口内炎の鍼灸治療

口内炎の東洋医学的考え方

中医学では口腔粘膜に炎症が起こった状態のことを「口瘡(こうそう)」「口糜(こうび)」といいます。口内炎を引き起こす基本的な原因は「熱」と考えられています。熱には大きく分けて二つのタイプがあり体内に余分な熱が生じてできるタイプ(実熱)と、体内に必要な物質が足りなくて起こるタイプ(虚熱)があります。

・実熱
風熱の邪気の侵入(邪熱侵入)
特徴
発症が急で、患部が赤く腫れ、熱感を伴う。頭痛や発熱、喉の痛みなどの風邪の症状に伴い現れる。

 

ストレスによるタイプ(心火上炎)
特徴
患部は赤く腫れ、熱感、痛みを伴う。イライラ、不眠などの精神症状がみられる。尿が黄色いなど。
憂鬱、怒りなどの精神的ストレスが体内に熱を生み口内炎の原因となります。

食生活の乱れによるタイプ(脾胃湿熱)
甘い物や脂っこいものの過食や過度の飲酒は、胃腸に湿熱を生み口内炎の原因になります。
特徴
舌苔が黄色く厚い。患部は腫れて痛みを伴う。口臭や口の渇き、便秘などの胃腸症状を伴うことが多い。

 

・虚熱
加齢や慢性疾患は身体に必要な血液や体液などの陰液を消耗させます。東洋医学ではこの状態を「陰虚」と呼びます。陰虚が進み体に必要な血液や体液が不足すると、相対的に体の陽気が盛んになるため体内に熱がこもり口内炎の原因になります。
また、病位として唇は「脾」、舌は「心」、頬と歯ぐき

は「胃」が関係が深い臓腑になります。

 

口内炎に対する当院の鍼灸治療

当院では、まず最初に自律神経測定器にて計測を行い、患者様のお身体の状態を診させて頂くことで、激量や用いるツボを選択し、その方に合ったオーダーメイドの治療を行います。

内臓機能、免疫、血流などを司る自律神経系のバランスを整えるツボや内臓機能を高めるツボにに鍼やお灸で刺激を与え、自然治癒力を高めることで口内炎の治癒を促進します。

また、東洋医学的観点から口内炎の部位によって脾、心、胃の経絡の重要なツボを用いてその働きを調整する治療を行います。
また、お灸などを用いて下肢や内臓の冷えを除くことで、上に昇った熱を下へ降ろし炎症を早く除くようにしていきます。

口内炎の鍼灸治療

 

口内炎の下肢への治療

 

口内炎とは

口腔内や口唇、舌の粘膜に炎症が生じる疾患です。歯茎の歯肉炎、舌の舌炎、唇の口唇炎、口角の口角炎などをまとめて口内炎と呼んでいます。口は食事や呼吸など外部と接する機会が多いため細菌やウイルスなどが侵入しやすく様々な種類の口内炎を引き起こします。

口内炎は痛みを感じて食事をしにくいだけでなく、イライラや集中できない、不眠など精神的に苦痛を感じることも少なくありません。

 

 

口内炎の種類と原因、症状

・アフタ性口内炎

精神的ストレスや過労、睡眠不足、栄養不足(ビタミンB12不足など)生活習慣の乱れなどによる抵抗力の低下が原因で起こります。また、女性は生理前や妊娠中などホルモンバランスが乱れるときにできやすいといわれています。

口の中に赤く縁どられた米粒ほどの円形や楕円形の白い潰瘍(アフタ)が頬の裏側、舌の内側、歯茎、舌、口の底部分、喉などに1個~数個発生します。痛みがあり食べ物や飲み物がしみることがありますが、10日~2週間程で自然になくなり跡も残りません。しかし、繰り返しできる場合もありその場合は「再発性アフタ性口内炎」と呼ばれます。

 

・カタル性口内炎

食事中に誤って口の中を噛んでしまった時、歯みがきの際に歯ブラシで口の中を傷つけてしまった時、合わない被せ物、入れ歯や矯正装置による刺激、熱い食べ物や飲み物で火傷をした時など物理的な刺激により引き起こされる口内炎です。

疲れや免疫力の低下、ビタミン欠乏や過度な喫煙などが引き金となることがあります。特徴として粘膜が赤く腫れたり、水疱ができたりしますが、アフタ性口内炎と違い炎症の境界が分かりにくいのが特徴です。また、唾液の量が増えて口臭が発生したり、口の中が熱を持ったり、味覚が鈍感になることがあります。傷ついた部分だけ白い口内炎ができます。通常一週間程度で自然に治ります。

 

・ウイルス性口内炎

単純ヘルペスウイルス、カンジダ菌などのウイルスが原因で口内炎ができることがあります。

・ヘルペス性口内炎

乳幼児に多くみられる口内炎で「単純ヘルペス」というウイルスに感染することで発症します。しかし感染したからといって必ずしもヘルペス口内炎を発症するわけでは無く一般的にほとんどが初感染後無症状ですが、数%がヘルペス性口内炎を発症します。

一度発症するとその後もウイルスが神経節の中に潜伏して残るため大人になって免疫力が低下した時に口内炎の症状が現れることがありますが乳幼児よりも軽症です。

症状として口の中に水疱ができ激しい痛みを伴います。痛みのため食事や水分を十分に摂ることが出来ず脱水症状を引き起こす事もあり注意が必要です。口内炎の他に発熱、倦怠感などの全身症状を伴うことがあります。

・カンジダ性口内炎

カビ(真菌)の一種である「カンジダ菌」が増えることで発症します。カンジダ菌は常在菌でもともと私たちの身体に存在していますが、通常は症状を引き起こすことはありません。

しかし、免疫力が低下したり口の中が乾燥し口内環境が悪化したりすることをきっかけにカンジダ菌が増殖してしまうことがあります。また、抗生物質やステロイドなどの薬物の影響で常在菌のバランスが崩れることが原因となることもあります。

カンジダ性口内炎は健康な人が発症することは少なく乳幼児や妊娠中の女性や高齢者など抵抗力が弱まっている時や、他に何らかの疾患を抱えているときの発症が多いことも特徴として挙げられます。

症状として口の中に苔のような白い斑点が付着し痛みはあまりありません。しかし進行すると赤く炎症を起こしたり、痛みを伴ったりする場合もあります。また、舌に炎症が起こり灼熱感やヒリヒリとした痛みを伴うタイプもあり、粘膜の奥まで炎症が起こると治療後も痛みが残ってしまうこともあり、注意が必要です。

西洋医学的治療

口内炎の治療は一般的に歯科、内科、口腔外科、または耳鼻科にて行われます。子供の場合はかかりつけの小児科で診てもらうのも良いでしょう。

主な口内炎治療には薬物療法、レーザー治療があります。

・薬物療法

殺菌、消毒効果、抗炎症作用のある貼り付け剤や軟膏、スプレー薬などを症状や患部に合わせて処方されます。

ウイルス性口内炎では、原因となるウイルスの抗ウイルス薬を使用します。

・レーザー治療

殺菌、消炎鎮痛、組織の活性化などの効果があるレーザーを使用します。痛みを軽減し、治癒を早める効果があるとされています。

 

症例

20代 男性

2週間前に口を噛んでしまい口内炎ができてしまった。

いつも口内炎ができやすい体質で、少し傷が付いたり体調を崩すとできてしまう。

食事の際は、塩辛いものを食べると傷がしみて痛むためとても苦痛に感じる。

普段も気になるためついつい舌で患部を触れてしまう癖がある。

いつもは自然と良くなっていたが、今回は痛みがなかなか落ちつかず、早く治したいと思いで当院を受診した。

当院の施術

体調を崩すと口内炎ができやすいという事なので、まずは自律神経測定器でお身体の状態を確認していきました。

自律神経の状態は交感神経が過剰に働いてしまい副交感神経の働きが抑制されていました。

副交感神経の働きは自然治癒力に大きく関係しているため、自律神経を整える施術も行っていきました。

まずは仰向けで足、背中、首肩の経穴を鍼で刺激し、次に仰向けになってお腹や手足の経穴にお灸や鍼をし、口内炎の炎症を抑えるために、口周囲の経穴にも鍼とお灸で刺激していきました。

施術間隔は週に2,3回のペースで行いました。

 

経過

1回目

痛みは変わらないが、施術当日はよく眠れた。

首肩のコリもすっきりした。

2回目

少し炎症が治まってきているような気がする。

3回目

以前より痛みが引いてきた。

4回目

少し痛みが残っているが、あまり気にならなくなってきた。

5回目

ほとんど気にならない。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:00 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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