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慢性胃炎の鍼灸治療

日曜日, 5月 14th, 2023

 

慢性胃炎の鍼灸治療

慢性胃炎の当院の治療はまず自律神経測定器で自律神経の状態を計測することから始めます。慢性胃炎でご来院される多くの方は、交感神経の活動が活発で逆に副交感神経の活動が弱い方がほとんどです。

慢性胃炎の鍼灸治療

まずは、自律神経の調整療法を行い、東洋医学的観点から『』や『』の機能を正常に戻すような施術をしていきます。

慢性胃炎の背部への鍼灸治療

施術間隔の目安は、最初の1か月程度は週に1~2回程度でその後叙情に施術間隔を延ばしていきます。

 

 

慢性胃炎の東洋医学的考え

 

慢性胃炎は東洋医学では、が深い関わりがあると言われています。脾の『運化を主る』作用と胃の『受納と腐熟を主る』という働きは、飲食物の消化・吸収・排泄に関連しています。

よって『脾』と『胃』の働きが低下してしまうと消化・吸収の働きも鈍くなってしまうので慢性胃炎の原因となってしまいます。代表的な病証としましては、脾陽虚胃陽不足』などが挙げられます。

 

 

慢性胃炎の鍼灸治療症例

50代 男性

40代の頃から慢性的な胃炎に悩まされていた。発症当時は、胃潰瘍が発見されて胃潰瘍は薬など服用して治ったがその後も胃もたれ上腹部の違和感を感じるようになってしまった。その度に薬を飲んでいるが、最近仕事のストレスや家庭内のトラブルで薬の効果も薄れてきたように感じる。
外で接待など外食することも多く、接待の次の日は必ず胃の調子が悪くなり、仕事にも集中できない。

治療
まず自律神経測定器で自律神経の状態を計測してから施術していきました。問診していくと接待以外にも暴飲暴食をすることがあり、特に仕事がうまくいかなかったときはストレス解消でついつい食べすぎたりお酒に頼ることがあるとのことでその習慣は少しずつ改善していただくように指導しました。

◇1~3回目◇
体全体の体調がよくなっていることを実感。まだまだ胃の不調を感じることはあるが、薬を飲むと落ち着くようになった。

◇4~6回目◇
症状に波があるが、胃の不快感を感じることが少なくなってきた。

◇7~10回目◇
徐々に薬に頼ることも少なくなってきた。さすがに接待などでお酒を飲みすぎると胃の不快感を感じるが半日ほどで不快感を感じなくなった。

 

慢性胃炎とは

慢性胃炎はその名の通り、何らかの原因により慢性的に胃に炎症がおきている状態です。

胃は飲食物の消化の第一段階と殺菌の重要な役割があります。胃の粘膜からは大量の胃液が分泌されて胃壁の保護や外来の細菌を殺す役割などを担っています。

胃酸は非常に強い酸性で、慢性胃炎を考えるうえで特に重要となるのが胃粘膜を覆っている粘液です。粘液が不足してしまうと非常に強い酸性を持つ胃酸によって胃壁は傷つけられてそれが慢性化してしまうと慢性胃炎となってしまうのです。

慢性胃炎

慢性胃炎の症状

慢性胃炎の場合でも症状を呈さない方もいますが、慢性胃炎の代表的症状としまして

 

・上腹部に違和感
慢性胃炎の中で一番多い症状です。食事をしている時または食事をしていない時でも常に胃部や上腹部に不快感を感じます。上腹部が締めつけられる感じや重たいような感覚になることもあります。

・胃もたれ
慢性的に胃もたれを感じます。脂っこい食べ物などを食べた時には誰でも胃もたれを起こした経験があるかと思いますが、慢性胃炎となるとその他にも胃にそこまで負担とならない食べ物でも胃もたれを感じてその感覚が長く続いてしまいます。

・食欲不振
慢性胃炎となってしまうと胸やけを感じる事があったり、胃液の分泌が減少しているため食べ物の消化がされにくく、そのため食欲不振となってしまう場合もあります。

・嘔吐
食べ物がなかなか消化されずに胃の内容物が逆流して嘔吐してしまうこともあります。症状が重症化してしまうと吐血などの急性胃炎のような症状も呈します。

・口臭
胃の機能が低下して分泌液が減少すると食べ物がなかなか消化されないため、胃の中で食べ物が異常発酵してしまい、卵の腐ったような口臭となることが多いです。

・なにも症状が出ていない場合も
慢性胃炎の厄介なところは胃炎となっていてもほとんど無症状で少し不快感を感じる程度などで症状を自覚する頃には疾患が進行している場合もあることです。

 

 

慢性胃炎の分類

慢性胃炎は胃壁の状態によって分類されます。

 

・表層性胃炎
表層性胃炎はその名の通り比較的表層の胃壁が軽い炎症を起こしてしまっている状態です。若い年代に多く発症し、空腹時に胃の痛みや腹部膨満感などを感じます。症状は比較的軽く、胃がんなどに進行する可能性は低いですが、胃壁の炎症と修復を繰り返していくうちに胃の運動機能も低下して症状が進行してしまうこともあります。

 

・萎縮性胃炎
萎縮性胃炎は表層性胃炎と違い、胃がんに進行してしまうリスクが高いと言われています。萎縮性胃炎を発症していない方の3.8倍も胃がんを発症するリスクがあると言われているほどです。

 

・肥厚性胃炎
肥厚性胃炎は炎症と修復を繰り返していくうちに胃の粘膜が厚くなってしまう疾患です。胃の粘膜が厚くなってしまうと何が問題かといいますと、胃液や胃酸の分泌が増えてしまって胃粘膜を傷つけやすくなってしまい胃の痛みや胃もたれに繋がりやすくなってしまいます。肥厚性胃炎も胃がんにかかるリスクが高くなると言われています。

 

 

慢性胃炎の原因

慢性胃炎の原因は多岐にわたり、ストレスや老化、ピロリ菌感染などが挙げられます。

 

・ストレスによる自律神経の乱れ

自律神経は自分の意識とは無関係に働いている内臓や血液循環などを主っている神経です。胃の働きもこの自律神経と深い関わりがあります。胃腸の働きは主に自律神経の中の副交感神経が管理しています。副交感神経は、体を休めるリラックス神経です。食事をすると胃腸が働きだすことで副交感神経の活動も高まり、人によっては眠気を誘うのです。

また胃酸の分泌も自律神経が調整しています。

職場や家庭などでの過度なストレスは自律神経を乱します。それらのストレスは主に副交感神経の活動を弱られてしまい胃腸の働きを低下させてしまうために慢性胃炎の原因となってしまうのです。

 

・暴飲暴食や喫煙習慣

脂っこい物を多く食べ過ぎたりと偏った食生活を続けていると胃粘膜が傷つけやすくなってしまい慢性胃炎の原因となります。過度な飲酒も胃液を減少させて胃粘膜の炎症繋がります。喫煙は、血管を収縮させることが知られていますが、胃粘膜に対しても同様に血流を悪くさせて胃酸の分泌促進に繋がります。

 

・胃の老化現象

胃をはじめとした内臓も筋肉で出来ています。体の見える部分の筋肉と同じように内臓の筋肉も高齢となると年々筋力・働きが低下していってしまうのです。胃に関しても活動が年々低下していってしまう傾向にあり、消化不良を起こして慢性胃炎の原因となります。

 

・ホルモンバランスの変化

ホルモンバランスの変化も慢性胃炎の原因となります。特に更年期となると女性ホルモンや男性ホルモンの分泌が異常を引き起こし、それを主っている自律神経にも影響を与えて自律神経の乱れに繋がってしまいます。

 

日常生活での注意点

慢性胃炎は、胃壁が炎症を引き起こし、胃の機能が低下する疾患です。胃炎は食生活や生活習慣などが原因となって起こることが多く、予防には以下のようなポイントがあります。

食事

  1. 食事の改善

胃炎のリスクが高まるのは、過剰なアルコールやカフェイン、辛い食べ物や脂質の多い食品を摂取することによって胃の粘膜がダメージを受けるためです。栄養バランスの良い食事を心がけ、消化の負荷が少なく、胃腸に刺激を与えない食物を摂取するようにしましょう。また、食事の間隔が長すぎるのも胃に負担をかける原因となるため、ある程度決まった時間に食事を摂ることも重要です。

 

  1. 禁煙

喫煙は胃酸の分泌を促してしまい、胃炎を引き起こす原因の一つです。喫煙量が多ければ多いほどリスクは高くなりますので、完全に禁煙することが大切です。

 

  1. ストレスマネジメント

ストレスがたまりすぎると胃に負荷がかかり、胃酸の分泌が亢進して胃炎を引き起こすことがあります。ストレスを軽減するためには、趣味や運動、スキルアップなど自分の好きなことに時間を使うことが良いでしょう。また、十分な睡眠をとることもストレス軽減につながります。

瞑想やヨガでのゆったりとして呼吸法も有効です。

 

 

  1. 薬の服用の注意

過剰な非ステロイド性抗炎症薬の使用や、抗生物質の長期使用は胃炎の原因になります。薬剤師や医師の指導の下で正しく薬を使い、過剰な使用をしないよう注意しましょう。

 

  1. 定期健診を受ける

胃炎の早期発見・治療は胃がんなど重い疾患を予防するためにも大切です。定期的な胃カメラ検査や腹部のエコー検査など、胃腸の健康状態を定期的にチェックしましょう。

 

以上により、健康的な生活習慣を心がけ、胃に負担をかけないような食生活の改善を行っていくことが、慢性胃炎の予防につながります。

 

吉祥寺αはりきゅう院開院

月曜日, 5月 1st, 2023

令和5年5月1日(月)より

吉祥寺αはりきゅう院

が開院いたしました。4店舗目の分院となります。

吉祥寺駅から徒歩3分ほどに場所にありましてとてもアクセスが良い場所にあります。

施術内容は、他の院と特に変わりございませんのでお近くの方はお気軽にご利用ください。

 

吉祥寺αはりきゅう院
東京都武蔵野市南町1-11-11武蔵野ビル402
TEL:0422-29-9938
HP:https://kichijoji-shinkyu.com/

複視の鍼灸治療症例

日曜日, 4月 23rd, 2023

 

複視症状

 

当院には、複視でお悩みの方が多くご来院されております。複視になってしまった原因も様々で神経麻痺や筋肉の異常、自己免疫疾患、また病院で精密検査を受けても特に原因が分からなかったという方もいらっしゃいます。効果には個人差もございますが、多くの方が複視の程度が軽減されて日常生活が楽になったというお声を頂いております。

発症して早期に施術を受けて頂くほどその効果は良いです。複視症状で悩まれている方は、一度試しにでも施術を受けてみることをお勧めします。

複視の鍼通電療法
複視の鍼通電治療

複視のお灸治療

複視のお灸治療

 

 

複視の鍼灸治療症例

60代 女性
1か月ほど前に急に左目の痛みと圧迫感を感じるようになった。仕事や家事でストレスとなることがあり、その体の反応かなとおもい、体を休めれば良くなると思ってそのままにしておいた。すると2日後くらいから物が二重に見えるようになってしまい特に左側の物が強く二重に見えてしまう。病院を受診したところ左目の外転神経麻痺と診断された。しかし、特に何も処置を行ってもらえずに体を休めるように言われただけだった。目の症状が出てきて耳鳴りや左顔面部の痛み・頭痛も出るようになってきてしまった。

治療
触診の結果、頚部の筋緊張が強く出ていました。そのほか自律神経のバランスも悪く、症状が出てからは不安で眠りも浅いとのことでした。
まず、うつ伏せ施術で首肩の筋緊張の緩和と東洋医学の肝と腎の経穴を中心にはり灸施術を施していきました。次に仰向けとなり左目中心の施術と自律神経のバランス調整を行っていきました。

◇1回目◇
1回目の治療後、身体のだるさが強く出て家に帰ると直ぐ眠ってしまったとのこと。次の日身体は軽く、左首肩・頭痛症状は半分程度に軽減。左目の痛みや複視症状は改善は見られない

◇2回目◇
2回目治療後、左目の動きが少し良くなったと感じた。正面を凝らしてみると複視は起こらない。動いているものを見るとまだ複視状態。

◇3回目◇
耳鳴り症状が半減。寝つきが良くなったとのこと。目の症状は2回目以降変化なし

◇4回目◇
右目も何となくまぶたの重たさを感じたとのことで右目も施術。

◇5回目◇
頭痛薬を飲む回数が明らかに減少。以前は飲んでもう頭痛が治まらなかったが今は薬の効果も感じられる。

◇6回目◇
左目の動き改善。日常生活ではほぼ複視の症状で悩まされない。動きの速いものをみるとずれる時がある。病院でも左目の動きが良くなっていると言われたとのこと

◇7回目◇
早い動きの物にも目が慣れるようになってきた。しかし、注意してみるため、目の疲れは感じやすいとのこと。

◇8回目◇
右目のまぶたの重たさ軽減。視力も良くなったとのこと。

 

 

症例②

60代男性
2週間ほど前から新聞やパソコン画面がぼやけて見えるようになってきた。以前から遠くのものは見えづらく、視力の低下を感じていた。最近近くのものが見えづらくなってきたことから老眼の症状が始まったかなと感じていた。しかし、2週間ほど前から近くのものを見ることがつらくなってきて徐々に二重に物が見えるようになってしまった。
日常生活でも不自由を感じていてあまりに症状がひどくなってしまったので眼科を受診したところ、右目の動きが悪いため二重に物が見えていると言われた。確かに右側に視線をやると二重の幅が広がるとのこと。しかし、なぜそのような状態になってしまったのかという原因は眼科の検査でもわからずに経過観察と言われた。

 

治療
以前、交通事故に遭った時に頸部を損傷して常に首に違和感を感じているとのことでした。たまにひどい時は整形外科でけん引してもらっていた。触診してみると頸肩の筋緊張が強く、それも何かしら目に影響を与えていると考えられたのでまずうつ伏せ施術で頸肩に鍼通電療法を施した後に仰向けとなり自律神経の調整施術と右目を中心に目周囲に鍼通電療法を施していきました。

◇1~3回目◇
3回目までは目についてはあまり変化がみられなかった。頸肩の筋緊張はいくらかほぐれている。

◇4回目◇
4回目の施術終了後から真正面のものは二重に見えることがなくなった。普段複視症状がつらく、片眼で見るための眼帯をしていたが眼帯せずに過ごせるようになった。

◇5~8回目◇
徐々に右に視線をやっても複視になる範囲が狭くなってきた。8回目終了後には日常生活には支障なく過ごせるようになった。

◇9~12回目◇
たまに集中して近くのものを見て目を使った時は複視症状が出る時もあるが以前のようなつらさはない。その日しっかりと睡眠をとると複視症状は回復できる。まだ電車内などで速く動いている物を目でとらえようとすると目が追い付かない感じがあるが普段は全然複視症状は気にならなくなった。

 

 

症例②

30代 男性
当院にご来院される2週間前から複視の症状が出た。複視は像が上下にずれてしまうタイプで近くが大きくずれてしまい、遠くの物を見ても少し像がずれてしまい車の運転に支障が出てしまう。仕事で車を運転するため3週間ほど仕事を休むことになった。
仕事は、朝早くから夜遅くまで長時間労働でたまに夜勤もあり、生活はかなり不規則だった。体の疲れもとても溜まっていて複視の症状が出た可能性があった。病院で脳の検査や重症筋無力症の検査を行ったが特に検査結果に異常はみられなかった。病院では治療は特に行われず安静を指示されたが、ご本人としては何か手はないのかと探していたところ当院のホームページを見つけてご来院されました。

 

治療
普段からの不規則の生活のせいか、自律神経のバランスも大きく崩れていた。首の付け根付近の筋緊張も強く出ていたのでまず初めにうつ伏せ治療で首肩の筋緊張の緩和、背部兪穴の肝・心を中心に施術していきました。次に仰向けとなり目の周りの施術と自律神経のバランス調整治療を行っていきました。

◇1回目◇
治療後、複視のずれ幅が少し改善。日常生活でのつらさが少なくなった。

◇2回目◇
以前は正面を見ても像がずれることが多かったが2回目の施術以降は正面は像が合うようになった。朝方はまだ日常生活でも辛さを感じる

◇3回目◇
視線を左右に動かすとピントがついていかずに像がずれるように感じる

◇4回目◇
4回目治療以降は日常生活で複視の症状が出る事はなくなった。ここで仕事への不安感などから夜寝つきが悪くなったり、突然胸の圧迫感や手足のしびれを感じるようになったとのことで心療内科系疾患への治療へ方針をシフトしていった。

◇5~8回目◇
夜寝つきもだんだんと改善。仕事へも無事に復帰することができたが、仕事している際中にたまに胸の圧迫感やわき腹当たりのはり感などが出ることがあり現在も通院加療中です。

 

 

症例③

50代 男性
当院にご来院される6ヶ月前に転倒して頭部を強打した。すぐに救急病院に行き、処置をしてもらったが、その時から2週間ほどかけて物が二重に見える症状が強くなっていってしまった。特に脳神経の異常は画像診断などで見られなかっため、経過観察となった。お医者さんには、3カ月ほどかけて徐々に良くなっていくと言われ、ビタミンB12が処方された。しかし、6カ月ほど経過しても複視の症状は一向に改善されずに何かほかに治療の手段はないかとインターネットで調べて当院にご来院されました。
ご本人の感覚としては、左目の動きが悪く物が二重に見えているような感覚とのこと。正視の状態では少し左目が内側を向いている。視界以外には、頭部を強打した後遺症は見られない。

 

治療
頸部の筋緊張が強く、特に後頭部付近の板状筋の硬直が見られたので、まず最初にうつ伏せとなり、背部や頸肩部の筋緊張を緩める鍼灸施術を行っていきました。次にうつ伏せとなり、左目中心に鍼を刺してさらに刺した鍼に電気の刺激を加えることで目周囲の筋肉や神経に刺激を与えて症状改善を図っていきました。近く地方に転勤するとのことで2日おきに集中的に治療していきました。

◇1回目◇
治療後若干、左目の動きが良くなったように感じるが、複視の状態は特に変化なし

◇2~5回目◇
左目の動きが徐々に良くなっていっている。以前感じていた頸肩こりも感じにくくなった

◇6~8回目◇
以前はどの方向を見ても物が二重に見えていたが、今は左下のほうだけが二重に見えている状態となった。それ以外は正常に見えている

◇9回目◇
大体正常に見えるようになった。少し左下方向を見ると複視の状態が出るが日常生活ではほぼ支障なく生活できる。しかし、目を凝らして物を見ているせいか目の疲労感を感じやすくなった。目を良く使った日の夜に複視の状態が出る時がたまにある。
治療9回目を終了したころに地方に転勤となったため、生活でのケアの方法などをアドバイスして治療を終了した。

 

症例④

70代 男性

1か月ほど前から物が二重に見える複視症状を発症。年齢も年齢なだけにすぐに病院で検査を受けて脳のMRIなどを受けても特に原因が特定されなかったとのこと。

図面など細かいものやパソコンなども仕事で見る機会が多く、目の疲れからくる一時的なものだと医師から言われた。
ビタミン剤を処方されて服用していたが、一向に良くなる気配がないため他に治療法がないかと検索したところ当院のホームページを見つけてご来院されました。

 

治療

図面やパソコンなどの近くの物を見るときも物が二重に見える・左側の視界はさらに二重の幅が大きく感じるとのこと。また、遠くの景色もさらに二重の幅が広くなって気持ち悪くなってしまう。

高齢であることから針の刺激量を少し抑えつつ調整しながら目の周りは電気鍼治療も行っていきました。

◇1回目◇

一回目の治療後、翌日の朝から効果が感じられたとのこと。まず、近くの物が見えやすくなってパソコン作業時や図面を見るときはしっかりと一つに見えるようになった。少し離れたテレビ画面などはまだ二重に見える

◇2回目◇

治療日から日数が経過するごとに状態が少し戻って行ってしまったが、2回目治療後も1回目同様に近くの物が見えやすい。

いくらか遠くの物も二重の幅が狭くなったように感じる

◇3回目◇

3~4メートルくらい離れた物だとほとんど正常に見えるようになった。家の中ではそこまで不憫を感じない。遠くの景色や階段を降りるときはやや少し怖さを感じる。

◇4回目◇

遠くの景色もほとんど一つに見えるが、夕方以降仕事で目を使っていると目の疲れを感じて物が二つに見えるときもあり。

目の疲れを感じた時などにメンテナンスのために通院加療。

 

症例⑤

80代 男性

 

当院にご来院される1か月ほど前から急に朝物が二重に見えてしまうようになってしまった。すぐに病院でMRIなどの検査をしたが、原因がわからずに動眼神経麻痺と診断を受けた。

医師からは経過観察で半年ほどかけて治っていく場合もあるとのことで、特に何も処方されなかったとのこと。

 

特に右眼の動きが悪く、真正面から左側の視界は物がひとつに見えるが、右側の視界は物が二重に見えてしまう。またテレビ画面を見るくらいの距離だと二重に見えてしまう、眼の前ほどに物を持っていくと正常に見える。

 

物が二重に見えてしまうため人との距離感がわからなくなって外で歩く際は、右眼のを隠す眼帯をして何とか歩行している状態。階段も恐々と手すりを持ちながら降りている

 

治療経過

初診時触診をしたところ、頸部の筋緊張も強いような状態でした。まずうつ伏せで首肩や背部兪穴を用いて首肩周りの筋緊張の緩和や五臓六腑の特に肝や腎に関するツボを刺激していきます。

 

次に目の周りに鍼をさして電気を流す鍼通電療法を用いて目の周りの筋肉や神経に直接刺激を与えていき改善をはかります。

 

5回目の施術終了後、だんだんとひとつに見える範囲が広がってきて、右側の視界もひとつに見えるようになってきた。ご家族にも眼球の動きが良くなっていると指摘されたとのこと。

 

施術8回目までだんだんと症状改善していったが、テレビを夜遅くまで見ることが多くなってしまって少し症状がぶり返した感覚。遠くの視界が複視

 

施術10回目以降また症状が改善してきた。以前は、人とすれ違う時が二重に見えてしまうためこわかったが、怖くなくなりテレビ画面もひとつに見えて遠くの視界もひとつに見えるようにだんだん変化していった。

日常生活に支障がない程度に回復。右側に視線をやると少し二重に見えるかなという程度。

 

頸椎椎間板ヘルニアの鍼灸治療

水曜日, 2月 22nd, 2023

頸椎椎間板ヘルニアに対する当院の鍼灸治療

当院の頸椎椎間板ヘルニアに対する治療の目的は、第一に首や肩背部のツボや痛みの強い部位に鍼をさして痛みやしびれの軽減をすることです。
また必要であらば、微電流を流すことにより血行を良くしたり、筋の過緊張を和らげます

 

頚椎椎間板ヘルニアの鍼灸治療

 

頸椎椎間板ヘルニアは五臓六腑の「」と「」に深く関係しているので腎や肝に関する経穴を用いて「腎気」や「肝血」を補うことや頸部の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。

東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。頸椎椎間板ヘルニアは全身性の疲労や気血の滞りが原因の場合もあるので頸部だけの部分的な治療ではなく全身を診て治療していきます。
また頸椎椎間板ヘルニアで長い間その症状に悩まされていると自律神経の乱れに繋がります。当院では、自律神経測定器を用いてその日の体の状態を見極めてから施術することにより、ほかとは違う施術効果が得られるのです。

当院の頸椎椎間板ヘルニアニアの施術で、仕事や家事がスムーズにできるようになり意欲的に取り組めるようになったと喜びの声を頂いております。

 

頸椎椎間板ヘルニアの東洋医学的考え

東洋医学では頸椎椎間板ヘルニアは体の外から邪気を受けるため発症するものと中医学でいう「」と「」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。また「腎」は年齢を重ねるごとに機能が低下しやすく、40歳以上という頸椎椎間板ヘルニアの発症年齢層とも一致しており、「腎」は椎間板ヘルニアと深い関係にあると言えるでしょう。そういった原因で頸部付近の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。

体の外からの邪気として一番頸椎椎暗板ヘルニアが発生しやすいのは、寒く風のあたる場所にいた時などに体に悪さをする「風寒の邪気」を受けた時です。次いで湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時などです。

 

また長い間椅子に座ってパソコンなどの仕事をした時に気血は滞り、それが頸部付近であった場合に頸部椎間板ヘルニアを発症する可能性が高くなります。

中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉や骨などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記のような条件が加わると頸椎椎間板ヘルニアがおこりやすくなります。

 

両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。

頚椎椎間板ヘルニアの鍼灸治療症例

 

 

50代女性

母の介護や日々の家事などにより一年前から常に肩や首のコリや重だるさを感じていた。ここ2カ月ほどは母の介護の量が増えて生活がさらに忙しくなってきた。その頃から腕に痺れを感じるようになってしまった。近くの整形外科を受診したところ頸椎椎間板ヘルニアと診断され、そこの整形外科で温熱療法や電気療法をしてもらっていたが、あまり症状の改善が見られないということで当院にご来院されました。

当院の治療
①問診
丁寧に問診していきます。この方の場合、母の介護や家事の忙しさがストレスとなり、痛みをさらに増強されているとも考えられるので、一通り問診した後は、自律神経測定器で自律神経の状態を計測していきました。

②自律神経測定器で計測
自律神経側器の結果、交感神経の活動が高い状態でした。

 

 

③仰向けで自律神経調整療法
まずは仰向けで自律神経調整のための施術をしました

 

④うつ伏せで痛みやしびれの改善
次にうつ伏せになっていただき、頸部~背部にかけてはりに電気をつないで流す通電気療法も行いました。

⑤最後の仕上げの手技療法
また一度仰向けとなっていただき頸部を軽く牽引したり、指圧をしていきました。

 

治療経過
◇1回目◇
首や肩の痛みや重だるさがだいぶ軽減された。

◇2回目◇
治療間隔が1週間ほど空いてしまい、症状は依然と同じように出ていた。

◇3回目◇
今回は首やの調子が良かったが痺れはまだかなり感じる。家事などしている時は特に。

◇4回目◇
痺れの感じ方が弱くなった。

◇5回目◇
ほぼ痺れを感じなくなった。

 

40代女性

当院にご来院される2か月ほど前から右手の痺れ、特に親指と人差し指の痺れと痛みを感じるようになった。しばらくして左ひじ周りにも痛みが出るようになったため心配になって整形外科を受診。

診断結果は、頚椎椎間板ヘルニアと左脛骨概則上炎ということでした。

前々から疲れたりすると首の痛みを感じていたが最近は強く出るようになって痺れや握力低下までも感じるようになってしまった。

デスクワークが主で仕事をしていると首や左右上腕がつらくなっていくる。

マッサージや整体なども受けてみたがあまり効果が感じられずに友人の紹介で鍼治療受けてみようと思いご来院されました。

 

当院の治療

まず仰向けで前頸部の筋緊張の緩和と左の上腕・前腕部の筋緊張を取り除く鍼灸施術を行っていきました。

次にうつ伏せとなり、首肩周りの筋緊張の緩和の鍼灸施術を行い、合わせて鍼通電治療を用いて鎮痛効果の期待できる施術法を行っていきました。

最後に、首肩周り左右上肢のストレッチを行い、筋肉を弛緩させていきます。

 

経過

一回目の施術で右手の痺れは2~3日消失4日目からまた気になるようになった。左ひじはあまり変わらず。

2回目以降、左ひじの痛みがだんだんと消失。左右上肢の痺れや痛みもだんだんと良くなっていった。

8回目の施術まで症状が良くなったり悪くなったりを繰り返していたが、9回目以降は症状に波がなくなっていって完全に消失していきました。

今でもたまに仕事や家事で負担をかけるとコリ痛は出るがそんなに長続きしていない。

 

40代女性

半年前から仕事が急激に忙しくなり、家でも仕事をするようになった。

もともとひどかった首、肩のコリが悪化し、常に重だるさを感じるようになった。

2週間前に腕に軽いしびれを感じたため整形外科を受診したところ、頚椎椎間板ヘルニアと診断された。手術の必要はないため、負担をかけないよう指導されたが仕事をしているとたまにしびれが出る。

まだ仕事が落ち着くまで数ヶ月かかりそうなので、仕事に支障がでない程度まで改善したいとのことで来院された。

 

当院の治療

触診したところ、長時間のデスクワークによる首肩こりが目立った。

背中も緊張状態がみられ、睡眠時間をきいたところ4〜5時間と短いことが分かった。

忙しさで交感神経が過剰になり睡眠中も体に力が入っていると推測できる。

十分な休息をとっていないため首肩こりもなかなか改善せずヘルニアに至ったと考えられる。

まずはうつ伏せで首、肩、背部の自律神経に関するツボを中心に鍼をさし、こりが強い首には鍼通電療法を用いた。

その後仰向けで自律神経の調整、首の牽引を行った。

◇1回目◇

施術後、首の重い痛みが軽減した。しびれの変化はまだわからない。

◇2回目◇

大きな変化なし。

◇3回目◇

毎日あった腕のしびれが1〜2日おきに減った。しびれている時間も以前より短くなっている。

◇4回目◇

首肩こりはまだ感じるがしびれは今のところ軽減してきている。

たまに違和感があるが、首のストレッチなど伸ばすことで楽になる。

◇5回目◇

今週はしびれを感じなかった。

首肩のこりもなくなってはいないが最初とくらべると随分楽になった。

これからも忙しくなるため今のペースでケアを続ける。

仕事が落ち着いたら間隔をあけてのメンテナンスに切り替えるつもり。

頸椎椎間板ヘルニアとは

 

頚椎椎間板ヘルニアの主な症状

頸椎椎間板ヘルニアとは、首の骨の間にある椎間板が飛び出して、急激な片側の頸・肩・腕などの痛みを発症します。
頸椎とは、背骨のうちで頭蓋骨につながる7個の椎骨を指します。上から順に第一頸椎・第二頸椎と名付けられています。椎骨は円柱状の椎体と後ろにある椎孔をアーチ状に囲む椎弓よりなり、椎孔は上下に重なって脊髄を通す脊柱管をつくります。

椎体と椎体はいくつかの靭帯や椎間板という組織によりつながれています。椎間板は外縁部を構成する線維性軟骨組織でできた線維輪と中心部を構成する軟らかい髄核という組織でできています。髄核は弾力性とある程度の流動性があり、それらが圧の分配を行って脊柱の屈伸やねじれを可能にしています。

椎間板の線維輪が弱くなって全体として膨隆したり、線維輪が断裂して中の髄核が脱出したりして椎間板組織が神経根もしくは脊髄自体を圧迫して首や肩、腕の痛みや痺れを引き起こします。椎間板ヘルニアは腰椎に起こることが多いのですが、首にも起こることがあり、その場合は「頸椎椎間板ヘルニア」といいます。頸椎ヘルニアは腰椎椎間板ヘルニアに比べて発症年齢が高くて40歳以上に多く発症します。

頸椎椎間板ヘルニアの好発部位は頭を支えるのに最も負担を強いられる下位の頸椎です。したがって、第五頸椎と第六頸椎間の椎間板、第六頸椎と第七頸椎間の椎間板にヘルニアが多く発生します。

頸椎椎間板ヘルニアの主な症状は、首から背中にかけてのこり不快感疼痛などと首の運動制限が生じることに加え、飛びだした髄核が脊髄や神経根を圧迫するために圧迫された神経によって腕や手指のしびれ疼痛が現れます。

頸椎症状
頸椎症状では、後頭部・首から肩・肩甲背部のこりや不快感、疼痛などと首の運動制限が現れます。通常、首を後ろに倒す動作で増悪して安静にすると軽快します。またせきやくしゃみにより疼痛が生じることもあります。

神経根症状
神経根症状では片側の背部痛や上肢への放散する痛み、前腕や手指の痺れと感覚障害、脱力感、筋委縮などを認めます。圧迫される神経によって症状が現れる場所が違います。

脊髄症状
感覚障害としては手指や手掌全体に及ぶ痺れ感が主体で、さらに体幹、下肢に広がります。運動系では、筋力の低下や書字・更衣時のボタンかけ、食事動作など手の細かい動作が難しくなります。また圧迫がひどくなると、排便や排尿などに関する神経が障害され、頻尿や残尿感、便秘などの症状が現れます。

 

 

 

頸椎椎間板ヘルニアの原因

椎間板という組織自体は加齢とともに老化しやすい組織であり、歳をとるとともに髄核の水分が減少します。椎間板が水分を豊富に含んでいれば、クッション性も可動性も高いのですが、水分が減少してくると重い頭を支える働きも低下していきます。

そして椎間板の一部が外にはみ出しやすくなって、神経を圧迫するのです。それが頸椎椎間板ヘルニアの一番の原因です。また脊髄圧迫は生まれつき脊柱管が狭い人に起こりやすく、圧迫による脊髄症状を起こす危険性が高くなります。

 

インピンジメント症候群の鍼灸治療

金曜日, 1月 20th, 2023

インピンジメント症候群とは

インピンジメント症候群とは、肩を使う動作の途中で痛みを感じたり、引っかかるような違和感を感じ、それ以上に動かせなくなる症状を引き起こす障害です。

この「インピンジメント」とは聞きなれない言葉ですが「衝突・突き当たる」を意味する英語です。

肩の関節はもともと骨と骨が非常に近い距離で動く構造になっています。通常であれば、腕を上げるときには周りの筋肉がタイミングよく働き連動するため、うまく擦れずに動くことができますが、筋肉の疲れや姿勢不良などが原因でそのバランスが崩れるとインピンジメントを起こしやすくなります。

インピンジメント症候群

 

インピンジメント症候群となる原因

 

多くのケースでインピンジメント症候群の原因はオーバーユース(使いすぎ)です。特に野球の投球動作、テニスのサーブ、バレーのアタックなどオーバーハンドスポーツをされる方に多く見られます。

繰り返しの肩の使用によりインナーマッスルである腱板は疲労し、肩を内側から支える力が弱くなり肩関節が不安定になります。

すると、肩を動かした時に肩関節を構成する上腕骨と肩峰の間に腱板の一部や、肩峰下滑液包などが挟み込まれやすくなります。その状態で繰り返し刺激が加わると腱や滑液包が炎症を起こします。

また、加齢による変形血行不良、日々の動作の積み重ねによって症状が発症する場合があります。同一姿勢や、腕を頻繁に上げ下げすることによって筋肉や靱帯を損傷してしまいます。また、肩峰の形状には個人差があり、インピンジメントを起こしやすい方もいます。肩が柔らかい方(不安定性がある方)や潜在的な関節の硬さが影響していることがあります。

さらに、高齢者の方は肩峰にできた骨棘(こつきょく:尖った突起物)が年齢とともに大きくなり、腕を上げたときに骨同士が衝突するようになるケースがみられます。

 

インピンジメント症候群の原因

 

 

インピンジメント症候群の主な症状

 

インピンジメント症候群では、肩を上げたときに痛みや引っかかりを感じます

最後まで上げた時より、むしろ上げる途中や、ある特定の角度で痛みを感じます。

具体的には、

・目線の上のものをとる
・吊革につかまる
・シャツを脱ぐ着る
・ハンガーをかける動作

などで痛みが出現しやすいです。

また、しばしば夜寝ているときや仰向けになった際に痛みが強くなります。インピンジメント症候群は腱板付着部で炎症が起こるため、腱板断裂と似た症状を感じます。肩の可動域が制限されることは少なく、動くけど痛いという状況になります。夜間に痛みが強くなるのは、炎症が強い時に特徴的な症状です。

症状が悪化すると夜間痛の他、こわばりや筋力低下を起こしたり、さらにひどくなると腱板断裂になることもあります。

西洋医学的治療

検査・診断

問診、X線(レントゲン)検査で骨棘の有無、MRI検査で肩峰下滑液包の炎症や腱板の損傷の有無、造影検査で損傷範囲を確認して肩腱板断裂などの他の病気と区別します。

治療

治療は基本的に保存療法です。安静、肩甲骨周囲筋のストレッチ、肩甲骨の運動訓練、注射などを行いますが、症状が数か月以上続き日常生活や仕事に支障をきたす場合、関節鏡による手術(除圧術)を行います。

インピンジメント症候群に対する東洋医学的考え方

 

肩関節のツボ

東洋医学では肩の痛みは体の外から邪気を受けるため発症するものと東洋医学でいう「」と「」と「」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。そういった原因で肩背部付近もしくは上肢の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。

またスポーツでの肩に負担のかかる動作の繰り返しや、長い間腕を上げながら作業していた時などに気血は滞り、それが肩背部付近であった場合にインピンジメント症候群を発症する可能性が高くなります。

また東洋医学でも冷えは、様々な症状をもたらすとわれており、インピンジメント症候群の場合でも肩を冷やしてしまった場合に発症確率が高くなると考えられています。

 

インピンジメント症候群に対する当院の鍼灸治療

炎症がある急性期では、炎症を抑えることが最も優先されるため、インピンジメント症候群の痛みとして特徴的な肩峰下(肩先の骨の直下)、肩前面の部分やその周囲に鍼灸施術を行い、消炎作用、鎮痛作用を促します。

インピンジメント症候群の鍼通電治療

インピンジメント症候群は肩上部、肩甲間部、背部など広範囲に筋性の疼痛がみられることが多いことや、発症の要因として肩周囲だけの問題だけでなく猫背や反り腰などの姿勢不良による身体の歪み(主に背骨・骨盤)が連動して肩関節も歪ませてしまい、その結果として肩周りの筋肉や腱、靱帯に負担がかかり炎症が起きやすくなります。

そのため、当院では患部の治療のみではなく全身的なバランス調整を行うことで肩周りの組織の負担の軽減、疼痛の緩和、肩甲帯の可動域回復を図ります。

また、東洋医学的概念から肝、腎、脾に関係するツボや上肢の気血の流れを整えるツボも取り入れます。

自律神経調節鍼治療

さらに、自律神経系の調整施術を行うことで全身の血行促進と内臓機能や免疫力を高め、症状が治癒しやすいお体の状態へ整えます。

 

 

テニス肘の鍼灸治療

月曜日, 1月 16th, 2023

①テニス肘(上腕骨外側上顆)に対する当院の鍼灸治療


当院のテニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対する施術は、第一に患部が延焼していた場合、鍼やお灸の刺激により炎症を抑える効果を促します。

また肘関節付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は五臓六腑の「大腸」と「」「」に深く関係しているので、大腸や肝と腎に関するツボを用いて大腸の機能を正常に戻すこと、または肝血と腎気を補うことや肘関節の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。

テニス肘のうつ伏せ鍼灸治療

上腕骨外側上顆炎は日常生活動作での影響が大きく、自然と負担がかかる動作をしていたり、筋肉の使い過ぎによる原因がほとんどです。
当院では、日常生活動作での改善点をお伝えることも重要だと考えております。施術後、注意点の説明を行い、早期回復を目指します。

当院のテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の施術目的は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の回復程度を高めて、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでもテニス肘(上腕骨外側上顆炎)が回復できる機会を提供します。

テニス肘の鍼灸治療

テニス肘の鍼灸治療効果の研究について

全日本鍼灸学会では、上腕骨外側上顆炎の論文が発表されています。

上腕骨外側上顆炎に対する鍼治療の効果

対象患者は平均年齢49・2歳で鍼治療と前腕伸筋ストレットを並行して行い、平均治療回数は6.5回で結果がVASが10から1になった(著効に軽減)のが15%でVAS10から2~5になった(有効)のが77%、VAS10から6~8になった(やや有効)のが8%と良好な治療成績が出たと報告されています。

②テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の東洋医学的


中医学でテニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、肘付近の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みやしびれの原因となると考えられています。
寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間肘を酷使する仕事やスポーツをした時などに気血は滞り、それが肘外側付近であった場合にテニス肘(上腕骨外側上顆炎)を発症する可能性が高くなります。

上腕骨外側上顆に付着する長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋の走行は中医学でいう「大腸経」の走行と類似しており中医学でいう「大腸」にもなんらかの不調があると考えられます。

また中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記の条件が加わるとテニス肘(上腕骨外側上顆炎)がおこりやすくなります。

両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。

●肝血虚
肝血虚とは中医学でいう「肝」が血を貯蔵して必要に応じて供給・消費する機能と自律神経系の作用を通じて血管を収縮あるいは弛緩させ、体内各部の血流量を調整する機能が異常をおこして発症します。

筋のけいれん・手足のしびれ・目の乾燥感や女性では、月経のおくれ・月経血の過少・無月経などがみられることが特徴です。

③症例

30代 男性 テニス肘

◇症状◇
週末の土日に2時間ほどテニスをしていたが、先日テニス中に肘の外側が痛み当院に来院。学生時代は、テニス部に所属して毎日のようにテニスをしていた。
社会人となり、週末に趣味程度に楽しんでいた。右肘の内側は依然痛めたことはあるが、外側は初めてとのこと。その他にも脇腹の痛み(肋間神経痛のような痛み)が走るときもあり、テニスを最近休んでいる

◇当院の治療◇
肘を触ってみると少し腫れていて、熱感もあったため、はじめは炎症をとるような鍼灸治療を施しました。右上腕から肩部・頸部にかけて筋肉の緊張がみられたため、その部分には、筋の緊張をとるため鍼灸治療と軽いマッサージやストレッチを施しました。3週間ほどはテニスを中止していただき、4週目からは全力ではやらずに徐々にならすように再開していただきました。

◇経過◇
・1回目
治療後一日二日は、痛みが強く出たが三日目からは痛みが引いてきた

・2回目
まだ、痛みが出て日常生活の中でもたまに痛みが出る

・3~5回目
日常生活の中では、肘の痛みはほぼなくなった。

・6回目
無理をしない・痛くなったらすぐ中止することを守っていただきテニスを再開していただいた。

・7回目
テニスをしている最中は痛みや違和感を感じなかったが終わった直後に痛みが少し出た。テニスが終わった後に肘にアイシンなどの対応をしてもらった。

・8回目
ほぼ違和感なくテニスができるようになった。

◇考察◇
肘の部分の炎症があったが、首や肩の筋肉が固くてそれが、肘のほうにも影響を与えていた。首や肩の筋肉をほぐすことで肩もスムーズに回るようになり、肘への負担がおさえられて痛みも出づらくなったと考えられます。

 

 

症例②

30代 女性 

 

◇症状◇

1年位前から両肘の外側が痛み始め、病院でテニス肘と診断された。そのまま整形外科で治療を続けてきたが一向に改善されず、鍼灸治療を試してみたいという事で当院に来院した。

テニスの経験や腕を動かす習慣はないが仕事でパソコン作業が多いせいか肩や肩甲骨まわりの柔軟性が低く、肩が前に丸まっている。それが原因で腕に連動して肘が動きにくくなっている。それに加えキーボードを長時間叩く動作を繰り返すため、前腕の筋肉が強く固まってしまい肘に負担がかかっている。特に右肘の方が痛みが強い。炎症はほぼない様子。

 

◇当院の治療◇

まず、筋肉の引っかかりがあり痛みが起きているので前腕部分や肘まわりの硬結部に刺鍼を行った。肩首、肩甲骨まわりの筋肉を緩めるために置鍼をし、最後に自然治癒力を高めるために自律神経治療を行った。

 

◇経過◇

・1回目

一回目を終わったあとはあまり変化なし。

 

・2回目

左肘は痛みが軽減したが右肘は痛みがある。

 

・3回目

肘はあまり変化がない。今まで刺激量が強かったので、少し抑えめで施術。右の臀部が少し痛いので、最後に横向きで大腿筋膜張筋や上殿筋を狙って刺鍼。

 

・4回目

左肘の痛みはほぼ無くなった。右肘は少しあるが軽減。

 

・5回目

痛みもだいぶ治まってきた。物をつかむ動作で少し違和感が出る程度に軽減。

 

・6回目

ほぼ痛みがなくなり、日常生活にも支障がない。

症例③

女性 40代

1か月前に肘周辺の痛みが出現。テニスで強い球を受け続けた事がきっかけになった。

患部は右腕の肘関節内側部で、軽く押しただけの圧痛があり腫脹や熱感がみられる。徒手検査法で陽性。テニスは学生時代から続けており、今は週に1~2回のペースで楽しんでいる。

物を持ったり、タオルを絞るなどの動作で強い痛みが出るため日常生活に影響が出ている。

お仕事はデスクワークで、1日10時間以上はパソコンに向き合っている。

◇当院の施術◇

上腕骨内側上顆の炎症が出ているため少し強めのお灸をして炎症を抑える施術を行いました。また前腕屈筋群の強い張りが見られたため患部と筋肉に電気鍼療法を用いて筋肉の筋緊張緩和と鎮痛を目的とした施術を行いました。

また日頃のデスクワーク影響からか、首肩の筋緊張が強く少し巻き肩になっていました。

巻き肩になると筋肉の張力が働き筋肉が付着している関節部に大きな負担がかかりテニス肘の大きな原因にもなります。そのため、首肩の筋緊張の緩和、自然治癒力を促すため自律神経調節治療も併せて行いました。

 

◇経過◇

・1回目

鍼は慣れていないためか少し緊張していたので、刺激を弱めで施術した

・2回目

前回より痛みが軽減して、腫れが引いてきた

・3回目

腫れは完全に引いたが、痛みはまだある。

・4回目

腕を動かしても痛みが無くなった。物を持ち上げたりタオルを絞るといった動きでまだ痛みが出る。

・5回目

物を持ち上げたりタオルを絞る動きで少し痛みがあるが、前回からかなり軽減した。

・6回目

押すとまだ痛みがあるが、それ以外ではほとんど痛みがない。

・7回目

テニスをプレイしてみたところ、両手打ちなら全く問題がない。

 

④テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは?


上腕骨外側上顆炎とは、手を使った際に肘関節の外側上方が痛むことです。
日常生活の中で発症する場合もありますが、多くは手を使うスポーツをしている人に発症する場合で
テニス肘とも呼ばれます。
症状名が「テニス肘」というだけで、テニスプレーヤーにだけ発症するわけではなく、ゴルフ(ゴルフ肘)・バトミントン・ボーリングなど肘をよく使うスポーツでも発症します。

肘関節は、3つの骨から構成されており、肩から肘にある上腕骨、肘から手首まであり親指側の橈骨と小指側の尺骨があります。
上腕骨外側には、手首を反らせるあるいは親指側に倒す長橈側手根伸筋短橈側手根伸筋、手首を反らせあるいは小指側に倒す尺側手根伸筋、指の人さし指から小指まで指を伸ばす総指伸筋、手のひらを上に向けるように腕を捻る動作をする回外筋という筋肉が付着しています。

そういった筋肉の使い過ぎなどによりこの付着している部分に負担が重なって細かい断裂出血などによる炎症が起こります。炎症によりちょっとした動作で痛みを発症してしまうのです。

動作痛
•スポーツではテニスのバックハンドストロークの際・日常生活ではタオルを絞る・フライパンを持つ・ドアノブを回すなどの動作で痛みを発症する場合が多いです。

圧痛
•肘関節の外側を押すと痛みが出ます。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は30~50歳代の女性に好発し、種々の誘発試験により見分け方は比較的容易です。
誘発試験として、肘を伸ばした状態で手首を抵抗に逆らって反らせると肘関節の外側に痛みを生じるトムセンテスト、肘を伸ばした状態で中指を抵抗に逆らって伸ばすと肘関節の外側に痛みを生じる中指伸展試験、肘を伸ばした状態で椅子を持ち上げると肘関節の外側に痛みを生じるチェアテストなどがあります。これらのテストで痛みが生じる場合は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)と予想できます。

テニス肘の鍼灸治療

 

 

ゴルフ肩(スイングショルダー)の鍼灸治療

日曜日, 11月 27th, 2022

ゴルフ肩とは

ゴルフ肩は特定の病名ではなく日常的にゴルフを行うことにより引き起こされる「肩関節周囲組織の損傷」による症状をいいます。多くの場合スイングの際に前方に位置する肩に傷害が起きやすく、特に右利きのゴルファーの左肩が怪我をしやすいといわれています。

ゴルフ肩に含まれる具体的な疾患名、症候名として、「腱板損傷」、「腱板断裂」、「肩峰下インピンジメント」、「上腕二頭筋腱損傷」、「変形性関節症」「肩関節の不安定」などが挙げられます。

ゴルフスイング

 

 

ゴルフ肩になる主な原因

ゴルフは全身を使うスポーツですが、特にクラブを振り上げる動作では肩に負担がかかります。ゴルフ肩はこのスイング、特にテークバックに起因するトラブルです。

ゴルフのスイングではまず、クラブを構えテークバックする際に、左肩や肩甲骨についてる筋肉が引っ張られ引き伸ばされます。また、スイング時に頭を動かさないようにするため、上半身に対して首のねじれは強くなります。

クラブがトップから勢いよく振り下ろされると、先ほどまで引き伸ばされた左肩、肩甲骨周りの筋肉が急激に収縮を始め強い負荷を受けます。このようなスイング中の肩周りの筋肉が「伸長」と「収縮」といった強い負荷を受けます。

ゴルフのスイングを繰り返すということは、この動きを繰り返すことになります。例えばコースを一日中回ったり打ちっぱなしの練習をすると、少なくとも50~100回、初心者では100回以上スイング動作をしています。

その結果、徐々に左肩、肩甲骨周りの筋肉に疲労が蓄積され、ゴルフ肩になるのです。

また、非常に重量のあるクラブを振り回し、地面の抵抗なども加わることや、頻繁にゴルフを行うこと、長時間ゴルフをプレーすることもリスクと考えられています。

 

ゴルフ肩の症状

 

ゴルフ肩の症状

 

ゴルフ肩の症状は傷害される部位によって異なりますが、肩関節から肩甲骨周囲の痛みや腕にかけての痺れなどが一般的です。また、首のだるさ、肩甲骨周りの可動域制限などがあります。

あまりに酷くなると軟骨などの関節自体に損傷を起こすこともあるので注意が必要です。

 

ゴルフ肩になりやすい人

①スイング自体が肩に負担のかかる打ち方になっている

ゴルフ肩になりやすい人はスイングが悪い人です。バランスの取れた無理のないスイングであれば、肩への負担も少ないですが、遠くに飛ばそうとトップの位置を高く上げ過ぎたり、グリップに力を入れすぎたりすると無理なスイングになって肩に大きな負担がかかります。

また、股関節が硬い人はスイング時に腰の回転がうまく使えないため肩に大きな負担がかかり、猫背など姿勢が悪い人もバランスのとれたスイングができずに肩に大きな負担がかかり、ゴルフ肩になりやすいです。

②肩周りの筋肉が硬い

肩周りの筋肉の柔軟性が低いと、スイングの際に無理に引き伸ばされることで過度のストレスがかかってしまい、その伸長ストレスが繰り返し加わると次第に痛みに繋がってしまいます。

特にこの伸長ストレスを受けやすいのが肩の後面、外側面に位置する棘下筋、大円筋、小円筋、三角筋、菱形筋、僧帽筋、広背筋になります。この筋肉の柔軟性を保つことが痛みの改善のために重要となってきます。

西洋医学的治療

診断

ゴルフ肩(スイングショルダー)は病名ではなく、一連の状況が引き起こす症状の総称であるため、その診断は主に症状が発生すに至った経緯や症状の部位によりなされることが一般的です。

検査・治療

診察、レントゲン、関節超音波(エコー)、MRIなどの諸検査により診断します。疾患により治療法も異なりますが、主な治療法として保存療法(鎮痛剤や温熱療法、局所注射、運動療法など)で肩の痛みや運動障害が治らないときは、手術療法が行われることがあります。

 

ゴルフ肩に対する東洋医学的考え方

中医学では肩関節や、筋肉の痛みは体の外から邪気を受けるため発症するものと中医学でいう「肝」と「腎」と「脾」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。そういった原因で肩背部付近もしくは上肢の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。

またスポーツでの肩に負担のかかる動作繰り返しや長い間腕を上げながら作業していた時などに気血は滞り、それが肩背部付近であった場合に痛みや痺れを発症する可能性が高くなります。
また中医学でも冷えは、様々な症状をもたらすとわれており、肩周囲の痛みの場合でも肩を冷やしてしまった場合に発症確率が高くなると考えられています。

 

 

当院のゴルフ肩に対する鍼灸治療

 

痛みの強い肩、肩甲骨周りやその周囲に鍼やお灸で刺激を与え、血液循環を良くすることで消炎効果を促し、鍼の刺激により痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。

ゴルフ肩に対する鍼通電治療

また、東洋医学的観点から、「肝」「腎」「脾」をはじめとした五臓六腑の機能を整えるツボを用います。

さらに、肩の痛みは局所のみならず、骨盤から上の上半身全体の動きの悪さが原因となっている可能性があるため、筋肉の伸張性や軸となる骨盤や背骨(胸椎、腰椎)のゆがみを判断し全身的に整えていきます。

 

アトピー性皮膚炎の鍼灸治療

金曜日, 10月 21st, 2022

アトピー性皮膚炎は、かつて幼少期に発症して大人になると治っていくと言われていましたが、今は大人になっても治らない場合や治っていてもストレスなどで急に発症する場合が増えています。また、20歳以下の10人に1人はアトピー性皮膚炎にかかっていると言われており、増えている病気の一つです。まず当院で受けられたアトピー性皮膚炎の患者さんの症例をご紹介させていただきます。

 

アトピー性皮膚炎の鍼灸症例

中学3年生 男子

生後3か月からアトピー性皮膚炎の症状が出る。幼少期~小学生までは、ほとんどアトピー性皮膚炎の症状が出ていなかったが、中学校に入学してから症状が再発。受験を控えている影響と思春期という難しい時期が重なり、ここ3カ月は症状が強く出ている。

症状がひどくなってきてから皮膚科を受診して、内服薬として抗アレルギー剤と外用薬としてステロイド剤を処方された。

ステロイド剤を使うと一時的に症状は軽快するものの、痒みはあまりおさまらないという状態。顔まわりや首・肩周り、ひじ関節あたりの湿疹は特に強く出ている。普段から乾燥肌で冬になり空気が乾燥してさらに受験のストレスで赤みが強く出る時もある。思春期独特の悩みもある。

 

アトピー性皮膚炎に対する当院の鍼灸治療

  1. 問診
    アトピー性皮膚炎は、精神的な様々なストレスが関与していることも多く、生活習慣なども大きく影響を与えるためしっかり時間をかけて問診を行っていきます。この方の場合、受験による父母から過度な期待や友人関係での悩みが精神的に大きなストレスとなっていました。
  2. 自律神経側器
    当院では、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握してから治療します。アトピー性皮膚炎でも自律神経の乱れが症状に大きく影響を与えていると考えているためです。自律神経側器過度な緊張は交感神経を過亢進状態にします。この方の場合も交感神経の数値が非常に高く、逆に副交感神経の数値が低い状態でした。痒みや湿疹も本人にとってとてもストレスと感じている様子でさらに自律神経を乱し、負のスパイラルになっている状態でした。自律神経測定器
  3. 仰向きでの治療
    まずは、仰向きで治療していきます。お腹周りのはりとお灸で自律神経の調整、東洋医学の「肺」「脾」「腎」の機能低下で肌の乾燥感・強いかゆみが出ていたのでそれらの経絡の反応点に鍼灸施術をしていきました。アトピー性皮膚炎の自律神経調整鍼灸治療
  4. うつ伏せでの治療
    この方の場合、肩甲骨上部に軽いほてりが見られました。ほてりをとるためローラー鍼で施術して、熱を逃がす施術をします。それと並行して背部の固結部位などの反応点に鍼灸施術をします。アトピー性皮膚炎の頸肩鍼灸治療
  5. 治療経過

    ◇1回目◇
    鍼灸施術が初めてということもあり、刺激量を調節しながら行いました。全身の施術は、弱視劇で心地よい刺激での治療を心掛けました。
    ◇2~4回目◇
    施術後は肌の乾燥感が減り、肌質にも少しずつですが変化が見られます。
    ◇5~9回目◇
    鍼灸施術の刺激にもだいぶ慣れてきたので、刺激量を少しずつ増やしていきます。
    乾燥感が少しずつ改善されて肌に潤いがでていきます。症状が強く出ていた顔や首肩周りの部位も症状が改善されてきた◇10~15回目◇
    最初は週に2回通院していただいておりましたが、体の状態が良くなってきているので週に1回のペースで治療していきました。ひどく痒くなることはなくなり、首~肩にかけての肌の赤味は良い状態になりました。
    ◇現在も疲れた時や予防による施術で通院

 

症例②

30代女性
子供の頃からアトピー性皮膚炎持ちだったが、2~3年前に症状が強く出て、皮膚炎やかゆみ症状が出て入院するほどになった。一度症状は落ち着くも当院ご来院2か月ほど前から症状がまた強く出るようになった。病院では入院治療を勧められたが、本人が断ったため入院はしなかった。ステロイドの塗り薬に頼るのは後々の副作用が怖いということで別の治療法を探していたところ友人の紹介で当院にご来院されました。
首肩の炎症が特にひどく、夜眠ることができないことがあって日中の仕事や家事にも影響を与えていました。また、かゆい部分を書き壊して浸出液が出ることも多かったとのこと。

当院の治療

まずしっかりと時間をかけて問診をして皮膚の状態を見てから自律神経測定器で自律神経の状態を計測していきました。特にかゆみで睡眠が阻害されることがつらく、自律神経の状態も交感神経が過亢進の状態でした。
交感神経の活動を下げて副交感神経を上げる自律神経調整治療と並行して、東洋医学的な熱を瀉す施術も行っていきました。お灸も積極的に使用して特に『肩井』『曲池』『血海』『腎兪』『肝兪』の経穴には強い刺激を入れていきました。

 

アトピー性皮膚炎の下肢へのお灸治療

 

治療経過
◇1回目◇
治療後、少し眠ることができた。痒みが多少治まり、首の炎症も少しよくなった

◇2回目◇
よく眠れる日と眠れない日がはっきりしてきた。首肩の症状が治まってきたが全身に少し似たような症状が出てきた

◇3回目◇
顔に炎症が出るようになり、目が腫れぼったく感じる

◇4回目◇
全身のかゆみは治まり、また首肩の炎症が強く出るようになった

◇5回目◇
首肩の炎症が強く出てしょうがなく、ステロイドの塗り薬をぬった

◇6回目◇
薬で首肩の炎症が治まって、今はもう塗っていない。睡眠をよくとれる日は週の半分程度

◇7回目◇
前回治療後、かゆみが3日ほどよくかゆみをほぼ感じなかったが、4日目からは少しずつかゆみを感じる

◇8回目◇
治療後かゆみを感じない期間が伸びてきた。

◇9回目◇
首肩の炎症はほぼなくなったが、お風呂上りや体を動かした後はかゆみを少し感じる

 

 

症例③

30代男性
子供のころから乾燥肌で夏になると汗疹などができやすい体だった。高校を卒業して初めての一人暮らしで生活環境・食生活の変化により、アトピー性皮膚炎を発症した。最初は、そのままにしておいたがあまりにも痒みと湿疹がひどくなったため病院でステロイド剤の塗薬を処方してもらった。塗薬を塗るとすぐに痒みと湿疹は軽減された。
それから就職や転職などのストレスの多くかかる時期にアトピー性皮膚炎を発症していたが、塗薬で対応していた。ある時、仕事が忙しく徹夜続きで食事も夜遅くに外食という生活を続けていたところアトピー性皮膚炎を発症して今回も病院で塗薬をぬったが以前よりも効果が薄れてきた。痒みが治まっても睡眠中にひっかいてしまったりと湿疹はどんどんひどくなっていってしまった。
本でアトピー性皮膚炎には鍼灸がいいとみてご来院された。

当院の治療
自律神経測定器で自律神経の状態を計測。特に副交感神経の活動が高く、交感神経の活動が乱れている状態でしたので自律神経の状態を整えつつ、東洋医学的観点よりアトピーに効果のある経穴を用いて施術していきました。合わせて問診時に生活習慣特に食生活が乱れていることが分かったので食生活を特に見直していただくように生活の指導もさせていただきました。

経過
施術開始から1か月程度は週に2回ほどのペースで施術していきました。最初の方はあまり効果が見られず、痒みや湿疹は変わらない状態でしたが、1か月を過ぎるころには夜搔き壊すことがなくなり肌の状態がだんだんとよくなっていきました。
2か月目からは治療間隔を延ばしていき、週に1回ほどのペースで施術してきました。一番症状が出ていた肘当たりの湿疹が経過してきてステロイドの塗薬が必要ないくらいとなった。
3か月目も週に1回ほどのペースで施術。生活習慣・食生活も改善されて痒みもほぼ感じなくなった。また症状が出ると怖いということでステロイド薬を少量塗っていたがステロイドの使用も中止しました。

 

 

症例④

30代男性
アトピー性皮膚炎の症状は幼少期からあったが、全身にひどく目立ち始めたのは15年前に1人暮らしを始めてから。ここ数年は良い状態と悪い状態を繰り返している。痒みがひどいときはステロイドの塗薬を使っていたが、現在薬は使用していない。アトピー性皮膚炎の合併症として白内障になり、両目の手術後から眼精疲労、頸肩のコリも強くなった。ひどいときは腕に痺れが出る。

当院での治療
アトピー性皮膚炎の症状は、ストレスなどによる自律神経の乱れや免疫力の低下などで発症しやすくなります。鍼灸で身体の免疫力を向上させ、体質改善を目的として身体全体をみた治療を行いました。まずは自律神経測定器で身体の状態を診ていきました。交感神経が非常に高く、常に神経が緊張状態にありました。精神的なストレス数値も高くでたので、まずは仰向けで自律神経の調整をし、その後うつ伏せで頸肩の筋肉の緊張をとっていきました。最後にまた仰向けになってもらい、顔と頭にローラー鍼を用いて柔らかな刺激を加えました。

治療経過

一回目
全身の血流がよくなり少し痒みがでたが効いている感じがした。
体がぽかぽかし、頸肩は治療後すこし軽くなった。

二回目
前回治療後、顔に出ていたアトピーの湿疹が減った。今までは一週間の間に良い状態と悪い状態を繰り返していたが、鍼灸治療をして一週間はずっと良い状態が続いている。体のアトピーはまだ変化を感じない。頸肩の凝り感はまだ取れない。

三~五回目
顔、体ともに痒みが減った。以前にステロイドの塗薬を使用していたため皮膚が硬くなっていたが、硬さが少し減った気がする。
頸肩の症状はまだあるが、以前よりは楽になってきている。痺れはない。

六~八回目
だんだんとアトピーの症状が軽くなってきている。
首肩の凝りも大分良くなったが仕事が忙しくなると辛くなるので、今後もアトピー治療と一緒に続けていきたいとのこと。

 

症例⑤

30代男性

幼少期からアトピー症状があり、季節の変わり目や秋に症状が強くでる。全身にかゆみを感じるため睡眠時間が減り、身体の疲れもとれにくい。ステロイドなど薬はもともと服用していないため、薬を使わず改善していきたいとのことで当院を受診された。

当院での治療

炎症が強い部分のまわりにお灸を行い、顔はローラー鍼を用いて炎症を抑えるよう治療した。自律神経の乱れもアトピー症状の原因になるため自律神経の調整もあわせて行った。また、アトピーは東洋医学では肺機能の低下が原因とされるため、肺に関係するツボに鍼とお灸を行った。自覚がなかったが手足の冷えが強くみられたので、手足末端にも鍼を用いて全身の血流改善をはかった。

治療経過

1回目

身体がぽかぽかする感じがした。

施術後は身体も頭もすっきりとして疲れがとれた感じがした。

3回目

施術した当日はかゆみも少なくよく眠れるようになった。

皮膚の赤みも以前より減っている。

10回目

かゆくて眠れないことはなくなった。

乾燥が強いと症状がでるが、それ以外は特に問題はない。

身体のこりや疲労はまだあるので、今後も通院していきたい。

 

アトピー性皮膚炎の鍼灸治療効果の研究について

 

アトピー性皮膚炎の鍼灸の臨床研究につきまして明治鍼灸大学で45症例に対して臨床的効果を検証したものがあります。

成人型アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の臨床的研究

この研究では、治療回数が10回~110回で皮膚所見の改善が77・8%見られ、搔痒感が改善されたのが51・1%であったと報告されています。毛中の好酸球数を見ても優位な低下がみられて炎症の軽減が見られたことを血液検査からも証明されたとしています。また、IgE値も低下した例が多く見られており、鍼灸治療がアレルギー疾患自体にも効果を発揮することがわかりました。

 

アトピー性皮膚炎に対する東洋医学

アトピー性皮膚炎は東洋医学的にみると「湿熱」の病変だと考えられています。

「湿熱」とは、「湿邪」と「熱邪」とが合わさった病変で、両方の性質をもった症状が現れます。

邪気とは飲食などの環境因子が身体に影響をもたらすもので、「風邪」「寒邪」「湿邪」「熱邪」「燥邪」「暑邪」の6つがあります。「邪」につきましてあまり聞き慣れない言葉かと思われますが、東洋医学では、陰陽バランスの乱れや五臓六腑の病変などの以外は、邪が原因で発病していると考えられています。

現代医学でとらえますとウィルスや病原菌などが東洋医学では外邪と捉えられるのです。アトピー性皮膚炎では、湿邪と熱邪が合わさったものと捉えられますが、湿邪の特徴としまして、体内に水分が溜まってしまい気血や臓腑の働きが悪くなってしまうことです。湿度の高いところにいると体が重たく感じ頭がボーっとすることがあるかと思いますが、これは湿邪によって引き起こされるととられます。湿邪は、他の邪と合わさって症状として出やすいことも特徴で、湿邪と合わさって症状が出てしまうと病気が快復しにくくなってしまいます。

湿熱の邪気は、炎症あるいは免疫異常や水分代謝異常などの疾患を起きやすくさせます。湿邪と熱邪と合わさるほかにも例えば風邪と合わさると「風湿」となり、関節リウマチ等でよくみられます。

熱邪に侵されてしまうと特に上半身に熱が上がり皮膚の炎症やインフルエンザ症状など身体に熱を持たせてしまうことが特徴です。熱邪がさらに進行すると「火邪」となり、熱症状がさらに悪化してしまいます。

湿邪は五臓六腑の機能を低下しがちですが、特に東洋医学でいう「肺」「脾」「腎」の機能低下を起こしやすくさせます。
アトピー性皮膚炎に関すると特に「肺」「脾」の機能低下がよく見られます。肺の状態は、鼻や肌にあらわれやすいとされています。脾の状態は、唇や上肢・下肢にあらわれやすとされています。

 

肺と脾
『肺は気を主り宣散・粛降を主り、脾は運化を主る』
肺と脾は、共同して気の生成に重要な役割をもっていて、津液(水分)を全身に送り届ける役割とそれらを外に出す役割をになっています。肺と脾の機能が低下してそれらの役割をこなせなくなってしまうと皮膚を保護する機能が低下してさらに皮膚は乾燥してアトピー性皮膚炎を起こしやすくなると考えられます。

 

 

 

アトピー性皮膚炎とは

 

アトピー性皮膚炎とは、痒みのある湿疹を主な症状として症状が軽快したり増悪したりを繰り返す疾患です。もともとアレルギー素因をもっていたり、皮膚が乾燥しやすく皮膚を守る機能が低下して皮膚が炎症を起こします。

 

日本アトピー協会ではアトピー性皮膚炎の診断基準を

1.痒み
2.特徴的湿疹の分布
3.慢性・反復性経過

と定めています

アトピー性皮膚炎で見られる特徴的な皮膚の状態として

  • ・水分の少ない乾燥肌
  • ・赤く腫れる
  • ・白いフケのようなものが出る
  • ・強いかゆみを伴うしこり
  • ・掻き壊した後のただれた状態やかさぶたができる
  • ・皮膚が厚くなる

 

などがあります。

 

アトピー性皮膚炎では年代別で様々な経過をたどっていきます。

幼少期では、はじめ顔や頭に湿疹ができて次第に全身に症状が広がっていきます。新しい食べ物を食べることで起きることもあります。自然と治る場合もありますが、2カ月以上湿疹が続き、アトピー性皮膚炎と診断される場合があります。

アトピー性皮膚炎が治まらずに成長していくと、皮膚が乾燥して痒みが強くなり掻き壊してしまい皮膚がただれたり厚くなったりして、単純ヘルペスや目の疾患などの合併症にかかってしまう可能性があります。

顔面部の痒みにより目を擦ったりすることが多くなることで合併症が出ることがあります

 

アトピー性皮膚炎の原因ははっきりと分かっていませんが、遺伝などによるアトピー素因を持っていることと環境が関係していると考えられています。

 

遺伝による体質に、環境などが強く関係して発病すると考えられます。それぞれにはアレルギーに関係するものと、それ以外のものがあります。これらは、発病のきっかけになると同時に、症状を悪化させる原因にもなります。

アトピー素因とは

・家族歴
家族にアトピーの人がいる

・既往歴
以前に気管支喘息・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎などに罹ったことがある

 

これらの素因を持っているとアトピー素因を持っていると言われます。しかし、これらの素因を持っていてもアトピー性皮膚炎を発症しない人もいます。

また乾燥肌もアトピー性皮膚炎にかかってしまう一つの大きな要因です。肌が乾燥していて肌を保護する機能が低下しているので、アレルギー原因となる異物から肌を守ることができなく、汗やタオル、化粧品の刺激などにも敏感に反応してしまいます。一度反応が出るとかゆみを伴うので掻き壊してしまいさらに異物が侵入しやすい環境を作り出してしまい炎症をさらに悪化させてしまうという負のスパイラルに陥る危険性があるのです。

アトピー性皮膚炎と自律神経の関係

アトピー性皮膚炎と自律神経の乱れはとても深い関係にあると言われています。人間には、自分の意志で動かす働きのある体性神経と自分の神経とは無意識に働く自律神経の大きく分けて2つの神経が存在しています。そして自律神経には活動的な神経である交感神経と体を休める神経である副交感神経とがあります。

自律神経系は内臓の働きを主っており、血流の調整や免疫系もつかさどっているのです。外的環境から体を守る仕組みとしてこの自律神経系を介した働きと内分泌系による働きがバランスよく働いていることにより機能しています。アトピー性皮膚炎は、外的素因に対して過剰に体が反応しているということが考えられますので何かしらの原因により自律神経のバランスの乱れが体の免疫に影響を与えてアレルギー反応を起こしていると考えられているのです。
特にアトピー性皮膚炎では副交感神経が優位の状態が多くみられます。副交感神経が優位となり自律神経のバランスが崩れて体の免疫が異常をきたすことでアトピー性皮膚炎となってしまっているのです。
また皮膚の炎症を抑えるためにステロイドを使い続けていた場合は交感神経が優位の状態が多く見受けられます。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

鵞足炎の鍼灸治療

火曜日, 10月 11th, 2022

鵞足炎とは

 

 

 

膝の内側には。もも裏の筋肉(ハムストリング)や内転筋などの筋肉に繋がる腱が集中しており、膝を曲げたり回内する筋肉である縫工筋、薄筋、半腱様筋の腱が扇状に広がりながら脛骨に付着し、その部分が鳥の足のような形をしていることから鵞足(がそく)と呼ばれています。

鵞足炎はこの鵞足周囲の筋腱や鵞足包(鵞足と内側側副靭帯との間にある滑液包)がオーバーユース(使いすぎ)などにより慢性的な緊張にさらされることで膝の内側の骨と腱、または腱同士で摩擦が生じ炎症を起こす疾患です。

 

スポーツでは陸上競技やサッカー、水泳などに多くみられ、これは足を後ろにけり出す動作や、キックで蹴りだした足を減速させる時などに鵞足に過度に負荷かかりやすいためです。

 

鵞足炎の症状

 

膝を伸ばしたときの痛みや、鵞足部の圧痛や腫れ、膝下の内側(鵞足部)に運動後の痛みが生じます。重症になると激痛を伴い安静時にも痛みが出現し、日常生活に支障をきたします。特に階段の昇り降りで支障をきたすことが多いのが特徴です。

 

鵞足炎の原因

・過度なスポーツや運動

・運動前のウォーミングアップ、運動後のクールダウンの不足

・運動フォーム(ランニングフォーム、キックフォーム)の異常

・足に合っていない靴や安定しない足元での運動

・鵞足を構成する筋肉の柔軟性の低下

・外反膝(X脚)、回内足などのアライメント異常

・外傷

などが挙げられます。

 

鵞足炎になってしまったら

走行中や走行後に痛みがあるがスピードには影響しない程度の症状の軽い時には十分なストレッチ(鵞足を構成する筋肉である大腿の内側、後面、前面のストレッチ)と運動後のアイシングが有効です。

痛みの為に走る距離やスピードに支障が出る場合や歩行時でも痛い場合はランニングや練習を中止して安静にし、湿布や軟膏を用い炎症を抑える事が重要になります。ストレッチやアイシングも有効です。

 

 

 

西洋医学的治療

鵞足炎や鵞足滑液包炎は上記の症状の他、同部位を押さえることにより痛みが生じるため診断は比較的容易です。その他超音波検査によって膝の状態を明らかにすることも診断や治療方針の決定に役立ちます。

また、レントゲン撮影により鵞足炎以外の問題がないかの確認や症状が強い場合MRI撮影を行い疲労骨折の有無を確認する場合があります。

①消炎剤、鎮痛剤の内服

②湿布などの外用剤の併用、局所への痛み止め注射

③物理療法、運動療法

④テーピング、足底板の作成(シューズの内側を高くするなど)

 

鵞足炎の東洋医学的考え方

 

東洋医学では関節の痛み、しびれ、だるさなどの病態を「痺証」として捉えます。

「痺(ひ)」という文字は通じない、塞がるといった意味を持ち、生体の弱りに乗じて風、寒、湿、熱などの外邪の侵入などにより気血や水の巡りが障害されることで起こると考えられています。

 

鵞足炎に対する当院の鍼灸治療

 

鵞足を構成する筋である縫工筋、薄筋、半腱様筋に鍼やお灸で刺激を与え、筋肉の緊張を緩和し血液循環を促進することで炎症を抑える作用や、膝の内側との摩擦や筋肉の付着部の緊張を除くことで膝への負担を軽減し、症状の緩和を図ります。

鵞足炎の鍼灸治療

 

また、必要であれば痛みの強い部分に鍼に微弱な電気を流すことで痛みの閾値を上げ鎮痛効果を促します。鍼治療だけでも鎮痛効果がありますが、刺した鍼に電気を流すことで鎮痛効果の増大が期待できます。

東洋医学的観点からもアプローチをしていきます。鵞足炎の原因である筋肉の走行上には、膝の内側を通る経絡である腎経、肝経、脾経の経絡が通ります。その経絡の気血が滞ってしまうと痛みとして感じやすくなっていまいます。気血の流れを整える経穴にも鍼やお灸を施します。

鵞足炎は骨盤と膝の連動性も重要となるため、腰部、臀部、下肢のツボを用いて関節のバランスを整える治療も合わせて行います。

鵞足炎のうつ伏せ鍼灸治療

 

鵞足炎症例

 

40代男性

 

体重増加が気になり始めてダイエット目的で3か月ほど前からランニングを始めた。毎日6キロほど走るようになって体重も減少していき8㎏痩せて結果が出てきた。

 

ある日夏のサンダルで出かけてショッピングをしていたらふとした時に右膝の内側に痛みを感じるようになってしまった。

毎日のランニングにも支障が出てしまうこともあって走っている途中で痛みが出ることもある。サポーターを膝に巻いているといくらか痛みが和らぐ。

病院では変形性膝関節症と診断を受けたが、ランニング後にひざ下が熱感を持つこともあっておかしいと思って別の整形外科で診てもらったところ変形性膝関節症と鵞足炎を診断を受けた。

特に湿布などの保存療法のみを提案されたので鍼灸治療を受けてみたいということで当院にご来院されました。

 

当院の治療

 

触診時でも右膝下あたり鵞足部に熱感を持っている状態。右臀部から大腿内側・外側部の筋緊張もみられました。

 

まずうつ伏せ施術で腰部や臀部・下肢後面部を鍼やお灸施術で筋緊張の緩和を目的に施術をしていきます。

 

次に仰向けの施術に移ります。患部周りに鍼をさして電気を流す周囲鍼通電治療をもちいて鎮痛効果・抗炎症効果を目的に施術をしていきます。

お灸も患部の周囲に少し集めのお灸を施すことで抗炎症効果を促します。

大腿部や下腿にもお灸を施して筋緊張の緩和をはかります。

 

施術経過

 

一回目の施術後から痛みが半減した感覚。ランニングは炎症が起きていることもあって1週間はしないようにしていただきました。

 

施術のペースは3~5日に一回ほどで4回受けていただき、それからは2週間に1回という形で治療間隔を延ばしていきます。

 

施術開始2週間目からはランニングを再開。最初はランニングの距離を短めで2キロからスタートしていただき、3週間目からは4キロと徐々に距離を延ばして鵞足炎の状態を診ていきます。

 

4週間目くらいからはランニング中・ランニング後でもひざ下の痛みをほぼ感じなくなりました。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

小児の中耳炎の鍼灸治療

水曜日, 10月 5th, 2022

子どもの中耳炎とは

 

小児の中耳炎

 

中耳炎は、耳の中の中耳と呼ばれる部分で炎症が起きて膿が溜まる病気です。中耳は鼓膜の内側に位置する場所で、鼓膜でキャッチした音を脳に伝える働きをしています。

中耳炎になると、耳がこもった感じがしたり、耳の痛みを感じたりといった症状がみられることが特徴です。中耳炎にはいくつか種類がありますが、子どもの中耳炎というと多いのは急性中耳炎です。

子どもの耳管(耳と鼻をつなぐ管)大人に比べて太く短いため、鼻やのどの細菌やウイルスが中耳腔に入りやすいという特徴があります。

そのため、中耳炎は割と子供に多い病気とされています。好発年齢は生後6カ月~2歳頃とされ、2歳を過ぎると罹患率は減り、小学校入学の7歳頃までに60~70%の子が一度はかかると言われています。

 

中耳炎の原因

 

中耳炎は、中耳に入り込んだウイルスや細菌が原因であることがほとんどです。見鼻と耳は耳管と呼ばれる管で繋がっており、風邪をひいたり長期間鼻水がたまっていたりすると耳管を通ってウイルスや細菌が中耳に侵入します。

このウイルスや細菌が中耳の中で炎症を起こすことで中耳炎を引き起こします。

子どもはどうして中耳炎になりやすいのか

大人の耳管に比べて子どもの耳管は、太くて短いことと、咽頭までの傾斜が水平になっていて細菌やウイルスが侵入しやすい構造になっているために、子どもは中耳炎にかかりやすいと考えられています。子供は成長するにしたがって大人の時間の長さや形に近づくので中耳炎を起こしにくくなります。

中耳炎の症状

子どもの中耳炎の症状は、発熱や鼻水、耳の痛みなどが主な症状です。風邪をきっかけに中耳炎を発症することが多いため、風邪に似通った症状でなかなか見分けがつきません。

 

 

中耳炎のサイン

 

・なかなか熱が下がらない、熱が夜によくでる

・しきりに耳を触ったり、手を当てたりしている

・耳を触ると嫌がる

・声をかけても反応がない、テレビの音を大きくしたり、テレビに近づいてみる

・ぐずったり不機嫌がずっと続く

・泣き出したら止まらない

 

西洋医学的治療

 

急性中耳炎の治療は、基本的に抗生剤の内服治療を行います。また、鼻水が溜まった状態が続くと治りが悪くなるため、こまめに鼻水吸引をして鼻の通りを良くしておくことも大切です。

急性中耳炎が長引いたり、治りきらないうちに治療をやめてしまうと滲出性中耳炎や慢性中耳炎に移行してしまうことがあり注意が必要です。

滲出性中耳炎は中耳に液体がたまり、鼓膜の振動が悪くなって聞こえが悪くなってしまう病気です。風邪、副鼻腔炎、急性中耳炎などの後に、中耳の内圧が下がってしまい浸出液がたまってしまいます。アレルギー性鼻炎を併発していることもあります。アデノイドが増大する乳幼児期に多いことも特徴です。

 

中耳炎の東洋医学的考え方

東洋医学では、耳と五臓六腑の「腎」は深い関わりがあるといわれています。東洋医学の腎は西洋医学でのそれとは違いますが、内分泌系・泌尿生殖器系・免疫監視機能など少し似ている部分もあります。

その中で腎は耳に開竅すると言われ、先天的に身体に備わられている腎精というものが十分に満たされていない状態ですと、生殖能力や脳の活動にも影響を与えて聴力も低下すると言われています。

そして腎の陰液不足の状態になると陽気の相対的亢進に伴って熱証となってしまい、炎症症状が出やすい状態となってしまうのです。

これを腎陰虚の病態といいますが、東洋医学では腎と肝は『肝腎同源』と言われ、相互に依存した状態で、腎陰虚の状態が出ると合わせて肝陰虚という状態になりやすくなります。

肝陰虚は肝の陰液が不足した状態ですがその状態となってしまうと陽気は体の上へと昇りやすく耳や目の症状として現れやすくなってしまい、中耳炎の原因となります。

当院の鍼灸施術では、東洋医学的観点により五臓六腑の『肝』や『腎』の働きを正常に戻すようなツボを用いて鍼灸施術を施したり、自律神経のバランスを整えることで体の免疫力の向上や自然治癒力を上げる施術を行っていきます。

 

当院の小児の中耳炎に対する鍼灸治療

小児鍼は、一般的な鍼とは違い、鍼を体に刺さず、専用の鍼具で皮膚をさする、あるいは皮膚にトントンと当てるだけの手法です。不安なお子さんにはお母さんに抱いて頂いたままで施術を行うこともできますし、親御さんの治療室への同席も可能です。

腕や足、腹部や背部などに存在する自律神経のバランスを調整するツボへ鍼やお灸で刺激し、免疫機能や内臓機能を整え体をリラックスさせることにより自然治癒力を高めます。

東洋医学的観点から腎、肝などの五臓六腑の機能を整えるツボを取り入れていきます。

さらに、耳の周囲のツボに刺激を与え、中耳炎を起こしている中耳、さらに耳全体の血流を改善し、消炎効果を高め、免疫機能を増強し症状の緩和を図ります。

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