突発性難聴と似ており難聴を引き起こす病気ですが、低音部の音が聞こえにくくなることに特徴があり、難聴の程度も比較的軽い傾向があります。
耳閉感(耳がふさがった、耳がこもった、水が入ったような感じなど)で気がつくことが多く、反復することが多く、女性(20~40代くらい)に多い病気です。比較的若い世代に多いと言われていた低音性難聴ですが、近年では50代や60代のかたの低音性難聴も増えています。
また、将来めまいや耳鳴りもともなうようになり、メニエール症候群になっていくこともあります。
※メニエール病とは
体の平衡感覚を司る耳の奥の内耳のリンパ液が溜まることで生じる病気のことです。30~50歳代で発症することが多く、症状として耳閉感や聴力低下、回転性のめまい、耳鳴りなどの症状を引き起こします。
発症後1~2年で軽快することが多いですが、数年にわたって続くこともあります。発作を繰り返すことで慢性化したり、難聴が進むこともあります。
メニエール病の鍼灸治療について詳しくはコチラ⇨https://alfashinkyu-tokyo.com/column/index-494.html
内耳の内リンパ水腫(内耳の内リンパ腔に水ぶくれのようにリンパ液が溜まってしまう)が起こることにより、特に低音が聞こえにくくなる障害が起こるという説が考えられています。
では、なぜリンパ液が溜まってしまうのかというと、内耳のリンパ液の状態を正常に保っているのは自律神経ですが、自律神経は細かい血管を介してリンパ液を供給、排泄の調整を行っています。
しかし、何らかの原因で自律神経系の機能が低下すると内耳のリンパ液の調整ができなくなってしまいリンパ液が溜まってしまうことが起こるのではないかといわれています。自律神経の機能低下を起こす要因として次のようなことが挙げられます。
(要因)
・ストレス
・疲労
・睡眠不足
・気圧の変化
・風邪などによる体調不良
これらの要因はメニエール病とほぼ同じです。
低音性難聴は内耳の音を聞く器官である蝸牛という場所で起こるため「蝸牛型メニエール」と呼ばれることもあります。
その他、同じような自律神経の乱れで内耳の血流の流れが悪くなることによっても内耳の音を聞く細胞の働きが低下してしまうことによって低音性難聴が起きてしまうこともあります。
主に「耳が詰まった感じがする」「低い音の耳鳴りがする」「自分の声が大きく聞こえる」という症状を訴える方が多いです。
通常の会話や生活で急激に聴き取れなくなることはないので、気付かないうちに進行してしまう人も多いといわれています。
似たような症状を起こす病気としてメニエール病がありますが、こちらは耳鳴りだけでなくめまいも引き起こします。
聴力検査で低音部(1,000Hz以下)の難聴が見られるのが特徴で、片側や両側のこともあります。
治療法は薬物療法が中心となります。突発性難聴と同じ、循環改善薬、ビタミンB12などの他に、内耳のむくみをとるため、利尿剤を使用します。緊張やストレスを和らげるため、安定剤を使用することもあります。
多くの場合、入院は必要ありませんが、難聴が高度である場合や、治療しているにもかかわらず、難聴が進行する場合は入院が必要になることもあります。
治療期間は1~2週間程度が多いです。数時間や2、3日での自然治癒もあります。治っていれば聴力検査も元に戻ります。
(注意)
自然治癒もありといえ完治するのは6~7割といわれています。治っても再発が多いこと、メニエール病に移行した場合にめまいと難聴の進行を招いたりすることもあることを考えておかねばならないでしょう。
東洋医学で難聴、耳鳴りなどの症状は、耳と関係する臓器である「腎」の気の不足や、「肝」の気のたかぶりによるものと捉えます。
腎の気の不足を腎虚(じんきょ)といいますが、腎虚に陥ると血液循環が悪くなり、体内に余分な水分や老廃物が溜まる「むくみ体質」になります。
腎虚となるとむくみ体質となるために耳の機能が衰え何らかの異常が起こることは珍しくありません。耳鳴りや難聴、めまいなどのトラブルは腎虚の典型的な症状です。腎虚の原因として、加齢、ストレス、過労などが考えられています。
また、「肝」は情緒、ストレスを司り自律神経のバランスと深い関わりがあります。肝の働きが過度なストレスや緊張で乱れると、自律神経の緊張が高まり、難聴や耳鳴りを引き起こす原因となると考えられています。
また、生命活動に欠かせない気・血・水のバランスを整えるツボや、経絡的に耳を栄養していると考えられている小陽胆経の流れを整るツボなども用いて治療を行います。
当院では、リンパの循環、血液循環、内臓機能、免疫機能などを主る自律神経のバランスを機械で測定し、お身体の状態を把握した上で治療へ移ります。
まず、うつ伏せで首や肩周りの筋緊張を和らげ耳周りの血行を促進し、次に仰向けで耳周りのツボに鍼やお灸で刺激を与えます。
また、東洋医学的観点から「腎」「肝」をはじめとした五臓六腑の機能調整のツボや気・血・水を補うツボなどを取り入れます。
さらに、自律神経の調整施術を行うことで内耳リンパ液の循環を促進し、全身的な血行促進と内臓機能や免疫機能を整え、症状が治癒しやすいお体の状態へ整えていきます。
低音性難聴ではストレスとの関係が指摘されていますので、あまりストレスをためないようにしましょう。
そのためには、睡眠はしっかりとり、不摂生な食事を控え、適度な運動を行いましょう。
また、脱水症状は症状を悪化させる原因にもなりますので、水分補給はこまめにしましょう。
50代女性
当院にご来院される3週間前に左耳が聞こえづらくなって耳鼻科を受診したところ低音性難聴と診断を受けた。左耳のみで聴力の低下と耳が詰まっている感覚が顕著に出ている。
発症当初は、頭痛やめまいがあったが、行きつけの整体でほぐしてもらったところ頭痛は軽減されたが、めまいや耳の症状は改善されなかったため鍼灸治療も難聴には効果的と知人から知って当院にご来院された。
病院でも、ステロイド薬と血流促進剤が処方されており服用しているが全く改善がみられなかった。
鍼灸施術
低音性難聴では自律神経の状態や首肩周りの筋緊張の状態・耳周りや側頭部の血液循環も重要になってきます。
まず問診時に自律神経の状態が乱されるようなストレスが最近あったか、睡眠状態や食欲・仕事や家庭での事情などを聞いていきます。自律神経測定器でも自律神経の状態を把握して施術に入ります。
触診では首肩周りの状態や頬部や側頭部周囲のこりを診たり、全身のむくみの状態も触診していきます。
この方は、自律神経測定器の結果、交感神経の活動が高く常に身体が緊張状態にあってなかなか心身ともに休めていない状態だと推察されます。
首肩周りや背中のコリもつよく、側頭部のむくみもあるような状態でした。
施術としましてはまずうつ伏せ施術で首肩周りの筋緊張の緩和や背部兪穴を使って低音性難聴と関連の深い五臓六腑の肺・肝・腎等のツボを用いて状態を整えていきます。鍼やお灸を併用してマッサージ等でも軽くほぐします。
その後仰向けとなり、耳周りのツボに低周波鍼通電治療を行っていきます。また手足やお腹周りにのツボを使用することで自律神経の乱れも整えていきます。
経過
3~4日に1回程度で鍼灸施術を受けていただきました。
4回の施術期間中は症状に波がかなりあって調子のいい日は耳のこもる感覚はあまりなく、耳の聞こえも順調。めまいもほぼなし。
しかし、天候の悪い日など体調が悪く、耳の状態も悪い日はピアノの音などがダブって聞こえてしまう時もある。
4回目の施術後に病院にて聴力検査をうけてもらったところ数値的には改善傾向がみられました。医師にも回復傾向なのでもう少しで完治するかもと言われたとのこと。
その後3回程施術を受けたあとにほぼ聞こえ方が安定してきて音がこもって聞こえることがもなくなった。聴力検査の数値も右耳とほぼ遜色ない数値にまで回復しました。
50代男性
3〜4週間前から左耳の聞こえが悪くなってしまって病院を受診したところ低音性難聴と診断を受けた。耳鳴りも多少あるが、日常生活では特に支障なく過ごすことができている。
日常的には音が割れて聞こえたり、テレビを見ていると少し聞き取りづらい部分がある。
受診した耳鼻科ではステロイドでの治療をして少し聴力が回復したが、ここ1週間は聴力検査をしても変化が見られなかったとのことです。
以前にも突発性難聴を患ったことがあったが、その時は1〜2週間で軽快したのでそのような感じで治っていくと思っていたらあまり変化が見られなかったため鍼灸治療も試してみたいと当院にご来院されました。
施術経過
自律神経の状態を測定する自律神経測定器では、その際は特に異常は見られなかったが、お酒を毎晩飲んでおり、特に深酒をしてしまった翌朝は特に耳の状態が悪いことが多かったとのことで施術したあとは飲酒を控えてもらった。
触診では、頸部の筋の過緊張状態や側頭部あたりのむくみが見られ、それらが難聴の原因となっている可能性もあるためそれらを改善させるツボなどを用いまして施術を行っていきます。
また、背部の筋緊張の緩和や耳周りのツボに直接鍼を刺して電気を流す鍼通電治療を用いて刺激を入れていきました。
施術後は、翌日までは聞き取りやすく、音が割れないことが多くなったが、その日によってまだ耳の状態が悪いと感じるときがある。
施術10回ほどまでは症状は一進一退といった感じで、聴力検査をしても多少改善傾向にあるがそこまで大きな変化は見られませんでした。
16回目を過ぎたころに急に以前のような耳のつまりや聞き取りづらさ、音が割れる感じが改善されていった。実際に病院で聴力検査を行ったところ聴力はほぼ正常値に戻るまでに改善された。
眼の炎症の原因疾患は以下のようなものがあります。
・ぶどう膜炎
ぶどう膜炎は主にウィルス感染や自己免疫異常により眼のぶどう膜という部位に炎症が起こる疾患です。
症状は視力低下、眼の痛み、視界のかすみ、眼の充血、羞明です。時には人によっては視界にゴミの様な物が映って見えてしまう飛蚊症のような症状も現れることがあります。
・アレルギー性結膜炎
目の表面にスギやヒノキなどの花粉、ダニといったアレルギーを引き起こす物質が付着して、結膜に炎症を引き起こす疾患です。
症状は、目のかゆみ、充血、眼がゴロゴロするといった異物感、目やに、涙の増加があります。
・強膜炎
強膜炎は、自己免疫により強膜が攻撃を受けて炎症を起こす疾患です。
関節リウマチ、結節性動脈周囲炎、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、痛風、結核、梅毒なども強膜炎の原因に挙げられますが、それほど多くはありません。また、検査をしても異常が見当たらない原因不明の事も多いです。
症状は、非常に強い眼の痛み、充血、涙目、異物感、眼球の局所的な盛り上がりが挙げられます。また、重度な強膜炎の場合は強膜の一部が溶けてしまうこともあり、内側のぶどう膜が透けて見えるため白目の部分が黒っぽくなることもあります。このような場合は、かすみ目や視力低下を引き起こします。
強膜は、眼の球体を強固に保つ役割があり、強膜が溶けることで眼球の強度が脆く弱くなるため眼球破裂を起こすこともあります。
・角膜炎
角膜炎は帯状ヘルペスウイルスやアカントアメーバによる角膜感染や、異物の混入、まつ毛、紫外線、コンタクトレンズによる外傷、重度のドライアイが主な原因になります。
症状は、眼の痛み、異物感、涙目、視力低下、光の周りに虹がにじんで見える虹輪視、光が異常にまぶしく感じる羞明があります。
・交感性眼炎
交感性眼炎は、眼の外傷や手術によってぶどう膜が損傷して起こるぶどう膜炎の事を言います。ぶどう膜に傷がつくと、それを修復しようとする強い自己免疫反応が色素細胞に起きてしまい、眼の痛みや視力低下といった症状を引き起こします。
これは外傷後や手術後などぶどう膜に損傷を受けた1~2か月後におこる場合もあり、発病の3~7日後ぐらいで発熱といった風邪に似た症状が現れ、眼精疲労、めまい、頭痛、頭皮がピリピリする、嘔吐などの症状も出ることがあります。
また内耳機能障害を併発することもあり、難聴や耳鳴りが起こることもあります。
①問診
症状、現在の体調、生活習慣など、しっかり時間をかけてお身体の状態を確認していきます。
②自律神経測定
患者様のご希望や、施術者の判断により自律神経測定器で現在の自律神経やストレスの状態を確認していきます。
③うつ伏せ治療
まずは、うつぶせの状態で首肩の筋肉の緊張を緩める施術を行います。眼球の炎症がある方はその症状により、首肩周辺の筋緊張が強くなる傾向があります。首肩の筋緊張が強くなると、眼に栄養を送る血管が圧迫してしまい、眼の炎症の回復が遅くなります。
そのため、眼の治療には首肩コリに対するアプローチも欠かせないのです。
また、背部や腰部にも眼に関わるツボがありますので、そちらも同時に刺激していきます。
④仰向け治療
仰向けの施術では眼がメインになります。同時に自律神経の調節も行っていきます。
眼の周囲にあるツボに鍼とお灸で刺激し、炎症を抑えていきます。
⑤施術後のクロージング
施術後の注意点、適切な治療間隔などをご説明し、終了になります。
東洋医学では五臓の肝は眼に開竅すると言われており、肝と眼は深い繋がりがあると考えられています。
そのため、眼の病気には肝の異常を正していく事が非常に重要であります。
肝血が不足すると、視覚や運動器系に何かしらの異常がみられます。また、肝の陰陽のバランスが崩れてしまい、肝の陽気が過剰に高まってしまうことで陰液が消耗してしまいます。
その結果、肝陽が頭に上ってしまい眼の炎症や、頭痛、高血圧、自律神経失調症を引き起こす原因になります。
強膜炎、ぶどう膜炎、交感性眼炎は基本的にステロイド薬を使用した方法がメインになります。角膜炎は感染した病原体を明らかにし、その種類に応じた抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬などといった薬剤を点眼薬や塗り薬といった形で直接眼に投与する治療になります。
アレルギー性結膜炎は主に抗アレルギー点眼薬を使用し、重症の場合はステロイド点眼薬を使用することもあります。
全員に当てはまるわけではないですが、眼の炎症を起こしやすい人はストレスが慢性化している、生活習慣の乱れがあるという事が共通しています。
ストレスや生活習慣の乱れは自律神経のバランスを崩してしまい、免疫力の低下につながります。また、慢性的な炎症も自律神経が乱れて自然治癒力が下がっている状態だと考えられます。
ストレスをため込まずに発散する事や、生活習慣を見直して自律神経を正しく働かせることが重要になります。
食欲不振を東洋医学的に診ると、『気』の作用が深くかかわってきます。気の病態には、大きく分けて気が少なくなる『気虚』と気が停滞してしまう『気滞』とがあります。
・気虚
気虚は気の作用不足によって臓腑の機能低下や免疫機能の低下などが現れます。食欲不振に関しては特に脾胃の機能が低下してしまう脾胃気虚という病態がかかわってきます。脾胃気虚では、食欲不振の他にも消化が悪くなったり、味覚が感じられなくなるなどの症状が出てきます。
・気滞
気滞は、全身をまわって人の活動に作用する気がどこかで停滞してしまうことによって起こる病態で、精神的ストレスや病邪の進行などが原因となります。特に五臓六腑の胃の部分で気が停滞することを胃気滞といい、胃酸が逆流してしまう呑酸や悪心・嘔吐などの症状も出てきます。近年よく聞かれる逆流性食道炎もこの胃気滞に当てはまります。
逆流性食道炎の鍼灸治療について
※東洋医学で食欲不振に効果のあるとされる食べ物
東洋医学で食欲不振の効果のある食べ物は数多くあります。
その中でも今回はミカンの皮をご紹介させていただきます・ミカンの皮は古くから漢方では用いられている食材の一つです。ミカンの皮は、明時代の薬物学書では陳皮と書かれ、湿邪を取り除いて気の巡りをよくするという効能を持つされています。
胃腸の働きを助けるは効能があって食欲不振や痰・喘息にも効果があります。ただし、ミカンの皮は、熱っぽくてのぼせ気味の方や高血圧の方には良くないとされ、摂取しすぎてしまうと痰を生じやすくなってしまうため注意が必要です。
また、特に日本で生産されているミカンは改良されていて甘みが増しているため、食べ過ぎてしまうと体内で処理しきれない水分を体内に溜め込みすぎてしまう危険性もあります。
しかし、ミカンの皮には基本的に消化を促進させて胃腸の働きを活発化させて食欲を増大させる効果が期待できますので、食前にフライパンで少し焦げるまでいっておいてお湯につけて飲むと効果的です。
また、しゅんぎくも食欲不振に効果があるとされています。ベータカロチンが豊富でビタミンCやBなどビタミン類も豊富でカルシウムや鉄、ミネラル、食物繊維もバランスよく含まれています。しゅんぎくは食べ過ぎないようにすればどの体質の方にも良い効能があるとされる数少ない食物です。食欲不振の解消やコレステロールの減少作用、整腸作用の他に肌の美容効果もしゅんぎくを適量に摂取することで期待できると言われています。
食欲不振に対する治療では、自律神経の状態が深くかかわっているため初診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定していきます。その結果をもとにして一人一人に合った施術を選択していきます。
また、東洋医学的に診ると気の流れをよくることが食欲不振を解消することには重要です。特に胃脾の機能を回復するツボを用いたり、全身の気の巡りをよくする特効穴も鍼灸施術などで刺激していきます。
今までで一度は食欲がわかない・食事を摂っていないのにお腹が空かないという経験をされたことがあるかと思います。食欲不振が続いてしまうと単に栄養素が体に送り込まれないというばかりではなく、心身の様々な病状、胃潰瘍・胃がん・心筋梗塞・心不全・うつ病・自律神経失調症などが食欲不振として現れている場合もあり、注意が必要です。その他、食欲不振が長く続いている状態ですと、拒食症や摂食障害の場合もあり、命の危険性も伴うこともあります。
食欲がわかないと軽く考えることは危険で長く続いた場合や食欲不振の他にも身体症状が出てきた場合は早急に対処する必要があるのです。
まずは、食欲がわくメカニズムについて簡単に書かせていただきます。
食事を摂って栄養素を体内に取り込むことは、人間が生きていくためにとても重要な行動の1つです。食欲を主っているのは、脳の視床下部という部分にあります。視床下部は間脳という部分に位置して、自律神経の調整機能や内分泌を調整する機能も備わっています。視床下部の外側野には食欲を促進させる摂食中枢があり、内側野には食欲を抑制させる満腹中枢という器官があります。
視床下部にはその他にも、喉の渇きを感じて水分を摂るように行動する渇中枢や、体温調節中枢・性中枢・睡眠に関する中枢・怒りや不安などの情動に対する中枢までもあるとても重要な器官です。
食欲には、体内のエネルギーが減少してエネルギー源を取り込もうとする本能的なものと目の前の美味しそうな食べ物を食べたいという欲求的なものとがあります。
本能的なものに関しまして運動などの活動により体内のエネルギーが消費されてくると血糖値が低下してきます。すると体に蓄えていた脂肪を分解して遊離脂肪酸という物質を血中に放出してエネルギー不足を補おうと体が反応します。この分化された遊離脂肪酸の血中の情報は視床下部にある摂食中枢に伝えられて空腹感となって体にあらわれてくるのです。この過程がうまく機能すると食欲がわくという体の反応が起こるのです。
食欲がわかない原因は、大きく分けて生活習慣の乱れ・自律神経の乱れ・ホルモンバランスの変化・胃腸などの内臓の不調が挙げられます。
・生活習慣の乱れ
生活習慣の基本は、食事・運動・睡眠であり、運動や睡眠状態が良くないと食欲もわきづらくなってしまいます。エネルギーは、基礎代謝と運動や仕事などの活動によって消費されます。基礎代謝とは、生命活動を維持するために必要なエネルギーのことで心臓などの内臓の働きや脳の働きなどで消費されるエネルギーのことです。
基礎代謝は何もしていなくても消費されるエネルギーなので、仕事や運動などの活動量が減ってしまうことが食欲不振の原因となってきます。運動などの活動量の減少は、体外からのエネルギー補充の必要がなくなってしまうことで本能的に食欲不振に陥ってしまう危険性があります。
また、睡眠不足や睡眠時間が定まらない不規則な睡眠習慣は、人間が本来備わっている自律神経バランスの恒常性が保たれなくなってしまうことで自律神経の乱れに繋がってしまい食欲不振の原因となってしまうのです。
・自律神経の乱れ
自律神経とは、自分の意識とは無関係に働いている内臓や脳の働きを主っている人間の生命活動にはとても重要な神経です。自律神経には、活動的な神経である交感神経と体を休める作用のある副交感神経とがあります。
基本的に日中など仕事や勉強中などに優位になるのが交感神経で逆に夕方から夜にかけて体を休める時間帯に優位になるのが副交感神経です。夜遅くまで仕事などをしていて夜に交感神経が優位な状態が続いてしまっていたりと自律神経のバランスが崩れてしまっている状態を自律神経の乱れといい、身体に様々な悪影響を及ぼします。
食欲の観点から自律神経をみますと、自律神経と胃の活動の関係性がキーポイントとなってきます。自律神経のリラックス神経である副交感神経は胃の活動をつかさどっています。副交感神経の活動がうまく機能していないと空腹の状態でもエネルギー補充しないとという指令が脳に届きづらい状態となってしまうのです。
また、よく夏バテをすると食欲が落ちると言われますが、室内と室外との気温差が自律神経のバランスを崩すために胃の働きを低下させるために生じると言われています。
・ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れでも食欲不振になってしまいますが、その多くは女性です。特に妊娠中や更年期などにホルモンバランスの変化が激しい時は食欲不振に陥りやすくなってしまいます。
その他、甲状腺機能低下症でも食欲不振に陥ることがあります。それは甲状腺ホルモンが不足していることで生じて、甲状腺ホルモンは全身の代謝を維持しているホルモンなのでこのホルモンが低下することで全身の倦怠感や体温の低下なども引き起こします。
・胃腸などの内臓の不調
慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなど胃腸の病気は食欲の低下が起こります。食欲の低下が数日間続いて、みぞおち当たりの痛みがあったりお通じの色が変化している場合は、何らかの病気を発症している危険性がありますのですぐに病院で診断を受ける必要があります。
60代女性
年末年始の忙しさから2月あたりから食欲があまり感じられなくなってしまった。苦みや塩気はわかるが、他の味は以前のようにあまり感じられない。病院で検査を受けたが、特に原因が特定されずに多少唾液量が少ないか、逆流性食道炎の疑いがある程度で気にする必要はないといわれたとのことでした。
発症前は食べることが好きで料理も趣味だったが、味のおいしさも感じられなくなったため料理もやる気が起こらずにそれがストレスとなって悪循環に陥ってしまっている状態。
なんとなく日常生活にも活力がわかずに睡眠も早朝覚醒が見られたため何とか東洋医学で改善したいとのことで当院のご来院された。
自律神経のバランスも乱れがちだと推定されるので自律神経の測定なども行っていき、自律神経のバランスを整えるツボや胃腸に関するツボ、唾液腺周囲に関するツボを使用して施術を行っていきます。
経過
特に自律神経測定の結果から交感神経の活動が高く、手足の冷えや猫背気味の姿勢で胸部の慢性的な圧迫が考えられるためそのあたりを中心に鍼灸治療を施していきます。
1回目の施術後多少ではありますが、味がわかるようになって夕食を食べることが出きたとのこと
特に朝食がつらく、シリアルを何とか食べているがほとんど食欲がわかずにつらい状況
4回目の施術後あたりから身体の変化みられるようになってきて手足の冷えの改善や早朝覚醒の頻度が減っていきました。
それと同時にまったく運動習慣がなかったとのことでしたので、週に4日30分のウォーキングをすることを指導
だんだんと食欲がわくようになってきて好物の焼き鮭が美味しく食べられるようになってきた
施術10回目を終えたころには唾液量も回復、細やかな味もわかるようになって食欲がほぼ以前と同じ程度に回復された
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
ハムストリングスとは、もも裏にある3つの筋肉の総称になります。もも裏には、内側に半膜様筋と半腱様筋があり、外側に大腿二頭筋があります。
3つの筋肉はお尻の骨(坐骨結節)から始まり、半膜様筋と半腱様筋は膝の内側(脛骨内後面と鵞足部)に、大腿二頭筋は膝の外側(腓骨頭)に終わります。
主な役割は、股関節を伸ばす(伸展)動作と膝を曲げる(屈曲)動作を果たします。他には立ち姿勢を維持する役割、膝や骨盤の安定を担う役割も果たします。
また、ハムストリングスは多関節筋です。多関節筋とは2つ以上の関節を超えて付いている筋肉のことで、関節運動に大きく関わっており、動きの負荷がかかりやすくケガをしやすい筋肉です。ハムストリングスの場合は股関節と膝関節を超えて付いているため多関節筋と呼ばれます。
陸上選手やラグビー選手では肉離れが多く発生する筋肉ですが、一般の方も急に力が入った時に痛めやすい筋肉でもあります。一度ハムストリングスを痛めると、鎮痛後にコリ(硬結部)ができます。次にそのコリによってまた痛みが発生する悪循環になる場合があります。
股関節と膝関節を跨ぐため、ハムストリングスに異常が出ると股関節痛や膝関節痛を引き起こします。影響が股関節に波及するとお尻や腰の痛みに繋がり、膝関節に波及するとふくらはぎやすねの痛みに繋がります。
・腰痛
ハムストリングスは大殿筋と共同して骨盤が前に傾き過ぎないようにする働きがあります。骨盤が前に傾き過ぎると、腰の筋肉は押し縮められる圧縮のストレスがかかります。そうするとストレスがかかり続けた筋肉は痛みを起こすことで腰痛になります。
また、骨盤が前に傾いた状態は脊柱管狭窄症や腰椎圧迫骨折などの要因となるので注意が必要です。
・坐骨結節裂離骨折
坐骨結節に付着するハムストリングスは、股関節と膝関節を跨ぐ大きく長い筋肉です。その分大きな力を発揮できます。しかし瞬間的に大きな力を発揮すると、付着部である坐骨結節において骨折を引き起こします。陸上短距離やハードル走でよくみられ、骨片をハムストリングスが引っ張ってしまうため骨癒合が芳しくない骨折であります。
・股関節痛
股関節を跨いで付着するハムストリングスは股関節の安定性に大きく関与しています。特に股関節後面の安定性に関与しているため、股関節の奥やお尻のあたりに痛みを感じることが多くあります。ハムストリングスの柔軟性が欠けると関節唇を痛めたり変形性股関節症を発症する恐れがあります。
・膝関節痛
ハムストリングスは膝の方にいくと、内側と外側に分かれて両方から包み込むように膝関節を支えています。内側と外側の支えるバランスが崩れると関節内にある半月板や関節の周りにある靭帯を痛める原因となります。特に半腱様筋は膝の内側にある鵞足部に付着し、鵞足炎を起こす原因の筋肉になります。。この鵞足部には半腱様筋の他にも縫工筋と薄筋が付着します。縫工筋は太もも(大腿部)の前の筋肉で、薄筋は太もも(大腿部)の内側の筋肉です。太もも(大腿部)の前、内側、後3方向から筋肉が付くため、より引っ張られやすい部位です。
・肉離れ
ハムストリングスは大きく長い筋肉で、大きな筋力を発揮することができます。しかし自身の筋力に耐えきれずに筋肉が千切れてしまう場合があります。これが肉離れです。ダッシュ時や、ランニング時に急に速度を上げたりした際に筋肉には大きな負荷がかかります。また、骨盤が前傾位にあるとハムストリングスがより引き伸ばされて切れやすくなります。加えてハムストリングスの肉離れは再発率が高いことも知られています。一度受傷した部位は瘢痕化し、固まって硬くなることで周りの筋組織を引っ張ってしまいます。そのため瘢痕化した部位の近くで再発してしまいます。
・膝裏(膝窩部)の痛み
膝裏(膝窩部)の解剖では主に2つの筋肉で構成されており、筋肉によってダイヤの様に4辺のある形を作っています。まずハムストリングスです。ハムストリングスはもも裏から膝裏(膝窩部)に降りてきて上内側が半膜様筋と半腱様筋、上外側を大腿二頭筋が構成します。次に腓腹筋です。腓腹筋は内側頭と外側頭の2つの筋組織があり、それぞれ下内側と下外側の辺を構成しています。そして膝裏(膝窩部)の骨に近い深いところには足底筋や膝窩筋があります。ハムストリングスに硬結ができるとこれらの周囲の筋肉も共に硬くなってしまうため、痛みを引き起こします。
東洋医学のツボの並びのことを経絡といいます。
身体には主に12本の経絡が流れており、それぞれの経絡には対応する筋肉が複数あります。
ハムストリングスに対応する経絡は足の太陽膀胱経と呼ばれる経絡になります。
足の太陽膀胱経は、目から始まり頭の上を通り、首、背中、腰、お尻、もも裏、ふくらはぎを通って最後に足の指で終わります。そのため、ハムストリングスに痛みがある場合は、痛みの出ている患部の他にも首や背中、ふくらはぎなど広い範囲を診て治療していきます。
肩の痛みの原因は多岐にわたります。当院では、徒手検査や問診、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握することで一人一人に合ったオーダーメイドの施術を行っております。
40代 女性
趣味がテニスで毎週週末にテニスをしていた。月一回ほどのペースで試合もあるなど痛みが少し出ても無理して続けていた。ある時、テニスの練習が終わると右肩が何となく痛みを感じた。薬局で買った湿布薬を貼って何とか対処してテニスを数回続けていたが、急に痛みが強く出てテニスをするのもつらくなってきた。その頃には湿布薬だけでは痛みが引かず整形外科を受診したところ腱板の筋肉を痛めている可能性があると言われて安静を指示された。
しかし、今度テニスの大会があり、どうしても出場したく痛みをどうにかしてほしいということで当院にご来院された。
治療
まず仰向けで右肩前面から鍼を刺してその鍼に電極をつないで電気を流して鎮痛効果を促しました。次にうつ伏せとなり左右肩後面・左右肩甲骨周囲に鍼を刺して通電していきました。最後に筋肉が硬くなっているところを軽くストレッチで伸ばしていきました。
治療経過
治療後はそこまで変化がみられなかったが次の日には肩が軽くなったと感じてテニスの試合に出場できることができたとのこと。しかし、次の日また痛みが出てしまったのではり灸施術を受けて痛みが軽減。その後もテニスを長時間すると痛みが出る時があるのでその都度施術を受けられている
症例2
40代男性
左肩の痛みで来院される。以前から左肩に違和感を感じることはあったが、これほどの痛みを感じることは初めて。
朝、起床時から急に痛み始めたとの事。左腕の挙上動作で痛みが増悪。動かさなければ痛みはない。シャツや上着の着脱が困難な状態。整形外科を受診してレントゲンをとったが特に異常は見られないとのこと。
治療方針
肩関節前面の炎症部分に消炎、鎮痛を目的とした鍼通電と灸をしていきました。また、左頚部から肩関節、上腕部に筋緊張がみられた為頚部から上腕部までマッサージと鍼と灸を用いて筋緊張を緩める治療を行っていきました。
一回目
あまり変化は見られない。
二回目
痛みはあるがゆっくりと腕を動かすことが出来るようになってきた。しかしまだ一人でシャツの着脱は難しい。
三回目
痛みが軽減してきた。腕を挙上すると痛みは出るが我慢できる程度。ゆっくりとならシャツも着脱できる。
四回目
さらに痛みが軽減してきた。最近はあまり腕に負担をかける動作は行っていないが日常動作は問題ない。
五回目
痛みを感じることは無くなり、通常通り腕を動かせるようになった。
症例3
50代 女性
半年ほど前から肩に違和感を感じるようになってきた。日常生活にはそれほど支障は起きない程度だったがここ最近は右肩から上腕の後面にかけて鋭い痛みがふい襲うことがある。五十肩のような運動制限はそれほどなく腕を上げようとすれば挙げられるし、腕を後ろにまわすこともできる。しかし、何かをとろうとした時やドアの開け閉めなど何気ない動作をした時に鋭い痛みが走ってうずくまってしまうこともある。
整形外科を受診したところ肩関節周囲の炎症と言われて注射を打たれたが、その時は調子が良くてもすぐに痛みの状態が戻ってしまう。
治療
痛みが強く出る肩後面から上腕後面には鍼通電療法を用いて、首肩には鍼とお灸で筋肉を弛緩させるような施術をしていきました。痛みで眠りが浅くなることもあるとのことで自律神経調整を行ってから首肩の場所を中心に施術していきました。
一回目
いつも方が重たい感じがあったのが1回目のの治療後は、その重さが取れていくらか楽に感じた
二回目
日中の方の痛みはそれほど変化は無いが夜は眠りやすくなったように感じて途中で起きることは無くなった。
三~五回目
痛みが半分程度にまで軽減。いつ起こるかわからない痛みの怖さが和らいできた
六回目
夜間の痛みはほぼなく、ぐっすりと眠ることが出来た。
七~九回目
日中の痛みはほぼ感じなくなり、肩や腕を楽に動かせるようになった。
症例 4
60代 男性
1週間前にゴルフをしてから右の肩の痛みが気になり始めた。
肩関節の側方外転と屈曲で痛みが発生し、可動域の低下も見られるが、肩関節の伸展では痛みが起きず、可動域の極端な低下は見られなかった。
肩関節の側方外転で三角筋中部に強い筋緊張が起こり、同部に痛みが発生する。
念のため整形外科で検査をしてみたが、特に異常が見られなかった。
ゴルフは昔から好きで、1週間に2〜3回は練習をしていて、2週間に1回はラウンドを回っている。
以前も同じような状態になったことがあり、放って置いても2、3日で全快したが、今回は長引いている。
元々全身の筋緊張が強く、特に肩こりが常に感じている。
当院の施術
まずドロップアームテスト、ペインフルアークテストなど、肩関節の徒手テスト法を行いました。
肩の筋肉の状態を見てみたところ、患部の三角筋をはじめ、僧帽筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の強い筋緊張がおきている状態でした。
患部である三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、僧帽筋の硬結部や圧痛部に刺鍼し、電気を流して筋緊張の緩和を中心とした施術を行っていきました。
1回目
痛みが軽減し、動きも少し良くなったが、まだ疼痛、可動域は完全に治ってない。
2回目
前回よりもさらに痛みが軽減した。
ゴルフのプレイ時もあまり気にならない。
3回目
痛みは少し残っている程度まで落ち着いた。
腕を動かしても違和感はない。
4回目
日常生活に支障が無い所まで改善した。
肩関節は、5つの関節から構成されています。人体の中で最も可動域の広い関節の一種で複雑な構成をしています。
肩甲上腕関節
上腕骨と肩甲骨で構成されています。狭義では肩甲上腕関節を肩関節といいます。
第二肩関節
肩峰と上腕骨で構成されています。
肩鎖関節
肩甲骨と鎖骨によって構成されています。周りの肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯によって位置を保っており、転倒などの外傷などによって脱臼や捻挫の原因となります。
胸鎖靭帯
胸骨と鎖骨で構成されています。体幹と上司を連絡する唯一の関節です。
このように肩関節は様々な骨が関節を作り構成されています。それらの関節は様々な靭帯によって繋ぎ止められています。
肩の痛みと言いまして原因は様々あります。上記のように肩関節は様々な骨や靭帯によって構成されているため、どの部分を痛めたかによって痛みの程度もかわってきます。
肩の痛みで最も注意しなければいけないのは、内臓の病変が方にあらわれる場合です。単純に肩の痛みといっても肩に異常があるばかりでなく内臓に異常がある場合があるので注意が必要です。
内臓の病変による肩の痛み
肩周囲の筋肉や靭帯が損傷を受けて痛みを引き起こしている場合はある一定の動作をして痛みが誘発される場合がほとんどです。安静にしていれば特に痛みを感じることは少ないです。しかし、特に肩を動かしていなかったり、横になって安静にしているのに痛みが誘発される場合は、肩の異常ではなく内臓の異常が方にあらわれる場合があります。
両肩の痛み
肩の痛みの他に咳や痰が続く場合は、肺に異常がある場合があります。肺の異常により呼吸を大きく吸うことができなくなり、呼吸による背部・肩部の動きが少なくなり、コリや痛みの原因となる可能性があります。
右肩の痛み
右肩から右の胸部にかけて痛みが走るまたは右手にも痺れなどの異常がみられる場合は心臓病の可能性があります。
左肩の痛み
左肩の痛みは肝臓・胆のう・胃腸が不調の原因である場合があります。
肝臓は体幹の左側に位置しており、肝がんや肝硬変など肝臓に異常がある場合は肝臓の上にある横隔膜に影響を与えて右肩の動きが悪くなるためコリや痛みの原因となります。
胆のうや胃腸に病変がある場合は肩ばかりでなく肩甲骨の間にコリや痛みが出やすくなります。
これら内臓の病変によっても肩の痛みが誘発されるため、安静にしていても肩の痛みが続く場合は一度病院で検査を受ける必要があります。
様々な原因が肩の痛みとなりますが、ここではよく見られる代表的な疾患についてご紹介させていただきます。
・変形肩関節症
変形性関節症は、骨と骨とのクッション役である軟骨がすり減ってしまい、痛みや腫れを起こす病気です。軟骨がすり減って減少することにより、骨と骨との間に摩擦が生じて骨棘という骨のとげができたりします。それらが周りの組織を刺激するため痛みを引き起こします。進行すると関節液がたまり、関節の可動域も狭くなります。変形性関節症の多くは体重等の負担がかかる膝関節や股関節に起こりますが、肩関節でも起こる場合がります。また肩関節は脱臼することが他の関節よりも多く脱臼を繰り返すことによって変形性肩関節症になる場合もあります。
・腱板損傷
腱板は棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋で構成されており、上腕を上げる動作や内側・外側に捻る動作をする筋肉です。これら4つの筋肉は、肩甲骨から上腕骨に伸びてその間に肩峰と上腕の間狭い隙間を通ります。肩関節を無理に動かしたり、繰り返し肩関節を動かしていると肩峰と上腕との狭い隙間で圧迫されて炎症や腫れを引き起こしてしまうのです。症状が進行すると腱板断裂の可能性があります。炎症がなかなか引かずに夜間でも痛みを伴ったり、腕を伸ばした状態で真横に上げることができない場合は腱板損傷が疑われます。
五十肩や四十肩という言葉はよく効かれるかと思いますが、正式には肩関節周囲炎といいます。言葉の通り肩関節周囲の筋肉や腱・靭帯が損傷を受けることにより痛みや可動域制限がおこります。
急性期では痛みが強く出て運動時痛や安静時痛・夜間痛も見られて徐々に関節が拘縮していき、肩関節の運動制限がみられるようになってきます。日常生活でも支障をきたして、腕を上げることができない・ドライヤーをかけられない・ブラジャーのホックが止められないなどの支障が出てきます。炎症が治まってくると痛みは軽減されてきますが、周りの組織が硬くなっているために可動域制限がかかります。
・肩関節唇損傷
肩関節唇は、上腕骨頭と肩甲骨関節窩との間にある繊維状のクッションの役割をする組織です。その他、肩関節審は肩関節を前後左右にずれないように固定する役割もになっており、肩関節の中でもとても重要な組織です。通常、肩関節唇は骨にくっついているのですが、外傷や肩のオーバーユースなどにより、骨から剥がれてしまうことによって肩関節の動きが制限されたり、肩を動かすと痛みの原因となります。
肩関節唇は繰り返し肩を酷使する方に多くみられ、野球のピッチャーに多く見られる症状です。
・肩こり
肩こりは特に病名というわけではありませんが、パソコン作業による長時間の姿勢や過度なストレスなどにより、肩に発痛物質や乳酸などが溜まり、痛みやこりの原因となります。肩こりとなる原因は人によってそれぞれで当院では問診時に詳しくうかがっていきます。
関節リウマチは手指の関節に起こることが一般的ですが、肩関節にも起こる場合があります。関節リウマチとは、自己免疫疾患の一つで自分の体の組織を外的だと勘違いをしてしまい、攻撃してしまう疾患で、関節を覆う骨膜や骨自体を攻撃してしまうために炎症や関節のこわばりが起きてしまいます。肩関節のリウマチは、手指のリウマチが進行して肩にくる場合が多く、30~50代の女性に多い病気です。
当院では、自律神経から体の自然治癒力を高めて、治療していきます。
始めに自律神経測定器により身体のなかのバランスを測ります。
自律神経の状態はひとにより様々のため治療もその方その方に合ったオーダーメイドの施術が必要になります。
自律神経測定器により、交感神経と副交感神経の活動レベルとバランスを調べて、疲労度や、肉体的ストレス、精神的ストレスなどを考慮したうえで治療を行うので、効果が高まりやすいです。
腸内環境は自律神経が統括していますので、自律神経がストレスによって乱れるとすぐに腸内環境にも影響します。
自律神経を整えることが症状改善の早道だと言えます。鍼灸治療を1時間ほどのゆっくりした時間で受けると自律神経が整いやすいです。
自律神経を整えるには、施術だけではなく受けていただく方の生活習慣にもアドバイスをさせて頂きます。
睡眠不足や偏った食事、朝食の摂り方など、便秘を改善するための習慣を身に付けていただきます。
東洋医学アプローチ
便秘の鍼灸治療では胃や腸の調子を取り戻すようにします。胃、脾、大腸などが乱れているために便秘が引き起こされるので、これらの経絡経穴を用いて、体の不調を治していきます。
便秘改善のための指導
食物繊維が多く含まれたものをよく摂取してもらいます。
・リンゴ
・サツマイモ
・カボチャ
・ニンジン
・ホウレンソウ
など
これらを一度に大量に摂ってもらうのではなく、一日に何回もとってもらうのがいいでうす。
運動
運動により腸の蠕動運動を促しますので、40分程のウォーキングがおすすめです。
水分の摂取
水分は柔らかい便にするために必要ですので、便秘の方は、今までよりも多くとってもらいます。
脂肪の摂取
脂肪は腸内を滑らかにしますので便の通りを良くします。
通院間隔は、始めの2回から3回ほどは3日置きに来ていただき、効果が出始めましたら1週間に一度、2週間に一度と空けていくのが理想です。症状が治まったあとは再発や予防のためにも月に一度は通われることお勧めします。
症状の度合いや個人差もありますので、上記の通院間隔は参考までに見てください。
便秘症の鍼灸治療症例
30代 女性
中学生頃から慢性的な便秘症に悩まされていた。3~4日出ないこともよくあった。社会人となり、仕事などでストレスを多く受けると便秘症がさらに悪化。ひどい時は1週間も排便できない時があった。ある時、お腹に強い違和感を感じたため、病院を受診。特に腸の障害は見られずに便秘症と診断されて整腸剤と便秘薬が処方された。薬を服用すると一時的には軽快するが、少しするとまた便秘となり、薬に頼ることを繰り返していた。
このままでは、一生薬を飲み続けないといけないと思い、ほかの対処法はないかと東洋医学に興味を持ち当院にご来院された。
治療
問診の結果、あまり日常生活で野菜や果物などの食物繊維を摂らずに運動習慣もほぼない状態でしたので日々の食生活に注意していただくこととウォーキングなどの運動習慣をもっていただきました。また自律神経の状態を計測したところ自律神経の状態も乱れており、交感神経の活動が異常に高い状態でした。自律神経の状態を整える治療と東洋医学的観点より胃や大腸などの重要な経穴を用いて治療していきました。
◇1~3回目◇
食後などお腹が動いていることを実感。今までにあまりなかった感覚とのこと。4日おきくらいに排便。おならはよく出る
◇4~8回目◇
便秘薬を使うことが少なくなってきた。調子が良いと2日に1回ほどの排便
◇9~12回目◇
毎朝朝食をとると排便したいと思うようになってきた。それでも出ない時もあるが平均すると2日に1回は排便できるようになった。
便秘で悩まれている方は、一度当院の鍼灸施術を受けてみてください。
ストレスにさらされると自律神経の働きが乱れるため、正常な腸の運動が行なわれなくなり、便秘につながることもあります。
便秘とは3日以上排便が無い状態、または毎日排便があっても残便感がある状態と定義されています。
ですが、これは明確な定義ではないようです。健康な成人は一日に一回の排便をしますが、これも排便習慣により個人差が大きく分かれるため、毎日排便しても、排便困難を感じる場合もありますし、便が柔らかい状態で2日から3日に一度の排便の方でもなんら苦痛を感じない方もいます。下痢や柔らかい便であっても便秘になることはあります。
排便困難や残便感があって苦痛を感じる場合に便秘異常だとして、治療をお勧めします。
便秘になると腸内環境が悪くなりますので、全身の血行循環の悪さに繋がり、肩こりや腰痛などを強くしたり、肌荒れなどの全身症状までに影響します。
食べ物が、排便となるまでには口から摂取して、長い道のりで大腸にたどり着きます。口から摂取したものが排泄されるまでにかかる時間は健康な人で、24時間から72時間だといわれています。
だいたい、大腸にたどり着くのは食後5時間前後だと言われています。
大腸では、小腸で吸収されなかった、水分や無機質の吸収を行います。ここで消化過程の最終働きが行なわれます。この大腸部分に便が何日もいると水分吸収がますます進み硬い便に変わってしまいます。
日経メディカルの記事に電気鍼治療の慢性機能性便秘症の有効性に対する記事が掲載されています。
「電気鍼は慢性機能便秘の治療に有効」
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201701/549793.html
記事の内容は中国医科学院広安門医院の重症の慢性機能性便秘に行った臨床研究の内容が掲載されています。
研究では、便秘を引き起こす器質的な疾患が検査でも出なくて1週間当たりで排便回数が平均2回以下の状態が3か月以上継続していた18~75歳の患者1712人に対して行われています。その患者を電気鍼治療を行う群とシャム治療(鍼治療を行わない)群に分けて電気鍼治療に有効性があるのか研究されました。
結果は、治療開始から1週から8週目までの自然排便回数が週あたりで1・76回の増加がみられたとのことです。それはシャム治療群より0.9回の増加がみられ、9週から20週までの期間では1.96回の増加が見られました。また週に平均3回以上の自然排便があった割合では37.7%と鍼治療の有用性が認められています。
便秘には、続発性便秘と突発性便秘の二つに大別されます。
続発性便秘
続発性便秘とは、器質性便秘ともよばれます。薬などの副作用や病気が原因で起こるものです。病気としては、大腸癌やイレウス、腸管癒着などがあります。この種類は病気ですので、ただ排便ができないだけではなく、血便や激しい痛み、吐き気なども出る場合もあります。その場合はすぐに病院へいかれた方がいいです。
突発性便秘
突発性便秘とは、機能性便秘とも呼ばれます。大腸の運動や直腸の機能異常が原因で起こるものです。この中には食事性や直腸性、痙攣性、弛緩性などの便秘に細分類されます。
直腸性便秘は、高齢者や排便を我慢する方に多く、便が直腸に達しても排便反射が起こらずに便が滞ってしまう状態です。
痙攣性便秘は、ストレスや過敏性腸症候群が誘因となることが多く、腸管の緊張により便が上手く運ばれないために起こるものです。これは便秘と下痢を繰り返して起こすこともあります。
弛緩性便秘は、女性や高齢者に多く、極端なダイエットや運動不足、水分不足、食物繊維不足などが原因となって起こり、腸の蠕動運動が十分に行なわれないことにより起こるものです。
男性より女性に多い理由として、男性よりも腹筋などの筋力が低いためや、女性ホルモンの黄体ホルモンが水分を蓄積しようと働くため、排便に十分な水分がなくなり便秘になりやすい。このような理由から男性より女性の方が便秘になりやすいという科学的根拠があります。
症状の度合いや個人差もありますので、上記の通院間隔は参考までに見てください。
便秘を解消するためには、以下の生活習慣を取り入れることが効果的です。
適切な食事
食物繊維を多く含む野菜、果物、穀物などをバランスよく摂取しましょう。食物繊維は腸の動きを促進し、便通を改善します。また、水分をしっかり摂取することも大切です。
運動
適度な運動を行うことで腸の動きが活発化し、便秘の解消に役立ちます。ウォーキングやストレッチなど、日常的に続けられる運動を取り入れましょう。
規則正しい生活リズム
規則正しい生活リズムを整えることで、体内時計が整い、腸の動きも安定します。食事、睡眠、排便などを一定の時間に行うように心がけましょう。
ストレス管理
ストレスが便秘を引き起こす要因の一つです。ストレスを溜めないように心がけ、リラックスする時間を取り入れることが大切です。
便秘解消に効果的な食材には、以下のものが含まれます。
〇食物繊維が豊富な食品
野菜(ほうれん草、レタス、キャベツなど)、果物(りんご、バナナ、イチゴなど)、穀物(オートミール、全粒穀物パンなど)は、腸の動きを促進し、便通を改善します。
〇水分を多く含む食品
水分を多く含む食品は便の柔軟性を高め、排便をスムーズにします。例えば、スープ、果物、野菜など水分を多く含む食品を摂取しましょう。
〇プロバイオティクス
ヨーグルトや発酵食品(キムチ、納豆など)に含まれる善玉菌は、腸内環境を整え、便秘を改善します。
〇オメガ-3脂肪酸
オメガ-3脂肪酸を含む食品(魚、亜麻仁油、チアシードなど)は、腸の健康をサポートし、便秘を緩和します。
〇マグネシウムを含む食品
マグネシウムは腸の収縮を促進し、便通を改善します。マグネシウムを多く含む食品には、ほうれん草、アーモンド、バナナなどがあります。
便秘を解消するために、以下の食材や生活習慣は控えるか避けることが良いでしょう。
〇加工食品や精製された食品
高脂肪や高糖質の加工食品や精製された食品は消化が遅くなり、便秘を引き起こす可能性があります。これらの食品を避け、できるだけ自然な形での食事を心がけましょう。
〇低食物繊維の食品
食物繊維が少ない食品は腸の動きを促進しづらく、便秘を引き起こす可能性があります。白米や精製されたパンなどの低食物繊維の食品は避け、代わりに全粒穀物や野菜、果物を選びましょう。
〇過剰な乳製品の摂取
過剰な乳製品の摂取は一部の人にとって消化が難しくなり、便秘を引き起こすことがあります。乳製品に過敏な人は、摂取量を調整したり、代替品を探したりすることが良いでしょう。
〇運動不足
運動不足は腸の動きを鈍らせ、便秘を引き起こす可能性があります。適度な運動を日常的に行い、体を動かすことで腸の健康を維持しましょう。
〇ストレスや不規則な生活リズム
ストレスや不規則な生活リズムは腸の動きを乱し、便秘を引き起こす可能性があります。ストレスを軽減し、規則正しい生活リズムを整えることで、便秘を予防することができます。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
ぎっくり背中とは、肩甲骨と肩甲骨の間や、腰の上までの背中の筋肉に炎症が起こる疾患で、『背部痛』と呼ばれます。
突然の激しい背中の痛みを特徴とする症状で、背中がつるような感覚があったり寝違えたときのような痛みがあり、一定の姿勢をとると痛みが強くなります。
また、急に激痛が走り動けなくなるほどの痛みから、最初はピリッと電気が走った程度の違和感から徐々に痛みが強くなるなど、痛みに個人差があります。
だいたい3日〜1週間程度で回復するのですが、繰り返し発症する方も少なくありません。
ぎっくり背中は、筋肉の過剰な使い過ぎや急激な体のひねり、重い物の持ち上げにより、背中の筋肉や靭帯に負荷がかかる事で引き起こされます。
症状は深刻な痛みとして現れ、動くたびに増幅され、深呼吸やくしゃみ、咳をするだけでも感じられる事があります。
特に、急な動きや重い荷物を持ち上げた後に発症する事が多く、背中こ筋肉が急激に収縮する事で痛みが引き起こされます。
また、日頃の姿勢の悪さや運動不足による血行不良や、身体の冷えにより背中の筋肉が固まり、そこに負荷のかかった動作が引き金となり発症するケースが大半です。
中には、ストレスや睡眠不足、心労、不規則な生活や食事などが原因となり筋肉が硬直して発症することもあります。
ぎっくり背中を感じたら、すぐに動作を止め安静にしましょう。安静を保つ事は治療の第一歩です。
無理な動きは筋肉や靭帯にストレスを与えら痛みを悪化させる可能性があります。
痛みが和らぐまでできるだけ体を動かさず、安定した姿勢で休息をとりましょう。
痛みのない姿勢を保ち体をリラックスさせる事が重要です。
また痛みを和らげる応急処置としては、冷却が効果的です。冷却は患部の炎症を抑え痛みを軽減させ、症状の回復を促します。
氷嚢や冷却パックをタオルで包み、10〜15分間患部に当てます。患部がヒリヒリする感じがした後、痺れて感覚がなくなっていきます。無感覚な状態になって5〜10分程たったら一度患部から氷を外し、1時間ほどあけてから再びアイシングをしましょう。
・痛み止め(内服薬・湿布)
炎症がある場合は、痛み止めの薬や湿布を使用し痛みを和らげます。
・ステロイド注射
急性で痛みが強いばあ、痛みを取り除くためにステロイド注射をする場合があります。
痛みのある部分に注射をする事で1〜2ヶ月程度は症状が改善する事が多いですが、痛みが再発する場合も少なくありません。
・リハビリテーション
ストレッチや筋トレのリハビリテーションは、即効性はありませんが、長期的に見ると効果が高いです。
姿勢不良や筋肉の使い過ぎなどが、ぎっくり背中の原因にある様に、ストレッチをする事で筋肉の緊張がある部分の筋肉の柔軟性を増やし、姿勢不良により弱くなっている筋肉を筋トレーニングで強化する事により正しい姿勢が保たれ、無駄な体の筋緊張を防ぎ、怪我の回復だけでなく予防にも効果的です。
・マッサージ
痛みがある部分の周りの筋肉や筋膜をほぐすことで血流を改善させ、痛みを緩和させます。
マッサージは急性期の痛みがある時は避け、痛みがなくなってから行うのが効果的です。
・外科手術
薬物療法やリハビリでは改善が見られず、症状が悪化してしまい日常生活に支障をきたしてしまうぐらいに痛みが強い場合には、手術を行うケースもあります。
手術は最終手段となるため、医師の判断に基づいて行われます。
当院では、自律神経測定器にて自律神経の状態を把握した上で、お一人お一人に合ったオーダーメイドの治療をします。
自律神経は交感神経、副交感神経の二つに分けられ、交感神経は日中の活動時に活発に働く神経で、副交感神経は夕方から夜にかけて優位に働くリラックス神経です。この二つの神経がバランスをとりながら無意識下で全身の筋肉や血管、ホルモンの分泌など様々な調整を行っているため、ストレスや疲労、生活習慣の乱れなどから自律神経のバランスが乱れると、心身の不調をきたす原因になります。
本来、寝ている時は自律神経の副交感神経が優位になるので筋肉は緩むのですが、背中や身体の筋緊張があると交感神経の活動が亢進し副交感神経の活動は抑制されてしまい、体と心を休める時間である睡眠時間にしっかりと身体が休まらず疲労が溜まってしまいます。
また、ストレスや過労が自律神経のバランスを崩す原因となり、就寝時に交感神経が優位になってしまうことで体の筋肉が緊張してしまいます。
その為、自律神経のバランスを整える治療に加え、東洋医学的観点から【肝・心】に関わる経穴に刺激を与えることで、背中の筋肉の過緊張を取り除き、体にかかる負担を軽減させる治療を行います。状態の必要に応じて鍼に微弱な電気を通し、鎮痛作用や筋緊張の緩和、血流の促進を促します。
東洋医学の治療法と自律神経療法を組み合わせることでより治療効果を高めることができます。
鍼灸治療は、自律神経を整えるのにとても優れた治療法です。自律神経を整える経穴やストレス解消の特効穴を用いて症状改善を目指します。
また、自律神経のバランスを整える事で筋肉の過緊張を緩和し、血行を促進して症状を改善し、免疫力をあげることで再発や悪化を防いでくれます。
※生活習慣からの影響も自律神経に関係するため、自律神経を整えるには、食事や睡眠、適度な運動をするなど、生活習慣の見直しも必要になります。
ぎっくり背中の症状でお悩みの方は、東京α鍼灸院へお越しください。
三叉神経痛に対する当院の治療はまず第一に痛みの強い部分に鍼灸刺激を与えて鎮痛効果を促します。当院では、当院独自の鍼通電療法を用いて高い治療効果を上げています。
また激しい痛みは交感神経の活動を活発にして、長期にわたると自律神経も乱しかねません。
当院では自律神経測定器を用いてその日の患者様のお体の自律神経の状態を把握したうえでその方にあったオーダーメイドの治療を施しております。
三叉神経痛でご来院される方は、交感神経の活動が過亢進状態で全身が緊張状態であったり、痛みのために眠れなくてさらに自律神経を乱してしまう悪循環を招いてしまう方が多いです。
当院では三叉神経痛の治療でも東洋医学の特徴である全身の調整治療が大切だと考えております。
全身に心地よい暖かさのお灸などを施すことで全身をリラックス状態に持ってきて副交感神経の活動を高めていきます。
また、東洋医学では、風邪・寒邪・湿邪を体外に出す治療がとても重要になってきますので、経絡の重要なツボを用いてそれらを排出する施術をいたします。
全身の調整治療(自律神経調整治療)
+
背部や頸肩部の経穴を用いた邪気を出す治療
+
疼痛の強い顔面部への鍼通電療法(鎮痛作用)
これらの治療を合わせて行っていくことで高い治療効果に繋がるのです。
60代 男性
ある朝髭剃りをしようとしたところ頬に痛みが走った。最初はカミソリで切ったからかと思ったが、そのような傷もなくその後もピリッとした痛みが顔に触れるたびに起きるようになった。ひどい時は冷房の風にあたるだけで痛みが出る。
病院で検査したところ三叉神経痛と診断されて鎮痛剤を処方されたが痛みは薬を飲んだ2~3時間後は良いが、その後はまた激しい痛みが出てしまう。痛みが出る範囲はほほ骨下辺りから口角の横辺りまで。友人に鍼灸治療が効くかもしれないと聞いて当院にご来院された。
治療
まずうつぶせとなり、首肩の筋緊張をとってから顔面部の施術をしていきました。自律神経測定器で自律神経の状態を計測したところ自律神経の状態も乱れていたので自律神経調整療法も同時に行っていきました。
◇1回目◇
治療後すぐは痛みが楽になったが、次の日には戻ってしまった
◇2回目◇
2回目の治療後から次の治療まで痛みをほぼ感じなかった
◇3回目◇
今度は治療後また痛みが戻ってしまった
◇4回目◇
症状に波がある。まったく痛みが無い日もあれば痛みが出る日もある
◇5回目◇
1週間のうちに痛みの出る日が2日ほど
◇6回目◇
朝の洗顔時や髭剃りの時に痛みを感じなくなった。たまにふとした瞬間に痛みが出る時もある
◇7回目◇
ほぼ痛みを感じない。以前は鋭い痛みを感じる時があったが痛みも感じなくなった
症例2
20代 女性
1週間前から急に顔左半分にチクチクするような鋭い痛みが走るようになった。
すぐに病院に診てもらったところ三叉神経痛と診断された。
痛みが出る場所は目の下から鼻の横、頬、口の横にかけて痛みが出て、シャワーを浴びたり、洗顔、歯磨き、うがいで痛みが増悪する。
痛みの感覚は、チクチク針で刺されているような痛みと、ひどい時は電撃が走るような痛みも有する。
病院で検査を受けたところ脳腫瘍や多発性硬化症などの所見はみられず、帯状疱疹の発症もないため、血管による神経の圧迫が原因と言われた。
普段はデスクワークで姿勢が悪くなることが多い。そのため慢性的な首肩のコリがある。
ストレスも感じやすく、物事に過敏に感じてしまうことも多い。
当院の施術
自律神経測定器で測定したところ、交感神経の過剰な働きがみられました。
交感神経の働きが強すぎると痛みに対して過敏になりやすく事もあるため、三叉神経痛の治療と並行して自律神経の調節治療も行いました。
次に顔面部の経穴や痛みが出ている患部に直接刺鍼し、刺激を入れていきました。
首肩の筋緊張も強い状態だったため、首肩の凝りを緩める治療も行いました。
鍼灸治療は初めてということでしたので、鍼に慣れるまでは弱い刺激で施術を行い、
慣れてきたらご本人の反応を確認しながら慎重に、少しづつ刺激量を上げていきました。
◇1回目◇
緊張したが、意外に大丈夫だった。
痛みの変化はまだ見られない。
◇2回目◇
少し痛みが引いてきたような気がする。
洗顔やシャワーを浴びたらいつもより痛みが軽く感じた。
◇3日目◇
痛みがかなり軽減した。
たまに痛くなることもあるが、以前より気にならない。
◇4回目◇
今はほとんど気にならないで、日常生活を送ることができている。
三叉神経痛とは、顔面部の感覚をつかさどる三叉神経に障害が起きてその支配領域に痛みが出る疾患です。
三叉神経は大きな神経から3つの大きな枝に分かれる脳神経の中でも最も大きな神経です。
三叉神経の大部分は側頭部から出てその部分から眼神経・上顎神経・下顎神経の3つの神経の枝を出します。
眼神経
眼神経は三叉神経の中で最も小さい枝の神経です。眼やおでこの部分、鼻の部分の感覚を主っています。
上顎神経
上顎神経は、上あごの部分、上部の歯の部分、口腔奈央の粘膜部部の知覚を主っています。
下顎神経
下顎神経は、三叉神経の中で最も大きい枝の神経です。下あごの部分、下部の歯、下唇、耳の一部の感覚を主っています。また咀嚼筋などを主る運動性の神経でもあります。
三叉神経痛にかかってしまうと上記のような神経支配部分に激しい痛みを生じるようになります。顔の片側だけに出る場合が多いです。痛みの程度は個人差がありますが、激しい痛みの場合が多く、突発的な痛みに悩まされます。痛みは通常数秒間ですが一日に100回以上も痛みが走る場合もあり、痛みの度に顔をしかめてしまうようになり、体にとっては相当な負担となってしまいます。
様々なことで痛みが誘発され、洗顔時やひげを剃る時、お化粧などをする時などに痛みが電気のように走ります。また冷たい風にあたっても誘発される場合があります。
三叉神経痛のでる三叉神経の枝によって痛む場所が異なりますが、1つの枝の場合や2つの枝に痛みが出る場合もあります。
三叉神経は脳から出た後は、3つの枝に分かれます。その中でも第一枝は目やおでこ、前頭部の知覚も主っているため、頭痛が起きたために病院を受診したところ三叉神経痛と診断されることもあります。三叉神経痛での頭痛の特徴は、痛みは突然訪れる激しいものですが、数秒で治まることが多いのが特徴です。
そのほか、頭に外的な刺激が加わるとピリッとした痛みやチクチクとした痛みが走ることもあります。洗髪時や髪をとかしている時、髪を乾かしている時などにピリッとした痛みを感じた場合は三叉神経痛による痛みかもしれません。また、外気温にも左右されることが多く、特に冬の冷たい風にあたると痛みを誘発することもあります。
三叉神経痛による頭痛が原因で睡眠に支障が出たり、痛みによるストレスで自律神経の状態が乱れることも多く、早期に治療を受ける必要があります。
三叉神経痛の起こる原因は、多くの方でわからない場合が多いです。
脳腫瘍による神経の圧迫やヘルペスウィルスの感染、多発性硬化症の疑いもありますので注意が必要です。
それ以外に有力な説としましては、三叉神経が脳から出る部分の血管が動脈硬化などで血管の弾力性が低下することで三叉神経を圧迫してしまい痛みを生じてしまうというものです。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の片側顔面けいれんに対する当院の治療は、第一に顔面部・頭部の筋肉の緊張を和らげます。目の周りや顔の筋肉を緩めることで症状緩和につながります。
また、自律神経を整えることにより、疲労やストレスの緩和もはかります。
片側顔面けいれんとは、顔の片側の筋肉が自分の意思に反してピクピクとけいれんを起こす病気です。
はじめは目のまわりのけいれんから始まることが多く、徐々に額や頬、口、あごにまで広がるのが特徴的です。
症状の進行はゆるやかですが、放置して自然に治ることはありません。
症状が強くでると顔がキューッと突っ張って歪んだ状態になったり、筋肉の麻痺が生じることもあります。
特に50〜70歳の中高齢者の女性に多く発症します。
また、仕事などで緊張やストレスがかかる場面で症状が強く出ることが多く、日常生活にも支障をきたします。
片側顔面けいれんは神経血管圧迫症候群のひとつであり、脳の深部で顔面神経が血管の圧迫を受けることが原因であると言われています。
多くの場合、高血圧や動脈硬化により脳の血管が神経を圧迫することで神経に興奮がおこり、顔のけいれんやゆがみとして現れます。
また、ストレス過多な状態は交感神経が活発になりますので、神経が興奮し、よりけいれんを引き起こしやすくなります。
症状の悪化を防ぐ方法としては、
・顔に冷気が当たらないようにする(冷やさない)
・十分な睡眠をとる
・ストレスを避ける
・禁酒
・禁煙
などが挙げられます。
50代男性
15年前に右目の下あたりがピクピク痙攣するようになった。範囲は徐々に頬や口まで広がり現在は右側全体に痙攣がある。脳神経外科で顔面神経の圧迫箇所が見つかりボトックス注射をするも特に変化はない。手術も提案されたが抵抗があるため鍼灸治療を試してみたいとのことで来院された。
1日8時間ほどデスクワークをしており首・肩こり(特に右側)が慢性化している。
首の付け根は雨の日など気圧の変化があるときは頭痛が出る。
人前で話すときに症状が出てしまうことがストレスになっている。
当院の治療
自律神経測定器の結果によると交感神経がかなり優位な状態であることが分かった。
常に神経が過敏になっているため、副交感神経を高め、リラックスできる治療を行う。
側頭筋や胸鎖乳突筋も右側のみ硬結があるため筋緊張の緩和を目的に鍼と灸を行った。
また、慢性的な首・肩こりも症状の原因になるため、全身治療によって症状緩和をはかった。
経過
◇1回目◇
治療後、痙攣の引きつり方が弱まった。
3日後にはもとに戻った。
右肩のこりは軽減した。
◇2回目◇
1回目同様、引きつりが弱くなり5日ほど調子がよかった。
◇5回目◇
痙攣はあるが引きつる感じの痙攣はなくなった。
肩こりも気にならない。
◇8回目◇
回数を重ねるごとに痙攣の回数も減っている。
家族からもかなり減ったと言われた。
◇15回目◇
雨の日など体調を崩しやすいときは痙攣が出るが、普段はあまり気にならない程度にまで回復。
今後は施術間隔をあけて治療を続ける。
40代女性
右目下から頬の部分にかけてピクピクと痙攣する症状でご来院。発症して3ヶ月ほど。病院ではMRIの検査を受けたが、特に脳の障害はみられなかったとのこと。
健康診断では、血圧は高くなく、脂質異常は指摘される程度でいつも健康と診断されていました。
3ヶ月ほど前から主に右目下のピクピクとした痙攣が気になり始めて今では1時間に4〜5回程度の頻度で5分間ほど継続する痙攣に悩まされている。病院では、特に治療法は提示されずに葛根湯を処方されて目の酷使を避けるように指導されたのみ。
なにか他に対処法はないかと検索をかけてみたところちょうど当院のホームページを見つけて鍼灸治療で以前腰痛が軽快したことがるので、鍼灸治療には抵抗がなかったため当院にご来院されました。
痙攣は仕事中など集中状態のときはあまり気にならないが家族との食事中や下を向いて顔を洗うときやお風呂に入っているときに必ず発症していた。
問診では仕事や家庭でのストレスも多く、自律神経も乱れがちではとご本人的にも感じておられたため自律神経測定器で測定の上、全身の自律神経のバランスを整える調整施術も行っていき、主に右目周りや右頬中心に鍼やお灸の施術を行っていきました。
経過
1回目の施術後、当日と翌日は痙攣の回数が激減。あまり気にならない状態だったが、時間とともに徐々に痙攣の回数が増えていってしまった。施術3回目辺りまではそのような状態で施術後数日は状態良くなるが戻ってしまう。
4回目以降右目周り中心に鍼通電治療を導入。鍼通電治療を開始して2回ほどで痙攣の回数が1日に2〜3回ほどになるまでに改善。日を追うごとに良くなっていきました。
8回目の施術後、仕事にも支障をきたすことなく、日常生活も普通に過ごすことができるようになったので治療を終了した。
・肝うつ
東洋医学ではストレスを発散させるのは五臓の「肝」(肝臓)の働きと考えます。
過剰なストレスで肝が弱ると、ストレスを発散できずけいれんが起こりやすくなります。
また、筋肉は肝が蓄える「血(けつ)」の栄養によって養われるため、肝機能が低下すると筋肉の状態が悪くなりけいれんを起こすこともあります。
・血虚
けいれんは無意識に筋肉の収縮が続いている状態です。
筋肉は「血(けつ)」の栄養によって養われるため、体内の血が不足すると筋肉の状態も悪くなり、けいれんを引き起こします。
また、血には気持ちを落ち着かせる鎮静の働きがあります。
そのため血が不足すると精神のたかぶりを抑えにくくイライラやストレスからけいれんを起こしやすくなることもあります。
・瘀血
片側顔面けいれんは動脈硬化により顔面神経が圧迫されて起こるとされています。
東洋医学では動脈硬化につながる要因を「瘀血」と考えます。
瘀血の原因は食の不摂生、ストレス過多、疲労だと言われています。
瘀血改善には十分な休息とストレス発散が大切です。
・眼瞼けいれん
まぶたがけいれんする、眩しくて目が開けられないなどの症状がみられます。
両目のまぶたにのみ発症し、範囲は広がりません。
・チック症
頻繁なまばたきやしかめっ面などの症状がみられます。
小児期や青年期に多く、自分の意思で一時的に症状を抑えることができます。
部位は移動します。
・眼瞼ミオキミア
片目のまぶたが一部ピクピクけいれんする症状がみられます。
数日から数週間で自然に消えます。
私たちの体内の環境を一定に保つ働きをするのが、自律神経です。
自律神経は交感神経と副交感神経の2つからなり、私たちの意思と関係なく呼吸や心臓の拍動・血圧・体温などを調整しています。
この2つのバランスが崩れると、全身疲労感・頭痛・肩こり・めまい・便秘・下痢・動機・食欲不振・異常発汗などのさまざまな症状があらわれます。
片側顔面けいれんの特徴である目の周りや顔の筋肉の不快症状も、自律神経が乱れることででることがあります。
過度なストレスは自律神経が乱れる原因にもなりますので、日頃のストレスケアが重要です。
・趣味の時間をつくる
・しっかり休息をとる
・湯舟につかる
・深呼吸をする
・適度な運動をする(軽いジョギングなど)
などリフレッシュすることを心がけましょう。
・のみ薬
症状が軽度の場合、薬で経過をみます。緊張がきっかけで起こることもあるため、鎮静薬や抗不安薬を内服します。
・ボツリヌス毒素治療
けいれんのある部位に注射をし、一時的に筋肉を麻痺させてけいれんを和らげる治療です。効果は3~4か月持続し、症状が出現したら再度うつ必要があります。
・手術
薬物療法がうまくいかないときは、異常な動脈と神経との間に小さなスポンジをおく手術が行われます。
スポンジをおくことで神経の圧迫がなくなり徐々に症状が改善しますが、治癒率は100%ではなく、わずかなけいれんが残る場合もあります。
東洋医学では、頭重感が起きている状態は『湿邪』によって起こっていると考えられています。東洋医学では、外因によって体に異常がもたらされている場合、その外因を「邪気」としてとらえ、「風邪」「寒邪」「湿邪」「熱邪」「燥邪」「厚邪」の6つの種類があります。
頭重感はその中でも湿邪の病態の一種として考えられます。湿邪の特徴は、全身的あるいは局所的な水液の停滞や消化機能が起きやすいなどがあります。
湿邪は、周囲の環境の湿気との関係が強いと考えられています。体のどの部分が湿邪に侵されているかによっても症状の出方が変わってきます。
体の上部分ですと、頭重感や悪心、食欲不振などの症状が出て体の下部分ですと排尿困難や下肢のむくみなどがでます。
当院ではまず問診時に自律神経の状態を自律神経の状態を把握したうえで施術していきます。
頭重感で悩まされている方は、自律神経の状態が悪い場合が多く、全身的な自律神経のバランスを整えることはとても重要です。
そして、首肩や頭の筋緊張の緩和も重要です。筋緊張やコリのみられる部分に鍼やお灸を施すことで筋肉を緩めていきます。
その他、東洋医学的な観点より湿邪を排出して全身的な気血の滞りを解消するようなツボも用いて施術してきます。
また、頭重感で悩まされる方の多くは、下肢にも湿邪の病態が見られる場合が多く下肢のむくみや冷え症状があります。下肢の流れをよくすることでも頭重感の解消を促していきます。
30代男性
一か月ほど前から慢性的な頭重感と目の疲れ、首肩こりに悩まされている。PCを長時間使用する仕事に従事しており、この半年ほどは仕事が忙しく、睡眠時間も十分に確保できないほどだった。
肉体的、精神的に疲れが溜まっているのを感じるものの、環境を変えるのは難しいため鍼灸治療にて日常生活に支障がない程度まで回復できればとの思いで来院される。
当院での治療
自律神経測定器の結果、夜の時間帯にもかかわらず交感神経が過亢進状態でバランスに大きく乱れがみられました。まずうつ伏せで首から背部まで鍼やお灸で刺激を与え筋肉の緊張を和らげました、その後仰向けで頭部、目の周囲と律神経系を整えるツボに鍼とお灸を用いて刺激を与え目の周囲、頭部の血液循環の促進と全身的な血行促進、内臓機能調整、免疫力を高める施術を行いました。
1回目
鍼終えた後は首のコリが緩和され頭に血が巡る感覚があった。3日程調子よかったものの状態戻ってしまった。
2回目
目の疲れが少し緩和された。首と肩こりは施術後は楽になるが、1週間仕事をするとやはり徐々に状態戻ってしまう。
3回目
頭が少しすっきりしてきた。首肩のコリが以前より楽になり動きやすくなっている。
目の疲れは感じるものの以前よりは楽に感じる。
4回目
首肩こりが緩和されてから徐々に頭の重さも取れてきている。今週は週の後半に一度のみ症状出現したがそれ以外は特に気にならなかった。
5回目
残業が多かったため前回よりは症状強かった。目の疲れと首のコリがあるが、頭重感は出ていない。
6回目
調子が良い日のほうが悪い日に比べて増えてきている。首のつまった感覚が消失した。筋疲労は感じるものの寝れば楽になっているのでそこまで苦ではない。
7回目
頭重感ほぼ消失。首、肩こり、眼精疲労が以前よりはぐっと楽になった。症状安定しているため治療間隔を伸ばす。
8回目
前回来院時から一度だけ頭重感出現したが翌日には楽になった。
首のコリが少し気になる。眼精疲労は日によって感じるが翌日まで持ち越さない。
9回目
自覚症状ほぼ消失した。メンテナンスのため同じ治療内容で施術行う。また、体調悪化することがあったらまた来院されるとのこと。
症例2
40代 男性
1か月前から頭の重さに悩まされている。ひどい時は頭全体に鈍痛が起こり、仕事に集中できないこともある。念のため病院で検査を受けたが異常はなく、肩こりからくる筋緊張性頭痛と診断された。
普段はデスクワークで1日8時間パソコンを使用していて、忙しい時は眼精疲労やめまいを起こすこともある。
普段はストレスを感じることが多く、忙しさのため寝不足が続くと不眠になってしまうことがある。そのため慢性的な疲労感も抱えている。
運動は週に1~2回行っていて、ジョキングでリフレッシュしている。運動をすると頭がすっきりする。
当院の施術
この方はストレートネックと巻き肩の状態がひどく、首肩の筋緊張が非常に強い状態でした。特に後頭部から首の後ろ側のコリが強く、そこが頭痛やめまいを引き起こしている原因部になります。
不眠や慢性的な疲労が残りやすいというのは自律神経の乱れからくるものなので、自律神経調節治療と同時に、首肩と頭部の筋緊張に対する施術を行いました。
この方は首肩コリの自覚があまりなく、マッサージや整体、鍼灸も初めての経験だったため少し緊張されていたので、初回はあまり刺激を入れずソフトな鍼刺激で施術を進めていきました。慣れてきたら少しずつ刺激を強めて深い層の筋肉のコリにも対応していきました。
施術間隔は、週に1~2回になります。
経過
◇1回目◇
症状は変わりないが、とてもリラックスできた。
◇2回目◇
肩が軽く感じる。肩ほどではないが、頭の重さも軽減してきたような気がする。
◇3回目◇
頭の痛みが少なくなってきた。
◇4回目◇
忙しいと頭が重くなることがあるが、すぐにおさまる。
◇5回目◇
ほとんど気にならなくなった。
快適に日常生活が送れるようになっている。
頭重感とは、医学用語では「ずじゅうかん」と呼びます。症状としては、漢字の通り、「頭が重たい感じ」が続いてしまう状態です。
頭重感は様々な原因で発症します。中には、命の危険性のある疾患が隠されている場合もあるため注意が必要です。
・脳疾患
まず頭重感が起きて一番注意しないといけないのが、脳の疾患による頭重感です。くも膜下出血や脳卒中(脳出血・脳梗塞)、脳腫瘍などで頭重感が出ることがあります。頭重感のほかにも手足が痺れる・ろれつが回らない・視界が悪い・フラフラして歩くことが難しいなどの症状が出た場合は脳疾患の可能性もありますのですぐに病院を受診しましょう。
・筋緊張性頭痛
筋緊張性頭痛は、頸肩周りの筋緊張等によって側頭筋や後頭筋など頭部の筋肉も筋緊張が起こることによって締め付けられるような頭痛と頭重感やめまいなどの症状を呈します。今、デスクワークを中心とする職業が増えているためこの筋緊張性頭痛で悩まされている方が増えています。
座ってパソコン作業をするとどうしても姿勢は背中が丸まって手は前に出すような姿勢となります。すると、首の生理的な湾曲が失われてストレートネックとなり、頸肩に頭の重さが直に伝わることで頸肩への負担が増大することで筋緊張が起こりやすくなります。
・副鼻腔炎などの鼻症状
副鼻腔炎や鼻炎などの鼻づまりでも頭重感が起こることがあります。副鼻腔炎とは副鼻腔という鼻の穴の奥の部分に鼻水や膿が溜まって炎症を起こしてしまうことで頭重感や頭痛、嗅覚や味覚の異常などの症状を呈します。
・眼精疲労
目の酷使によって目の周囲の筋肉、眼輪筋などの筋緊張によっても頭重感が起こることがあります。
目の周囲の筋肉は、前頭部の筋肉や側頭部の筋肉をと繋がっており、目の周りの筋肉の疲労で筋肉が過緊張状態となっているとそれと連動して前頭部・側頭部の筋肉も引っ張られて緊張状態になりやすく、それが頭部の症状・頭重感や頭痛となって現れやすくなってしまうのです。
・急性緑内障
急性の緑内障は何らかの原因によって眼圧が急上昇してしまう疾患です。眼圧とは、眼球内を流れる房水という液体が眼球内で過剰になってしまいます。房水は、毛様体で生成されて一定の圧で眼球内を循環して眼球の形状を保つ役割があります。
通常、シュレム管という管から眼球外へと排出されますが、その部分が目詰まりを起こすなどして房水が眼球内で多くなると眼球内の圧(眼圧)が高くなってしまい、頭重感や頭痛、目の痛み、吐き気などの激しい症状が見られます。
また、眼圧が上昇するとその傍を走行している視神経を圧迫することで神経細胞が壊死してしまい視野が狭くなってしまったり、中心が見えなくなってしまう危険性もあります。
・自律神経の乱れ
自律神経の著しい乱れが、頭重感を引き起こすことがあります。自律神経は活動的な神経の交感神経とリラックス神経の副交感神経とがありますが、頭重感の症状が出ている人の特徴は、交感神経の活動が亢進していることが多いです。
交感神経は、朝から日中にかけて活動が高まりやすいことが特徴です。交感神経は、血管や筋肉を緊張させるため仕事や勉強中をはかどらせるためには非常に有効な神経ですが、その状態が長時間続いてしまうと筋肉は過緊張状態、血流は滞ってしまい老廃物質や発痛物質もとどまりやすくなってしまうのです。その状態が頸肩や頭部の筋肉に起こってしまうと頭重感となって現れるのです。
また、夜遅くまで仕事や夜更かしをしてしまうタイプに多いのが副交感神経の活動の弱まりです。夜は体を休める副交感神経の活動が優位となり、しっかりと休息や睡眠をとることで体の疲労は取れやすくなります。しかし、夜遅くまでの作業は副交感神経の活動を弱めてしまい体の疲労がたまりやすい状態になるのです。
そして、身体は調整する作用が働き体を休めようとするため逆に日中に副交感神経を高めようとします。しかし、仕事や勉強をしなければいけないという意思が働き心と体のギャップが生まれてしまいさらに自律神経を乱して頭重感を引き起こしやすくなってしまうのです。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院