自律神経失調症の鍼灸治療はWHO(世界保健機構)に適応疾患として定義されています。
当院の自律神経失調症に対する施術は、第一に鍼灸治療を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えます。施術をする前に自律神経測定器を用いてその時の自律神経の状態を把握してから施術致します。そうすることで的確な施術ができて他にはない施術効果が期待できます。
東洋医学では症状を局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、自律神経失調症などの全身性の症状を施術するのに適しているといえます。

自律神経失調症は東洋医学的に見ると「気」の不足や「気」の作用不足、「気」流れの滞りが原因で発症すると考えられているので、ハリやお灸を用いてツボを刺激することで「気」を補ったり、「気」の流れの滞りを解消させるように促します。その他自律神経失調症の患者さんでは頭痛、肩こり、慢性的な痛み、めまいなどを訴える方が少なくありません。そういった患者さんには頭痛、肩こりやめまいの解消、痛みの緩和を目的とした治療も並行して行っていきます。

当院の鍼灸治療による自律神経失調症の施術目的は、西洋医学とは異なる東洋医学の観点により少しでも自律神経失調症が回復できる機会を提供することです。自律神経失調症では、日常生活の活動が重要となってきます。施術後の日常生活の注意点などもしっかりとサポートして患者さんと共に症状改善に努めます。
自律神経測定器

症例 1
30代 男性
3か月前より仕事が急に忙しくなり、期限などにも間に合わず上司や同僚にも冷たい目で見られるようになってきた。その頃より朝動悸がしたり、肩の痛みや目の痛み、寝つきが悪い・夜中急に目を覚ましてしまうといった症状が出てきた。痛みや眠れないせいか日中は仕事に身が入らなくなり、さらに仕事が溜まるようになってきた。身体の調子もどんどん悪化してきたので心療内科を受診したところ自律神経失調症と診断された。
病院では抗不安薬や抗うつ剤などが処方されたが、改善させず鍼灸治療やマッサージなども受けてみたが一向に改善されなかった。そうこうしているうちに会社にも行けなくなり1か月のお休みをもらうことになり、当院にご来院された。
治療経過
しっかりと時間をかけて問診をしたうえで自律神経測定器で現在の自律神経の状態を測定しました。この方の場合お昼頃にもかかわらず交感神経の数値が低く逆に副交感神経が高い状態でした。自律神経の状態はその日や時間によって変化していきます。日中は活動的な時間帯ですので、本来は交感神経が高く副交感神経が低い状態が理想的です。
しかしこの方の場合は逆で日中のだるさや夜なかなか寝付けないなどの症状がこれが一つの原因だと考えられます。
◇1回目◇
自律神経調整療法を中心に痛みの強い部分の鎮痛目的に治療しました。
治療後、痛みは軽減されたがだるさや睡眠は改善されない。
◇2~4回目◇
治療して数日すると痛みが戻り、治療をするとまた改善するという状態が続く。
◇5~8回目◇
痛みはだいぶ改善されてきた。日中少しずつ外に出て活動できるようになってきた。
◇9回目◇
夜しっかり睡眠がとれて朝も早く目覚めて本などを読めるようになって規則正しい生活ができるようになってきた。
◇10~12回目◇
一か月間の休養を終えて職場に復帰された。今のところ以前のような症状は出ていないが、仕事が忙しく時間に追われるようななると肩の痛みや多少の動悸がする。そのような症状を軽減させるため現在も通院中です。
症例 2
50代 男性
1年半ほど前から動悸や不安感、首肩こり、頭の皮膚がチクチクとしびれるような感覚が起こる。仕事で大きなミスをしてしまい、そこから身体に力が入り、力を抜くことができなくなり、症状が生じるようになった。パニック発作が起こるのではないかと不安になるくらい動悸が起こり、呼吸が苦しくなり、不安感に襲われる。1ヶ月前から症状が頻繁に起こるようになり、ご来院された。
施術
自律神経測定機の結果、副交感神経が過剰に優位で、疲労度が蓄積している状態でした。長期的にストレスを感じていると、副交感神経が優位な状態が続くことがあり、自律神経の乱れが、動悸や不安感、首肩のこり、体のしびれなどを生じさせることがあります。
全身的な自律神経調整施術を行い、首肩まわりの筋緊張にはしっかりと刺激を入れ、筋緊張の緩和を図りました。
来院頻度は1週間に1度のペース。
一回目
治療後は、首肩の重さが取れていくらか楽に感じた。
二〜三回目
不安感に襲われ、胸が締め付けられるような感覚は起きたが、動悸は起こらなかった。
四回目
動悸が一度あった。頭のしびれや重さがなくなった。
五〜七回目
鍼の刺激に慣れてきたため、首肩の筋肉には鍼通電を行いました。動悸は起こらなかった。
八〜十回目
軽い不安感に襲われることが週に1回程度あったが、動悸は起こらなかった。首肩のこりが以前より解消され、身体が全体的に軽く感じる。頭のしびれは完全になくなり、重さも解消された。

自律神経失調症は、東洋医学でいう「虚証」が大きく関係していると考えられます。「虚」とは、人体にとって必要な物質や機能不足の事をいいます。虚証の中にもいろいろな種類があり、自律神経失調症は「気虚」と「陽虚」つまり中医学でいう「陽気」が不足している状態であると考えられています。
「気」は、体内を流動する精微物質のひとつであり、人体の各種の生理的機能に相当します。「気」は中医学でいう脾胃や肺によって生成され、心または肺の作用によって全身に行き渡ります。そして肝や腎の作用によって量を調節されます。「気」の基本的機能としては、生長、発育、代謝の推進、推動の維持及び体温の維持・調節、病邪の防御または排除などがあります。自律神経失調症はそういった作用を持った「気」が不足したり、流れが滞ったりすることで発症するものと考えられます。
・「気」の作用不足
「気」の作用不足による症候では臓腑の機能低下や抵抗力の減退などがあらわれ、元気が出ない、気力がない、無力感、声に力がない、動きたがらない、食欲不振、息切れなどの全身的な虚弱の症状が出ます。とりわけ心の気の不足(心気虚)では自律神経失調症の症状が出やすく、加えて不安感や胸苦しいなどの精神面または循環系の症候がよく見られます。
・「気」の流れの滞り
精神的ストレスなどにより「気」の流れが滞ると自律神経系の緊張や過亢進による症候があらわれると考えられています。とりわけ肝の気の流れが滞ると精神的な素因に関係する症状があらわれ、憂うつ感、怒りやすい、胸脇部の張った痛みなどの症状が見られます。また肝の流れが滞る状態が長く続くと、自律神経系の過亢進に伴って、頭痛、のぼせ、胸やけ、難聴、不眠などの症状をあらわします。
自律神経失調症は、うつ病に発展する場合も多く、早期の対応が求められます。
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることにより、身体や精神に様々な症状が現れる病気の総称です。器質的な疾患や顕著な精神障害が認められず、医学的な検査によって原因や悪い部分を特定することが困難な疾患です。
そのため、内科、耳鼻科など様々な科を受診し、ほとんど異常はないので原因がわからずにいろいろな病院を行ったり来たりする場合も少なくありません。自律神経失調症という病気は今では、最近よく耳にするようになった言葉ですが、医学的にもまだまだ確立されておらず、自律神経失調症は日本でしか使用されていない病名です。
日本心身医学会では「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」と定義されています。
自律神経とは、血管、リンパ腺、内臓などに分布しており無意識のうちに循環器系・呼吸器系・消化器系の身体機能を調節して自分の意志とは無関係で環境や状況に適応して生命活動の維持や調節を行い、絶えず活動している神経です。自律神経は、交感神経と副交感神経からなっており、絶妙なバランスをとって相互に協力し合い安定した体調管理を行っています。
交感神経
主に昼間に働く神経で代謝や消化などの生命活動を活発にする働きがある。また精神活動を促進・興奮させたり、心拍数の増加や血圧を上昇させたりする。
副交感神経
主に夜に働く神経でリラックスした安定した精神状態にあり穏やかな気持ちにする。また呼吸をゆっくりさせ、心拍数の減少や血圧を下降させたりする。
自律神経失調症の症状はあらゆる身体部位に多種多様な症状が現れてきます。自律神経は、体の各部位に分布しており、関わっている器官・機能が多岐にわたるために人によって症状に個人差が大きく、症状が単独で現れたり、2つ3つ同時に現れたりして何度も出たり消えたりします。
代表的な症状としては、体が疲れやすい・倦怠感がある・動悸や息切れがする・肩や頸部に張りを感じる・頭痛・眠れない・食欲不振・吐き気・めまいなどがあります。これらに伴い多くの場合は、精神的にも不安定になりやすく不安・緊張・過敏・抑うつなどを感じている方も少なくありません。
また自律神経失調症は女性に非常に多く発症しやすい病気で女性ホルモンのバランスの変化が大きく関係していると考えられています。
自律神経と免疫力との関係
自律神経と免疫力とは深い関係にあると言われています。精神的・肉体的ストレスなどによって自律神経のバランスに乱れが生じてしまうと免疫力が低下してしまい、外部からウィルスや細菌が容易に侵入しやすくなったり、内部ではがん細胞も増えやすくなるとも言われています。
体には、生まれたころから備わっている基本的な免疫力である自然免疫と病気に対する新しい抵抗力を身につけていく獲得免疫とがあります。それらの働きによって細菌やウィルスは容易に体内に侵入して悪さをすることができない仕組みとなっています。
しかし時に外敵がそれらの免疫を突破して体内に侵入して悪さをしようします。その際には、身体は非常事態と察知して、白血球という細胞が血液に乗って運ばれて外敵を排除する機能が働くのです。白血球には大きく分けてマクロファージ・顆粒球・リンパ球の3種類が存在してそれぞれに役割があります。
マクロファージは情報を収集しながらその他二つに指令を出して指揮をとります。顆粒球やリンパ球は、侵入してきた外敵やウィルス、がん細胞などを実際に退治する役割があります。正常に免疫を働かせて免疫力の高い状態を維持するためには白血球の3種類のバランス・比率が重要です。
マクロファージは司令部なのでそこまで多くなくてもよいですが、顆粒球やリンパ球の比率が落ちてしまいます。この白血球の比率を調整するのが自律神経の役割とも言われているため自律神経の乱れによる自律神経の不調は免疫力にも影響を与えてしまうのです。
自律神経失調症は自律神経の交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることにより、身体や精神のバランスが崩れて多種多様な症状が現れる病気です。
交感神経と副交感神経は、絶妙なバランスをとってお互いに協力し合って安定した体調や心理状態を維持しています。しかし、何らかの原因によりどちらかの神経が過剰に働いたり、働きが弱くなり過ぎることによって自律神経失調症の症状が現れてくることになります。
自律神経が乱れる原因や身体症状・精神症状などにより自律神経失調症は、4つのグループに分類されます。
ⅰ)本態性型自律神経失調症
遺伝的素因によって、幼少期から自律神経のバランスが崩れやすく、身体の調整機能が乱れやすいのが特徴です。発症の原因は、心因性・精神的なものではなく、生まれ持った体質に起因する自律神経失調症のタイプです。
ⅱ)神経症型自律神経失調症
自律神経そのものに異常がないのに自分の身体や精神に関して敏感な人や不安・恐怖・葛藤といった心理的要因に弱い人が神経質なためには発症する自律神経失調所のタイプです。
ⅲ)心身症型自律神経失調症
最も多い自律神経失調症のタイプで、感情の変化や肉体疲労など日常生活における心身への強いストレスが原因で発症し、身体と精神の両方に症状がでることが多くあります。
ⅳ)抑うつ型自律神経失調症
その人がおかれている環境や人間関係などから受ける慢性的なストレスの蓄積が原因で発症する自律神経失調症のタイプです。最終的にはうつ病へと発展してしまう場合も少なくありません。
自律神経失調症は、交感神経と副交感神経の調節が乱れて起こる症状で、ストレスや生活習慣の乱れなどが大きな原因となります。
自律神経失調症を患わないためには生活習慣の改善がとても重要になってきます。

自律神経失調症を予防するためには、適度な運動を心がけることが大切です。
有酸素運動やストレッチなどを行い、血流や代謝の促進を図ります。最初は運動強度を弱めて一番大事なのは続けられる強度で行うことです。
運動が習慣化できれば、運動強度は上がっていきます。
運動により筋肉が強くなれば、筋肉の収縮・緩和に役立つ副交感神経の働きも高まると言われています。また、筋肉量が増えることでストレス耐性も上がることがわかっています。
自律神経失調症の原因の一つに、睡眠不足が挙げられます。深い睡眠を促すためには、就寝時間や睡眠環境の整備が必要です。
また、安眠効果が期待できるハーブティーや、寝る前のリラックス効果のあるストレッチなども取り入れると良いでしょう。今一番多いのが寝る前のスマートフォン操作です。光によって脳が活動的になってリラックスできずに睡眠の質の低下につながります。
寝る前のスマホ操作はなくして寝る前の行動をルーチン化することがポイントです。
意外にも一番重要なのが、食事の改善です。
コンビニ弁当やファーストフードなど栄養の偏りの多い食生活を続けていると腸内環境が乱れてしまって自律神経のバランスが乱されやすくなってしまいます。
自律神経失調症の症状が改善するといわれている栄養素は、マグネシウム、ビタミンB群、ビタミンC、イノシトールなどです。これらの栄養素が多く含まれる、野菜や果物、豆類、ナッツ類などを積極的に摂取するようにしましょう。
また、胃腸を刺激する刺激物やアルコール、カフェインの摂取は控えるようにします。
ストレスは自律神経失調症の大敵です。ストレスを減らすためには、自分なりのストレス解消法を見つけることが必要です。ヨガや瞑想、アロマセラピーなどを活用する方も多く、自分にあった方法を見つけることが大切です。
趣味でもなんでも没頭できる時間を作ることもポイントです。没頭できる時間が長ければ長いほど人生の幸福度が上がるという研究結果もあります。
時間の確保も重要です。必要に応じて仕事量を減らす、家事代行サービスを利用するなど時間を確保するようにしましょう。
自律神経失調症を予防するためには、身体と心の休息が必要です。リラックスタイムを設け、趣味やマッサージ、温泉などでリラックスする時間を確保するようにしましょう。
以上のように、適度な運動、良質な睡眠、食生活の改善、ストレスの減少、リラックスタイムの確保などを意識することで、自律神経失調症の予防につながります。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
耳がつまる感じとは、専門用語では耳閉感(じへいかん)といいます。耳閉感はごくありふれた症状で誰でも一度や二度は経験していることと思いますが、原因はいろいろなことが考えられます。
また、「耳がつまった感じ」、「塞がった感じ」、「耳の中に水が入った感じ」、「膜が張った感じ」など耳閉感の訴え方は様々です。

耳閉感は聴覚路のどこが原因でも起こります。代表的なものとして、耳垢や気圧の変動などで耳管が影響を受ける、中耳炎で水や膿がたまる、その他メニエール病や突発性難聴などがあります。
耳閉感を伴う主な疾患
・急性中耳炎
喉の奥から耳管を介してウイルスや細菌が中耳で炎症を起こしている状態です。風邪などをきっかけとして起こります。
・慢性中耳炎
鼓膜に穴が開いて中耳の炎症が慢性化した状態です。
・滲出性中耳炎
耳と鼻をつないでいる耳管の機能不全や副鼻腔炎、アデノイド増殖症などの鼻の病気が原因で鼓室に浸出液が持続的に溜まる病気です。幼児期、学童期前半までのお子さんに多い疾患です。
・好酸球性中耳炎
中耳の粘膜に血球の一つでアレルギー疾患と関連がある好酸球が浸潤し、にかわ状の浸出液が溜まる中耳炎です。
難治性であり慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、気管支喘息が合併していることがほとんどです。貯留液が中耳腔に溜まることで難聴や耳閉感、耳鳴りなどが生じます。
・耳管狭窄症
耳管の換気機能が低下して、鼻の奥から中耳(鼓膜の内側)に空気が通らない病気です。
・耳管開放症
正常な耳管の閉開が出来ず、耳管が常に開放、またはほとんどずっと開放されいている状態です。短期間での無理なダイエット、ストレス、手術などによって体重が大きく減少したときに、耳管近くの脂肪が落ちることが原因になります。耳閉感、自分の声が響く、めまい、難聴などの症状を伴います。
・突発性難聴
内耳障害により、突然聞こえの悪くなる病気です。はっきりとした原因はわかっていませんが、ストレス、慢性疲労などが発症と関わっているのではないかと言われています。耳閉感、耳鳴り、めまい、吐き気などの症状を伴います。
・低音障害型感音難聴
低音の周波数の聞こえに支障が出るのと同時に耳閉感があるのが低音障害型感音障害です。
はっきりとした原因は不明ですが、大きなストレスを感じたり、睡眠不足や疲れ、体調不良などが続く度に何度も起こるようになります。
・メニエール病
内リンパ液が過剰にたまり、内耳が浮腫んだ状態です。はっきりとした原因はわかっていませんが、耳閉感、難聴、耳鳴り、めまいなどの症状を伴います。
・聴神経腫瘍
聴神経を包む細胞から発生する良性腫瘍です。平均して一年間で直径で約2mm弱大きくなるといわれています。増大してくると聴神経のすぐ隣の顔面神経の圧迫により難聴、耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺が起こってくるようになります。
・耳垢栓塞
耳垢が完全につまってしまい、鼓膜が見えない状態です。
・外耳炎
鼓膜の手前を指す外耳(外耳道)と呼ばれる部位に炎症が起こる病気のことです。耳かきや耳の中をかくことなどで外耳に傷ができ、最近が感染することで発症します。
問診では聞こえ方や最近の体調、ストレスの有無などについて確認します。外耳や中耳は、顕微鏡または内視鏡で診ることで状態が把握でき、そこで異常がなければ内耳の疾患の可能性が高くなります。中耳炎の場合は鼻の中も確認します。
検査
・鼓膜所見
耳垢などがあれば視診で分かります。
・聴力検査・ティンパノメトリー
中耳や内耳の評価を行います。
耳閉塞感の治療は、原因となる疾患の治療を行うことで改善されます。
外耳道の異物や耳垢栓塞の場合、異物や耳垢を取り除きます。外耳炎は炎症を抑える処置や内服治療、滲出性中耳炎は鼓室の中の貯留液を取り除いていくための鼓膜切開またはチュービングが必要になります。
好酸球性中耳炎はそれらに加えて中耳に直接ステロイドを注入します。鼻や副鼻腔の炎症を抑えるため、鼻処置やネブライザー療法も必要となる場合が多いです。その他、マクロライドの少量長期療法、抗アレルギー剤内服を行うこともあります。
また、内耳疾患から耳閉感がある場合、内リンパ水腫という病態を取り除くことが必要なので、日常生活ではなるべくストレスを溜めないようにしつつ、高浸透圧利尿剤を内服します。ビタミンB12やアデホスなどを内服し、内耳の代謝を助けることも有効です。
耳閉感を東洋医学的に考えると、気滞血瘀(きたいけつお)、腎虚、水滞が挙げられます。
この気滞血瘀は首周辺の筋肉のコリなどで血行をはじめとする代謝が低下して気や血が滞った状態を指します。
五臓の腎は「腎は耳に開竅する」と言われ、泌尿器以外に免疫、生殖、骨、耳、髪、成長に関係すると考えられています。年齢を重ねるごとに腎の機能は低下し骨や歯は弱くなり、耳が弱くなると耳鳴りや難聴をはじめとした耳の異常を起こしやすくなります。
また、体質の虚弱や慢性疲労などで腎虚を生じる場合もあります。
水滞は水毒とも呼ばれ、いわゆる浮腫みに起因するもので、水分の取りすぎ、お酒の飲みすぎ、内臓機能の低下、自律神経のバランスの乱れなどから体の中の水分の巡りが悪くなると耳にも余分な水が溜まりやすく、それが原因でめまいや難聴、耳閉感などの症状を引き起こすことがあります。
当院では、内耳の血液循環やストレスなどに関わる自律神経のバランスを機械で測定し、お体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
自律神経の調整施術を行い免疫機能、内臓機能、血液循環を整え症状が治癒しやすいお体の状態へ整えます。
東洋医学的観点から腎を補うツボや気・血・水の流れを整えるツボを取り入れます。また、腎と関係の深い肝のツボなどにも刺激を与えます。
また、首や肩周りの筋緊張は耳への血流に大きく影響を及ぼします。そのため首や肩の筋緊張を緩める施術も行います。

さらに、直接耳の周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与えることで、血行を促進し耳の機能を整えていきます。

症例 1
20代 女性
1年ほど前から耳のつまりを感じるようになった。症状が起こる頻度は徐々に増え、今では毎日症状が起こる。耳がつまる時は自分の声が響いて聞こえる。耳のつけねでパキパキと音が鳴ることがあり気になる。耳鼻科では耳管開放症と診断され、半年前までは漢方などを服用していたが改善がみられなかった。
ストレスの自覚はなく、慢性的に首や肩のこりがある。
施術
全身的な血液循環の改善、治癒力回復のため自律神経調整を行ってから、耳周りの循環改善のため、耳周りのツボに鍼とお灸を行いました。首肩の筋緊張が強かったため、首肩の筋肉にはしっかりと刺激を入れ、筋緊張の緩和を図りました。
一~二回目
施術後は、首肩コリが楽に感じた。耳のつまりや音が少し減った。
三〜六回目
症状は軽減してきている。
鍼の刺激に慣れてきたため、首肩と耳周りに鍼通電を行っていきました。
七回目以降
耳のつまりはほとんど気にならないぐらいに解消された。パキパキと鳴る音は、以前は左右差があり左の方が大きかったが、同じくらいの大きさになった。まだ少し気になるため、通院加療中。
足関節は脛骨、腓骨、距骨から構成されており、足関節を安定化させる靱帯として、内側の三角靱帯、外側の前距骨靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯、脛腓靱帯などがあります。
・足関節捻挫
捻挫とは関節にかかる外力によって、関節を支持している靱帯や関節包が損傷することです。靭帯の損傷程度によって捻挫の程度を三つに分けられており、靭帯が伸びる程度の損傷を1度捻挫、靭帯の一部が切れるものを2度捻挫、靭帯が完全に切れるものを3度捻挫と定義しています。
内反捻挫
足関節の捻挫の約85%は足首を内側に捻ることで生じるといわれています。
足首の外側には前距腓靭帯、後距腓靭帯、踵腓靭帯、三角靭帯の四つの靭帯が付いており、前距腓靭帯の損傷が最も多く、外くるぶしの前に痛みが起こりやすいといわれています。
外反捻挫
足首を外側へ捻る捻挫で、こちらはなかなか日常生活では起こりにくいですが、サッカーなどのスポーツで多く見られます。他にもテニスやラグビー、野球でも発生しやすいです。損傷部位として内くるぶしの下方(三角靱帯)、外くるぶしの上方(脛腓靱帯結合)が挙げられます。
・捻挫の後遺症
足関節捻挫の約20%~40%に痛みが残るという報告もあり、痛みの原因として足関節前方インピンジメント症候群、距骨骨軟骨損傷などが挙げられます。
①足関節前方インピンジメント症候群
足関節の外側靭帯が緩んだ状態で癒合すると、足関節に回旋方向、前後方向時の不安定性を生じるようになり、その影響により足関節の前方で、前下脛腓靱帯や滑膜組織などが引っかかるようになり痛みを起こします。
②距骨骨軟骨損傷
捻挫など強い外力が加わったときに、距骨が脛骨や腓骨の関節面と衝突することで骨軟骨損傷が生じると考えられています。しかし、明らかな怪我がなくても毎日繰り返される運動の中で徐々に発生する場合もあります。足関節を捻挫した際に同時に発生していることが多く、捻挫による痛みが軽快した後も長期にわたって痛みが続きます。通常は運動後に足関節に痛みや腫れを訴えます。
・変形性足関節症
足関節の軟骨が損傷して炎症が起こり痛みを生じる病気です。高齢の女性に多いといわれています。
足関節は複数の靭帯で守られていますが、捻挫を繰り返したり、骨折をすると足首の靭帯が緩んで関節が不安定になります。加齢により軟骨が退行性変性を起こして弾力性が失われることや、先天性内反尖足や先天性偏平足などのアライメント不良(骨格や骨の並びが崩れた状態)や距骨滑車の剥離性軟骨症、関節リウマチ、血友病などによる関節の破壊が要因となります。
また、O脚の人は体重が足首の内側にかかることで、内側の軟骨を傷めやすくなるといわれています。
・痛風、偽痛風
関節内に結晶ができることで関節に腫れや痛みを引き起こす病気です。痛風は尿酸、偽痛風はピロリン酸が結晶になり関節に溜まり痛みを引き起こす原因になります。
痛風は足の親指の付け根や足首やくるぶしの周りに多く、偽痛風は足首、膝、手首、肘に起こりやすいといわれています。
・偏平足
足の骨をアーチ状に吊り上げる筋肉(後脛骨筋)や腱が年齢とともに脆弱化(ぜいじゃくか)したり、体重がかかり過ぎたりして足のアーチが保持できなくなることで、内側のくるぶしの痛みや腫れを引き起こしたり歩きにくくなる場合があります。
・アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎
スポーツ等による慢性的な刺激や不適切な靴等により踵骨の後ろにあるアキレス腱やその周囲に炎症が生じる病気です。歩行時、運動時にアキレス腱付着部周囲に痛みを訴え、同部位に強い圧痛を認めます。
・足根管症候群
踵と足の裏に通っている神経の圧迫や損傷により、足首やつま先に痛みや痺れが起こる病気です。歩行や運動時の痛みが主ですが入浴時、夜間などにも痛みや痺れが出ることもあります。
・腓骨筋腱脱臼
腓骨筋という足の筋肉を繋ぐ腱がずれ、外くるぶしの上に脱臼してしまうことがあります。テニスやサッカーなどのスポーツで起こりやすく運動時(歩行時、左右への切り替えし時)の後足部外側の痛みや外くるぶし後方に腱の脱臼感や不安定感が出現し、脱臼が慢性化すると外くるぶし後方に沿った腫れを認めるようになります。
・関節リウマチ
免疫の異常により体の様々な関節に炎症を起こし、悪化すると関節の変形や破壊を起こす病気で、足の外反母趾のような変形をきたしたり変形性関節症が生じる場合があります。
症状により検査方法は異なりますが問診、徒手検査法、血液検査、超音波検査、X線、CT、MRIなどの画像検査等を必要に応じて行い診断されます。治療方法として一般的に大きく分けて保存療法、手術療法があります。
・保存療法
①薬物療法(消炎鎮痛剤、ビタミンB剤、ステロイドなどの内服薬、湿布、塗り薬など)
②神経ブロック療法(神経節への局所麻酔、関節内注射など)
③手技療法
④物理療法(干渉波、ホットパック、超音波など)
⑤装具療法(ギブス固定、足底板、サポーター等)
・手術療法
保存療法で痛みのコントロールが難しい場合、変形が進行したり、関節軟骨の損傷が激しく保存療法が効果がみられない場合などは手術療法が選択される場合もあります。手術方法は年齢、活動性などにより患者と相談し決定していきます。
人工足関節置換術、骨切り術や関節固定、足関節の靱帯再建など症状に合わせた様々な手術が選択されます。
関節の痛みを中医学では「痺証」として捉え、風、寒、湿、熱などの外邪の侵入が経絡の流れを停滞させることが原因と考えられています。
気滞、瘀血などにより気や血の流れが滞ることで痛みの原因となるとも考えられています。
つまり外邪の侵入や気血の滞りが足首で起こると足首の痛みとして現れると考えられているのです。
足首に対する鍼灸治療は、足首やその周囲に鍼を刺すことで鍼治療効果の一つの鎮痛効果を目的に施術を行っていきます。また、お灸には抗炎症効果もあるため炎症が出ている場合は炎症部位に直接お灸施術を行っていきます。


その他、足首の痛みが出ている場合脛部分の筋緊張も強くみられることが多いためその部分にも筋緊張緩和のために施術を行っていきます。
また、東洋医学的観点より気血の滞りが痛みに影響を与えるため気血の流れをよくする全身のツボにも施術を行います。

趣味で登山をしていたところ下山中に段差で踏み外して足首を捻ってしまい足首の外側が痛みが出て腫れも少し出てしまっていた。
整形外科を受診したところ足首外側の人体を軽度損傷した捻挫と診断されて湿布薬を処方されて安静にと指導されたとのこと。
出来るだけ早く治したいとのことで湿布以外の治療はないかと思い鍼灸治療を試してみたいとのことで当院にご来院されました。
治療
まだ腫れている状態でしたので腫れている部分の周囲に鍼を刺して鍼通電療法を施すことで痛みを抑制して周りの血液循環を早く排出させて上げることで治癒の速度を上げる処置を行っていきました。
その他前脛骨筋や腓腹筋などの下腿の筋肉にも筋緊張状態も見られましたのでそれらの筋肉にもアプローチをかけていきました。鍼灸治療後、軽いテーピングで足首への負担を軽減する処置を行いました。
日常的にはアイシングを行っていただくようにしていただきました。
受傷後、1週間ほどで腫れは解消されて歩行時に少し痛みが出る程度に回復、さらに治療を続けて3週間後には軽くランニングを行えるまでに回復しました。
症例2
20代 男性
二週間前にトレイルランニングを行った際、左足首を捻挫してしまった。
山中だったので受傷後も自力で移動しなくてはならず、痛みがある状態でやっとの思いで下山した。
家に着いたときは、非常に腫れ上がってしまいジンジン痛む。すぐにアイシングを行い安静にしたら、翌日には多少痛みが引き、念のため整形外科で画像診断を受けたが、骨には異常がなかった。
数日間アイシングをし安静にしていたおかげで、痛みと腫れは治まってきたが、まだ快方にはほど遠く、普段は身体を使う仕事をしているため、いち早い回復を思い当院を受診した。
当院の施術
まず足の状態を確認していきましたが、足関節の外くるぶし付近の腫れがまだ残っており、歩行時や、足関節を回外、内転、背屈、底屈、内返しで痛みが出現し、当然ながら可動域も狭くなっており、そのため前脛骨筋や腓骨筋、腓腹筋などに負担が掛かり強く筋緊張を起こしている状態でした。
捻挫は、受傷直後はできるだけ安静にしていることが大切になりますが、自力で移動しなくてはいけないといった状況が状況なだけに患部の負担が大きくなってしまい、状態を悪化につながってしまいました。しかし、こまめにアイシングを繰り返していたおかげで腫れも少しずつ引いてきて回復しやすい状態には整っておりました。
当院では、
①炎症を抑える
②下肢の筋緊張の緩和
③鍼通電療法で痛みの緩和
以上を中心に施術を行っていきました。
通院頻度は2日に1回のペースで、間隔を詰めて施術を進めていきました。
徐々に腫れも引いていき、3,4回目で歩行時の痛みは解消されました。
その後、数回施術を繰り返した時点でランニングの行えるようになり、最終的にはトレイルマラソンも復帰できるまで回復しました。
当院の月経前不快気分障害(PMDD)に対する鍼灸治療は、自律神経のバランスと女性ホルモンのバランスを整え、身体の冷えを取り除き全身の血流を良くすることにより、症状の改善を促します。
1問診
しっかりと問診をして原因がありそうな部分を特定していきます。

2自律神経測定
自律神経測定器を用いて現在の身体の状態を把握します。

3仰向け治療
腹部・手足のツボを用いて自律神経の調節を行います。
冷えのある部分にはお灸も行います。

このとき婦人科系のツボも用いて、女性ホルモンのバランスも整えていきます。
4うつ伏せ治療
背部兪穴という五臓六腑の状態を調節するのに重要なツボがありますので、その部分に刺激をいれていきます。
主に「脾」「腎」「肝」のツボを用います。

また、下肢・骨盤周囲にも施術を行います。
骨盤内血流が増加することで子宮内膜が健康な状態になるため、乱れていたホルモンバランスが整いやすくなります。
月経前不快気分障害(PMDD)とは、月経の数日前から精神症状を引き起こす病気です。
主な症状は、気分の落ち込み、不安感、緊張感、イライラ、悲しみなど様々で、日常生活に支障をきたしてしまう重度なものです。
この重い精神症状は、生理の7~10日前に現れ、生理が始まるころに消失するのが特徴です。
月経前不快気分障害(PMDD)と似た症状で月経前症候群(PMS)が存在します。
月経前症候群(PMS)も、生理前に心身ともに不調が現れ生理開始とともに良くなる、という点ではとてもよく似ていますが、月経前不快気分障害(PMDD)は月経前症候群(PMS)と比べて精神症状がより重症であると言えます。
閉経が近づくにつれ症状が増すこともありますが、閉経後には症状は消失します。
月経前不快気分障害(PMDD)の原因はいまだ解明されてはいません。
しかし、生理前に増加する黄体ホルモンの影響が大きいことは分かっています。
通常であれば月経が近づくにつれて黄体期に増加した黄体ホルモンの量は、1週間程度で徐々に低下していきます。しかし、月経前不快気分障害(PMDD)症状が強い場合、黄体ホルモンは月経の数日前に急激に減少するため精神状態が不安定になってしまうのです。
また、もう一つの女性ホルモンである卵胞ホルモンとのバランスが乱れることも原因のひとつであると言われています。
いずれにせよ女性ホルモンの乱れが大きく関わっていると考えられます。
他にもストレスや姿勢、睡眠、食生活、低血糖、自律神経の乱れなども大きく作用すると言われています。
・SSRI
セロトニンなどの働きを高め、気分を安定させる作用があります。
うつ病に対してはこれらの薬の効果が現れるのに数週間かかりますが、月経前不快気分障害(PMDD)には即効性があると言われています。
特にイライラや怒りの感情などを抑えるのに効果的です。
・漢方薬
東洋医学的には月経前気分不快症状には瘀血治療を基本とします。
瘀血とは血の流れが滞った状態をさします。
このとき血の流れだけでなく気の流れも滞っていると考えられるため、気・血の流れを良くする漢方薬が効果的です。
また、精神症状に加えて心身症状もみられる場合は鎮痛薬や便秘薬などが処方されます。
東洋医学では子宮を「女子胞」と称します。
女子胞は「脾」「腎」「肝」と深く関与しています。
これら3つのバランスが崩れることで子宮の血液循環が滞り瘀血に繋がります。

①脾の機能失調により肝や腎精が不足する
脾の機能が低下すると、腎精や肝血を十分に化生できないため腎精不足や肝血虚になります。
②肝腎精血不足
腎精不足になると血を十分に化生できず肝血虚がおこります。
また、不足した肝血を化生するために腎精が消耗されると腎精不足がおこります。
30代女性
4〜5年前から、生理前になると気分の落ち込み、パニック、集中力の低下などの症状が現れた。
基本的に梅雨の天気が安定しないときや、秋から冬の気温の低下がある際に出現していたが、1年前の出産を期に悪化し、生理2週間前から上記の症状が毎月でるようになった。
生理前はメンタルが安定せず、家事と育児をこなすことで精一杯でイライラしたり、悲しくもないのに涙が止まらなくなるときもある。
日常生活に支障がでるため、弱めの精神安定剤を服用している。
もともと婦人科系は弱く、生理不順でピルを服用していたが、肝臓の数値が悪化したため現在は服用を中止している。
手足の冷え、気圧頭痛、首肩こりは慢性化している月の半分は体調が悪いため、疲労もなかなかとれない。
病院にいっても薬をもらうだけで改善はみられず、家族のすすめもあり今回はじめて鍼灸治療を行うことにした。
当院の治療
初診時は生理後で比較的安定していたため自律神経に大きな乱れはなかったが、疲労度が高く、自律神経調節能力の低下がみられた。
PMDDは自律神経が大きく関わってきているため、まず自律神経の調節を行い、婦人科系のツボを用いてホルモンバランスを整えるように治療した。
また、触診したところ、首肩・背部の筋肉の張りが強く、手足・下腹部に冷えが強くでていた。
張りが強い場所には鍼を用いて筋緊張の緩和、冷えが強い部位には鍼とお灸を行い血流改善をはかった。
治療経過
◇1回目◇
治療後身体がぽかぽかして眠気がでた。久しぶりにリラックスできた。
◇2回目◇
前回治療後、調子は良かった。
昨日気圧頭痛があり、痛み止めと精神安定剤を服用したところ副作用でだるさが強い。
自律神経の調節と首肩の緊張をとることで、だるさはなくなりスッキリした。
◇3回目◇
身体の余分な力がぬけて、日常的にあった重だるさは減ってきた。
慢性的な首肩こりはまだある。
生理予定1週間前だがメンタルは安定している。
◇4回目◇
生理2日目。メンタルは安定しており、イライラも悲しみもない。
生理痛は強くあったため、腰・臀部に鍼とお灸を行い骨盤内の血流を良くする治療をした。
◇5回目◇
全体的に調子がいい。薬を飲まなくてもメンタルが安定するようになった。
首肩こりもまだあるが、そこまで気にならない程度になった。
治療間隔を少しあけて今後も継続していく。
症例2
10代 女性
生理前になると毎回メンタルがおちて、家族や友達に当たってしまう。そんな自分が嫌で、思考が良くない方へ自動的に向かうのを止められないのが辛い。
落ち着いたら自分のしたことや周りに当たってしまった事を振り返り、毎月必ず自己嫌悪に陥ってしまう。
今は理解ある人たちに恵まれているが、これからもそうとは限らないし、何より毎月自分のホルモンバランスに振り回されるのは辛いので何とかしたい。
鍼は初めてだが、好きなインスタグラマーが鍼をやっていたので自分もやってみたいと思い来院。
当院の治療
自律神経測定器で計測したところ、交感神経が優位な状態との結果がでました。
また、自律神経の調節能力が低い結果が出たため、この状態ですと、活動する日中と、リラックスする夜中で切り替わるはずの自律神経が切り替わらずに常に交感神経が優位な状態の可能性が高いとお伝えしました。
他にも血管年齢も20歳ほど高い結果となり、お話を聞くと、睡眠がしっかりと取れておらず寝不足気味な日々が続いているとのことでした。
以上の測定結果でかなり自律神経が乱れていることが分かりました。
治療としては自律神経を整える事をメインで行うことと同時に、婦人科系に関りが深い経穴を用いて東洋医学的な治療を行いました。
治療経過
◇1回目◇
足のお灸で全身が暖かくなった。
◇2~5回目◇
寝付きが良くなってきた。
◇6~10回目◇
生理が近くなり不安定になってしまった。ただ、鍼に来る前よりは軽くなってる。
◇11~15回目◇
生理痛や頭痛の当たり前になっていた不調がなくなった。今はかなり快適に過ごせている。
◇16,17回目◇
生理周期で不安定になることはゼロではないが、一番やめたかった周りへの言動が改善された。
月経前不快気分障害(PMDD)の特徴として、生理の数日前から精神症状があらわれ生理開始とともに症状が消失するのが大きな特徴です。
つまり、ある程度の病状を予測できることになります。
この点を生かして、生理前にはできる限り仕事のピークや心身に負担のかかるイベントを避けることが第一です。
また、症状が出た際は下記の内容を日常に取り入れてみるのがよいでしょう。
①発症時も無理に通常と同じ効率を求めない
症状がでているときは、普段当たり前に出来ていることが出来なくなる場合がほとんどです。
いつもと同じ生活を求めると新たなイライラを生むため、「いつもの60%くらいの力で仕方がない」くらいの気持ちで過ごしましょう。
②休日や睡眠時間を確保して心身ともに余裕をもつ
ホルモンバランスを整えるためにも、十分な睡眠をとりリラックスする時間を作ってストレスを緩和させることが大切です。
ゆっくりお風呂につかったり鍼やマッサージを受けたり、身体を休めることを意識しましょう。

まず、仰向けで自律神経のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与え、内臓機能の調整、免疫機能調整、全身の血流促進と体のバランスを整えた後、下肢のツボに鍼やお灸で刺激を与え、血行を促進し、冷えを取り除くことで筋肉の疲労物質の代謝を促進する施術を行います。
また、下肢の血液循環や神経伝達機能を整えるために腰部や臀部にもアプローチしていきます。結局、下肢に向かう血液や神経は腰部や臀部を通りますのでその部分の筋緊張が見られて圧迫されてしまっていると下肢にも血液循環は悪くなってしまうのです。

鍼やお灸が施術のメインとなりますが、腰臀部や下肢へのストレッチやマッサージも取り入れて筋肉の柔らかさ、柔軟性も出していくことでこむら返りが起きづらい体へ予防施術も行っていきます。

東洋医学的観点から肝の働きを補うツボ、血の生成を助け、血の巡りを改善するツボも取り入れ治療を行います。


こむら返りを東洋医学的にみた場合、過労や冷えストレスなどにより瘀血(おけつ)の状態に陥ることにより筋への血の供給が妨げられた状態か、消化器系の不調、栄養不足、過労などにより血の不足(血虚)があるために筋に栄養が行き渡らず筋痙攣を起こすと考えられています。
また、五臓六腑の「肝」は血液を貯蔵し必要に応じて供給する役割をしていますが、その肝に供給され血や肝に貯蔵される血であると考えられている「肝血」が不足する(肝血虚)と体内各部に血液を十分に供給できず滋養作用(栄養を与える機能)が低下し筋の引きつり、痙攣、しびれなどを引き起こすといわれています。「肝血」が不足する原因として老化やストレス、睡眠不足、疲労などが挙げられます。
自分の意志とは無関係に起こるふくらはぎの筋肉(腓腹筋)の痙攣のことを「こむら返り」と呼びます。一般的に「足が攣(つ)る」ともいわれ医学用語では「有痛性筋痙攣(けいれん)」や「筋クランプ」とも表現されます。50歳以上の成人のほとんどが一度は経験しているといわれるほど多くの人にとって身近な症状です。加齢とともに頻度が増す傾向があり、高齢者では発生頻度も高いことが分かっています。
人間の体は筋肉の収縮と弛緩を調整する事によりバランスのとれた動きをしています。この調整の仕組みは、脳の脊髄などの中枢から信号が神経を通って筋肉に送られ筋肉の収縮が起こり、次に筋肉や腱のセンサーから逆方向に信号が中枢に送られ、どのくらい収縮するか弛緩するかが決められています。
こむら返りはこの仕組みのなかでおこる筋肉の異常収縮です。

スポーツなどで多量の汗をかき脱水状態になったとき、電解質のバランスの崩れ、運動や労働による筋疲労、水分不足、運動不足、冷えや血行不良、薬の副作用、病気による神経系の伝達機能低下などが挙げられます。
※電解質とは
体内にあるイオンのことで、筋肉細胞や神経細胞の働きに関わります。ナトリウム、カリウム、カルシウムなどのミネラルが電解質として挙げられこれらのバランスが崩れると筋肉や心臓、神経の働きに支障が出てこむら返りが起こりやすくなるほか、最悪な場合は命に関わることもあります。中高年がこむら返りになりやすいのは汗や尿と一緒にミネラルが体外に排出される量が増えることが一つの原因とされています。また、胎児にミネラル分を供給している妊婦も、同様の理由でこむら返りを起こしやすい状況にあります。

・糖尿病
・肝硬変
・甲状腺機能低下症
・副甲状腺機能亢進症
・動脈硬化症
・下肢静脈瘤
・椎間板ヘルニア
・変形性腰椎症
などこれらの疾患でこむら返りの症状が現れる事があります。また、薬の副作用で起こることもあります。あまり頻繁にこむら返りが起きてしまう場合は一度病院で検査を受ける必要があります。
こむら返りを起こすと急激に強い痛みが走ると同時に、自分の意志とは無関係に足の筋肉が収縮したり、痙攣したりします。人によっては痺れを伴なうこともあります。
筋肉は硬直して動かしづらく、立ったり歩いたりといった単純な動作も困難になります。こうした症状は数秒から数分間持続してから自然に消失します。頻度には個人差があり球に発症する方もいれば毎晩複数回に及ぶ場合もあります。一般的には睡眠中に発生することが多い症状ですが、日中に症状が見られることもあります。
夜間時にふくらはぎに筋収縮がひどく起きてしまった場合に翌日まで痛みが残り、歩行時に痛みや違和感が出ることも少なくありません。またよくこむら返りが起きてしまうという方の中には下肢の血液循環の悪化に伴い、足のむくみ症状が見られます。
こむら返りが起こっている時は筋肉が縮んだまま伸びなくなっている状態です。そのため収縮した筋肉をゆっくりと伸展する(伸ばす)ことです。ふくらはぎに筋収縮が起きてしまっている場合には腓腹筋やヒラメ筋を伸ばすようにすると自然と治まっていきます。
痛い方の足を伸ばし、かかとを前方に出すようにしてつま先を頭の方向へ傾けるようにします。つま先を掴んだり、タオルなどを使ったりして頭の方向へ引き寄せるとより筋肉を伸ばすことが出来ます。
こむら返りは、病的なもの以外では、下肢の血流が悪く、疲労物質やミネラルバランスが悪い場合に起こる危険性が高まります。そのため、こむら返りを予防する生活習慣では、食事や運動・休息が重要になってきます。
食事では、鶏肉や魚、大豆成否などを摂取して血流をよくする体づくりが重要です。
運動では特にふくらはぎをよく使う運動をしてこむら返りを予防することが重要です。血液循環がわるく筋力が低下閉まっている状態ですと筋肉のけいれん(寝ている時のこむら返り)になることがあります。
意識的にウォーキングや軽めのストレッチなどをしてふくらはぎ改善していく必要があります。
その他下肢を冷やさないために締め付けない、レッグウォーマーや寝る前に足湯などをされますと効果的です。
また、水分が減ってしまった状態ですと筋痙攣の症状が起こりやすいとされています。寝る前に一杯の水やスポーツドリンクを飲むようにして水分をある程度宅われていく必要があります。
こむら返りの鍼灸治療症例
症例1
70代男性
70歳を過ぎてから、就寝中にふくらはぎをつる事が多くなった。
そのためゆっくり眠る事ができず、寝不足気味なった。
元々足が浮腫みやすく、最近は腰や膝も痛い。
当院の治療
下肢の循環、筋緊張の改善のためにふくらはぎ(腓腹筋、ヒラメ筋)、下肢前面(前脛骨筋)、下肢内側(後脛骨筋)、下肢外側(腓骨筋)に刺鍼し、低周波の電気鍼を行った。
また、膝の痛みや腰痛も下肢の負担になる一因のため、それらの治療も並行して行った。
◇一回目◇
まだあまり変化はないが、施術後は足が軽い。
◇二回目◇
足はまだつるが、膝の痛みは軽くなってきた。
◇三回目◇
夜足がつる回数が減ってきた。
◇四回目◇
左足はつらないが、右足がたまにつることがある。
◇五回目◇
両足ともつる事が減少した。
◇六回目◇
足のむくみも気にならなくなり、つることもなくなった。
◇七回目◇
膝の痛みが最近少し気になるので、そちらの治療のため通院中
症例 2
60代 女性
1年前から全身に筋けいれんが起こるようになり、最近症状がひどくなりご来院された。けいれんは脇腹やふくらはぎ、土踏まずでよく起こる。2年ほど前から仕事が特に忙しく、月に3日ほどしか休みが取れていない生活が続いていた。病院で画像検査などしたが問題は見つからなかった。降圧剤と抗甲状腺薬を服用している。
施術
自律神経測定器の結果、夜の時間帯であったが交感神経が過剰に優位な状態であった。
仕事が忙しく心身の疲労から自律神経のバランスを乱し、血流の悪さや薬の影響で全身的な筋けいれんが起こっていると考えられる。そのため、全身的な血液循環促進や身体を休ませる働きのある副交感神経を高めることを目的に、自律神経調整施術を行っていきました。
来院頻度は1、2週間に1回。
一~四回目
施術後はリラックス出来てよく眠れる。
筋けいれんが起こる回数は大幅に減った。治療間隔が開くと、またけいれんが起こる。
五回目以降
筋けいれんは数日に1回ぐらいまで減り、体調が良い。
症状が気になる時にご来院される。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
まず、自律神経測定器にて自律神経のバランスを測定した後治療に移ります。

交感神経が高まると全身の筋肉が緊張し、肋骨の動きを阻害してしまったり、気管支の周りの筋肉がこわばり肺がうまく膨らまないことが考えられますので、自律神経のバランスを整えるツボに鍼やお灸で刺激を与え全身の緊張を和らげます。

また、首の前の筋肉や横隔膜、肋骨周囲の呼吸筋(呼吸を行う際に使われる筋肉)の緊張を和らげます。東洋医学的観点から肺、腎の経絡のツボを用いて呼吸器の機能を調整していきます。

ストレスの蓄積、運動不足などにより生命エネルギーである「気」の流れが悪くなる「気滞」という状態に陥ると、イライラしやすい、喉のつまり感、息苦しさ、お腹の張り、気力の低下などの症状を引き起こします。
この「気滞」という状態に深く関わるのが五臓六腑の「肝」です。ストレスなどにより「肝」の失調が起こると肝の持つ疏泄(そせつ)作用(気を全身へ巡らす作用)が低下し「気滞」に陥りやすくなってしまいます。
また、呼吸は東洋医学では五臓六腑の肺と腎の働きが関係していると考えられています。肺は呼吸をして大気から気の一部となる清気を吸い込み濁気を排出する役割と、水分の循環と排泄を調整する働きをしており、腎は肺が吸い込んだ清気を深く留める働きをしています。
肺と腎の失調は呼吸器のトラブルを引き起こしやすくなるのです。
私たちは普段日常生活において特に意識することなく呼吸をしています。「息苦しい」とは無意識にしていた呼吸が楽に呼吸ができないと感じたり、のどが狭くなって苦しい感覚や酸素が薄いと感じる状態です。
息苦しさは身体を正常に動かすためのエネルギーを作り出す「酸素」が体内へ送り届けられる途中、何らかのトラブルが発生することによって起こると考えられています。

肺は空気中の酸素を取り入れて不要になった二酸化炭素を体外へ排出しています。肺で取り込まれた酸素は血液に取り込まれ全身へ送られます。
しかし何らかの原因で身体に酸素がうまく届けられないと息苦しさが現れます。肺はきちんと機能しているのに身体に酸素が届けられない時やきちんと酸素が行き届いているのに酸素が足りないと勘違いするような状況になっても息苦しさが起こります。
・煙や粉塵(ふんじん)による呼吸器へのダメージ
タバコの煙や、大気汚染、粉塵などにより気管支や肺胞が刺激されて炎症が起こると息苦しさを感じる原因になります。
・アレルギーを引き起こしやすい体質とアレルギー反応
特定の原因物質に対して体の免疫システムが過敏になるのがアレルギーですが、その反応が強く出た際に気管支が狭まって呼吸困難が起こることがあります。
・酸素濃度の低下
密閉された空間や換気の悪いところでは、空気中の酸素濃度が低くなり、息苦しさを感じることがあります。また、高地などの酸素が希薄な場所では、身体がその環境に順応できず息苦しさを感じることがあります。
・激しい運動
全速力で走るなどの激しい運動をすると呼吸が荒くなり、早いペースで呼吸が行われるため酸素の取り込みが間に合わず酸欠状態に陥ることで息苦しさを感じます。
・ストレス
不安や緊張など過度のストレスを感じているときは「交感神経」の緊張が起こり筋肉が緊張状態になったり血圧や心拍数が上昇したりする症状が現れます。
すると呼吸が浅くなり息苦しさを感じてしまうことがあります。また、ストレスによる緊張は横隔膜や肋骨周囲の筋肉も緊張させてしまうため肺が十分に膨らんだりしぼんだりすることが出来なくなることで息苦しさを感じる原因になります。
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
タバコの煙や汚染された空気を吸うことで肺胞が破壊され、空気の取り込みが十分に行われなくなる病気です。重度の呼吸困難や咳などが主な症状です。
・気管支喘息
アレルギー反応により、気管支が炎症を起こし気管支の幅が狭くなり、息が苦しくなる発作を繰り返します。のどが詰まるような感覚と息苦しさ、咳、喘鳴が主な症状で、息を吸うときより吐き出すときの方が苦しくなるのが特徴的です。
気管支喘息に対する鍼灸治療について詳しくはこちら←
・気胸
外傷などにより肺を覆っている胸膜に穴が開き、胸腔に空気が侵入して肺が急速にしぼむ病気です。突発的に起こる呼吸困難や咳、胸痛が現れるのが特徴です。放置すると肺の機能を大きく損なうばかりか場合によっては生命の危険もある病気です。原因不明で起こる気胸は自然気胸と呼ばれ10代~30代の長身でやせ型の男性に発症しやすいといわれています。
・肺結核
「結核菌」という細菌に肺が感染して起こる病気です。肺以外にもリンパ節や腸、骨などにも感染します。咳や痰、発熱、呼吸困難、体重減少などの症状が現れます。咳などによる飛沫により菌が広がる可能性がありますが、初期症状が軽いため感染に気付かないこともあります。
・肺炎
口や鼻から侵入した細菌が喉から気管支を通って肺胞が炎症を起こすことで肺胞の壁が厚くなり、スムーズに空気の交換が行われなくなる病気です。初めは咳や痰、発熱など風の初期症状と変わりはありません。
しかし、肺炎の場合は咳が長く続いたり、黄色や黒っぽい痰が出るようになったり、息を吸うと胸の痛みが出るようになったりします。息苦しさを関るようになると重症な肺炎になっている可能性があります。
・心不全
心筋梗塞や不整脈などの様々な心疾患が原因で心臓の機能が低下し、身体に十分な血液を送り出すことができなくなった状態です。
全身の血液循環が悪くなるため、肺に水がたまり急激にうっ血が増すと肺水腫による重度の呼吸困難やショック症状が起こることがあります。
・心臓弁膜症
心臓にある四つの弁の中で全身血流に影響の大きい二つのいずれかの弁が十分に開かなかったり、弁がきちんと閉じなくなり血液が逆流したり一部が漏れ出たりすることで起こる疾患です。
・過換気症候群
精神的不安や極度の緊張など過剰なストレスが引き金となり、突然浅く速い呼吸を繰り返す疾患です。
動機や胸部絞扼感(胸がしめつけられる感覚)酸欠状態のような息苦しさがあります。固有回数が増えることで血液中の炭酸ガス(二酸化炭素)が過度に減少し、血液がアルカリ性に傾くことで血管の収縮が起きめまい、手足のしびれ、筋肉のこわばりなどが生じます。
対処法として紙袋で口と鼻を覆い呼吸をするペーパーバック法が有効です。
過換気症候群の鍼灸治療について詳しくはこちら←
・貧血
貧血になると酸素を全身へ運ぶヘモグロビンが減少して体が酸欠状態になり、息切れ、息苦しさなどの症状が起こることがあります。
貧血症状の鍼灸治療について詳しくはこちら←
・甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンは心拍数をあげる働きをします。甲状腺機能亢進症の場合は甲状腺ホルモンが過剰であり通常より心拍数が上がった状態になります。
心拍数が最適な状態よりも上がりすぎてしまうため心臓がポンプの役割を十分に果たすことが出来ず、全身に必要な酸素を届けることが出来ないため呼吸困難を起こすことがあります。
甲状腺異常の鍼灸治療について詳しくはこちら←
症例
30代 女性
転職した会社に人間関係でストレスがあり、仕事はやりたかったことで楽しさややりがいは十分に感じているが、最近はその働く楽しさを上回るストレスが増えてきた。前までは会話かあったり、関りがあれば息苦しさを感じたが、今では上手く呼吸ができていないのではないかと思うくらい苦しい時がある。
気づいた時にはその人が近くにいるだけでも息が苦しくなることも増えてきた。
今の職場はその人以外は皆さん良い人で仲良く働いているが、その人の事だけで働けなくなるかもと不安になり来院。
鍼治療は美容鍼で受けた事があるが、お灸は初めて。
当院の治療
自律神経測定器で測定したところ、精神的ストレスが高い結果がでました。
ご本人も自覚があり、かなり職場の人間関係で悩まれている様子でした。
もともとお仕事は好きな気持ちがある分悩みが大きくなっているように感じました。当院の治療としてはストレス値が高くなっている事が原因で交感神経が優位な状態が続いていたため、自律神経を整える事をメインの治療として行い、同時呼吸器に関係する経穴等の東洋医学的な治療も合わせて行いました。
治療経過
◇1~5回目◇
特に変化はなく、終わりにはリラックスした感じはあるが、すぐに元に戻ってしまう。
◇6回目◇
治療した次の日に急に楽に呼吸が出来るようになった。ストレスになる人が近くに来たらまだ苦しさはあるが、かなり変化を感じた。
◇7~13回目◇
特に変化を感じない。楽になった状態から元に戻らないため、良くはなっている。
◇14回目◇
ストレスになる人が近くにきても呼吸が出来る様になった。
◇15回目◇
日常生活に支障が無くなるまで改善した。
尿崩症とは、尿の量を調整する抗利尿ホルモン(ADH)バゾプレッシンと呼ばれるホルモンの合成・分泌の障害により腎臓での水の再吸収が低下する結果、尿量が著しく増加する疾患です。

多尿とそれによる多飲が主症状です。突然に発症し、強いのどの渇き(口喝)があります。一日の尿量は3ℓ以上になり、夜間でも減少しません。
尿崩症は体内の水分のバランス調整ができなくなり、腎臓から大量の尿が排泄されるようになる病気です。
体内の水分バランスは、抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)と呼ばれるホルモンが重要な役割を果たしています。抗利尿ホルモンは、尿が大量に排泄されないように調整するホルモンであり、体内の水分量を正常に保つために重要なホルモンです。
抗利尿ホルモンは、視床下部と呼ばれる脳の組織の一部で産生された後、同じく脳に位置する下垂体へと移され同部位で保存されます。
体内の水分が足りてないような状態になると(長時間水分が取れていない、下痢などで脱水になっている、運動で汗をかいたなど)、抗利尿ホルモンが下垂体から分泌されます。
下垂体から分泌された抗利尿ホルモンは、血液の流れに乗って腎臓に運ばれます。腎臓に運ばれた抗利尿ホルモンは腎臓に働きかけ、尿を濃くします。つまり、尿として対外に排泄される水分量を減らすことで、体内で水分が保たれるように調整します。
体内に水分を保持する一連の流れから分かるように、体内に水分を保持する機構は複雑です。この経路のどこかに異常をきたすと尿崩症が発症します。
尿崩症は原因に応じて、中枢性尿崩症と腎性尿崩症に分類されます。
◇中枢性尿崩症
中枢性尿崩症は、そもそも抗利尿ホルモンが脳(視床下部・下垂体)において生産や分泌がなされなくなったことによって発症します。
中枢性尿崩症の分類
・特発性:原因が不明なもの
・続発性:脳の中の視床下部から下垂体後葉という部分に別の病気があり、その病気に伴って発症するもの。原因として胚細胞腫、頭蓋咽頭腫などの脳腫瘍、脳外科手術、炎症などが挙げられます。
・家族性:ADHの合成、分泌に関わる遺伝子に変異があるために発症するもの。子へと遺伝する確率は50%です。
◇腎性尿崩症
腎性尿崩症は、抗利尿ホルモンに対して腎臓が反応をしない状態から生じる尿崩症を指します。脳からの指令に対して腎臓が適切に反応しない結果、大量の水分が尿として排泄されることになります。
中枢性尿崩症と腎性尿崩症が尿崩症の代表ですが、その他にも尿崩症を引き起こしうる状況があります。
たとえば、手術や感染、炎症、脳腫瘍などにより視床下部が障害を受けると体内の水分がしっかり保てているにも関わらず常時喉が渇くことがあります。この場合には大量の水分を自発的に摂取するようになりそれに反応して大量の尿が排泄されてしまうようになります。
また、妊娠期間中に一過性の尿崩症を発症することもあります。これは胎盤から分泌されるたんぱく質が抗利尿ホルモンを壊してしまうため、尿量の調節がうまくいかなくなることが原因です。
また、胎盤からはプロスタグランジンと呼ばれる物質が分泌されますが、プロスタグランジンが抗利尿ホルモンの腎臓における反応性を低下させます。しかし、これらの妊娠に関連した尿崩症は軽度であることが多く、出産とともに症状も改善します。
検査・診断
尿崩症では尿検査、血液検査、水制限試験、画像検査などが行われます。
血中の抗利尿ホルモンと血中、尿中の浸透圧を調べます。血中浸透圧は高く、尿中浸透圧は低いですが血中抗利尿ホルモンは低値となります。
また、摂取水分量を制限し、採尿と採血をし、浸透圧の変化を調べます。正常では尿の浸透圧が上昇しますが、尿崩症では上昇しません。さらに、抗利尿ホルモンを注射して、その効果を調べます。中枢性では尿量が減少しますが、腎性では変わりません。MRIでは、性状で認められる下垂体後葉の信号が失われています。糖尿病や腎臓病などの除外と精神的な原因による多飲多尿との区別が必要です。

治療
脳内の病変による場合は、原疾患の治療が必要です。多尿の治療には抗利尿ホルモン製剤を日に1~2回点鼻する方法が一般的です。その他、飲み薬や注射製剤も使用できます。

東洋医学では、排尿に関するトラブルは、水分循環に異常をきたす「水毒・水滞」によって生じる症状です。こうした原因を作り出すのが「水」の状態を調整している五臓六腑の「腎」です。
東洋医学でいう「腎」は腎臓という臓器だけを指すのではなく、排尿、排泄、水分代謝、ホルモンバランス、記憶力などを総合した働きを表しています。
この「腎」の機能が衰える「腎虚」になると「水」の異常が起こりやすくなると考えられています。また、寒くなるとトイレが近くなるように、排尿トラブルの根底には「冷え」があると捉えており、腎虚にも体の冷えや、血の滞りで生じる「瘀血(おけつ)」も関わることがあります。
当院では自律神経測定器にて測定を行い、自律神経のバランスや血管の状態など、お身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
まず、血液循環、内臓機能、内分泌、免疫機能などを司る自律神経系の調整施術を行うことで、症状が治癒しやすいお身体の状態へと整えていきます。

また、排尿障害のある方は下腹部から下肢、腰部や骨盤周囲の筋緊張や冷えが見られる方が多いため、腰から下肢にかけての重要なツボを用いて筋緊張を緩めて血行を改善し、内臓機能を高めます。

さらに、東洋医学的観点から、気、血、水の流れを整えるツボや冷えを除くツボ、五臓六腑の「腎」をはじめとした五臓六腑の機能を高めるツボなどに刺激を与えていきます。
東洋医学で舌は五臓六腑の「心」と気血生化の源である「脾胃」は密接に関係しており、臓腑や気血の病変が舌に反映されます。また、「心」は精神活動を担っている臓器でもあるため過度なストレスが「心」に影響を与えることもあります。

さらに、舌痛症は熱邪と関係が深い疾患と捉えます。熱邪は病気の原因(病因)の一つで、自然界の火熱により生じる現象に似た症状を引き起こす病邪です。
発赤、熱感などの炎症症状や、疼痛、化膿、発熱、悪寒、口喝、充血、不眠、イライラ、出血などの症状が見られます。
熱邪には二つのタイプがあり、熱邪の勢いが盛んになって生じる実熱(じつねつ)と、熱を冷ますのに必要とされる陰液が不足するため(陰虚)相対的に熱邪が強まって生じる虚熱(きょねつ)です。
陰虚証の場合、唾液分泌が減少し口の中が乾燥します。これによって口腔内の粘膜が炎症を引き起こしやすくなり、痛みを感じやすくなったり、辛い味などに過敏に反応するようになります。

舌痛症の患者さんは疲労やストレスを抱えていることが多く、それは舌痛症の痛みに密接に関係していると考えられています。
そのため当院では、ストレスや疲労度、自律神経のバランスなどを機械で測定し、お身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
まず、顔面部の血流を良くするためうつ伏せで首や肩周りに鍼やお灸をして筋緊張を緩め、仰向けでお顔周りのツボに鍼やお灸で刺激を与え、痛みを感じる神経の機能を整える施術を行います。
また、東洋医学的観点から「心」や「脾胃」の機能をはじめとした五臓六腑を整えるツボや、熱邪を除くツボを用います。また、免疫機能や内臓機能、ホルモンバランスなどを主る自律神経系を調整するツボに鍼やお灸で刺激を与えることで、お身体が本来持つ自然治癒力を高め病気が治癒しやすい状態へと整えていきます。

舌痛症とは、口腔の粘膜に明らかな病変がないにも関わらず舌に慢性的な痛みや痺れが生じる疾患です。
全人口の0.7%~3%の方に発症すると言われていて、特に閉経後の女性における有病率は12~18%とのことです。性別では女性が7~8割を占め、年齢は50代~70歳代が多く真面目で几帳面な性格の人が多い傾向にあります。
女性の患者が大多数を占め、主に更年期以降発症することが多いため原因としてエストロゲンの減少や、自律神経の変調、中高年のうつや神経症などの精神科領域の疾患の関与が疑われていますが未だ病因は特定できていません。しかし、近年は舌痛症を神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)の神経痛の一種と捉える考えが支持されています。
これは神経の中でも末梢だけでなく、中枢が大きく関与していると考えられています。
とはいえ、原因を一つに特定することはできず、様々な原因や要因が複合して影響しあっているとも考えられています。
症状の多くは舌の先や背中側、舌の脇や縁に表在性のヒリヒリする、焼けるような・やけどをしたような、または痺れた感覚を訴えることが多く、随伴症状として味覚障害や口腔乾燥感を伴うことがあります。
また、辛い物や酸味のあるような刺激物で悪化する方もいます。痛みは慢性的に持続するため、日常生活の質が低下(QOL)することもあります。

舌痛症の痛みは安静時に増悪し会話や食事の際、何かに集中していると痛みは忘れてしまうという傾向があります。
また、日内変動があり夕方から夜に悪化する傾向があります。痛みの強さには波があり、痛みのために睡眠できないということはありません。また、痛む部位が移動する、会話や疲労、ストレス、睡眠不足などで悪化することがあります。
痛みは心理社会的ストレスと密接な関係があることがわかっています。仕事や家庭などでの不快な出来事が痛みを増悪させます。この心理社会的なストレスが舌痛症のトリガー(誘因)となることが知られています。
舌の痛みを生じるような疾患、舌炎やアフタ性口内炎、扁平苔癬(へんぺいたいせん)などの口腔粘膜疾患や、義歯、不良補綴物による障害、口腔乾燥症、口腔カンジダ症、舌癌などの疾患の有無を確認します。
また、血液検査や口腔の細菌培養検査により、鉄欠乏性貧血やビタミン欠乏、亜鉛欠乏、カンジダ症の有無を確認します。
これらの検査から臨床的に明らかな原因となる病変を認めない場合舌痛症と診断されます。
舌痛症は原因が分かっていない疾患であることから根本的な治療法はまだ確立されておらず、対処療法となります。
現在最も有効な治療法は、主に抗うつ薬を中心とした薬物療法です。これは鬱などのメンタルへの効果ではなく、慢性的な痛み(慢性疼痛)そのものに対する効果を狙ったものです。
また、心理的な原因が考えられる場合には、食事や睡眠、運動などの生活習慣のアドバイスを含めたカウンセリングも行われています。

チックとは不規則で突発的な体の動きや発声が、本人の意思とは関係なく繰り返し起きてしまう疾患です。根本的な原因はいまだ解明されていませんが、子どもの10人に1~2人が体験するといわれています。4~11歳頃の思春期~青年期の男児に発症することが多く12歳頃を境にして減っていき、成人になるまでに約50%の方は自然治癒していきます。
症状が継続する期間によって
・一過性チック症(一年以内に症状が消失する)
・慢性チック症(一年以上持続する)
に分類され、さらに多種類の運動チックと一種類以上の音声チックが一年以上続く場合は「トゥレット障害(トゥレット症候群)」と分類されます。トゥレット症候群の頻度は一万人に1~5人くらいといわれており性差はありません。

以前は心の問題と言われていきましたが、現在では遺伝的な要因の関与やドーパミンという神経伝達物質のアンバランスの関与が指摘されています。
また、不安や緊張、興奮、疲労、などが誘因となりやすいといわれています。
不安などのストレスや強度の疲労、発熱によって悪化しやすく、心身共に落ち着いている状態のときは改善する傾向にあります。
不安や緊張などの精神的ストレスが原因となることが多い病気のため、傷つきやすかったり敏感に感じやすかったりする性格も関係があると考えられています。
動作性の症状(運動チック)
・まばたき
・顔をしかめる
・鼻をピクピクさせる
・口をゆがめる
・とがらせる
・舌を突き出す
・首を左右に振る
音声性の症状(音声チック)
・咳払い
・鼻や舌を鳴らす
・叫ぶ
・単語を連発する
などに大別されます。
チックは意図的なものではなく、やるつもりがなくてもやってしまうものです。ある程度であれば意志により抑制することも可能です。しかし、抑制を続けると反動で一時的に症状が激しくなることもあります。
検査・診断
チック症は子供の場合は小児科や小児神経科で診察を受け、大人の場合は精神科や神経内科を受診することが勧められています。
症状と持続時間を中心に、問診、視診などで判断されることが多いです。問診からチック症を大きく3つの病型に分けます。運動チックまたは音声チックの症状が見受けられ、発症してから一年以内の「暫定的チック症」、運動チックと音声チックのどちらかの症状が一年以上見られる場合の「持続型(慢性)運動または音声チック症」と、運動チックも音声チックのどちらも発症してから一年以上経過している「トゥレット症候群」の3つです。また、ADHDや強迫症などの病気はチックとともに発症することが多く、合わせて検査を行うこともあります。
治療
症状が比較的軽度の場合は、薬物治療などは行わず、できるだけ身体的、心理的ストレスを減らす環境を整える方法を医師との相談の上で考えていきます。また、認知行動療法という本人の認知の仕方を変えることで、ストレス軽減を目指す認知療法が行われます。
チックが重度で学校生活に支障をきたすなど、特に問題となる場合、単純なチックにはクロナゼパムやジアゼパムなど、生活に支障をきたすような重度のケースでは、向精神薬などが用いられることがあります。
これらの方法で症状が軽快しない場合、難治性のチック症の場合は深部脳刺激療法(DBS)という手術が選択されることがあります。
チック症における多くの症状は筋肉の動きが制御できないことが根本にあります。
東洋医学では、筋肉の動きは五臓六腑の肝がコントロールしていると考えられています。
肝の主な働きは気、血(けつ)、津液(しんえき)の巡りをコントロールすることですが中でも気と血の巡りに強く関係しています。これらの流れを調整する働きを疏泄(そせつ)といいます。また、肝は血の貯蔵、精神状態の安定化にも貢献しています。他にも目、爪、筋肉の働きや状態を支えています。
ストレスを受け続けると肝の気や気を巡らす疏泄機能がうまく働かなくなってしまい気滞(きたい)や瘀血(おけつ)を引き起こしてしまいます。その結果眼精疲労、視力低下、まぶしさ、めまい、立ちくらみ、爪や肌の荒れ、抜け毛、筋肉の痙攣、ひきつり、こむら返り、生理不順などの症状を引き起こすことがあります。

さらに、肝と関連深い腎へのアプローチも必要な場合があります。腎は成長や生殖などを司る精(せい)を蓄えています。肝腎同源(かんじんどうげん)といって、肝が失調すると腎の働きも弱まり、逆に腎の精が少なかったりすると肝の働きも弱まってしまうのです。

チック症の方は体と心の緊張状態が続くために自律神経も緊張しやすいです。
そのためイライラ、不安、やる気が出ないなどの自律神経失調症の症状も出やすくなります。
自律神経は内臓の働きや代謝、体温などの機能をコントロールするために無意識に働いている神経で、日中活動的な時間に優位に働く交感神経と夕方から夜にかけて優位に働く副交感神経の二つに分けられます。
精神的な緊張、不安などのストレスや疲労の蓄積などにより自律神経が失調すると、チック症状が出やすくなったり症状を悪化させる要因にもなります。
そのため当院では、問診後に自律神経測定器で測定を行いお身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

お子様の場合小児鍼を使用し施術を行います。
小児鍼は、一般的な鍼とは違い、鍼を体に刺さず、専用の鍼具で皮膚をさする、あるいは皮膚にトントンと当てるだけの手法です。不安なお子さんにはお母さんに抱いて頂いたままで施術を行うこともできますし、親御さんの治療室への同席も可能です。
腕や足、腹部や背部などに存在する自律神経のバランスを調整するツボへ鍼やお灸で刺激し、免疫機能や内臓機能を整え体をリラックスさせることにより症状の改善が期待できます。
また、ストレスは、神経線維に伝わり筋肉を緊張させたり血管を収縮させ血行不良を引き起こします。それが最も現れやすいのが首や肩周辺の筋肉です。
チック症やトゥレット症候群の方はストレス反応により首や肩周りの筋肉が緊張していることが多いため当院では首や肩周りの施術を合わせて行います。首や肩の筋緊張を緩和することで脳内の血流を促進し、ドーパミンをはじめとした神経伝達物質のバランスを整える作用が期待できます。
また、痙攣が見られる場合その箇所に直接施術を行うことで筋肉の緊張を和らげ血流を良くしてコンディションを整えます。
さらに、東洋医学的観点から肝や腎をはじめとした五臓六腑の機能を調整するツボや、気血の巡りをよくするツボに刺激を与えお身体の状態を整えていきます。

やる気の低下は「気」のバランスが崩れていることによって起きると考えられています。「気」とは生命活動のエネルギーを表し、全身を巡り各臓器の機能の維持に大きな役割を果たしています。
この「気」を十分に取り込めない状態や、流れに乱れがある状態が続くことで、「気虚」の状態となりこれが慢性的な疲労状態が続く要因と考えられています。
「気」が不足している状態が続くことで「血」が不足する「血虚」も引き起こし、時にはより状態の悪い「気血両虚」の状態となります。
このような状態が続くことで体内の気の巡りが悪くなり、血液の養分が不足の状態に陥ってしまうことで回復力が低下してしまうと考えられます。
また、怒り(ストレス)の感情は肝によって処理されるため、精神的ストレスが続くと気が肝に鬱積し気が滞ることや脾虚(脾臓という消化器系の機能低下)により、栄養が不足したり、余分な水分が体にこもってしまい経絡の流れを阻害してしまうこと、腎虚(腎の機能低下)によってエネルギーが不足することなども原因として考えられています。
まず、最初に自律神経測定器で血管の状態や自律神経のバランスを測定しお身体の状態を診させて頂きます。
自律神経測定器で自律神経の状態を把握することでよりその方に合った施術法を選択してオーダーメイドの施術を行うことが可能なのです。やる気の低下でご来院される方の多くは、自律神経の乱れが見られます。
自律神経のバランスは日中などの活動的な時間帯は交感神経が優位な状態で逆に夕方から夜にかけてはリラックス神経である副交感神経の活動が優位になっていくのが正常な反応です。
しかし、やる気の低下でご来院される方の多くは自律神経のバランスが日中夜逆転してしまっている方が多くいらっしゃいます。鍼灸治療は自律神経のバランスを整える効果があり、自律神経のバランスを整えることでやる気の低下を改善していきます。

その他、東洋医学の観点より気血の状態も整えていきます。やる気の低下は特に気血の状態が重要で、気血が不足している気血両虚という状態が多く見られます。
気血に関する経穴を刺激することで気血を補う施術を行っていきます。

30代 女性
特に朝倦怠感が強く出て、仕事に集中できずやる気が起こらない状態が2か月ほど続いていた。
仕事がない休日も一日中眠気があり、外出もせずにずっと横になっているような状態。次第にパソコン作業中手汗がすごく出てキーボードが濡れるほどで睡眠も途中で起きてしまうような自律神経のバランスの乱れが見られるようになってきた。
友人の勧めで鍼灸治療を勧められて当院にご来院されました。
自律神経測定

まず初めに自律神経を測定してから施術を行っていきました。
副交感神経の活動が強く自律神経の乱れが見られましたので自律神経の状態を整える治療を中心に施術していきました。
治療
仰向けでお腹や手足のツボを使って自律神経の状態を整える治療を行って次にうつ伏せとなり、背中にある背部兪穴という五臓六腑に重要なツボを使って五臓六腑の状態を整えていきました。
治療後、まず睡眠の質が改善されたと実感。中途覚醒の症状が出る頻度が減りました。1週間に1~2回ほどの治療を2か月ほど続けて朝の倦怠感は段々と良くなり、仕事での集中力も上がってきました。
症例2
20代 男性
10年前から疲労感が感じやすくなり、ここ一か月ぐらいでやる気の低下が著明に感じる。
一日の睡眠時間は十分寝ているはずだが、日中の眠気が強い。
首や肩のコリ感もあり、頭痛も気になる。
当院の施術
問診で詳しくお話をお聞きしたところ、お仕事の関係で海外出張が多く、生活が不規則という事がわかりました。生活習慣や症状の特徴から自律神経の乱れが強い可能性があるため、まず自律神経測定器でお身体の状態を測定したのですが、夜の時間でも副交感神経の働きが弱く自律神経の乱れが大きく出ていました。
また、触診において全身の張りとくに首肩の緊張の強さが目立っていました。
この患者様は睡眠の質が悪く寝ても疲れが取れない体質のため、まず副交感神経を高める治療から始めました。睡眠の質が低下すると疲労が蓄積され、心にも余裕がなくなるため活力が低下してしまいます。そのため、まずは副交感神経を高めて疲労を回復させるようにリラックス作用が期待できる治療方法を行いました。
その後に、全身の筋緊張の解消を目的としたアプローチを行っていきます。
特に首が硬くなることにより、脳から放出される幸福ホルモンのセロトニンが分泌できなくなり、やる気の低下を引き起こす原因になります。
1回目
あまり大きな変化はないが、体は軽くなった。
2回目
やる気の低下や精神的な調子は改善した。
疲れはまだ取れにくい。
3回目
眠りが浅いせいか疲れはまだ残りやすいが、精神的な状態は安定している。
4回目
気持ちが安定し、やる気が出てきた。疲労感も以前より軽減している。
5回目
気持ちに活力が出てきて、仕事中の集中力も増してきた。
症例3
50代 男性
ここ数か月いまいち仕事に身が入らない日が増えてきた。特に身体に痛みや症状もなく、ストレスに感じる出来事も思いつかないが休みの日に外出せず2日間を過ごすことが多くなったり、仕事から帰って来て座ったまま2時間何もせずにボーっとしている事が3日前にありさすがにどうにかしなければならないと思い来院。
鍼は正直怖さがあり、なるべく痛くしないで治療してほしい。
当院の治療
自律神経測定器で測定したところ、交感神経と副交感神経のバランスが真逆になっておりました。交感神経は昼に優位になる神経、副交感神経は夜に優位になる神経ですが、夜の時間帯で測定しましたが、交感神経がかなり優位な状態になっていました。
また、ストレス値が高くでており、本人の自覚は無いようでしたがかなり身体ともに過剰な負荷がかかっていますとご説明しました。
自律神経の乱れが激しいため、自律神経の調節をメインに行いました。それと同時に筋肉の緊張も強かったので、筋肉を緩めるための血行促進の治療も行いました。
治療経過
1回目
治療中に眠れるくらいリラックスできた。
2~5回目
治療中にリラックスできるが、効果としてはあまり感じない。
6回目
気づいたら仕事終わりに家へ帰ったあとも元気が残っている気がする。
ここに通う前はほとんど家事は休日にまとめて片付けていたが、最近は平日も家事ができている事に気づいた。
7~12回目
回数を重ねるごとに体調が良くなっている。
改善してきたため、治療の間隔を空けて通うことになった。
13回目
日常生活で困らないくらい回復した。
やるべきことがあってもやる気が出ない、積極的に物事を成しとげようという気になれない、という状態になるのはなぜなのでしょうか。それには、脳の伝達物質の影響が関係しています。
脳の神経伝達物質は、心に影響して喜びや不安などを感じさせたり、身体に影響してだるさをもたらしたりします。やる気が出なくなるのは「セロトニン」や「ドーパミン」「ノルアドレナリン」という神経伝達物質のバランスが乱れているからです。
私たちの身体は平常時、神経伝達物質の分泌をコントロールして精神のバランスをとっていますが、人間がストレスを感じるとドーパミンやノルアドレナリンが過剰分泌され、セロトニンの量が減ってしまいます。セロトニンの量が減ると神経伝達物質のバランスが崩れ、脳内の神経細胞の働きに影響が出てやる気が出なくなるといわれています。
神経伝達物質のバランスが崩れる原因は、明確には解明されていませんが、慢性的な疲労や過度なストレス、睡眠不足、食生活の偏り、不規則な生活習慣などが関係していると考えられています。

・身体的疲労
身体に疲れが蓄積する身体的疲労の原因として挙げられるのが、過度な運動や重労働、長時間の筋肉の酷使、運動不足や眼精疲労、睡眠不足、栄養不足などといわれています。
疲労している時は筋肉を動かすためのエネルギーが不足し、乳酸などの疲労物質が蓄積していきます。糖質が分解されてエネルギーとなる時に出来る乳酸は酸性です。筋肉は酸性に弱く、乳酸が多く蓄積されると十分に働けなくなります。その結果、疲れやだるさや筋肉の張りにつながります。また、同じ姿勢や同じ動作を続けて一部の筋肉が緊張したり、運動不足により筋肉が萎縮し弱くなることも乳酸が蓄積する原因となります。
・ストレスが原因で起きる精神的疲労
「ストレス社会」といわれる現代においてストレスと無縁で過ごしている人はほぼいません。精神的に感じているストレスは気持ちが重くなってしまうだけではなく、自律神経やホルモン分泌にも悪影響を与えます。
・身体、精神の管理能力が低下してしまう脳疲労
人が感じる疲れの中には、身体的な疲れや精神的な疲れ以外に脳の疲れもあります。脳疲労は脳が疲れている状態を指します。脳疲労の原因は睡眠不足とストレスといわれています。
脳が疲れてしまうと身体を管理する機能が低下してしまうため能増機能が上手く働かなかったり、身体や脳を動かそうと思ったときに上手く命令を出せずに動作が緩慢になったり、集中力、思考力、注意力の低下や、記憶力の低下、自律神経の乱れによる情緒不安定、脳の血流が悪くなることでストレスに過敏になるなどの症状が現れます。
セロトニンとは
セロトニンには脳内物質のバランスを整え、精神を安定させる働きがあります。睡眠と覚醒のリズムや痛みの抑制などにも関わっている物質です。セロトニンが不足するとイライラしたり、不安を感じやすくなるほか、うつ病との関連も指摘されており、食欲や性欲、睡眠、記憶、情動、学習機能へ作用します。
ドーパミンとは
意欲や喜びなど快感を得た時に活発になる物質です。ドーパミンがたくさん出るとやる気が出ます。また、人間が行動を起こす時にはドーパミンが分泌されており正常に分泌されていると、行動の動機づけに正しく作用します。
ノルアドレナリンとは
ノルアドレナリンは動物が危険を感じた時に分泌される物質です。脳と身体を覚醒させる作用と、環境や対人、精神などから受けるストレスの対応する作用などがあります。
ノルアドレナリンの分泌を活性化させることで、ドーパミンの分泌も活発になります。
・うつ病
うつ病とは、「不眠や食欲不振などの特定の症状が、2週間以上にわたりほぼ毎日続いている状態」です。うつ病になる原因は心身のストレスなどで、やる気が出ない症状はうつ病の初期症状として見られます。うつ病になるとセロトニンが不足するのでやる気が出ない他に、喜びの喪失や悲壮感にかられるなど、様々な精神障害の症状が出てきます。
セロトニン不足以外でやる気が起きなくなる病気
・橋本病
身体を守る働きをするリンパ球が何らかのきっかけで甲状腺を攻撃し、甲状腺の機能が低下することで代謝を促す甲状腺ホルモンの分泌が正常に行われなくなり、代謝機能が低下することで心身の機能が低下します。橋本病はやる気が出なくなる以外にも疲れやすくなる、汗をかきにくくなる、体重増加、脈拍や体温の低下、眠気などの症状が見られます。
・自律神経失調症
精神ストレスや過労などが原因で、交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで起こる症状の総称です。自律神経は心身の状態を調節しているので、そのバランスが乱れることにより、だるさなどの全身症状だけでなく、頭痛や耳鳴りなどの器官的症状、やる気が出ない、イライラするなどの精神的症状が出ることがあります。現れる症状は人により様々です。
・無気力症候群(アパシーシンドローム)
特定の事に関して意欲や自発心が無くなる症状です。趣味は積極的に取り組む一方、仕事に関してはやる気が出なくなる、というような状態になります。感情の起伏が小さくなったり、様々な出来事に対して無関心になったりします。これは強いストレスから身を守るための逃避行動と考えられています。受験を乗り越えた大学生に多いとされていましたが、最近では社会人にも見られる症状です。
病気や心身の不調によりやる気が出なくなる以外にも、日常的な習慣が原因となっていることがあります。それは、睡眠不足や不規則な生活です。睡眠不足や不規則な生活が続くと体内時計が狂い、脳内物質のバランスを整えるセロトニンの分泌量が減ります。セロトニンの分泌量が減ると、入眠時に必要なメラトニンというホルモンが分泌されにくくなります。すると寝つきが悪くなったり、途中で目覚めることが増えたりして睡眠の質が下がりやすくなってしまいます。

やる気を出すために必要なセロトニンの分泌を正常にするには、睡眠サイクルを整える事が重要です。何となくやる気が出ないと思っている人は、起きた後や眠る前の習慣を見直す事が大切です。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院