中耳炎の鍼灸治療

中耳炎の東洋医学と鍼灸治療

 

中耳炎の鍼灸治療は、WHO(世界保健機関)でもその効果が認められている治療法の一つです。

東洋医学では、耳と五臓六腑の『』は深い関わりがあると言われています。東洋医学の腎は西洋医学でのそれとは違いますが、内分泌系・泌尿生殖器系・免疫監視機能など少し似ている部分もあります。

その中で腎は耳に開竅すると言われ、先天的に身体に備わられている腎精というものが十分に満たされていない状態ですと、生殖能力や脳の活動にも影響を与えて聴力も低下すると言われています。

そしてさらに腎の陰液不足の状態になると陽気の相対的亢進に伴って熱証となってしまい、炎症症状が出やすい状態となってしまうのです。これを腎陰虚の病態といいますが、東洋医学では腎と肝は『肝腎同源』と言われ、相互に依存した状態で、腎陰虚の状態が出ると合わせて肝陰虚という状態になりやすくなります。

肝陰虚は肝の陰液が不足した状態ですがその状態となってしまうと陽気は体の上へと昇りやすく耳や目の症状として現れやすくなってしまい、中耳炎の原因となります。

当院の鍼灸施術では、東洋医学的観点により五臓六腑の『』や『』の働きを正常に戻すようなツボを用いて鍼灸施術を施したり、自律神経のバランスを整えることで体の免疫力の向上や自然治癒力を上げる施術を行っていきます。

 

中耳炎の頸肩鍼灸治療

中耳炎ではストレス過多状態睡眠不足で自律神経のバランスが崩れている方が多く、当院では、自律神経測定器で自律神経の状態を把握したうえで自律神経を整え、身体全体の体調を良くしていきます。

また、耳の痛みが強い場合では、鍼通電療法なども用いて鎮痛効果の強い施術も行っていきます。

中耳炎の鍼通電治療

 

中耳炎とは

 

耳は、外耳と言われる外からでも見ることができる部分と聴覚や平衡感覚をつかさどる組織のある内耳、そして外耳と内耳をつなげる役割のある中耳という機能があります。

中耳炎は、その中耳という部分に細菌やウィルスが入り込んでしまい、炎症をきたすことで発症する疾患です。

中耳炎は、子供に多くかかる疾患ということは知られています。3歳までに一度は中耳炎にかかる子供の割合は約8割とも言われていますが、中耳炎は子供にだけかかる疾患ではありません。成人にもかかる危険性もあり、成人の場合重症化しやすく、難聴や耳鳴りなどの原因になったりするので注意が必要です。

 

中耳の役割

中耳は、外耳と内耳をつなげる重要な役割があります。外耳は耳の最も外側に位置しており、目視で確認できる部位で、構造上前方に向かって立っていることや貝殻のような形で広がっていることから音を集めるために適した形をしています。

そして集められた音は、いわゆる耳の穴・外耳道を通って中耳に伝えられます。中耳は鼓膜と耳小骨と言われるツチ骨・キヌ骨・アブミ骨から構成されています。外耳道を伝わった音は鼓膜を振動させて鼓室内にある耳小骨に伝わり、内耳に伝わって内耳内で電気信号に変えられて蝸牛神経を通して脳へと伝わっていくのです。

耳鳴り・難聴 鍼灸治療

中耳の鼓室内は空洞となっており、そこの気圧の調整はとても重要で鼓室内の気圧調整が上手くいっていないと正確に音を振動させて内耳へ伝えることができません。この気圧の調整を任させるのが時間という部分で耳管は、中耳と鼻の奥とをつなげて空気を出し入れすることにより気圧を調整しています。
耳管は開いたり閉じたりして空気の出し入れをして調整していますが、耳管が開きっぱなしにより耳閉感や自分の声が響いて聞こえてしまうなどの症状が出る耳管開放症という疾患もあります

耳管開放症について

 

子供がかかる中耳炎

上述したように子供が中耳炎にかかりと言われていますが、それは免疫力が低いことや耳管の形状など大人との違いがあるからです。子供は3歳ころまでは免疫力が低く、少しの細菌やウィルスでも炎症を発症しやすく、また時間が大人にくらべて短くさらに太いために鼻から耳へと容易に細菌などが侵入しやすくい構造となっているのです。中耳炎が一番発症しやすい時期は生後6カ月から3歳までと言われており、小学生高学年以降は免疫力が備わり、耳管も大人に似た構造となるので徐々に中耳炎にかかりにくくなってきます。

 

子供の中耳炎で注意しなければならないのは、大人がその症状に気づき対処するということです。当たり前と思われるかもしれませんが、子供が中耳炎にかかっても多くの子供は症状を訴えないと言われているからです。子供に多い中耳炎は滲出性中耳炎と言われて痛み症状が出ることはあまりなく、聞こえが悪くなり、呼びかけても返事をしない・テレビの音を大きくしたがるなどの行動が出ます。

3歳ほどまでの音から入ってくる情報はとても重要で滲出性中耳炎のような症状を放っておくと子どもの発達にまで影響を与えてしまう危険性があり、言葉の発達難聴・集中力の低下などにも影響を与えてしまいます。

 

・耳を引っ張る

・耳やその周囲をいじることが多い

・泣き止まない

・呼びかけへの返答が遅い

・テレビの音を大きくする

・集中力が低下している

・理由もなく不機嫌な状態が続く

 

など子どもの変化が見られた場合、耳だれや発熱症状が出ていなくても中耳炎にかかっている危険性があるのですぐに耳鼻科で診てもらう必要があります。

 

 

中耳炎の種類

中耳炎は、主に風邪などの細菌やウィルスが中耳に至って感染して炎症を起こしてしまい発症します。中耳炎は、耳の病気で耳から細菌やウィルスが侵入すると思われがちですが、実はそういうわけではなく、鼻やのどから侵入して耳管を通って発症することが多いです。

中耳炎は、子供にかかりやすいですが大人にもかかることもあり、特に大人が中耳炎にかかる場合は

・ストレス過多状態

・睡眠不足

・過労

 

で免疫力の低下や自律神経のバランス乱れが原因となり、発症することが多いです。

すぐに生活を改善できれば良いですが、なかなか生活を改善することができずに大人が中耳炎にかかってしまうと、重症化して難聴やめまい・耳鳴り・頭痛などのその他の症状が出てしまう危険性もあります。決して中耳炎だからと言って侮ってはいけないのです。

大人が中耳炎にかかるとまず、耳が何となく痛む・頭痛・鼻水が出るなどといった急性中耳炎の症状が出てきます。中耳炎は主に急性中耳炎と3カ月以上中耳炎の状態が続いてしまう慢性中耳炎とがあります。

 

・急性中耳炎

急性中耳炎は中耳が炎症して膿が溜まることで耳の痛み・耳だれ・耳閉感・音が聞き取りづらい・頭痛などの症状が出ます。そして、子供の場合は発熱することも多いです。

そして、炎症が落ち着いてきてもまだ炎症が治まりきらない状態で鼓膜の粘膜から浸出液が分泌されてその浸出液が中耳に溜まってしまい耳が詰まったような感じや音の聴き取りづらさが続く状態を滲出性中耳炎といいます。
鼓膜から分泌された浸出液は通常、耳管を通って鼻から排出されますが、耳管の状態が悪い場合だとうまく排出されずに中耳に溜まってしまうのです。子供場合は耳管が平衡になっているため浸出液を鼻から排出することがしづらいために滲出性中耳炎にかかる危険性が高くなるのです。

 

・慢性中耳炎

中耳炎の状態が3か月以上続いてしまうことを慢性中耳炎と言い、中耳炎が慢性化してしまうと鼓膜に穴が開いて著しく聴力が低下してしまったり、あいた鼓膜の穴から細菌が侵入しやすくなってしまうので頻繁に炎症を起こしてしまい、膿が溜まりやすい状態となってしまうのです。

慢性中耳炎は耳の痛みを感じることは少なく、難聴や耳鳴り・めまい・頭痛症状が長く続きます。

難聴について

耳鳴りについて

めまいについて

頭痛について

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 22:32 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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