外反母趾とは、母趾が外側に曲がった変形をいいます。65歳以上の女性では3人に1人以上が外反母趾を発症しているといわれるほどです。日本では様式の靴を履くような生活が中心になってから発生頻度が増加しており、性別では女性が患者のほぼ9割を占めるといわれています。
外反母趾は歩き方や姿勢にも影響しますので、膝痛や腰痛、肩こり、片頭痛など体の様々な箇所に不調をきたします。
合わない靴やハイヒール
外反母趾になる最も多い原因です。サイズの合わない靴を履き続けると、靴の中で脚が前に滑り、指が靴のつま先へと押し付けられて、親指に付け根の骨だけが異常に出っ張る外反母趾になりやすいとされています。
また、ハイヒールが特に悪いと思われがちですが、靴の種類に関わらず、女性の方が男性に比べて筋肉量が少ないため負担を受けやすく、親指の力が衰えて外反してくるといわれています。
遺伝
外反母趾そのものが遺伝するのではなく、外反母趾になりやすい骨格が遺伝するため、一般的に両親や親族に外反母趾の人がいるとなりやすいといわれています。
足の筋力低下
近代では長時間靴を履いて過ごす時間が増え、裸足で過ごす時間は減少しました。また、乗り物を利用することも多く自分の足で歩く機会は減少してきています。
このような要因から足底の筋肉が発達せず靭帯や筋が緩んだり弱くなって(開帳足)、外反母趾を進行させてしまいます。
その他
10歳代に起こるものは母指が人差し指より長かったり、生まれつき扁平足ぎみであったりすると外反母趾になりやすい特徴があります。最も多い中年期のものは履物に加えて、肥満と筋力低下などによって起こります。
健常な足には縦のアーチだけでなく横のアーチがあります。外反母趾ではこれらのアーチが崩れて扁平足になると、中ほどにある母指の中足骨が扇状に内側に開き、それから先の指は逆に靴で外側に圧迫されて起こります。
特徴的な症状は足の母指(親指・母趾)の先が人差し指(第2趾)の方に「くの字」に曲がり、付け根の関節の内側の突き出したところが痛みます。
その突出部が靴に当たって炎症を起こして、ひどくなると靴を履いていなくても痛むようになります。また、足の裏に胼胝(タコ)ができたり、母趾が人差し指の下にもぐりこみ痛みが酷くなることもあります。
外反母趾により足のアーチが崩れてしまうと、地面からの衝撃を吸収できない状態になってしまい、膝や股関節、腰などの関節に着地の衝撃が直接響くため、痛みや不調を感じやすくなることがあります。また、外反母趾の部分をかばうように歩くことで脚自体が変形してしまうこともあるといわれており、O脚やX脚に発展してしまうこともあります。
・頭痛や肩こりなど上半身の不調の原因にも
外反母趾になると足指をうまく使えなくなるため、心臓から最も遠い部位である足指や足裏の血流ポンプ機能にも影響を及ぼす可能性もあり、全身の血の巡りが良くない状況になることで、冷えやむくみ、免疫力の低下を感じやすくなりかねません。
また、外反母趾により生じた体のバランスの崩れを肩や首で修正しようとするため、特定の部位が緊張しがちになり、首や肩のコリなど上半身の不調を招くともいわれています。
外見からも診断は可能ですが、正確には足部のレントゲン写真で診断します。第一中足骨と第一基節骨のなす角を外反母趾角といい、15°までを正常、15~30°までを軽度30~40°までを中等度、それ以上を重度としています。
ただし、外反母趾があっても症状がないものは単に「外反母趾変形」があるというだけで、治療対象にはなりません。痛みや靴のトラブルなどの症状があってはじめて外反母趾は治療が必要になります。
治療
保存療法(手術以外の治療方法)と手術療法があります。
保存療法
装具療法と運動療法があります。中等度以上の外反母趾は痛みが強くなったり、変形が進むことが多いので予防することが重要です。
装具療法
まず、アーチサポート(靴の中敷きのようなもので、土踏まずの部分を少し高くする装具は縦アーチを、中足骨パッド(足趾の付け根の部分にある出っ張り)は横アーチの低下を防止し、痛みを和らげます。その他には趾の間に挟むセパレーター(ベルクマン、スーパートンチャンなど)、外転装具があり、それらをいくつか合わせて使うこともあります。
運動療法
足趾でのタオルをつまみ寄せる訓練、ホーマン体操(ゴムバンドを両方の母趾にかけ、母趾を内側に動かす訓練)などがありますが、変形を元に戻す効果はなく、いずれも進行を遅らせる程度の効果です。それでも痛みが強くなる場合には手術を行うことになります。
手術療法
変形が進むと、指についている筋肉も変形を助長するように働き、体操や装具では元に戻りにくくなります。痛みが強く、靴を履いての歩行がつらくなると手術を行います。
外反母趾の手術にはいろいろありますが、最も一般的なのは中足骨を骨切りして矯正する方法で、変形の程度により方法を選んで行っていきます。
外反母趾の鍼灸治療は変形そのものを戻す治療ではなく、痛みを軽減したり、進行を遅らせる治療になります。
鍼灸治療の効果の特徴として鎮痛効果や抗炎症作用がまず挙げられまます。
炎症が起きている患部の周辺のツボに鍼やお灸で刺激を与え、炎症を抑える作用や鎮痛効果を促します。
また、外反母趾の方は足だけの問題だけではなく筋肉のバランスが崩れることで、膝や股関節、腰などの下半身の関節の不調や、首や肩など上半身に不調をきたすこともしばしばあります。
全身の関節のゆがみや筋肉の緊張は足にも影響を与えるため、全身的なバランス調整施術も行っていきます。
また、内臓機能や血液循環などを司る自律神経のバランス調整性術も合わせて行うことで、免疫力や自然治癒力を高め全身的な血液循環を促進し、症状が治癒しやすいお身体の状態へと整えていきます。
・膝痛の鍼灸治療
・腰痛の鍼灸治療
・肩こりの鍼灸治療
・片頭痛の鍼灸治療
目を潤し、またさまざまな病原から目を保護するために、目には涙液が流れています。涙液は涙腺と副涙腺で分泌されて上涙点と下涙点から吸い込まれ、細い管(上涙小管、下涙小管。2つが合流して総涙小管)を通って涙嚢に達し、鼻涙管を通過して鼻腔へと流れ込みます。
この鼻涙管が閉塞して、涙が鼻へとうまく排泄されなくなっている状態を鼻涙管閉塞といいます。
ご高齢の方がなりやすい病気ですが、生まれたばかりの赤ちゃんのうち10%は鼻涙管閉塞があるといわれています。ただ、生まれつきの場合は一歳になるまでにほとんどが自然に開通するといわれています。
先天的な原因
生後間もなくは鼻涙管の発達が不十分なことも多く、先天的に鼻涙管が閉塞もしくは狭窄(狭くなる)していることがあります。成長とともに鼻涙管の発達も期待できますが、なかには発達が不十分になることもあります。
後天的な原因
後天性鼻涙管閉塞は多くは加齢現象としてみられており、中高年の女性に多くみられます。その原因の1つとして、もともと女性は涙道が狭いことが考えられます。また、女性では化粧品の流入などによる炎症などが原因で鼻涙管閉塞を引き起こすことがあります。
その他、後天的な要因から発症する場合、原因を目の疾患と鼻の疾患に大きく分けることができます。
目の疾患
結膜炎が代表的です。空間的につながりのある鼻涙管に炎症が広がってしまうことから鼻涙管閉塞を発症します。
鼻の疾患
鼻炎などの炎症が広がることがあります。蓄膿症やポリープなども鼻涙管閉塞の原因となることがあります。
鼻涙管閉塞になると片眼、または両眼から常に眼脂が出る、涙が出る、潤む、目やにが増える、涙で視界がぼやける、目の周りの皮膚がただれる、目頭が感染を起こし赤くなるなどの症状を引き起こします。
検査
涙道通水試験と呼ばれる検査をもとに診断を行います。これは涙点から生理食塩水を注入し、鼻から生理食塩水が排泄されてくるかどうかを確認する検査です。
本来であれば、涙は涙点から鼻涙管を介して鼻へと流れていきます。つまり、目と鼻は一つの空間として構成されています。そのため、健康な状態であれば、涙点に注入された生理食塩水が鼻の中へ排泄されることを確認することができます。しかし、鼻涙管閉塞では生理食塩水の排泄を鼻で確認することができません。
その他、原因となる疾患を検索する目的で、眼科的な検査や耳鼻科的な検査が併用されることもあります。
治療
基礎となっている病気に対するアプローチに加え、年齢や鼻涙管閉塞の症状に応じて治療方法が決定されます。
先天性の鼻涙管閉塞では、生長とともに鼻涙管閉塞が自然に改善することも多く、マッサージなどを行う程度で保存的に経過をみることもあります。具体的には目頭を一日のうちに数回定期的にマッサージする「涙嚢マッサージ」と呼ばれる方法がとられることがあります。
涙嚢マッサージを行いながら、抗生物質の点眼薬を併用することもあります。また、涙道通水試験を治療的な意味合いで併用することもあります。
保存的な治療で改善が見られない場合には、鼻涙管開放術(ブジー)を行います。鼻涙管開放術は、涙点から細い針金を鼻涙管に差し込み、物理的に涙の流れを阻害している部分の通過性を向上させる方法です。
鼻涙管開放術を行っても症状が改善しない場合には、鼻涙管にチューブを挿入、留置することもあります。さらに、涙嚢と鼻の通り道を形成する涙嚢鼻腔吻合術と呼ばれる手術が選択されることもあります。
蓄膿症の場合
炎症や、化膿、発熱、充血、疼痛、出血などの熱証
五臓の肺の機能低下、脾胃の機能低下などが考えられます。
結膜炎の場合
東洋医学では「肝は目に開竅する」という言葉があります。これは目と肝に密接な関係があることを示しています。肝は各器官に気・血・津液がすみずみまで流れるよう、量や配分を調整しています。このような働きを疏泄機能といいます。
血を主る肝が疲労などで消耗すると、目まで栄養を送ることが出来なくなり、目へと悪影響が及びます。また、肝は生命の源である「腎」と深い関わりがあります。肝血が不足すると、腎は腎精を血に変えて、肝血を補い、反対に腎精が不足すると肝は肝血を精に変えてお互い補い合うことで機能を維持しています。
当院では、全身の血流、内臓機能、涙の分泌などに深く関わる自律神経のバランスを機械で測定し、お身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
まず、顔面部の血流を促進するため、うつ伏せで首や肩周りの筋緊張を緩める施術を行います。次に仰向けで鼻涙管周囲のツボに鍼やお灸で刺激を与え、閉塞部を刺激し鼻涙管の詰まりを和らげる作用を促します。
また、東洋医学的観点から肝や腎を中心とした五臓六腑の機能調整を行います。さらに、自律神経の調整施術を行うことで内臓機能や免疫機能を高め本来お身体の持つ自然治癒力を高め、症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えていきます。
肩こりの原因や症状には個人差がありますので、それぞれの原因、症状に合わせた治療を行う必要があります。当院ではまず自律神経測定器によって血管の状態や自律神経の状態を測定させて頂き、自律神経や内臓機能を整えるツボを鍼やお灸で刺激する事で全身の血流を促進し、身体をリラックスした状態へと促し自然治癒力を高めていきます。
そのうえで症状と合わせた頚や肩部、背部、上腕部などのツボを鍼や灸で刺激し、必要であれば筋肉の緊張が強いところへ電極を繋ぎ微電流を流すことで筋肉の緊張を緩和していきます。また鍼通電治療を行うことで痛みの閾値が上がり肩の痛みを感じにくくさせる効果も期待できます。
それらとマッサージやストレッチを行うことでさらに筋緊張の緩和を促し、施術効果を持続させるのです。
また、肩こりの改善には普段の日常生活での姿勢や生活習慣を変えていくことも必要です。当院での施術に加えて日常生活での注意点もアドバイスしていきます。
肩部の治療に対する鍼治療の臨床研究は日本問わず海外でも行われています。ここでは一つイギリスのプライマリケア・クリニックで行われた肩部の疼痛に対して鍼通電治療法を用いた臨床研究をご紹介させていただきます。
参加者は18歳以上で肩の軟部組織領域が原因で肩の疼痛が出ていると医師から診断を受けた方を対象に行われました。
一つ目のグループは、肩の痛みが出ている部分と末梢部分の経穴に鍼を刺して低周波鍼通電治療を1週間に一度8週間受けたグループと同じ経穴に対して鍼を刺さない偽鍼治療群とに分けて行われました。
130人の患者が参加し、鍼治療群65人と偽鍼治療群65人をランダムに振り分けて痛みを測定する疼痛VASを用いたり、非ステロイド性抗炎症薬の投与量、などを用いて施術後の変化を見ていきました生活の質への患者満足度の評価法。
両郡から10人ずつ脱落者がでたが、7週間後偽鍼群では疼痛VASスコアが20%低下したのに対して鍼通電治療群では、43%の低下が見られました。その他非ステロイド性抗炎症薬の投与量の減少、肩関節の可動域の拡大、生活の質の改善など鍼通電治療群では明らかな改善結果が得られました。
その効果は治療開始後、3か月・6か月ともに継続して見られました。
参考文献
『鍼のエビデンス 鍼灸臨床評価論文のアブストラクト』
医道の日本社
30代 女性
長年慢性的な肩こりに悩まれていたが、二年ほど前から結婚を期に職場が変わり、通勤に1時間以上かかり、仕事もパソコン中心のデスクワークを行うようになり、肩の痛みや腕の冷え感・だるさや痺れを感じるようになってしまった。ある時から通勤中の吊り輪を持つこともつらくなり、仕事中でも肩が痛く仕事にも支障が出るようになってしまった。整形外科を受診してレントゲンなどで検査をしたが、特に病的な異常は見られずに特に治療は行われなかった。
マッサージ院や整体院などにも1年ほど通院したがなかなか改善されずに鍼灸治療を試してみたいと当院にご来院されました。
治療
首や肩部分を触診したところ特に肩甲挙筋と僧帽筋、小円筋や大円筋、上腕二頭筋長腱付近の緊張が強く凝り固まってしまっている状態でした。また、通勤中や仕事中のつらさから仕事にも嫌気がさして夜も深い睡眠がとれていないと感じていることから自律神経測定器で自律神経の状態も測定していきました。
◇1~3回目◇
治療後1日くらいは肩や腕の調子はいいと感じたが、2日もすると状態は戻ってしまう。
◇4回目◇
普段、通勤電車でつり革をつかむとすぐに腕のだるさや冷え感を感じていたが、それを感じるまでの時間がだいぶ伸びてきたと感じたとのこと
◇5回目◇
頸肩周りの筋緊張はだいぶ緩和されてきた印象。本人としてはまだ仕事中1時間もすると肩が気になってくる。睡眠は最近深く取れるようになってきた。
◇6~8回目◇
頸肩部に鍼をさしながゆっくり肩を挙上させて痛みを軽減させる運動鍼療法を行ったところ次の日からだいぶ状態が軽減されてきたとのこと。
◇9回目◇
頸肩の状態はだいぶ緩和されてきて仕事中はそこまで気にならなくなってきた。まだつり革をもつと冷え感は感じてしまうが、その程度も軽減されてきた。
肩こりとは後頭部から肩、肩甲骨や鎖骨にいたる筋肉が異常に緊張し、痛みや不快感、違和感を感じる症候の総称であり、症状が悪化すると頭痛や吐き気、上肢の痛みを伴う事もあります。肩こりを感じる筋肉は色々ありますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉が中心です。
筋肉が硬くなり循環障害が起こる事で酸素や栄養分が末端まで届かず、疲労物質が蓄積する事が刺激となり痛みを引き起こします。肩こりの原因は実に様々です。
・筋肉疲労によるもの
姿勢不良による筋肉の過緊張、使い過ぎによるもの、冷えによる筋肉の中での血行不良、加齢や運動不足などが原因として挙げられます。
・眼精疲労
目の酷使によって、目の周囲の筋肉の緊張と共に首や肩の筋肉が緊張する事や、メガネの度数があっていないなどの慢性的な目の緊張や疲労が肩こりの症状を引き起こす事があります。
・ストレスによる緊張
過度なストレスを受けると、身体の調節機能である自律神経のバランスが崩れる事により筋肉疲労を引き起こします。自律神経は日中の活動を司る交感神経と体の回復を司る副交感神経の二つで成り立っており、この正反対の働きをする二つの神経がバランス良く働く事で健康が保たれています。
この自律神経は脳の視床下部で統率されている為、精神的ストレスの影響を受けやすいといわれています。過度のストレスや疲労により自分の意志とは無関係に自律神経のバランスが崩れて血管を収縮させ、筋肉を緊張させる交感神経の働きが優位になります。
このような状態が長く続くと、血行不良や筋肉の緊張も続き、肩こりが慢性化しやすくなります。また、自律神経は心臓の拍動や血圧の調整、汗の分泌、内臓の運動などの体の反応を司っている為、肩こりと併発して動悸や息切れ、不眠、めまい、頭痛、火照り、血圧上昇、下痢や便秘、胃腸の不調など様々な自律神経症状が現れる事も少なくありません。
・体系や骨格の影響によるもの
猫背、なで肩、肥満、側弯症、ストレートネックなど
・歯のかみ合わせ不良、顎の関節の問題からくるもの
不自然なかみ合わせにより咀嚼筋の緊張を引き起こす事で顎周りの筋肉が緊張し、肩こりを引き起こします。特に側頭筋の筋緊張は頭痛を引き起こす原因ともなります。
・頸の骨や神経に問題がある場合
頚椎椎間板ヘルニア
主に加齢や外傷が原因で発症し、骨と骨の間に挟まれているクッションの役割を果たしている椎間板が何らかの理由で飛び出て神経を刺激する事によって起こります。30代~50代に多く突然発症する事もあります。
悪い姿勢での作業やスポーツなどが誘因になる事もあります。首の痛みや肩こりに加えて痛みやしびれを腕や手指に感じます。椎間板が飛び出した場所により神経を圧迫する位置も違うので、痛みや痺れが現れる場所も違ってきます。
神経の圧迫が強くなると手足の動きが悪くなったり麻痺のような症状に進行する事もあります。
変形性頚椎症
私達の体は脊柱(いわゆる背骨)を支柱にしていますが、そのうち首の部分の骨は7つで構成されており頸椎(けいつい)と呼ばれています。
これらの骨や周辺の靱帯が組み合わさることで、上下左右の向きたい方向に首を動かすことが出来ています。頸椎の中には脊髄が中心に走っており脳から命令を全身に伝える役目を果たしています。変形性頚椎症とは何らかの理由により頸椎が変形を起こすことです。その原因は主に加齢や事故による外傷によるものが多く、40代以降の人が特にかかりやすいと言われています。
しかし、若くても遺伝的な要因で骨の変化が見られることがありますし、スポーツによる怪我や交通事故などの衝撃で頸椎がずれてしまったり、日頃の姿勢の影響も原因の一つとされています。
頸椎の変性とは骨と骨の間のクッションの役割を果たしている椎間板が弾力性を失っていく事で骨と骨がぶつかり合ったり擦り減ったりすることで、骨のでっぱりが出来て骨が変形します。これを骨棘(とげ状の突起)と言います。
また、靱帯の石灰化や骨化、椎間板が後ろに飛び出したり、脊髄の微細な傷や血行障害などにより脊髄から分かれて足の方へ向かう神経根という神経を圧迫、刺激されることによって痛みを引き起こします。首や肩の筋肉の緊張と圧痛、肩から腕にかけての痛み、(放散痛)脱力感、疲労感が生じ、腕や手指にしびれが出ることも多く、その痛みは軽いものから耐えられない程まで程度は様々です。
症状が進行すると手の筋肉の萎縮や皮膚温の低下、異常発汗、等が現れます。また、脊髄に圧迫が起こると下肢の症状が現れ、歩行障害、排尿、排便障害などの症状が現れます。
・臓器の問題があって起こる肩こり
肩こりを併発する内臓疾患として心臓病や肝臓、胆嚢の病気、胃腸障害、肺の病気などが挙げられます。
狭心症や心筋梗塞では左胸から左肩への放散痛が特徴的です。肩こり以外にも背中の痛みや、強い胸やけ、胸が締め付けられるような激しい痛みが伴います。
右肩やその周辺に痛みやコリがある場合は肝臓や胆嚢の病気の疑いがあります。肝臓の機能に障害があると肝臓の上に位置する横隔膜が刺激され肩の動きが障害され、右の首から肩への痛みが見られます。胆嚢炎や胆石の時は、右の上腹部の激しい痛みと共に右肩から肩甲骨にかけても強く痛みます。
胃腸障害では肩こりや肩甲骨の間に痛みが現れる事があります。肺結核や肺膜炎になると微熱、咳、だるさの症状が起こりますが初期症状として首、肩こりや背中のコリ、だるさが出ることがあります。
慢性的な肩こりがある方は内臓疾患からくる肩こりを見極めにくいかもしれませんが、内臓疾患からくる肩こりの特徴として肩こり以外にも持続的な疲労感、頭痛、動悸や息切れ、めまい、耳鳴り、背中の痛み、発熱、手足のしびれなどの症状が現れるという事や、運動や入浴、マッサージなどで筋肉を緩めても症状が軽減されないという事が挙げられます。
今までに感じたことの無い痛みや違和感が続いたり、肩こり解消の対処をしても、痛みが段々と増しているなどの異常を感じたりした場合は重大な病気が隠れている可能性もありますので、早急に医療機関の受診をお勧めします。
また、疲労や暴飲暴食、ストレス、運動不足、寝不足などで内臓疲労(肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胃、腸など)が起こり、それが肩や背中のこりとして現れることもあります。
東洋医学では人の体には経絡という道のようなものがあり「生命エネルギー」の通り道になっていると考えられています。主要な経絡は14ありそれぞれが臓器と深い関係にあります。このルート上にあるのがツボと呼ばれ生命エネルギーの出入り口とされています。ツボと臓器は繋がっている為臓器が不調になれば関連するツボが硬くなったり押すと痛んだりするようになります。鍼灸治療ではこの関係を利用し、内臓疲労から起こる肩こりに対し関連する臓器に対応するツボを鍼や灸で刺激を与える事で症状を緩和していきます。
東洋医学からみた変形性膝関節症は気血両虚か『肝腎両虚』によるものだと考えます。
膝には肝、脾、腎の三経が通るため非常に重要な部位になるため障害が起こりやすいです。
三経の内、肝は筋を、脾は肌肉を、腎は骨に関係します。
この三経の状態を治していくことが変形性膝関節症の治療になります。
腫れがひどい場合には、湿熱や寒湿、熱毒、湿毒などの関係も調べて治療していきます。
膝の状態が悪く痛みをかばったまま歩行をしていると腰部の筋緊張を招くことが多く、膝の治療に関しましても腰部や背部の筋緊張緩和を目的に施術を行っていきます。
当院では、自律神経を測る機械で自律神経のバランス状態を調べてから治療に入ります。
交感神経や副交感神経のバランスが崩れていると血行状態がわるくなり回復が遅くなります。痛みはストレスからも引き起こされるため自律神経のバランスが悪いため免疫やストレス耐久力なども痛みの原因となります。
東洋医学から調べた肝、脾、腎に合わせて自律神経を整えることで、変形性膝関節症の治療速度を速めます。
膝は骨盤からの影響を受けやすい部位です。骨盤が歪んでいるために膝に負担がかかり変形性膝関節症になる場合もあります。骨盤が前傾や後傾、左右の歪みにより下肢が正しく地面に着けなくなると間の膝が損傷しやすくなるためです。
当院では、関節の歪みを整える治療法がありますので、歪んでしまった骨盤や股関節、膝関節の矯正を行います。
関節の歯車を上手く整えることで関節内の関節液が出やすくする状態に治してあげることで、関節の動きをスムーズにしていくことができます。
変形性膝関節症の痛みに対する鍼治療の有効性を示す研究が海外でも行われています。
南スペインの公立プライマリーケアセンター疼痛治療班の研究では、変形性膝関節症患者に対する薬物療法の補助治療として鍼の有効性を確かめる試験が行われました。
変形性膝関節症の治療に通る患者97名を対象に試験が行われて、患者をランダムに2つの群に割り当てました。
一つ目の群は、非ステロイド性抗炎症薬の投与に加えて鍼治療を行った群(48名)で、2つ目の群は非ステロイド性抗炎症薬の投与と偽鍼治療群(49名)です。鍼治療群では電気鍼治療も加えて治療期間は12週間行いました。
評価法は、疼痛・こわばり・身体機能に関するサブスケールと疼痛強(VAS)・生活の質プロフィールなども用いて変化を見ていきました。
結果は、鍼治療を行った群が疼痛・こわばり・生活の質全てにおいて偽鍼群よりも顕著に改善されたという結果が出ました。
40代 男性
数か月前より右ひざに痛みが出るようになった。特に朝や座って立ち上がるときなどに痛みが強く出て症状が強く出るときは立ち上がり動作がつらくなり、すっと力がぬけてしまう感じがしていた。あまりに痛いので整形外科を受診したところ変形性膝関節症と診断されてしまった。その時は膝に注射を打って数日痛みが治まったが、数日経つとまた痛みが出てくるため整形外科では手術を勧められた。しかし、知人で同じような手術をした方がいてその方はあまり症状が改善されなかったため手術を何としても回避したいと考えて当院にご来院された。
治療
まず仰向けになっていただき、膝周囲に鍼通電療法とお灸療法を施し、次にうつ伏せで膝裏や腰部にも施術していきました。最後に下肢から腰部にかけて入念にストレッチと骨盤矯正を行っていきました。また、30代の時と比べると体重が20キロほども増えていたためそれが膝への負担を増加させていると考えられているため日々の生活で体重減少と下肢の筋肉のトレーニングを行っていただきました。
◇1回目◇
治療後、立ち上がり動作は楽になったと感じた。次の日の朝も以前よりは痛みを感にくくなった。
◇2~5回目◇
治療後は膝の調子はいいが、数日するとまたもどってしまう状態を繰り返していた。
◇6~10回目◇
体重も徐々に減少。膝への負担も軽減してきた。膝の痛みも感じることが減ってきて立ち上がり動作をしても痛みはほぼない。
変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減って、関節炎や変形を生じて痛みなどを引き起こす病気です。
変形性膝関節症は傾向として、肥満型の女性に多くなりやすい病気です。性別差では1:3の割合で女性の方が多いです。関節軟骨の退行性変性は体重による負荷が関係するため肥満体型の方がなりやすいと考えられています。
原因がはっきりしない加齢によって起こる変形性膝関節症と、何らかの原因により生じる二次性の変形性膝関節症に分類されます。
変形性膝関節症の約8割が膝関節の疾患がなく発症する一次性のものです。
二次性の疾患には、十字靭帯損傷や半月板の外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症、痛風、骨折、脱臼などが影響して起こるものです。
一次性変形性膝関節症は軟骨の退行性変性によって起こるものです。
一次性の変形性膝関節症では、その主因と考えられている膝関節の関節軟骨における退行性変性は40歳代から始まり、50歳代を過ぎると膝痛を中心とした症状の発症が起こってきます。
変形性膝関節症は、関節軟骨の退行性変性を原因とする疾患である。すなわち、加齢による膝関節の関節軟骨の変性によるもので、このため本疾患は高齢者に多くなります。
正常の膝関節の表面には、弾力性に富んだ軟骨に覆われています。この関節軟骨が衝撃や外力からのクッション材になることや、関節の動きを滑らかにする役割があります。
また周りを覆う滑膜からは膝関節がスムーズに動くための関節液がでます。この関節液には、関節の潤滑油と軟骨の栄養の役割があります。
変形性膝関節症の初期段階では、この関節軟骨が摩耗によりすり減り痛みを感じ始めます。膝に負担がかかる動きで感じやすいので、立ち上がり時や、階段昇降時などです。
この状態が続くと状態が進行して、軟骨部分が摩耗により下の骨が変形してくるようになります。この部分が骨棘となり擦れるたび強い痛みを生じるようになります。
この段階になると日常生活でも大きな障害になりますし、骨同士がぶつかり合うため関節の可動域も大きく制限されてきます。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
東洋医学では脳卒中のことを『中風』または『卒中』といわれ、古くから中国の古書「内径」に記載されています。東洋医学では、歴代の医学家が数千年にわたって病因・治療・予防・療養の観点より総合的に研究して学説として形成されていて東洋医学の治療の中でもとても重要な位置づけがなされている疾患の一つです。
当院の鍼灸施術では、古くから脳卒中の特効穴と知られる『中風七穴』を用いたり、1972年から石学敏教授を中心に開発された『醒脳開竅法』の治療理論、自律神経調整治療を用いて総合的に施術していきます。醒脳開竅法の研究では、脳血液供給量や血液年度の改善、脳波の改善等が見られており、治療効果が実証されています。
石学敏教授の研究によると、1972年~1988年の17年間に入院治療患者総数2959例の脳血管障害患者に対して醒脳開竅法を行ったところ、治癒1698例・著効542例・好転613例・無効47例・死亡59例という臨床結果が出ています。
また、麻痺が起こっている筋肉にマッサージやストレッチなどの手技療法も用いて麻痺などの改善をはかります。
感覚障害の場合、損傷を受けた感覚器に繰り返し刺激を与えているうちに感覚機能が回復する可能性があるため鍼通電療法を用いて継続的な電気刺激をあたえていきます。
海外では、脳卒中後遺症に対してリハビリと併用して鍼灸治療が行われているところもあります。今回は、ノルウェーで行われた鍼治療の臨床研究をご紹介します。
一つは、ノルウェーのスンナス・リハビリテーション病院で行われた研究です。片側脳卒中発症後、約1か月入院して引き続きリハビリを受けた49例を対象に鍼治療群(26例)とコントロール群(23例)に分けられました。すべての患者さんに各々に適合したリハビリを6週間にわたって受けていただき鍼治療群に対してはそれと併用して鍼治療を週に3~4回受けてもらい、コントロール群はこれらの追加治療を受けませんでした。
評価法はベッド上での寝返りなど運動能力項目を8個用意し、運動能力評価スケールをこの試験のことをまったく知らない理学療法士が評価しました。また日常生活の活動性を患者さん本人の自己申告に基づく評価法も用いて評価していきました。
主な結果は、6週間後に測定し、鍼治療群とコントロール群ともに運動能力評価スケール・自己申告での評価スケールの改善が見られましたが、鍼治療群がコントロール群よりも運動能力評価スケール・自己申告での評価スケールともに有意な改善を示しました。
この研究では鍼治療を加えることで脳卒中後遺症患者の回復が促進されると結論付けています。
脳卒中は、悪い生活習慣が原因で起こることが多く、生活習慣病の一種だと言われています。
生活習慣を改善して脳卒中の原因となる危険因子を一つでも減らすことはとても重要なのです。その他、脳卒中となる前には体の不調など前兆となる変化が体に起こることが多く、その前兆を見逃さずに軽い症状だとしても専門医に診てもらうことも脳卒中後遺症が重症化しないためにも重要なことです。
脳卒中の危険因子として高血圧や糖尿病が挙げられます。これらは毎日の食生活や運動習慣でコントロールしていく必要があります。塩分摂取を控えて適度な運動をしましょう。
理想的な塩分摂取量は一日だいたい5~7g程度とされています。食べ過ぎや肥満は高血圧や糖尿病、高脂血症の原因となります。一日の摂取カロリーを意識して食べ過ぎには注意しなければいけません。
その他、食物繊維を十分に摂取することも重要です。食物繊維の働きは、コレステロールや胆汁酸を結合して悪玉コレステロールを排出する作用があります。食物繊維は、野菜や豆類、海藻類に豊富に含まれています。また、悪玉コレステロールを摂取しすぎてしまうと動脈硬化の原因となってしまったり、糖や脂質と結合して血管壁に付着してしまい血管内壁を狭めて血流が悪くなってしまいます。
付着したものが剥がれ落ちてしまい血栓となり血管をふさいでしまう心配もあります。バターやお肉の脂身の摂取を控えて植物性の油を用いたり、青魚を積極的摂るようにしてください。イワシやサンマなどの青魚は、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸といった不飽和脂肪酸が含まれ、中性脂肪濃度を低下させて血栓を溶かす役割があります。
運動は、筋トレなどの無酸素運動よりもウォーキングやサイクリング、水泳などの有酸素運動が脳卒中予防には有効です。
また、夏の時期などに多くの汗をかいたときや下痢・嘔吐が続いたときには水分摂取を多めにとるように心がけることが必要です。体に水分が少ない状態ですと血液の粘度が高くなり、脳卒中となる危険因子となります。
脳卒中特に脳梗塞が起こりやすい時期について真冬に多く発症して次いで真夏の暑い時期にも発症しやすいと言われています。特に真冬の脱衣所やトイレなど冷えている場所で体が冷えて血管が過度に収縮してしまうことで血管が詰まりやすくなってしまうのです。
夜に目覚めてトイレに行く際などにも注意が必要です。睡眠中は水分を取れないため血液の粘度が高くなっておりさらに体が冷やされるからです。寝る前に水分補給をして起きてトイレに行く際にも上着を一枚羽織るなどして体を冷やさないように注意しましょう。
脳卒中とは、脳の血管がつまって症状の出る『脳梗塞』と脳の血管が出血してしまい症状の出る『脳出血』『くも膜下出血』とがあります。
脳卒中は、日本においてガン・心臓病に次いで第三位の死亡原因となっているとても怖い病気です。また、後遺症も多くの場合残ってしまい、寝たきりとなってしまう方の約3割程度が脳卒中患者という統計があります。脳卒中なかでも脳梗塞が大半を占めて脳内出血が続きます。
脳梗塞は血管が狭くなってしまったり、血管に血栓が詰まることで脳に必要な酸素やエネルギーが十分に送れなくなることにより、脳の細胞が障害を受けて起こるものです。脳梗塞の危険因子となるものに高血圧・高脂血症・糖尿病などが挙げられます。
また脳梗塞には発症するメカニズムによってタイプが分けられます。
ラクナ梗塞
脳の細い血管が詰まって起こる脳梗塞です。脳内に入った血管は最初は太いですが、徐々に枝分かれすることで細くなっていきます。この細い血管がつまります。原因として高血圧が深く関係していると考えられています。
アテローム血栓性脳梗塞
アテローム血栓性脳梗塞は脳内の比較的太い動脈である大動脈・頸動脈などが動脈硬化によって狭くなることで血管が詰まる脳梗塞です。このアテローム血栓性脳梗塞は近年増加傾向にあると言われています。
心原性脳塞栓症
心原性脳塞栓症は心臓でできた血の塊・血栓が血管内を移動して脳に到達して動脈を塞いで起こる脳梗塞です。
脳出血は脳内の血管が何らかの原因で破れてしまって、脳細胞に障害が生じる疾患です。脳出血の一番の危険因子は高血圧です。血圧が高い状態が長く続くと全身の臓器に悪影響を及ぼしますが、脳内血管にも影響を与えて少しずつ血管壁を傷つけてある日突然破れて出血を起こしてしまうのです。脳出血を起こすと障害された部位によって運動障害や感覚障害などを引き起こします。
・高血圧の予防法について
被殻出血
大脳基底核にある被殻問う部分が出血した場合を被殻出血といいます。ここの部分が出血した場合、片麻痺・感覚障害などの症状が出て進行すると意識障害が起きます。
視床出血
脳の間脳という部分の視床に出血が起きた場合を視床出血と言います。視床は嗅覚を除く視覚・聴覚・体性感覚などの感覚情報を大脳皮質へ送る際の中継地点となる重要な部分です。
視床出血が起きると手足や顔面部に感覚障害や麻痺が起きたり、言語障害や視覚障害などが起きてしまいます。
小脳出血
小脳は、後頭部あたりにあり、脳幹部の後方に位置しています。小脳は平衡機能や眼球運動の調整、身体の動きの調整に関わりがある器官です。そのため、小脳出血が起きると激しい後頭部痛とともに回転性のめまいや嘔吐が発症してその後歩行がうまくできない・眼振や視界の不調などの症状が表れます。症状に気づいた時点で早期に病院を受診して治療をすれば社会復帰が出来る可能性が高まりますので、激しい後頭部痛・回転性のめまいを感じたら救急で処置してもらうことが重要になります。
橋出血
橋は脳幹の中の一つの器官です。脳幹には意識中枢や呼吸中枢など生きていくためにとても重要な中枢があります。そのため橋出血となると他の脳出血と比べても重要化することが多いです。症状としましては、意識障害や呼吸障害、両手足の麻痺などがあります。また目の動きにも影響を与えて目の位置が固定されてしまう・左右別々の方向を向いてしまうなどの症状が出ます。
脳卒中後遺症の症状はの脳のどの部分に障害を受けるかによって症状が異なってきますが、主なものとして意識障害・記憶障害・運動障害・感覚障害・言語障害・視覚障害などが挙げられます。
意識障害
脳卒中後に意識が戻らないという状態からそれまでにはいかず日時や場所などがはっきりとわからない、記憶がないなどの状態があらわれます。
運動障害
運動障害は脳の障害が起きた部分の反対側に現れることが特徴です。それは運動神経の経路によるものです。大脳皮質の運動野から末梢へと向かう神経路は、延髄にある錐体で交叉しています。そのため、右の脳で脳卒中が起きると左の手足の麻痺が起こり、逆に左の脳の場合ですと右側に麻痺が起こるのです。
麻痺の程度も様々で、まったく動かすことができない完全麻痺や部分的な麻痺の不全麻痺、筋肉が重たく感じて突っ張ったように感じる程度の痙縮などがあります。
感覚障害
脳卒中後遺症の感覚障害では、主に冷たい熱いといった温覚がわからなくなる・触っているか触っていないかといった触覚がわからなくなる・自分の手足の位置が分からなくなるといった位置覚がわからなくなるといったものがあります。その他痺れなどの異常感覚も現れることがあります。
感覚神経も運動神経同様に延髄の部分で交叉して反対の脳へ伝えられるため、右脳が脳卒中を起こした場合は左半身の感覚障害が起こり、逆に左脳が脳卒中を起こした場合は右半身の感覚障害としてあらわれます。感覚障害は視床と被殻に出血が起きると現れる場合が多いです。
上記のような感覚障害の他に後頭葉が障害されたときは視覚障害・側頭葉が障害されたときは味覚や聴覚、嗅覚の障害があらわれます。
言語障害
脳卒中後遺症の言語障害では主に失語症と構音障害とがあります。
さらに失語症には他人の言葉は理解できますが自分が何か発声しようとしてもうまく言葉が出ないまた話すことが不明瞭である運動性失語症と他人のことがが理解できなく発声はできても支離滅裂な内容になってしまう感覚性失語症があります。
構音障害は、発声するのに必要な筋肉や神経の異常で言葉を出しづらくろれつが回らない状態です。
視覚障害
上記の感覚障害の所でも書きましたが、脳卒中後遺症では視覚障害があらわれることがあります。それは、目で感じた光の情報は、脳神経である視神経を通って大脳に入り、側頭葉で処理されるためその過程で脳卒中により障害されてしまうと物が見なくなったり、物が見える範囲が狭くなる視野狭窄、物が二重に見えてしまう複視の症状が出てしまうのです。
・複視の治療について
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院
胃腸の機能は五臓六腑の『脾』『胃』、ストレスの感受性は五臓の『肝』と深い関係にあります。
胃は飲食物を受け入れ(受納)、消化し(腐熟)、食べた物を人体に有用な形(清:せい)に変化させます。そしてその清を脾に渡した後、残りのかす(濁)を下の小腸、大腸に降ろします。
脾は清を吸収して気血を生成し、全身に輸送していきます。(運化)。胃の降濁作用に対し、脾は清を肺に持ち上げ(昇清)、運化します。
肝は身体の諸機能を調節(疏泄:そせつ)します。
自律神経系や情緒の安定、気血の流れと深い関係があります。脾胃の消化吸収機能も肝が調節しています。
また、下焦(下半身)を支配している腎の弱り(腎虚)も腸に影響を与えます。さらに、五行説の考えでは肺と大腸は表裏関係にあるため、肺虚(肺の弱り)からも排便異常が起こります。
当院では腸の蠕動運動をつかさどる自律神経のバランスを機械で測定しお身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
腸の蠕動運動は自律神経の特にリラックス神経である副交感神経と深いかかわりがあります。
自律神経系の調整施術を行い、腸の蠕動運動を促し、消化器系を中心とした内臓機能調整と、全身的な血行促進、免疫機能を高め体全体のバランスを整えていきます。
また、東洋医学的観点から『脾胃』『腎』『肝』『肺』などをはじめとした五臓六腑の機能を整えるツボを用います。
特に腹部や腰部にあるツボは腸運動異常に対して有効といわれていますので重点的に施術していきます。
イレウス(腸閉塞)とは、様々な原因で腸管の内容物がつまり、肛門側に移動できなくなった状態のことをいいます。
イレウスは大きく分けると腸管の内容物が物理的に通過できなくなる機械性イレウスと、腸管の血流や神経の障害で通過ができなくなる機能性イレウスがあります。
機械性イレウス
腸が物理的に閉塞している状態で、閉塞性と絞扼性に分けられます。
①閉塞性イレウス(単純性イレウス)
単純性腸閉塞のほとんどは術後の腸管の癒着による癒着性の腸閉塞で主に小腸が閉塞します。また、大腸の閉塞は大腸がんによるものや便秘によるものが原因となって起こることがあります。
②絞扼性イレウス(複雑性イレウス)
複雑性腸閉塞は腸管が捻じれて血流が悪くなる絞扼性のイレウスのことをいいます。腸管が捻じれるため突然の腹部の激痛が出現し、時折ショック状態となります。時間が経つと腸管が壊死してしまうため緊急で治療が必要となります。
機能性イレウス
機能性イレウスとは腸管の正常な働きが悪くなって起こる麻痺性のイレウスと、腸管がけいれんして起きる痙攣性イレウスの2つに分類されます。
①麻痺性イレウス
閉塞の原因が明確ではなく腸管運動の障害によってお起こるものです。開腹手術、急性腹膜炎、薬剤の影響、腸間膜の血栓・塞栓(そくせん)などが原因で、腸管が麻痺することで起こります。
②痙攣性イレウス
中毒などで腸管の一部がけいれんして内容物の移動に障害が生じます。
このうち、鍼灸治療の適応になるのは麻痺性イレウスです。
開腹手術、急性腹膜炎、脊髄損傷、精神疾患、薬剤、腸間膜の血栓・塞栓などが原因で腸管が麻痺することで起こります。
また、麻痺性イレウスはもともと腸に病気のある人や糖尿病、腸管運動が低下しやすい病気の人、高齢者などに起こりやすいといわれています。
医薬品の影響
鼻炎薬、あへん系鎮痛薬、免疫抑制剤、向精神薬、鎮痛薬、頻尿、尿失禁治療薬などのように自律神経系を介して腸管の運動機能を抑制するもの、抗がん剤のように腸管に障害を起こすもの、αーグルコシダーゼ阻害薬(糖尿病治療薬)などで起きるものがあります。
腸管の内容物が停滞するため腹部膨満感、吃逆(きつぎゃく)、吐き気、嘔吐が起こります。また、排便、排ガスの停止、腹痛、脱水などがあります。
・暴飲暴食を避ける
・水分をこまめに摂って排便を促す
・消化の悪い物(山菜・キノコ類、海藻・こんにゃく等)を大量に摂取しない
・体調のすぐれない時は消化の良いものを心がける
・十分な休息をとる(疲労を溜めない)
・適度な運動をする
などが挙げられます。
まず、病歴に関して問診が行われます。症状が現れた時期や腹痛の程度、腹部の手術歴の有無、がん、ヘルニア、クローン病などの病気の既往歴の有無、内服薬の有無などについて確認します。また、身体所見として腸蠕動(ちょうぜんどう)、腹部の膨らみ、腹膜刺激症状、腸雑音を確認したり、鼠径部を観察したりします。
問診によりイレウスが疑われたら、血液検査、X線検査、CT検査、超音波検査などを必要に応じて行います。
治療
症状の重さによって治療内容は変わってきますが、大きく分けて保存治療と手術の2種類の治療法があります。
保存治療として、点滴治療で脱水や電解質異常に対する治療を行いながら、飲食を止め胃腸を休めるとともに、水分管理を厳重に行います。また、必要に応じて抗生物質の投与を行ったり、鼻腔から腸までチューブを挿入して腸の内容物を吸引して腸管内の圧力を下げたりします。
保存療法で効果が乏しい場合には手術が検討されます。
東洋医学では、生殖に関わるのは五臓六腑の『脾』、『腎』、『肝』の機能低下と経絡では衝脈、任脈の流れが滞ることで帯下の異常が引き起こされると考えられています。
当院には女性鍼灸師が在籍しております。女性鍼灸師をご希望の場合にはご予約時にお気軽にお問い合わせください。渋谷院・三軒茶屋院にも女性鍼灸師は在籍しております。
当院では女性ホルモンの分泌や免疫機能などに大きく関与する自律神経のバランスを機械で測定し治療へ移ります。
自律神経の調整施術を行い、全身的な血行を促進し、内臓機能や免疫力を高め、症状が治癒しやすいお身体の状態へ整えます。
また、女性ホルモンは骨盤内の卵巣から出ますので骨盤内血流量が大きく関係します。
骨盤のゆがみや、腰部、臀部の筋緊張が骨盤周りのバランスが骨盤内血流量に大きく影響します。下半身の状態も女性ホルモンに影響しやすいので腰部から下肢に鍼やお灸で刺激を与え、筋緊張を緩め血液循環を促進します。また、東洋医学的観点から脾、腎、肝をはじめとした内臓機能の調整、衝脈、任脈の経穴を取り入れて治療を行います。
おりもの(帯下)とは女性の性器からでる様々な分泌液の集合体で、子宮内膜の粘液、子宮頚管の粘液、膣粘膜の分泌物や剥がれ落ちた古い細胞、皮脂腺や汗腺からの分泌液などで出来たものです。通常、発育成熟期、月経前後、妊娠初期に量が多くなりますが、このような場合は病として扱いません。
帯下量が多くそのにおいに異常があり、あるいは全身症状を伴うものを帯下病といいます。
エストロゲン濃度の正常な変化によっておりものが生じることがあります。
・月経周期中の排卵数日前
・新生児の出生後1~2週間(出生前に母体からエストロゲンを吸収するため)
・女児が最初の月経を迎える前の数か月
・妊娠中
・エストロゲンを含有する薬剤またはエストロゲンの産生を増加させる薬剤(一部の排卵誘発薬など)
一般に正常なおりものは匂いがなく、通常は乳白色またはサラサラした透明の液体です。妊娠可能な年齢にある女性では、おりものの量や性状は月経周期とともに変化することがあります。例えば、卵子が放出される月経周期の中頃(排卵期)には、子宮頸管から分泌される粘液が多くなり、サラサラになります。
また、妊娠、経口避妊薬の使用や性的興奮によってもおりものの量や性状は変わります。閉経後はエストロゲン濃度の低下に伴い、多くの場合、正常なおりものの量は減少します。
以下のようなおりものは異常とみなされます。
・普通より量が多い(量は個人差が大きいため、普段の自分と比較)
・普通より濃い
・膿のような状態である
・白い塊のような状態である(カッテージチーズ状)
・灰色、緑色、黄色味を帯びた色、血液が混じった色をしている
・いやな匂いがする(生臭い)
・かゆみや灼熱感、発疹、ヒリヒリとする痛みを伴う
かゆみ、灼熱感、刺激感、発赤、排尿時や性交時の痛みなど
妊娠可能年齢の間は、おりものの原因は膣感染症であるのが通常で最も多いのは以下の3つです。
・細菌性膣症
膣内を正常に保つ最近のバランスの崩れや膣内環境の乱れにより発症する疾患です。細菌性膣症に特定の原因細菌は無く、カンジダやトリコモナス以外の複数細菌の異常繁殖が原因で引き起こされます。
・カンジダ膣炎
過労や妊娠などによって体力や抵抗力が低下した時に膣に棲んでいるカンジダ菌が異常に増殖して起こります。また、性交渉によっても感染することがあります。
性器が赤く腫れあがり、ただれを起こすこともあります。強い痒みを感じ、チーズや酒かすのような白いおりものが出ることが特徴です。
・膣トリコモナス症
寄生虫の一種であるトリコモナスが、主に性交渉によって膣に感染する炎症疾患です。下着やタオル、浴室、便座などを介して感染することもあります。
女性が感染するとまずおりものの量が増えて性器に激しいかゆみを感じます。そのうち、黄色がかっていて泡立った臭いのきついおりものが出るようになります。
また、性感染症(淋菌感染症やクラミジア感染症)子宮頸がん、子宮頸管ポリープ、子宮頸管炎、子宮膣部びらんなどの疾患が原因でおりものが生じることもあります。
・淋菌感染症
淋菌という細菌による性感染症です。女性は顕著な症状が現れることが少なく、感染から数日後に外陰部のかゆみやおりものの増加が起こる程度なので、感染に気付かず慢性化することがあります。まれにおりものの色が黄色っぽくなることもあります。
また、妊婦が感染すると、新生児の結膜炎を招き、最悪は失明の危険もあります。見過ごすと炎症が尿道や膀胱に広がり、排尿時に痛みを感じるようになります。
・性器クラミジア感染症
クラミジアという細菌による感染症で、女性の性感染症では最も多い疾患ですが、黄色のおりものが多少増える程度の軽い症状のため感染に気付かない場合も多くあります。進行すると下腹部痛や性交痛が現れます。
また、不妊の原因となったり、妊婦の場合は胎児が産道を通過するときに感染し、重篤な肺炎や結膜炎を起こすこともあるため注意が必要です。
・子宮膣部びらん
子宮の入り口がただれるのが子宮膣部びらんです。おりものが増えたり、性行為の後に少し出血したりします。多くは自覚症状がありません。
びらんがあると細菌に感染しやすくなるため、子宮頸管炎などの原因になることがあります。また、子宮頸がんの初期と症状が似ているので、子宮膣部びらんに似た症状が見られたときには必ず婦人科を受診しましょう。
※おりものは女性の健康バロメーター
おりものの状態は健康状態によっても大きく変化するので自分では気づいていない体の不調のサインをチェックするのに役立ちます。
水っぽくて白いおりものが多く出るときは、胃腸が弱っており体がむくんでいる状態で、おりものに透明感がなく足腰がだるい時は、腎臓が弱っている状態。黄色でねばねばとしていて、臭いやかゆみがあるのは、免疫力が弱り雑菌が増殖しているから。赤っぽくて若干臭いが強いときはストレスが溜まっている証拠。また、水気も量も極端に少ないおりもののときは、体内の水分が足りずに乾燥していることが原因です。
通常、膣は常在細菌によって感染症から守られています。これらの細菌は膣内の酸性度を正常範囲に維持しています。膣の酸性度が低下すると、膣内の防御機能をもつ細菌が減少し、有害な細菌が増加します。以下のような場合では有害な細菌が増殖しやすくなり、膣感染症のリスクが上昇します。
・抗菌薬の使用(防御機能を持つ細菌を減少させることがあるため)
・膣内に経血、または精液がある(膣内の酸性度を低下させるため)
・衛生状態が悪い
・頻繁な膣洗浄(膣内の酸性度を低下させるため)
・妊娠
・糖尿病
・取り忘れたタンポンなどの異物
などがあります。
検査として、おりものを顕微鏡で確認したり、性感染症の菌やウイルスについて検査を行い、必要があれば消毒や薬を使用して治療を行います。
季節の変わり目や、激しい温度差により自律神経が乱れて、鼻の粘膜などの毛細血管がコントロールできなくなることで引き起こされる症状です。
アレルギーとなっていますが、実際にはアレルギー反応ではなく、自律神経の乱れに伴う反応です。医学的な病名としては「血管運動性鼻炎」と呼ばれています。鼻の粘膜が弱い人が発症しやすく、蓄膿症など他の病気との合併症が起こる場合もあります。
寒暖差アレルギーの原因は、温度に合わせて体を調整して適応させている自律神経の乱れです。自律神経は寒い場所では血管が収縮し、暖かい場所では血管が拡張します。
自律神経が適切な対応が出来るのは大体7℃以内と言われています。7℃以上の気温差で鼻粘膜の血管が拡張して、鼻粘膜が腫れることによりアレルギー様の反応が起こります。
春秋など季節の変わり目で朝夜と日中との寒暖差が激しい場合ですと体温調整機能の備わる自律神経のバランスが崩れやすくなってしまうのです。
寒暖差アレルギーは春や秋などの寒暖差が強くなるときに出やすいです。
しかし、最近では夏に室内がクーラーで冷えていることや、冬は室内で暖房が効いているため、室内外の温度差が強い場所でも起こりやすくなります。
また、寒暖差の他にも、タバコや化粧品などの香り、飲酒、ストレス、妊娠などが引き金となって自律神経の異常興奮が起こり、症状を引き起こすことがあります。
寒暖差アレルギーの主な症状は
・鼻水
・鼻づまり
・くしゃみ
・咳
ですが、その他にも
・不眠
・イライラ
・倦怠感
・頭痛
・食欲低下
・皮膚の痒み
・湿疹
などが挙げられます。
※感染症やアレルギー性鼻炎との違い
感染症はのどの痛みや発熱、粘調性の鼻水、咳などを伴います。また、アレルギー性鼻炎は、スギやダニ、ハウスダスト等の原因物質が鼻粘膜に付着することで発症します。眼の痒み、充血、涙などの症状を伴うことが多いです。
東洋医学による鼻炎症状は水分代謝の滞りである「水毒(すいどく)」や老廃物の溜まった悪い血である「瘀血(おけつ)」と考えられています。
それらが引き起こされる原因としまして、呼吸に関係すると考えられている五臓の「肺」と「腎」の弱りや、消化や吸収に関わる「脾」「胃」の機能や、全身の気の流れを調整する「肝」の弱りが原因となって引き起こされると考えられています。
体の中の過剰な水分は、冷たい飲食物を摂り過ぎたり、過労やストレスが溜まったりすると胃腸の働きが衰え水分代謝が悪くなります。
すると消化吸収も低下するので、代謝されない水が体内に残留物として残るようになります。これらは病的な水分なので体の生理機能に影響を与え、肺の防衛力も低下するのです。
東洋医学では、肺は鼻や皮膚とつながっていると考えられています。そのため、肺の機能が弱くなると皮膚の防衛機能が弱まって邪気が入りやすくなり鼻水、鼻づまりなどの症状が起こりやすくなります。
また、過度なストレスや緊張などにより「肝」の機能が低下すると肝気鬱滞となり、気の流れが悪くなってしまいます。気の流れが悪いため体液の流れが鼻で滞り、鼻水や鼻づまりが生じてきやすくなります。
当院では免疫機能の司令塔である自律神経のバランスを機械で測定しお身体の状態を把握した上で治療へ移ります。
自律神経の調整施術を行い内臓機能調整、免疫機能の調整や全身的な血行促進を促し症状が治癒しやすいお身体の状態へと整えます。
東洋医学的概念から「肺」「腎」「脾」「胃」「肝」をはじめとした五臓六腑を整えるツボや水分代謝を促すツボ、血液循環を整えるツボなどを用いて治療を行います。
また、首肩周りの筋の緊張があると顔面部の血流が阻害される原因になるため頸肩周りの施術も取り入れていきます。
さらに、直接鼻の周囲のツボに刺激を与え、鼻まわりの血液循環を促進し、鼻粘膜の状態を整えます。また、鼻粘膜に存在する局所的な自律神経の興奮を抑える作用を促します。
・洋服をうまく調整して、寒暖差を減らす。
・マスクを使用して寒暖差を減らす。冷たい空気が鼻や喉に直接つかないようにするため。
・規則正しい生活とバランスのとれた食事を心がける
・適度な運動をして体力をつける
・夜寝るときに首が冷えるので、首回りの防寒対策を行う
・40℃前後のお湯で体を暖める
・ストレスや疲労をためない
検査は、問診、診察、家族歴などを確認した後にさらに詳しく行われます。鼻汁検査、血液検査、皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストなどを行います。鼻汁検査では、鼻汁の中に好酸球という細胞の有無を調べ、アレルギー症状を調べます。血液検査では抗原抗体反応を起こす抗体が、血液中にどのくらい含まれているかを調べます。また、皮膚テストや鼻粘膜テストで反応を調べることが出来ます。
治療としては症状を抑える対処療法が基本となります。
内服薬として自律神経の働きを整える抗ヒスタミン薬、漢方薬などの内服や点鼻薬として血管収縮作用のあるものやステロイドが処方されます。
また、薬物療法に効果を示さない場合手術療法を行うこともあります。
鼻づまりに対しては、鼻粘膜の一部を固める電気凝固術やレーザー治療、鼻粘膜の一部を切り取る鼻粘膜切除術などがあります。また、鼻水に対しては、副交感神経を遮断する後鼻神経切除術が行われることもあります。
排尿時の痛みをはじめとする頻尿、残尿感、排尿困難などの症状を東洋医学では「淋証(りんしょう)」と呼びます。
尿は六腑の膀胱に貯蔵され、五臓の腎の作用によって排泄が調節され五臓の腎と六腑の膀胱は密接な関係にあり、両者の連携により排尿がコントロールされています。
また、体の全体の機能を調整する五臓の肝や、体液の調整をする肺の機能も関係してきます。人体の主な構成成分である気、血、津液の中では、人体に必要な正常な体液を意味する「津液」が最も関与します。
淋証の病因・病機
・膀胱湿熱
油っぽいものや辛いもの、甘いものの過度の摂取や飲酒過多は体内で湿熱を形成します。飲食物により生まれた湿熱は、当初は中焦といって腹部の辺りにありますが、湿の重い性質により下部へと移行して膀胱に入りこんでしまいます。
また、性器を不衛生にしていると性器を通じて、濁気が膀胱へ入り込み湿熱となります。
尿が体外に排泄されるのは膀胱の気化作用によるものですが、膀胱に入り込んだ湿熱はこの気化作用を失調させてしまいます。
・腎虚
腎と膀胱は表裏関係にあり、腎が虚すと膀胱の気化作用は失調します。腎陽虚は加齢、大病、妊娠、出産などにより、腎陽を消耗する結果、腎が膀胱の気化作用を抑制できなくなることや、外邪が虚の乗じて膀胱を侵しやすくなることで淋証を生じます。また、腎陰虚があると下焦に虚熱を生じ、膀胱の気化作用も失調するため湿熱を生じます。
・肝気鬱滞
悩みや怒りで肝が損傷されて気滞を生じ、気が鬱して火に転化したり、気と火が下焦に鬱し膀胱の気化を妨げたり、気虚による下焦の固摂機能の失調を生じます。
当院では、内臓機能や免疫機能、血液循環などの司令塔である自律神経のバランスを自律神経測定器で測定し、お身体の状態を把握したうえで治療へ移ります。
自律神経の調整施術を行い、全身的な血行促進と免疫力や内臓機能を高め、症状が治癒しやすい状態へとお身体を整えます。
また、東洋医学的観点から腎、膀胱、肝などをはじめとした五臓六腑の機能を高めるツボや、津液の流れを調整するツボも用います。さらに、膀胱炎の方は下半身の冷えがあることが多く、それが泌尿器の血行不良に繋がりその機能を低下させる一つの要因として考えられることから下半身の冷えを除く治療も取り入れていきます。
痛みが出ている場合は下腹部に鍼通電治療を用いてより鎮痛効果を引き出すような施術も行っていく場合もございます。
膀胱は内面が柔らかい粘膜の袋で、尿を溜める器官です。その膀胱に炎症を起こすのが膀胱炎です。
圧倒的に女性に多い病気で、女性のうち2人に1人は経験する病気と言われており、女性には非常に身近な病気です。これは女性の体の構造として、肛門と膣が尿道に近いことや、尿道が男性に比べ4分の1ほどと短く、細菌が膀胱まで簡単に到達してしまいやすいためです。多くの場合、尿とともに最近は膀胱の外へ洗い流されますが、排尿を我慢したり、体調が悪かったりすると膀胱の中で細菌が繁殖し、膀胱炎を起こします。
・急性単純性膀胱炎
20~30歳代の若い女性に多く発症し、閉経前後の中高年期の女性にも比較的多い膀胱炎です。過労、睡眠不足、風邪、身体の冷え、排尿の我慢、性生活などが誘因となることが多いです。
・複雑性膀胱炎
尿路に尿停滞、異物、持続的細菌源、あるいは全身的抵抗力の低下などの基礎疾患を有する慢性膀胱炎です。複雑性膀胱炎はこれらの基礎疾患を除去しなければ感染症は治癒しないことが多いといわれています。また、複雑性膀胱炎にはしばしば複数菌感染がみられます。
・間質性膀胱炎
何らかの原因で膀胱の粘膜の内側の層に炎症が起こり、筋肉が萎縮する病気です。
間質性膀胱炎では尿検査などで尿中の細菌の存在は認められません。この病気の原因は分かっておらず、自己免疫やアレルギー反応の関与があるのではないかという仮説がありあます。通常、膀胱には200~400mlの尿が溜まると尿意を覚えますが、間質性膀胱炎になると膀胱炎が膨らまないため、100ml以下でいっぱいになります。そして、尿が溜まると下腹部が激しく痛み、トイレに行く回数がとても多くなります。
・嚢胞性膀胱炎
膀胱粘膜に袋状の病変が発生します。
・真菌性膀胱炎
真菌(かび)の感染によって膀胱が炎症を起こすものです。
急性膀胱炎の原因としては、大腸菌やぶどう球菌などの細菌が膀胱粘膜に感染して起こるものが最も多いです。膀胱は本来細菌に対する抵抗力、免疫力をもっていますが、病気や無理なダイエット、過労で体力が落ち、抵抗力が弱くなった場合に感染しやすくなります。
また、ストレスが溜まっている時や不潔な性交渉をすると膀胱炎にかかりやすくなります。さらに、月経の前後にきわめて雑菌が感染しやすく膀胱炎が起こりやすくなります。
その他、摂取した薬剤、食物による刺激などの物理化学的刺激が原因となるものや、膀胱の粘膜にアレルギー反応が起こることが原因となる膀胱炎があります。
<頻尿>
尿意を催してトイレに行く回数が増加します。症状の強い時には10分前後の感覚でトイレに行くことも少なくありません。1回で出る尿の量は少なくなります。残尿感もあることが多いです。
<排尿痛>
炎症を起こした膀胱が、排尿により急激に縮まり刺激されることで痛みを感じます。排尿の途中よりも、排尿の後半または排尿後に痛むことが多いようです。下腹部や尿道口の痛みとなります。
<尿混濁>
膀胱炎になると、細菌が尿の中で増殖し、白血球や炎症を起こした膀胱の粘膜が剥がれたりして尿が白濁します。尿に膿のようなドロッとしたものが混在します。
また、匂いもきつくなることが多いようです。
<血尿>
最近に膀胱粘膜が傷つけられて、目で見て分かるほどの血尿が出ることもあります。血尿は出始めから出終わりまで同じ濃さではなく、膀胱が空っぽになる最後に強くなる、排尿終末時血尿のことがほとんどです。
これらの症状があっても病院に行かないで我慢していると、排尿しない時にも下腹部が痛むようになってしまいます。膀胱炎では通常発熱はしませんが、発熱したり、腰痛があったりする場合は、細菌が腎臓の腎盂まで炎症が広がり、腎盂腎炎になっている恐れがあります。
検査・診断
基本的には尿検査で診断します。尿中の白血球や細菌数を調べて一定以上の値を認めれば膀胱炎と診断されます。
尿の細菌培養検査で原因となる細菌の同定を行いますが、診断までに一週間程度の時間がかかるため培養検査の結果が出るまでに治療も行い治ってしまう場合がほとんどです。
しかし、症状が改善しなかった場合には珍しい細菌による膀胱炎の可能性が高くなるため、初診時の培養検査をもとに治療を変更します。
治療
ほとんどの膀胱炎は細菌感染症であるため、抗菌薬治療を7~10日程度行うと完治します。また、症状は治療を始めて2、3日で良くなることがほとんどです。
陣痛促進の施術では、腹部や腰部に負担がかかりにくい横向きの姿勢で鍼灸施術を行っていきます。
鍼灸治療では陣痛促進に効果の期待できるツボ(特効穴)があり、下肢や肩部、骨盤周囲などを鍼やお灸で刺激していきます。
また、陣痛が起こる機序の一つとして自律神経が関係しているといわれています。
自律神経とは内臓機能やホルモン分泌、血液循環などを司る自分の意志とは無関係に働く神経です。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、交感神経は緊張したり活動している時に、副交感神経はリラックスした時に働きます。
出産や陣痛はこのうちの副交感神経が優位になったときに始まり、副交感神経は、身体や気持ちを緩ませるホルモンの分泌が活発になり身体が出産に適した状態になりやすいのです。
そのため当院では、自律神経の調整施術も取り入れて治療を行います。血液の巡りを良くして、内臓の働きを活性化させ、鍼やお灸の刺激により胎児が動き、子宮の働きが活発になって産気を催させる作用が期待できます。
また、全身特に足首周りのツボを刺激することで全身の血液循環を良くしたり、副交感神経を優位にさせることで陣痛促進の効果があると言われています。
出産予定日を1週間~10日過ぎても陣痛が起こらないことがあります。陣痛が始まりいよいよ出産かという状況にもかかわらず、なかなか本格的な陣痛に至らないこともあり、このような場合西洋医学では「陣痛促進剤」の使用を考えることになります。
しかし、促進剤を使用した場合誘発された陣痛は自然な陣痛の子宮収縮に比べて回数が多く、より強烈な痛みになりやすいことが知られています。
出産時は胎児を押し出そうとして子宮が収縮しますが、その時に感じる痛みが陣痛です。陣痛は出産の準備段階として不規則な痛みが現れる「前駆陣痛」といよいよ出産のときが近づき痛みが本格的になる「本陣痛」の二段階に分けられます。
本陣痛が始まると自分の意志でコントロールできず、どんどん間隔が短くなり、痛みが強くなっていくのが特徴です。
医学的には、妊娠37週~41週6日までの出産を「正期産」としています。
42週に入っても分娩に至らないものを「過期妊娠」といい、妊娠42週0日以降に分娩することを「過期産」といいます。
・羊水過少
予定日を過ぎてくると胎盤の血流量が減り胎児への栄養供給が減り、おしっこの量も減少するため羊水の量が減少します。
羊水は分娩時のクッションとしての働きもあり、羊水過少になるとへその緒が圧迫される状態が起きやすく、胎児が子宮内で低酸素状態になる頻度が増え、健康状態が危険にさらされるケースがあります。
・胎便吸収症候群(たいべんきゅういんしょうこうぐん)
通常、胎児は子宮内では排尿しますが、排便はしません。胎児に何らかのストレスが加わると便を失禁してしまうことがあります。
胎児が羊水中に胎便(胎児の便)を排泄すると、分娩後の第一呼吸の際に口の中にあった胎便を吸引してしまうと肺が胎便まみれになり、重篤な呼吸障害を引き起こす可能性があります。過期妊娠ではこの病態が非常に起こりやすくなり、また重症化しやすいのが特徴です。
・巨大児
週数にかかわらず、出生体重が4000gを超えると巨大児をいいますが、過期産では巨大児となりやすくなります。
巨大児となると、出産のときに胎児の肩や頭がなかなか出てこなかったり、生まれてくるときに鎖骨を骨折してしまうなどの外傷を引き起こす恐れがあります。
また、母体の子宮頚管や会陰に深い傷を作ることがあります。
・胎盤機能不全
妊娠42週を過ぎると、胎盤が老化して胎盤の機能が低下します。するとお腹の中の胎児の栄養供給や酸素供給が低下し、胎児に対してストレスが増加します。
・過熟児
過熟児とは未熟児とは反対の言葉で、子宮内で成長しすぎて、正産期の新生児と比較して胎児仮死などを起こしやすいと言われてきました。しかし、最近の新生児医療の進歩で予後は良くなっているようです。
・出産予定日が正しいかどうか再確認する
妊娠初期のCRLまたはBPD、最終月経開始日、基礎体温など改めてチェックし、出産予定日が正しく計算されているかチェックします。
・胎児の体調が良好かどうか定期的に検査をする
また、超音波検査やNST(胎児の元気さがわかるノンストレステスト)などで胎児の体調を細かく確認します。このような検査を週に1~2回行い、状態によっては管理入院になることもあります。
・分娩誘発を行う
子宮頚管の軟らかさ(熟化)の状態を確認し、それに応じて分娩誘発や熟化の促進などを行います。子宮頚管が軟らかくなって開いてこないと、胎児が出てこられません。
ですので硬い場合は、ラミナリアと呼ばれる海藻で出来た棒(徐々に水分を吸収して2~3倍になる)や、バルーン、メトロと呼ばれる風船を入れて刺激し熟化を試みます。
熟化がうまくいけば、誘発剤を使用し分娩までつなげることが出来ます。
また、卵膜を人工的に破ることで陣痛がきて分娩につながることもあります。しかしこうした試みがうまくいかなかった場合や、胎児の状態が悪くなった場合に、帝王切開になります。