肩こり・肩痛の鍼灸治療

肩こり・肩痛に対する鍼灸治療

肩こり・肩痛の鍼灸治療方針

 

肩こりの原因や症状には個人差がありますので、それぞれの原因、症状に合わせた治療を行う必要があります。当院ではまず自律神経測定器によって血管の状態や自律神経の状態を測定させて頂き、自律神経や内臓機能を整えるツボを鍼やお灸で刺激する事で全身の血流を促進し、身体をリラックスした状態へと促し自然治癒力を高めていきます。

肩こりの自律神経調整鍼灸

そのうえで症状と合わせた頚や肩部、背部、上腕部などのツボを鍼や灸で刺激し、必要であれば筋肉の緊張が強いところへ電極を繋ぎ微電流を流すことで筋肉の緊張を緩和していきます。また鍼通電治療を行うことで痛みの閾値が上がり肩の痛みを感じにくくさせる効果も期待できます。
それらとマッサージやストレッチを行うことでさらに筋緊張の緩和を促し、施術効果を持続させるのです。

肩こりの鍼灸治療

また、肩こりの改善には普段の日常生活での姿勢や生活習慣を変えていくことも必要です。当院での施術に加えて日常生活での注意点もアドバイスしていきます。

肩部の疼痛に対する鍼治療の有効性に対する研究

 

肩部の治療に対する鍼治療の臨床研究は日本問わず海外でも行われています。ここでは一つイギリスのプライマリケア・クリニックで行われた肩部の疼痛に対して鍼通電治療法を用いた臨床研究をご紹介させていただきます。

参加者は18歳以上で肩の軟部組織領域が原因で肩の疼痛が出ていると医師から診断を受けた方を対象に行われました。

一つ目のグループは、肩の痛みが出ている部分と末梢部分の経穴に鍼を刺して低周波鍼通電治療を1週間に一度8週間受けたグループ同じ経穴に対して鍼を刺さない偽鍼治療群とに分けて行われました。

130人の患者が参加し、鍼治療群65人と偽鍼治療群65人をランダムに振り分けて痛みを測定する疼痛VASを用いたり、非ステロイド性抗炎症薬の投与量、などを用いて施術後の変化を見ていきました生活の質への患者満足度の評価法

両郡から10人ずつ脱落者がでたが、7週間後偽鍼群では疼痛VASスコアが20%低下したのに対して鍼通電治療群では、43%の低下が見られました。その他非ステロイド性抗炎症薬の投与量の減少、肩関節の可動域の拡大、生活の質の改善など鍼通電治療群では明らかな改善結果が得られました。

その効果は治療開始後、3か月・6か月ともに継続して見られました。

参考文献
『鍼のエビデンス 鍼灸臨床評価論文のアブストラクト』
医道の日本社

 

肩こりの鍼灸治療症例

30代 女性
長年慢性的な肩こりに悩まれていたが、二年ほど前から結婚を期に職場が変わり、通勤に1時間以上かかり、仕事もパソコン中心のデスクワークを行うようになり、肩の痛みや腕の冷え感・だるさや痺れを感じるようになってしまった。ある時から通勤中の吊り輪を持つこともつらくなり、仕事中でも肩が痛く仕事にも支障が出るようになってしまった。整形外科を受診してレントゲンなどで検査をしたが、特に病的な異常は見られずに特に治療は行われなかった。
マッサージ院や整体院などにも1年ほど通院したがなかなか改善されずに鍼灸治療を試してみたいと当院にご来院されました。

治療
首や肩部分を触診したところ特に肩甲挙筋と僧帽筋、小円筋や大円筋、上腕二頭筋長腱付近の緊張が強く凝り固まってしまっている状態でした。また、通勤中や仕事中のつらさから仕事にも嫌気がさして夜も深い睡眠がとれていないと感じていることから自律神経測定器で自律神経の状態も測定していきました。

◇1~3回目◇
治療後1日くらいは肩や腕の調子はいいと感じたが、2日もすると状態は戻ってしまう。

◇4回目◇
普段、通勤電車でつり革をつかむとすぐに腕のだるさや冷え感を感じていたが、それを感じるまでの時間がだいぶ伸びてきたと感じたとのこと

◇5回目◇
頸肩周りの筋緊張はだいぶ緩和されてきた印象。本人としてはまだ仕事中1時間もすると肩が気になってくる。睡眠は最近深く取れるようになってきた。

◇6~8回目◇
頸肩部に鍼をさしながゆっくり肩を挙上させて痛みを軽減させる運動鍼療法を行ったところ次の日からだいぶ状態が軽減されてきたとのこと。

◇9回目◇
頸肩の状態はだいぶ緩和されてきて仕事中はそこまで気にならなくなってきた。まだつり革をもつと冷え感は感じてしまうが、その程度も軽減されてきた。

肩こりの鍼治療

 

 

肩こりとは

 

肩こりとは後頭部から肩、肩甲骨や鎖骨にいたる筋肉が異常に緊張し、痛みや不快感、違和感を感じる症候の総称であり、症状が悪化すると頭痛吐き気上肢の痛みを伴う事もあります。肩こりを感じる筋肉は色々ありますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉が中心です。

筋肉が硬くなり循環障害が起こる事で酸素や栄養分が末端まで届かず、疲労物質が蓄積する事が刺激となり痛みを引き起こします。肩こりの原因は実に様々です。

 

 

 

肩こりの原因

 

・筋肉疲労によるもの

姿勢不良による筋肉の過緊張、使い過ぎによるもの、冷えによる筋肉の中での血行不良、加齢や運動不足などが原因として挙げられます。

 

・眼精疲労

目の酷使によって、目の周囲の筋肉の緊張と共に首や肩の筋肉が緊張する事や、メガネの度数があっていないなどの慢性的な目の緊張や疲労が肩こりの症状を引き起こす事があります。

眼精疲労の鍼灸治療について

・ストレスによる緊張

過度なストレスを受けると、身体の調節機能である自律神経のバランスが崩れる事により筋肉疲労を引き起こします。自律神経は日中の活動を司る交感神経と体の回復を司る副交感神経の二つで成り立っており、この正反対の働きをする二つの神経がバランス良く働く事で健康が保たれています。

この自律神経は脳の視床下部で統率されている為、精神的ストレスの影響を受けやすいといわれています。過度のストレスや疲労により自分の意志とは無関係に自律神経のバランスが崩れて血管を収縮させ、筋肉を緊張させる交感神経の働きが優位になります。

このような状態が長く続くと、血行不良や筋肉の緊張も続き、肩こりが慢性化しやすくなります。また、自律神経は心臓の拍動や血圧の調整、汗の分泌、内臓の運動などの体の反応を司っている為、肩こりと併発して動悸や息切れ、不眠めまい頭痛、火照り、血圧上昇、下痢や便秘、胃腸の不調など様々な自律神経症状が現れる事も少なくありません。

 

・体系や骨格の影響によるもの

猫背、なで肩、肥満、側弯症、ストレートネックなど

 

・歯のかみ合わせ不良、顎の関節の問題からくるもの

不自然なかみ合わせにより咀嚼筋の緊張を引き起こす事で顎周りの筋肉が緊張し、肩こりを引き起こします。特に側頭筋の筋緊張は頭痛を引き起こす原因ともなります。

 

・頸の骨や神経に問題がある場合

 頚椎椎間板ヘルニア
主に加齢や外傷が原因で発症し、骨と骨の間に挟まれているクッションの役割を果たしている椎間板が何らかの理由で飛び出て神経を刺激する事によって起こります。30代~50代に多く突然発症する事もあります。

悪い姿勢での作業やスポーツなどが誘因になる事もあります。首の痛みや肩こりに加えて痛みやしびれを腕や手指に感じます。椎間板が飛び出した場所により神経を圧迫する位置も違うので、痛みや痺れが現れる場所も違ってきます。

神経の圧迫が強くなると手足の動きが悪くなったり麻痺のような症状に進行する事もあります。

 

 

 

変形性頚椎症
私達の体は脊柱(いわゆる背骨)を支柱にしていますが、そのうち首の部分の骨は7つで構成されており頸椎(けいつい)と呼ばれています。

これらの骨や周辺の靱帯が組み合わさることで、上下左右の向きたい方向に首を動かすことが出来ています。頸椎の中には脊髄が中心に走っており脳から命令を全身に伝える役目を果たしています。変形性頚椎症とは何らかの理由により頸椎が変形を起こすことです。その原因は主に加齢や事故による外傷によるものが多く、40代以降の人が特にかかりやすいと言われています。

しかし、若くても遺伝的な要因で骨の変化が見られることがありますし、スポーツによる怪我や交通事故などの衝撃で頸椎がずれてしまったり、日頃の姿勢の影響も原因の一つとされています。

頸椎の変性とは骨と骨の間のクッションの役割を果たしている椎間板が弾力性を失っていく事で骨と骨がぶつかり合ったり擦り減ったりすることで、骨のでっぱりが出来て骨が変形します。これを骨棘(とげ状の突起)と言います。

 

また、靱帯の石灰化や骨化、椎間板が後ろに飛び出したり、脊髄の微細な傷や血行障害などにより脊髄から分かれて足の方へ向かう神経根という神経を圧迫、刺激されることによって痛みを引き起こします。首や肩の筋肉の緊張と圧痛、肩から腕にかけての痛み、(放散痛)脱力感、疲労感が生じ、腕や手指にしびれが出ることも多く、その痛みは軽いものから耐えられない程まで程度は様々です。

症状が進行すると手の筋肉の萎縮や皮膚温の低下、異常発汗、等が現れます。また、脊髄に圧迫が起こると下肢の症状が現れ、歩行障害、排尿、排便障害などの症状が現れます。

 

・臓器の問題があって起こる肩こり

肩こりを併発する内臓疾患として心臓病や肝臓、胆嚢の病気、胃腸障害、肺の病気などが挙げられます。

狭心症心筋梗塞では左胸から左肩への放散痛が特徴的です。肩こり以外にも背中の痛みや、強い胸やけ、胸が締め付けられるような激しい痛みが伴います。

右肩やその周辺に痛みやコリがある場合は肝臓や胆嚢の病気の疑いがあります。肝臓の機能に障害があると肝臓の上に位置する横隔膜が刺激され肩の動きが障害され、右の首から肩への痛みが見られます。胆嚢炎胆石の時は、右の上腹部の激しい痛みと共に右肩から肩甲骨にかけても強く痛みます。

胃腸障害では肩こりや肩甲骨の間に痛みが現れる事があります。肺結核肺膜炎になると微熱、咳、だるさの症状が起こりますが初期症状として首、肩こりや背中のコリ、だるさが出ることがあります。

慢性的な肩こりがある方は内臓疾患からくる肩こりを見極めにくいかもしれませんが、内臓疾患からくる肩こりの特徴として肩こり以外にも持続的な疲労感、頭痛、動悸や息切れ、めまい、耳鳴り、背中の痛み、発熱、手足のしびれなどの症状が現れるという事や、運動や入浴、マッサージなどで筋肉を緩めても症状が軽減されないという事が挙げられます。

今までに感じたことの無い痛みや違和感が続いたり、肩こり解消の対処をしても、痛みが段々と増しているなどの異常を感じたりした場合は重大な病気が隠れている可能性もありますので、早急に医療機関の受診をお勧めします。

また、疲労や暴飲暴食、ストレス、運動不足、寝不足などで内臓疲労(肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胃、腸など)が起こり、それが肩や背中のこりとして現れることもあります。

東洋医学では人の体には経絡という道のようなものがあり「生命エネルギー」の通り道になっていると考えられています。主要な経絡は14ありそれぞれが臓器と深い関係にあります。このルート上にあるのがツボと呼ばれ生命エネルギーの出入り口とされています。ツボと臓器は繋がっている為臓器が不調になれば関連するツボが硬くなったり押すと痛んだりするようになります。鍼灸治療ではこの関係を利用し、内臓疲労から起こる肩こりに対し関連する臓器に対応するツボを鍼や灸で刺激を与える事で症状を緩和していきます。

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 09:29 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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