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鼻づまりの鍼灸治療

木曜日, 5月 26th, 2022

 

鼻づまりに対する当院の鍼灸治療

鼻づまりに対する当院の鍼灸治療方針は主に3つあります。

自律神経を整える
自律神経が乱れている状態ですと免疫力の低下に繋がって粘膜の炎症・鼻づまり状態となりやすくなってしまいます。自律神経測定器で自律神経の状態を把握して自律神経の状態をお整えていくことで免疫力をアップさせます。

鼻づまり対する自律神経を整える鍼灸治療

『肺』と『大腸』の機能を正常にする
東洋医学的に鼻づまりを診ると多くは、五臓六腑の『肺』と『大腸』の機能異常だと考えられます。それらに重要な経穴を用いて機能を正常に戻す施術を行います。

肺経への鍼灸治療

鼻周りの施術
特に鼻周りに鼻づまりを解消する特効穴があります。それらに鍼を刺して時に通電療法を行っていきます。

鼻づまりの鍼治療

 

鼻づまりに対する東洋医学の考え

 

鼻汁や鼻づまりなど鼻の原因は、東洋医学では『肺』と『大腸』が大きく関係していると考えられています。

肺について
その中でも五臓六腑の肺には『宣散・粛降を主る』『気を主る』機能があり、それが鼻詰まりの原因と関係しています。

『宣散・粛降を主る』
気や津液を全身のすみずみまで、散りばめて機能させることを言います。特に肺呼吸や皮膚呼吸・発汗により津液を放出させたりして体液のバランスを維持しています。また気道平滑筋や呼吸筋を調節して呼吸機能を正常に行わせる役割もあります。

『気を主る』
呼吸によって体外の清気を取り込み、体内の濁気を排出する、気の交換作用があります

肺の病変では、主に呼吸器系や水分代謝の面の障害が現れます。

 

大腸について
東洋医学で大腸には、『伝化を主る』という役割があり、主に大便の排泄を行っています。肺とは気機の下降の面で関連を持っています。また東洋医学では『肺』と『大腸』は表裏関係にありとても密接に関係しています。

『伝化を主る』
大腸は、小腸が分別した濁を受け取って一部の水分を吸収したのちに大便として体外に排出役割があります

 

『肺』と『大腸』が不調となると…
『肺』と『大腸』が不調となると気や津液が全身のすみずみまで行き渡らなくなり、免疫力の低下が起こり、特に粘膜に炎症がおこりやすくなります。また、津液が循環せずに停滞してしまうために鼻や喉に津液が溜まりやすくなり、鼻づまりなどの症状を引き起こしやすくなると考えられています。

 

鼻づまりとは

鼻づまりは、風邪などにかかると誰しも一度は経験があることかと思います。鼻づまりは、一見するとたいしたことのない症状に聞こえますが、鼻づまりが慢性的となってしまうと集中力の低下頭痛嗅覚や味覚の障害など身体に様々な悪影響を及ぼしかねない決して侮ってはいけない症状の一つです。

鼻詰まりの原因

鼻づまり症状が続いた場合、鼻づまりを起こしている原因を特定することは治療を行う上でとても大切となってきます。鼻づまりを起こしてしまう原因によっては手術も必要となってくるからです。

まずは、鼻の構造や役割を知っておく必要があります。鼻の中の空間は鼻腔といわれ、鼻中隔によって左右に分けられています。その左右に分けられている鼻腔のそれぞれの壁から空間を分けている3つの骨が張り出していています。その空間を上から順に上鼻道・中鼻道・下鼻道といいます。鼻腔の壁には毛細血管が豊富にある粘膜で覆われている為その血管が炎症してしまうと容易に腫れて鼻づまりを起こしてしまいます。

粘膜の表面は細かい毛が生えており、粘膜から分泌される粘液と共に外から侵入してきた微生物や細菌・ウィルスを吸収や除去する役割があります。また、外気温が低い場合吸った空気がそのままの温度で体内に入ると体温を下げてしまうので鼻腔には吸った空気を温めたり、加湿する機能も備わっています。

鼻には臭いを識別機能も備わっており、鼻腔上部にある嗅細胞はにおいの情報を脳に伝達する重要な役割があります。そのため鼻腔上部が鼻汁などで覆われてしまうとにおいを脳に伝達する機能が弱まり、においを感知しにくくなるのです。

 

これら体にとって重要な機能を持つ鼻がつまってしまう原因として主に4つ挙げられます。

 

鼻炎を繰り返す

鼻腔は外からのウィルスや細菌を体内に入れないようにして体外に排出する防御機能の役割があります。その際、ウィルスや細菌に対する抵抗力がしっかりと備わっていれば問題ないのですが、疲労やストレスなどで体の抵抗力が弱くなっていると鼻腔内にウィルスや細菌が溜まってしまい鼻腔内で炎症を起こしてしまい、鼻づまりの原因となってしまいます。

なかなかウィルスや細菌が体外に排出されない状態が続いてしまうと鼻粘膜は腫れあがり慢性的な鼻づまりが起こってしまい、鼻づまり症状がなくなるまでに長い時間がかかってしまうのです。

 

 

鼻の構造

鼻を左右に分けている鼻中隔がどちらかの方向に突出してしまっていると空気の流れに大きな差が出てウィルスや細菌が一方の鼻に集中してしまうため鼻づまりを起こしてしまう可能性が高まります。また、鼻にポリープなどの腫瘍ができている場合でも鼻づまりを感じやすくなります。

その場合、どちらか一方の鼻が異常に鼻づまりを感じます。鼻が正常な状態の場合でもどちらかの鼻がつまりやすくて逆の鼻は通りが良いという場合がありますので、自分で判断することは難しいですが、どちらかの慢性的に鼻がつまって息苦しさを感じる場合は、一度耳鼻科で診てもらう必要があります。

 

 

アレルギー反応

スギ花粉やハウスダストによって鼻づまりが起こることは良く知られています。スギ花粉やハウスダストなどのアレルギー反応はそれら異物を身体が過剰に反応して体外に排出しようとして鼻汁やくしゃみを引き起こします。

それに加えてアレルギー反応が強く出ると鼻づまりを起こして体外の異物を身体にこれ以上入れないようにする言われています。

 

副鼻腔に膿が溜まっている

アレルギー性鼻炎や鼻風邪をきっかけにして鼻粘膜の炎症が強いと副鼻腔という部分に炎症が起きてしまい、膿が溜まってしまいます。その膿は排出されることが難しく慢性的な鼻づまりの原因になります。

鼻づまり

副鼻腔炎について詳しくはコチラ

鼻づまりを放置しておくと…

鼻づまりだといって何も処置をせずに放っておくと鼻づまりだけの不快症状ばかりでなく、身体に様々な悪影響を及ぼします。

 

頭痛や目の奥の痛みの原因に

慢性的な鼻づまりを放置しておくと、副鼻腔にどんどん膿が溜まってしまい蓄膿症になってしまう可能性があります。蓄膿症は頭痛や目の奥の痛みや頬周辺の痛みの原因となります。
鼻の穴のことを鼻腔と言いますが、その周りは骨で囲まれた左右それぞれ4個の空洞があります。これを副鼻腔といいます。この副鼻腔は、強い衝撃が顔面部にかかった時の衝撃の吸収材となったり、声を響かせるために必要な空洞と言われています。副鼻腔は鼻腔とつながっている為、鼻腔部分が風邪などのウィルス感染していると副鼻腔にまで影響を与えてしまうのです。
副鼻腔の中に分泌物や膿などが溜まってしまうとなかなかうまく外に排出できなくなり、炎症の原因となってしまいその周囲に痛みの症状となって現れてしまうのです。また、副鼻腔炎をそのままにしておくと中耳炎などの耳の疾患や喉の痛み・気管支喘息などの喉の疾患に繋がってしまう可能性がありますので注意が必要です。
その他稀なことではありますが、副鼻腔炎が脳の方にも炎症が及んでしまい、脳膿症や髄膜炎などの症状にも進行してしまう可能性もあります。そうなってしまうと意識障害や麻痺などの重い後遺症や酷い場合だと命をも落とす危険性までもあるのです。

まれではありますが、副鼻腔の炎症が脳に及んで、脳膿症、髄膜炎、硬膜下膿瘍などが起こり、意識障害や麻痺などの症状が起こることがあります。これらの合併症が起こると、重い後遺症が残ったり、死に至るケースもあります

 

集中力の低下

鼻づまりが慢性化すると脳に供給される酸素の量が減ってしまい脳が酸欠状態に陥ってしまう場合があります。すると記憶力の低下や集中力の低下に繋がってしまいます。仕事の質の低下や仕事でもミスを犯しやすくなってしまうのです。

 

嗅覚障害や味覚障害

慢性的な鼻づまりにより、嗅細胞のある鼻腔上部が覆われてしまうとにおいが感じにくくなってしまいます。鼻づまりが慢性化している状態が続くと鼻づまりが治って嗅細胞が覆われなくなってもにおいが感じにくくなる場合もあるので注意が必要です。

また味覚は嗅覚に頼っている部分も大きく嗅覚が弱くなってしまうと必然と味覚も低下してしまうのです。

嗅覚障害について詳しくはコチラ

咳や痰の原因に

鼻腔の後部は喉の部分とつながっており鼻汁は溜まると喉に落ちていくことがあります。それを排出しようと咳や痰が出ます。

 

睡眠障害

鼻づまりは息苦しさのため睡眠の妨げとなることが多いです。また鼻腔内が狭くなっていていびきの原因となり睡眠の質も低下します。酸素が十分に体内に取り込まれないために疲れも溜まりやすく、それが免疫力の低下に繋がりさらに鼻腔の炎症を抑える抵抗力が弱まり鼻づまり症状を強く出してしまう悪循環に陥ってしまうのです。

睡眠障害について詳しくはコチラ

症例

20代女性

アレルギー体質でハウスダストや花粉で鼻がつまりやすい。

耳鼻科にも通い薬を飲んでいるが、鼻水はとまっても鼻のとおりはいまいちよくならない。

寝るときも口呼吸になるので喉もいためやすく、寝ても疲れが取れないことも改善していきたい。

 

当院の治療

当院では、第一に自律神経を整えて、次に鼻まわりの特効穴に鍼を指し、鼻の機能を正常にもどす施術を行います。

自律神経が乱れると身体の免疫力も低下し鼻づまりを起こしやすい体質になりますので、自律神経を整えていくことが重要になります。

また、睡眠の質の低下で全体的に身体がかたくなっていたので、頭や背中などにも鍼を行い全身のめぐりをよくするような施術をしました。

◇1回目◇

鼻のまわりに鍼をうったとき、少し痛かったが鼻がとおる間隔があった。

◇2回目◇

施術をしてもらった当日は調子がよかったが次の日にはもとに戻ってしまった。

背中はとても軽くなってよかった。息が吸いやすい感じがした。

鼻をあたためるようにアドバイスをしてもらったので今日からやってみようと思う。

◇3〜7回目◇

鍼灸治療に加え鼻をあたためるセルフケアをはじめたところ、症状は緩やかによくなっている。

アレルギー症状がでたときはつまるが、いつの間にかよくなることもある。

睡眠も以前に比べるとぐっすりと眠れている。

◇8回目◇

体質改善をめざし今後も通って経過をみていく。

 

自宅でできる鼻づまり解消法

鼻づまりが慢性的な状態となってしまうと、口で呼吸することが多くなって鼻腔の役割であるウィルスや細菌などの外敵から体を守ることが難しくなり、風にかかりやすくなってしまいます。また、睡眠の質が低下して睡眠中に十分な酸素の供給ができない状態となり、脳や体の疲れが溜まりやすい状態となってしまいます。
当院の鼻づまりに対する施術と合わせて自宅でもケアしていただけるとさらに効果的です。

・鼻を温める
鼻を温めた濡れタオルを当てて鼻を温めると鼻粘膜の血流が良くなることで鼻腔が広がる状態となって鼻詰まりが解消されやすくなります。濡れタオルの他にも入浴中に洗面器などにお湯をためて鼻を近づけて呼吸するという方法もあります。

・部屋の湿度を高める
空気が乾燥していると鼻の粘膜も乾燥しやすい状態で鼻詰まりの状態になりやすい状態となってしまいます。またウィルスや細菌、花粉、ハウスダストなども浮遊しやすい状態となり、それが風や鼻炎の原因となってしまうのです。

・首の後ろや後頭部を温める
髪の生え部分の後頭部に鼻に関する需要なツボがありその部分を温めると鼻の通りが良くなることがあります。そのほか頸と肩の境目にあたる大椎というツボも温めると効果的です。その部分をぬれタオルで温めたり、就寝の際はネックウォーマーなどで首を冷やさないように心がけましょう。。

帯状疱疹の鍼灸治療

月曜日, 5月 23rd, 2022

帯状疱疹に対する東洋医学

 

帯状疱疹の東洋医学

 

東洋医学では、病気になる原因として多く分けると内因(体質的要因・精神的要因)と外因(生活的要因・自然的要因)に分けられます。外因は、内因を通じて身体に影響をもたらします。

多くの病気は、この外因を突き止めて除去することが重要となってきます。

帯状疱疹では、この外因の生活的要因・飲食の不摂生・風邪・熱邪・湿邪が体に影響を与え、東洋医学でいう「肝」や「脾」を侵します。

 

生活的要因

睡眠不足や過労、食生活の乱れ・性生活の乱れなど不規則の生活を送っていると帯状疱疹が発症する原因となります。

 

飲食の不摂生

暴飲暴食・不規則な食事・偏食・辛いもの・香辛料やアルコールの過剰摂取は帯状疱疹の原因となります。

 

風邪

風邪に侵されると、

  • ・突然発症する
  • ・症状に変化が多い
  • ・人の表面や上部に影響を与えやすい

という特徴があります。自律神経系や末梢神経系の障害を主な特徴とします。

 

熱邪

熱邪に侵されると

  • ・発症が急で激しく、進行が早い
  • ・局所的に発赤・高熱・疼痛・腫脹・目の充血などの症候が見られる
  • ・脱水症状をきたしやすい
  • ・排泄物が粘っこくドロドロとする場合が多い

などの特徴があります。炎症による症候を主な特徴とします。

 

湿邪

湿邪に侵されると

  • ・経過が長く治癒に時間がかかる
  • ・体が重だるく、症状がそこにと停滞しやすい
  • ・顔面や手足がむくみやすい
  • ・消化機能を侵しやすい

などが挙げられます。湿邪は、季節や環境による影響を受けやすく、雨の日や湿度の高い日などに症候が現れやすいです。

 

帯状疱疹はこれらの外因が一つではなく、様々な外因が合わさり、「肝」や「脾」を侵すと考えられます。

  • ・肝火上炎

湿邪や熱邪が「肝胆」にとどまって発生します。肝の陽気が過亢進状態となり、胸脇部の痛みや発赤、めまいや頭痛、顔面部の痛みや目の症状も呈します。過労やストレスが原因となる場合があります。

  • ・肝胆湿熱

主に湿熱の邪気によって「肝胆」の機能が障害され、消化器系の炎症や自律神経の失調、水分代謝に影響を与えます。

胸脇部の張った痛みやピリピリとした痛みが出ます。便秘軟便を繰り返したり、手足が重だるくむくみの症状が出る場合もあります

  • ・湿熱阻帯脾

湿邪と熱邪が「脾」とどまって熱の炎症症状や胃腸障害、水分代謝の障害がみられます。

皮膚の掻痒や発熱症状がみられることも多く、長期間続く場合もあります。

 

帯状疱疹に対する当院の鍼灸治療

 

鍼灸の鎮痛効果で帯状疱疹後の神経痛を和らげます。鍼刺激は脳内モルヒネを生み出すことがありますので、全身の痛みを和らげてくれて、精神を安定させる働きもあります。刺した鍼に電気を流す鍼通電療法でさらに鎮痛効果が促進される効果が期待できます。

 

帯状疱疹の鍼灸治療

 

また、お灸には抗炎症作用もありますので合わせて帯状疱疹の周りにお灸治療も行っていきます。

 

 

 

 

経絡治療では、精気の虚に内因と外因、不内外因の病因が加わると、気血津液・臓腑経絡に影響し、人体が内側から傷つき外から侵入されて病気になります。

帯状疱疹には風邪、熱邪、湿邪が関係すると上述しました。これは外因からの毒邪の侵入により内因が侵されるというものです。

風邪から始まる病が多いのと風邪は他の邪と合わさって発病します。

風邪による病証では、まず頭顔面部や肌表の症状が多く現れます。

特徴は発展変化が早く遊走不定です。

東洋医学的治療としましては、熱邪や湿邪を取り除くことが第一優先となります。熱を下げるように施して外因の勢いを弱めて胃腸の働きを整えることで湿邪と熱邪を外に出すように促します。

帯状疱疹の胃腸を整える鍼灸治療

 

 

使用経穴は

熱を下げる・湿邪を排出するという目的で「行間」・「狭渓」・「支溝」・「外関」・「肝兪」・「胆兪」を使用します。局所の帯状疱疹については鎮痛目的で

顔面部の帯状疱疹には、「陽白」・「下関」・「四白」・「頬車

胸脇部の帯状疱疹には、「期門」・「大包

腰腹部の帯状疱疹には、「章門」・「帯脈

 

帯状疱疹の鍼灸治療の効果について

帯状疱疹は、激痛を伴い疱疹が治ったとしても帯状疱疹後神経痛が起こることがあり、長い間痛みに苦しめられることも少なくありません。

神経ブロックや鎮痛薬の長期服用は、副作用のリスクや効果が段々と減退していくというリスクがあり、近年ペインクリニックでも鍼灸治療が選択されることがあります。帯状疱疹の鍼灸治療について大阪労災病院麻酔科ペインクリニックの研究では、41症例中で発症から2か月以内の患者さんではほぼすべての方に痛みの軽快がみられ、発症して2~6ヶ月経過した方で約90%の方が軽快、6ヶ月~1年経過で80%の方が軽快、1~2年経過で66%の方が軽快、2~5年経過で60%の方が軽快、5年以上経過で50%の方が軽快したという結果が出ています。

また、この研究では帯状疱疹の痛み症状に鍼治療が効果があるばかりでなく皮膚症状にも寛解させる効果があると推測されています。

「帯状疱疹痛に対する鍼治療の効果」

https://ci.nii.ac.jp/naid/130004065889

 

帯状疱疹の鍼灸治療症例

 

30代男性

3週間前から仕事のストレスやストレス解消による暴飲暴食などが加わり、胸部から肋間部にかけて痛みと疱疹が出た。皮膚科を受診したところ帯状疱疹と診断されて抗ヘルペスウィルス薬などを処方されたがなかなか改善されず当院を受診。

 

当院の治療

仕事でのストレスにより自律神経が乱れていることが考えられたので自律神経測定器で計測し、体の状態をしっかり問診した上で治療に入りました。まずは、自律神経調整療法で自律神経の状態を整えて、鎮痛効果を促す鍼灸治療・湿邪や熱邪を取り除くと東洋医学的観点からの鍼灸治療を施しました。

 

治療経過

◇1回目◇

治療後痛みは少し軽減したとのことだが効果はそこまで持続せず、2日目には痛みは戻ってしまった。

◇2回目◇

2回目の治療後痛み軽減。鎮痛効果も1回目よりも継続。

◇3~6回目◇

痛みがだいぶ治まってきたが、疱疹はまだある。

◇7~10回目◇

痛みと疱疹は治まったが、目の症状(充血・痛み・かすみ)が出た。

◇11~14回目◇

治療間隔を1週間に2回のペースを1週間に1回に治療間隔を伸ばしていき、目の症状も治まってきたところで治療を終了した。

 

帯状疱疹とは

 

帯状疱疹は、水痘罹患後に三叉神経や脊髄後神経節に侵入していた水痘帯状疱疹ウイルスが、免疫力低下や加齢などが誘因となって発症するものです。

 

水痘にかかると、ウイルスは皮膚から神経に侵入しますが、免疫力によってウイルスは消失して症状は治癒します。

治癒したからといってウイルスが消滅したわけではなく、一部のウイルスは脊髄近くの神経節に潜伏します。

潜伏中は症状が出ませんが、免疫力の低下や加齢によってウイルスが再活性化し、皮膚に症状が出たものを帯状疱疹といいます。

神経節に隠れていますが長いものだと何十年と潜伏します。

帯状疱疹は一生に一度しか発症せず、免疫力が低下している方を除き再発することは稀です。

帯状疱疹

 

 

発症

帯状疱疹の初期症状は疼痛違和感激痛とさまざまな痛みからなります。

この痛みは片側性で起こります。

痛みが起きてからの数日後に赤い斑点がみられ、次第にブツブツした丘疹となって水ぶくれに変わっていきます。この状態が多発してきて帯状に広がっていくのが特徴になります。

 

この頃から神経痛も強くなり、わずかな刺激にもピリピリと痛みを感じるようになります。

このタイミングで医療機関に受診される方が多いです。

 

経過

帯状疱疹は約三週間前後で治りますが、痛みは治りにくく帯状疱疹後神経痛となることがあります。

後遺症として帯状疱疹後神経痛になると痛みが続き、数カ月も痛みが続く場合もあります。

 

 

帯状疱疹後痛

この帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹が治癒した後に数か月以上続く痛みです。ウィルスによって神経が傷つけられてその回復が遅れてしまうことによって痛みが継続するものと考えられています。

強い痛みのため夜も眠れないような痛みになることもあります。

帯状疱疹後神経痛は体の免疫力と深いかかわりがあることがわかっており、高齢者や免疫力が低下している人ほど痛みが残ると言われています。また、帯状疱疹にかかってしまった時の対処の遅さも帯状疱疹後神経痛に関係してくると言われており、発症後3日以内に抗ウィルス剤の服用などの処置を行うと帯状疱疹後神経痛にかかりにくいとされています。

その他にも帯状疱疹の時に皮膚症状が強い方や夜も眠れないほどの強い痛みの方は帯状疱疹後神経痛になる可能性が高いと言われています。

帯状疱疹後の後遺症には、痛みの他にも感覚が鈍くなったりすることもあります。

 

病院での治療法

抗ヘルペスウイルス薬の使用です。

早期から抗ウイルス薬を使用することで、皮膚や神経のダメージを軽くすることが期待できます。

また、水泡がつぶれて細菌感染した場合は抗菌薬の使用です。

 

痛みに対しては消炎鎮痛薬で痛みを鎮痛します。痛みに敏感になると普段は気にならなかった痛みでも過敏に反応して痛みが治りにくくなってしまいます。

夜間の痛みには座薬を使用することもあります。

 

<コロナ禍で帯状疱疹が増加>

 

新型コロナウィルス禍で帯状疱疹が増加傾向にあるということがいわれています。

 

通常の帯状疱疹は、50代以上になると発症率が上昇します。それは人間が本来持っている免疫機能が関係しています。帯状疱疹ウイルスは脊髄の神経節に潜伏していて身体の免疫機能で活動を抑え込んでいますが、免疫機能が低下してきてしまう50代以上になると発症リスクがどうしても上がってしまうのです。

 

今回の新型コロナウイルスでは、50代以下の若年層にも帯状疱疹の患者さんが増加してきているといわれています。

 

その要因として挙げられるのが、新型コロナ禍で外出規制など生活環境の目まぐるしい変化によって受けるストレスやコミュニケーション不足などからくる孤独感などさまざまなストレスからくる免疫機能の低下です。

10代や20代でもリモート授業の影響や運動量の低下、収入の減少、先の見えない未来への不安感、また気晴らしに自由に友達と遊んだり飲み会なども行うことが出来ない状況下だったことからストレスフルとなり、帯状疱疹を発症することも少なくありません。

 

実際に当院にも帯状疱疹やそれに伴う帯状疱疹後の神経痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺等の患者さんが増えてきた印象です。

帯状疱疹の合併症

 

ラムゼイ・ハント症候群

帯状疱疹の水泡が耳介や外耳道にできて、顔面神経麻痺、難聴やめまいなどの内耳神経症状を伴うものです。

 

眼の病気

目にできる帯状疱疹は痛みやかゆみだけではなく視神経にも悪影響を及ぼして、角膜炎網膜炎を引き起こします。視神経がおかされると最悪失明の可能性もあります。目の周囲に帯状疱疹ができた時はこれらが併発する可能性があります。

 

 

脳炎や髄膜炎

脳炎は脳が炎症するものです。

吐き気頭痛意識障害高熱などの症状がでます。

髄膜炎は脳や脊髄を覆う膜に炎症ができたものです。ウイルスや細菌などから感染して発症することがあります。症状は頭痛項部硬直嘔吐錯乱などです。

この二つは気をつけなければなりません。取り返しがつかないほど悪化することや最悪死に繋がる可能性もあります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

夜尿症の鍼灸治療

水曜日, 5月 18th, 2022

夜尿症とは

夜尿症とは生まれた時から続く夜間寝ている間のおねしょのことで通常は5歳ごろからご両親が気にし始めることが多いです。

一般的には1週間に1回以上のおねしょが3カ月以上続いていれば「夜尿症がある」としています。

女の子に比べて男の子に多いのですがだいたい5歳で15~20%のお子さんにみられ、10歳で5~10%、15歳で1~2%ぐらいにみられます。成人した後でも0.5%つまり200人に1人ぐらいは夜尿症が完全にはなくなりません。

夜尿症の分類

 

夜尿症の分類

 

一次性夜尿症とは、6カ月以上おねしょがなかった時期がなく、小さいころからずっとおねしょが続いている夜尿症をいいます。

 

一方、二次性夜尿症とは、おねしょが消失していた時期が6カ月以上あり、再度おねしょが起こるようになった夜尿症をいいます。

頻度的には一時性夜尿症が75%をしめます。よく夜尿症といえば、精神的なストレスなどの要因があるといわれますが、少なくとも小さなころから続いている一次性夜尿症ではストレスなどの要因はあまり関係ありません。

しかし、二次性夜尿症では、学校生活のストレスなどの要因が関係あるとされていますので、一度止まったおねしょが再発したような場合には、学校生活に何か変化がなかったかをよく問診する必要があります。

 

 

夜尿症が起こる原因

 

いくつかの理由が考えられますが、科学的に完全に解明されているわけではありません。お子様は眠りが深いため、夜間におしっこをしたいという尿意では目覚めることはありません。

ですから、膀胱に最大貯められる尿量を超えた尿が夜間に溜まると自然に排尿されおもらしとなるわけです。

つまり夜間に膀胱に尿がたまる量が多すぎるとおねしょの原因になり、最大の要因は「寝ている間に作られる尿量が多すぎる」ことです。

寝ている間の尿量増加は

①水分の取り過ぎ
②夜間の抗利尿ホルモン(夜間尿量を減らすホルモン)の分泌低下

などがあげられます。

次に考えられる原因として「膀胱容量の低下」があります。成人でいう過活動膀胱と同じです。膀胱が一度に貯められる尿量が少ないため、おもらしをします。お子様で膀胱容量の低下をきたす原因として便秘があげられます。

その他、膀胱機能及び成熟の遅れや遺伝的要因などが複雑に影響していると考えられています。

※過活動膀胱とは

膀胱が過敏になって尿が十分に溜まっていなくても本人の意思とは無関係に膀胱が収縮する状態です。その結果急に尿意を催したり何度もトイレに行きたくなったりということが起こりやすくなります。

当院の過活動膀胱の治療・・・NHKでも紹介された頻尿・過活動膀胱(OAB)の東洋医学のチカラ (alfashinkyu-tokyo.com)

 

 

 

西洋医学的治療

 

問診

夜尿症の診察では最も重要な項目です。まず、一次性なのか二次性なのか、昼間にもおもらしがあるかなど必要な問診項目を聴取します。

尿検査

感染症など何かほかの疾患がないかを調べる上で必要です。

超音波検査

難治性の夜尿症の際に、腎、膀胱に異常がないかをを調べるために行う検査です。

治療

治療としては生活指導と行動療法が行われます。その効果が乏しい場合は、夜尿アラーム(おねしょアラーム)を使った治療や内服治療が行われます。夜尿アラームとは下着に装着する小さなセンサーがついた機械で、センサーが尿で濡れるとアラームが鳴って子どもを起こす仕組みになっています。内服治療としては、抗利尿ホルモン薬、抗コリン剤、三環系抗うつ薬などが処方されます。

予防

日常生活においては、利尿作用のあるカフェインを含んだ飲み物(コーヒー、お茶、コーラなど)は避ける、昼間はトイレに規則正しく行く、就寝までの2~3時間は水分の摂取を控える、就寝前に必ずトイレに行くといった習慣をつけることも予防につながります。

また、便秘は膀胱容量を小さくする場合があるので、繊維質の多い食事をするなど便秘の予防も推奨されています。

 

夜尿症に対する東洋医学的考え方

 

夜尿症の東洋医学

 

東洋医学の観点から夜尿症を考えると、『腎虚』や『気虚』が大きく関わっているといえます。五臓六腑における腎は身体の水分代謝を司っています。この腎がもともと弱かったり、弱まってしまうと夜尿症を含めた泌尿器系のトラブルが多くなります。

膀胱は腎の助けを受けて尿を溜めたり排泄します。これが熱によって障害されたり、腎が弱ってうまく機能しなかったり、水分代謝に関わる肺、脾、三焦などの臓腑の不調が影響したりします。

また、気は身体を活発化する生命エネルギーのような存在です。この気が不足している状態を気虚と呼びます。気は多くの働きを持っていますがその中には尿をしっかり身体内に保持するという役割も担っています。

そのため気虚に陥ると膀胱に十分な尿が保持できず、頻尿や夜尿症になってしまいます。

さらに、緊張やストレスなどによる肝の弱りで全身に気を巡らす「疏泄作用」が低下することも膀胱に尿を貯める機能を弱らせ、夜尿症が起こりやすくなります。

 

当院の夜尿症に対する小児鍼

 

 

小児鍼は、一般的な鍼とは違い、鍼を体に刺さず、専用の鍼具で皮膚をさする、あるいは皮膚にトントンと当てるだけの手法です。

小児鍼をすると、自律神経が整い、幸せホルモンのオキシトシンが分泌されることが科学的にもわかっています。心地よい刺激と幸せホルモンの分泌により、ストレスや冷えで硬くなった筋肉も緩んで血行が良くなり自然治癒力が高まります。

自律神経のバランスを整えるツボや東洋医学的観点から腎をはじめとした五臓六腑を整えるツボや気を補うツボを用います。

また、下腹部や下半身に冷えが見られる場合は冷えを除くためにお腹周りや下肢のツボにお灸を使用し血行を促し下半身を温めていきます。

小児の治療の場合、お灸も火を使わないタイプのものを使用したり、糸状灸などできるだけ小さいお灸を使用し心地よい暖かさで刺激していきます。

また、便秘の症状がみられる場合は消化器系の調子を整えるツボも選択していきます。

野球肘の鍼治療

木曜日, 5月 12th, 2022

野球肘に対する当院の鍼灸治療

 

当院の野球肘に対する施術は、第一に肘関節付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血行を良くします。また鍼を刺すことにより痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。その他、野球肘の方の多くは上腕二頭筋や前腕の屈筋・伸展筋の緊張が強く出ている場合がほとんどです。

筋肉の過緊張状態は肘の負担を増加させて更なる痛みの原因になりかねません。上腕・前腕さらに肩回りの筋肉を施術によってほぐすことで肘への負担の軽減に繋がり、痛みの緩和が期待できます。

野球肘の鍼治療

野球肘は五臓六腑の「」「」に深く関係しているので、肝と腎に関するツボを用いて肝血と腎気を補うことや肘関節の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。

 

また東洋医学では、症状が出ている部分に注目ばかりせずに全身を診て治療をするという考えがあります。野球肘を患って来院される方の多くは、練習量の過多により肘以外にも全身の疲労など様々な症状を患っています。そこで当院では東洋医学の診断法に基づき、全身の調整施術も行っていきます。診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。

野球肘の鍼灸治療

当院の野球肘の施術は、野球肘の回復程度を高めて、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも野球肘が回復できる機会を提供することです。生活指導はもちろんのこと患者さんと一緒になって競技への早期復帰を目指します。

 

 

 

野球肘の東洋医学的考え

 

東洋医学で野球肘は、肘付近の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みやしびれの原因となると考えられています。
寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間肘を酷使する投球動作により気血は滞り、それが肘付近であった場合に野球肘を発症する可能性が高くなります。

 

また中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記の条件が加わると野球肘がおこりやすくなります。両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。

 

 

 

野球肘とは?

 

野球肘とはボールを投げる動作を繰り返すことにより生じる肘関節周囲の障害を総称する用語です。一連の投球動作において、肘の内側は引っ張られ、外側は圧迫を受け、肘の後ろはボールリリースの際にぶつかる力が加わります。そのような力が繰り返し肘に加わり、故障が発生します。特に小学生や中学生などの野球をやっている子供に多く、肘の違和感から始まり、無理して投球動作を続けていると痛みが強く出てその痛みをかばうような形でさらに肩の痛みにもつながりかねないので注意が必要です。

 

野球肘

肘関節は、3つの骨から構成されており、肩から肘にある上腕骨、肘から手首まであり親指側の橈骨と小指側の尺骨があります。それぞれの骨は骨と骨とをつなぐ靭帯や周囲の筋肉によって補強されており、非常に安定な関節です。しかし、投球動作を繰り返し行うことにより、靭帯や筋肉が弛んで肘関節の安定性が損なわれます
野球肘は、少年期のものは離断性骨軟骨炎が多く、成人では肘関節内側の靭帯の損傷を主体とする筋炎、腱炎など肘関節周囲の軟部組織の炎症が主で、肘関節後方では疲労骨折が生じることもあります。
野球肘の症状としては、肘関節の痛み肘の可動域の制限などがあります。

肘関節

肘関節の痛み
ボールを投げる動作の際の痛みが特徴的です。肘の痛みのほかに腕のほうへ放散する痛みを訴えることもあります。日常生活ではほとんど痛みを感じません。

野球肘は主に痛む個所は3つあります。投球動作時に肘の内側が痛む場合は、前腕にある手首を手の表側に曲げる屈筋群は肘の内側に付着しているためにボールを投げる動作を繰り返すことで屈筋群の付着部である肘の内側に痛みが出ます。
肘の外側が痛む場合は、投球動作によって肘関節の骨がぶつかり合って上腕骨の軟骨部位が剝がれてしまい、炎症となって痛みを発生させることが多いです。
肘の後ろ側が痛くなる場合も肘の骨がぶつかり合って痛みを発生させる場合と上腕三頭筋という上腕の裏側にある筋肉が繰り返しの投球動作によって過度に使われて延焼する場合とがあります。

肘関節の運動制限
肘の曲げ伸ばしが悪くなり、症状が進行すると急に肘関節を動かせなくなることもあります。

※離断性骨軟骨炎
10歳~16歳の男性によく発症する疾患です。はっきりとした原因は不明でありますが、繰り返す関節運動によって成長途上の骨の先端に圧迫力などが加わり、骨の破壊と壊死を生じたものと考えられています。
離断性骨軟骨炎は、肘以外にも膝や足首などにも発生します。主な症状は、投球時あるいは投球後の肘の痛みです。前腕に放散する痛みや倦怠感を訴える場合もあります。症状が進行すると、激痛のあまり動かせなくなったり、肘関節の腫れ関節液が貯留、筋の萎縮を生じる場合もあります。

 

 

野球肘の原因

投球動作時には肘関節全体に外側のストレスがかかり、内側は伸ばされます。また投球後のフォロースルーにおいては、肘の後ろの部分で骨と骨とが強くぶつかります。その結果として、関節軟骨や靭帯・筋腱・神経などにさまざまな障害が発生します。

まだ成長期にある少年では、上腕骨内側、肘の後ろ側の骨化障害や離断性骨軟骨炎などが、成人では変形性関節症疲労骨折などの骨障害が生じます。そのほかに上腕二頭筋炎三頭筋腱炎回内腱炎尺骨神経障害などが全年代に生じます。

 

症例

10代 男性

2か月前からボールを投げるときに痛みを感じていた。

痛みがでても次の日には治っていたのでしばらくしたら良くなると思っていたが、徐々に悪化。

最近はだいたい10球投げると痛みがでて、思いっきり投げることができない。

調子が悪い日は消しゴムを消す動きでも痛みを感じる。

2週間後に試合があるため、できるだけ早く治したい。

 

当院の治療

触診したところ、腫れや熱感はとくには見られなかった。

腕全体の緊張はそれほど強くないけれど、肘の内側を押さえると痛みがでるため圧痛箇所に鍼と電気を流す治療を行い、痛み軽減をはかった。

また、肩関節の動きをみたところ、可動域が悪くなっているところがあったので、肩回りの治療も合わせて行った。

試合まで時間があまりないので2日置きに治療をするといいとすすめた。

◇1回目◇

鍼はすこしひびくような刺激があったが、肘の痛みが減り、肩が動かしやすくなった。

◇2回目◇

前回の治療後、調子がいい。投げすぎると少し痛みがでるくらいまで楽になった。日常生活は問題なし。

◇3回目◇

肘の痛みはなくなった。

野球肘の一般的治療

野球肘はボールの投げ過ぎによる故障ですので投球の中止が重要で、肘の安静が大切です。十分に痛みが引くまで投げることをやめて肘周りや手首の周りの筋力アップを行います。痛みを我慢して投球を続けていると障害が悪化して場合によっては手術が必要になってくることもあるようです。

 

疳の虫(かんのむし)の小児鍼

水曜日, 5月 4th, 2022

疳の虫とは

 

疳の虫

 

 

「疳の虫がおさまらない」などといいますが、実際に「疳の虫」という虫がいるわけではありません。

疳の虫とは、赤ちゃんの癇癪(かんしゃく)のことです。赤ちゃんは突然激しく泣き出したり、なかなか泣き止まなかったりすることがあります。

実は、江戸時代以前は様々な病気になるのは体内に虫が入るからとされ、赤子幼子の夜泣きや癇癪(かんしゃく)などの原因となる虫は「疳の虫(かんのむし)」と呼ばれていました。疳の虫を封じるための治療や祈願なども行われていたほどです。

とはいえ、実際に虫が体内で悪さをしているわけではなく、人はそれぞれ異なる気質を持っており、赤ちゃんも同様で、夜泣きや癇癪には個人差があります。

生後6カ月~8カ月ごろに多く見られる

 

赤ちゃんの「疳の虫」に悩まされるのは「生後6カ月~8カ月」に多いといわれています。

しかし、その時期は人それぞれですぐにおさまる子もいれば、長く続く子もいます。2~3歳ごろまで続くことも珍しくありません。赤ちゃんの成長過程の一つと捉えられると良いのですが、毎晩のように家中に響き渡るほどの大声で泣かれると、親も参ってしまいます。

疳の虫に困る母親

 

 

疳の虫の症状

 

・ひどい夜泣き

赤ちゃんの「夜泣き」は、乳幼児を育てる親の代表的な悩みの一つです。お腹がすいているわけでもオムツが汚れているわけでもなく、泣いている原因がはっきりしません。

なかなか泣き止まなかったり、寝たと思えばすぐ泣いたり、ひきつけを起こすのではと心配になるくらい真っ赤になって激しくなく場合もあるでしょう。また、夕方になるとなぜか毎日泣き出す、いわゆる「たそがれ泣き」も、疳の虫の症状の一つです。

 

・物を投げる、噛むなどのかんしゃくを起こす

疳の虫は、寝ている時だけに起こる症状ではありません。ご機嫌で遊んでいたかと思えば突然かんしゃくを起こすこともあります。

激しく泣き出す子や、物を投げたり人に嚙みついたりする子もいるでしょう。中には、自分の頭を壁にぶつけたり、物で自分を叩き始めたりする子もいます。原因が推測できる場合もあれば、全く分からない場合もあるでしょう。

いずれにせよ、疳の虫が出た時にはなだめてもすぐにはおさまらない場合がほとんどです。

 

・ヒステリックに大声を上げる

キーキーと「大きく奇声をあげること」も疳の虫の症状の一つです。なぜかイライラして怒りっぽくなり、遊びに集中しないこともあります。

強く叱られると興奮が高まり、さらに激しく奇声をあげることもあるでしょう。また、赤ちゃんのイライラは、他の行動で現れることも少なくありません。食が細くなったり、物音に過敏に反応したりする赤ちゃんもいます。

 

疳の虫の原因

 

・生活リズムが不規則になっている

原因の一つとして考えられるのは「不規則な生活リズム」です。ほとんどの場合、生まれたばかりの赤ちゃんには昼夜の区別はありません。

生後3~4か月ごろになると、夜にまとまった睡眠を取り始める子が増えてきます。規則正しいリズムで生活できていないと、赤ちゃんのイライラを招く原因となりかねません。

毎日決まった時間に起きて太陽の光を浴び、活発に動く時間帯に十分に体を動かしてあげることが大切です。規則正しい生活を送り、赤ちゃんに安心感を与えてあげましょう。

 

・自分の気持ちを伝えられない苛立ち

気持ちを伝えられない「苛立ち」から、かんしゃくを起こすこともあります。

自分の中で納得できないことが起こったとき言語能力が未熟な赤ちゃんは言葉によって伝えることができません。それがかんしゃくとして表面に現れたものが、大人には疳の虫に見えるのです。

 

・生まれ持った気質

疳の虫の原因は「神経性素因」が関わっているといわれています。つまりかんしゃくを起こすかどうかは「生まれ持った気質」によるものが大きいのです。

おっとりとした気質の子は、普段から感情の起伏が少ないでしょう。反対に神経質でデリケートな子は、周囲の変化に敏感に反応を示すのです。

 

疳の虫に対する東洋医学的考え方

 

東洋医学では興奮や怒りなどの精神神経症状を司るのは五臓の「肝」と考えられています。疳の虫はこの「肝」の変動と捉えます。

また、「疳(かん)」とは東洋医学でいう病気の総称で、特に脾疳=胃腸からくる症状とも考えられてきました。そのため五臓の「脾(ひ)」の機能を整えることも重要とされています。

 

小児鍼とは

 

小児鍼とはその名のとおり、お子様に対して行う鍼の施術を意味します。なんとなく「鍼」というと注射針や手芸用の針をイメージしてしまうかもしれませんが、鍼治療で使用する鍼は直径が0.1mmから0.3mmほどしかありません。その細さは髪の毛ほどで柔らかくしなるほどの細さです。

そんな鍼療法の中でも、全く皮膚に刺入することのない鍼療法が「小児鍼」となります。

小児鍼で使用する鍼は先が全く尖っておらず、そのため痛みを感じるものではないでしょう。

通常の鍼療法はやはり皮膚に鍼を刺入するため、刺さる感覚がわかることがあります。見た目にも「針」という感じがしてしまいお子様の場合、やはり抵抗があるかもしれません。

そんなお子様向けに、見た目や刺激に配慮したものが「小児鍼」になります。

小児鍼の適応は夜泣き、疳の虫、寝ぐずり、便秘、下痢、食欲不振、夜尿など多岐にわたり、新生児から小学校高学年まで幅広く対応できます。

 

当院の治療

当院では施術の前にしっかりと問診を行い、それぞれの年齢、体質、症状を見極めそれに応じた最も効果的な鍼施術や手技で怖くない、痛くない、優しい治療を心がけています。また、不安なお子さんにはお母さんに抱いて頂いたままで施術を行うこともできますし、親御さんの治療室への同席も可能です。

夜泣きなどが出ているお子さんは肩周りの筋肉が緊張していることもあり、これは東洋医学ではストレスを感じていることになります。この筋肉の緊張の現れやすい肩や首周りや、自律神経が集中している背中のツボを小児鍼でなでたり、さすったりして血行を促進し、硬くなった筋肉を緩めたり自律神経のバランスを整える作用を促します。

 

 

更年期障害の鍼灸治療

木曜日, 4月 28th, 2022

更年期障害の鍼灸治療

 

自律神経がバランスを取れた状況ですと、身体の循環が上手く働きますので、身体本来が持っている自然治癒能力が最大限に発揮されます。

この自然治癒能力が最大限に発揮されることが更年期障害を治す鍵になります。 ホルモンバランスの乱れやストレス環境による悪化症例でも自律神経活動を高めてあげることで症状の改善が期待できます。

更年期障害の鍼灸治療

当院では自律神経を調整することを治療方針に入れています。 自律神経測定器により現在の自律神経状態とその人の身体の体質を検査します。

交感神経優位か副交感神経優位の体質を調べた上で治療を行います。 鍼灸治療は、鎮痛治療や免疫力を上げる他にも自律神経を調整することに優れた治療法でもあります。

しっかりと問診をした上で、その人その人に合った治療を1時間ほどの時間をかけて丁寧に行います。

治療が終わったころには治療効果を実感されると思います。 治療期間は人によって症状が違いますので一概には言えませんが、目安としては2か月から3か月ほどをみてください。人間の細胞は3か月に一度のペースで入れ替わっていくと言われています。体質の改善はそれくらいの期間が必要です。

更年期障害の背部への鍼灸治療

ホルモンバランスや自律神経調整は体質改善になりますので、一回の治療で終了になることはありません。一週間に1回程の治療をさせていただくと効果が出やすいです。 どうしても忙しい方は、最低月に2回ほどは来院されるといいです。

治療の流れ

1、問診
しっかりと時間をかけて問診をしていきます。
丁寧な問診

2、更年期障害評価表
更年期障害評価表を記入していただきます。
更年期障害評価表

治療を数回した後にも記入していただき、症状の改善具合を把握します。

3、自律神経測定器
自律神経の状態を計測したうえで治療に反映させて、治療効果を上げていきます。
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4、仰向け治療
お腹や手足の重要な経穴を用いて自律神経の状態を整えていきます。

 

5、うつ伏せ治療
腰部や肩首部また五臓六腑の重要な経穴を用いて筋肉の過緊張を取り除いたり、気血の流れをスムーズにしていきます。

 

 

 

更年期障害の鍼灸治療症例

 

40代女性
40代も後半となり、最近急に顔がほてるようになって汗が止まらなくなったり、体が疲れてくると何となく体が重くなり、めまいや頭痛で悩まされていた。日に日に肩こりやイライラ感など様々な身体の不調が出てくるようになり、それがさらに体への負担となり、疲れが溜まっていった。ある日めまいを強く感じたため内科を受診したところ特に異常がみられなかったため更年期障害ではないかと言われた。薬を処方されてめまい自体は治まってきたが、頭痛や肩こりなどその他の症状は軽快されなかったため当院にご来院されました。

治療
最初に問診・更年期障害評価表の記入・自律神経測定器で自律神経の状態を計測を行っていただいてから施術していきました。更年期障害評価表では数値も高く、治療を必要とする数値でした。また自律神経の状態も交感神経の活動が高い状態で副交感神経の活動が抑えられている状態でした。

まず仰向け治療で自律神経の状態を整えてからうつ伏せとなり首肩を中心に施術していきました。

経過
◇1回目◇
その日はぐっすり眠れた。疲れが取れたと感じたとのこと。

◇2回目◇
頭痛や肩こりの症状はまだ残ってはいるが半分くらいには軽減

◇3~5回目◇
仕事が忙しい日は身体も調子が良くないが、次の日には回復する

◇6~8回目◇
少しずつ体の重たい感じもとれてきた感じがするとのこと。

◇9~10回目◇
身体の重たさ・頭痛・めまい症状はほぼ消失。首肩こりはたまに感じる程度

 

症例2

50代女性

6年ほど前に閉経。それ以前からたまに動悸と顔がほてる感じがあった。不整脈もあったことから病院で検査を受けたが、心臓などに異常は見られなかった。更年期障害の一つの症状と考えられるとのことで産婦人科を受診。エストロゲンを処方される。

それからは、動悸やほてり感があってもそれまで気にせずに生活できていたが、1年前にお子さんが一人暮らしを初めて夫と2人の生活をし始めてパートもすることになり、それがストレスと感じて動悸や顔のほてり症状が強く出るようになってしまった。頭痛や首肩こり症状も強く、手足の冷えや寝つきも悪い日がある。

治療
ご本人の自覚としても顔はホテルが手足は冷たいと感じている。首肩こりが強く出るとそれに伴い頭痛もひどくなる。また、パートや夫との仲が悪くなると顕著に症状が悪くなり、不安感も感じるようになってきた。

治療ではまず自律神経の状態を計測して治療して行きました。交感神経の活動が高く、副交感神経の活動は抑制されていたので、全体的にリラックスできる心地よい刺激を心掛けて治療しました。

経過
◇1回目◇
治療後は寝つきがよくぐっすりと眠ることが出来た。その他症状はあまり改善がみられない

◇3回目◇
前回治療後からたまに起こる動悸は起きていない。不安感もいくらか和らいできた感じがするとのこと

◇7回目◇
まだまだ体調に波があり、調子が割る時もあるが、身体の調子がいいと首肩こりや頭痛症状も感じず顔のほてり感もない

◇10回目◇
仕事でイライラすることがあり、不安感が再燃。寝つきも悪かった。手足の冷えも感じる

◇15回目◇
仕事で嫌なことがあっても少しずつ気持ちを整理して落ち着けるようになってきた。最近は不安感は感じていない。首肩こりは最初と比べると3割程度まで改善。動悸や顔のほてり感はない

 

症例3

50代女性

50歳を過ぎてから更年期障害に特徴的なホットフラッシュ、手足の異常発汗が気になるようになった。数年前から症状を繰り返しており、また最近ひどくなってきた。

少しのことでイライラしてしまったり、精神的な落ち込みも出るようになってきた。

頻度は少ないが、頭痛やめまいもたまにすることがある。

他に慢性的な腰痛があり、たまにマッサージ店で施術を受けている。

関西出身で、現在東京に単身赴任中。そのためかストレスを感じることもある。ストレスが強い時は更年期症状が強くなる傾向がある。

お酒が好きで、毎日の晩酌は欠かせない。

治療

まず、測定器で自律神経やストレスの状態を測定していきました。

自律神経は交感神経が異常に高く、逆に副交感神経がほとんど働いていない状態でした。

お話を聞いてみると、ここ一ヶ月は仕事が忙しく睡眠時間が十分にとれる日が少なくなっているということでした。

こうした自律神経の乱れが更年期障害の増悪化と考え、まずは自律神経調節治療を行いました。それと同時に婦人科系に効果のある経穴やエストロゲンを分泌促進を目的とした骨盤血流量を上げる施術、腰や肩のこりに対してもアプローチしていきました。

頻度は1週間に2回のペースでご来院していただきました。

経過

◇1回目◇

まだ大きな変化はないが、身体全体が軽くなった。

◇2回目◇

施術後から3日間はホットフラッシュや手足の汗が全くでなかった。

◇3回目◇

1週間通して楽な日が多い。手足の汗はほとんど出ない。

◇4回目◇

ホットフラッシュも落ち着いてきた。最近はよく寝れるようになったのがうれしい。

◇5回目◇

ほとんど気にならない。

現在、腰痛の改善のため通院中

期障害とは

更年期障害とは、40代半ばで閉経を迎える前後の期間に起こる様々な主訴を持つことです。日本産科婦人科学会では 「更年期に現れる多種多様の症候群で、器質的変化に相応しない自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群」 と更年期障害は定義されています。

更年期とは卵巣機能が低下してきて女性ホルモンが減少してくる時期です。 これは、40代半ばで月経異常や月経不順が続くのが多くなる頃です。

更年期には個人差があります。閉経を迎える前後となりますと、40代半ばから50歳が目安になります。 なかには、若年性のものもあったり、男性にも起こるものです。

 

若年性更年期障害とは、20代や30代の女性が生理不順になったり、月経が無くなることで更年期障害と同じ症状がみられることから若年性更年期障害と呼ばれるようになりました。 若い人でも一年以上月経が無いと医学的に閉経とみなされます。

男性ではテストステロンの低下により起こるものだと考えられています。欧米では、後発性性腺機能低下症と呼ばれています。 ストレス無理なダイエットにより不規則な生活習慣から起こるものだと考えられています。またはスポーツ選手のように体の負担が大きい方も運動が原因となることがあります。

眼瞼けいれん 鍼灸治療

更年期障害の症状

更年期障害における不定愁訴は、自律神経失調症症状と精神症状が多いです。

  • 更年期における自律神経失調症症状として
  • ・動悸
  • ・のぼせ
  • ・火照り
  • めまい
  • ・だるさ
  • ・むくみ
  • ・多汗
  • ・吐き気
  • ・食欲不振
  • 耳鳴り
  • ・冷え

 

  • などがあります。顔の火照りやのぼせ、発汗などはホットフラッシュと呼ばれます。 更年期によく見られる症状です。急に顔がのぼせたり、ほってた状態になり、大量の発汗がみられます。この状態は他人と会話するときや外出先で生じることがあるため大きな悩みとなってストレスになります。 そこから更年期と重なり、さらに不安になったり、イライラ感が強くなります。

 

  • 更年期における精神症状として
  • ・怒りっぽくなる
  • 不安
  • うつ
  • ・神経質
  • ・意欲低下
  • 不眠                      etc

 

  • 更年期における生理異常として
  • 月経異常
  • ・不正出血     etc

 

  • 更年期における運動器系の症状として
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 腰痛
  • ・手足の痺れ
  • ・関節の痛み                     etc

 

  • 男性の更年期障害の症状として
  • ・発汗
  • ・ほてり
  • ・寝汗
  • 疲労感
  • ・性欲低下
  • などの症状で鬱などの状態も含まれます。

 

更年期障害の原因

更年期障害の原因については今だ不明な点が多いですが、わかっている原因は以下の通りです。

 

①卵巣機能の低下
加齢による卵巣機能の低下すなわち女性ホルモンのエストロゲンの減少により生じると考えられています。 更年期になり卵巣の機能が衰えてくるとエストロゲンの分泌が減少します。

身体にとって必要なエストロゲンがないと脳が卵巣に分泌するように指令を出しますが、機能が衰えているので、過剰な卵胞刺激ホルモンが出ることになります。 エストロゲンの減少と卵胞刺激ホルモンの増加がホルモンバランスを乱している原因であると考えられています。

女性ホルモンには排卵や月経の周期以外にも、女性の美しさと健康を作り出す働きがありますので、女性ホルモンが正常な働きをすると女性の身体と心を健康に保ってくれます。 それだけ女性にとって大切なホルモンになります。

 

ホルモンバランスの乱れは身体をコントロールする自律神経にも影響が出ます。

自律神経の働き自体も女性では40代から副交感神経が下がる研究データもあるほどです。

副交感神経活動が下がることで、交感神経優位の体質に変わります。交感神経優位だと血圧上昇や消化機能の低下で食欲不振から便秘になりやすいです。興奮状態ですので瞳孔が開いて、不眠症にもなりやすいです。

血管を収縮する作用があるため、疲れなどがとれにくい全身の疲労感、本来自然回復するはずの筋肉が治癒しないため肩こり腰痛などが運動器疾患としても出てきます。 自律神経は、ストレスも関係が深く、副腎などのホルモンの産生場所にも影響を及ぼします。

この副腎の機能が低下することでも更年期障害症状がでてくるのです ストレスを感じると副腎が働くことから、長くストレスを感じている方は、更年期障害の症状を強く感じることになります。

 

➁生活環境の変化

更年期(45~55歳)は様々な環境の変化が起こりやすい時期です。子供が成長してきて手がかからなくなる・子供の進学や就職することで心配がなくなる・両親など親族の死・自分自身の身体の変化への不安感などがその要因として挙げられます。 また仕事をしている女性の場合であっても立場や地位が上になることでの責任感・ストレスの増加などがあります。 そういった変化に適応できればいいのですが、適応が上手くできない人にとっては大きなストレスとなってしまい、精神症状不定愁訴を引き起こします。

斜視の鍼灸治療

月曜日, 4月 11th, 2022

斜視に対する当院の鍼灸治療

斜視に対する当院の治療は、目の周りに鍼を刺してその鍼に電気を流すことで目を動かす筋肉や神経に刺激を与えることで改善をはかっていきます。

 

斜視の鍼通電治療

 

目の周囲の鍼に電気を流すことは刺激量が強くなるため鍼が初めての方や鍼刺激に敏感の方の場合は、刺激量を調整して電気を流さないでお灸刺激で対応していくこともあります。

斜視の鍼灸治療

 

また、首の筋肉のコリが強いと目のほうにも悪影響を与えてしまうために首の筋緊張も緩和させていきます。まずはうつ伏せの治療で首肩や背部にある五臓六腑の重要なツボを鍼灸で刺激していきます。

斜視に対する頸肩鍼灸治療

 

その他、自律神経バランスの悪化も筋肉や神経に悪影響をあたえてしまうため、次に仰向けとなり目の周りにの施術とともに腹部や手足、頭部のツボも用いて自律神経の調整も行っていきます。

斜視に対する自律神経調整鍼灸治療

 

必要であれば、初診の問診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定していきます。

 

 

 

斜視とは

 

斜視とは、正面の物を見る際に片方の目は正常に正面を向いているのにも関わらずに、もう片方の目は上下左右に違う方向に向いてしまっている状態をいいます。

斜視には、常に斜視となっている状態の恒常性斜視と斜視の状態の時と正常な時もある間欠性外斜視とがあります。間欠性外斜視は、外斜視が起きてしまっている時は近くの物にピントを合わせることが難しくなってしまい、物が見えづらくなってしまいます。特に目の疲労が強い時や起き抜けの時、眩しさを感じる時に起こりやすいとされています。

斜視となると、物が二重に見えてしまう複視の状態や目が異常に疲れやすい・首肩コリの原因となったりします。

その他、恒常性斜視の方の場合、常に片方の目が正常とは違う方向を向いているため見た目を気にされる方が多くいます。

斜視の種類

斜視と言いましても目のずれている方向によって種類があります。

内斜視
内斜視は片方の目が内側を向いてしまっている状態です。

 

外斜視
外斜視は片方の目が外側を向いてしまっている状態です。斜視の中でも一番多くみられる状態です。

 

上斜視
上斜視は片方の目が上方向に向いてしまっている状態です。

 

下斜視
下斜視は片方の目がした方向を向いてしまっている状態です。

 

複視

 

斜視の原因

斜視の原因には様々な原因があります。目を動かす筋肉や神経の異常によるものや目の疾患によるもの、全身疾患からくるものそして一番注意しなければいけないのが脳の障害によって起きてしまう斜視です。

また、子供で起こる斜視と大人で起こる斜視とでは主な原因も違ってきます。生まれた直後の赤ちゃんでは、目を動かす筋肉や視力が未発達のため目の位置が安定していないのが通常ですが、生後3ヶ月も過ぎると目を動かす筋肉は発達してくるため目の位置は安定してきます。

しかし、成長するにしたがって目が違う方向を向いていると斜視が判明することが多く、子供は視界の不良を訴えることが難しいため親などまわりが気付いてあげる必要があるのです。

また、子供の場合には偽斜視と言いまして、外見上は斜視に見えても実は視線はそろっている場合もあります。特に生後間もない赤ちゃんは鼻の根元が低い状態でその部分が成長段階にあるために目と目の間が広くなっていて白目の内側の部分が狭くなっていて、目が内側によっているいわゆる内斜視のように一見見受けられますが、それは斜視ではなく、偽斜視といわれます。
偽斜視の状態は、鼻の根元が成長するにしたがって解消されていき、外見上でも正常な眼位になっていきます。

斜視の原因は、主に目の筋肉の異常や神経の異常、遠視の状態、片目の視力の低下、脳の異常などが挙げられます。

 

 

・目の筋肉や神経異常
外眼筋異常
外眼筋とは、上直筋・下直筋・内側直筋・外側直筋・上斜筋・下斜筋の6つの筋肉のことをいい、眼球の向きを変える運動をつかさどっています。これら6つの筋肉が正常に働くことで眼球の複雑な動きを可能にしているのです。しかし、これらの筋肉に何らかの異常が起きてしまうと眼球の位置が安定せずに斜視の状態となってしまうのです。

 

 

・動眼神経麻痺
動眼神経は12個ある脳神経の第三脳神経と言われています。動眼神経の働きは、眼球を動かす上直筋・下直筋・内直筋・下斜筋の働きやまぶたを開閉させる上眼瞼挙筋の働きなどを支配している目の動きにとってとても重要な筋肉です。
動眼神経は中脳にある神経核から出てその神経線維が各々の筋肉に向かいますが、その過程で障害が起こると筋肉に異常が出て斜視となることがあります。多くは、糖尿病や高血圧による虚血状態が原因と言われ、その他脳梗塞や脳腫瘍も原因となり得ます。

動眼神経麻痺の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

・滑車神経麻痺
滑車神経は12個ある脳神経の第4脳神経と言われています。滑車神経の働きは、外眼筋の上斜筋の働きをつかさどっています。原因としましては生まれつきのものや交通事故等で頭部を強く打ってしまったり、血流障害などで起きるとされています。
滑車神経麻痺による斜視では、特に下方向をみると強い複視症状が出てしまうため階段を降りる際に支障が出ます。

滑車神経麻痺の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

・外転神経麻痺
外転神経麻痺は12個ある脳神経の第6脳神経と言われています。眼球を外側に向ける外直筋という外眼筋を支配しています。眼球を外側に向ける外直筋が麻痺しているため眼球を外側に向けることができずに眼球が内側に偏ってしまう内斜視がおきます。考えられる原因は、様々で脳腫瘍や頭部の外傷、糖尿病、ウィルス感染の場合もあります。

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・遠視
遠視とは、眼軸といって眼球の奥行きが短いために網膜にピントを合わせるために必要以上に力が必要となり目が疲れやすい状態となってしまいます。遠くを見る時は少しの調整で見ることができますが、近くを見る時には強い調整がないとはっきりと物が見えづらくなってしまいます。近くのものにピントを合わせる際に目は内側に向かないといけないため内斜視となる危険性があります。

 

 

 

・片目の視力低下
片目の視力が外傷や病気など何らかの原因によって視力が著しく低下してしまった場合に両目で正確にものが見ることができなくなり、視力が低下してしまった目が外側に向いてしまうことがあります。

 

 

 

・脳の異常
脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などによって上記の眼球運動をつかさどる神経が阻害されたり、視神経や視覚をつかさどる視覚野の部分が障害を受けてしまうと斜視となってしまうこともあります。

 

 

・その他
重症筋無力症といって自分の身体の一部に対する抗体を作り出して攻撃してしまう自己免疫疾患の一つでも斜視となってしまうこともあります。その他、検査などをしてもまったく身体の異常が見られない場合もあります。

 

症例

50代男性

一か月前から物が二重に見えるようになり、最近になって少しずつ悪化してきた。

右や下を向く動作、遠くを見ると複視になる。

ご本人は気が付いていないが、よく観察してみると両目の動きに左右差があり、軽度の左目の内斜視を確認。

仕事では一日10時間以上パソコンを使用するため目の疲れがひどく、首肩こりや背中、腰も痛くなる。

発症する一年前から急激に仕事が忙しくなり、肉体的精神的共に疲れ果てていて、寝てもだるさが取れない。

最近ではふらふらするめまいも発症してきた。

当院の治療

施術前に、労働環境、慢性的な中途覚醒などの睡眠状態を考慮して、自律神経の乱れが強いと判断し測定器で現在の状態を調べました。

自律神経のバランスが強く乱れており、特に交感神経が過剰に働いていました。

また外食やコンビニ弁当、カップラーメンが多くなってしまい食生活の乱れもあるためか、血管の弾力性の低下も見受けられました。

治療は、うつぶせで眼や自律神経に関わる経穴を刺激、首肩コリや背中、腰の筋緊張を緩める施術を行いました。

仰向けでも眼や自律神経の経穴を刺激し、さらに眼の周りにある「攅竹」「魚腰」「太陽」「四白」に刺鍼し、電気を流し外眼筋を刺激していきました。

治療間隔は1週間に1回のペースで行いました。

◇1回目◇

複視は変化がない。

首肩や腰は終わった後は軽くなったが、また元の戻った。

◇2回目◇

複視はまだ変わらないが、よく寝れるようになってきた。

◇3回目◇

施術後は眼がすっきりし、視界がクリアになる。

◇4回目◇

施術した帰りは複視が軽快している。

◇5回目◇

以前より良くなっているように感じるが、睡眠不足になると複視症状が強くなる。

◇6回目◇

今回から首肩や眼周囲の刺激量を上げたためか、複視にならない日が増えてきた。

◇7回目~10回目◇

複視が気になる日がほとんどない。

◇11回目◇

完治した。

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

耳管開放症の鍼灸治療

日曜日, 4月 10th, 2022

耳管開放症対しての当院の鍼灸治療

 

1.まずは詳しく問診をします。

ストレスやホルモンバランスの変化などが原因の場合があります。しっかり問診することで原因を割り出していきます。また、どういった時に症状があらわれるのかということも重要になってきます。

問診

 

2.自律神経の状態を計測します。

耳管開放症の原因が自律神経の乱れにある場合も多いので、自律神経測定器で自律神経の状態を計測した上で治療に入ります。

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3.まずは仰向けで自律神経調整療法を行います。

多くの方が、体が冷えていたり、症状に対するストレスなども多くかかっているのでここ治療お灸療法なども併用してリラックスできる体の状態に持ってきます。

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4.うつ伏せで首肩の筋緊張をとります。

僧帽筋や胸鎖乳突筋などの筋の過緊張状態は、耳の血行不良をまねきます。それらの筋をほぐすことで血行不良の改善を目指します。また「腎」や「肝」の重要な経穴を刺激することで「腎」や「肝」の働きを調整します。

首肩をほぐす

5.横向きななっていただき耳周りを集中的に施術します。

症状の出る耳側を上にして横になっていただき、集中的に施術することで、耳や耳周辺の血流を改善します。体の状態により耳周りにはりを刺して電気をつなぐ通電療法も行います。

 

耳管開放症の鍼治療

 

 

耳管開放症の鍼灸治療症例

 

30代女性

半年ほど前から仕事を辞めて耳管開放症の症状を発症。働いている以前は、症状は全く起きていなかったが、結婚して家事を優先するようになり仕事もやめてから外出時に耳閉感や自声強調を感じるようになった。1日1~2回症状を感じてそれがまたストレスとなり外出も少し億劫に感じている。耳鼻科では、耳管開放症と診断されたが具体的な治療はされず、生活指導を少しされただけとのことだった。
その他にも目や胃の症状などの体の症状も抱えており、それらのストレスも耳管開放症に関係していると考えられる。

当院の治療

生活環境が変わり、仕事をしている時とはまた違うストレスが耳管開放症の引き金となっている考えられました。自律神経の状態も乱れがちで、全体的な調整療法も重要だと感じました。
また、頸部や肩の凝りも強くそれらも鍼灸施術により改善を目指しました。

 

治療経過

◇1回目◇

鍼灸施術に対する恐怖感が少しあったため最初は刺激量を抑え、痛電気療法を控えました。治療後体が少し軽くなったが耳の症状は変わらない

◇2回目◇

1回目の治療後だるさが出たため今回も治療の刺激量を抑えて治療しました。

耳の症状は変わらず

◇3回目◇

鍼灸治療にも徐々に身体が慣れてきたため刺激量を上げていきました

◇4~5回目◇

少し耳閉感や自声強調が治まってきた気がするとのこと

◇6回目◇

前回までは耳の症状は少し良くなっていたが、また以前に戻ってしまった

◇7~9回目◇

以前から気になっていた体の症状を精密検査したところ何も異常が見られなかったとのことでご本人としても気が楽なったとのこと。当院施術後身体も非常に楽になり、それから徐々に耳の症状が1日1回出ていたのが2~3日に1回ほどとなった。

症状が出ても数秒で程度で治まる。

 

 

 

症例2

50代女性

当院にご来院される2年ほど前から耳のつまり感が気になるようになった。症状の変化が激しく、強く耳のつまり感が出る時は同時に自分の発した声が自分の頭の中で響くように聞こえたり、めまいを感じたりしていた。家事や仕事で疲れも溜まっていたせいもあり、少し休めば症状がとれると思って病院を受診しないでいた。しかし、睡眠をしっかりとって休息してもなかなか症状が緩和されないため病院の検査を受けることにした。結果、耳管開放症と診断されて精神安定剤などを処方されて服用したがあまり改善されなかった。
身体の調子が悪い時は、曇りや雨の天気になると一日中、耳の詰まった感じ・自分の声が頭の中に響く感じ・めまいを感じていた。

治療経過

耳の症状の他にも腰痛や子宮内膜症も患っていたため、同時に治療していきました。耳・腰・子宮の症状ということで東洋医学的には『腎』の機能が弱まることによって『肝』にも影響を与えて様々な症状を引き起こしている考えられるので特に腎に関する経穴を中心に治療していきました。

◇1回目◇
治療後、体は少し楽になった感じはあるが耳の症状はあまり変化が見られなかった。

◇2回目◇
右の耳の塞がった間隔はなくなった。それと同時に左の耳塞感を強く感じるようになった。

◇3回目◇
左の耳閉塞の改善は見られない。右の耳塞感は完全されてきた。

◇4~6回目◇
一進一退の状態が続いた。基本的に天気の良い日は耳も調子よく、天気が崩れ始めると同時に耳の症状も強くなる。

◇7回目◇
左耳の症状が軽減されてきた。

◇8回目◇
一番耳症状が弱かった時を『1』強く出た日を『10』とすると2~3くらいのレベルまで回復してきた。普段は全然気にならない。身体が疲れてきたり、天候が悪くなると少し気になる程度

 

症例3

50代 男性

20年ほど前から自分の声が異常に響く症状に悩んでいた。その時は原因がわからなく、特に薬なども処方されなかった。自分でサプリメントや漢方などを飲んでなんとか過ごしていた。しかし、昨年風邪を引いて体調を崩してから左耳だけ耳塞感と自分の声が響く症状が強く出るようになってしまった。それを境に左の鼻もつまるようになって睡眠の妨げにもなっていた。
かなり症状が強く出たため、もう一度耳鼻科を受診したところ耳管開放症と診断された。鼻炎薬などの薬を処方されていくらか軽快することもあったが、仕事で疲れた時や天候が悪くなる日などは症状が強く出て薬の効果もあまり感じられない。

治療
自律神経調整と首肩の筋緊張の緩和、耳周りの施術に加えて鼻炎止めの経穴も用いて総合的に治療して行きました。初診時に自律神経の状態を測定したところ交感神経の活動が高く自律神経の乱れがみられました。

◇1回目◇
治療後2日ほどは耳塞感と自分の声が響く症状は感じられなくなった。3日以降は疲れた時に感じる程度

◇2回目◇
次回から4日空けて来院。以前見られた首肩の筋緊張は和らいでいるように感じた。

◇3回目◇
今回も治療後2日ほどは治療効果が継続

◇4~7回目◇
段々鼻炎も治まってきて、治療効果も延びてきた。1週間に一度ほどのペースで来院。その間はほぼ症状は感じられない

◇8回目◇
2週間後に来院。たまに疲れてくると自分の声が響くかなと感じるが、睡眠をとると直ぐに軽快

◇9回目◇
また2週間後に来院。今回は疲れてきても症状は感じられなくなった。

 

症例4

◇症状◇
一か月前ぐらいから仕事が忙しくなり、そのストレスのせいか耳の耳塞感や自声強調といった症状が出始めた。横になったり口を大きく開いたりすることによって症状はなくなるが、日に日に閉塞感や自声強調が強くなる。両耳に症状が現れているが特に右側が強い。その他にも疲れてくると眼瞼痙攣の症状も現れる。

◇当院の治療◇
まず、自律神経測定器で自律神経の状態を測定したところ、ストレスを受け続けたのが原因で自律神経のバランスが乱れていたので自律神経調節の治療を行った。また、首肩の筋肉が固まっていて、心臓から耳への血液の流れを阻害して異常を起こしているので、頸肩を含めた全身の筋肉を緩める治療を行っていきました。
最後に、全身の筋肉が緩まり血流が良くなったところに、今度は耳周りに鍼をうち耳に血液を集め、耳管の周りの細胞の動きを正常に戻す治療を行いました。

◇経過◇
1回目
少し症状が軽くなった気がするが、まだ症状はつよい

2~5回目
耳の症状の状態は波があり少し軽いかなといった日もあるが、基本的にはやはり耳塞感や自声強調が気になる

6回目
以前は体の疲労感をすごく感じていたが、疲れを感じることが少なくなり、耳の症状も以前よりは気にならなくなったかもとのこと。

7~11回目
治療を受ける度に耳の症状が軽減していって11回目を終えたころには日常生活で全く気にならない日も出てきた。

12回目
体調によって耳の調子も悪くなってしまうかなと感じてもなんとか持ちこたえて耳塞感までも行かなくなった。

 

症例5

30代男性

中学生の頃に耳の詰まり感や自声強調や呼吸音が響くなどの耳の不調が発症し、病院で両耳の耳管開放症と診断された。それから様々な治療を試したが効果が現れず約15年間悩まされている。

ストレスはあまり感じないが、パソコン作業が多いため姿勢が悪く首肩コリが強い。また慢性的な鼻炎や顎関節症があり、幼少期に中耳炎を繰り返していた事が耳管開放症の発症や慢性化の要因と考えられる。

当院の治療

まずうつ伏せで背部兪穴や首肩の筋緊張が強い部分に刺鍼を行いました。

次に仰向けになり耳の経穴(耳門、聴宮、聴会、翳風)や首前面にある胸鎖乳突筋、こめかみの側頭筋に低周波鍼療法を行いました、また自然治癒力を高めるために自律神経を整える経穴も刺激していきました。

治療間隔は3日~7日に1回ペースでご来院頂きました。

治療経過

◇1回目◇

まだ大きな変化はないが、耳の詰まり感は軽快したような気がする。

◇2回目◇

鼻詰まりと眼精疲労も気になるため、耳に併せてそちらの治療も行った。

◇3回目◇

前回から耳の変化はないが、よく寝れる。

◇4回目◇

耳の詰まりや自声強調が軽快し、症状が全く出ない日があった。

目の疲れや鼻詰まりも楽になってきた。

◇5回目◇

さらに症状が軽快。以前は両耳同時に症状が現れていたが、現在は片耳ずつになってきた。

◇6回目◇

気になる日が少なくなってきた。

◇7回目◇

疲れや睡眠不足の日は症状が出やすいが、それ以外は気にならない。

◇8回目◇

完全には消失していないが、症状が現れる日はほとんどない。

現在、経過観察中。

 

 

耳管開放症の東洋医学的考え

 

耳管開放症は、東洋医学で言う「」と「」が深く関係していると考えられています。

東洋医学では、五臓六腑の「腎」と耳が深い関係にあると言われています。
「腎は耳に開竅する」と言われており、聴覚が東洋医学でいう腎臓と深いかかわりがあるということを示しています。

東洋医学の「腎」は、西洋医学でいうそれとは違った役割を持っています。
東洋医学の「腎」の役割は、主に生長・発育・生殖・水液代謝を主ることです。その中でも腎の精気は、聴覚と関係が深く、多ければ聴覚機能は正常に働き、逆に少なければ聴覚機能は減退してしまいます。
また東洋医学の「肝」には「疏泄をつかさどる」という役割があります。すみずみまで機能を通行させることをさし、情緒を安定させ精神状態を正常に保つ・自律神経系の機能によって全身の機能を円滑に保つという重要な機能があります。
この「肝」と「腎」はとても深い関係にあり「肝腎同源」と言われており、同時に障害されることが多いです。そして同時に障害されると耳管開放症にかかりやすいと考えられています。

 

 

症状が出た時の対処法

・深くおじぎをする

・しばらく横になり休む

・ガムをかむ

・首や耳の後ろにカイロなどを当てて温める

・水をのむ

・耳の後ろを軽く揉む

・お風呂に入って温まる

・肩を回して筋肉をほぐす

・首周りのストレッチをする

 

 

耳の詰まり感が取れない場合は耳管開放症かもしれません!

耳管開放症とは、通常は閉じているはずの耳管が開いたままであったり、うまく開かなかったりして、耳の詰まり感自分の声が響くなど耳の症状を呈する疾患です。耳鼻科などで検査を受けても異常なしといわれることも多く、多くの人が悩んでいる症状の一つです。

まだまだ認識の薄い疾患ですが、耳管開放症にかかっている人は日本で軽症者を含めると600万人にも上るといわれており、患者数が増え続けている疾患のうちの一つです。
もし、耳の詰まり感や自分の声が響くような感じがして耳鼻科にいっても異常なしと言われたらこの耳管開放症かもしれません。耳管開放症が常に出ている場合は少なく、病院では症状が出ていないので診断が難しいといわれているからです。

 

 

耳管開放症の症状

 

耳管開放症の症状は、耳閉感・自声強調・フワフワしためまい・低音が聞き取りづらいなどがあります。

耳塞感
最初は、エレベータで上った時に起こるような耳が詰まったような感覚が突然あらわれる場合が多いです。そして気付いた時には症状が消えています。

自声強調
耳閉感が起こり、次第に自分の声が響くようになります。耳が詰まった時に自分の声が耳にこもるというような感覚は誰しも経験があるかと思います。しかし、耳管開放症の症状の場合、それが何倍も感じるようになり、声がこもるというより声が自分に響くというような感覚に陥り、とてもストレスに感じます。重症化すると自分の声が響き過ぎて自分が今何をしゃべっているのかわからないほどとなってしまいます。
そして、進行すると耳が聞こえなくなることもあるとてもこわい症状です。

耳管開放症の自己チェック法
1.あくびやエレベータなどに乗っていない何気ない時に耳の詰まり感を感じる
2.自分の声がこもる・響くような感じがする
3.1・2の症状が深くおじぎをしたり、横になって休むとなくなる

 

このような場合は耳管開放症かもしれません。

 

耳管の役割

 

耳の構造は外耳・中耳・内耳に分かれます。

外耳
外耳とは、その名の通り耳の外側にあたる部分です。私たちが目で確認できる体外に出ている耳介で音を集めて、外耳に伝えます。そして外耳道を介して中耳に音を伝えていきます。外耳とは私たちが耳かきをする部分です。

中耳
中耳とは、鼓膜の奥にある部分です。鼓膜の奥にはツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨という3つの小骨に繋がっています。内耳の中は空洞となっていますが、空気圧を適切な状態に保ったり、細菌の排出機能などとても重要な役割を担っています。

内耳
内耳は、耳介→外耳→中耳と伝えられてきた音を蝸牛という器官で電気信号に変えて蝸牛神経に伝えて脳に伝えるとても重要な器官です。また平衡感覚もつかさどっており、内耳が障害されると耳の症状と加えてめまいなどの平衡感覚に異常をきたす場合が多いです。

耳管
耳管とは、中耳と鼻の奥をつなぐ約3.5センチ程の器官です。外気と中耳の圧を一定に保つ重要な役割があります。
なぜ外気と中耳の圧を保つのが重要なのかと言いますと、外気と中耳との圧が違う鼓膜がうまく振動せずに音がうまく伝わらないからです。
例えば、エレベーター高い階に移動したとします。すると、気圧は低下するので、中耳の圧の方が外気よりも高くなり鼓膜が外側につっぱった状態となります。鼓膜がつっぱった状態だと鼓膜がうまく振動せずに音が伝わりません。よって耳が詰まったような感覚や「キーン」と耳鳴りが起きたような状態となってしまうのです。
そこで、その状態を解消してくれるのが耳管というわけです。耳管は中耳と鼻の奥と繋いでいて普段は閉じています。しかしあくびやつばを飲み込むと耳管は開くことにより、鼻の穴を通して中耳と外気の圧が一定となり、鼓膜の突っ張った状態を解消するのです。

 

なぜ耳管が開きっぱなしだと問題なのか?

中耳と外気と一定に保つ役割のある時間ですが、開きっぱなしだとやはり問題があります。
鼻から空気を吸うとき、鼻と耳をつないでいる耳管が開いた状態だと耳からも空気を取り入れようとしてしまうため、鼓膜は内側につっぱってしまいます。逆に空気を吐くときは空気を耳から排出しようとしてしまうため鼓膜が外側につっぱってしまいます。
鼓膜が突っ張った状態は、音が振動しづらいため耳塞感を生じやすくなります。

なぜ自声強調が起きる?
自分の発した声は喉から鼻へ伝わり、耳管が閉じている状態では鼓膜の方まで音は伝わりません。しかし、耳管が開いている状態では、鼻から耳管を通して自分の声が鼓膜に伝わってしまうため自分の声がこもる感じや自分の中で響く感じがしてしまうのです。

 

 

 

耳管開放症の原因

 

耳管開放症の原因は、かぜに伴う上気道炎副鼻腔炎に伴う後鼻漏の場合があります。
鼻とのどは繋がっていますが、鼻汁が喉の方へ流れて行ってしまう症状が後鼻漏といいます。後鼻漏の状態が続くととても不快に感じ食欲や睡眠にも影響を与えます。

またその他にも
・急激なダイエット
急激な体重減少により、耳管の周りの脂肪組織も減少することで耳管が開放しやすくなってしまいます。

 

・ホルモンバランスの変化
特に女性に多いですが、妊娠などのホルモンバランスの変化により耳管開放症にかかってしまう場合があります。妊娠すると6人に1人の割合で、耳管開放症に罹ってしまうほどといわれています。

 

・自律神経の乱れ(血行不良)
自律神経の乱れ特に交感神経活動の亢進は、耳管開放所の原因になる場合があります。
交感神経は活動的な状態で、交感神経が活発な状態は体が戦闘状態にあるということです。体が戦闘状態の時は、体の重要な器官(内臓など)に血流を確保しようとするため自然と末梢の血流は少なくなってしまいます。すると耳管や耳管周囲の血流も低下してうっ血がとれるため耳管が開きやすい状態となってしまいます。

 

・脱水症状
激しい運動時に耳管開放症の症状が出る方も多いです。先ほど述べたとおり自律神経、交感神経活動が活発が原因の場合もありますが、体の水分が少なくなり、耳管周りにむくみが取れて耳管が開きやすい状態となります。

重症筋無力症の鍼灸治療

月曜日, 4月 4th, 2022

重症筋無力症とは

重症筋無力症は、難病指定されている疾患の一つで日本人の約10万に13人ほどの割合で発症していると言われています。細やかな検査をしないとわからない場合も多く、実際にはもっと多くの方が重症筋無力症にかかっているとも考えられています。

 

重症筋無力症は女性に多く発症しており、男性よりも1.5~2倍ほど発症リスクが高まります。20代から50代の女性に多かったですが、原因は定かではありませんが近年男女とも50代以上で発症する方も増えていっています。重症筋無力症は、自己免疫疾患の一つで自己免疫疾患は増加傾向にあるため重症筋無力症もその一つかもしれません。

 

重症筋無力症の症状

 

重症筋無力症の症状

重症筋無力症の主な症状は、体のあらゆる部分の筋力が低下してしまうことです。

最も顕著に現れるのが手足を動かす筋肉であったり、眼球を動かす筋肉・まぶたを上にあげる筋肉などです。

そのため、正常時よりも日常生活で余計に手足に負担がかかってしまうためにすぐに疲れてしまったり、夕方以降に症状を強く感じやすくなってしまいます。

手足の筋肉が低下してしまうと物をよく落としてしまったり、字がうまく書けない、症状の進行具合が強い場合ですと立ち上がれない・歩行できないなど著しくQOLが低下してしまいます。

また、呼吸筋にも筋力低下が見あられる場合、呼吸がしづらく命の危険性も伴うこともあり、注意が必要です。

目の筋力が低下してしまうと、目を動かす外眼筋が弱くなることで左右の目の焦点が合いづらくなってしまうため物が二重に見えてしまう複視の症状が出てしまったり、まぶたを上に上げる上眼瞼挙筋やミュラー筋の働きが弱まりまぶたが上がりづらくなる眼瞼下垂症状が現れてしまいます。

・複視の鍼灸治療について

・眼瞼下垂の鍼灸治療について

 

その他にも身体のさまざまな部分が筋力低下をしてしまうことでいろいろな症状を呈します。

・口周りの場合

粗食動作がうまくいかず、物が食べずらくなってしまいます。口がうまく閉まらないこともあるため食べ物やよだれや口角からあふれ出てしまいます。
声を出す筋肉にも影響を与えてしまう場合にろれつがうまく回らない場合もあります。

 

・顔周りの場合

表情がうまく作れません。本人としては笑っている表情をしていると動作をしていても受け手には違う表情に見えてしまう場合もあります。

 

重症筋無力症の原因

重症筋無力症はさまざまな筋肉の働きが正常に作動しません。それは末梢神経と筋肉のつなぎ目である神経筋接合部が自己免疫によって破壊されてしまうことによって脳への筋肉の信号がうまく伝わりづらくなります。

すると筋肉に力が入りづらくなったり、思うように動かせなくなるのです。

なぜ自己免疫によって神経筋接合部が破壊されてしまうかなどのメカニズムはまだ解明されていません。

よって西洋医学的な治療は発症年齢や症状の出ている部位、重症度などによっても変わってきます。

入院などをして免疫機能を抑えるステロイド薬や免疫抑制剤を投与したり、状態がそれほどひどくない場合は抗コリンエステラーゼ薬などを内服して様子を見ることもあります。

自然と症状が落ち着いたり、逆に強いストレスなどがトリガーとなって症状が悪化する場合などもあります。

 

重症筋無力症の鍼灸治療

 

当院にご来院される重症筋無力症の多くは眼瞼下垂症状や複視症状でお悩みになってご来院されます。

自己免疫疾患ですので自律神経も深く関わりがあると考えるためまず初診問診時に自律神経の状態を測定したうえで施術に入っていきます。

主に目の周りの施術がメインとなりますがその他の気になるお身体の部分も併せて施術していきますので問診時に全身の症状をお伝えください。

基本的にまずはうつ伏せで施術を行い、首肩や背部兪穴といいまして五臓六腑に重要なツボがありますのでそれらのツボを刺激していきながらお身体の自律神経のバランス調整などを行ってきます。また、重症筋無力症の方の特徴としまして首肩コリの痛みを感じていらっしゃる方が多いです。

 

重症筋無力症のうつ伏せ鍼治療

 

当院ではそれらの症状にもアプローチしていきます。

うつ伏せ施術が終わりましたら仰向けとなり目の周りの施術を行います。基本的には鍼通電治療を用いますがその方の鍼治療の身体の反応を診て刺激量は調整して行っていきます。

初めてで鍼治療にまだ慣れていない・まだ鍼治療への怖さがある場合に関しましては鍼通電治療を用いず徐々に刺激に慣れさせていきますのでご安心ください。

 

重症筋無力症の鍼治療

 

症例

20代 女性

病態

当院にご来院される1か月前から物が二重に見える複視症状でご来院されました。当初病院では外転神経麻痺と診断を受けていました。重症筋無力症の疑いはあったが、はっきりとは検査結果でない状態。

外転神経麻痺と全身疲労、首肩の筋緊張の緩和を目的にとりあえず治療を開始していきました。

 

症状に波があったものの7回目の施術後には少しずつ複視の状態が改善されていったが、それ以降急に複視症状が悪化。

細かく病院で検査を受けたところ正式に重症筋無力症と診断を受けたとのこと。

それ以降も鍼灸治療を3回受けて真正面の視界はほぼ一つにまで見えるようにまで回復。

 

 

重症筋無力症と診断を受けて入院からの経過

それから1か月ほどはステロイド投与で入院。

退院後もステロイド剤を服用して経過観察。

退院して1か月ほど経過してから鍼灸治療を再開。

 

ステロイド薬による全身のむくみ特に頬部あたりのむくみが気になるとのことで循環改善の鍼灸施術も併せて目の周りの施術を中心に行っていきました。

2~3週間に1度ほどのペースで鍼灸治療を受診。複視の調子は段々と改善されてきて体調良くなってきたことから3か月後に職場復帰。

職場復帰してからも目や身体のメンテナンスで1か月に1度ほどのペースで鍼灸治療を受けられています。

 

花粉症の鍼灸治療

木曜日, 3月 24th, 2022

 

 

花粉症の鍼灸治療

 

花粉症はアレルギーに効果がある経穴を使用した経絡治療や自律神経調節治療を中心に行っていきます。目のかゆみや充血には「晴明」「太陽」「攅竹」「角孫」鼻炎症状がある場合は鼻周りの特効穴「迎香」「上迎香」「神堂」「神庭」にも刺鍼を行います。

鼻周りの経穴には、状態に合わせて電気鍼で刺激していきます。

 

花粉症の東洋医学的治療

 

東洋医学では、「気」「血」「水」の三つの流れ、バランスが重視されます。

この三つが絶えず体中を巡り合って健康な生命活動を維持していると考えられています。

しかし、この三つのバランスが崩れると体に不調が生じます。

花粉症の場合「水」と大きな関わりがあります。

 

体に必要以上の水が入ることを水毒と言い、過労やストレス、水の取りすぎで体調を崩すと胃腸の調子が悪くなり、吸収力が低下します。胃腸の働きが悪くなると液状の飲食物が体内に残ってしまい余った物が水毒となります。

 

花粉症は鼻水や涙が止まらない症状から、吸収されない水分が水毒なり体の外に出る事で発症すると考えられています。

 

水分調整には「脾」「肺」「腎」が大きな役割を担っています。

脾は全身にまんべんなく水分を運搬する機能で、肺は全身の水分をコントロールしています。腎は水分代謝の役割を担っており、余分な水分を尿に変え体外に排出する機能を持っています。

 

また、鼻づまりや目の充血は粘膜がうっ血状態となっている事から、「瘀血」と捉えています。

 

この瘀血は、のぼせやイライラなど気逆の症状が現れることもあるため、それらの状態が見られる場合は瘀血、気逆を正常に整えるツボも使用していきます。

 

花粉症とは

 

花粉症は、植物の花粉が原因の季節性アレルギーのことを言います。

主に鼻と目の症状からなるアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎が現れます。

また花粉に振れやすい顔や首回りに湿疹がおこる花粉皮膚炎も発症することもあります。

 

花粉症が起こるメカニズム

 

花粉といったアレルゲンが鼻粘膜に付着すると、抗体が体内で作られマスト細胞と結合します。

その後再び花粉が鼻粘膜に付着するとマスト細胞からヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサン、PAF(血小板活性化因子)等といったアレルギー誘発物質が放出され、それらの物質が鼻粘膜にある神経や血管を刺激し、鼻水やくしゃみ、鼻づまりといったアレルギー反応を引き起こします。

 

目の場合も同様で、花粉が瞼の粘膜に付着するとヒスタミンなどが発生し粘膜を刺激するため目の充血やかゆみを引き起こします。

また目の知覚神経が刺激されるとその影響で涙腺神経も刺激されるので流涙も強くなることがあります。

 

近年、花粉の飛ぶ時期でしか発症しないものでしたが、ダニや複数の花粉に対してアレルギー反応を起こし一年中花粉症に悩んでいる人も増加しています。

 

花粉症の症状

 

・鼻水

・くしゃみ

・鼻づまり

・鼻のかゆみ

・目のかゆみ

・目の充血

・流涙

・皮膚の湿疹

・皮膚のかゆみ

・頭痛

・微熱

 

花粉の時期と種類

 

春はスギ花粉を筆頭に、ヒノキ、白樺、ハンノキなどの樹木花粉が多く、これらの花粉は十数km、中には数百kmまで風に乗って飛ぶこともあり、スギやヒノキが少ない都市部まで大量に舞ってくる事があります。

時期は地域によって違いますが、2月~4月がピークと言われています。しかし、スギ花粉は10月から6月まで飛ぶこともあり、アレルギー反応が強く出やすい人はピーク時以外でも発症する事もあります。

 

秋の花粉はブタクサ、イネ、ヨモギ、カナムグラが多く、早くて8月の終わりころから飛び始め、11月まで飛びます。特に9月頃がピークになることが多いです。

イネに関しては5月頃がピークになります。

 

上記だけではなく、日本では61種類の花粉によるアレルギーが発見されています。

 

花粉症の西洋医学的治療

 

花粉症の治療は、鼻噴霧様のステロイド薬、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬の内服といった薬物療法が中心になります。

また、花粉のシーズン前にレーザー照射で鼻粘膜表面を変性、収縮させることにより鼻水、くしゃみ、鼻づまりといった症状を軽減させる治療もあります。しかし、この方法は花粉の症状が出てから行っても効果がでないので、シーズン前に受ける事が大切です。

 

また、アレルギーの原因となる抗原を体内に少しづつ投与する事によって、アレルギー反応を起こしにくい体質に変化させるアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法、皮下免疫療法)があります。これは免疫を獲得するために行われる予防接種とは違い、間違って獲得してしまった免疫の排除を目的として投与します。

 

日常生活の花粉症対策

 

花粉症は自律神経の乱れで症状が悪化することがあります。

まずは睡眠をよくとる事。規則正しい生活を送ることが大切です。

他には多量の飲酒、喫煙も鼻粘膜を刺激してしまうので控えましょう。  

外出時はマスクやメガネを装着する、室内に持ち込まないように工夫をしましょう。

 

アレルギー性鼻炎と自律神経の関係性

 

朝の起床時に鼻が詰まったり鼻水やくしゃみが止まらなくなる事があります。

これはモーニングアタックと呼ばれていて、自律神経のバランスが乱れることで起こります。

 

自律神経は活動時に働く交感神経と睡眠中やリラックス時に働く副交感神経があり、目覚めて副交感神経から交感神経に少しずつ切り替わります。

交感神経は鼻粘膜の血管を収縮させ、くしゃみや鼻水を抑えますが、起床直後はまだうまく働いていないためくしゃみや鼻水が出ます。

 

睡眠不足や慢性的なストレスで自律神経が乱れている人は、より花粉症の症状が強く出やすくなります。

 

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