東洋医学では「気・血・水」という概念があり、貧血はこの「血」の不足や働きの低下を現す「血虚」という状態ととらえます。血は全身を巡り栄養や酸素や潤いを届け身体を温めたり精神を安定させるといった働きを担っています。
五臓六腑のうち血に深く関わる臓器として肝、脾、心が挙げられ、肝は血貯蔵や循環量の調節を行い、心は血を流す原動力になっています。脾は飲食物を消化吸収し血の材料を作っていると考えられています。
自律神経測定器で血管年齢と自律神経のバランスを測定し、お身体の状態を診させて頂いてから治療に移ります。東洋医学的観点より五臓六腑の肝、脾、心のツボを中心に用い、血液の産生を促します。
また、内臓機能、心臓の動きや血管の動きを主る自律神経系の調整を行うことで血液循環を促進し、貧血の症状の軽減を図ります。
その他貧血の方は身体の倦怠感や首や肩、腰などの筋緊張を伴なうことが多いため、そちらの治療も合わせて行っていきます。
基本的にまず仰向けでお腹や手足のツボを用いて自律神経調整治療を行った後にうつ伏せとなり、頸肩や腰部の筋緊張の緩和・背部兪穴といわれる五臓六腑の重要なツボを用いて五臓六腑の働きを調整していきます。
血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の量が正常より少なくなる事です。血中のヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると貧血と診断されます。血液の働きで最も重要な仕事は酸素を全身に運搬することで、この働きを司っているのは血液中のヘモグロビンです。そのため、貧血になると全身の細胞に酸素の運搬が十分に行われなくなり、頭痛やだるさ、肩こりなど様々な症状を引き起こします。
貧血は女性に多く10人に1人が貧血ともいわれています。
貧血の主な症状
・めまい
・立ちくらみ
・顔面蒼白
・動悸
・息切れ
・耳鳴り
・頭痛
・眠気
・食欲不振
・倦怠感
・疲労感
・不安や緊張感
・首や肩のこり
・爪の変形
など
・鉄欠乏性貧血
日本の貧血患者の約7割、女性全体の約一割が該当するといわれているのが鉄欠乏性貧血です。ヘモグロビンの主な材料である鉄が不足し、ヘモグロビンが作られなくなるために起こる貧血です。
欠食、偏食、無理なダイエットや、インスタント食品などの食生活の乱れ、特に女性では妊娠中や授乳期、月経などで鉄が不足しやすくこの貧血に陥りやすい傾向があるといわれています。その他にも子宮内膜症や子宮筋腫、子宮内膜ポリープなど婦人科疾患に伴う過多月経や潰瘍、痔、ガンなどによる消化管からの出血なども原因の一つとして挙げられます。
・再生不良性貧血
骨髄中の造血細胞が何らかの原因によって障害されることで、赤血球、白血球、血小板のすべての血球が減少する疾患です。再生不良性貧血は生まれつきこの病気になる先天性と何らかのきっかけがあってこの病気が起こる後天性のものがあります。
再生不良性貧血は特定疾患(難病)に指定されており、後天性のものは原因がはっきりとしない特発性と、ウイルス感染や薬剤の使用など原因の分かっている続発性に分けられます。
・悪性貧血(巨赤芽球貧血)
赤血球の合成に必要なビタミンB12、葉酸が不足して赤血球が減少することによって起こる貧血です。この場合は、赤血球の形が大きくなるため、巨赤芽球貧血とも呼ばれます。
不足している成分ごとにビタミンB12欠乏症貧血や葉酸欠乏性貧血に分類されます。
・ビタミンB12欠乏性貧血
本来ビタミンB12は胃で吸収され赤血球生成の材料になりますが、胃や腸を手術で切除した場合などにはビタミンB12が吸収される機会が失われてしまいます。ビタミンB12は極端な偏食でなければ不足は起こりにくいのですが、ビタミンB12の吸収に問題がある人、動物性食品をあまり食べない人、菜食主義の人は不足する可能性があるため注意が必要です。
・溶血性貧血
健康な人の赤血球の寿命は120日程といわれていますが、赤血球が正常の寿命より早く血管内や脾臓、肝臓や骨髄内などで破壊される事で起こる貧血です。先天性の原因として遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球症などがあり、後天性のもの自己免疫性溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、薬の副作用、不適合な輸血、ウイルス感染などが挙げられます。
・二次性貧血(続発性貧血)
骨髄や赤血球の異常ではなく、他の病気が原因となって起こる貧血で、感染症や膠原病、慢性炎症、癌など血液の病気とは異なる病気が原因となる貧血です。
症例
40代 女性
子宮筋腫による不正出血のため以前から貧血症状に苦しんできた。
月経過多になることが多く、ひどい時は鉄剤を服用しても貧血症状がおさまらず、めまいや立ちくらみ、少し動いただけで息切れをする。
もともと末端冷え性でもあり、とくに足先からふくらはぎにかけて冷たくなるため、全身のの血流が悪いことも自覚している。
仕事は忙しく、睡眠の眠りは浅いため疲れがとれない。
当院の施術
この方の貧血の原因は子宮筋腫によるもののため、子宮筋腫に対する施術で貧血症状を改善していきました。
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を確認したところ、交感神経の働きが強くなっており、逆に副交感神経の働きが弱くなっていました。
このような自律神経の乱れは血流の妨げになることが多く、貧血症状の悪化につながります。また足の冷えが非常に強く、下肢の冷えは骨盤血流量を低下させ女性ホルモンに大きな影響を及ぼします。
今回は女性ホルモンと自律神経のバランス調節、骨盤血流量の促進を目的とした施術を行いました。
経過
◇1回目◇
施術後は身体が暖かくなり、夜も気持ちよく寝れた。
◇2回目◇
出血量はまだ変化が見られないが、体調は整っているように思える。
体が軽い。
◇3回目◇
出血量が少し減った気がする。
ふらつく様なめまいが気にならなくなってきた。
◇4回目◇
出血が減り、身体の調子が良い。
階段を登っても以前のような息切れがしなくなってきた。
◇5回目◇
調子が良い日が続いている。
気持ちも前向きになってきた。
症例2
20代 女性
職場の健康診断で貧血の数値でひっかかり、再検査を受けることになった。貧血の自覚はなかったが、ネットで調べたら貧血からくる体調不良が多く当てはまっており、根本から改善したくて来院。
昔から偏食の為、食べられる食材が少ないのも原因と医者に言われ、食生活は少しずつ見直している。平熱35.7度
治療頻度は月に2,3回
当院の施術
食生活に偏りがあるせいか、自律神経測定器での測定で血管年齢が25歳ほど高い数値がでた。自律神経も乱れ気味だったので、血行促進、自律神経の乱れを整える治療と同時に内蔵機能を亢進させる治療も行うことで、食事の栄養が吸収しやすい身体をつくっていく。
治療経過
◇1回目◇
いつも手足が冷たいが治療後は温かくなった。
◇2回目◇
劇的な変化はないが治療後の体調は良い。しかし、数日したら元に戻ってしまう。
◇3回目◇
日中のだるさや無気力感がなくなってきた。
◇4~8回目◇
回数を重ねていくと、立つたび目の前が真っ白になるような目眩があったが、なくなっていった。
◇9、10回目◇
目眩はほぼなくなった。
◇11回目◇
体温が高くなり、平熱が36.2度になった。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 19:45 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)