質に変化を感じ始めた。

◆5~9回目◆
脱毛部分の周りから少しずつ髪が生えてきて毛根を確認ができる。髪質も良好。

◆10回目◆
脱毛部分全体に毛根を確認でき、1cmほどの髪の毛の長さと、触った時のザラザラ感があり、髪質が変わってきた様子。

◆11~15回目◆
脱毛部分に生えてきた髪の毛が抒情に黒くしっかりとした髪質に生まれ変わってきて、脱毛部分がわからなくなってきた。

 

・考察
患者さん自身がストレスを感じていなくても、身体の反応として出たり、自律神経測定器の数値結果からもストレスを溜め込んでしまっている体の状態が把握できた。また喘息の既往歴もあり、体質や遺伝的素因と環境的要因との両方が円形脱毛症を引き起こしたと考えられる。体のメンテナンスとして1カ月に1~2回は、通院されています。

 

 

症例2
40代男性

半年ほど前から右側頭部に500円玉程くらいの大きさで髪の毛が抜けている部分があることに気づき、すぐに皮膚科を受診して飲み薬や注射などの治療を行ったが、あまり改善がみられず気づくと今度は左側に円形の脱毛が見られるようになった。このまま薬と注射にだけ頼るのは不安になってきたため東洋医学で何とかならないかと当院にご来院された。

 

治療
職場の移動や子供が生まれて家庭環境が変化してストレスの多い日々を送っていたとのこと。円形脱毛に気づく前にお風呂で髪を洗っている際に抜け毛が多いことが気になっていた。ストレスが自律神経の乱れにつながっている可能性が考えられるため、まず自律神経の状態を計測して施術に入りました。治療方針としまして、まず自律神経の状態を整えること、円形脱毛がある部分の血行改善を目的に半年ほどの治療期間を考えていただき、施術しました。

 

経過
◇1か月目◇
治療開始から数回は寝つきが良くなり、体調が過服していくことを実感。頭部の状態は変化なし。

◇2か月目◇
最初に脱毛が起きた右側頭部の脱毛部分に産毛が生えてきた。左側頭部は変化は見られない

◇3か月目◇
右側頭部分は髪も少しずつ伸びて傍から見ると脱毛に気づかない状態。左側頭部も少し産毛が生えてきている。

◇4か月目◇
右側頭部の脱毛部分は順調に髪の毛が伸びてきている。

◇5か月目◇
右脱毛部分の髪の毛は周りの毛とほぼ変わらない髪の毛の長さにまで成長。左の側頭部も周りの髪の毛と比べると3分の1程度

◇6か月目◇
左右側頭部ともに円形脱毛があった部分がわからない状態となった。

 

症例3

40代 男性

1か月前に頭頂部に500円玉ほどの円形脱毛部が出現した。

ストレスに関しては思い当たることはないが、3~4か月前に急激に仕事が忙しくなり、睡眠時間も短かったためそれが原因の1つと考えている。

長時間のデスクワークで肩こりを強く感じ、2週間に1回のペースでマッサージに行くが、あまり楽にならない。

 

施術

まず頭の状態を入念に確認しました。

頭皮は少し赤みが出ており全体的に硬めですが、円形脱毛部は局所的に浮腫みが強く、鬱血している様子でした。

脱毛部周辺の髪の毛は細く元気がなく今にも抜けそうな状態。

肩首の緊張も強く可動域が狭くなっています。

 

まずうつ伏せで、首肩の筋緊張を緩和し、頭部への血流を促す施術を行いました。

次に仰向けで、自律神経調節治療、直接頭部へ鍼で刺激し、血流を促進させ髪の毛の成長を促す施術を行いました。

 

経過

◇1回目◇

肩が楽になり、自然と力みが少なくなった

 

◇2回目◇

髪の毛はまだ変化がないが、緊張が取れよく眠れるようになってきた

 

◇3回目~5回目◇

まばらだが産毛が生え始めてきた。鬱血もなくなり頭皮の状態も整ってきた様子

 

◇6回目~7回目◇

産毛がさらに増えてきている

 

◇8回目~10回目◇

産毛が太くしっかりしてきている

 

◇11回目~12回目◇

外側はほぼ埋まってきて、円形部が小さくなってきている

 

◇13回目~15回目◇

円形部分はほぼすべて生えそろった

 

◇16回目◇

気にならないところまで改善

 

 

症例4

50代 男性

2か月前に急に抜け毛が目立ち始め、短期間で後頭部の広範囲に脱毛が起こった、最初は1か所のみだったが、徐々に脱毛部が増加し、数か所の脱毛部分が繋がってしまい、大きな脱毛部になってしまった。

今は抜け毛は止まり、皮膚科で処方してもらっている外用薬を使用しているがあまり改善されず、産毛もまだ生えてこない。

発症当時は思い当たる生活習慣の乱れやストレスもなく、風邪など体調を崩したわけでもないため、原因が不明。

 

他に別の治療を試したく、当院を受診した。

 

当院の施術

 

頭の状態を確認したところ、頭皮は少し硬さは見られたがひどい硬さではなく、逆に部分的にぶよぶよした感触があり鬱血状態になっている様でした。

まずは自然治癒力を促すため自律神経調整を目的とした施術を行いました。

次に首肩の筋緊張の緩和、円形部に刺鍼し血流を促進させ毛髪の成長を促す施術を行っていきました。

 

経過

◇1回目~10回目◇

産毛が生え始めてきた。

 

◇11回目~15回目◇

産毛が増えてきた。

頭皮の鬱血状態も改善してきた。

 

◇16回目~20回目◇

生えてきた産毛が太くなってきた。

触るしっかりとした髪の毛に成長してきているのが実感できる。

順調に埋まってきている。

 

現在も通院中

 

円形性脱毛症の東洋医学

円形脱毛症は東洋医学の「」と「」が大きな影響を与えていると考えられています。

腎の大きな役割として、「腎は精を蔵し、生長・発育・生殖をつかさどる」というものがあります。腎は、人体の生長・発育・生殖および生命活動を維持する精を貯蔵して監視するというものです。
この腎精が不足すると、骨格の発育不良・運動能力の発達不良・内分泌機能や栄養代謝の低下など様々な機能の低下が起きると考えられています。髪の毛の視点からしても腎精が不足すると脱毛に繋がります。

腎精は生まれつきに備わってる部分が大きく、年をとるとともに減少傾向をたどるのが正常ですが、異常を起こし若いうちに腎精が不足すると円形脱毛症になると考えられます。
また、肝の異常により肝血が不足すると、腎精がこれを補うので、肝と腎はとても深い関係にあります。

肝血が不足すると、栄養障害や視覚の異常、運動系の異常などをもたらしますが、同時に腎精不足で起きる症状も呈しやすくなり、円形脱毛症になると考えられます。

 

 

円形脱毛症とは?

 

円形脱毛症とは、その名の通り髪の毛が円形に抜けてしまう症状です。しかし、円形脱毛症と言いましても人によって小さい10円玉くらいのサイズの脱毛から症状が進行すると、頭髪がすべて抜けてしまったり、眉毛や腋毛などにも影響が出てしまう場合もあります。

発症しやすい年代は、10~40代で男女比はそれほど変わりないですが、若干女性の方が円形脱毛症になりやすいと言われています。ストレスを抱えることの多い現代の日本人では、100人に1~2人は、円形脱毛症にかかってしまっている状況です。

近年では、ストレスを抱える子供が増えているせいか、子供でも円形脱毛症にかかってしまうケースもあり注意が必要です。

円形脱毛症は、早期に治療することが重要となりますが、痛みや痒みもないので自分では気づかない場合もあり、周りの人や髪を切る際に指摘されることも多いようです。
こういった方は注意が必要です!

・最近、枕によく抜け毛がついている
・髪を洗った時に髪の毛がよく抜ける
・家庭や職場で多くのストレスを感じている
・爪に小さな凸凹ができている
・アトピー性疾患を患っている
・家族が円形脱毛症になったことがある
・抜けた髪の毛根が膨らんでいるのではなく、細くとがっている
・出産後3カ月以内の女性

 

 

円形脱毛症の種類

 

円形脱毛症といいましても抜け方により様々な種類があります。また、髪の毛と爪の構造が類似しており、円形脱毛症の方は、爪が歪んでいたり、小さな凸凹ができる場合もあります。

・単発型
円形脱毛症で一番多く見られるのが単発型です。突然気付いたら、円形状の脱毛斑ができます。頭髪ばかりでなくまゆ毛や腋毛なども抜けて行ってしまう場合もありますが、比較的は予後は良好で、1年以内にほとんどの方が治癒するといわれています。
しかし、また再発する可能性もあり注意が必要です。

・多発型
単発型が進行すると、脱毛斑が2つ以上できてしまう多発型へ移行してしまいます。多発型は、単発型よりも治りも遅くなってしまいます。

・蛇行型
多発型で脱毛斑が隣接している時に、脱毛斑が合わさってさらに脱毛範囲がさらに拡がっていってしまう場合があります。蛇行型は、合わさった脱毛斑が後頭部から側頭部にかけて蛇のような形で拡がって行ってしまいます。

・全頭型
全頭型は、脱毛斑が進行していき、頭全体に拡がってしまいます。さらにまゆ毛やまつ毛、腋毛などすべての体毛に脱毛が拡大していく場合もあります。
そういった場合は、治療が長期にわたります。

 

円形脱毛症

 

 

円形脱毛症の原因

 

・ストレスによる円形脱毛症
円形脱毛症の原因としてまず挙げられるのが、精神的ストレスです。過度な精神的ストレスが長い時間続いてしまうと、自律神経が乱れます。自律神経は自分の意識とは無関係に働いている神経で、心臓や腎臓などの内臓器をつかさどって血管や血液循環にも影響をもたらします。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経が活動的な神経で副交感神経がリラックス神経です。交感神経は心臓などの臓器を活動的にさせて、交感神経の長時間過緊張状態が続くと、血管を収縮させて全身の血流量を低下させてしまいます。それが頭皮に及ぶと、毛根へ栄養ある血液が送れなくなってしまい、脱毛につながるのです。
当院では自律神経測定器で現在の自律神経の状態を把握してから治療に入るため適切な方法で治療することが可能です。

 

・自己免疫疾患の円形脱毛症
円形脱毛症は、ストレスが主な原因と認知されがちですが、自己免疫疾患が原因で円形脱毛症になるケースも多いです。
自己免疫疾患とは、体の外部から入ってきた異物を攻撃して撃退するという本来の機能が異常をきたして、自分の細胞を攻撃してしまう疾患です。自己免疫疾患には、有名な所で言えば、関節リウマチ・全身性エリテマトーデス・バセドウ病などが挙げられます。

頭皮において自己免疫疾患が起こった場合、毛根を異物だと判断して攻撃してしまうのです。すると突然髪の毛が抜け落ちて新たな髪の毛さえ生えにくくなるのです。
自己免疫疾患は年々増加傾向にありますが、ストレスによる自律神経の乱れが影響しているとも考えられており、鍼灸治療で自律神経を整えることはとても重要です。

 

・アトピー素因による円形脱毛症
円形脱毛症で悩んでいる方の半数ほどは、アトピー性疾患を持っており、アトピー素因との関係が深いと考えられています。そして半数以上は家族にもアトピー性疾患を患っている方がいます。そいった方は、治癒しても再発する可能性が高くなります。

 

・遺伝的要因による円形脱毛症
研究結果でも円形脱毛症患者の家族にも同じような症状で悩んでいる方がいるという結果が出ており、遺伝的要因があるのではないかと考えられています。しかし、どういったものが遺伝すると円形性脱毛症となってしまうのかといった詳細なことはいまだわかっていない状態です。

 

・出産後女性ホルモンの減少による円形脱毛症
出産による女性ホルモンの減少が脱毛に繋がってしまうと考えられています。女性ホルモンはもともと発毛を促進させるという働きがあります。しかし出産後女性ホルモンが減少して髪の毛の質が細くなったり、ひどい場合だと髪の毛が抜けて円形脱毛症となってしまうのです。

 

円形脱毛症を改善させるための食材

 

円形脱毛症の原因は、科学的には厳密に解明されているわけではありません。

しかし、上述したように様々な要因が絡み合い起きているものだと考えられています。遺伝的要因やアトピー素因など先天的な体質も大きなウエイトを占めていることもありますが、食生活を中心とした生活習慣を見直していくことで円形脱毛症が改善されやすい体の状態に持っていくことはとても重要なことです。

食事は毎日できるだけ一日3食バランスの良い食事を同じ時間帯にとって、十分な睡眠と運動習慣は、治しやすい体に持っていくための基本です。

その中で髪や頭皮の健康につながる食べ物は科学的に解明されており、それらを積極的に摂っていく必要があります。

・タンパク質

髪の毛の大半はケラチンというタンパク質で構成されており、ケラチンが不足している状態ですと髪の毛が生えにくかったり、伸びにくい、切れやすいなど不健康な状態となってしまう危険性があります。
タンパク質が多く含まれている食材として赤身の肉や鶏肉、魚、大豆や納豆などが挙げられます。

・亜鉛

亜鉛も不足してしまうと髪の毛の成長が鈍り、不健康な状態となってしまうことが言われています。
亜鉛の多く含まれる食材として牡蠣や赤身の肉、豆類やナッツ類などが挙げられます。

・ビタミンB群

レバーや卵、大豆に多く含まれるビタミンB2は細胞の新陳代謝を促すとされています。カツオやサバに多く含まれるとされるビタミンB6、レバーやイワシなどに多く含まれるとされるビオチンはタンパク質の代謝、合成や分解を助けるとされ、積極的に摂っていくと健康的な髪の毛になりやすいとされています。

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

ものもらいの鍼灸治療

木曜日, 11月 20th, 2025

①ものもらいに対する当院の鍼灸治療

当院のものもらいに対する施術目的は、第一に目の周辺の経穴にハリ刺激を施すことにより抗炎症作用を促します。

またものもらいは五臓六腑の「」に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補うことや「肝気」の巡りをよくします。また肝の陽気が過亢進して頭の方へのぼっていくことでものもらいの症状を起こしているとも考えられるので肝の陽気を抑え、なおかつ下げる治療もする必要があります。風熱の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す施術が必要になります。

ものもらいは、風邪や糖尿病の時など免疫力の低下が原因と考えられることが多く、自律神経の乱れから起こる場合もあります。当院では、自律神経の状態を把握した上で施術させていただき、全身の自律神経のバランスも調整します。

また当院では、ものもらいの治療に対してお灸治療を多く用います。目の周りにお灸をいたしますが、痕などは残らず心地よいお灸を施しますのでご安心ください。

 

③ものもらいの東洋医学的考え

 

東洋医学では五臓六腑の「肝」は目に開竅するといわれており、目の疾患は肝の機能障害が深く影響していると考えられています。
肝血」が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。
また肝の陰陽のバランスが崩れてしまい肝の陽気の過亢進がおきると次第に陰液を消耗して肝陽が頭の方へ上がっていきます。するとものもらいなどのさまざまな目の疾患高血圧頭痛自律神経失調症などを引き起こします。

また外からの風熱の邪気が体に侵入すると目は犯されやすく、ものもらいを引き起こす原因にもなります。また熱邪は肺を犯し津液を濃縮して「」を生じます。東洋医学では「痰」は気道から分泌される痰だけではなく、他の広義の「痰」があり、気血や津液の循環を阻害します。それは霰粒腫の原因となります。

ものもらいの東洋医学

③症例

 

30代女性

1カ月ほど前から右まぶたが赤く腫れてしこりがあった。眼科で処置をしてもらい一時的には腫れが引くが、2.3日経つとすぐにまた赤く腫れあがり、痛みを感じるようになってきた。1か月ほど前から特に仕事も忙しく睡眠不足が続いていた。仕事が忙しい時は、帰宅後化粧を落とさず気づかずに寝ている時もあり、目の周りの衛生環境はよくなかったとこと。最近目の痛みが強く出ていて仕事にも支障が出てしまう程となってしまったため当院を受診されました。

 

当院の治療

まず自律神経測定器で自律神経の状態を把握して治療に入りました。仕事のストレスや睡眠不足も重なり、自律神経の乱れている状態でした。まず、全身の調整治療で自律神経の調整を行い、右目周りを中心にお灸の施術を行いました。

経過
◇1回目◇
治療後、目の痛みは軽減されたが腫れはまだ引いていない

◇2回目◇
腫れはまだ引いていないが、痛みがだいぶ軽減されて夜ぐっすり眠れるようになった

◇3回目◇
体調がよくなってきたと実感。赤みは残っているが、腫れが少しずつ引いてきた

◇4~5回目◇
腫れは引き、若干の赤みがある。

体調が崩れてくるとまた再発の恐れがあるので、2~3週間に1回ほどの治療間隔で3か月ほど通院していただいています。

 

④症例

 

60代 女性

2カ月前に両目ともにものもらいが出来て眼科を受診した。抗炎症作用のある点眼薬を処方されてしばらくすると右目はすぐに痛みもなく、ものもらいも改善していったが、左目のものもらいに関しては点眼薬をしてもものもらいは小さくなっていかなかった。痛みはだいぶ軽減されたが、左目下にものもらいが残っており、違和感を常に感じる。再び眼科を受診したが、切って中の膿を出す方法もあるがそこまで大きなものでないため、経過観察するとのことで帰された。
しかし、一向に左目下のものもらいは小さくならずになんとかしたいとのことで当院にご来院されました。

 

当院の治療

仕事は忙しい時と忙しくない時の波があり、忙しいと夜遅くまでパソコン作業をすることがあり、ちょうど2カ月前は仕事が忙しかったとのこと。また、家庭でもご主人が病気をされて看病しないといけなくなり、心労も重なっていた。寝つきも悪く、睡眠も浅い状態で夜中に目覚めることもあり、体の疲れは溜まっている状態だったとのこと。
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を把握した上で自律神経を整える施術、ものもらいが出来ている周囲を中心に鍼やお灸で炎症を抑えるような施術を行っていきました。

 

経過
◇1回目◇
一回目の施術後、ものもらいの大きさは3分の2程度に軽減。しかしまだ違和感はある。施術した夜は良く睡眠がとれて夜中目覚めることが無かった。

◇2回目◇
2回目治療後の3日後くらいに左目下のものもらいは半分程度の大きさになった。

◇3回目◇
3回目の治療後、左目下のものもらいは3分の1程度に軽減された。全体的な身体の調子は少し悪く天気が悪いとふわふわとした軽い頭痛とめまいを感じるとのこと。

◇4回目◇
ものもらいはほぼ軽快。違和感も感じられなくなった。

◇5回目◇
目の施術より身体全体の施術を中心に行っていった。以前よりも寝つきが良くなり、途中で目覚めることがなくなった。

 

⑤症例

 

30代男性

3週間前に右目のまぶたの上あたりにものもらいができて眼科を受診。霰粒腫と診断された。
眼科ではとりあえず経過観察で状態が変わらなければステロイド注射か切開手術を行うと言われた。

3週間たっても一向によくならないばかりか少しずつしこりが大きくなっていると感じており、ステロイド注射をしたがあまり改善が見られなかった。切開手術は痕も残る可能性もあるためあまり気が進まずほかに治療法がないかと鍼灸治療を試してみたいということでご来院されました。

治療
霰粒腫ができて間もなくは痛みや赤みが強く出ていたが今では痛みを消失している状態。
当院の施術では、目の周りに鍼やものもらいの特効穴として知られている『二間』などにお灸を用いて用いて施術を行っていきました。また目の周りにホットタオルをおいて温めてマイボーム腺に詰まっている脂成分を軟らかくすることで自然排出や吸収を促すように施術も行っていきます。

経過
段々としこりが小さくなっていって6回の施術でほぼ消失したので施術を終えました。

 

⑥症例

 

20代女性

2か月前に右瞼が腫れて眼科に受診したら霰粒腫と診断された。

ステロイド注射を受けたが腫れが完全に引かず、手術を回避するため来院した。

以前は痛みがあったが、現在は痛みはなく赤く腫れているのみ。

まつ毛の下まで濃い目のアイラインをよく引くので、それが原因でマイボーム腺が詰まり霰粒腫が発症したと考えられる。

当院の治療

初めに自律神経測定器でお体の状態を確認しました。

夜の時間帯にもかかわらず、自律神経の交感神経が過剰に働いていました。

お話をお伺いすると、ここ数か月間寝不足の日が続いていて、疲労がなかなか抜けない状態ということです。

まず、うつ伏せで首肩の筋緊張に対する治療を行い、次に仰向けで眼の周辺にある攅竹、四白、太陽、魚腰に刺鍼し、同時にものもらいの特効穴である二間にお灸、自然治癒力を高めるために自律神経調節治療も行いました。

治療間隔は1週間に1~2回ペース。

治療経過

◇1回目◇

鍼は初めてで少し緊張気味でしたので、初回はソフトな刺激で行って、慣れてきたら少しずつ刺激量を上げていきました。

◇2回目◇

まだ大きな変化はない。

◇3回目◇

患部の変化はないが、よく寝れて疲れが感じにくくなってきた。

◇4回目◇

腫れが少し引いてきた。

◇5回目◇

前回より腫れが半分の大きさに縮小。

◇6回目◇

目立った変化はない

◇7回目◇

さらに腫れが小さくなってきた。

◇8回目◇

赤みが少しだけ残っているが、ほとんど気にならない。

 

 

⑦症例

 

10代 男性

小さいころからものもらいに悩んでいて、できては治りを繰り返している。今は少し治りかけているが、1週間前は両目にできていた。

病院の薬や民間療法を色々試したが効果はあまり感じられずにいたため、他の治療はないかと母が探していたらこちらの院のホームページを見て来院。

鍼は別のところに行ったことがあるが、とても痛かったので今回は弱めの刺激でお願いしたい。

少し疲れたり、風邪気味になるとものもらいができるが、睡眠不足やプールやスーパー銭湯に行くだけでもできてしまうので何とかしたい。

 

当院の治療

鍼に強い恐怖心があるようでしたので、初めは小児鍼の接触鍼での治療を行いました。鍼の刺激に慣れてきたら細めの鍼で刺鍼治療に切り替えていきます。

ものもらいの治療は免疫力の向上と眼の周りの血流改善を主に治療いたします。また、鍼灸治療には、炎症を抑える効果もありますのでものもらいでできた瞼の腫れに対してアプローチしていきました。

 

治療経過

◇1回目◇

鍼に緊張してガチガチ、小児鍼での刺激はいたくないから大丈夫だった。お灸は温かくて気持ちいい。

◇2回目◇

前回は痛くなかったから今回はリラックスして治療を受けられた。少し眠っていた。症状に変化は感じられない。

◇3回目◇

刺す鍼に挑戦してみた。前に行った所は痛かったが、ここは痛くなくて刺す鍼も大丈夫そう。

◇4回目◇

先日ものもらいができたが、すぐに治った。今までのようなものもらいができる前に来る痛みがなくなった。

◇5回目◇

ものもらいが前よりも出にくくなった。これからも引き続き通院する。

 

⑥ものもらいとは


ものもらいとは、目の周囲のまぶたが赤く腫れて、痛みかゆみを伴う症状を指します。ものもらいには2種類あり、原因や症状はそれぞれ異なります。

◆麦粒腫
麦粒腫とは、まぶたの表面についている黄色ブドウ球菌などの細菌がまぶたの分泌腺や毛穴に入って感染し、化膿したものです。症状は主にまつ毛の根元あたりのまぶたの一部が赤く腫れて次第にかゆみが痛みへと変わっていきます。
まぶたが赤く腫れる他にまばたきすると目が痛い充血するゴロゴロするなどの症状を伴う事もあります。時には耳たぶの付け根やリンパ節まで腫れる事があります。麦粒腫の特徴として化膿が進行していくと腫れが大きくなっていくことが挙げられ、まつ毛の根元付近が腫れてくると見た目としても非常に目立ちやすくなります。

◆霰粒腫
霰粒腫とはまぶたの中にできるやや硬いできものです。まつ毛の生え際近くに脂の成分を出すマイボーム腺というものがあり、それが詰まって腫瘍ができて慢性の炎症を起こします。細菌に感染してしまうこともあり、その場合は麦粒腫との区別がつきにくくなります。
霰粒腫の症状としてはまず、まぶたにしこりを感じるようなり、炎症を起こした場合はかゆみや痛みも伴います。霰粒腫の特徴としてまぶたの裏側が腫れるため、見た目としてまぶたがぼっこり膨らんだ状態になってしまいます。症状が進行していくと腫れが大きくなっていき、不自然なほどにまぶたが盛り上がり更に患部が赤くなってしまいます。

 

 

⑦ものもらいの西洋医学的考え

ものもらいができる原因は様々で次のようなものが考えられています。

ⅰ)まぶた周辺の不衛生
まぶた周辺を清潔にしておかないと黄色ブドウ球菌などの細菌に感染しやすくなります。また,まつ毛の根元は雑菌がたまりやすいため、できるだけ清潔にしておく必要があります。

ⅱ)目をこする
目に異物が入ったときや目が疲れた時などに目をこすってしまうと手に着いた細菌などが目に入ってしまい、細菌に感染しやすくなります。

ⅲ)免疫力の低下
細菌が体に入っても体に抵抗力があれば、ものもらいにはなりにくいです。しかし風邪や糖尿病、自己免疫疾患などで免疫力が低下している状態の時はものもらいにもかかりやすくなります。

ⅳ)化粧品
アイシャドウなどといった化粧も細菌を増殖させる原因となり、ものもらいになりやすくなります。またまつ毛の内側まで化粧すると分泌腺の出口が塞がれてしまい、ものもらいの原因となります。

ⅴ)コンタクトレンズ
コンタクトレンズの装着時に細菌が目や目の周囲につきやすくなり、ものもらいの原因となります。

 

⑧ものもらいの予防法

◆まぶたの周辺を清潔に保つ
まぶたの周辺とくにまつ毛の根元は細菌がたまりやすので、汚れた手などで目をこすらないようにしましょう。

◆化粧品類に注意する
アイメイク関連の化粧品は出来るだけ使用しないか、刺激の少ないものにしましょう。またメイクは残さずにしっかりとクレンジングしましょう。

◆前髪
前髪から細菌が目に入ることもあるので、前髪はできるだけ目にかからないようにしましょう。

◆規則正しい食生活
身体の抵抗力を上げるためにも普段から規則正しい食生活や睡眠をとることが大切です。

◆コンタクトレンズの使用
コンタクトレンズを使用している場合は、毎日のケアをしっかりと行いましょう。コンタクトレンズをつけたり、はずしたりする時には手指を清潔にしてから行ってください。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

【東京・池袋】ものもらいの原因や症状・治療方法・費用・注意点などを徹底解説

 

予定日超過・陣痛促進の鍼灸治療

木曜日, 11月 13th, 2025

当院の陣痛促進に対する鍼灸治療

陣痛促進の鍼灸治療方針

 

陣痛促進の施術では、腹部や腰部に負担がかかりにくい横向きの姿勢で鍼灸施術を行っていきます。

鍼灸治療では陣痛促進に効果の期待できるツボ(特効穴)があり、下肢や肩部、骨盤周囲などを鍼やお灸で刺激していきます。

陣痛促進する三陰交への温灸器

また、陣痛が起こる機序の一つとして自律神経が関係しているといわれています。

自律神経とは内臓機能やホルモン分泌、血液循環などを司る自分の意志とは無関係に働く神経です。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、交感神経は緊張したり活動している時に、副交感神経はリラックスした時に働きます。

出産や陣痛はこのうちの副交感神経が優位になったときに始まり、副交感神経は、身体や気持ちを緩ませるホルモンの分泌が活発になり身体が出産に適した状態になりやすいのです。

陣痛促進の腰臀部のツボ

そのため当院では、自律神経の調整施術も取り入れて治療を行います。血液の巡りを良くして、内臓の働きを活性化させ、鍼やお灸の刺激により胎児が動き、子宮の働きが活発になって産気を催させる作用が期待できます。

また、全身特に足首周りのツボを刺激することで全身の血液循環を良くしたり、副交感神経を優位にさせることで陣痛促進の効果があると言われています。

陣痛促進の灸頭鍼治療

出産予定日超過とは

出産予定日を1週間~10日過ぎても陣痛が起こらないことがあります。陣痛が始まりいよいよ出産かという状況にもかかわらず、なかなか本格的な陣痛に至らないこともあり、このような場合西洋医学では「陣痛促進剤」の使用を考えることになります。

しかし、促進剤を使用した場合誘発された陣痛は自然な陣痛の子宮収縮に比べて回数が多く、より強烈な痛みになりやすいことが知られています。

 

そもそも陣痛とは

出産時は胎児を押し出そうとして子宮が収縮しますが、その時に感じる痛みが陣痛です。陣痛は出産の準備段階として不規則な痛みが現れる「前駆陣痛」といよいよ出産のときが近づき痛みが本格的になる「本陣痛」の二段階に分けられます。

本陣痛が始まると自分の意志でコントロールできず、どんどん間隔が短くなり、痛みが強くなっていくのが特徴です。

 

過期妊娠・過期産に伴なうリスク

医学的には、妊娠37週~41週6日までの出産を「正期産」としています。

42週に入っても分娩に至らないものを「過期妊娠」といい、妊娠42週0日以降に分娩することを「過期産」といいます。

・羊水過少

予定日を過ぎてくると胎盤の血流量が減り胎児への栄養供給が減り、おしっこの量も減少するため羊水の量が減少します。
羊水は分娩時のクッションとしての働きもあり、羊水過少になるとへその緒が圧迫される状態が起きやすく、胎児が子宮内で低酸素状態になる頻度が増え、健康状態が危険にさらされるケースがあります。

・胎便吸収症候群(たいべんきゅういんしょうこうぐん)

通常、胎児は子宮内では排尿しますが、排便はしません。胎児に何らかのストレスが加わると便を失禁してしまうことがあります。
胎児が羊水中に胎便(胎児の便)を排泄すると、分娩後の第一呼吸の際に口の中にあった胎便を吸引してしまうと肺が胎便まみれになり、重篤な呼吸障害を引き起こす可能性があります。過期妊娠ではこの病態が非常に起こりやすくなり、また重症化しやすいのが特徴です。

・巨大児

週数にかかわらず、出生体重が4000gを超えると巨大児をいいますが、過期産では巨大児となりやすくなります。
巨大児となると、出産のときに胎児の肩や頭がなかなか出てこなかったり、生まれてくるときに鎖骨を骨折してしまうなどの外傷を引き起こす恐れがあります。
また、母体の子宮頚管や会陰に深い傷を作ることがあります。

・胎盤機能不全

妊娠42週を過ぎると、胎盤が老化して胎盤の機能が低下します。するとお腹の中の胎児の栄養供給や酸素供給が低下し、胎児に対してストレスが増加します。

・過熟児

過熟児とは未熟児とは反対の言葉で、子宮内で成長しすぎて、正産期の新生児と比較して胎児仮死などを起こしやすいと言われてきました。しかし、最近の新生児医療の進歩で予後は良くなっているようです。

 

西洋医学的治療

・出産予定日が正しいかどうか再確認する

妊娠初期のCRLまたはBPD、最終月経開始日、基礎体温など改めてチェックし、出産予定日が正しく計算されているかチェックします。

・胎児の体調が良好かどうか定期的に検査をする

また、超音波検査やNST(胎児の元気さがわかるノンストレステスト)などで胎児の体調を細かく確認します。このような検査を週に1~2回行い、状態によっては管理入院になることもあります。

・分娩誘発を行う

子宮頚管の軟らかさ(熟化)の状態を確認し、それに応じて分娩誘発や熟化の促進などを行います。子宮頚管が軟らかくなって開いてこないと、胎児が出てこられません。

ですので硬い場合は、ラミナリアと呼ばれる海藻で出来た棒(徐々に水分を吸収して2~3倍になる)や、バルーン、メトロと呼ばれる風船を入れて刺激し熟化を試みます。
熟化がうまくいけば、誘発剤を使用し分娩までつなげることが出来ます。

また、卵膜を人工的に破ることで陣痛がきて分娩につながることもあります。しかしこうした試みがうまくいかなかった場合や、胎児の状態が悪くなった場合に、帝王切開になります。

陣痛促進

 

 

症例

 

20代 女性

 

予定日を過ぎても陣痛が来ない。お医者様も最初は様子をみましょうと言ってくれていたが、陣痛促進の薬の使用を検討していると前回の検診で伝えられた。薬を使った友人はとても痛かったと話を聞いていたので、薬は使いたくない。

赤ちゃんは平均よりも大きいと言われており、予想では3500gはあると伝えられている。

何とかしたいと調べていたら鍼灸治療を見つけたので来院。

鍼灸は初めてだが、薬を使った出産と比べたら鍼を選ぶので痛くても多少は我慢する気持ちで来た。

 

当院の施術

女性器系やホルモンバランスに効果的な経穴に刺激を入れることと、自律神経の乱れによって陣痛が遅れていることも考えられるので東洋医学的な治療と自律神経の調節治療を両方行いました。

身体の負担や、お腹の重さもあり筋肉の緊張も強く出ていたため、筋緊張を緩めるために血流改善治療も行いました。

 

治療経過

◇1回目◇

鍼は初めてだったが、思ったよりも痛みはなかった。足に鍼を刺されたときから子宮が張ってくる感じがしてきて、治療後はかなり子宮の張ってる感じがした。

首、肩、腰の筋肉の固さがとれて、血液が流れてる感覚がする。

◇2回目◇

前回の治療の後、まだ陣痛はこなくて一日空けての来院。前回よりも少し刺激を多めにして治療。前回よりも子宮のハリを感じる。

 

 

 

脊柱管狭窄症の鍼灸治療

金曜日, 11月 7th, 2025

 

①脊柱管狭窄症に対する当院の鍼灸治療

 

当院の腰部脊柱管狭窄症に対する治療の目的は、まず第一に症状の悪化を防ぐことです。脊柱管狭窄症では、症状が悪化してくると歩行が困難となったり、尿失禁を伴ったりと日常生活に支障が出る事も少なくありません。

症状の進行が落ち着きましたら第二段階として少しずつ症状改善に向けた施術を行っていきます。脊柱管狭窄症は腰部の筋肉が過緊張状態である場合に症状が出やすいため腰部への鍼灸治療を行ったり、下肢へのツボを刺激することで脊柱管辺りの血流を改善していきます。下肢に痺れや痛み症状が出ている場合などには鍼通電療法も行って症状の改善をはかっていきます。

症状が進行している状態ですと、下肢の筋力が衰えていることなどから生活上の動作も支障きたしてきます。そういった場合には鍼灸治療に加えてマッサージ療法やストレッチ等も行うことで筋肉に柔軟性を出していきます。
当院の電気鍼療法により歩行できる距離がのびてきた・痛みや痺れがなくなったなどの喜びの声を頂いております。

 

 

脊柱管狭窄症の鍼灸治療

 

東京大学医学部附属病院リハビリテーション部鍼灸部門

脊柱管狭窄症に対する鍼灸治療でのアプローチは、東京大学医学部付属病院リハビリテーション部でも行われており、日本や海外でもその研究は行われています。

 

明治国際医療大学付属鍼灸センターの研究
腰部脊柱管狭窄症に対する鍼灸治療
では、動物実験により様々な鍼灸の手技を行うことで神経血流が改善されて臨床的な効果を認めています。

 

②腰部脊柱管狭窄症の東洋医学的考え

中医学では腰痛は体の外から邪気を受けるため発症するものと腎気が何らかの原因で損傷して発症するものと考えられています。「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいた時、長い間体力仕事をした時などに腰部の経絡の気血が滞り、流れなくなって痛みを発症します。

また「腰は腎の腑」とも呼ばれており、何らかの原因で腎気が損傷を受けると腰部の経絡は温度を保つ作用や栄養を行き渡らせる作用を失い、腰痛を発症します。
また生長・発育・生殖をつかさどる「腎精」が不足して、「腎気」の作用が減退すると泌尿器系の異常が現れると考えられており、馬尾型脊柱管狭窄でも「腎」が深く関係しているといえます。

 

 

③腰部脊柱管狭窄症とは?

 

腰部脊柱管狭窄症とは、腰椎椎間関節の変形・肥厚ならびに軟部組織である椎間板の変性や膨隆または靭帯の肥厚で脊柱管内を狭くして脊柱管の中を通っている神経が圧迫されることにより腰痛下肢の痺れあるいは歩行障害を引き起こす疾患です。脊柱管の上は大後頭孔から下は仙骨管を通ってその下端の背面に開口します。脊柱管には脊髄神経や血管が通っており、脊髄神経は人体のさまざまな部分に脳からの情報を伝えたり、逆に刺激を脳に伝える役割を担っています。

 

この神経は足の運動もつかさどっているため、脊柱管が狭くなって神経や血管が圧迫されると、十分な血液が神経に送られなくなり、足の痺れ重さなどの症状が現れます。
脊柱管が狭くなっていると、腰をひねったときやお年寄りに多い反り過ぎ姿勢は神経や血管を圧迫します。そのため腰部脊柱管狭窄症の場合、前かがみになると神経への圧迫は緩んで楽になります。

腰部脊柱管狭窄症では腰痛は80%の方にみられ、ついで下肢のしびれ感冷感疼痛違和感などの知覚異常がみられます。知覚障害は、すねから足の親指側にかけて、または足の小指側領域に多いです。また腰部脊柱管狭窄症における歩行障害・間欠性破行は50~60%みられます。

脊柱管狭窄症は多くの場合、先天性に狭窄を起こしやすい形態に、後天性の変形性脊椎症はじめ、脊椎すべり症腰椎椎間板ヘルニアさらには外傷や手術などの要因が加わることにより起こります。40歳以上の男性に多発します。

 

※間欠性破行
間欠性破行は歩行障害のひとつであるが、歩いていると下肢に痛みを生じ、片側をひきずるかたちの異常歩行になるか、ついには歩行できなくなり、立ち止まる現象をいいます。しばらく時間が経つとふたたび歩けるようになります。下肢の動脈硬化症による血管性間欠破行腰部脊柱管狭窄症による神経性間欠破行があります。

 

脊柱管狭窄症

 

 

②腰部脊柱管狭窄症の種類

間欠破行や腰痛が、脊柱管狭窄における共通した症状ですが、どこを圧迫されるかによって症状は様々です。

■神経根型脊柱管狭窄症
一般に片側性で長時間立位や歩行時および腰部伸展により発症または増強する下肢痛が自覚症状で時に腰痛を伴う事もあります。また腰部脊柱管狭窄症の場合は2~3つの神経根にかけて両側性に症状が出現する場合もあります。

■馬尾型脊柱管狭窄症
脊髄と脊柱とは長さが異なり、脊髄は第一腰椎までしかありません。馬尾神経は第二腰椎より下の脊柱内で、脊柱下端の神経根の集合です。馬尾神経は脊柱を下降してそれぞれの椎間孔を出ます。その馬尾神経が圧迫されると、両下肢・殿部・会陰部のしびれ感、灼熱感、下肢の筋力低下、脱力感が出現し、または残尿感、我慢できないほどの尿意、尿失禁、便秘、勃起障害などが出現します。

 

⑥脊柱管狭窄症にかかりやすい人

脊柱管は高齢になっていくにしたがって、老化による周りの筋の筋力低下や椎間板の変性により、狭くなっていきます。しかし、脊柱管狭窄症の症状が出ない方ももちろんいらっしゃいます。では脊柱管狭窄症にかかりやすい人の特徴としてどういったものがあるのでしょうか。

高齢になり脊柱管狭窄症にかかりやすい人の特徴

  • ・普段から重いものを持つ仕事をしてきた方
    ・何回もぎっくり腰になったことがある方
    ・デスクワークや運転などで長時間座っていることがよくあった方

などこういった腰に負担にかかることを長年やってきた方が腰部脊柱管狭窄症にかかってしまう危険性があります。

腰が痛くて足が痺れるという症状が出てもすぐ治っていくと思い、ほったらかしにしてしまう方も少なくありません。症状が悪化する前にも早めの処置が重要です。腰痛・足の痺れなどが出た場合は、すぐに一度整形外科などで診断を受ける必要があります。

 

脊柱管狭窄症の鍼灸症例

 

症例 1
60代 男性

1ヶ月ほど前から強い腰の痛みと重だるさ、臀部からふくらはぎにかけてのしびれがある。10分ほど歩いていると、足に痛みや痺れが出る間欠性跛行の症状もでている。40年前に腰を打撲して以来、慢性的な腰痛があるが、日常生活で問題はなかった。整形外科での画像検査では、腰椎4番と5番の間に椎間板ヘルニアがあり、脊柱管が狭窄している状態。椎間板ヘルニアは20年以上前からあるが、強い痛みや間欠性跛行の症状が出たのは今回が初めてであった。仕事は座っている時間が長く、ぎっくり腰に2回なったことがある。

施術

腰臀部に強い筋緊張がありました。患部の血流改善、筋緊張の緩和、鎮痛を目的に、腰と臀部には鍼通電療法を行いました。全身的な筋緊張の緩和、回復力を促すため、自律神経調整施行を行いました。

一~五回目

腰臀部の痛みや重だるさが少し軽減された。

六~十回目

痛みが出るまでの歩行時間が伸びた。腰臀部の痛みや重だるさは半分程度に軽減。

十一~二十回目
間欠性跛行の症状は解消された。腰臀部の強い痛みはなく、日常生活を送るうえで問題ない程度にまで痛みが減った。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

大腿四頭筋への鍼灸治療

火曜日, 11月 4th, 2025

大腿四頭筋とは

 

大腿四頭筋

大腿四頭筋は、大腿(太もも)の前面に位置する四つの筋群で、大腿直筋(だいたいちょっきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)から構成されています。この4つの筋肉はすべて膝関節をまたいでついており、膝を伸展させるのが主な役割ですが、大腿直筋は唯一股関節もまたぐため、股関節の屈曲にも貢献しています。

大腿四頭筋は、筋繊維が鳥の羽のように斜めに並ぶ「羽状筋」というタイプの筋肉で、強い力を発揮することができます。

 

大腿四頭筋と関連する疾患

 

・大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)

大腿四頭筋の過緊張により膝のお皿の上側に痛みが発生します。膝蓋靱帯炎と原因は同じですが場所は違います。ジャンプ動作はもちろんダッシュなどの動作でも痛みが伴います。繰り返しの動作が続くほど受傷する可能性が高くなります。

 

・オスグッド病

10~15歳の成長期の子供が、跳躍やボールをけるスポーツをしすぎると発生します。大腿四頭筋の力は、膝蓋骨を経由し膝を伸展させる力として働きます。
オスグッド病は膝を伸ばす力の繰り返しにより、大腿四頭筋が膝蓋腱付着部を介して脛骨結節を牽引するために、脛骨結節の成長線に過剰な負荷がかかり成長軟骨部が剥離することで生じます。

 

・大腿四頭筋損傷

大腿四頭筋のうち損傷しやすいのが大腿直筋と中間広筋の二つです。大腿直筋は股関節と膝関節の二つの関節にまたがっているため特に損傷しやすいです。この筋肉に何らかの急激な牽引力が加わることで肉離れを起こしたり、外力が筋肉に加わることにより損傷します。

特に急激なストップとスタートを行うランニング動作を必要とするスポーツで起きやすい障害の一つです。筋肉が損傷すると発赤、腫脹、内出血、患部を押した痛みを伴います。受傷直後には、まずRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を的確に行うことが必要です。

 

・大腿四頭筋炎

大腿四頭筋炎とは、太ももの付け根や膝の2,3cm手前あたりに痛みや腫れを生じる疾患です。体を動かしているときや長時間立ったままの時に痛みが現れます。
椅子に座ったりして太ももをしばらく安静にしていると痛みが軽減するという特徴もあります。原因として加齢による太ももの筋肉の衰えや、バランスの悪い姿勢での長時間の立ち仕事、ハイヒール、外反母趾、偏平足、ハイアーチなど、足の骨の疾患を持っている人は、大腿四頭筋炎を起こしやすいです。

また、バレーボールなど、ジャンプを多く使う習慣のある人もこの疾患を起こしやすいことが知られています。

 

・変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝関節の変形と痛みを主症状とした進行性の病気です。40歳以上の中高年の女性に多く、その原因は様々で、加齢による膝関節の老化や体重増加(肥満)、外傷、素因(遺伝子)、生活習慣なども関与しています。

大腿四頭筋は歩行の際の蹴り出しと着地の際に、膝関節に加わる衝撃を吸収する役目を担っています。膝関節に加わる衝撃は普通に歩くだけでも自分の体重の1.5倍~2倍掛かると言われ、また階段昇降では2倍~3倍とも言われており膝関節と大腿四頭筋は切っても切れない関係です。

この大腿四頭筋が筋力低下を起こすとその衝撃をうまく吸収することが出来ず膝への負担がより一層掛かってしまいます。衝撃を受けた膝は時間の経過とともに変形していき、最終的には変形性膝関節症になってしまうということです。

変形性膝関節症の鍼灸治療について

大腿四頭筋トレーニング

 

 

東洋医学的考え方

 

東洋医学では人体には14本のエネルギーの流れがあると考えられていますが、大腿四頭筋は「小腸経」と関係のある筋肉です。

また、東洋医学では痛みを「痺証(ひしょう)」と呼びます。痺は「流れが悪く通じない」という意味で、身体の気や血の流れが悪くなり痛みを引き起こしていると考えます。また、これらの流れを妨害する原因としては風・寒・湿・熱・などの邪が侵入して起こると考えられています。

つまり何らかの原因で経脈(けいみゃく・・気血の流れる通路)が悪くなり気血が滞るためと考えるのです。

また、必要な気血などが足りない場合にも、筋肉が正常に働けずに痛みが出ると考えられています。

 

 

当院の大腿四頭筋に対する鍼治療

 

肉離れのはり治療

 

頭筋の筋緊張や膝の痛みに関与する場所に鍼やお灸を施します。

鍼灸は人間が持つ傷の修復作用を利用して、痛みにより固まった筋肉の緊張を緩和させます。

人間が体に傷を負うと血液循環が促進されるのですが、鍼灸では鍼やお灸を使用しあえて微細な傷を作り出すことで、血液循環を促し筋肉の緊張を緩和させます。

筋緊張が緩和され、血液循環が促進されると炎症物質や発痛物質の代謝を促し消炎・鎮痛効果、治癒促進の効果、関節可動域の拡大などが期待できます。

また、症状によって急性期には安静が必要な時期もあり、局所への治療はある程度炎症が治まってから行うのが無難ですが、この時期も経絡を応用した遠隔部よりのアプローチも消炎効果が期待できます。

 

症例

 

10代 男性

学校で陸上競技の短距離種目を行っており、練習中に太ももの前側を痛めた。

走るのはもちろん、歩行中や立ち上がり時に鈍痛が走る。

すぐに整形外科に診てもらい、大腿四頭筋の軽度の損傷と診断された。

アイシングを行い、基本的には保存療法といわれたが、少しでも早く競技に復帰したいと思い当院を受診した。

 

当院の施術

まず脚の状態を確認したところ、腫れはあまりみられなかったが、熱感があり炎症反応が起きている状態でした。内出血は見られませんが圧痛があり、歩行時の痛みをかばうため大腿全体的の強い筋緊張を確認しました。

発症したのが2日目とまだ炎症期だったため、初回は患部への刺鍼を避け、周囲の筋緊張を緩め、患部にはお灸を行い炎症を抑える施術を優先的に行っていきました。

数日後、炎症を治まってきたことを確認し、次に患部に直接刺鍼し、低周波鍼通電法を行い、筋肉の修復と鎮痛を目的とした施術を行っていきました。

施術間隔は週に2回ペースで行い、状態の改善状況に合わせて少しずつ間隔を空けていきました。

 

 

経過

 

1回目

抗炎症を目的とした施術。

その他も大腿四頭筋の負担を減らすために、腰部や臀部、下肢の筋緊張を緩和も行う。

 

2回目

まだ痛みは続いているが、安静時のジンジンする痛みは軽くなってきた。

 

3回目

安静時痛は消失。

歩行時も痛みが軽減してきた。

炎症が治まってきたため、低周波電気鍼療法を開始。

 

4回目~6回目

痛みが軽減され、歩行時もあまり気にならなくなってきた。

 

7回目~9回目

走るとまだ痛みが出るため、ランニングはまだできない。

歩行時痛は消失したため、ウォーキングと補強運動を中心に練習を行っている。

 

10回目~12回目

スローペースの軽いランニングなら痛みが出ない。

 

13回目~15回目

5割程度のスピードダッシュなら痛みや不安なく走れる。

 

お問い合わせはこちらから
メールでのお問い合わせはこちらから