大腿四頭筋への鍼灸治療

大腿四頭筋とは

 

大腿四頭筋

大腿四頭筋は、大腿(太もも)の前面に位置する四つの筋群で、大腿直筋(だいたいちょっきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)から構成されています。この4つの筋肉はすべて膝関節をまたいでついており、膝を伸展させるのが主な役割ですが、大腿直筋は唯一股関節もまたぐため、股関節の屈曲にも貢献しています。

大腿四頭筋は、筋繊維が鳥の羽のように斜めに並ぶ「羽状筋」というタイプの筋肉で、強い力を発揮することができます。

 

大腿四頭筋と関連する疾患

 

・大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)

大腿四頭筋の過緊張により膝のお皿の上側に痛みが発生します。膝蓋靱帯炎と原因は同じですが場所は違います。ジャンプ動作はもちろんダッシュなどの動作でも痛みが伴います。繰り返しの動作が続くほど受傷する可能性が高くなります。

 

・オスグッド病

10~15歳の成長期の子供が、跳躍やボールをけるスポーツをしすぎると発生します。大腿四頭筋の力は、膝蓋骨を経由し膝を伸展させる力として働きます。
オスグッド病は膝を伸ばす力の繰り返しにより、大腿四頭筋が膝蓋腱付着部を介して脛骨結節を牽引するために、脛骨結節の成長線に過剰な負荷がかかり成長軟骨部が剥離することで生じます。

 

・大腿四頭筋損傷

大腿四頭筋のうち損傷しやすいのが大腿直筋と中間広筋の二つです。大腿直筋は股関節と膝関節の二つの関節にまたがっているため特に損傷しやすいです。この筋肉に何らかの急激な牽引力が加わることで肉離れを起こしたり、外力が筋肉に加わることにより損傷します。

特に急激なストップとスタートを行うランニング動作を必要とするスポーツで起きやすい障害の一つです。筋肉が損傷すると発赤、腫脹、内出血、患部を押した痛みを伴います。受傷直後には、まずRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を的確に行うことが必要です。

 

・大腿四頭筋炎

大腿四頭筋炎とは、太ももの付け根や膝の2,3cm手前あたりに痛みや腫れを生じる疾患です。体を動かしているときや長時間立ったままの時に痛みが現れます。
椅子に座ったりして太ももをしばらく安静にしていると痛みが軽減するという特徴もあります。原因として加齢による太ももの筋肉の衰えや、バランスの悪い姿勢での長時間の立ち仕事、ハイヒール、外反母趾、偏平足、ハイアーチなど、足の骨の疾患を持っている人は、大腿四頭筋炎を起こしやすいです。

また、バレーボールなど、ジャンプを多く使う習慣のある人もこの疾患を起こしやすいことが知られています。

 

・変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝関節の変形と痛みを主症状とした進行性の病気です。40歳以上の中高年の女性に多く、その原因は様々で、加齢による膝関節の老化や体重増加(肥満)、外傷、素因(遺伝子)、生活習慣なども関与しています。

大腿四頭筋は歩行の際の蹴り出しと着地の際に、膝関節に加わる衝撃を吸収する役目を担っています。膝関節に加わる衝撃は普通に歩くだけでも自分の体重の1.5倍~2倍掛かると言われ、また階段昇降では2倍~3倍とも言われており膝関節と大腿四頭筋は切っても切れない関係です。

この大腿四頭筋が筋力低下を起こすとその衝撃をうまく吸収することが出来ず膝への負担がより一層掛かってしまいます。衝撃を受けた膝は時間の経過とともに変形していき、最終的には変形性膝関節症になってしまうということです。

変形性膝関節症の鍼灸治療について

大腿四頭筋トレーニング

 

 

東洋医学的考え方

 

東洋医学では人体には14本のエネルギーの流れがあると考えられていますが、大腿四頭筋は「小腸経」と関係のある筋肉です。

また、東洋医学では痛みを「痺証(ひしょう)」と呼びます。痺は「流れが悪く通じない」という意味で、身体の気や血の流れが悪くなり痛みを引き起こしていると考えます。また、これらの流れを妨害する原因としては風・寒・湿・熱・などの邪が侵入して起こると考えられています。

つまり何らかの原因で経脈(けいみゃく・・気血の流れる通路)が悪くなり気血が滞るためと考えるのです。

また、必要な気血などが足りない場合にも、筋肉が正常に働けずに痛みが出ると考えられています。

 

 

当院の大腿四頭筋に対する鍼治療

 

肉離れのはり治療

 

頭筋の筋緊張や膝の痛みに関与する場所に鍼やお灸を施します。

鍼灸は人間が持つ傷の修復作用を利用して、痛みにより固まった筋肉の緊張を緩和させます。

人間が体に傷を負うと血液循環が促進されるのですが、鍼灸では鍼やお灸を使用しあえて微細な傷を作り出すことで、血液循環を促し筋肉の緊張を緩和させます。

筋緊張が緩和され、血液循環が促進されると炎症物質や発痛物質の代謝を促し消炎・鎮痛効果、治癒促進の効果、関節可動域の拡大などが期待できます。

また、症状によって急性期には安静が必要な時期もあり、局所への治療はある程度炎症が治まってから行うのが無難ですが、この時期も経絡を応用した遠隔部よりのアプローチも消炎効果が期待できます。

 

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 18:23 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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