腎臓病の鍼灸治療

 

腎臓病に対する当院の鍼灸治療

 

東洋医学では腎機能を補う『補腎』を基礎に経絡でいう腎経と肝経の反応点に鍼灸治療をしていきます。

腎臓病の鍼灸治療1

 

東洋医学でいう「腎」は西洋医学のものとは少し異なります。東洋医学の腎は内分泌系泌尿生殖器系、中枢神経系の一部、免疫監視系なども含めた機能系だと考えられています。腎が虚することで症状が進行するということです。

当院では慢性腎炎特効穴の一番の反応点に微弱電流を流していきます。それにより糸球体の血液量があがります。それに加えて自律神経調整治療を行っていきます。

主に使用するツボ

腎兪 大腸兪 命門 関元 気海 京門

三陰交 足三里 陰陵泉 太谿

慢性的な腎疾患の時に使う取穴です。
慢性腎臓病の進行をとめ、腎機能の改善を治療の目的としています。

腎臓病に対する下肢への鍼灸治療

 

腎臓病の症状

腎臓は体の中の毒素や老廃物を除去し、水分の調整といった、身体にとって非常に重要な役割を担っています。腎臓は静かなる臓器とも言われ症状が進行してもなかなか自覚症状がでにくいことがしばしあります。主な症状としては、タンパク尿、血尿、高血圧、浮腫(むくみ)などがみられます。進行して悪化すると尿毒症という腎臓の機能がほとんど機能しない状態になります。そうなると透析治療を受けなくてはならないのです。

 

腎臓病の種類

腎臓病にもいくつか種類があります。ここでは代表的な症状について書きます。

①慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)

腎臓内にある糸球体に障害が起こる症状です。

健康診断でタンパク尿を指摘されて発覚する場合や、他の病気の治療中に発見されるケースもあります。代表的な慢性糸球体腎炎には以下のものがあります。

・IgA腎症

・膜性増殖性糸球体腎炎

・膜性腎症

・微小変化群

・巣状糸球体硬化症 など

浮腫(むくみ)を訴えることが多いです。

②腎硬化症

その名のとおり腎臓の血管が硬くなるもので、高血圧や動脈硬化に由来する腎臓病です。

③糖尿病性腎症

糖尿病に由来する腎臓病です。透析患者の導入原因の多くをしめています。初期にアルブミンタンパク尿と呼ばれる尿が見られるようになります。症状が進行すると腎臓の機能は徐々に失われ、血液をろ過できなくなります。

④多発性のう胞腎
腎臓にのう胞ができ腎臓を圧迫し、腎臓の機能が低下する遺伝性の病気です。

⑤ネフローゼ症候群
何らかの原因で腎臓に障害が起こることにより、タンパク質が尿中へ排出されてしまう状態をさします。

 

腎臓病の原因

腎臓病は腎臓の異常が発生するプロセスによって、原発性続発性に分けられます。

日常生活の食生活の中で、腎臓に負担をかける主なものは、タンパク質と塩分です。

タンパク質は燃えると尿酸や尿素窒素などの身体に有害な物質になります。腎臓はその有害物質の処理をしています。血液中に塩分がふえると、腎臓は余分な塩分を尿として排出しようと働きます。そのため、タンパク質や塩分を摂りすぎると、腎臓の負担が増えることになります。また常に多量の血液が流れ込んでいるため、血液や血管の状態に影響を受けやすい臓器です。

代表的なものが糖尿病高血圧です。糖尿病では毛細管の障害がおこり、高血圧では動脈硬化が起こりやすく、どちらも腎臓病の原因となります。

 腎臓が機能低下すると・・・

腎臓の機能が低下して十分に役割が果たせなくなると人工透析を行います。
人工透析とは、その名の通り腎臓の機能を人工的に代替するものです。腎臓は血液をきれいにする役割があり、その機能がほとんど機能しなくなってしまうと生きていくことも難しくなります。

腎臓の重要な役割として

  • ・血液中から老廃物を取り出し、尿として排泄する
  • ・腎臓は尿をつくる場所であり、排泄することで体内の水分量を調節する
  • ・体内ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウムなどの電解質の調節をする
  • ・体内の酸と塩基のバランスを保つ

などのとても重要な役割があります。これらの機能が低下すると人間は、生きていくことが難しくなるのです。

人工透析は、体内の血液を手首の血管から取り出して一度ダイアライザーという器械を通して血液を浄化してくれます。

人工透析を行うようになってしまうと様々なリスクがあります。

  • ・1日4~5時間、週に3日ほど通院しなければならない
  • ・水分や食事の制限が厳しくなる
  • ・一生受け続けなけらばいけない
  • ・免疫力が低下して感染症にかかりやすい
  • ・血管や骨がもろくなる
  • ・心臓に負担がかかるため心不全を起こしやすくなる

など様々な健康上のリスクがあります。

さらに透析を一か月受けると自己負担は1万円が上限となりますが、医療費は40万程にもなります。高額医療の特例として保険給付されるのです。それを一年に換算すると一人透析を受けるだけでも保険者にとっては相当な負担となり、透析患者さんが増えることで国の財政にも影響を与えてしまうのです。

超高齢社会となって医療費が増加の一途をたどる中で、透析患者さんを増やさないことは大きな課題となっているのです。

人工透析

腎臓疾患と腰痛の関係性

腎臓疾患となると腰痛の原因となりやすいです。腎臓は心臓・胃腸などの臓器よりも背中側に位置しています。しかも腎臓は、左右に一つずつあるため内臓の病変が体表の痛みとなって現れる関連痛の範囲が広いことが知られています。腎臓に異常がある場合はわき腹や腰に鈍い痛みや違和感などを感じることがあります。
一般的に感じる慢性腰痛とは違い、
・横に寝ていても痛みが取れない
・腰を動かしても痛みの変化がない
・顔や足がむくむ
・血圧が高い
・軽くジャンプした時の着地の際に痛みを強く感じる

などの特徴があります。このような腰痛の場合は、ぎっくり腰慢性腰痛ではない危険性がありますのですぐに病院で診てもらう必要があります。腎臓は一度機能低下してしまうと治りにくい臓器の一つでもあります。早期発見・早期治療がとても重要となってきます。

その他よく見られる関連痛としまして

・肝臓―両肩、右肩甲骨下端
・心臓―左肩、左わき腹、左胸
・膵臓―左肩甲骨内側下端
・胆のう―右腰
・虫垂―右腰

などがあります。

腎臓病の治療の考え方

 

既に慢性化してしまった腎臓病では、病気そのものを治すことは難しく、完治は期待できません。しかし病気の進行を抑え、症状を改善できれば快適な生活を送ることは可能です。食事療法や薬物療法によって腎臓をいたわり、残された腎機能をなるべく長持ちさせることが治療の基本です。

腎機能低下の原因が明らかな場合は、その原因となっている病気を治すことが大切です。

 

腎臓病にならないために

 

腎臓病を予防するのに重要なことは日々の生活の中にあります。

・塩分やタンパク質の摂り過ぎに注意

・尿量や尿の色などをチェック

血尿や尿に臭いがあれば一度医療機関を受診してください。

・血圧の管理

高血圧は腎臓病の大きな原因でもあり、糖尿病や脳血管障害の原因にもつながります。

・喫煙習慣

喫煙は慢性腎臓病の発症、進行に関与しています。様々な病気の危険因子でもあるので、まずは禁煙することが重要です。

・飲酒

適度な飲酒は慢性腎臓病の危険因子とはなりません。しかし過度の飲酒は慢性腎臓病の危険因子となるので注意が必要です。

・運動習慣

糖尿病や高血圧の発症をおさえ、適正な体重を維持することが非常に重要です。そのために適度な運動習慣があると良いです。

・規則正しい生活習慣

過労や睡眠不足、ストレスの蓄積、昼夜逆転など

不規則な生活リズムだと腎臓に負担はかかります。規則正しい生活リズムであれば他の病気の予防にもつながります。

 

腎臓病は今や新たなる国民病ともいわれ、予備軍も含むと1000万人以上ともいわれています。もし腎臓の機能が低下し、透析をうけることになれば、今のような生活は難しくなります。

鍼灸治療で腎機能を普段から高めましょう。


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 13:20 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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