リモートワークによるデスクワークの増加によって普段起こらない体の不調で悩まされている方が増えています。
それは、まず自宅が長時間仕事をする環境にない方が多いことが第一の原因です。普段から家で仕事をすることがない人にとっては、椅子やデスクなどが十分に揃っておらず苦労されている方も多いかと思います。家で使用する作業用のパソコンもデスクトップのパソコンではなくノートパソコンを使っている人だと首肩に余計に負担をかかります。
その他、運動不足も一つの原因となり得ます。普段出勤されている方ですと歩く機会が急激に減少して特に腰回りの筋肉が張りやすくなります。
普段会社ではデスクトップパソコンを使用しているが、家ではノートパソコンを使用して作業をしている方は特に首肩回りに負担が大きくかかっています。
また机や椅子の高さも重要で家では作業用に向いていない物を使用している場合も多いです。
・ストレートネック
ストレートネックとはその名の通り頸部がまっすぐになってしまっている状態です。頸部は本来生理的湾曲といいまして30~40度前傾にカーブしています。
しかし、長時間のデスクワークで頭を前に倒した状態になっていると頸椎やその周りの組織の疲労によって生理的湾曲がなくなってしまいます。ストレートネックになっている方の特徴は、胸鎖乳突筋や斜角筋群の筋緊張が強いことです。
ストレートネックとなってしまいますと生理的湾曲で頭の重さが分散されていたのが、頸部がまっすぐになっていることによって頭の重さを直に頸部が受け止めないといけないため、慢性的な首肩の痛みやコリ、頸椎ヘルニアなどの症状が出る場合があります。
・頸椎ヘルニア
頸椎の間には上肢や肩に向かう神経が通っています。頸椎ヘルニアでは頸椎にストレートネックなどにより過度な負荷がかかってしまうことによって椎間板と頸椎のクッションの役割のある組織が破壊されてしまいます。その破壊された椎間板が神経を圧迫してしまうことによって上肢のしびれや痛みを起こしてしまいます。
その他にも背中の痛みや頭痛・めまいなど症状は多岐に渡ります。
・背部の痛み
背中周りの神経は、頸部から伸びているものもあるため頸部の状態は背中の痛みを引き起こすこともあります。
またパソコンでタイピングを行う姿勢は腕を前に出しているため肩甲骨内側の筋肉は引き伸ばされた状態が続くためその部分の筋肉が傷みやすくなります。
・ぎっくり腰
ぎっくり腰は正式には急性腰痛と言います。重労働の仕事で重い物を持った際に起こる印象が強いかと思いますが、長時間のデスクワークでぎっくり腰となるケースも多のが現状です。
どうしてぎっくり腰が起こってしまうかは、はっきりとした原因は解明されていません。
しかし、腰回りの筋肉の柔軟性の欠如や筋力の低下によって引き起こされやすいということは明らかです。
腰回りの筋肉には姿勢を保持する筋肉が存在します。長時間のデスクワークによってそれらの筋肉が疲労して柔軟性が失われて何か物を取ろうと腰を曲げたり捻ったりしたちょっとした際にぎっくり腰となってしまう危険性が高くなります。
また、なかなか運動する機会が減っていることも一つの原因となります。
・腰椎椎間板ヘルニア
腰部の椎間板に過度な負担がかかることで椎間板の一部が飛び出して神経を圧迫させてしまうことによって腰や臀部の痛み、下肢にかけてしびれや痛みが起こります。症状がひどいと下肢の感覚が鈍くなり力が入りづらい状態にもなってしまいます。
原因としましては座る時間が長く腰部組織への負担が大きくかかっていることが考えられます。
・坐骨神経痛
坐骨神経とは腰部から起こって臀部から下肢後面にかけて走っている神経です。坐骨神経がいずれかの箇所で圧迫されてその走行上に痛みが出るのが坐骨神経痛の特徴です。
坐骨神経が圧迫される個所は、腰部や臀部が多いです。坐骨神経痛を起こす疾患として腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などが挙げられます。
主に痛みや筋肉の過緊張状態にある部分を中心に鍼やお灸の施術を行っていきます。
痛みが強く出ていたりあまりに頑固なコリがある場合には鍼通電治療も用いて施術を行っていきます。
鍼やお灸をすることで筋肉を緩めて血流を良くし疲労物質や発痛物質を流したり、痛みを抑制する鎮痛効果が期待できます。
その他にも東洋医学的観点であったり自律神経の状態もふまえて全身的な調整施術を行っていきます。部分的に診るというばかりでなく全身的に診るというのは東洋医学の基本であり、それをすることで根本的な解決をはかります。
・1時間に一回は立って体を休ませましょう!
ずっと座った姿勢ですとどうしても一定の部分に負担が集中してしまいます。1時間に一回は休憩時間を設けて立つことによって負担の集中を分散させ筋緊張を緩めることができます。
・ストレッチをして筋肉を緩めましょう
首を縦後ろ左右にゆっくり倒していた気持ちいいと思う部分で10秒ほど止めてください。ここでのポイントは反動をつけて行わないことです。頸部はデリケートな箇所で頭部の重たさもありますので反動をつけてしまいますと容易に筋肉や関節を痛めてしまいます。
・姿勢に注意しましょう
座っている時の姿勢が悪いと腰に負担が大きくかかってしまいます。立っている時よりも座っている時の方が腰部の椎間板に負担がかかることがわかっています。
まず少し前がかかりにお尻を突き出すイメージで深く座ります。そして90度ほどになるように上体を起こしていきます。猫背でも反り腰でもいけません。
頭部も前傾姿勢となると頚椎や頸部周りの筋肉に負担が大きくかかってしまいますので注意してください。
症例
40代 男性
コロナの時期からリモートワークが始まり、そこから数年ほぼ自宅で仕事をしている。1日に10時間以上パソコンかスマホの画面を見て仕事しているため、肩こりと腰痛は慢性的に気になっていたが、日数が経つにつれて酷くなっている。
妻がこちらの鍼灸院に前にお世話になっていたとのことで、妻に紹介してもらい来院。
当院の治療
上半身は筋肉が緊張し固くなっており、下半身は運動不足の影響もありむくみが酷い状態でした。
全身の血流改善、筋緊張の緩和、自律神経の調節をメインで治療を行いました。
治療経過
◇1回目◇
肩が軽くなった感じがする。
◇2回目◇
治療後はいいが、すぐに痛みが戻って来る。
◇3〜8回目◇
肩の動きがスムーズになっている気がする。
◇9〜12回目◇
パソコンに向う時間が長くても痛みが少なくなってきた。
◇13〜20回目◇
回数を重ねるごとに常に重く感じていた肩と腰が軽くなってきた。そのおかげか、日課の愛犬との散歩がより楽しくなった。
当院の頻尿に対する治療の目的は、第一に膀胱・腎に関するツボに鍼やお灸で気血の流れをよくします。
また湿熱の邪気によって頻尿が引き起こされている場合は、それらを体外に出す治療が必要になってきます。また腎精を補う治療も行います。
頻尿は部分的に原因がある場合ばかりではなく、全身性の衰えや気血の滞りが原因の場合もあるので全身を診て治療していきます。それは東洋医学の特徴でもあります。全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めます。頻尿の鍼灸治療は中国では有効とされています。
また、過度なストレスによる精神的なストレスも頻尿と深いかかわりがあると考えられます。普段でも緊張する場面、重要な会議の前やプレゼンテーションをする前などでトイレの回数が増えることがあります。それは、緊張状態により自律神経の状態が交感神経が優位の状態となっているからです。
日常生活でも交感神経が優位の状態が長く続いてしまうとトイレに行く回数が増えてしまうということです。そこで当院では、自律神経の状態を自律神経測定器で計測していき施術をしていきます。特に夜間頻尿によって睡眠時間が減っていたり、浅い睡眠となってしまっている場合は悪循環でさらに自律神経のバランスが乱れていることが予想されます。当院では、頻尿に対する施術でも自律神経調整治療で自律神経の状態も整えることも重要だと考えております。
また、膀胱も筋肉でできているため冷えている状態ですと筋肉が縮こまりやすくなってしまい、膀胱が蓄えることができる尿の量が減ってしまいます。そこで当院では、下腹部辺りの経穴にお灸をして温めることで膀胱が縮こまってしまう状態を防ぎます。
基本的にまず仰向けとなり、自律神経調整治療や下腹部を温めるお灸を施して次にうつ伏せとなり、背中にある東洋医学の「腎」や「膀胱」に関する経穴を刺激していきます。
当院の頻尿の治療目的は、トイレに行く回数を正常に戻して、日常生活への負担を少しでも減らすことです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも頻尿が回復できる機会を提供することです。それにより、患者さんの仕事の質の向上や生活の質の向上が期待できます。
東洋医学では頻尿は主に五臓六腑の膀胱と腎の障害で起きると考えられています。
ⅰ)膀胱湿熱
外からの湿熱の邪気や飲食の不摂生、辛い食べ物を多く食べたりすることにより体内で湿熱を生み、それらが膀胱に至り、尿を貯留して適宜排泄するという膀胱の機能が障害されます。そうすると頻尿や排尿痛、残尿感、ときには血尿があらわれます。
ⅱ)腎気不固
腎気不固は腎精が不足し、腎気の汗や尿が排出過多ならないようにする機能が減退した病態で主に泌尿生殖器系の異常があらわれます。腎精とは人体の成長・発育・成熟・老化などを司り、青壮年期には最も充実して維持されるが、中年以降からは次第に衰えていきます。よって中年以降は年を重ねるごとに腎気不固の病態になりやすく、特に夜間頻尿になりやすいといえます。
70代 男性
一晩に2回から多いと4回も起きてトイレに行くとのこと。病院で検査したが前立腺肥大など器質的な原因は見つからずに何か治す方法はないかと鍼灸に興味を持ちご来院されました。
日中起きている時間も頻繁にトイレに行く。だいたい夜は11時に寝て朝6時に起床。よく夜中2時と4時ごろにトイレに行きたくなる。夜中起きてしまうため睡眠の質も低下。日中頭がさえないことも多い
治療
自律神経測定器で初診時に自律神経の状態を測定してそれを踏まえて治療を行っていきました。
膀胱経のツボやお腹周りの自律神経調整と頻尿に効果的とされるツボを用いて治療していきました。うつ伏せ時には、背部兪穴の膀胱兪と腎兪、肝兪、脾兪などを使用、下肢後面の膀胱経のツボも多く使用して治療していきました。
また、お腹が冷えてしまうと膀胱の容量が小さくなりがちなので緩い腹巻を寝る際につけてお腹をできるだけ冷やさないように指導しました。
5回目の治療後辺りから徐々に夜中トイレに行く回数が減り始め睡眠の質も向上していきました。
10回目の治療後には、一回も夜中トイレに行かない日も出てきました。
60代 男性
数年前から就寝中にトイレに起きる頻度が増え始め、少しずつ回数が増加してきた。
ここ最近では、尿意が切迫し我慢ができない程悪化している。
病院で検査してもらったが、前立腺肥大など異常はみられなかった。
もともと不眠症でもあり、布団に入ると仕事や他の事が気になり、気が高ぶってしまい眠れないことが多々ある。仕事でのストレスも強く感じる。
夜間トイレに起きる回数は5回、6回ぐらいで、トイレに行っても少量しか出ない。
ひどい時は、2時間程度しか眠れない時もある。
当院の施術
自律神経の乱れの乱れの疑いがあったため、自律神経測定器で現在の状態を確認していきました。
測定の結果、夜の時間にもかかわらず交感神経が強く働いており、逆に副交感神経の働きが弱い状態でした。
また、血管年齢も高く出て、足の冷えもあるという事なので、血流が悪いのも要因の一つと考えました。
まずは、自律神経を整える施術、血流を促して足の冷えを改善する施術を行いました。
次に、腰や臀部周り、お腹、足にある頻尿に効果的なツボに鍼で刺激をしていきました。
経過
1回目
施術した夜は1回しか目覚める事がなく、熟睡できた。
2日目以降はまた少しづつ戻ってしまった。
2回目
トイレに行く回数が減ってきた。
3回目
夜間トイレに行く回数が3回程度に改善してきた。
4回目
お酒を飲むとトイレに起きる回数が少し増えるが、それ以外は落ち着いている。
5回目
気温が低下して、またトイレに起きる回数が増え始めた。
6回目
トイレに起きる回数がまた減ってきて、よく眠れるようになってきた。
7回目
夜間にトイレに行く回数が1回~2回と安定している。
頻尿とは正常よりもトイレが近く尿の回数が多いことをいいます。膀胱の容量は成人で700mlの尿を蓄えることができ、排尿回数は4~7回、排尿量は1000ml~2000mlが正常とされています。
しかし、水を大量に飲めばそれだけトイレの回数も量も増えていきます。さらに老人になれば、腎臓の尿濃縮力が低下するので尿の回数は多くなりがちで特に夜間にトイレに行く回数が増えてきます。
よって頻尿は自分の普段の状態と比べて回数が多いか少ないかで判断しますが、目安として昼間に8回以上、夜間睡眠時に3回以上合計で8~10回以上トイレに行く状態は頻尿といえるでしょう。厳密にいうと尿量も排尿回数も多い場合は頻尿ではなく多尿と言われ、尿崩症や糖尿病、慢性腎不全などが疑われます。頻尿というのは、尿量自体は普通ですが、排尿回数が増える場合です。頻尿の症状に加え、残尿感や尿意亢進(尿が少し溜まってもトイレに行きたくなる)などが表れる場合もあります。
頻尿の起こる原因として膀胱や前立腺など泌尿器系の臓器に原因がある場合と精神的ストレスで起こる場合とがあります。尿の回数が多くなる時に、他の自覚症状を伴うかどうかが原因の手掛かりになります。
排尿時に痛みや不快感、残尿感を伴うようであれば膀胱炎や前立腺炎が疑われます。また中高年の男性で尿が出るまでに時間がかかったり、尿が出ても少しずつしか出てこない時には前立腺肥大症が考えられます。
何らかの精神的な緊張が原因となって頻尿となる場合もあります。これは高齢者には割と少なく、中年から若い人、子供に多い疾患です。
ⅰ)膀胱炎による頻尿
頻尿患者数で一番多いのが膀胱炎です。頻尿以外に排尿時の痛み、残尿感、血尿が特徴的です。腎臓で造られた尿は、膀胱に送られる間にほとんどが再吸収され、尿管を通り、膀胱に蓄えられます。尿を体外に出す際に通る管を尿道といい、男女で著しく異なります。女性の尿道は短く、男性の6分の1程度であるため、体外からの細菌が膀胱に達しやすく女性は膀胱炎を患いやすいといえます。
ⅱ)前立腺肥大症による頻尿
前立腺とは膀胱の出口付近から尿道を取り囲むようにあるクルミ大の実質臓器です。男性にしか存在しません。前立腺は乳白色の液を分泌するが、この液は射精の際に精巣から来た精子を薄めるとともに精子の運動を活発にする役割を果たしています。前立腺は尿道を取り囲むようにあるので前立腺が何らかの原因で肥大すると頻尿(特に夜間頻尿)や尿道を圧迫して尿が少しずつしか出なかったり、排尿しようと構えてから実際に尿が出るまでに時間がかかったりします。
ⅲ)神経性頻尿
誰でも緊張すると尿意が起こってきますが、過度に尿意を気にするようになると少し膀胱に尿が溜まっただけでも尿意を感じるようになってしまいます。神経性頻尿は精神的ストレスや緊張のために何度もトイレに行きたくなった経験や電車などでトイレを我慢した経験をきっかけに尿意に対する恐怖感が植え付けられてしまった結果、何度もトイレに行くようになります。神経性頻尿は比較的女性に多く、頻尿の他に残尿感や排尿時の不快感や痛みなど膀胱炎とそっくりの症状が起こってきますが検査しても尿の異常は認められません。
中医学では頻尿は主に五臓六腑の膀胱と腎の障害で起きると考えられています。
ⅰ)膀胱湿熱
外からの湿熱の邪気や飲食の不摂生、辛い食べ物を多く食べたりすることにより体内で湿熱を生み、それらが膀胱に至り、尿を貯留して適宜排泄するという膀胱の機能が障害されます。そうすると頻尿や排尿痛、残尿感、ときには血尿があらわれます。
ⅱ)腎気不固
腎気不固は腎精が不足し、腎気の汗や尿が排出過多ならないようにする機能が減退した病態で主に泌尿生殖器系の異常があらわれます。腎精とは人体の成長・発育・成熟・老化などを司り、青壮年期には最も充実して維持されるが、中年以降からは次第に衰えていきます。よって中年以降は年を重ねるごとに腎気不固の病態になりやすく、特に夜間頻尿になりやすいといえます。
後鼻漏とは過剰に分泌された鼻水が喉の方へと流れ落ちてくる状態をいいます。
後鼻漏はいくら鼻をかんでも鼻水が前方から出ず、絶えず喉に流れ込んでしまいます。その結果、鼻水を口から吐き出し続けるか、飲み込み続けるしかありません。
後鼻漏は鼻の不快感を生じさせるだけでなく、咳・痰の原因になったり、重症化すると食事や睡眠などの日常生活まで支障をきたすこともあります。
鼻腔、副鼻腔から分泌される鼻水は、一日に2~4リットルと言われており、分泌される鼻水は通常では違和感なく喉に流れていきます。
また、鼻腔内には「線毛機能」があり、粘液に付着した異物(花粉、ハウスダスト、細菌、ウイルス等)を排除する働きがあります。
ところが、鼻腔内の粘液が少なく乾燥したり、線毛機能が低下すると、細菌やウイルス感染を起こしやすくなるため、花粉などの異物に対しても過敏になってしまうのです。
後鼻漏は喉の異常として自覚されることが多いようですが、実際には鼻の問題が多くみられます。鼻水が鼻腔の構造により喉の奥へと流れ込むことで起こります。後鼻漏の原因となる疾患としては以下のようなものが挙げられます。
・副鼻腔炎
顔や頭の骨の中に形成された副鼻腔と呼ばれる空洞に生じる炎症です。副鼻腔内に粘り気のある鼻水がたまり、喉へと鼻水が流れます。
副鼻腔炎に対する鍼灸治療について
・アレルギー性鼻炎
花粉やハウスダストなどのアレルギーの原因物質に対する反応によって鼻水が多くなり、喉へ流れる鼻水の量も増えます。
アレルギー性鼻炎の鍼灸治療について
・風邪症候群
風邪のウイルスに感染し、鼻やのどの粘膜に炎症が起きると、鼻水の量が増え、喉にもたくさんの鼻水が落ちるようになります。発症時、透明でサラサラしていた鼻水は、時間の経過とともに粘り気のある鼻水に変わり、喉の奥ではりついて、痰の絡んだ咳が出るようになります。また、風邪を引いた後に後鼻漏が続く方もいます。そのような場合は慢性上咽頭炎の可能性があります。
風邪に対する鍼灸治療
・上咽頭炎
鼻の奥にある上咽頭で炎症が起こった状態です。細菌やウイルス感染などで起こり、後鼻漏の原因となります。
・鼻水が喉へ流れ込んでくる
・咳き込み・咳払い
・痰がからむ
・痰の吐き出し
・喉の引っかかり
・喉の違和感・不快感
・声がれ
・食事への支障
・睡眠障害
などが挙げられます。
診断
後鼻漏の原因を特定するために内視鏡検査で、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、あるいは上咽頭炎がないかを確認します。必要に応じて副鼻腔CT検査やアレルギー検査を行います。
後鼻漏の治療方法は鼻水を発生させている原因を治療することが第一です。
治療
◇アレルギー性鼻炎が原因の場合
・抗アレルギー薬の内服
・点鼻薬
・レーザー治療あるいは日帰り手術
・舌下免疫療法
など
◇副鼻腔炎が原因の場合
・抗菌薬などの内服
・ネブライザー治療
など
◇上咽頭炎が原因の場合
・消炎剤や抗菌薬の内服
・ネブライザー治療
・Bスポット療法(上咽頭擦過治療:EAT療法)
・漢方薬の処方
など
乾燥を防ぐため、マスクや加湿器で鼻やのどの保湿をしましょう。ウイルスや細菌感染の予防には、免疫力を高めておくことが大切ですから日ごろからバランスの良い食事と適度な運動を心がけ、十分な睡眠をとりましょう。
また、アルコールやカフェインなどの脱水症状を引き起こす物質や、たばこや急激な温度変化もできるだけ避けた方が良いでしょう。口呼吸は喉の乾燥につながるため、鼻で呼吸を行うことも大切です。
さらに、後鼻漏の原因となるアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎・上咽頭炎などの諸疾患に対して鼻うがい(鼻洗浄)は予防、症状緩和の効果が期待できると言われています。
東洋医学では後鼻漏は「胃腸の弱り」が大きな原因として考えられています。東洋医学では痰や鼻水のような病理産物は胃腸で作られると考えています。胃腸の弱りには先天的なものと後天的なものがあり、胃腸が弱いことを自覚されていない方も多くいらっしゃいます。
胃腸には消化吸収することと、体に必要なもの・不必要なものを分ける2つの大きな仕事がありますが、胃腸が弱ってしまうと不必要なものを排泄する力も弱ってしまいます。その不必要なものの代表的なものが病理産物である「痰飲(たんいん)」です。
痰飲とは、人体の基本的な構成成分の一つである津液(しんえき:生命活動に必要な水液)が、水分代謝の失調などにより異常な水液と化したものです。痰飲が鼻の奥や喉に停滞すると、後鼻漏が生じると考えられています。
また、五臓の「肺」は呼吸をつかさどる臓腑ですが、「皮毛をつかさどる」機能もあり、皮膚や粘膜と深い関係にあります。また、「脾(胃腸)」は食物を消化し、「気血を生む源」である臓器です。五行学説では「脾は肺を生む」とされ母子関係にあたります。つまり、胃腸のエネルギー不足が肺のエネルギー不足を呼び、肺の機能が崩れ、そこから邪気の侵入を許すことで、鼻症状を引き起こします。
その他、「肝」機能低下による熱の上昇が肺の潤いを損傷することや、「腎」の機能低下が呼吸機能や水分代謝を低下させることも関与していると考えられています。
当院では、免疫機能や内臓機能、全身の血流などに大きく関与する自律神経のバランスを機械で測定し、患者様のお体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
自律神経系のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与え、免疫力を高め、症状が治癒しやすいお体の状態へと整えます。
東洋医学的観点から、五臓六腑の機能を整えるツボや水分代謝を改善するツボ、冷えを除くツボなどを用います。
また、慢性的な後鼻漏のある方は背骨のゆがみや首(頸椎)に異常があることが多く、背骨に配置されている自律神経の乱れが後鼻漏の症状を悪化させたり、首を流れる血管は顔面にも繋がっているため、首の血流が低下することで鼻の血流も同時に低下させてしまうため、後鼻漏の症状を悪化させる原因になります。
そのため、骨盤から背骨の歪みを整え、首肩周りの筋緊張を緩和し、仰向けで鼻周囲のツボに施術を行うことにより自律神経の働きを整え、顔面部、鼻粘膜への血流を促進し鼻の機能を整えていきます。
症例 1
50代 男性
1ヶ月前に風邪を患い、副鼻腔炎になった。2週間前から後鼻漏の症状が出るようになり、当院にご来院された。日中には黄緑色の鼻水が出たり、痰が絡んだ咳が出る。就寝中、後鼻漏の症状で寝苦しく、睡眠の質が悪い。慢性的な手足の冷えや倦怠感、首肩の凝りにも悩まされている。
施術
1年前から職場が変わり、忙しくなり睡眠時間は4時間と短く、慢性的に疲労を感じていた。慢性的な心身のストレスがあり、自律神経のバランスが乱れている状態であった。自律神経の乱れにより、手足の冷えや首肩コリ、免疫力が低下といった症状がでていたため、自律神経調整の施術を行っていきました。また、鼻の炎症を抑え血流改善のため、鼻周りのツボを用いました。
強い刺激は苦手であったため、浅めの鍼とお灸で施術を行いました。
来院頻度は1週間に1回。
一回目
施術後は身体が温まり、全身の力が抜けリラックスできた。
二回目
首肩こりが以前より軽くなった。
後鼻漏の症状が減り、就寝中に後鼻漏の症状で起きるのが1回だけになった。
三回目
後鼻漏の症状は治まった。
結膜とは上下のまぶたの裏側と、白目(強膜)の表面を覆っている半透明の膜で皮膚に似た構造をしています。
細かい血管が豊富に存在し、リンパ組織という免疫反応(体が異物に対して反応すること)を起こす組織があります。また、目の表面は涙によって常に潤されており粘膜としての性質があります。
結膜は直接外界と接しているので、様々な病原物質にさらされやすい環境にあります。結膜炎には感染で起こる細菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎、アレルギーで起こるアレルギー性結膜炎など様々な種類があります。
・細菌性結膜炎
原因
原因となる細菌には、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、レンサ球菌、淋菌(りんきん)緑膿菌(りょくのうきん)など、様々なものがあります。
症状
細菌の種類によって多少異なりますが、粘性の黄色みがかった目やにが多く出て、流涙が起こります。重篤な場合には、細菌性角膜潰瘍(さいきんせいかくまくかいよう)が出来て激しい眼痛を起こしたり、菌血症(きんけつしょう)や髄膜炎(ずいまくえん)などの全身の病気に至るものもあります。
・ウイルス性結膜炎
原因
アデノウイルス、エンテロウイルスなどのウイルス感染で起こり、様々な種類の結膜炎があります。
・流行性結膜炎(はやり目)
感染力が強く、昔から一般的に「はやり目」と呼ばれているものです。アデノウイルス(8型、19型、37型、54型など)の感染で起こり、感染してから1~2週間遅れて症状が現れます。突然目に何か入ってるいるかのようにゴロゴロしたり、充血、まぶたの腫れ、たくさんの目やにや涙が出て眼痛を伴うこともあります。10日ほどしてから角膜に炎症が起こり目がかすむこともあります。
・咽頭結膜炎(プール熱)
アデノウイルス(3型、4型、7型など)の感染で起こります。夏かぜとして流行することがあり、プールなどで広まることが多いためプール熱とも呼ばれています。
白目の充血や目やにといった目の症状は流行性結膜炎より弱い反面、のどの痛みや39度前後の発熱などの呼吸器系の症状がみられます。
・急性出血性結膜炎
エンテロウイルス(70型)やコクサッキーウイルス(A24変異型)などエンテロウイルスの仲間による感染で起こります。感染から一日で症状が現れ、充血、目やに、異物感などが出現し、結膜下出血が起きると白目が真っ赤になるためこの病名が付いています。
・アレルギー性結膜炎
アレルギーとはある特定の物質に対して過敏に体が反応することをいい、原因となる物質が体に入ると、かゆみや充血、眼の異物感、目やにや涙が出るなどの症状が起こってきます。
最近の報告によれば、日本では全人口の約15~20%がアレルギー性結膜炎を有していると推定されています。アレルギー性結膜炎は一年を通して起こる場合(通年性)と、ある季節にだけ起こる場合(季節性)があります。
原因
通年性のもので多いのはダニやカビ、ハウスダストです。その他イヌやネコの抜け毛やフケなどがあります。また、季節性の原因の代表はスギ、ヒノキ、ブタクサ、イネなどによる花粉が主です。
細菌性結膜炎の場合
病状から、炎症の原因となっている菌を推定して適応した薬剤が用いられますが、通常は色々な種類の細菌に有効な抗生物質の点眼薬や軟膏が用いられます。
抗生物質使用の際は点眼薬を用いるのが基本ですが、淋病やクラミジアが原因になっている場合は内服薬の追加が必要です。
ウイルス性結膜炎の場合
ウイルス性結膜炎の場合、結膜の細胞のウイルスを効果的に排除する薬剤は有りませんが、不快な症状を和らげるために炎症を鎮める効果のある非ステロイド性抗炎症点眼薬やステロイド点眼薬が用いられます。
また、抵抗力が落ちている結膜に細菌が感染しないように予防的に抗菌点眼薬、抗生物質の点眼薬が使用されることがあります。
アレルギー性結膜炎の場合
アレルギー性結膜炎の治療は基本的に薬物療法になります。治療には抗アレルギー点眼薬(抗ヒスタミン薬、メディカルエディエータ遊離抑制薬)が主に使われます。
重症の場合にはステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬を使用する場合もあります。また、目薬だけで症状が改善しない場合抗アレルギー薬を内服することもあります。
疲労やストレス、生活習慣の乱れなどで自律神経のバランスが乱れていると、免疫力が低下して細菌やウイルス感染を起こしやすくなったり、症状が長引いたり、免疫機能が乱れてアレルギー症状が起こりやすくなります。
そのため、当院では最初に自律神経測定器にて自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を把握した上で治療へ移ります。
内臓機能や全身の血液循環、免疫機能などを司る自律神経系の調整施術を行うことで、自然治癒力を高め症状が治癒しやすいお身体の状態を整えます。
また、目へと続く動脈が圧迫を受けやすい首や肩周囲の筋緊張の緩和と、目の周囲の重要なツボに鍼やお灸で刺激を与え、血液の循環を促進し抗炎症作用を促すことで、結膜炎の症状を和らげ、治癒を促進する作用を促します。
症例
50代 男性
2週間前から両眼がゴロゴロした痛みが出はじめ、充血が酷くなってきた。
眼科に受診し結膜炎と診断され、点眼薬の治療を行っているが完治まで少し時間がかかっているため、いち早く完全に治したいと思い当院を受診した。
初めの頃よりは少しづつ改善し、目ヤニは出なくなったが、まだ目の痛みや充血が治まっていない。
普段はパソコン作業が多く、目を良く酷使している。また夜遅くまで仕事をすることもあるため寝不足になりやすい。
首肩コリは触ると硬いとよく言われるが、あまり自覚がないため今までケアをした事がない。
当院の施術
寝不足が原因で免疫力や自然治癒力が低下していると判断し、それらに関係する自律神経測定器で現在の自律神経の状態を確認しました。
夜20時に測定したにも関わらず、免疫力や自然治癒力を担う副交感神経の働きが非常に低下していました。
そのため、まずは自律神経の調節、とくに副交感神経を高める施術を行いました。
次に眼の血流を促進するため首肩の筋緊張を緩める施術、眼の周囲に刺鍼し鎮痛を促し、お灸を同時に行うことで炎症を抑える施術も行っていきました。
経過
1回目
眼の痛みが少し軽減したような気がする。
2回目
眼の痛みが楽になってきた。
3回目
眼の痛みはだいぶ楽になり、気になる頻度も減ってきた。
充血はまだ残っている。
4回目
痛みは少し残っているが、ほとんど気にならなくなってきた。
充血も少し引いてきた。
5回目
痛みは完全に消えた。
充血も少し残っているが、あと少しでなくなりそう。
6回目
痛み、充血共に完全に消失した。
生体は何らかのストレスを受け、常にストレス状態にあると考えられます。
つまり、ストレスのない人などはいなく、ストレスの強度が重要な意味を持つ
といえます。
適度なストレスは人間の活動性を高め生活を豊かにしてくれます。
一方でストレスレベルが過剰な状態では、上記にあげた身体的症状や精神的症状
が出現し、最終的に度をこすと疾病という形で現れるのです。
適度なストレスがあり心身ともに健康な状態が理想的な状態といえます。
そのうえで過度なストレスを抱えている人に鍼灸施術を行うと以下の変化がみられます・
鍼灸施術後、多くの患者の気分は全般的に陽性気分(いい気分・爽快・心地よい)に傾く研究結果が出ています。
鍼灸治療の特徴は、経絡経穴(ツボ)を用いて、マイルドな物理的刺激を生体に作用させることによって全身の機能を調整していきます。鍼による置鍼刺激やお灸の温熱刺激・適度な刺激量の鍼通電刺激を行うと、脳波のα波が増大します。
α波は閉眼時に発生する脳波でリラクゼーション状態を誘導する一つの指標になります。
鍼灸治療および鍼通電刺激は、快ストレスとしての作用が期待できます。
仕事や日常生活を送るうえで、ストレスは一種、体のバロメーターてきなものであると
私は考えます。
過度なストレスは病気の原因や心身の不定愁訴の原因になりますが、
ストレスが何もない・・という環境もすこし問題といえますね。
現代の鍼灸治療は体感的なアプローチをとっていますが、身体的な感覚だけでなく
精神的反応も取り込んでいるといえそうです。
ストレスで心身共に疲れた時は鍼灸施術も効果がありますので一つの手段と考えて頂けたらと思います。
現代社会ではストレスを多く抱えている人はかなり多いです。ストレス社会といわれ、職場や家庭でのストレスを発散せずに溜め込んでしまって様々な悪影響が身体に出ます。
当院でも『ストレス』から起因する症状で来院される方も少なくありません。
当院では、ほとんどの患者様に対して初診時に自律神経測定器を用いて『ストレス指数』をチェックしていきます。驚くのは自分では日々の生活の中で全くストレスに感じていない場合でもストレス指数が高く出る場合が多々ある事です。
ストレス指数が高い人ほど、症状が強くでていたり、複数あったりすることは多いです。
東洋医学の予防医学の観点からしますと
このストレスをいかに処理するか(発散させるか)、もしくはストレスに対して強い体質をいかにつくるか(ストレス対処能力の向上)がとても重要になってきます。
ストレスが溜まって起きてしまう精神疾患の代表としてうつ病が挙げられます。うつ病患者はこの10年の間に50万人から100万人に倍増したと言われています。
産業精神医学の分野では90年代以降に『ストレスが原因でうつになる』という考え方が定着してきました。
かつてうつ病は仕事のしすぎや、仕事のプレッシャーなどでおしつぶされるケースが多かったように思えます。しかし今の若い世代のうつ病の症状は承認欲求がみたされないことや、コミュニケーションで承認を得ることができないことなどのことからくるケースが多いです。
承認欲求が満たされない⇒ストレス⇒うつ病・不定愁訴という構図ができている
といえます。このストレスを取り除くことで、身体におこる各症状を改善していくわけです。
しかし、承認欲求が満たされないと、先ほどの流れを繰り返してしまいますから、生活習慣や職場環境なども変えていく必要があるといえます。
『ストレス』は、もともと物理学用語で物体に力が加わった時に生じる
『ひずみ』のことさします。
丸いボールがあり、ボールを指で押すとへこみます。
このへこみの状態をストレス(ストレス反応)といい、押した指のことをストレッサーと言います。
これをカナダの医学博士のセリエが医学領域で用いたことにより、浸透していきました。
普段はストレスの原因となるストレッサーのことを『ストレス』と呼んでします。
ストレスが限度を超えて加わると身体や心に様々な症状が出ます。
身体的症状
・吐き気
・頭痛
・下痢
・便秘
・不眠
・蕁麻疹
・アトピー
・生理不順
・腰痛
・肩こり
精神的症状
・イライラする
・落ち着きがない
・不安感
・やる気がでない
・集中できない
・怒りやすい
身体的症状や精神的症状以外にもストレスに起因する症状はたくさんあると言われています。その代表的な疾患としましては自律神経失調症や頭痛・神経痛、過食症や拒食症などが挙げられます。
自律神経失調症
ストレスが加わると、頭痛・耳鳴り・めまい感・嘔吐・睡眠障害・食欲不振などの自律神経失調症の症状が出ます。自律神経失調症の場合ですと、長時間のストレス環境下にいることやストレスに対して抵抗力が落ちていてる状態の時、ストレスが強いものであったりする場合におこりやすいです。
頭痛・神経痛
ストレスが加わると体内のストレスホルモンが分泌され、頭痛の症状をきたすことは多いです。
過食症・拒食症
過食症の原因のひとつとしてストレスが挙げられます。
過食症は簡単に言うと、食べすぎてします症状です。
ストレスを感じることにより、欲求不満を食べることによって解消しようとしてなることがおおいです。
拒食症も大きな原因としてストレスが挙げられます。
拒食症は神経性食欲不振症とも呼ばれ、対人関係のトラブルからくるストレスや
過去のトラウマが影響している場合もあります。
精神的・身体的な過度なストレスによって発症する危険性の高いうつ病に鍼治療などでのツボの刺激が効果的とされる研究結果が出ています。
イギリスのヨーク大学の研究で2013年にうつ病患者755人を対象にした研究が行われています。
鍼治療を取り入れたグループとそうでないグループとに分けて3か月後の心身の健康スコアを比べたところ鍼治療を受けていた群のほうが大きくスコアの改善が見られたとのことです。
ツボ押しはご自身でもできますので、最近ストレスが溜まっていると思われる方はぜひ実践してみてください。
『百会』のツボ押し
百会は頭頂部に位置するツボで「百」もの経絡がそこで「合」うということから「百会」と名付けられています。とても重要なツボで様々な疾患に対して刺激されるツボです。
自律神経の働きにも良い影響を与えて自律神経の活動を整えてリラックス効果が期待できます。また気分がなんとなく落ち込んだりといった軽いうつ状態にある際にも有効です。
ツボの押し方は、両耳の上端に親指を押して中指を頭頂部に持っていき両手の中指が交わったところで押していた気持ちいい箇所を探します。
その部分をゆっくりと深呼吸しながら押すようにしてください。
症例
30代 女性
職場の部署が変わり、一気にストレスが増えた。そのせいか、睡眠や食欲にも影響がでていて1ヶ月で3キロ体重が減った。
原因は忙しさと人間関係と両方で感じており、転職を考えている。
今はとにかく生活リズムを元に戻したいと思い来院。
鍼は初めてだが、効果があるなら多少の痛みは我慢する覚悟をしてきた。
当院の治療
治療の前に自律神経測定器で今の状態を測定したところ、ストレスと疲労の値がかなり高く、自律神経の調節機能が低下している結果がでました。
問診時にストレスが身体の症状に深く関係している事と、それが原因で自律神経の乱れに繋がっている事を説明し、自律神経の調節治療をメインで行っていきました。
治療経過
◇1回目◇
思ったほど痛みがなくて安心した。
◇2回目~7回目◇
治療後は眠れるが、すぐに戻ってしまう。食欲に変化はない。
◇8~13回目◇
まとまった睡眠時間がとれる日が増えた。食欲も前に比べて食べられるようになった。
◇14回目◇
もとの生活リズムが取り戻せてきた。
水が滞って溜まっている状態です。
体重の60%は水と言われます。体にある水分というと真っ先に思い浮かぶのは血液ですが、血液は体重の7%程です。残りの53%は、細胞の中に40%含まれ、組織間質(細胞と細胞の間にある隙間)に13%の水分が存在します。
この組織間質に存在する13%の水分量が増えることで浮腫(むくみ)として現れます。
浮腫の種類には局所性の浮腫、全身性の浮腫、特発性の浮腫、生活習慣性の浮腫があります。
局所性の浮腫
・リンパ性浮腫(象皮病、悪性腫瘍リンパ節転移)
・静脈性浮腫(深部静脈血栓症、慢性静脈不全症)
・血管神経性浮腫(クインケ浮腫)
・炎症アレルギー
全身性の浮腫
・心原性浮腫(心不全)
・肝性浮腫(肝硬変、劇症肝炎、脂肪肝炎)
・腎性浮腫(ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、腎不全)
・内分泌性浮腫(甲状腺機能低下症、クッシング症候群、月経前浮腫)
・薬物性浮腫(経口避妊薬、抗炎症薬、血管拡張薬)
・低栄養性浮腫(蛋白漏出性胃腸症、脚気、摂食不良)
・妊娠
特発性浮腫(原因不明の浮腫)
生活習慣性の浮腫
・運動の不足
・食事の偏り
ここでは、来院される患者様の悩みで多い「内分泌性浮腫」と「生活習慣性の浮腫」について詳しくお伝えします。
「内分泌性浮腫」
◯甲状腺機能低下症
甲状腺ではホルモンを作り、全身に働きかけて代謝活動や精神活動を維持する働きがあります。この甲状腺の働きが低下する疾患です。原因は3つあり、甲状腺自体に異常がある場合(原発性)、下垂体や視床下部(甲状腺に司令を出す上司的な部位)に異常がある場合(中枢性)、甲状腺から出たホルモンが正常に働かない場合(ホルモン不適応性)です。
特に自身の免疫力が、間違えて自身の甲状腺を破壊してしまう疾患は慢性甲状腺炎(橋本病)と呼ばれます。橋本病の多くは女性に発症し、男女比は1:20以上です。30〜50代に多く、女性の10人に1人という高い確率で起こります。
女性の下肢の浮腫は原因が多岐に渡ります。もし下の症状が複数合わせて見られるようでしたら甲状腺機能低下症かもしれません。
・全身症状:寒さに弱い、手足が冷える、汗をかきにくい、声が掠れる(嗄声)、全身の怠さや疲労感、体重の増加、月経異常など
・精神症状:やる気が起きない、物忘れが増えた、話し方がゆっくりになった
・消化器症状:食欲の低下、便秘
・皮膚症状:硬い浮腫 (粘液水腫)、皮膚の乾燥、頭髪の抜け毛、眉毛外側1/3の脱毛
甲状腺のホルモンは心と体の両方に深く関わっているため、活動量が減り元気の無さが見られます。また粘液水腫といい、脛を押した時に凹み(指の痕)が出来ない事も特徴的です。
「生活習慣性の浮腫」
◯運動の不足
血液を含む体の水分は重力によって下へ流れやすいです。逆に心臓に血液を戻すときは重力に逆らって送らないといけないためとても負担になります。この負担を担っているのがふくらはぎの腓腹筋を始めとする下肢の筋肉です。筋肉が収縮と伸長を繰り返す事で過剰な水分や血液を心臓に戻しています。
・運動の不足
・脚を組む
・冷え
・立ちっぱなし
・座りっぱなし
・足首の硬さ
・股関節の硬さ
これらがあると十分に筋肉が働かず、浮腫が現れます。
◯食事の偏り
普段摂っている食事の栄養素に偏りが出ると浮腫の原因になります。
ナトリウムの過剰摂取やアルコール摂取は浮腫みやすい体になります。ナトリウムには水分を引き付ける効果があり体内の水分量を増やします。アルコールは末梢血管を拡張させるので皮膚の赤みや浮腫を起こします。また、カリウムやマグネシウムには、体内の過剰なナトリウムの排泄を促す効果があるため浮腫に効果的とされています。
東洋医学的に浮腫は、津液(体の水分の総称)の滞りと考えられます。また、津液は「脾」、「肺」、「腎」3つの臓によって調節されています。
3つの中でも「脾」が最も浮腫に関わっています。脾は体の水分の量や分布を司っており、脾が病むと顔や足に浮腫が現れます。
脾が病む原因は、糖類の過剰摂取、アルコール摂取、冷飲や多飲、高湿度の環境などが挙げられます。これらの原因により徐々に脾の能力が弱まり浮腫となります。
また東洋医学では鍼やお灸によって、人の本来持っている自然治癒力や免疫力を引き出すことで症状の改善を行います。
そのため、原因となる食生活の改善や運動習慣の改善を併せて行うことがむくみを改善することに繋がります。
当院では症状 (浮腫)を改善する施術と合わせて、浮腫が起こりにくい体にするための施術を行います。
むくみを改善させるためには下肢の筋肉が充分に活動する必要があります。
固まっている筋肉に、はりやお灸で施術を行い、血流や柔軟性を改善させます。股関節や膝関節、足関節の可動域が少ない方は周囲の筋肉の柔軟性が低下しています。その場合はストレッチを行うことも考慮して行います。
また、筋肉に力が入りにくい場合は筋肉に電気を流して自動的に動かす事でむくみが改善されます。
浮腫が起こりにくい身体にするためには、脾・肺・腎の3つの能力を高めることが必要です。
そのために、仰向けでは手足に鍼とお灸を行います。うつ伏せでは背中、腰、ふくらはぎに鍼とお灸を行います。
症例
50代 女性
昔から足のむくみを気になっていたが、ここ2か月ぐらい前からひどくなってきた。
腎臓や心臓の病気が気になったので念のため病院を受診し、血液検査、心臓超音波、画像検査を行ったが特に異常が見られなかった。
午前中よりも午後から夕方、夜にかけてひどくなる。特に足首からふくらはぎにかけてむくみが強い。
仕事はデスクワークで一日中座りっぱなしのため、足を動かすことは少ないが、だるさを感じる。
当院の施術
足の状態を見てみたところ指で押しても圧痕は付きませんでしたが、足全体に強い張りがあり、軽度の静脈瘤も出現していました。下肢の冷えもあるため、血流低下や女性ホルモンの乱れが関連していると考えました。
精神的ストレスも感じやすく、十分睡眠時間を確保しているにもかかわらず、疲れが取れない倦怠感が続いているということなので、まずは自律神経測定器でお身体の状態を確認していきました。
お昼ごろに測定したにもかかわらず、副交感神経が大きく働いており、逆に交感神経の働きが弱い状態でした。これは、交感神経と副交感神経の切り替えがうまく機能しておらず、日中に副交感神経が強く働くことで血管が拡張してしまい、血液の流れを緩やかになりすぎることが足のむくみに影響を及ぼしていることが伺えます。
①自律神経調節治療
②女性ホルモン調節治療
③下肢への低周波電気鍼療法
上記の内容を中心に施術を行いました。
経過
1回目
施術後、足がポカポカして暖かくて気持ちがよかった。
快適に眠れた。
2回目
初回より、足の太さが細くなったような気がする。
3回目
むくみが改善してきた。足がすっきりしてきている。
4回目
ほとんど気にならない。
症例2
30代 女性
ショップの店員をしており、立ち仕事のため足のむくみが以前から気になっていた。
特に夕方以降になると足のむくみが酷くなり張り感も強く感じるようになる。
普段セルフマッサージで対処してきたが、他に良い方法がないか調べたところ当院のホームページを見つけ予約した。
1日に8~9時間ほど立ちっぱなしで、仕事が終わるころには靴下のゴムが食い込んで痕がしばらく消えない程。
また、足の疲れや重だるさも酷く感じる。
当院の施術
まず足の状態を確認したところ、足首からふくらはぎにかけて酷くむくんでおり、筋肉の張りも非常に強い状態でした。
また、臀部周り筋緊張も硬くなっており、足につながる血管を圧迫し血流を阻害していることも要因の一つと考えました。
血流や自然治癒力をコントロールしている自律神経を調節する施術に加え、臀部や脚、特に下肢の経穴に刺鍼し、そこに低周波の電気を流す鍼通電療法を行いました。
電気で筋肉を動かし、腓腹筋の筋ポンプ作用を促進させむくみを改善していきました。
経過
1回目
まだ大きな変化は見当たらないが、少し足首が細くなって様な気がする。
2回目
足のだるさが軽くなった。施術後足がポカポカしている。
3回目~5回目
以前よりむくみが軽くなってきた様な気がする。
6回目~8回目
仕事が終わってから、むくみ難くなっている。
現在も継続して施術中
東洋医学においてむくみは「津液の停滞」と考えます。臓腑は脾、肺、腎の三つの臓器が主に関連しています。
特に水分代謝を司る脾が大きく関係し、この脾の働きが弱くなることによって起こるのが脾虚によるむくみです。
むくみの他にお腹が張る、食欲がない、軟便、下痢、吐き気などを伴なうことがあります。脾は四肢を司るため手足にむくみを生じます。
消化吸収を担う臓腑でもある脾は暴飲暴食や無理なダイエット、疲労や運動不足でも弱まりやすく、湿気の多い環境で過ごしたり暑いからと水分を過剰に摂取する事で、水分が脾胃に停滞し消化吸収が阻害されてむくみを生じます。
肺虚によるむくみは上半身や顔に出やすいのが特徴で、肺はどの臓器よりも外気にさらされやすく冷えや乾燥に弱い臓器です。
長時間寒い場所にいたり乾燥した場所にいる事で肺の機能が弱まると、水分を体の内から外へ配布する働きや、水分を体へ巡らせ皮膚の潤いを保ったり、汗として体外に発散させる肺の働きが弱められ水分が停滞してむくむと考えられています。
また、全身の水分バランスを整える働きをしている腎の機能が疲労やストレス、食生活の乱れ、睡眠不足などで弱まると尿の生成、排泄が上手くいかず体内の水分代謝が悪くなり、むくみの原因になります。
その他にも寒湿(冷え、湿気)や、湿熱(アルコール、暴飲暴食、油っぽい食事など)が原因として考えられています。
むくみに対する当院の鍼灸治療
むくみが起きやすい方は冷えや血流の悪さといった状態を伴なうことが多く、手足が冷えやすい、デスクワークで肩こりや腰痛がある、立ち仕事で足が疲れやすい、などといった自覚症状をお持ちの方が多いです。
当院では最初に自律経測定器で血管の状態や自律神経のバランスを測定させて頂きお身体の状態を診ていきます。
自律神経のバランスが乱れを起こして交感神経が過亢進状態になると血管が収縮し、冷えや血行不良、筋緊張を起こしたり、逆に副交感神経が過亢進状態も血管のポンプ作用が低下しむくみを起こす原因となるからです。
まず、仰向けで腹部や下肢、上肢に鍼やお灸で刺激を与えて自律神経の調整を行った後、うつ伏せで足や腰など下半身にあるツボや背部の五臓六腑の働きを整えるツボに刺激を与え、冷えや血液循環を改善していきます。
また上半身や顔のむくみが気になる方は首や肩、上肢にもアプローチしていきます。
人間の身体の約6割程度は水分でできています。
水分は、細胞の内側と外側にも存在して、3分の2程度は細胞間質液といいまして細胞の中に存在しています。 しかし、何らかの原因で細胞内の水分が細胞外に出ることでむくみの症状として現れてしまうのです。
医学的にいいますと、「むくみ」を「浮腫」といいます。細胞間質液は、細胞内を飛び出して栄養成分を様々な器官に運ぶ役割があります。細胞外に出た細胞間質液は栄養成分を送り届けたあとに再び血液内に戻りますが、正常に血液内に細胞間質液が戻れないとむくみとなってしまうのです。
むくみの原因は、大きく分けて「生理的なむくみ」と「病的なむくみ」「突発性のむくみ」に分けられます。
・生理的なむくみ
生理的なむくみの原因は、長時間の座りっぱなしや立ち仕事などで同じ姿勢が長くなってしまうことで、特に足に静脈血が集中して静脈の圧力が高まることで細胞から押し出された細胞間質液が余分な水分となって現れることでむくみの症状となります。また、朝起きた時などにみられる一時的な顔のむくみなども生理的なむくみと言われ、生理的なむくみはずっとむくんでいるというわけではなく、むくみは朝や仕事終わりなど時間が限局されています。
・アルコールの摂取
アルコールを摂ると血液中のアルコール濃度が高くなり血管が拡張して静脈やリンパによる水分の処理が間に合わなくなるのでむくみやすくなります。
・塩分の摂りすぎ
塩分を摂りすぎると余分な水分が増えむくみが進行します。カップ麺などのインスタント食品は避けましょう。
・ビタミン・ミネラル不足
特にカリウム、マグネシウムなどの不足はむくみに繋がります。
・自律神経、ホルモンバランスの乱れ
自律神経は交感神経と副交感神経がバランスをとる事によって内臓や血管などの機能が正常に機能しています。ストレスや疲労、生活習慣の乱れ、気温の変化などでこのバランスが乱れると血行不良の原因となってしまいます。
血行不良は冷え性の原因となるだけでなく老廃物や余分な水分が下半身に溜まりやすくなるためむくみの原因になります。また、ホルモンバランスと自律神経は脳の視床下部という同じ場所で支配されてます。そのためホルモンバランスが乱れると視床下部に影響を与え、自律神経のバランスも乱れやすくなります。すると血行不良やリンパの流れに影響を与え、むくみの原因となります。
・運動不足
筋ポンプ作用が十分に働かないため、足の血液が心臓へと戻らずに足にうっ血が起こりやすくなります。また、筋肉の量が少なくなることで筋ポンプ作用の効率が悪くなり、新陳代謝の低下により血行が悪くなり、リンパの働きが悪くなります。
・生活環境
運動不足や睡眠不足、エアコンによる冷え、ストレスや足を締め付けるような靴、極端にヒールの高い靴、圧迫感のある下着などもむくみの原因になります。
・筋肉疲労
筋肉の疲労は時間がたつにつれ筋肉を緊張させ、筋肉がポンプの役割を果たすことが出来なくなり血流が悪くなります。
・月経前のむくみ
身体の水分を保持するプロゲステロン(黄体ホルモン)が増加する事によりむくみが出やすくなります。
・足のむくみ
デスクワークや立ち仕事など、同じ姿勢を長時間とる事でふくらはぎなど血液を循環させるポンプ機能が低下してしまいむくみの原因になります。血行が阻害されるとむくみの他にも足首の痛みなどの症状が出る場合もあります。
人体において下肢がむくみやすい部位なのは重力の影響でどうしても脚部に血液が溜まりやすいという「人体構造のしくみ」に関係があります。また、疲れている時、睡眠不足の時にもむくみやすくなります。こちらもポンプ機能が関係しているのですが、こちらはふくらはぎでなく心臓のポンプ機能が低下していることが原因です。また、女性に多いホルモンバランスの乱れや運動不足、冷え性といった血液やリンパの流れが悪い状態も原因となります。
・顔のむくみ
顔がむくむ時間で一番多いのが朝起きた時ですが、その原因は人間が夜寝る事で起こります。水分は高いところから低い所へ流れるので昼は足がむくみやすく、夜寝ている時は水分が身体全体に流れますので朝起きた時が顔のむくみが見られます。また、前日の過度のアルコール摂取や塩分の摂りすぎもよるものも原因の一つです。
アルコールをたくさん摂取すると血液中のアルコール濃度が高くなり血管が広がります。血液の流れが緩やかになると本来であればすぐに運び出してくれるための水分が滞ってむくみやすくなります。また、塩分を過剰に摂取すると腎臓に負担がかかってしまいます。
塩分を処理することが出来なくなるため体は塩分濃度を下げようとし、身体に水分をため込んでしまうためむくみが起こります。顔のむくみの症状は朝起きがけから、午前中くらいまでで昼に仕事や学校などで活動している健康な方であればいつの間にか顔のむくみは消えています。
その他にも、睡眠不足や疲れから新陳代謝が悪くなったり首や肩の筋肉の緊張が強い方もリンパの老廃物や余分な水分が流れにくく顔のむくみの原因となります。
病的なむくみ
こんなむくみがある場合は、一度病院で検査を受けたほうがよいでしょう。
・心臓疾患
心不全など
心不全とは病名ではなく「心臓の働きが不十分な結果、起きた体の状態」をいいます。心臓は全身に血液を送るポンプ機能を果たしていますが、病気など何らかの原因でその機能が低下することによって全身へ新鮮な血液を送ることが出来なくなってしまいます。その結果全身の末端である足などに水が溜まり、むくみを引き起こします。
・腎臓疾患
ネフローゼ症候群、急性糸球体腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞炎、糖尿病性腎症、腎不全など
何らかの原因により腎臓の機能が低下してしまうと体のフィルター機能が上手く働かなくなり老廃物が体から十分に排出することが出来ずむくみの原因になってしまいます。
・肝臓疾患
肝硬変や門脈圧亢進症など
肝臓の機能が低下すると血液の中に水分を留めておく「アルブミン」というタンパク質の合成を上手くすることが出来なくなります。血液中のタンパク質が低下する「低タンパク血症」を起こしむくみの原因になります。
・内分泌機能障害
甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、月経前症候群(PMS)など
甲状腺の機能が低下するとアルブミンとムコ多糖体の結合物が沈着する事で水分とナトリウムが移動するため粘液水腫というむくみが生じます。これは他の浮腫と違って指で押してもすぐに戻ってしまい指の跡が残りません。逆に甲状腺の機能が亢進すると甲状腺ホルモンの働きが活発で過剰に分泌されることにより不整脈の一つで脈が不規則、かつ非常に速くなる「心房細動」が合併症として現れる事があります。心房細動によって心臓の動きに負担がかかると、全身の血の巡りが悪くなり手足や身体に浮腫が現れる事があります。
また、月経前症候群(PMS)の症状の一つとしてむくみが挙げられます。原因は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌です。黄体ホルモンは妊娠しやすい体を作るホルモンですが、受精卵が着床しやすいように、子宮内膜を厚くする原料となる栄養や水分を蓄えようとするため、むくみやすくなるといわれています。
・突発性のむくみ
突発性のむくみとは原因のわからないものを指します。特に20代~50代の女性に多く発症して原因不明のため特に病院で検査をしても異常が見つからないため、病院では特に治療が行われずに悩まされている方も多くいらっしゃいます。 自律神経の乱れによるホルモンバランスの乱れや循環が悪くなっているために起こるとなどと考えられていますが、はっきりとした原因解明にまでは至っていません。
症例
50代 女性
更年期も関係しているのか分からないが、顔、足、手が気が付いたらパンパンにむくんでいる事が多くなった。
病院で検査をしてもらったが、異常は見つからなかった。
特に下肢のむくみが酷く、朝履いた靴が仕事終わりに入らないので最近はつっかけサンダルで職場に行っている。
前は足のサイズは23cmだったが、むくみがひどい時は26cmの息子の靴を借りて履いている。
手は朝起きるとパンパンで動かしていると動くようになるが、起きた時は手を握るのがやっとの状態で不便さを感じている。
当院の治療
筋肉の固さと筋肉量の低下、ホルモンバランスの乱れもあり手足が冷えてかなり血行が悪い状態でした。
東洋医学的な治療では、身体の水分の循環に関係する経穴に刺激を与えて、筋肉や血液循環等の西洋医学的な治療では、特に冷えや筋肉が固くなっている局所的な治療を行っていきました。
治療経過
◇1回目◇
足が軽くなり、ふくらはぎの太さが少し細くなった気がする。
◇2~5回目◇
むくみはまだあるが、足のサイズが変わることは減った。
◇6~9回目◇
回数を重ねるごとに、仕事終わりの足の重さが軽くなった。
◇10回目◇
自分の靴が毎日履けるようになった。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
ニキビとは、前額部(おでこ)、頬、口の周り、下あごなどにできる発疹を指します。思春期から青年期にかけてよくみられ、胸や背中の中心部などに出来ることもあります。
一般に思春期にできるものが「ニキビ」、大人になってできるものが「吹き出物」といわれることがありますが、実は両者の区別はなく、同じものです。どちらも「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚の病気の通称です。
原因は様々ですが大きな要因は3つです。
・毛穴の閉塞
・皮脂の過剰な分泌
・アクネ菌というニキビの元となる菌の繁殖
肌は約28日のサイクルで角質がはがれ落ちて新しい皮膚細胞に生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返しています。通常皮脂は毛穴から汗とともに排出されますが、ターンオーバーがうまくいかない場合毛穴の角質が厚くなり、毛穴の出口が塞がれて皮脂が詰まってしまいます。
そうすると、皮脂を栄養にしている「アクネ菌」が過剰に繁殖し炎症を起こして発疹を起こしてしまいます。また、角質が厚くなること以外にも、皮脂が過剰に分泌しすぎると、毛穴を塞いでしまう原因になってしまいます。
発達した脂腺が集まった場所を脂漏部位といいます。脂漏部位は頭皮、顔面(眉間、鼻翼などのいわゆるTゾーン)、胸骨部、肩甲骨部、腋窩部などで、これらはニキビの出来やすい部位と一致します。
男性ホルモンの「アンドロゲン」には皮脂の分泌を高める性質があります。思春期にニキビの発生が多いのはこのせいです。また、もともと脂性肌であったり、糖分や油分の多い食生活や過度なストレスなどもホルモン分泌の異常や皮脂分泌の促進につながりニキビの発生や悪化の原因になってしまいます。
・生理周期による皮脂分泌の増加
女性の場合生理周期によりニキビができやすい時期もあります。排卵後(黄体期)から月経前までは女性ホルモンのプロゲステロンの作用により皮脂分泌が活発になり、ニキビや吹き出物ができやすくなったり、肌荒れが起こりやすくなります。
食生活は吹き出物の大きな原因の一つです。特に皮脂の分泌が増えてしまうような油分・糖分の多い食べ物は吹き出物の発症、悪化を引き起こします。
また、香辛料が強い食べ物も、汗の分泌を促すと同時に皮脂の過剰分泌を引き起こすことがあるため、吹き出物には良くないと考えられています。
吹き出物は食べ物だけでなく、極端なダイエットによる栄養バランスの偏りや夜間遅い時間帯の食事など食事リズムの乱れも原因となることがあります。
ニキビの悪化していく段階
・微小面皰(びしょうめんぽう)
毛穴の開口部が狭くなり、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まっている状態です。ニキビができやすくなっていますが、肉眼では確認することが難しいため、見つけて治療することはほとんど不可能です。
・面皰(めんぽう)
毛穴が詰まって皮脂が溜まり毛穴が膨らんだ状態です。白いニキビに見えるので白ニキビとも言われます。
・丘疹(きゅうしん)
面皰内でアクネ菌がさらに繁殖して赤く炎症を起こし、ブツブツと丘のように盛り上がってる状態です。
・膿疱(のうほう)
丘疹の炎症がさらに進展した状態です。膿疱では毛穴の外壁が破壊され、内容物が漏れ出て炎症をより進展させます。毛穴の外壁が拡がり破裂すると、角質や皮脂などの面皰の内容物が真皮に漏れ出て強い炎症を生じます。
・嚢腫、結節(のうしゅ、けっせつ)
強い炎症を伴い毛穴が拡大して嚢腫を形成したり、毛包の破壊が進むと周囲の反応が増して結節を生じます。
・瘢痕(はんこん)
いわゆるニキビ跡と呼ばれるもので、炎症が強い場合には軽快後にコラーゲンの消失による陥凹性瘢痕(クレーター)や、コラーゲンの増生による肥厚性瘢痕を残すことがあります。
問診と血液検査、ホルモンバランスの検査など必要に応じて行います。治療は一般的に薬物療法で内服薬や外用薬が処方されます。また、皮脂の分泌を減らす目的で各種ビタミン剤や、体質改善目的で漢方治療を併用することもあります。場合によってはコメド(面皰)圧出などの処置が行われることもあります。
保険外治療としては、ケミカルピーリングや抗アンドロゲン治療や殺菌目的の光線治療などがあります。
「肌は内臓の鏡」といわれ、内臓の状態が皮膚にあらわれると考えられています。
ニキビや吹き出物は熱邪や湿邪などの外からの刺激により体内に熱がこもる事や、気や血の巡りが悪くなり老廃物が溜まりやすくなることが原因と考えられています。
また、外邪の侵入やストレスや疲労、生活習慣の乱れなどで、五臓六腑の「肺」「脾」「胃」「肝」などの働きが低下することなども大きく関係しています。東洋医学では肺は皮膚呼吸の機能維持、脾は消化器系から皮膚へ栄養を運ぶ働き、肝は解毒作用、脾胃の機能調整に関係していると考えられています。
当院では皮脂の分泌や、血流、免疫機能、肌の新陳代謝などに深く関わる自律神経のバランスを測定しお身体の状態を把握した上で治療を行います。
自律神経系の調整施術を行い、内臓機能や免疫力を高め症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えます。また、東洋医学的観点から肺、胃、脾、肝などの機能を高めるツボを取り入れます。さらに、症状のある部位の周辺のツボに鍼やお灸で刺激を与え血液の循環を促進し、皮膚の新陳代謝を促し炎症を抑える作用を促します。
症例
30代 女性
小学生の時にニキビができはじめ、それからずっと続いている。薬や健康グッズ、温泉などを試したが治らない。ニキビの量や赤みが引く時はたまにあるが、ゼロになったことは小学生の頃からない。
いつも化粧やマスクで隠しているため肌の負担になっているのか肌荒れも気になっている。
当院の治療
自律神経測定器で計測したところ、交感神経が優位になっていることと、ストレスの数値が高く測定されました。
また、生活習慣での運動不足や食生活の乱れもあり、当院では自律神経を整えて、ご自宅では食生活に気を付けることを決めました。
鍼は初めてで、痛いのは苦手とのこと。ソフトな治療を行いました。
治療経過
◇1回目◇
鍼に緊張したが、思っていたほど痛みはなかった。
◇2~7回目◇
回数を重ねるごとに肌の調子が良い。食事改善が少しだけストレスになっている。
◇8~15回目◇
鍼に慣れてきたので、刺激量を増やしての治療にチャレンジ。身体のだるさはあるが、スッキリ感があるので少しずつ刺激を増やしていった。
治療をするたびに、肌の調子が良くなっているのを感じている。
食事を改善した生活にも慣れてきた。
◇16~22回目◇
内臓機能が向上したのか、体温が35度台から36度台に変わった。新しい吹き出物ができにくくなってきた。
◇23回目◇
顔の赤みと吹き出物がほぼなくなった。
かなり改善したので一度治療を終わりにして様子をみることにした。
めまいといっても様々な病態があり、生命の危険がある重症なものからちょっとした疲れや体の異常・はっきりと原因のわからないものまであります。
しかし全体的にみるとめまいを訴える方は年々増加しており、今や5人に1人以上の割合でめまいを慢性的に感じています。
めまいは高齢になるほど羅患率は増えてきますが、最近では比較的若い世代の働き盛りの男性や20代・30代の主婦などにも多くみられます。
めまいは様々な疾患を見分けるための重要な症状であり、身体にとっては異常事態を知らせる重要なシグナルでもあるので、まずは原因を究明し、体のどこに異常があるか知っておく必要があります。
◆どの科を受診すべきか◆
耳鼻咽喉科
めまいの多くは、耳鳴りや耳塞感などの耳の症状も同時に現れる場合が多いのでそういった場合はまずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。
内科
めまいの他に吐き気や嘔吐、冷や汗などの症状が強く出ている場合は内科を受診しましょう。
脳神経外科・神経内科
めまいに加えて手足の痺れや舌のもつれ、物が二重に見える、歩行困難、意識低下などがみられる場合は早急に脳神経外科・神経内科を受診しましょう。
かかりつけ医
高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の治療を受けている場合は薬の影響によるめまいの可能性もあるのでまずはかかりつけ医に相談してみましょう。
大学病院・総合病院
様々な科が集まる大学病院や総合病院では、それぞれの科が連携しており、さらにめまい外来や神経耳科などさらに細かく分かれて診療科が設置されている病院もあります。
めまいといいましても感じ方は人それぞれであり、そのタイプだけで原因疾患を特定することはできませんが、一つの目安となります。めまいの感じ方は大きく分けると「回転性めまい」と「非回転性めまい」の二つに大別されます。さらに「非回転性めまい」ではそのほかいろいろなタイプがあります。
◆回転性めまい◆
回転性めまいは、自分や周囲がぐるぐると回っているように感じます。激しいめまいである場合が多く、めまいの他に吐き気や歩行困難、難聴、耳鳴りなどの症状も併発する場合もあります。
座っていたり横になっていたりと自分が動いていない場合でもぐるぐると回転するようにめまいを感じます。その場合メニエール病や前庭神経炎などの可能性が高いですが、脳出血や一過性の脳虚血発作のような脳の病気の場合もあります。
また寝返りや起床時にめまいを感じる場合もあり、良性発作性頭位めまいと呼ばれています。
一般的に回転性めまいは、内耳などの平衡器官に血流障害や炎症・むくみが起きることが原因ですが脳の障害の場合もあるので注意が必要です。
メニエール病
自分や周囲がぐるぐる回ると感じる回転性めまいを起こす代表的な疾患がメニエール病です。メニエール病は、40代~50代の方に多く発症し、肉体的・精神的ストレスが引き金になる場合が多いため、現代病とも都会病ともいわれ、近年は増加傾向にあります。
メニエール病の典型的な始まりは、ある日突然何も前触れなしに激しい回転せめまいが起こり、目も開けられずに吐き気がして嘔吐するといった症状が起きます。次いで耳鳴りや難聴などの耳の症状があらわれます。めまいの発作は、数時間から半日程度でおさまっていくのが普通ですが、メニエール病が厄介なのは、定期的に発作を繰り返すということです。
メニエール病を引き起こす原因は、内リンパ液が増えすぎる内耳の内リンパ水腫であると考えられていますが、内リンパ水腫を引き起こす原因はいまだ詳しく解明されていません。しかし、過労や睡眠不足などの肉体的ストレスや仕事や人間関係などからくる精神的ストレスが発症の誘因となることが多いとされており、心身症の一つとしてとらえられています。
◆非回転性めまい◆
自分や周囲がぐるぐると回っていると感じる回転性めまいと違い非回転性めまいは回っているとは感じません。非回転性めまいは、めまいの感じ方により「浮動性めまい」「動揺性めまい」「眼前暗黒感」に分類されます。
浮動性めまい
浮動性めまいの場合は、「体がふわふわと宙に浮いた感じがする」や「船に乗っている感じがする」などの身体の不安定感を呈します。両側の内耳の異常でも起こりますが、脳の障害でも浮動性めまいは起こりやすいです。
動揺性めまい
動揺性めまいでは、頭や首・体全体がぐらぐらと揺れているように感じます。実際に歩行してみるとふらつくこともあります。内耳の平衡器官が左右両側で侵されたり、運動をつかさどる小脳に病変が出た場合にあらわれやすくなります。
眼前暗黒感
眼前暗黒感はわかりやすくいうと「立ちくらみ」のことであり、立ち上がった瞬間にくらっと感じたり、長く立っていると眼の前が遠く真っ暗になるなどの症状を呈します。10歳以上の学童に多く見られる疾患でほとんどの場合は耳や脳には異常はありません。
※女性に多いめまい
女性の場合特に月経の前1週間ほど前の黄体期に体調が崩れやすく、めまい症状やイライラ感や抑うつ感などの精神的な症状もあらわれやすいとされます。特に現代社会では、女性の社会進出が進み、職場でのストレスや過重労働での体の疲労が男性と同様にかかりそれに加えて育児や家事、独身女性の場合将来への莫大な不安といった心身ともにストレスがかかりやすくなっています。
最初のうち、身体にエネルギーがあるときは何とかやり過ごせますが、それが許容量を超えてしまうと心身がSOSサインをだして心身に異常が出てしまうのです。
また、脳下垂体という女性ホルモンの分泌指令を送る器官は、視床下部という自律神経をコントロールしている器官のすぐ近くにあるため、女性ホルモンの変化が自律神経のバランスを崩れる原因となりがちです。
日常的にも心身のストレス過多状態でさらに黄体期で女性ホルモンのバランスが崩れると自律神経のバランスが乱され、それがめまいの原因となってしまうのです。
自律神経バランスの乱れ以外にも女性は月経のたびに鉄分が失われるため、脳が虚血状態となり貧血によるめまいが起こりやすいので注意が必要です。それに加えて過度なダイエットで食生活が乱れて栄養が十分に摂取できていない状態ですとさらに月経時にめまいが起こりやすいです。
その他、閉経後に女性ホルモンの分泌低下の影響でカルシウムの吸収が低下して耳石がもろくなり剥がれやすい状態となります。すると耳石が剥がれ落ちてしまい体の平衡感覚をつかさどる三半規管のなかに落ちてしまってめまいが起こる良性発作性頭位めまい症という疾患もかかりすやすいとされます。
めまいは、単独で症状が現れる場合は少なく、自律神経症状や意識障害、運動障害などを併発する場合がほとんどです。併発する症状によっては、生命の危険にかかわり、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。
下記のような症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。脳梗塞・脳出血・脳腫瘍などの脳の病気が疑われます。
・体の半身が不自由、感覚が鈍いと感じる
・舌がもつれたり、言葉が発しにくくなる
・物が二重に見え、目がかすむ
・歩行困難
・激しい頭痛で意識がもうろうとする
・物の片側が見えない
めまいと共にこのような症状を呈する場合、様子を見ることなどせずにすぐに医療機関を受診してください。症状が重症化する場合もあります。
耳鳴りや難聴が併発する
めまいと耳鳴り、難聴は同時に起こることが多いです。このような場合は脳の疾患の可能性は低くなります。
平衡感覚をつかさどる器官と聴覚をつかさどる器官は、もともと同じ器官から分化したもので両方とも内耳の中で隣り合っています。お互いは細い管で連結しているために密接に影響を及ぼし合います。
また内耳と脳をつなぐ神経は、平衡感覚器から出ている前庭神経と聴覚器から出ている蝸牛神経の2種類でどちらかの神経が障害されるともう一方にも影響を及ぼすためにめまいと耳鳴り・難聴が併発することが多くなるのです。
症例 1
40代 男性
2年前から自転車の走行中や電車の中、片足立ちをするとフワフワするようなめまいを感じるようになった。
パソコン関係の仕事が忙しく、めまいが起こった2年前ぐらいから不眠が続いていて、今はめまいだけではなく動悸も感じる。毎日睡眠時間が2~3時間程のため、疲れが抜けきれない。
施術
お話を聞いていると、重度な自律神経失調症の症状であるため、自律神経測定器で計測してみたところ、予想通り交感神経が過活動していた。
まずは、自律神経調節のための施術を行い精神的リラックスを目的として頭のツボに電気パルス鍼を行った。
首肩のコリに関しては、デスクワークのためか非常に強い。首肩が硬くなると脳に対する血流量も下がってしまいめまいの原因の1つになるので、首肩の電気鍼の施術も行った。
長期的な治療になるため、まずは1週間に1回のペースで施術。
◇1回目◇
あまり大きな変化はないが、少しだけ軽くなった気がする。
◇2回目◇
1週間のうちに2日程夜に眠気を感じることが出来た。
めまいは前回から変化なし。
◇3回目◇
めまいはあまり変わらないが、睡眠の質は良くなってきている。
◇4回目◇
片足立ちの時はまだめまいがするが、それ以外の状態ではあまり気にならなくなってきた。
◇5回目◇
睡眠時間が平均5時間まで延びてきた。
◇6回目◇
めまいが少なくなってきた。睡眠時間も安定。
◇7回目~15回目◇
あまり変化はないが、状態は安定している。
◇16回目~25回目◇
仕事が忙しかったり、精神的なストレスがあると症状が酷くなる時もあるが、前ほど悪くならない。
◇26回目~30回目◇
気が付いたらいつの間にか、めまいを感じなくなっていた。
睡眠時間も6~7時間寝れるようになってきた。
現在も通院中。
症例 2
70代 女性
1週間前の就寝時に突然のめまい発作と嘔吐が起こり、救急搬送され入院した。画像検査では異常がなく、良性発作性頭位めまい症と診断された。退院後も、時々耳鳴りが起こり、低音域が聞こえにくい状態である。
施術
後頸部や肩に筋緊張がみられたため、筋緊張緩和を目的に鍼を行いました。自律神経測定器の結果、お身体の疲労が溜まっている状態であったため、全身の疲労回復と血流改善のため、自律神経調整施術を行いました。そして、内耳の血流やリンパ液の循環を改善するため、耳周りにも鍼とお灸を行いました。
夜間頻尿にも悩まされていたため、頻尿に効果的とされるツボも用いて施術を行っていきました。
一回目
めまいは起きていない。耳鳴りを感じることはある。
二回目
病院で処三方されている薬を服用していることもあり、めまいは一度も起こっていない。夜間頻尿の回数が減った。
三回目
めまいは起こっていない。耳鳴りも感じなくなった。聞こえの検査結果も改善し、低音域も聞こえている。夜間頻尿が3回から2回に減った。
四回目
薬の服用も止め、めまいは一度も起こっていない。
以降、お身体のメンテナンスのためご来院中。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
誠に勝手ながら、当院の年末年始の診療は、下記のとおりとさせて頂きます。
令和6年12月30日~令和7年1月3日まで休診
年内診療 12月29日日曜日まで
年始診療 1月4日土曜日から
本年はご愛顧頂き誠にありがとうございました。
来年もよろしくお願い申し上げます。