
大腿四頭筋は、大腿(太もも)の前面に位置する四つの筋群で、大腿直筋(だいたいちょっきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)から構成されています。この4つの筋肉はすべて膝関節をまたいでついており、膝を伸展させるのが主な役割ですが、大腿直筋は唯一股関節もまたぐため、股関節の屈曲にも貢献しています。
大腿四頭筋は、筋繊維が鳥の羽のように斜めに並ぶ「羽状筋」というタイプの筋肉で、強い力を発揮することができます。
・大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)
大腿四頭筋の過緊張により膝のお皿の上側に痛みが発生します。膝蓋靱帯炎と原因は同じですが場所は違います。ジャンプ動作はもちろんダッシュなどの動作でも痛みが伴います。繰り返しの動作が続くほど受傷する可能性が高くなります。
・オスグッド病
10~15歳の成長期の子供が、跳躍やボールをけるスポーツをしすぎると発生します。大腿四頭筋の力は、膝蓋骨を経由し膝を伸展させる力として働きます。
オスグッド病は膝を伸ばす力の繰り返しにより、大腿四頭筋が膝蓋腱付着部を介して脛骨結節を牽引するために、脛骨結節の成長線に過剰な負荷がかかり成長軟骨部が剥離することで生じます。
・大腿四頭筋損傷
大腿四頭筋のうち損傷しやすいのが大腿直筋と中間広筋の二つです。大腿直筋は股関節と膝関節の二つの関節にまたがっているため特に損傷しやすいです。この筋肉に何らかの急激な牽引力が加わることで肉離れを起こしたり、外力が筋肉に加わることにより損傷します。
特に急激なストップとスタートを行うランニング動作を必要とするスポーツで起きやすい障害の一つです。筋肉が損傷すると発赤、腫脹、内出血、患部を押した痛みを伴います。受傷直後には、まずRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を的確に行うことが必要です。
・大腿四頭筋炎
大腿四頭筋炎とは、太ももの付け根や膝の2,3cm手前あたりに痛みや腫れを生じる疾患です。体を動かしているときや長時間立ったままの時に痛みが現れます。
椅子に座ったりして太ももをしばらく安静にしていると痛みが軽減するという特徴もあります。原因として加齢による太ももの筋肉の衰えや、バランスの悪い姿勢での長時間の立ち仕事、ハイヒール、外反母趾、偏平足、ハイアーチなど、足の骨の疾患を持っている人は、大腿四頭筋炎を起こしやすいです。
また、バレーボールなど、ジャンプを多く使う習慣のある人もこの疾患を起こしやすいことが知られています。
・変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝関節の変形と痛みを主症状とした進行性の病気です。40歳以上の中高年の女性に多く、その原因は様々で、加齢による膝関節の老化や体重増加(肥満)、外傷、素因(遺伝子)、生活習慣なども関与しています。
大腿四頭筋は歩行の際の蹴り出しと着地の際に、膝関節に加わる衝撃を吸収する役目を担っています。膝関節に加わる衝撃は普通に歩くだけでも自分の体重の1.5倍~2倍掛かると言われ、また階段昇降では2倍~3倍とも言われており膝関節と大腿四頭筋は切っても切れない関係です。
この大腿四頭筋が筋力低下を起こすとその衝撃をうまく吸収することが出来ず膝への負担がより一層掛かってしまいます。衝撃を受けた膝は時間の経過とともに変形していき、最終的には変形性膝関節症になってしまうということです。

東洋医学では人体には14本のエネルギーの流れがあると考えられていますが、大腿四頭筋は「小腸経」と関係のある筋肉です。
また、東洋医学では痛みを「痺証(ひしょう)」と呼びます。痺は「流れが悪く通じない」という意味で、身体の気や血の流れが悪くなり痛みを引き起こしていると考えます。また、これらの流れを妨害する原因としては風・寒・湿・熱・などの邪が侵入して起こると考えられています。
つまり何らかの原因で経脈(けいみゃく・・気血の流れる通路)が悪くなり気血が滞るためと考えるのです。
また、必要な気血などが足りない場合にも、筋肉が正常に働けずに痛みが出ると考えられています。

頭筋の筋緊張や膝の痛みに関与する場所に鍼やお灸を施します。
鍼灸は人間が持つ傷の修復作用を利用して、痛みにより固まった筋肉の緊張を緩和させます。
人間が体に傷を負うと血液循環が促進されるのですが、鍼灸では鍼やお灸を使用しあえて微細な傷を作り出すことで、血液循環を促し筋肉の緊張を緩和させます。
筋緊張が緩和され、血液循環が促進されると炎症物質や発痛物質の代謝を促し消炎・鎮痛効果、治癒促進の効果、関節可動域の拡大などが期待できます。
また、症状によって急性期には安静が必要な時期もあり、局所への治療はある程度炎症が治まってから行うのが無難ですが、この時期も経絡を応用した遠隔部よりのアプローチも消炎効果が期待できます。
症例
10代 男性
学校で陸上競技の短距離種目を行っており、練習中に太ももの前側を痛めた。
走るのはもちろん、歩行中や立ち上がり時に鈍痛が走る。
すぐに整形外科に診てもらい、大腿四頭筋の軽度の損傷と診断された。
アイシングを行い、基本的には保存療法といわれたが、少しでも早く競技に復帰したいと思い当院を受診した。
当院の施術
まず脚の状態を確認したところ、腫れはあまりみられなかったが、熱感があり炎症反応が起きている状態でした。内出血は見られませんが圧痛があり、歩行時の痛みをかばうため大腿全体的の強い筋緊張を確認しました。
発症したのが2日目とまだ炎症期だったため、初回は患部への刺鍼を避け、周囲の筋緊張を緩め、患部にはお灸を行い炎症を抑える施術を優先的に行っていきました。
数日後、炎症を治まってきたことを確認し、次に患部に直接刺鍼し、低周波鍼通電法を行い、筋肉の修復と鎮痛を目的とした施術を行っていきました。
施術間隔は週に2回ペースで行い、状態の改善状況に合わせて少しずつ間隔を空けていきました。
経過
1回目
抗炎症を目的とした施術。
その他も大腿四頭筋の負担を減らすために、腰部や臀部、下肢の筋緊張を緩和も行う。
2回目
まだ痛みは続いているが、安静時のジンジンする痛みは軽くなってきた。
3回目
安静時痛は消失。
歩行時も痛みが軽減してきた。
炎症が治まってきたため、低周波電気鍼療法を開始。
4回目~6回目
痛みが軽減され、歩行時もあまり気にならなくなってきた。
7回目~9回目
走るとまだ痛みが出るため、ランニングはまだできない。
歩行時痛は消失したため、ウォーキングと補強運動を中心に練習を行っている。
10回目~12回目
スローペースの軽いランニングなら痛みが出ない。
13回目~15回目
5割程度のスピードダッシュなら痛みや不安なく走れる。

東洋医学からみた変形性膝関節症は気血両虚か『肝腎両虚』によるものだと考えます。
膝には肝、脾、腎の三経が通るため非常に重要な部位になるため障害が起こりやすいです。
三経の内、肝は筋を、脾は肌肉を、腎は骨に関係します。
この三経の状態を治していくことが変形性膝関節症の治療になります。
腫れがひどい場合には、湿熱や寒湿、熱毒、湿毒などの関係も調べて治療していきます。

膝の状態が悪く痛みをかばったまま歩行をしていると腰部の筋緊張を招くことが多く、膝の治療に関しましても腰部や背部の筋緊張緩和を目的に施術を行っていきます。

当院では、自律神経を測る機械で自律神経のバランス状態を調べてから治療に入ります。
交感神経や副交感神経のバランスが崩れていると血行状態がわるくなり回復が遅くなります。痛みはストレスからも引き起こされるため自律神経のバランスが悪いため免疫やストレス耐久力なども痛みの原因となります。
東洋医学から調べた肝、脾、腎に合わせて自律神経を整えることで、変形性膝関節症の治療速度を速めます。

膝は骨盤からの影響を受けやすい部位です。骨盤が歪んでいるために膝に負担がかかり変形性膝関節症になる場合もあります。骨盤が前傾や後傾、左右の歪みにより下肢が正しく地面に着けなくなると間の膝が損傷しやすくなるためです。
当院では、関節の歪みを整える治療法がありますので、歪んでしまった骨盤や股関節、膝関節の矯正を行います。
関節の歯車を上手く整えることで関節内の関節液が出やすくする状態に治してあげることで、関節の動きをスムーズにしていくことができます。
変形性膝関節症の痛みに対する鍼治療の有効性を示す研究が海外でも行われています。
南スペインの公立プライマリーケアセンター疼痛治療班の研究では、変形性膝関節症患者に対する薬物療法の補助治療として鍼の有効性を確かめる試験が行われました。
変形性膝関節症の治療に通る患者97名を対象に試験が行われて、患者をランダムに2つの群に割り当てました。
一つ目の群は、非ステロイド性抗炎症薬の投与に加えて鍼治療を行った群(48名)で、2つ目の群は非ステロイド性抗炎症薬の投与と偽鍼治療群(49名)です。鍼治療群では電気鍼治療も加えて治療期間は12週間行いました。
評価法は、疼痛・こわばり・身体機能に関するサブスケールと疼痛強(VAS)・生活の質プロフィールなども用いて変化を見ていきました。
結果は、鍼治療を行った群が疼痛・こわばり・生活の質全てにおいて偽鍼群よりも顕著に改善されたという結果が出ました。
症例 1
40代 男性
数か月前より右ひざに痛みが出るようになった。特に朝や座って立ち上がるときなどに痛みが強く出て症状が強く出るときは立ち上がり動作がつらくなり、すっと力がぬけてしまう感じがしていた。あまりに痛いので整形外科を受診したところ変形性膝関節症と診断されてしまった。その時は膝に注射を打って数日痛みが治まったが、数日経つとまた痛みが出てくるため整形外科では手術を勧められた。しかし、知人で同じような手術をした方がいてその方はあまり症状が改善されなかったため手術を何としても回避したいと考えて当院にご来院された。
施術
まず仰向けになっていただき、膝周囲に鍼通電療法とお灸療法を施し、次にうつ伏せで膝裏や腰部にも施術していきました。最後に下肢から腰部にかけて入念にストレッチと骨盤矯正を行っていきました。また、30代の時と比べると体重が20キロほども増えていたためそれが膝への負担を増加させていると考えられているため日々の生活で体重減少と下肢の筋肉のトレーニングを行っていただきました。
◇1回目◇
治療後、立ち上がり動作は楽になったと感じた。次の日の朝も以前よりは痛みを感にくくなった。
◇2~5回目◇
治療後は膝の調子はいいが、数日するとまたもどってしまう状態を繰り返していた。
◇6~10回目◇
体重も徐々に減少。膝への負担も軽減してきた。膝の痛みも感じることが減ってきて立ち上がり動作をしても痛みはほぼない。
症例 2
20代 女性
半年ほど前に、バレーボールをしている際に膝を打撲した。以来、膝に違和感や、運動時に痛みを感じるようになった。膝を曲げ伸ばしする際に膝周囲に違和感や痛みを感じる。整形外科での画像検査では問題はなかった。湿布薬が処方され、リハビリでマッサージを受けたが、痛みや違和感が取りきれず、当院へご来院された。
施術
痛みが出ている膝周囲には鍼通電療法とお灸を用いて、血行促進と筋緊張を緩和させるような施術をしていきました。自律神経測定器の結果では、夜の時間帯でしたが、過剰に交感神経が働いている状態で、肉体の疲労度も高い状態でした。自律神経の乱れや肉体の疲労が溜まっている状態ですと、身体の回復力も低下してしまいます。全身的な自律神経調整も同時に行いました。
一回目
施術後は、膝が動かしやすくなった。
二~五回目
膝の痛みや違和感が減った。
六~十回目
膝の痛みはほぼ感じなくなり、楽に動かせるようになった。
変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減って、関節炎や変形を生じて痛みなどを引き起こす病気です。
変形性膝関節症は傾向として、肥満型の女性に多くなりやすい病気です。性別差では1:3の割合で女性の方が多いです。関節軟骨の退行性変性は体重による負荷が関係するため肥満体型の方がなりやすいと考えられています。
原因がはっきりしない加齢によって起こる変形性膝関節症と、何らかの原因により生じる二次性の変形性膝関節症に分類されます。
変形性膝関節症の約8割が膝関節の疾患がなく発症する一次性のものです。
二次性の疾患には、十字靭帯損傷や半月板の外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症、痛風、骨折、脱臼などが影響して起こるものです。
一次性変形性膝関節症は軟骨の退行性変性によって起こるものです。
一次性の変形性膝関節症では、その主因と考えられている膝関節の関節軟骨における退行性変性は40歳代から始まり、50歳代を過ぎると膝痛を中心とした症状の発症が起こってきます。
変形性膝関節症は、関節軟骨の退行性変性を原因とする疾患である。すなわち、加齢による膝関節の関節軟骨の変性によるもので、このため本疾患は高齢者に多くなります。
正常の膝関節の表面には、弾力性に富んだ軟骨に覆われています。この関節軟骨が衝撃や外力からのクッション材になることや、関節の動きを滑らかにする役割があります。
また周りを覆う滑膜からは膝関節がスムーズに動くための関節液がでます。この関節液には、関節の潤滑油と軟骨の栄養の役割があります。
変形性膝関節症の初期段階では、この関節軟骨が摩耗によりすり減り痛みを感じ始めます。膝に負担がかかる動きで感じやすいので、立ち上がり時や、階段昇降時などです。
この状態が続くと状態が進行して、軟骨部分が摩耗により下の骨が変形してくるようになります。この部分が骨棘となり擦れるたび強い痛みを生じるようになります。
この段階になると日常生活でも大きな障害になりますし、骨同士がぶつかり合うため関節の可動域も大きく制限されてきます。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
・大臀筋
お尻を形成する大きな筋肉で、臀部の筋肉の最も表層部に位置します。大臀筋の作用は主に股関節の伸展動作に働き、その他に股関節を外旋させる作用もあります。歩行や走る動作など全ての日常動作に関与します。
・中臀筋
大臀筋の上部に位置し、一部は大殿筋に覆われている筋肉で、股関節の外転、屈曲、伸展、内旋、外旋といった動きに関与します。直立のとき、小臀筋と共に骨盤を支える筋肉で、例えば歩行中体重が片足にかかった時に逆側に骨盤が傾かないように保持する筋肉でもあります。もし、この筋肉に障害や機能不全が起こるとトレンデンブルグ徴候が見られるようになります。
※トレンデンブルグ徴候とは
立っているときや歩行の際に反対側の骨盤が下がってしまう現象で、股関節障害の検査法の一つです。骨盤が下がることで重心が左右に振られ、側方に揺れるような歩き方になってしまいます。
・小臀筋
小臀筋は臀部上部側面にあり、中殿筋の深部にある筋肉です。作用においては中臀筋とほぼ同じで主に股関節の外転や内旋などの動作に関与します。中臀筋と同じように片足に重心をのせたときの軸足の骨盤の安定にも関与しています。
深層外旋六筋(股関節の外旋動作に重要な働きをする筋肉群)
・梨状筋
大臀筋のさらに深層にある筋肉で、文字通り梨の様な形をした筋肉です。主に股関節の外旋に働く筋肉ですが、深層外旋六筋のうち上方に位置しており貢献度は低いものの股関節の外転にも関与しています。また、股関節の安定にも関わる筋肉です。日常動作では、歩行時に方向を転換する際や、立位など股関節を安定させる全ての動作に関与しています。
梨状筋下孔を通る坐骨神経は梨状筋の絞扼を受けやすいので、その影響で坐骨神経痛が出現する場合があります。これを梨状筋症候群といいます。
・内閉鎖筋
股関節の外旋動作に関わる深層外旋六筋の中で最も強力な筋肉で、日常動作では歩行の安定、歩行時の方向転換時、体の向きを変える際の軸足の動き、直立姿勢での骨盤の安定などに貢献しています。
・外閉鎖筋
外閉鎖筋は内閉鎖筋の裏側にあり、外旋深層六筋の中でも最も深部に位置する筋肉です。作用として股関節の外旋と股関節の内旋にもわずかに関わっています。日常動作には歩行時などの方向転換で体の向きを変える時に動きのサポートと制御に働きます。
臀部の痛みを引き起こす怪我や疾患
・腰椎椎間板ヘルニア
椎間板は繊維輪と髄核でできていて、背骨を繋ぎクッションの役割をしています。その一部が出てきて神経を圧迫すると腰部、臀部痛、下肢に痺れや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなります。椎間板が加齢などにより変性し繊維輪に亀裂が起こり断裂して起こります。悪い姿勢での動作や作業、喫煙でヘルニアが起こりやすくなることが知られています。
・梨状筋症候群
スポーツなどによる梨状筋を含む股関節周囲の筋肉が硬くなり臀部に痛みを生じる状態を指します。梨状筋の真下を通る坐骨神経を圧迫すると臀部痛、大腿後面痛などを引き起こします。
・腰部脊柱管狭窄症
脊柱管は背骨の中央にあり、脊髄とそれに続く神経(馬尾神経)が通っています。この脊柱管が何らかの原因で狭くなり中を通る神経を圧迫するのが脊柱管狭窄症です。
臀部、下肢の痛み、痺れ、間欠性跛行などの歩行障害が見られます。脊柱管狭窄症の原因は加齢による椎間板の変性や後方の椎間関節の肥大と考えられています。
・仙腸関節障害
仙腸関節とは骨盤にある仙骨と、腸骨の間にある関節で、周囲の靭帯により強固に連結されています。仙腸関節は脊椎の根元にある関節で3~5mm程度の可動域しかありません。この関節では日常生活の身体を支える働きとして根元から脊椎のバランスをとっています。中腰での作業や不用意な動作、あるいはその繰り返しの負荷で関節に微小な不適合が生じ、周辺の靭帯や筋肉に痛みが発生してしまいます。
症状として片側の陽臀部痛、下肢痛が多く見られます。
・肉離れ
肉離れとは運動やその他日常生活の動作で、筋肉に急激な負荷がかかった際に起こりやすい症状です。筋肉が吸収できないほどの負荷が筋肉にかかると筋肉がダメージを受けて損傷し、患部が腫れたり内出血を起こすなどの症状を起こすこともあります。軽度、中度、重度とあり症状の度合いによっては歩行困難となるほど生活への支障も出やすいのが肉離れです。
臀部の痛みの原因は様々ですが、大きく分けて3つの原因が考えられます。
・肉離れ、打撲などの外傷
・椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの腰部の構造的な変形
・腰と臀部の筋肉との連携に機能不全が起きている状態
肉離れや打撲などの外傷による臀部痛は痛み出したきっかけを本人が自覚している場合が多く、損傷の程度が大きくなければ治癒までの期間を安静に過ごしていればその後長期にわたって痛みが続くことは通常ありません。
鍼灸治療では炎症による痛みでも、患部の血液循環を促進し炎症物質の代謝を早めたり、お灸による抗炎症作用により治癒を早める効果が期待できます。

腰部の構造的な変形の場合は臀部の知覚を支配している神経に圧迫や摩擦といった刺激が加わるとその神経の影響下に痛みや痺れが現れます。そのため腰や臀部、下肢のツボに鍼やお灸で刺激を与え、血液の循環を良くしたり筋肉の緊張を和らげることで神経の圧迫や摩擦を軽減させ症状を抑えるのが目的となります。
筋肉や筋膜、靭帯などの軟部組織に機能不全が起こる原因は様々で、お仕事などで長時間の座位、立位、反復的な負荷などによって臀部の筋肉が緊張していたり、姿勢不良による関節のバランスの崩れ、産後の骨盤の関節のねじれや歪み、スポーツによる使いすぎなどが挙げられます。
鍼灸治療では腰部、臀部、下肢の重要なツボに鍼やお灸で刺激を与え、血液循環の促進と筋肉の過緊張を和らげ関節のバランスを整えます。また、必要であれば鍼に微弱な電気を流すことで痛みを抑制する効果を促していきます。
また、当院では自律神経調整の治療も合わせて行い、内臓機能を高めたり全身的な血行を促進し、免疫力を高めることで、全身的なバランスを整え症状が治癒しやすいお体の状態を整えていきます。

40代 女性
デスクワークで長時間座っていることが多く、1時間程座っていると右側のお尻の部分が痛く太とももの裏に軽いしびれが出るようになってしまった。
接骨院などでマッサージを受けていたがあまり改善されなくなって鍼灸治療に興味を持って当院にご来院されました。
治療
身体の筋肉が固まってしまっている所など触診をしていった結果、腰部と臀部の筋緊張、大腿外側部や鼠径部の筋緊張もみられました。
まずうつ伏せになって頂き腰部や臀部、大腿外側部の筋緊張の見られる部位に鍼を刺して電極を繋げる鍼通電療法を行っていきました。その後、大腿周りの筋肉をストレッチなどでもほぐしていきました。
次に仰向けとなって頂き、鼠径部にも鍼を刺してゆるめるほかに大腿前面と下腿前面の筋肉にもアプローチを行っていきました。
経過
毎週末に1回ほどの治療ペースで2ヶ月ほどご通院して頂きました。
30分~1時間ごとに立たないと臀部の痛みが耐えられない程でしたがだんだんと痛み始める時間が延びてきて最終的にはほぼ痛みやしびれを感じないようになりました
症例 2
40代 男性
もともと腰椎椎間板ヘルニアを患っておりだましだまし生活を送っていたが、ここ2,3週間前から臀部の痛みがひどくなってきた。痛みの感覚は痺れというよりも鈍痛で、少し長い時間の歩行や椅子に座っている時間が長いと痛みが増してくる。
職業は美容師で座位や中腰の姿勢で作業することが多く、コルセット無しでは仕事できない状態。
腰痛もあるが、臀部が辛すぎて腰の痛みは軽く感じる。
当院の施術
初回は仰向けとうつ伏せになると痛みが強くなるため、横向きで施術を行いました。
臀部を触診すると、大殿筋、中殿筋、大腿筋膜張筋といった浅層の筋肉の緊張が強く感じられました。
臀部や腰周囲の筋緊張が強い場所や、トリガーポイントに鍼で刺激し低周波鍼通電で固まった筋肉を緩めていきました。
主訴に対して以外にも全身の血流の改善と自然治癒力を高める目的で自律神経の調節も同時に行いました。
痛みが軽減してきたら、首肩コリや他の症状に対する施術も同時に行っていきました。
経過
1回目
少し痛みが軽減した。
まだコルセットは不安で外せない。
2回目
少しずつ痛みが軽くなってきている。
3回目
徐々に痛みが軽減。施術後は楽になるが、仕事をしているとまた痛くなる。
4回目
痛みがかなり楽になってきた。
筋肉の張りも取れてきた様子。
5回目
ためしにコルセットを外して仕事を一日してみたが、問題なく過ごせた。
症例 3
50代 女性
数年前から腰部ヘルニアを患いリハビリを受けてきたが、ここ最近座り仕事が多くなったためか臀部の痛みが強くなってきた。
特に仕事中や長時間の歩行時、仰向けで寝ると痛みが強くなる。
足の痺れはないが、ひどい時は太ももから下肢の方まで重だるくなる。
腰は軽いと重だるい程度だが、ひどくなると痛みが出て行動が制限してしまう。
当院の施術
仰向けになると腰が辛くなるというう事ですので、横向きとうつ伏せで対処していきました。
また、首肩のコリも強く感じるという事ですので、首肩コリに対する施術も同時に行っていきました。
腰と臀部の硬結、首肩のトリガーポイントに刺鍼し、臀部と首肩には刺入した鍼に電極をつないで電気を流す低周波鍼通電方法で筋肉の緊張をしっかり緩めていきました。
施術間隔は、1週間に1~2回程度で通っていただきました。
経過
1回目
少し楽になったが、歩くとまた張ってくる。
2回目
まだ痛む。
3回目
少し楽になる時間が増えてきた。
4回目
忙しかったり、負担が掛かると痛みが強くなる。
5回目
まだつらい時もあるが、痛みが軽減してきた。
以前より長い距離が歩けるようになってきた。
6回目
痛みが軽くなってきたため、行動範囲が増えてきた。
7回目
まだ痛みや重だるさはあるが、楽に日常を過ごせるようになってきた。
僧帽筋は首の後ろから背中の上部、肩にかけて広がる、主に肩の動きを司る肩の筋肉の中で最も大きく、背部の一番表層にある筋肉です。後ろから見ると首、左右の肩、下の第12胸椎を結ぶ四角形に見えて、ちょうどカトリックの僧侶の付ける頭巾(フード)の形に似ていることから僧帽筋と呼ばれています。
僧帽筋は上部、中部、下部に分けることができ、それぞれ違った役割を担っています。

・僧帽筋上部
上部は後頭部の付け根(後頭骨)から鎖骨につながっており、鎖骨の引き上げに特に関与します。
・僧帽筋中部
中部は頸椎の下部(第7頸椎)と胸椎の上位(第1~第3胸椎)から肩の端(肩峰)や肩甲骨の上に出っ張り(肩甲棘)につながっており、肩甲骨を挙げたり内側に寄せたり、腕を外から回しながら上げたりする際に使います。
・僧帽筋下部
下部は胸椎の中程(第4胸椎)から、下(第12胸椎)にかけて始まり肩甲骨につながっており、肩甲骨を下げたり、内側に寄せたり、腕を外から回しながら上げたりする役割を果たします。
また、僧帽筋が一緒に動くと手を頭の上まで上げることが出来ます。僧帽筋の重要な働きは腕の上部外側にある三角筋の働きを助けるために肩甲骨を安定させる役割であるともいえます。この働きにより肩に物を担いで運ぶことが出来るのです。
僧帽筋の働きは主に肩甲骨の動きに深く関わっています。動作でいうと重い頭の角度を保ったり、腕の重さを支える、肩をすくめたり、肩を横に張る、重い荷物を持つときに腕が下に引っ張られないように支えたり、肩に物を担いで運ぶ時などに働いてくれます。
肩こりの原因になる筋肉は色々ありますが、その中でもこの僧帽筋は日常生活でも酷使傾向にあり、肩こりに最も関係が深い筋肉といわれています。
肩こりは主に僧帽筋に筋疲労が蓄積して凝り固まることで起こります。
僧帽筋が硬くなる原因は色々ありますが、肩甲骨を動かす僧帽筋は背骨や上肢と繋がっているためそのつながりのどこかに無理が生じることで間接的に影響を受けることもあります。
・同一姿勢、不良姿勢(なで肩、猫背、巻き肩)
重さが約5~6kgの頭部を支えるのは頸椎の後面にある僧帽筋を始めとする筋群です。そのため、まっすぐ前を向いているときは良いのですが、下を向くなどして頭が前に出て猫背になると首や肩の筋肉に2~3倍の負担がかかります。
また、「なで肩」の人は僧帽筋の筋肉量が少ないので肩に疲労がたまりやすくなります。特に筋力が弱い女性はなで肩で疲労がたまりやすく、肩こりが発生しやすくなります。
さらに「巻き肩」といって肩甲骨が正常な位置よりも外側に開き、通常よりも肩が前に出た状態は首から肩、背中にかけて大きく広がる僧帽筋が引き伸ばされ、筋肉が緊張した状態が続くので肩こりが起こりやすくなります。
最近では多くの方が一日中パソコンに向かったり、下を向いてスマートフォンを触っていることが多いといわれています。そういった方は全体的に僧帽筋が引き伸ばされて肩こりを起こしやすいのです。
僧帽筋は副神経という脳神経に支配されており、精神的ストレスや脳の疲労の影響を受けて緊張する特徴があります。
僧帽筋の過緊張は筋緊張性頭痛や、自律神経症状(吐き気、めまいなど)を引き起こす原因にもなります。

僧帽筋は首の付け根にも存在しているため、肩こりと同時に首が痛くなることもあります。
また、寝違えによる首の痛みにも僧帽筋の過緊張や炎症が関与している場合があります。
脊柱は頸椎、胸椎、腰椎というように続いており、頸椎と腰椎に挟まれた胸椎部の背面を一般的に「背中」といいます。
僧帽筋は頸椎、胸椎から肩甲骨というように広く背中に走行しており、長時間の同一姿勢や重い物を運ぶ、持ち上げるなどの重労働などが原因で筋疲労を起こし痛みを生じることがあります。
緊張型頭痛は側頭筋や後頸筋群、僧帽筋などの頭から首、背中にかけての筋肉のコリによって痛みを感じる神経が刺激されて起こると考えられています。
また、頸部には自律神経が通っているため僧帽筋の筋緊張が自律神経を刺激し自律神経のバランスを乱し、偏頭痛を起こす原因になることがあります。
・長時間の同一姿勢(デスクワーク、スマホ操作、読書など)
・ストレスによる緊張(自律神経の乱れ)
・慢性的な運動不足
・エアコンなどによる冷え
・重いバッグを肩にかける
・不適切な枕
・歯ぎしりや食いしばり
などが挙げられます。
当院では治療の前に自律神経測定器にて、自律神経のバランスや血管の状態、ストレス度、疲労度などを測定しお体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
全身の循環や内臓機能などを司る自律神経のバランスを整える治療を行い、体の自然治癒力を高めます。
肩こりは僧帽筋だけが悪くなるわけでなく、その周辺の筋肉も緊張されていることが多いです。僧帽筋への施術と並行にその周りの筋肉を緩めるアプローチをかけていきます。

症例
30代 女性
2週間前から肩から背中にかけてコリ感が強くなり、最近は鈍痛が走るようになってきた。
以前から慢性的な肩こりはあったが、痛みが走るのは初めて。首を前傾させると肩甲骨の内側の張りが強くなる。
以前はあまり感じなかった頭の重さや痛みも気になるようになってきた。
仕事はデスクワークで平均8時間、多い日には10時間以上パソコンに向かうこともある。運動をすると楽になるため、余裕がある時は軽いジョキングやウォーキング、ストレッチをするようにしている。
当院の治療
まずは、首の可動域の左右差や、筋肉の柔軟性を確認しました。また、神経、筋肉それぞれの鑑別のため徒手検査も行いました。
施術では首や肩、背中の僧帽筋に沿った筋緊張の強い硬結に低周波の電気鍼治療で刺激、さらに自然治癒力、全身の血流促進を目的として自律神経調節治療も行いました。
経過
◇1回目◇
身体がとても軽くなった。
首や肩、肩甲骨の痛みも軽減。
◇2回目◇
以前は仕事中に肩こりが辛くなることが多かったが、最近は気になることが少なくなってきた。痛みもほとんど気にならない。
◇3回目◇
忙しいと痛みが出ることがあるが、鍼をすると楽になる。
◇4回目◇
痛みはほとんど感じなくなった。
筋肉のコリも柔軟性が出てきている。
◇5回目◇
コリ感もあまり気にならない。
非常に安定している様子。
初回に比べて顔色も良くなって表情が明るい。
現在もメンテナンスで定期的に通院しています。
症例 2
20代 男性
去年大学を卒業し、社会人になって1年が過ぎたところで首肩のコリがひどく感じるようになってきた。仕事はデスクワークで少なくても1日8時間はパソコンを見ている。仕事を始めた頃は慣れない作業のため首や肩の張り感が辛く感じるようになったが、少しづつ慣れてきて何もケアをしないで過ごしてきた。しかし1ヶ月前から忙しくなり、仕事量が増えたこともあり、首肩の筋緊張が強く感じ辛い。
辛い今の状態を打破したく、当院を受診した。
当院の施術
まず、うつぶせで背中、肩、首の筋緊張、硬結部に刺鍼し、低周波電気鍼療法を行っていきました。初めて鍼灸を受けるため少し緊張している様子でしたが、痛みには強く、鍼の響きも問題無いご様子のため、初回からしっかり刺激を入れて行きました。
低周波電気鍼を15分流した後は、あお向けになり自律神経を調節することを目的とした施術も行っていきました。
施術の間隔は、週に1~2回のペースで通っていただき、改善後は間隔を空けてメンテナンスのため定期的にご来院いただきました。
経過
◇1回目◇
肩だけではなく、身体が軽くなったような気がする。
しかし、次の日には元に戻る。
◇2回目◇
まだコリ感、張りと共に感じるが、首が前より動かしやすくなっているような気がする。
◇3回目◇
肩が楽になってきている。
◇4回目◇
仕事が忙しくなると、また張り感が強くなってきた。
◇5回目◇
筋肉の緊張が軽くなってきた。
◇6回目◇
仕事に没頭すると、コリが強くなるが、定期的に通院中。
食欲不振を東洋医学的に診ると、『気』の作用が深くかかわってきます。気の病態には、大きく分けて気が少なくなる『気虚』と気が停滞してしまう『気滞』とがあります。
・気虚
気虚は気の作用不足によって臓腑の機能低下や免疫機能の低下などが現れます。食欲不振に関しては特に脾胃の機能が低下してしまう脾胃気虚という病態がかかわってきます。脾胃気虚では、食欲不振の他にも消化が悪くなったり、味覚が感じられなくなるなどの症状が出てきます。
・気滞
気滞は、全身をまわって人の活動に作用する気がどこかで停滞してしまうことによって起こる病態で、精神的ストレスや病邪の進行などが原因となります。特に五臓六腑の胃の部分で気が停滞することを胃気滞といい、胃酸が逆流してしまう呑酸や悪心・嘔吐などの症状も出てきます。近年よく聞かれる逆流性食道炎もこの胃気滞に当てはまります。
逆流性食道炎の鍼灸治療について
※東洋医学で食欲不振に効果のあるとされる食べ物
東洋医学で食欲不振の効果のある食べ物は数多くあります。
その中でも今回はミカンの皮をご紹介させていただきます・ミカンの皮は古くから漢方では用いられている食材の一つです。ミカンの皮は、明時代の薬物学書では陳皮と書かれ、湿邪を取り除いて気の巡りをよくするという効能を持つされています。
胃腸の働きを助けるは効能があって食欲不振や痰・喘息にも効果があります。ただし、ミカンの皮は、熱っぽくてのぼせ気味の方や高血圧の方には良くないとされ、摂取しすぎてしまうと痰を生じやすくなってしまうため注意が必要です。
また、特に日本で生産されているミカンは改良されていて甘みが増しているため、食べ過ぎてしまうと体内で処理しきれない水分を体内に溜め込みすぎてしまう危険性もあります。
しかし、ミカンの皮には基本的に消化を促進させて胃腸の働きを活発化させて食欲を増大させる効果が期待できますので、食前にフライパンで少し焦げるまでいっておいてお湯につけて飲むと効果的です。
また、しゅんぎくも食欲不振に効果があるとされています。ベータカロチンが豊富でビタミンCやBなどビタミン類も豊富でカルシウムや鉄、ミネラル、食物繊維もバランスよく含まれています。しゅんぎくは食べ過ぎないようにすればどの体質の方にも良い効能があるとされる数少ない食物です。食欲不振の解消やコレステロールの減少作用、整腸作用の他に肌の美容効果もしゅんぎくを適量に摂取することで期待できると言われています。
食欲不振に対する治療では、自律神経の状態が深くかかわっているため初診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定していきます。その結果をもとにして一人一人に合った施術を選択していきます。

また、東洋医学的に診ると気の流れをよくることが食欲不振を解消することには重要です。特に胃脾の機能を回復するツボを用いたり、全身の気の巡りをよくする特効穴も鍼灸施術などで刺激していきます。

今までで一度は食欲がわかない・食事を摂っていないのにお腹が空かないという経験をされたことがあるかと思います。食欲不振が続いてしまうと単に栄養素が体に送り込まれないというばかりではなく、心身の様々な病状、胃潰瘍・胃がん・心筋梗塞・心不全・うつ病・自律神経失調症などが食欲不振として現れている場合もあり、注意が必要です。その他、食欲不振が長く続いている状態ですと、拒食症や摂食障害の場合もあり、命の危険性も伴うこともあります。
食欲がわかないと軽く考えることは危険で長く続いた場合や食欲不振の他にも身体症状が出てきた場合は早急に対処する必要があるのです。

まずは、食欲がわくメカニズムについて簡単に書かせていただきます。
食事を摂って栄養素を体内に取り込むことは、人間が生きていくためにとても重要な行動の1つです。食欲を主っているのは、脳の視床下部という部分にあります。視床下部は間脳という部分に位置して、自律神経の調整機能や内分泌を調整する機能も備わっています。視床下部の外側野には食欲を促進させる摂食中枢があり、内側野には食欲を抑制させる満腹中枢という器官があります。
視床下部にはその他にも、喉の渇きを感じて水分を摂るように行動する渇中枢や、体温調節中枢・性中枢・睡眠に関する中枢・怒りや不安などの情動に対する中枢までもあるとても重要な器官です。
食欲には、体内のエネルギーが減少してエネルギー源を取り込もうとする本能的なものと目の前の美味しそうな食べ物を食べたいという欲求的なものとがあります。
本能的なものに関しまして運動などの活動により体内のエネルギーが消費されてくると血糖値が低下してきます。すると体に蓄えていた脂肪を分解して遊離脂肪酸という物質を血中に放出してエネルギー不足を補おうと体が反応します。この分化された遊離脂肪酸の血中の情報は視床下部にある摂食中枢に伝えられて空腹感となって体にあらわれてくるのです。この過程がうまく機能すると食欲がわくという体の反応が起こるのです。
食欲がわかない原因は、大きく分けて生活習慣の乱れ・自律神経の乱れ・ホルモンバランスの変化・胃腸などの内臓の不調が挙げられます。
・生活習慣の乱れ
生活習慣の基本は、食事・運動・睡眠であり、運動や睡眠状態が良くないと食欲もわきづらくなってしまいます。エネルギーは、基礎代謝と運動や仕事などの活動によって消費されます。基礎代謝とは、生命活動を維持するために必要なエネルギーのことで心臓などの内臓の働きや脳の働きなどで消費されるエネルギーのことです。
基礎代謝は何もしていなくても消費されるエネルギーなので、仕事や運動などの活動量が減ってしまうことが食欲不振の原因となってきます。運動などの活動量の減少は、体外からのエネルギー補充の必要がなくなってしまうことで本能的に食欲不振に陥ってしまう危険性があります。
また、睡眠不足や睡眠時間が定まらない不規則な睡眠習慣は、人間が本来備わっている自律神経バランスの恒常性が保たれなくなってしまうことで自律神経の乱れに繋がってしまい食欲不振の原因となってしまうのです。
・自律神経の乱れ
自律神経とは、自分の意識とは無関係に働いている内臓や脳の働きを主っている人間の生命活動にはとても重要な神経です。自律神経には、活動的な神経である交感神経と体を休める作用のある副交感神経とがあります。
基本的に日中など仕事や勉強中などに優位になるのが交感神経で逆に夕方から夜にかけて体を休める時間帯に優位になるのが副交感神経です。夜遅くまで仕事などをしていて夜に交感神経が優位な状態が続いてしまっていたりと自律神経のバランスが崩れてしまっている状態を自律神経の乱れといい、身体に様々な悪影響を及ぼします。
食欲の観点から自律神経をみますと、自律神経と胃の活動の関係性がキーポイントとなってきます。自律神経のリラックス神経である副交感神経は胃の活動をつかさどっています。副交感神経の活動がうまく機能していないと空腹の状態でもエネルギー補充しないとという指令が脳に届きづらい状態となってしまうのです。
また、よく夏バテをすると食欲が落ちると言われますが、室内と室外との気温差が自律神経のバランスを崩すために胃の働きを低下させるために生じると言われています。
・ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れでも食欲不振になってしまいますが、その多くは女性です。特に妊娠中や更年期などにホルモンバランスの変化が激しい時は食欲不振に陥りやすくなってしまいます。
その他、甲状腺機能低下症でも食欲不振に陥ることがあります。それは甲状腺ホルモンが不足していることで生じて、甲状腺ホルモンは全身の代謝を維持しているホルモンなのでこのホルモンが低下することで全身の倦怠感や体温の低下なども引き起こします。
・胃腸などの内臓の不調
慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなど胃腸の病気は食欲の低下が起こります。食欲の低下が数日間続いて、みぞおち当たりの痛みがあったりお通じの色が変化している場合は、何らかの病気を発症している危険性がありますのですぐに病院で診断を受ける必要があります。
60代女性
年末年始の忙しさから2月あたりから食欲があまり感じられなくなってしまった。苦みや塩気はわかるが、他の味は以前のようにあまり感じられない。病院で検査を受けたが、特に原因が特定されずに多少唾液量が少ないか、逆流性食道炎の疑いがある程度で気にする必要はないといわれたとのことでした。
発症前は食べることが好きで料理も趣味だったが、味のおいしさも感じられなくなったため料理もやる気が起こらずにそれがストレスとなって悪循環に陥ってしまっている状態。
なんとなく日常生活にも活力がわかずに睡眠も早朝覚醒が見られたため何とか東洋医学で改善したいとのことで当院のご来院された。
自律神経のバランスも乱れがちだと推定されるので自律神経の測定なども行っていき、自律神経のバランスを整えるツボや胃腸に関するツボ、唾液腺周囲に関するツボを使用して施術を行っていきます。
経過
特に自律神経測定の結果から交感神経の活動が高く、手足の冷えや猫背気味の姿勢で胸部の慢性的な圧迫が考えられるためそのあたりを中心に鍼灸治療を施していきます。
1回目の施術後多少ではありますが、味がわかるようになって夕食を食べることが出きたとのこと
特に朝食がつらく、シリアルを何とか食べているがほとんど食欲がわかずにつらい状況
4回目の施術後あたりから身体の変化みられるようになってきて手足の冷えの改善や早朝覚醒の頻度が減っていきました。
それと同時にまったく運動習慣がなかったとのことでしたので、週に4日30分のウォーキングをすることを指導
だんだんと食欲がわくようになってきて好物の焼き鮭が美味しく食べられるようになってきた
施術10回目を終えたころには唾液量も回復、細やかな味もわかるようになって食欲がほぼ以前と同じ程度に回復された。
症例 2
40代男性
2ヶ月前から食欲不振が続いていて、念のため病院で診察、検査を受けたが異常がなく慢性的な疲労やストレスが原因ではないかと言われた。
思い返せば、数か月前から仕事が忙しく睡眠時間も少なかった様な気がする。毎年夏の暑さで食欲は無くなりやすくなる傾向はあった。
お酒は毎日飲み、たばこも1日20分近く吸う。ストレスのためやすく、運動は全くしていない。たまにストレスを感じると胃の調子が悪くなり、そのたびに市販の胃薬を服用している。
今まで健康管理の意識はなく、身体のメンテナンスをすることはなかったが、この機会に自分の身体の健康意識を変えようと当院に受診した。
当院の施術
まず問診や自律神経測定器でお身体の状態を確認していきました。
お身体の状態は交感神経の働きが優位になってしまい、副交感神経の働きが低下していると判断しました。病院の検査で異常が見つからなかった事を踏まえて考えると、自律神経の乱れ、不規則な生活、アルコールや喫煙が食欲不振の
原因と考えられ、当院では自律神経の調節、胃腸を整える東洋医学的背施術、首肩背中の筋緊張の緩和を目的とした施術を行っていきました。
経過
1回目
食欲の状態は変わらないが、施術後は身体が温かくなり、その日の夜はよく眠ることができた。
2回目
少し食欲が湧いたような気がする。
好物のお寿司を食べたくなった感情が出てきた。
3回目
食欲が戻ってきた気がする。
4回目
脂っこいものを食べた次の日は食欲が落ちるが、それ以外は気にならなくなってきた。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
東洋医学では倦怠感、疲労感はエネルギーである「気」が十分に取り込めない状態や気の流れに乱れがあったり滞りがある状態が続く事で「気虚」の状態となり慢性的な疲労状態が続く要因であると考えられています。
また「気」は血による作用によって機能していて逆に「血」も気の作用によって生成されて全身に循環していると考えられています。
よって「気」と「血」は相互に関係しており、「気」が不足した状態が続くことで「血」が不足する「血虚」を引き起こしより状態の悪い「気血両虚」の状態となります。
よく見られるものとして、貧血の状態の場合に顔色が悪く頭がふらつくなどの血虚の症候と息切れや無力感などの気虚の症状が同時にあらわれることが多いです。気血の他に津液という体を循環しているものがあり、その気・血・津液(水)のバランスが悪くなってしまうと倦怠感は起こりやすいと考えられています。
東洋医学で倦怠感を考える「気血両虚」という気血が少ない場合と、気血の循環が悪くなって滞ってしまって症状が出る場合もあります。気血が滞ってしまっている状態を「気滞血お」といい、まず「気滞」といいまして気が滞ってしまうことで各体の部分で機能停滞などが生じると血管運動神経系にも影響を与えて循環障害が起きてしまうと血も滞ってしまう状態である「血お」になってしまうのです。
「気滞血お」では倦怠感のほかに無月経・月経困難症・消化管潰瘍などの症状も出てくる危険性もあります。
このような状態に対して鍼や灸の刺激を与える事で気、血、津液(水)の巡りを良くしたり足りないところを補っていきます。

特に気の働きの低下は関わりが深く気を補うようなツボを用いて治療を行います。また、ストレスや疲労、生活習慣の乱れなどから自律神経のバランスが乱れると体の自然治癒力や免疫機能も低下して自律神経を調整するツボなども取り入れながら治療を行っていきます。


タンパク質が欠乏してしまうと、脳のやる気を起こさせるセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの物質も足りなくなります。
タンパク質が不足することでうつ状態に陥ってしまう危険性もあるほどです。
栄養ある食事を摂ってくださいといいますと近年ではどうしても野菜中心でお肉などの脂肪分などは控える食事を連想される方が多いのではないでしょうか。
しかし、栄養は3大栄養素といわれるタンパク質・脂質・炭水化物をしっかり摂れているということが重要です。
野菜が重要視されすぎていることが多く、偏った人ですと野菜中心の食事でお肉をほぼ食べないという方も多くいらっしゃいます。それを良しとする考えが広まっているのが現実です。
しかし、野菜中心の偏った食事は十分な3大栄養素を身体に取り込むことが難しくなってきます。
特に倦怠感に重要なタンパク質は、大豆類・魚類・牛乳・肉類に多く含まれます。
接種源は人の構成成分に近い方が良いとされているため同じ哺乳動物である牛肉や豚肉を摂った方がタンパク質の補充には適任とされています。
過度な摂取はもちろん脂肪も多くカロリーも高めですので肥満となるリスクが上がり生活習慣病にかかるリスクが増大しますので摂取量は気を付ける必要がありますが、ほとんど取らないことも身体にとっては重要な栄養素を取り込めないため倦怠感が出やすくなってしまうのです。
40代女性
1ヶ月ほど前から寝ても疲れが取れない状態がずっと続いている。睡眠時間も7時間は確保しているが、疲れているはずなのに途中で目が覚めてしまう事があり熟睡できていないと感じる。その代わりに日中の眠気が強く、頭がぼーっとして常に体が重だるい。基本的にデスクワークでパソコンを使う業務が多く首肩こりが慢性的にある。
当院での治療
自律神経測定器で計測を行ったところ、副交感神経が過亢進状態で血管年齢も実年齢より10歳ほど高めに出ており、肉体的ストレスと疲労度が非常に高い状態でした。
そのため、自律神経の乱れを整えるツボや、東洋医学的観点から気、血、水の巡りや気を補うようなツボを用いて治療を行いました。
また、首肩、背部の筋緊張を除き血液循環を促進し疲労物質の代謝を促す治療を行いました。
一回目
特に変化感じないが、体が温まった感じがした。
二回目
睡眠の質が少し向上した気がするが、2日に一回は途中で目が覚めてしまう。
倦怠感はまだ変化ない。肩こりが少し軽減した。
三回目
施術後2、3日は日中比較的体も頭がスッキリした感覚があった。徐々に戻ってしまったが、それでも最初よりは若干調子が良い。睡眠はたまに目が覚める時はあるがその後の寝つきは良い。
四回目
倦怠感が午前中はあるが、午後は比較的楽に感じる。眠気も昼食後や長時間のパソコン作業の際は感じるが、それ以外はあまり気にならなくなった。睡眠は寝つき、寝起きは楽になったが、途中で目が覚めることがまだ時々ある。
五回目
最近は仕事が忙しく肩こりが酷い。倦怠感は午前中に感じやすいが、以前ほどではない。
睡眠は途中で目が覚めたのは週に一回だけだった。
六回目
肩こりが楽になり首がまわるようになってきた。日によって差はあるが頭のぼーっとした感じと眠気が軽減してきた。
倦怠感は以前の半分くらいに感じる。
七回目
仕事後は肩こり感じるが翌日まで持ち越さなくなってきた。午前中も比較的元気な状態が続いている。睡眠も週に1、2回は目が覚めることがあるがその後の寝つきはよく熟睡できている。
八回目
仕事が忙しかった翌日は倦怠感を感じることもあるが、それ以外はあまり気にならなくなってきた。午前と午後の差もほぼ無くなり体が軽くなってきた。
九回目
肩こりが楽になった。睡眠も最近は目が覚めることなく熟睡できている。倦怠感は寝起きに感じる時もあるが、動いているうちに楽になるため日常生活に支障をきたすほどでは無くなった。
症例2
50代 男性
部署が変わり、今までとは違う仕事、人間関係になり気疲れもあってか常に身体にだるさを感じるようになった。
身体が怠いせいか、業務時間に集中力が切れてしまうことが多くなり、今までは一日でできた業務もできなくなってしまった。
また、寝たくてもなかなか寝れない状態になり困っている。布団にはいってから入眠まで1〜2時間ほどかかってしまう、睡眠の質も良くないのか日中はずっと眠たい。
日中は眠たいのに、いざ夜になると眠気がどこかに行ってしまったかのようで寝られない。しかし、休みの日にゆっくり寝ても疲れはとれていない。
日がたつにつれて身体が悲鳴を上げているように思う。
同僚のすすめでネットで探していたところ、家から一番近かったため来院。
当院の治療として
自律神経測定器で計測した結果、自律神経が乱れておりました。また、疲労度、精神的ストレスがかなり高い数値ででており、肉体的にも精神的にも負荷が大きい状態にありました。
当院の治療としては、自律神経調節のための治療と、東洋医学的に疲労回復に効果のある経穴を用いた治療のふたつをメインで行っていきました。
鍼灸は初めてとのことでしたが、筋肉の緊張が強くお身体全体の血流が滞った状態でしたので電気鍼で筋肉に刺激も入れて行きました。
治療経過
◇1回目◇
身体が軽くなった。
◇2~7回目◇
終わった直後は良いが、すぐに元に戻る。
◇8回目◇
寝つきが良くなった。
◇9~12回目◇
回数が多くなるごとによく寝れるようになり、日中の眠気も少なくなった。
現在は来院回数を減らして通院中
何となく体がだるい・倦怠感が続いている・疲れがなかなか取れないそのような症状に悩まされる方は少なくありません。
その原因は、様々で単純な身体の疲労から重篤な疾患のサインの場合もあります。倦怠感やだるさを単なる疲労と受け取って放っておくと思わぬ体の危険が迫っていることもあるので注意が必要です。
・貧血
女性に多いのが貧血による倦怠感です。中でも特に多く見られる「鉄欠乏性貧血」では体内の鉄分が不足して体が酸欠状態になりだるさや倦怠感が生じます。
・インフルエンザ
体の中に入ってきたウイルスを攻撃しようと免疫機能が活発になり発熱や倦怠感、だるさが引き起こされます。
・肝機能障害
肝機能の症状の中では黄疸や眼球が黄色くなる症状というものが出てきます。それ以外の症状として体のだるさや脱力感、過度の眠気、微熱、不眠といった症状が現れる事があります。また、急性肝炎の初期症状は風邪と間違えられやすく酷い倦怠感が突然生じて頭痛や発熱、腹痛や吐き気などの症状も現れます。こうした症状がおさまる頃に黄疸(おうだん)が出始め皮膚や白目が黄色くなります。重症化を防ぐために早い段階で病院の受診が必要です。
・甲状腺機能低下症
情勢に多く見られる病気です。全身の代謝に関わる甲状腺ホルモンの分泌が低下して倦怠感や疲労感、体重の増加、むくみ、便秘など様々な症状が現れます。
・糖尿病
糖尿病などで血糖値が高い場合でも倦怠感の症状が現れる場合があります。
・心不全
動悸や息切れ、呼吸困難やむくみと言った症状が出てきます。初期症状としては坂道を歩いたときの息切れなどですが、進行が進むにつれ普通の道を歩いていても息切れや動悸の症状が出てきたり、夜に息苦しさや咳が出て寝られなくなったり足にむくみが出たりします。
・腎不全
欠尿により尿が減少したりそのために下腹部が張ることもあります。そのためむくみや食欲不振や全身の倦怠感と言った症状も現れる事があります。尿検査では蛋白尿が出る事がありますが、濁った尿が出るというのも特徴です。
上記の疾患に対してはだるさを訴えて病院で診察を受けた場合に比較的簡単にわかる疾患です。しかし、血液検査などをしてもなかなか発見されない疾患もあります。
・うつ病
抑うつ気分や無力感といった精神的な症状だけでなく、全身の倦怠感や疲労感もみられます。
・自律神経失調症
自律神経には活動的で緊張感のある状態にさせる交感神経とリラックスさせ体を休める副交感神経があります。昼間の活動的な時間帯は交感神経が優位に働き夜の睡眠時には副交感神経が優位に働く事でバランスが保たれています。しかしこの二つの神経がバランスを崩すと体を休めたい夜の時間帯に交感神経が優位になり体が緊張状態になり休まらないという状態になります。そして活動をしなくてはならない日中の時間帯に副交感神経が優位になりだるさや眠気、倦怠感などの症状を引き起こします。
・慢性疲労症候群
体を動かすのも難しく日常生活に支障が出るほど重い倦怠感や疲労感が半年以上続く病気です。微熱やのどの痛み頭痛、筋肉痛、思考力の低下など倦怠感以外にも様々な症状に悩まされます。慢性疲労という言葉から少し重い疲労が続くだけと思われがちですが、休息をとるだけではなかなか治らず、病院での治療が必要です。
その他、疾患名のつかない倦怠感やだるさもあります。そもそもだるさや倦怠感は活動に応じて発生する体の生理的な反応です。体が疲労しているとそれに反応して倦怠感やだるさとして現れて体を休めようと知らせてくれているのです。
体に現れる疲労の種類は大きく3つに分類されます。
・精神的疲労
物事を始めるために必要なやる気やモチベーションなどの精神力が低下する疲労を精神的疲労と言います。活力や目標が無いため全ての物に興味がなくなったり、何もする気がなくなるなどの症状が発生します。自覚症状に気が付きにくい傾向がありますが、朝起きると大きな疲れを感じるのが特徴です。
また、眠りが浅く満足できる睡眠がとれない傾向にあります。日常の様々なプレッシャーに対するストレスが原因ですが特に人間関係や悩み事から発生するストレスと大きく関係しています。このストレスが慢性化し限界を超えると、うつ病などの精神疾患や副腎疲労などの臓器の疾患の発症を引き起こす事もあります。
・肉体的疲労
筋肉を動かすためのエネルギーの不足と乳酸などの疲労物質の蓄積によって起こる疲労です。筋肉はエネルギーが足りないと動かすことが難しくなります。また、立ち仕事やパソコン業務の長時間労働などにより同じ姿勢でいることで一部の筋肉だけが緊張を続けていると乳酸が溜まり、筋肉の働きが悪くなります。
この状態で筋肉を動かさなくなるとさらに疲れやすい体になる事があり注意が必要です。
・脳疲労
理解や判断力論理などの知的機能が低下する脳疲労と言われる種類の疲労です。デスクワークや勉強などで視神経や脳が緊張した状態が続く事により起こる神経の疲れと言われており、学校や職場での生産性が低下したり記憶力や思考力、注意力などが低下し、集中が出来なくなるなど個人が持つ認知能力を完全に発揮できなくなる可能性があります。
また、脳が緊張している時は交感神経の働きによって内臓や筋肉が動き続けるため体にも疲労が溜まっていく事があります。

疲労を感じやすい原因の一つに自律神経の乱れがあります。
自律神経には交感神経と副交感神経の二つがあり、交感神経は呼吸を早める、・血圧を上昇させる・筋肉を緊張させる・神経活動を活発にするなど緊張や興奮を促し人を活動的にさせる神経です。
副交感神経には、呼吸を穏やかにする・血圧を下げる・筋肉を弛緩させる・精神的にリラックスさせるなどといった働きがあり、睡眠を促し休息の効果を高める作用もあります。
現代人は多忙で精神的なストレスに晒されがちなので、交感神経優位の時間が長くなる傾向にあります。交感神経が優位な状況ばかり続いてしまうと副交感神経が優位になるべき状況でもスムーズな切り替えができず、自律神経のバランスが乱れてしまうのです。
そうすると休息時にも十分にリラックスするのが難しくなります。こうした状況は眼精疲労や頭痛、肩こり、腰痛、動悸など様々な症状を引き起こす原因になるとともに全身の疲労を感じやすくさせます。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院
当院の近視に対する施術は、第一に目の周辺の経穴にハリや電子温灸器を用いて刺激することで目の血行状態をよくします。仮性近視はピントを合わせる役割のある毛様体筋という筋肉が目の使い過ぎにより血流が滞り、うまく機能していない場合がほとんどです。

毛様体筋は自律神経によっても支配されており、自律神経の乱れがある場合は、うまく目のピントを合わせられません。そこで当院では自律神経測定器を用いることで自律神経の状態を把握し、その結果に応じて施術法を変えていきます。
また近視は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補って肝陽の抑制などを行います。肝血は脾の機能の影響を受けるので脾の経穴も用いたりします。また東洋医学の診断方法に基づき、全身のバランスを整えます。全身を診て施術することは東洋医学の重要な特徴の一つです。

当院の施術により視力が回復された方も多くいらっしゃいますので、お気軽にご相談ください。
中医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝機能の障害が深く影響していると考えられています。肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。また肝は精神情緒の安定、自律神経系を介した機能調節もおこなっており、精神的ストレスは肝気を滞らせて巡りを阻害します。
そのため眼の障害を引き起こします。五臓六腑でいう肝と脾には「血」に関して密接な関連性があります。それは脾には栄養物質や水分を吸収して、「気」、「血」などを生成して全身に輸送する機能があります。よって脾の機能が低下してしまうと肝血も不足してしまいます。近視を引き起こす原因になります。
20代 女性
中学生までは視力は1.2で視力は良かったが、高校生になり視力が著しく低下し0.5程になってしまった。高校生になり、薄暗い場所で読書や勉強を長時間するよになり、それが原因で視力が低下してしまったかもとのこと。社会人となり、パソコンを主に使う仕事についてさらに視力が低下して、色までもぼやけて見えるよになり色覚も低下してきたしまい心配となって当院にご来院されました。
当院の治療
ピントを合わせる能力や色覚の異常も自律神経の乱れが原因の可能性があるので時間をかけて問診をした後、自律神経測定機を用いて自律神経の状態を計測しました。
自律神経を測定した結果、交感神経の活動が非常に高く、精神的ストレスの数値も高い状態でした。問診した結果、仕事上での人間関係でストレスを感じており、体が疲れてくる夕方や人間関係でのストレスを感じた際に目の調子も悪くなるとのことでした。
①自律神経調整治療
②首肩の筋緊張の緩和
③目の周りの筋緊張の緩和・血流改善
問診・検査結果よりこの3点を重点的に施術していきました。
治療経過
◇1回目◇
治療後目の調子はあまり変化が見られなかったが、首肩が軽くなり体が楽になったとのこと。
◇2回目◇
夕方いつも感じていた目の疲れ・かすみ目が少なくなってきた。
◇3~5回目◇
普段裸眼で見えにくかったが道路の標識がしっかりと見えるようになってきた。
◇6回目◇
仕事が忙しく、残業する日が増えて目のかすみを少し感じた。
◇7回目◇
前回治療後、目のかすみがとれて目が楽になった。
◇8回目◇
物の色がくっきりと見えるようになってきた。
◇9回目◇
会社の定期検診で視力を計測したところ、0.9となっていて前回計測(0.5)よりも改善が見られた。
症例 2
50代 女性
ずっと視力はよかったが、デスクワークやスマートフォンの使用頻度が増加したためかここ数年で視力が低下してしまった。現在の視力は左右とも0.1で、3週間後に運転免許の更新をするため、更新に必要な0.3以上の視力を戻したく当院を受診した。
空いている時間はほとんどスマートフォンを使用しており、デスクワークは1日6時間~8時間程度。
目の疲れやドライアイも気になり、忙しいと首肩のコリが酷くなり、整体やマッサージに通っている。
当院の施術
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を確認していきました。そこまで大きくは乱れていなかったのですが、多少交感神経が優位になっていました。
施術は、まずうつ伏せで背部兪穴、首肩の筋緊張の強い部分に鍼で刺激し、次に仰向けで自律神経調節、眼の周りの経穴に刺鍼し、電気を流す低周波鍼通電法を行いました。
経過
◇1回目◇
施術後の帰り道はクリアに見えたが、また時間と共に戻ってしまった。
◇2回目◇
眼の疲れが取れ、見えやすい感じがある。
◇3回目◇
スマホを見続けると視力は悪くなる。
なるべく眼を使わないようにと注意。
◇4回目◇
眼の疲れは楽に感じる。
良い状態を保っているような気がする。
◇5回目◇
免許更新の前日に施術を受けた。
免許更新当日の検査では、両目とも0.4まで視力が上がっていた。
※近視に対する鍼灸治療効果の臨床研究について
明治鍼灸大学では、若年性の近視に対して鍼灸治療がどの程度の効果があったかの研究が行われています。
「若年近視に対する鍼治療の効果」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/49/4/49_4_567/_article/-char/ja/
この研究では視力低下を訴えている13~25歳の200名の患者に足して2年間鍼治療を行っています。治療後では視力が平均右目0.33の改善、左目では0.31の改善が見られたとのことです。この研究では、基本的な目の周りのツボに鍼を刺してまた目に効果的とされる手の合谷というツボを持ちています。また、効果があまり芳しくない方に対しては目の周りの鍼通電治療も用いて施術したとされています。
この治療法は、当院でも用いている治療法です。当院ではその他首肩背中の施術や自律神経も整える全身のバランス調整施術も行っていきます。
目の屈折異常のひとつで、目が調節を休ませたときに眼球内に入ってきた平行光線が網膜の前方に像を結ぶ状態をいいます。
近視になりますと近くはよく見えますが、遠くがぼやけたりして症状が強く出ると視力障害を引き起こします。現在近視は増加傾向にあり、小中学校でも近視の割合は徐々に高まっています。
■近視は主に3つの種類があります。
ⅰ)屈折性近視
人の目はカメラと似たような構造をしていて、カメラのレンズが水晶体、フィルムが網膜に相当しています。人はピントを合わせる場合は眼球を伸ばしたり縮めたりすることは出来ないので、水晶体を膨らませたり、薄くしたりすることで網膜にピントを合わせようとします。
しかし、屈折性近視の場合は、角膜や水晶体の屈折力が強いので網膜よりもまえに焦点を結んでしまいます。
ⅱ)軸性近視
生まれた時は眼球も小さいので物を見ても焦点は網膜の後ろにいってしまいます。これを遠視といいます。成長するにつれてだんだん眼球も大きくなり大部分の人は調節しなくてもピントが合う状態(正視)になって、眼球の成長はとまります。
しかし何らかの原因で成長が止まらずに眼球が大きくなると焦点が網膜の前になってしまいます。そのことが近視の原因になります。軸性近視は眼球が通常よりも前後が長いために起こります。
ⅲ)仮性近視
目の疲労により一時的に近視のような状態になることを仮性近視といいます。テレビやパソコンなどで目を酷使した後は症状が強くなり、目を休めたり遠くをみたりすると症状が弱くなることが特徴です。
テレビやパソコンなど近くで作業を長時間行いますと、目の調節が緊張したまま近くにピントが合った状態で遠くにピントが戻らない場合があり、一時的に近視の症状になります。
■近視の原因は現在のところまだよくわかっていませんが、有力なものに遺伝説と環境説などがあります。
1)遺伝による近視説
親が近視の場合に子供が近視になる可能性は比較的高く、遺伝的な要素が近視に複雑に関係すると考えられます。近視の発生率の民族間の違いが近視に遺伝が関係していることの証拠として挙げられています。
近視の遺伝説では何歳の時に近視になり始めて何歳までにどこまで進行するかが生まれつき決まっていると考えられます。近視はほとんどの場合に青年期までに徐々に症状が進行して成人なると症状は進行しません。
2)環境による近視説
統計的に長時間の勉強やパソコンなどをする人に近視が多い傾向や途上国の農村部の人たちなど普段あまり長時間勉強やパソコンをする機会が少ない人に近視が少ないといわれています。そのことが近視の環境説の証拠として挙げられます。
3)栄養による近視説
幼年期の炭水化物の取りすぎが慢性の高インスリン血症を引き起こしてそれが近視の原因となる説があります。
近視の原因は様々な説が挙げられています。もし遺伝と関係している場合は、予防は難しいと考えられます。しかし、近年のパソコンやスマホなど近くの物を見ることが増えた現代では、目の使い過ぎが原因の近視が増えていると感じます。近年は、子供でもスマートフォンをもっていて視力低下が著しい状態です。
近くの物を見るということは、ピント調節の毛様体筋が使われて長時間に及んでしまうと疲れが溜まってきます。そのようなことが続いてしまうと毛様体筋の働きが鈍くなり、ピントを合わせることが困難となってきます。
大人になってから視力を回復することは、とても苦労しますし、視力が良くならず逆にどんどん低下していってしまう方も少なくありません。
幼少期や20歳前までの環境がとても重要となってきます。
・スマホは30分以上続けてみないようにする。
・パソコンも60分以上続けてみない。
・勉強などの合間の休憩に5m先の物にピントを合わせて毛様体筋を休ませるようにする。
・目を酷使した時は、就寝前に目の周りに蒸れタオルをかけて温める
・目の周りを軽くマッサージして血行を促進させる
こういったことを日頃から気をつけて行ってみてください。

現代の日本では、子供の近視がより増えています。それは、統計的にみても明らかになっていて様々な要因が考えられています。
一番は、近くにものを見る時間が長くなっていることにあるかと思います。スマートフォンやゲーム機の普及などでいつでもどこにいてもゲームや動画が見ることができる環境で子供でも眼の酷使が鮮明になっています。人の目の構造上、本来は遠くのものが見えやすくなるようにできています。遠くのものを見ることができた方が身の危険から回避できたり、獲物を捕らえることができるからです。
近くのものを凝視するということは、人の目の構造にとってとても負担になっているのです。
眼の酷使によってピントを合わせる調節筋がうまく機能しなくなってしまったりすることで視力の低下が起きている場合が多いです。
また最近では、外に出て遊ぶ子が減っていることで子供の近視化が進んでしまっているということも言われています。
太陽光に含まれる紫外線は、身体に害があると一般的に思われがちですが、実際は害ばかりではありません。
子供の目にとって紫外線は害ばかりでなくプラスに働いてくれている場合もあるのです。
眼球を覆っている角膜や強膜には膠原繊維が多く存在します。紫外線を浴びることでこの膠原繊維同士が繋がって太く硬くなります。
すると、近視化の原因である眼軸の伸びを防いでくれるのです。
眼軸が伸びるというのは、眼球の形が卵型のように楕円形になってしまうこと。すると、光の焦点が網膜よりも前に来てしまうため近視となります。
紫外線を浴びて膠原繊維が硬く繋がることで眼球の周りが強く保たれて卵型に変形してしまうことを防いでくれるわけです。
逆に太陽光を十分に浴びない場合は、眼球が柔らかすぎて眼圧で長く伸びやすくなってしまうのです。
子供の近視化防ぐためにも子供を室内ばかりで遊ばせるのではなく外で遊ばせることも重要のようです。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

■筋肉の損傷が原因のふくらはぎの痛み
・筋肉痛
ふくらはぎの痛みで最も多い原因は筋肉痛です。筋肉痛とは、運動によって傷ついた筋繊維を修復しようとするときに起こります。主に運動量の増加、オーバーワークによって筋線維が耐え切れなくなって損傷します。
・筋肉痛の鍼灸治療について
・肉離れ
ふくらはぎの肉離れとは、急激な筋肉の引き伸ばしと収縮が同時に起こり、ふくらはぎの筋繊維が部分的に断裂してしまった状態です。まれに完全に断裂することもあります。
こむら返りと混同されやすいものの全くの別物です。肉離れは筋肉が伸縮性が乏しくなってしまっている状態では起こりやすくなります。
■病気や症状が原因のふくらはぎの痛み
・こむら返り
「足がつる」と表現されるこむら返りは、主にふくらはぎに起こる筋肉けいれんの総称です。
自分の意志とは無関係に筋肉が持続的な攣縮(れんしゅく)を起こし、多くは激しい痛みを伴います。ふくらはぎの筋肉に起こることが多いですがその他、足の裏、太もも、上体を多く使う方では、指、首、肩などでも起こります。
睡眠中(明け方に多い)に見られるほか、激しい運動中や筋肉を使いすぎた後にも見られます。
どうして、こむら返りが起こるのか、その原因はよくわかっていませんが、一般的にカリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質異常やそれらが不足する状態などが原因で起こるといわれていますが。しかし、原因が特定できない状況で起こることもあります。
・こむら返りの鍼灸治療について
・坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、お尻から脛、ふくらはぎといった下肢全体に痛みを生じさせることがある症状です。特定の病気を指す言葉ではなく、頭痛などと同じく痛みの総称を意味します。
坐骨神経痛を引き起こす原因は複数考えられます。
どの原因にも共通しているのが、腰椎の異常に伴う坐骨神経への強い刺激や圧迫です。例えば激しい運動や長時間同じ姿勢で座り続けるデスクワークなどが一因として挙げられます。症状としては、痺れを伴った痛みがお尻からふくらはぎのラインに走るケースが見受けられるのが坐骨神経痛の特徴です。
・坐骨神経痛の鍼灸治療について
・シンスプリント
シンスプリントは、過度なランニングや繰り返しのジャンプなどが原因で発症する骨膜の炎症です。
シンスプリントは脛(すね)の痛みを指す症状ですが、柔軟性が低下したふくらはぎの筋群(ヒラメ筋など)によって、脛の内側が引っ張られて痛みが生じると考えられています。
そのため、脛の裏側にあるふくらはぎにも痛みが起こることがあります。
・シンスプリントの鍼灸治療について
・下肢静脈瘤
足の動脈硬化が原因で、ふくらはぎに血流障害を引き起こしてします症状です。ふくらはぎの血管が狭くなったり、詰まったりし、何もしていなくても痛みが現れることがあります。
・閉塞性動脈硬化症
閉塞性動脈硬化症は徐々に血管が詰まっていくため、初期はふくらはぎのしびれや冷えを訴えます。
進行すると痛みを伴うようになり、長い時間歩くことが困難になる場合もあるため、血管外科のある病院で治療の相談をしましょう。

痛みは気・血(けつ)・津液(しんえき)など人体の構造成分の流れや量と深い関係にあると捉えています。気は生命エネルギーに近い概念、血は全身を滋養する血液や栄養、津液は体内の水分を指します。ふくらはぎの痛みに関係が深いのは血と津液です。
東洋医学に「不通則通(ふつうそくつう)」という言葉があります。「通ざれば、すなわち痛む」と読みます。体内での気・血・津液の流れがスムーズでないと痛みが生じるという意味です。
量については「不栄則通(ふえいそくつう)」という言葉があり、これは「栄ざれば、すなわち痛む」と読みます。
人体にとって必要な気・血・津液が不足すると痛みが生じるという意味で、栄養や潤いが十分供給されないと、その部分が正常に機能できず、痛みが生じるのです。
また、筋肉や関節のしびれ、だるさ、痛みなどを特徴とした病気を「痺症(ひしょう)」といいます。「痺」という文字は通じない、塞がるといった意味で、体の気血(きけつ)の流れ(神経、血液の流れ)が何らかの原因によって障害を受けていることを指します。
これは、風、寒、湿、熱などの外邪が経絡に侵入し起こると考えられています。
◇急性症状の場合
痛みの強い部分やその周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与え血液循環を促進し、消炎作用、鎮痛作用を促します。また、必要であれば、鍼に電気を流して電気鍼治療をして痛みを感じる閾値を上げ、痛みを感じにくくする作用を促します。
さらに、ふくらはぎの筋肉の問題は腰背部や臀部、大腿部の筋肉の連動性が大きく関わっているため、その部分にも鍼やお灸をして、筋肉の緊張を緩和しバランスを整えていきます。

◇その他の症状の場合
骨盤のゆがみや筋肉のバランスを正常に戻して下肢の血液循環を改善していくことが重要になってきます。
なぜなら骨盤が歪むと足へと流れる神経伝達の乱れにより、筋肉の活動量が減ることで筋肉のバランスが崩れ、ふくらはぎや足の血液循環が悪くなることが多いからです。
腰背部や臀部、大腿部の筋肉の重要なツボに鍼やお灸で刺激を与え下肢の筋緊張を緩め、血行を促進します。また、東洋医学的観点から気・血・津液を補うツボや下肢を栄養する経絡である、腎経、脾経、胆経、膀胱経などの重要なツボも取り入れて施術を行います。
また、自律神経系の調整施術を行うことで、全身的な血行促進、内臓機能や免疫機能を高め、症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えていきます。

症例
40代 男性
昨日子供とキャッチボールをして、肉離れになった。歩くのもつらい、以前から運動習慣があり、痛めるのは決まって右足。今回も右を痛めた。
病院に行く前に少しでも痛みをとってほしくて来院。
当院の治療
うつ伏せでは右腰からふくらはぎ全体に電気治療で痛みの沈静化と筋緊張をとり、血行促進する治療、仰向けでは、常に痛みがある状態だと乱れやすくなってしまう自律神経を調節して自然治癒力を高める治療を行いました。
◇1回目◇
治療後は変化を感じない。
◇2回目◇
前回から3日後に治療を行い、かなり痛みがひき少し歩けるようになった。
◇3、4回目◇
腰から足まで感じていた痛みがふくらはぎのみになった。
◇5回目◇
日常生活も支障がでないほどに回復し、普通に歩けるようになった。
症例 2
40代 男性
スポーツを本格的にしており、今日練習中にブチッという感覚と共に左ふくらはぎに激痛が走った。
すぐに練習を中止し、アイシングなどのセルフケアを行い安静にし、鍼灸をチームメートに勧められ自宅から近い当院に受診した。
歩行は可能で動けなくはないが、歩行時に足を地面につけた時に痛みが走る。
今までふくらはぎが疲労により攣ることはあったが、大きな故障はなくメンテナンスはセルフケアで済ませていた。
当院の施術
まず足の状態を確認していきました。
ふくらはぎ全体的の筋肉の張りは強いが内出血は見られず、痛みがある部分は熱を感じられたため、軽度(Ⅰ度)の肉離れの可能性があると判断しました。
当日発症し炎症状態であったため、初日は炎症を抑える事を目的に施術を行っていき、炎症が治まったら患部に直接鍼通電療法を行い、痛みの緩和、筋損傷部の修復の促進、瘢痕治癒による瘢痕組織の形成を少しでも回避することを目的とした施術を続けていきました。
経過
◇1回目◇
まだまだ痛みがある。
◇2回目◇
炎症が治まったため、患部に直接鍼通電療法を行った。
筋緊張が緩和し、痛みが軽減した。
◇3回目◇
歩行時の痛みが気にならなくなってきた。
試しに数秒だけゆっくり走ってみたが、そうすると痛みを感じる。
◇4回目~6回目◇
歩行時は痛みをほとんど感じない。
まだ安静のため走ることはしていない。
◇7回目~10回目◇
軽く走ってみたが、張り感はあるが痛みは気にならなくなっていた。
練習はまだ参加していない。
◇11回目◇
まだ無理はできないが、軽くなら練習に参加できるようになった。

鍼灸治療では、自律神経のバランスと女性ホルモンのバランスを両方整えていくためにそれぞれに対応したツボに鍼や灸をしていきます。また、五臓六腑の働きを整えるツボに鍼やお灸を用い施術することで体の免疫力を高めていきます。

冷えを伴う場合は冷えている部分に温熱療法や鍼灸で血流を改善し身体を温めます。そして下肢や、骨盤周囲に鍼と通電を行う事で骨盤内臓器の血流の循環改善を図り、子宮内膜を強く健康な状態に導くことでホルモンバランスを整えていきます。

また、月経前困難症の方の多くは足の冷えやむくみ症状が出ます。ホルモンバランスや自律神経のバランスの乱れによるためで足を温めることにより血流が改善されて全身的な症状の緩和に繋がります。

女性ホルモンの分泌をコントロールしているのは脳の視床下部で、自律神経も同じく視床下部でコントロールされています。同じ部分でコントロールされているだけでなく女性ホルモンと自律神経は互いに影響しあっている存在でもありますので、女性ホルモンのバランスが乱れると引きずられるように自律神経のバランスにも乱れが生じます。
その他にも疲労やストレスで免疫力が低下していたり、体の冷えから血管が収縮したり自律神経のバランスが乱れてもPMSの症状が重くなる原因になります。
PMS(月経前症候群)とは月経前の3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で月経が始まるとともに減ったり消えたりするものをいいますが、実は女性の中の80%が何らかのPMS症状を抱えているといわれています。
症状としまして
・気分の落ち込み
・イライラ感
・不安感
・集中力の低下
・易疲労
・眠さ
・頭痛
・腰痛
・下腹部痛
・腹部膨満感
・乳房の痛み
・便秘や下痢
・食欲不振
・過食
・めまい
・むくみ
など多岐にわたります。
年代によっても症状が現れる特徴があります。初めて月経が起きるのが小学生の高学年から中学生にかけてでその時期は月経周期も不安定になりがちです。そして、18歳ごろにかけてホルモンの働きが安定してきて月経周期も安定しやすくなります。
18歳から45歳ごろにかけて性成熟期と言われて月経周期も安定しやすく、女性が妊娠するのに適した時期だと言われています。この性成熟期にPMSが多く現れて悩まされている人が多く、20代では、乳房のはり感や腹痛・頭痛などの症状に悩まされることが多くなります。そして、30代に入るとそれに加えてイライラ感や不安感、集中力の低下など精神的な症状も出てきて多くの方がそれに悩まされます。
妊娠経験の有無でも症状が変わってくることが言われており、出産経験がある場合ですと身体症状が多く出て、逆に妊娠経験がある場合ですと精神症状が強く出ると言われています。
また、ホルモンバランスの微妙な変化により月経が起きるたびに違う症状になって身体や精神にあらわれることもあり、毎回毎回その対処に悩まされることもあります。
PMSの起こる原因はまだはっきりと解明されていませんが、セロトニンなどの神経伝達物質の異常分泌や、排卵を境に変動する二つの女性ホルモンが影響してPMSを引き起こすと考えられています。
その二つのホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という二種類の女性ホルモンです。エストロゲンの分泌量は排卵に向けて急上昇し、排卵以降は緩やかに低下します。
一方プロゲステロンの分泌量は黄体期に一気に上昇し月経が始まると急激に低下します。そしてPMSの症状はこの黄体期に現れます。PMSはストレスや体調によって重くなりやすいため、仕事や恋愛などでストレスを抱えやすい20代の方や、家事や育児、仕事で忙しい30代に圧倒的に多く見られます。
几帳面で神経質、完璧主義者、負けず嫌い、コーヒーや甘い物を好む、体力がない、急に仕事が忙しくなった人などもなりやすいと言われています。

・卵胞ホルモン(エストロゲン)
エストロゲンは女性らしさを作るホルモンといわれています。乳房、子宮を発達させ女性らしい体を作り、子宮内膜を厚くさせる働きがあります。また、自律神経の働きを整えたりコラーゲンの合成を進め艶やハリのある肌を保つ働き、骨の形成や血管の収縮を抑制するなどの働きもあります。
最近になってエストロゲンが脳由来神経栄養因子(BDNF)の生産を促していることも確認されています。BDNFは減少すると抑うつ気分などに関係するセロトニンの生産を促すといわれています。
・黄体ホルモン(プロゲステロン)
プロゲステロンは妊娠を助けるホルモンといわれています。子宮内膜の厚さを維持して着床しやすい状態にする働きや、乳腺の発達、食欲増進、体脂肪を減らす、ホルモンバランスを調整する、水分の保持、体温を上昇させるなどの働きがあります。
黄体期に分泌されるプロゲステロンは体の中で色々な現象を誘発します。
例えばホルモンの働きで水分が排出されにくくなってしまうとむくみの原因になります。それが乳房に溜まれば乳房の痛みに、頭であれば頭痛に、水分が体に溜まると身体全体がだるく感じることもあります。
また、エストロゲンの分泌量が減るのに伴いセロトニンの分泌量が減少します。セロトニンは心や体の安定に深く関わっていることから「幸せホルモン」とも呼ばれています。このセロトニンが減少することでうつ症状やネガティブ思考など気持ちが不安定になります。
また、セロトニンの減少は身体面にも大きな影響を与えます。片頭痛や肩こり、身体がだるくなる症状などが代表です。さらにインスリン(血糖値を下げるホルモン)の効果が低下し血糖値が上がる為、この上がった血糖値を抑えるためにより多くのインスリンが必要になります。そのため食事後に2~3時間は低血糖を生じやすく甘い物を食べたくなることもあります。
症例1
30代女性
20代半ばから生理前の精神的な落ち込みや焦燥感、胃の不快感、便秘、首肩のこり、頭痛に悩まされている。首肩のこりは慢性的に感じており、天気が悪い時には頭痛がよく起こる。婦人科にてPMSとの診断を受け、以前は漢方薬を服用していたが改善が見られず、現在は服用していない。頭痛がひどい時に鎮痛薬を飲んでいる。
施術
自律神経測定器の結果では、交感神経が過剰に働いており、自律神経のバランスが大きく乱れている状態でした。自律神経のバランスの乱れは、ホルモンバランスの乱れに影響を及ぼします。就職した20代半ばから症状を感じるようになったことから、生活習慣の乱れや過労、ストレスが大きく影響していると考えられる。交感神経の過緊張は、筋緊張や血流の悪さを引き起こし、慢性的な首肩こりや頭痛を生じさせます。
全身のツボを用いた自律神経調整施術や婦人科のツボへの刺激、首肩の筋緊張緩和を目的に施術を行いました。
治療頻度は週に1回程度。
一~四回目
施術の回数を重ねるごとに、首肩のこりが気にならないようになってきた。頭痛が起こる頻度が減った。よく眠れるようになり、以前より身体の疲れが少なく感じる。
五~十回目
PMSの症状は施術を開始する前よりずいぶんと楽だった。慢性的な首肩こりや自律神経の乱れを感じなくなり、頭痛も起こっていない。
十一回目以降
週に一回の施術を隔週に伸ばした。季節の変わり目や天気が大きく崩れる時、生活の忙しさが続く時には症状が重く出るが、基本的には体調良く過ごすことが出来ており、以前よりPMSは楽になった。

・食事
PMSの改善には何よりもバランスのとれた食事が大切で特に良質のビタミンやミネラルの摂取が有効です。低脂肪食も良いと言われています。月経前はホルモンの働きで甘い物が欲しくなりますが一度の大量の食べ物を摂取したり血糖値を急激に上昇させるジュースや洋菓子を取るとかえって疲れやすくなってしまいます。月経前は血糖値をゆるやかに上るいも類や玄米、果物などがお勧めです。また、浮腫みなどの症状がある時は塩分の摂取量を控えることも大切です。その他血糖値の急激な上昇を避けるために一日の食事回数を4~6回程度に小分けにして食事を摂ることも有効です。しかし、この際には1日摂取する食事量が増えすぎないように調整することが重要です。
その他、PMSの症状緩和につながる食材としまして、牛乳・ひじき・ゴマ・卵・イワシ・わかめ・さばなどがあります。

・運動
身体に水分を溜めこみやすい月経前は有酸素運動で汗をかくのが一番です。一週間に三回程度30分から1時間程度のウォーキングや水泳、ストレッチなど軽い運動を行うと体に溜め込まれた余分な水分が排出されやすくなり血行も良くなります。また、ストレス解消の効果や安眠効果も期待できます。
1992年にデューク大学で行われた研究で運動によってPMSの精神面における症状が軽減されたという実験結果が出ています。
中年女性(閉経前)23人を2つのグループに分けて有酸素運動か筋トレを行ってもらいPMSへの影響を調べました。一つ目のグループは週三回1時間ほどの有酸素運動を行ってもらいます。内容は15分のウォーミングアップののちに最大有酸素運動能の70~85%の強度で30分間ランニングしてその後15分間のクールダウンを行った。
もう一つのグループは指導を受けながらウェイトマシンで筋トレを1時間ほど行った。
両グループとともに体のPMS症状は軽減されたが、精神面でかなり良い改善結果が出たのがランニングしたグループつまり有酸素運動群でした。とりわけ抑うつ気分やイライラ感、集中力の低下が顕著に改善されたという結果が出ています。
この結果は、PMSの体の症状は筋トレなどの無酸素運動でも改善される可能性があるが、精神面の改善を考慮すると有酸素運動がPMS症状改善に有効と示唆されます。

・ストレスを溜めこまない
PMSには日常のストレスも大きく関係していると言われています。そろそろ体調に波が出てくる時期だと思ったら過度の仕事や無理なスケジュールを避けるなどストレスを溜めない工夫をしましょう。また、睡眠をたっぷりとる事も大切です。普段から基礎体温を測って不調になるサイクルを記録しておくと不調になる大体の時期を把握できるので便利です。

パソコンやスマートフォンなどの普及によって目を酷使する時代になりましたが、それによって目に何かしらの不調を抱えている人が増加しています。目を使いすぎると目が痛くなることがありますが、目の奥が痛くなる事も目の奥の痛みは目だけが原因ではない場合もあります。

・眼精疲労やVDT症候群
パソコン、テレビ、読書、ゲーム、運転などで目を酷使することや、屈折異常(近視や遠視、近視)や老眼に対してメガネやコンタクトレンズが合っていなかったり、過労や睡眠不足、ストレスによるものなど眼精疲労の原因は様々です。目の周囲の筋肉が緊張することで目の奥の痛み、目のかすみ、眩しさ、充血、まぶたの痙攣などの症状を引き起こします。休息や睡眠をとってもこういった症状が改善しない慢性的なものを眼精疲労と呼び、中でもVDT症候群というスマートフォンやパソコンの長時間使用で起こるものが最近増え続けています。
眼精疲労やVDT症候群では目だけではなく体全体や心にも悪影響が及ぶことがあります。目のコントロールを行っている自律神経が目の疲れによりバランスを崩し倦怠感や疲労感、肩こり、頭痛、イライラ、吐き気などの不定愁訴と呼ばれる不調が現れる事があります。
・ドライアイ
眼精疲労と共に目の奥が痛くなる原因として多くを占める病気がドライアイです。パソコンテレビスマホ、ゲーム、読書、運転などで現代社会は昔に比べてまばたきをする回数が異常なほどに減っており、その影響で目の表面を覆っている涙が乾いてしまいます。
涙には角膜の汚れを洗い流し栄養を補給してくれる役割があるため、涙が減少すると、目が傷つきやすくなったり、栄養分が足りず病気になりやすくなります。涙の成分のバランスも崩れてしまうため涙の質が低下してしまいます。涙は単なる水分ではなく、まぶたの淵に沿って並ぶマイボーム腺から分泌される油分、水分、涙が眼球に留まるためのムチンの三層からできています。涙の変質により油分が均一に広がらずにさらに乾きやすい状態になり、目の渇きや、異物感、痛み、充血、疲労感、視力低下などが起こります。眼精疲労と併発しやすく目の周囲の筋肉が緊張
・片頭痛
10代、20代の若い時期から起こり、男性より女性に多く見られます。命にかかわるような病気ではありませんが、日常生活への影響は大きいとされています。
片側性でズキズキと脈打つような拍動性の頭痛が典型的ですが、両側性や非拍動性の場合も多くあります。頭痛の他に目の奥の痛みや吐き気を伴う事があります。
・群発頭痛
片目だけの痛み、目を抉られるような痛み、痛みが1~2時間出現している。1~2ヶ月の間毎日痛みがあるなどの症状の場合群発頭痛を疑います。
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、目の後ろには内頚動脈が走っています。その内頚動脈が拡張することにより眼の奥の痛みが出現するのではないかと言われています。
血管が拡張した時に右目であったり、左目であったりどちらかが強く痛みます。痛みが集中して続く時期を群発期といい、目を抉られるような痛みの為かなりの苦痛を伴います。夜間や明け方の特に痛みが出やすいとされています。
・自律神経失調症
目の奥が痛い原因は、自律神経の乱れが起こしている可能性があります。自律神経は交感神経と副交感神経の二つの事を指します。交感神経は主にストレスに対処する神経で活発な時はアドレナリンが分泌されています。このアドレナリンの作用により血管が収縮し筋肉も緊張状態になります。副交感神経はリラックスしている時に活発になります。副交感神経が優位だと血管が拡張して内臓に血液を巡らします。体にはこの二つのバランスが重要なのですが、このバランスが乱れを起こすと
常に緊張状態で血管が狭いままだと血流が滞ります。また、血管が収縮したままだと、血管や筋肉は硬くなりがちになり、急に交感神経が働き拡張すると血管が炎症を起こします。炎症時に痛みを引き起こす成分プロスタグランジンが発生し、結果目の奥の痛みが生じると考えられています。
・ストレス、生活リズムの乱れ
仕事などで緊張していたり、残業が多かったりなどストレスの多い生活を続けている場合にも痛みが起こりやすくなる原因と言えます。
ストレスをため込むと身体は常に緊張状態に置かれています。体が興奮している状態だと筋肉も固まり血行が悪くなり、疲労物質が体内に溜まりやすくなります。慢性的にそのような状態が続くことで目の奥の筋肉も過緊張を起こし痛みを起こす原因になります。
・三叉神経痛
三叉神経とは顔面の痛みを伝える神経でこの神経が何らかの原因により圧迫をされると顔面の片方だけ激痛を感じます。その三叉神経の一つに眼窩下神経というのがありその神経が圧迫されると片目の奥が痛みます。三叉神経痛は自律神経の乱れや疲労が溜まった時などになる事が多いといわれています。
・緑内障
緑内障は放置すると失明する恐れのある疾患です。必ずしも目が痛くなるとは限りませんが、急性の緑内障では急激な目の痛みに襲われる事があります。症状としては、急激な視力の低下と共に激しい頭痛や吐き気にも襲われることがあります。症状が現れたら迅速に診察を受ける必要があります。
・慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎は、蓄膿症とも呼ばれます。鼻汁が溜まり様々な症状が引き起こされます。その中に頭重寒、頭痛、目の奥の痛み、頬の痛みなどが挙げられます。鼻づまりによる呼吸苦だけでなく仕事や物事に集中できないなど、様々な弊害が起こります。
目の奥が痛いのは危険な病気の可能性もあります
脳腫瘍
まず、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が見られます。脳腫瘍の位置によって目の奥が痛む場合があります。また、言葉をうまく話せない、意識障害、手足の麻痺症状が出たりなどの重篤な障害が出始めるのが特徴です。おかしいと感じたら速やかに脳神経外科などの診察を受けるようにしましょう。
くも膜下出血
一番の症状としてバットで殴られたような激しい頭痛に襲われます。しかし、痛みが全くない場合もあります。そのような場合くも膜下出血では目の症状から早期発見できる場合があります。片目だけ開かない、物が二重に見える、目の奥に痛みがあるなどの症状です。
また、言葉のろれつがまわらなくなったり、吐き気、嘔吐、進行すれば意識障害、呼吸障害などの症状が現れます。命に係わる重篤な疾患ですのでおかしいと感じたら速やかに脳神経外科などの診察を受けるようにしましょう。
当院の眼の奥の痛みに対する鍼灸治療は、まず第一に目の周りに鍼やお灸の施術を施すことにより痛みを軽減させます。鍼の施術効果として鎮痛効果というものがあります。鍼を刺すことで鎮痛物質であるオピオイドを作用させて痛みを抑える効果があると言われています。また、刺した鍼に電気を流す鍼通電療法を行うことでエンドルフィンやエンケファリンの物質を放出されてさらに鎮痛効果を持続させやすくなります。

そのほか、目の周りをお灸で温めることで循環を改善してとどまっている発痛物質を流すことで痛みを取り除く効果が期待できます。
また、目の痛みを訴えてご来院される方の多くは、自律神経の乱れがあります。交感神経の高まりは血管や筋肉などを収縮させます。痛みによって交感神経の活動が活発となり、さらに痛みが続いてしまう要因となってしまいます。当院では、必要な場合初診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定してからその方に合わせた自律神経調整施術を行っていきます。

目の周りによる局所的な施術と自律神経を整える遠隔的な施術を合わせることでより効果が期待できるのです。

症例
45歳 男性
2か月前から眼精疲労がひどくなり、少しずつ目の奥の痛みが気になるようになってきた。
痛みが強く頭痛もひどくなってきたので、眼科で診てもらったところ異常はなく、眼精疲労が原因と診断された。点眼薬を処方されたが楽になるのは一次的で、まだすぐに戻ってしまうため他の治療を考え当院に来院した。
目の痛みや頭痛は朝は感じないが、お昼頃から夕方、夜にかけて増悪する事が多い。
それ以外にもドライアイ、入眠障害、肩こり等の慢性的な症状がある。
仕事ではパソコンを使用することがほとんどで、休日も暇さえあれば仕事をしているため目を酷使している。
当院の施術
まず、常に目を酷使している、休日も仕事をしている、入眠障害といった事で自律神経の乱れがあると考え、自律神経測定器で現在のお身体の状態を確認しました。
測定の結果、交感神経が副交感神経に比べ非常に高くなっていることが判明しました。
交感神経が働きすぎると、目の血流が低下し眼精疲労が酷くなり、目の奥の痛みが増悪します。
そのため、まずは自律神経調節を促す施術を行いました。
次に首肩の筋緊張の緩和、鎮痛や血流改善を目的として、眼の周囲に刺鍼しそこに電極をつないで低周波鍼療法を行いました。
治療間隔は週に1~2回。
施術経過
◇1回目◇
痛みはまだ出るが、体や眼はかなりスッキリした。
◇2回目◇
いつも気持ちよくて寝てしまう。
◇3回目◇
眼精疲労が感じにくくなり、眼の奥の痛みも以前より軽快している。
◇4回目◇
目覚めが良くなってきている。眼の痛みも軽減。
◇5回目◇
ほとんど気にならない。
現在もメンテナンスのため定期的に来院中。
症例2
40代 女性
以前から緑内障を患っており、病院で処方されている点眼薬の治療を続けている。
眼圧は正常範囲内に安定し、進行も止まっているが時々目の奥や頭が痛くなることがある。
眼精疲労やドライアイも酷く、とくにデスクワークで眼を酷使した時はより痛みが強くなることが多い。
首肩コリは慢性的で麻痺しているためかあまり感じないが、他の人に触られると硬いとよく言われる。
眼の奥は重だるさのある鈍痛で、頭はこめかみ付近が締め付けられるように痛みがある。
当院の施術
お話をお聞きすると、最近測定した眼圧の数値は右目が13,左目は14と正常範囲内でしたが、疲れてくると眼の奥が痛くなるという事でした。
仕事の忙しは波があり、忙しい時だと10時間はパソコンに向き合っているというう事でした。また、仕事に追われストレスも感じており、あまりリラックス出来るときが少ないという事でしたので、まずは自律神経測定器で自律神経の状態を測定していきました。
現在の自律神経の状態は、交感神経が過剰に働いており、逆に副交感神経の働きが弱かったため、心身ともに緊張していることが分かりました。
交感神経が働きすぎてしまうと血管が収縮し血流が悪くなってしまい疲労回復の妨げになってしまいます。また、筋肉も収縮してしまうので血管を圧迫させてしまいより血流が悪くなってしまいます。
自律神経の乱れも一つの要因と考え、
①自律神経の調節
②首肩の筋緊張緩和
③眼の血液循環の促進
以上を中心とした施術を進めていきました。
経過
◇1回目◇
あまり変化はない。
少しだるさが出た。
◇2回目◇
少し軽くなったような気がする。
◇3回目◇
痛みが軽減して楽に日常生活が送れるようになってきた。
しかし、忙しいと痛くなる時がある。
◇4回目◇
あまり気にならなくなってきた。
定期的にメンテナンスを続ける。
清水大地

資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院