東洋医学では動悸を「心悸」(しんき)と呼び、外部からの刺激を受けたり、驚愕、激怒、恐れや情緒変動、疲労を覚えた際に発症しやすいとされています。心悸は主に心の臓の失調により起こります。心は血液の循環をコントロールする働きと脳の意識活動の機能を持ち合わせています。
つまり、動悸はこの血液の循環をコントロールする働きに問題があると発症すると考えられています。心の働きを維持するためには、気と血が大きく関係しており瘀血(おけつ)(血行不良)や過度なストレスや疲労などで気血の流れが悪かったり、気血が失調することで血液の循環をコントロールする働きが弱くなってしまうと考えられています。
また、腎は心臓の働きを制御していると考えられており、過労や加齢により腎の働きが低下することで心臓の働きが制御できず、動悸が発生するとも考えられています。
当院では、まず最初に自律神経測定器で血管の状態や自律神経のバランスを診させて頂き、治療を行っていきます。心拍や血圧を調整している自律神経のバランスを、鍼やお灸を用いて整えていきます。
自律神経が整うことで免疫力やホルモンバランス、精神の安定、内臓の働きのバランスを整え、人の本来持つ自然治癒力を高める効果が期待できます。また、鍼や灸の持つ血管拡張作用や、筋肉の緊張を緩和することで全身の血流改善と、東洋医学の観点から心や腎のツボも取り入れ治療を行っていきます。
40代女性
二ヶ月ほど前から、日常的に脈が乱れたり早く大きく感じるような動悸を感じるようになり病院で検査をしたものの、特に循環器に異常はないとの診断を受けた。動悸以外にも以前から頭痛、胃腸の不調、緊張感、首肩こりなどの不定愁訴が頻繁に起こる。
半年ほど前から親の介護や仕事で多忙を極め肉体的にも精神的にも疲労を感じている。
当院での治療
自律神経側的の結果、交感神経が過亢進状態で副交感神経の働きが低下しており、精神的ストレス、疲労度が非常に高い状態でした。心拍の調整や血液循環、内臓機能などを司る自律神経のバランスを整える施術を軸に、年齢的にホルモンバランスの乱れの関与も考えられるため、ホルモンバランスの調整、東洋医学的観点から心経、腎経のツボも取り入れ、首肩や背部の筋の緊張を緩める治療も行いました。副交感神経の活性化を促すため鍼、灸共に刺激量は調整し全体的にリラックス出来るような施術を行いました。
一回目
まだ大きな変化はないが、前回施術後少し身体の緊張が緩和したような感覚があり、頭痛は最近起こっていない。
二回目
施術後二日間ほどは動悸感じなかったが、徐々に状態戻ってしまった。しかし不定愁訴は来院前よりも良いと感じる。
三回目
動悸の頻度は減ってきたが、夕方から夜にかけて疲労が溜まると動悸感じることがまだ頻繁にある。
四回目
最近は仕事が忙しかったためか、前回来院時よりは動悸感じることがあった。首肩こりが強かった日に久しぶりに頭痛が出た。
五回目
前回施術後から動悸の頻度少し減少している。
不定愁訴も最近はあまり感じていない。
六回目
身体の疲れが以前よりも楽になった。動悸も以前より頻度半減した。
動悸の持続時間も短くなっているように感じる。
七回目
最近は動悸ほとんど感じなくなってきている。不定愁訴は疲れた時は感じることもあるが以前ほどではない。
八回目
この一週間は動悸感じたのは一度だけだった。身体の調子も悪くない。
九回目
二週間動悸出現していない。疲れると肩がこったりたまに頭痛もたまにあるが、以前よりは体調が安定しているため一度様子を見る。また症状が出ることがあったら来院したいとのこと。
症例2
40代 男性
1か月前から動悸が気になり始め、病院で心臓、甲状腺ホルモン、感染症などの検査したが特に問題はなかった。
動いている時は気にならないが、じっとしていると動悸を感じる。特に就寝前が1番気になる。初診来院時の1分間の平均心拍数は90回。
自律神経失調症も患っており、耳鳴り、めまい、不眠の症状がある。
仕事が忙しく、休日も返上して仕事していた。肉体的、精神的ストレスが強く心身の不調で日常生活に支障が出てきたため現在休職している。
当院の施術
心臓や甲状腺ホルモンの異常や感染症がみられない場合は交感神経の上昇によって動悸は起こります。
この患者様は以前から自律神経失調症を患っており、日頃の生活もストレスを強く受けており、交感神経の強い高まりが原因と考えられます。
そのため第一に自律神経調節治療を中心に行いました。
また、背中や肩首の筋緊張の緩和、東洋医学に基づいた心や腎の経絡治療も同時に行いました。
施術経過
◇1回目◇
施術後の夜はゆっくり寝れた。
動悸はまだ変わらず。
◇2回目◇
全身がリラックスできている。
◇3回目◇
疲れが取れてきた。
動悸も気にならない日が増えてきた。
◇4回目◇
忙しい日はまだ動悸を感じるが、それ以外は気にならない。
◇5回目◇
アドバイス通り生活習慣を見直したら一気に良くなった。
◇6回目◇
良く寝れないときは少し動悸を感じるが、だいぶ良い。
◇7回目◇
ほとんど気にならない。
動悸とは突然ドキドキと心臓の動きが速くなる、ドクンと大きな拍動(はくどう/収縮運動)が起きるなど、自分の心臓の動きを感じることを指します。動悸は狭心症や心筋梗塞、大動脈瘤など心臓病の初期症状にあたる可能性があるとされています。
しかし、動悸は必ずしも疾患があって起こるものとは限りません。ストレスや不安から起きる精神的なもの、睡眠不足や過労から生じるもの、女性の場合には貧血や更年期に起こるホルモンバランスの乱れから生じるものもあります。人には個人差があり、日常生活や生活環境が違うため感受性が異なります。
・心臓の拍動が速くなる
・心臓の拍動を強く感じる
・突然、脈拍が激しく乱れる
動悸は大きく分けて「一時的な動悸」と「断続的に続く動悸」の二つがあります。一時的な動悸は「緊張や、不安を感じて生理現象で起こる動悸」と「飲酒など本人がとった行動が原因となって誘発される動悸」があります。「断続的に続く動悸」は心臓の疾患や精神疾患、内分泌系などの病気の可能性が高くなります。
緊張したり飲酒をしたりして動悸の症状が出るのは、外部から受けた刺激で身体が興奮して交感神経が優位になるからといわれています。人間には緊張状態の時に働く交感神経と、リラックスしている時にはたらく副交感神経という二つの神経によって支配される「自律神経」があり、バランスが崩れると身体に不調をきたします。
交感神経が優位になると、強い外部刺激から身体を守るために、防御反応が出ます。心臓も自律神経の働きがつかさどっているためその反応の1つが一時的な動悸「洞頻脈」の症状として身体にあらわれるのです。
洞頻脈は心拍数が一分間に100回以上の頻脈で心臓の異常ではなく、他の原因によって引き起こされる頻脈の事をいいます。洞頻脈が生じやすい行為や状態は、不安、緊張、興奮、羞恥、発熱、飲酒、カフェインの摂取、喫煙、睡眠不足、運動不足などです。
また、女性は閉経前後の5年間、一般的に40代半ばから50代半ばほどの期間を更年期といいますが、更年期障害の症状の一つとして動悸が現れる事があり、これは女性ホルモンの減少に伴う自律神経の乱れが原因とされています。
・更年期障害の鍼灸治療について
また、過度なストレスやプレッシャーを受ける事でストレスホルモン「コルチゾール」が増加すると、同時に身体の運動機能が高まり、血圧が上がったり心拍数が増えたりした状態が続くと動悸が起こりやすくなります。ストレスにより動悸や震えの症状が顕著に現れる障害としてはパニック障害が有名ですが、パニック障害にはうつ病が併発している事が多いといわれています。
パニック障害の発作を繰り返す事によって、不安要素が大きくなってうつが発症するケースもあります。うつ病の初期症状として動悸が現れると激しい運動をしたわけでなくても突如発作が頻発し、さらに不安になってストレスが溜まってしまいます。
これは悪循環となり、どんどん気落ちしていく原因になります。
動悸の原因となる病気の種類は心臓の疾患や甲状腺の異常などがあります。
心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)
心臓にある弁が故障してその開閉がスムーズにいかなくなり、血液の循環が悪くなってしまう病気です。初期では無症状ですが、次第に階段を上るなどすると動悸や息切れが起こり、進行すると少し体を動かすだけでも呼吸困難やチアノーゼ(唇や皮膚などが紫色になる)が出てきます。
頻脈性不整脈(ひんみゃくせいふせいみゃく)
「不整脈」とは、脈拍の回数が多かったり少なかったりし、乱れている病気です。自律神経の乱れや虚血性心疾患などの心臓の病気によって心臓を構成する筋肉「心筋」の電気系統に異常が生じる事が原因です。頻脈性不整脈は不整脈の病気の種類で、拍動が速くなる病気です。1分間の脈拍が120回以上、多い時には300回を超えることもあります。
拍動が速くなると心臓が血液を十分に送り出せなくなり、動悸や息切れ、めまいなどの症状も現れます。
徐脈性不整脈(じょみゃくせいふせいみゃく)
頻脈性不整脈が拍動が速くなることに対し、徐脈性不整脈は拍動が乱れ、1分間に60回未満と遅くなる不整脈です。1分間に30~40回しか心臓が動かないという症状が出る事もあり、自分の鼓動をゆっくりと感じます。拍動が遅いと心臓から全身に送られる血液量が減り、脳や臓器に酸素が行き渡らなくなるため、めまいや息切れが起こり酷い時には失神してしまうこともあります。
徐脈性頻脈(じょみゃくせいひんみゃく)
徐脈性頻脈は拍動が速くなる頻脈の直後に、拍動が遅くなる徐脈が起こり続いてめまいが起き、失神する場合もある病気です。症状が長引くことで呼吸困難を引き起こすケースもあります。心臓の右心房の「洞結節」や心房の壁が加齢などによって固く厚くなる(線維化)ことで、誤作動することが原因と言われています。
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
甲状腺は、首の前側、のどぼとけのすぐ下にある臓器です。食べ物に含まれるヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンを作り、血液中に分泌します。甲状腺ホルモンは身体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする働きをしています。甲状腺ホルモンの分泌が多すぎると、疲れやすさやだるさが出たり、動悸やほてりが出たりする甲状腺機能亢進症という病気になります。詳細な原因は明らかになっていませんが、遺伝的な要素があるといわれています。
パニック障害
不安は多かれ少なかれ誰にでもありますが、特別な理由もなく突然強い不安に襲われる状態をパニック障害といいます。動悸や頻脈、胸が苦しい、震え、冷や汗、めまい、吐き気などを伴ない今にも死ぬのではないかという恐怖にとりつかれます。最初の発作のほとんどは長くは続きませんが、一度発作を経験すると、また起こるのではないかという更に不安が高まり、今度はすぐには病院に行けないような場所などで発作が起こるようになり次第に外出や乗り物に乗ることが出来ないような状態に陥ります。
心療内科や精神科での治療が必要になります。
パニック障害の鍼灸治療について
貧血
貧血とは、酸素を運ぶ赤血球か、赤血球の中で酸素と結合するヘモグロビンが少ないため体内が酸素不足になった状態のことをいいます。体を動かすと、動悸や息切れを起こすことがありますが、これは、貧血によって酸素不足になっている体を動かそうとするときに血液の酸素を運ぶ量が少ないので、それをカバーするために、心臓が血液をもっと多く送ろうとして、動悸・息切れが起きてしまうといわれています。
貧血症状の鍼灸治療について
他にも、心不全や狭心症など、重大な心臓の病気が原因で動悸が引き起こされている場合があります。心配な場合は、早めに病院を受診しましょう。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
東洋医学では過活動膀胱は主に五臓六腑の『膀胱』と『腎』の障害で起きると考えられています。
膀胱湿熱
外からの湿熱の邪気や飲食の不摂生、辛い食べ物を多く食べたりすることにより体内で湿熱を生み、それらが膀胱に至り、尿を貯留して適宜排泄するという膀胱の機能が障害されます。そうすると頻尿や排尿痛、残尿感、ときには血尿があらわれます。
腎気不固
腎気不固は腎精が不足し、腎気の汗や尿が排出過多ならないようにする機能が減退した病態で主に泌尿生殖器系の異常があらわれます。腎精とは人体の成長・発育・成熟・老化などを司り、青壮年期には最も充実して維持されるが、中年以降からは次第に衰えていきます。よって中年以降は年を重ねるごとに腎気不固の病態になりやすく、特に過活動膀胱になりやすいといえます
50代 女性
ここ1年くらいトイレに行く回数が頻繁となり、ひどいと1時間ごとにトイレに行くこともあった。電車内や車移動での渋滞、映画鑑賞中などなかなかトイレに行けない状況だとさらに尿意を感じるようになり、とてもストレスに感じていた。排尿を我慢することが出来ずにトイレに付く前に尿漏れすることも出てきて、病院を受診したところ過活動膀胱と診断された。
薬物療法や行動療法を試してみて、少し改善されたがまだまだあまりよくないということで当院にご来院された。
当院の治療
トイレが近いという日常的なストレスや夜間も起きてトイレに行くことも多く睡眠の質も低下しがちでしたので自律神経の状態を測定していきました。当院の過活動膀胱に対する治療目的は主に3つあります。
・自律神経を整える
自律神経が乱れると過活動膀胱になりやすいので自律神経測定器で自律神経の状態を把握した上で自律神経調整療法を行っていきます。
・全身、主に腹部を温める
お灸を用いて全身を温めて特に腹部を温めることで膀胱を伸び縮みしやすくします。当院で使用するお灸療法は決して熱すぎず、痕の残らないお灸を使用しますので安心してください。
・東洋医学的観点からの治療
東洋医学的に診ると過活動膀胱は『膀胱』と『腎』の機能低下が影響を与えているのでそれらを整えていきます。
治療経過
◇1回目◇
一回目の治療後の夜は夜間起きて尿をすることはなかった。日中の尿の回数は変化なかった。
◇2~5回目◇
夜間尿することはないが、日中の尿の回数に変化なし。
◇6回目◇
尿を我慢できることが増えてきて自分で排尿をコントロールできそうな気がしてきたとおっしゃっていた。
◇7~10回目◇
日中の尿の回数がだいぶ減ってきて日常的なストレスが減ってきた。
◇11~12回目◇
夜間尿もなく、日中の排尿回数も8回前後と正常範囲内になってきた。
排尿障害(過活動膀胱)
症例②
30代 男性
◇症状◇
5,6年ほど前から頻繁にトイレに行くことが増え、特に会社での会議や映画館、電車での移動前など密閉した空間や仕事中などトイレに行きづらい状況で強烈に尿意が襲ってくる。逆にトイレでは他に人がいると尿が出なくなってしまう。トイレに行く回数は1日に10回以上と多く、1回1回の尿量は少ない。
また昔から睡眠障害があり、なかなか入眠することが出来ず、眠りが浅い日々が続いている。
◇当院の治療◇
過去に一時的に強いストレスを受け続けた時期もあり、過活動膀胱は自律神経の乱れと大きく関わりがあるため、まず自律神経測定を行った。
結果、交感神経が過剰に働いていることが判明し、心身ともに常に緊張状態が続いていると考え副交感神経の働きを高める治療を行った。また下肢の冷えがあり、下肢の冷えは下腹部の冷えに繋がり、膀胱や排尿に関わる骨盤底筋の働きを悪くするため、下肢や下腹部をお灸で深部から温める治療を行った。
・1回目
症状は特に変化がなかつたが、身体の疲れは軽減した。
・2回目
睡眠の質も少しづつ良くなってきて、残尿感も少し良くなった。足の冷えはまだある。
・3回目
今までは緊張して個室ではないと排尿できなかったが、小便器のほうで用を足す事ができた。回数も減少し、心が落ち着いてきた。
・4回目
前回から変化なし。デスクワークが多いせいか首肩の緊張が強い。首肩や頭の筋肉を緩めると緊張した精神状態も解れやすいので、今回は肩首や肩甲骨周りや前頭筋、側頭筋、後頭筋といった頭の筋肉に対するアプローチを増やした。
・5回目
尿の回数が減ってきた。
症例3
50代 女性
1年前から頻尿の症状が気になり始めた。とくに仕事での会議中や電車の中などトイレに行けない状況で尿意が強く感じてしまう。
1日でトイレに行く回数は約15回。特に水分を多く摂っているわけでもなく、持病もない。
仕事中にトイレに行く回数が多いため、周りの目が気になり、それが強いストレスになっている。
当院の施術
まず、機械で血管年齢、自律神経、ストレス度を測定したところ、血管年齢は実年齢より13歳高く弾力性も低下していました。また、交感神経が過剰に働いており副交感神経の働きが低下していました。
お話を聞いたところ、仕事が忙しく帰宅時がいつも遅くなる、そのため食事も手軽なものになり偏りがちになってしまうという事でした。睡眠時間も短くなり、疲れがなかなか取れない日が続いている状態です。
お身体を触診したところ、足の冷えが非常に強く、腰や背中の筋緊張もみられました。
鍼に対して不安感があり、少し緊張している様子なので最初は弱い刺激で施術を行いました。
経過
◇1回目◇
特に変化はない。
終わった後は身体がポカポカして気持ちよかった。
◇2回目◇
まだ変わらない。
◇3回目◇
トイレの回数は変わらないが、よく寝れるようになった。
◇4回目◇
1日の中でトイレに行く回数が減ってきたような気がする。
◇5回目◇
会議中にトイレに行くことが減ってきた。
◇6回目◇
1日の排尿回数が9回まで減少。
◇7回目◇
前回からは大きく変わりがないが、切迫感も軽いような気がする。
◇8回目◇
1日の排尿回数が7回まで減少。
◇9回目◇
気にならないで生活できている。
過活動膀胱は最近多くの方が悩まされている病気です。過活動膀胱になると何度も尿意をもよおして日常生活でとてもストレスを感じたり、夜にトイレで起きてしまうことから睡眠不足となってしまったりと自律神経を乱す原因となってしまいます。
調査によると40歳以上の8人に1人が過活動膀胱にかかっていると言われており、日本全体で約810万人以上の方が過活動膀胱にかかっている可能性があります。70代以上では3割以上の方が悩まされているとも言われています。
下記のような症状で悩まされている場合、過活動膀胱にかかっている可能性があります。
・急に尿意をもよおして我慢できない
・夜寝ついてから朝までの間に2回以上起きてトイレに行く
・一日に8回以上排尿をする
・尿意を我慢できずもらしてしまうことがある
このような方は、一度病院を受診して診てもらうことをお勧めします。過活動膀胱と診断されるかもしれませんし、頻尿の原因が膀胱がん・糖尿病・慢性腎不全・性感染症などの場合もありますので注意が必要です。
過活動膀胱の症状の特徴は3つ挙げられます。
・尿意切迫感
近い時間に排尿をしたのにもかかわらず、急に尿意をもよしてしまいます。電車の中や大事な会議中などトイレに行けない状況で症状が出てしまうこともあります。
・頻尿と夜間頻尿
一日に排尿をする回数は日中で5~7回程度で夜寝ている間は一度も排尿をしないというのが正常範囲と言われています。しかし、過活動膀胱にかかってしまうと日中の排尿回数が8回以上で夜寝ている間も1回はトイレで起きてしまいます。
・切迫性尿失禁
急に尿意をもよおしてトイレに間に合わずに尿がもれてしまいます。中高年以上で年を重ねていくとどうしても筋力も低下してしまうため排尿を我慢する筋肉も衰えてくるため高齢になると切迫性尿失禁が出やすくなってしまいます。
神経因性
尿が溜まると膀胱が伸びてその情報が脳に伝達されて、脳が排尿するか尿を膀胱内に留めておくか指令を出します。その膀胱からの情報や脳の指令がうまく伝達されないために過活動膀胱となります。パーキンソン病・脳腫瘍・脳梗塞・脳出血などの疾患でこのような状態になることがあります。
自律神経の乱れ
膀胱内に尿をためて排尿する行為は自律神経がつかさどっている部分もあります。主に膀胱内に尿が溜まっている時は交感神経が優位に働き、逆に排尿するときは副交感神経が優位に働きます。過度なストレスなどで自律神経が乱れると過活動膀胱の原因となる場合があります。
筋力低下
高齢となり年を重ねていくたびにどうしても筋力は低下しがちです。それは骨盤内の筋肉や靭帯にも影響を及ぼしてしまい、尿道や膀胱の筋力も低下して過活動膀胱になります。
体の冷え
筋肉は冷えると固まりやすく、伸び縮みできにくくなります。膀胱も筋肉で出来ているので、冷えると伸び縮みができにくくなり、過活動膀胱となります。
ホルモンバランスの変化
女性は、出産や更年期でホルモンバランスの変化が起きると過活動膀胱の原因となります。
前立腺肥大
前立腺肥大となると排尿がしにくくなります。すると膀胱内に尿が溜まりやすくなります。無理に排尿しようとすることで膀胱内の機能に影響を与えて過活動膀胱の原因となります。
主に膀胱を収縮させるアセチルコリンという物質の活動を弱める薬などが処方されます。
その他にも過活動膀胱の原因に伴い、薬が処方されます。
その他にも骨盤内の筋肉を鍛える体操などの行動療法が指導されることがあります。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
パソコンやスマートフォンなどの普及によって目を酷使する時代になりましたが、それによって目に何かしらの不調を抱えている人が増加しています。目を使いすぎると目が痛くなることがありますが、目の奥が痛くなる事も目の奥の痛みは目だけが原因ではない場合もあります。
・眼精疲労やVDT症候群
パソコン、テレビ、読書、ゲーム、運転などで目を酷使することや、屈折異常(近視や遠視、近視)や老眼に対してメガネやコンタクトレンズが合っていなかったり、過労や睡眠不足、ストレスによるものなど眼精疲労の原因は様々です。目の周囲の筋肉が緊張することで目の奥の痛み、目のかすみ、眩しさ、充血、まぶたの痙攣などの症状を引き起こします。休息や睡眠をとってもこういった症状が改善しない慢性的なものを眼精疲労と呼び、中でもVDT症候群というスマートフォンやパソコンの長時間使用で起こるものが最近増え続けています。
眼精疲労やVDT症候群では目だけではなく体全体や心にも悪影響が及ぶことがあります。目のコントロールを行っている自律神経が目の疲れによりバランスを崩し倦怠感や疲労感、肩こり、頭痛、イライラ、吐き気などの不定愁訴と呼ばれる不調が現れる事があります。
・ドライアイ
眼精疲労と共に目の奥が痛くなる原因として多くを占める病気がドライアイです。パソコンテレビスマホ、ゲーム、読書、運転などで現代社会は昔に比べてまばたきをする回数が異常なほどに減っており、その影響で目の表面を覆っている涙が乾いてしまいます。
涙には角膜の汚れを洗い流し栄養を補給してくれる役割があるため、涙が減少すると、目が傷つきやすくなったり、栄養分が足りず病気になりやすくなります。涙の成分のバランスも崩れてしまうため涙の質が低下してしまいます。涙は単なる水分ではなく、まぶたの淵に沿って並ぶマイボーム腺から分泌される油分、水分、涙が眼球に留まるためのムチンの三層からできています。涙の変質により油分が均一に広がらずにさらに乾きやすい状態になり、目の渇きや、異物感、痛み、充血、疲労感、視力低下などが起こります。眼精疲労と併発しやすく目の周囲の筋肉が緊張
・片頭痛
10代、20代の若い時期から起こり、男性より女性に多く見られます。命にかかわるような病気ではありませんが、日常生活への影響は大きいとされています。
片側性でズキズキと脈打つような拍動性の頭痛が典型的ですが、両側性や非拍動性の場合も多くあります。頭痛の他に目の奥の痛みや吐き気を伴う事があります。
・群発頭痛
片目だけの痛み、目を抉られるような痛み、痛みが1~2時間出現している。1~2ヶ月の間毎日痛みがあるなどの症状の場合群発頭痛を疑います。
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、目の後ろには内頚動脈が走っています。その内頚動脈が拡張することにより眼の奥の痛みが出現するのではないかと言われています。
血管が拡張した時に右目であったり、左目であったりどちらかが強く痛みます。痛みが集中して続く時期を群発期といい、目を抉られるような痛みの為かなりの苦痛を伴います。夜間や明け方の特に痛みが出やすいとされています。
・自律神経失調症
目の奥が痛い原因は、自律神経の乱れが起こしている可能性があります。自律神経は交感神経と副交感神経の二つの事を指します。交感神経は主にストレスに対処する神経で活発な時はアドレナリンが分泌されています。このアドレナリンの作用により血管が収縮し筋肉も緊張状態になります。副交感神経はリラックスしている時に活発になります。副交感神経が優位だと血管が拡張して内臓に血液を巡らします。体にはこの二つのバランスが重要なのですが、このバランスが乱れを起こすと
常に緊張状態で血管が狭いままだと血流が滞ります。また、血管が収縮したままだと、血管や筋肉は硬くなりがちになり、急に交感神経が働き拡張すると血管が炎症を起こします。炎症時に痛みを引き起こす成分プロスタグランジンが発生し、結果目の奥の痛みが生じると考えられています。
・ストレス、生活リズムの乱れ
仕事などで緊張していたり、残業が多かったりなどストレスの多い生活を続けている場合にも痛みが起こりやすくなる原因と言えます。
ストレスをため込むと身体は常に緊張状態に置かれています。体が興奮している状態だと筋肉も固まり血行が悪くなり、疲労物質が体内に溜まりやすくなります。慢性的にそのような状態が続くことで目の奥の筋肉も過緊張を起こし痛みを起こす原因になります。
・三叉神経痛
三叉神経とは顔面の痛みを伝える神経でこの神経が何らかの原因により圧迫をされると顔面の片方だけ激痛を感じます。その三叉神経の一つに眼窩下神経というのがありその神経が圧迫されると片目の奥が痛みます。三叉神経痛は自律神経の乱れや疲労が溜まった時などになる事が多いといわれています。
・緑内障
緑内障は放置すると失明する恐れのある疾患です。必ずしも目が痛くなるとは限りませんが、急性の緑内障では急激な目の痛みに襲われる事があります。症状としては、急激な視力の低下と共に激しい頭痛や吐き気にも襲われることがあります。症状が現れたら迅速に診察を受ける必要があります。
・慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎は、蓄膿症とも呼ばれます。鼻汁が溜まり様々な症状が引き起こされます。その中に頭重寒、頭痛、目の奥の痛み、頬の痛みなどが挙げられます。鼻づまりによる呼吸苦だけでなく仕事や物事に集中できないなど、様々な弊害が起こります。
目の奥が痛いのは危険な病気の可能性もあります
脳腫瘍
まず、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が見られます。脳腫瘍の位置によって目の奥が痛む場合があります。また、言葉をうまく話せない、意識障害、手足の麻痺症状が出たりなどの重篤な障害が出始めるのが特徴です。おかしいと感じたら速やかに脳神経外科などの診察を受けるようにしましょう。
くも膜下出血
一番の症状としてバットで殴られたような激しい頭痛に襲われます。しかし、痛みが全くない場合もあります。そのような場合くも膜下出血では目の症状から早期発見できる場合があります。片目だけ開かない、物が二重に見える、目の奥に痛みがあるなどの症状です。
また、言葉のろれつがまわらなくなったり、吐き気、嘔吐、進行すれば意識障害、呼吸障害などの症状が現れます。命に係わる重篤な疾患ですのでおかしいと感じたら速やかに脳神経外科などの診察を受けるようにしましょう。
当院の眼の奥の痛みに対する鍼灸治療は、まず第一に目の周りに鍼やお灸の施術を施すことにより痛みを軽減させます。鍼の施術効果として鎮痛効果というものがあります。鍼を刺すことで鎮痛物質であるオピオイドを作用させて痛みを抑える効果があると言われています。また、刺した鍼に電気を流す鍼通電療法を行うことでエンドルフィンやエンケファリンの物質を放出されてさらに鎮痛効果を持続させやすくなります。
そのほか、目の周りをお灸で温めることで循環を改善してとどまっている発痛物質を流すことで痛みを取り除く効果が期待できます。
また、目の痛みを訴えてご来院される方の多くは、自律神経の乱れがあります。交感神経の高まりは血管や筋肉などを収縮させます。痛みによって交感神経の活動が活発となり、さらに痛みが続いてしまう要因となってしまいます。当院では、必要な場合初診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定してからその方に合わせた自律神経調整施術を行っていきます。
目の周りによる局所的な施術と自律神経を整える遠隔的な施術を合わせることでより効果が期待できるのです。
症例
45歳 男性
2か月前から眼精疲労がひどくなり、少しずつ目の奥の痛みが気になるようになってきた。
痛みが強く頭痛もひどくなってきたので、眼科で診てもらったところ異常はなく、眼精疲労が原因と診断された。点眼薬を処方されたが楽になるのは一次的で、まだすぐに戻ってしまうため他の治療を考え当院に来院した。
目の痛みや頭痛は朝は感じないが、お昼頃から夕方、夜にかけて増悪する事が多い。
それ以外にもドライアイ、入眠障害、肩こり等の慢性的な症状がある。
仕事ではパソコンを使用することがほとんどで、休日も暇さえあれば仕事をしているため目を酷使している。
当院の施術
まず、常に目を酷使している、休日も仕事をしている、入眠障害といった事で自律神経の乱れがあると考え、自律神経測定器で現在のお身体の状態を確認しました。
測定の結果、交感神経が副交感神経に比べ非常に高くなっていることが判明しました。
交感神経が働きすぎると、目の血流が低下し眼精疲労が酷くなり、目の奥の痛みが増悪します。
そのため、まずは自律神経調節を促す施術を行いました。
次に首肩の筋緊張の緩和、鎮痛や血流改善を目的として、眼の周囲に刺鍼しそこに電極をつないで低周波鍼療法を行いました。
治療間隔は週に1~2回。
施術経過
◇1回目◇
痛みはまだ出るが、体や眼はかなりスッキリした。
◇2回目◇
いつも気持ちよくて寝てしまう。
◇3回目◇
眼精疲労が感じにくくなり、眼の奥の痛みも以前より軽快している。
◇4回目◇
目覚めが良くなってきている。眼の痛みも軽減。
◇5回目◇
ほとんど気にならない。
現在もメンテナンスのため定期的に来院中。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
風邪などで抵抗力が低下している時に、細菌や、マイコプラズマなどの病原微生物やウイルスの感染で気管支に炎症を起こすのが気管支炎です。
たいていは咽頭炎・喉頭炎などの上気道炎に引き続いて起こります。さらに炎症が進行すると肺炎を引き起こし、高熱と激しい咳のほか呼吸困難なども見られます。
乳幼児期から小児期は保育園や学校など感染症が広がりやすい環境にあるため、気管支炎になりやすい年齢を区別することは難しいとされています。男女の間にも目立った差はないとされています。また、冬に多いですが、一年中起こります。
気管支炎は初めに「からせき」が起こり、しだいに湿った「たんを伴った咳」に変わってきます。
夜間にのどを「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といわせる喘鳴(ぜいめい)が起こることもあります。38度以上の発熱、咳、たん、喉の痛み、鼻水、下痢、全身倦怠感、時には呼吸困難を起こしたりします。
夜間、咳のため十分寝られなかったり、咳込みで吐いてしまったりすることもあります。小児がかかると咳によって大人以上に体力を消耗してしまうだけでなく咳がなかなか治まらず2~3週間、あるいはそれ以上続くこともあるのが特徴です。
咳が出やすい時間帯とは
昼間はあまり咳が出ないのに、夜になると咳が出るとよくいわれます。咳反射は夜布団の中に入ると暖かくなって出やすくなり、布団についたほこりなどの影響でも咳は出やすくなります。
検査
呼吸の状態や咳やたんの様子などから総合的に判断されるのが一般的です。肺炎になっていないかを確認するために胸部レントゲンの検査を行うこともあります。
血液検査、細菌検査、たんの検査などを併せて行い、肺炎の原因となる細菌を見つけ出します。また、子供の気管支炎には少ないですが、慢性気管支炎の可能性がある場合には胸部X線およびCT検査などを行うことで肺炎の程度などを調べます。
症状によっては呼吸機能検査、気管支鏡検査などにより詳しい検査を行うこともあります。
治療
ウイルスによるものか細菌によるものかなど症状と原因に合わせて行われます。原因がインフルエンザウイルスの場合には抗インフルエンザ薬が処方されます。
後から細菌感染が合併しないよう、併せて抗生物質が投与されることもあります。一方、細菌が原因である場合には抗生物質による治療が有効とされていますが、症状によって抗生物質をあえて投与せず自然治癒を待つこともあります。
痰を取り除くための去痰剤や咳を抑える鎮咳薬などによる対症療法も必要に応じて行います。
乳児が発症すると重症化するリスクがあるため入院での治療を行うことも多いです。水分補給や栄養補給を管理の元で行うためです。
東洋医学では呼吸は五臓六腑の「肺」と「腎」が協力して行っていると考えられています。
東洋医学の肺は、酸素と二酸化炭素を出し入れするだけの臓器ではありません。胃腸で吸収された栄養分と外界から取り入れた空気を一緒にして全身に送り届ける役割を担っています。
また、呼吸について東洋医学では腎にも役割が与えられています。「納気(のうき)」という作用があり、納には納め入れる、固め取り込むという意味があり、これは肺によって取り込まれた大気中の清気を腎が摂納する機能をいいます。人体上部にある肺は主に呼気を、人体下部にある腎が吸気を主ると考えられています。
腎の納気作用は先天の気、言い換えれば腎精によって行われるため、生まれつき先天の気が虚弱だと呼吸器系のトラブルが起こりやすくなります。
肺と腎の気が不足すると、息切れ、呼吸が浅い、動くと症状が悪化する、声が小さい、喘息などの症状が現れます。
小児鍼は、一般的な鍼とは違い、鍼を体に刺さず、専用の鍼具で皮膚をさする、あるいは皮膚にトントンと当てるだけの手法です。
当院では施術の前にしっかりと問診を行い、それぞれの年齢、体質、症状を見極めそれに応じた最も効果的な鍼施術や手技で怖くない、痛くない、優しい治療を心がけています。また、不安なお子さんにはお母さんに抱いて頂いたままで施術を行うこともできますし、親御さんの治療室への同席も可能です。
まず、はじめに自律神経のバランスを整えるツボに刺激を与え、免疫機能や内臓機能を高め全身的な血流を良くすることで、体の本来持つ自然治癒力を高め症状が治癒しやすいお身体の状態へと整えていきます。
また、東洋医学的観点から肺や腎をはじめとした五臓六腑の機能を整えるツボを用います。
気管支炎に効果のあるツボは背部や胸部、腕などにあります。そのツボの部分をお灸なども用いながら優しく刺激していきます。お灸は基本的には火を使わないお灸を使用していきますが、糸状灸というとても細くひねった優しい刺激のお灸を使用する場合もあります。
どちらにせよ心地よく感じる位の刺激になりますので小さなお子様も安心して施術を受けて頂けます。
鼻づまりに対する当院の鍼灸治療方針は主に3つあります。
自律神経を整える
自律神経が乱れている状態ですと免疫力の低下に繋がって粘膜の炎症・鼻づまり状態となりやすくなってしまいます。自律神経測定器で自律神経の状態を把握して自律神経の状態をお整えていくことで免疫力をアップさせます。
『肺』と『大腸』の機能を正常にする
東洋医学的に鼻づまりを診ると多くは、五臓六腑の『肺』と『大腸』の機能異常だと考えられます。それらに重要な経穴を用いて機能を正常に戻す施術を行います。
鼻周りの施術
特に鼻周りに鼻づまりを解消する特効穴があります。それらに鍼を刺して時に通電療法を行っていきます。
鼻汁や鼻づまりなど鼻の原因は、東洋医学では『肺』と『大腸』が大きく関係していると考えられています。
肺について
その中でも五臓六腑の肺には『宣散・粛降を主る』『気を主る』機能があり、それが鼻詰まりの原因と関係しています。
『宣散・粛降を主る』
気や津液を全身のすみずみまで、散りばめて機能させることを言います。特に肺呼吸や皮膚呼吸・発汗により津液を放出させたりして体液のバランスを維持しています。また気道平滑筋や呼吸筋を調節して呼吸機能を正常に行わせる役割もあります。
『気を主る』
呼吸によって体外の清気を取り込み、体内の濁気を排出する、気の交換作用があります
肺の病変では、主に呼吸器系や水分代謝の面の障害が現れます。
大腸について
東洋医学で大腸には、『伝化を主る』という役割があり、主に大便の排泄を行っています。肺とは気機の下降の面で関連を持っています。また東洋医学では『肺』と『大腸』は表裏関係にありとても密接に関係しています。
『伝化を主る』
大腸は、小腸が分別した濁を受け取って一部の水分を吸収したのちに大便として体外に排出役割があります
『肺』と『大腸』が不調となると…
『肺』と『大腸』が不調となると気や津液が全身のすみずみまで行き渡らなくなり、免疫力の低下が起こり、特に粘膜に炎症がおこりやすくなります。また、津液が循環せずに停滞してしまうために鼻や喉に津液が溜まりやすくなり、鼻づまりなどの症状を引き起こしやすくなると考えられています。
鼻づまりは、風邪などにかかると誰しも一度は経験があることかと思います。鼻づまりは、一見するとたいしたことのない症状に聞こえますが、鼻づまりが慢性的となってしまうと集中力の低下や頭痛、嗅覚や味覚の障害など身体に様々な悪影響を及ぼしかねない決して侮ってはいけない症状の一つです。
鼻づまり症状が続いた場合、鼻づまりを起こしている原因を特定することは治療を行う上でとても大切となってきます。鼻づまりを起こしてしまう原因によっては手術も必要となってくるからです。
まずは、鼻の構造や役割を知っておく必要があります。鼻の中の空間は鼻腔といわれ、鼻中隔によって左右に分けられています。その左右に分けられている鼻腔のそれぞれの壁から空間を分けている3つの骨が張り出していています。その空間を上から順に上鼻道・中鼻道・下鼻道といいます。鼻腔の壁には毛細血管が豊富にある粘膜で覆われている為その血管が炎症してしまうと容易に腫れて鼻づまりを起こしてしまいます。
粘膜の表面は細かい毛が生えており、粘膜から分泌される粘液と共に外から侵入してきた微生物や細菌・ウィルスを吸収や除去する役割があります。また、外気温が低い場合吸った空気がそのままの温度で体内に入ると体温を下げてしまうので鼻腔には吸った空気を温めたり、加湿する機能も備わっています。
鼻には臭いを識別機能も備わっており、鼻腔上部にある嗅細胞はにおいの情報を脳に伝達する重要な役割があります。そのため鼻腔上部が鼻汁などで覆われてしまうとにおいを脳に伝達する機能が弱まり、においを感知しにくくなるのです。
これら体にとって重要な機能を持つ鼻がつまってしまう原因として主に4つ挙げられます。
鼻炎を繰り返す
鼻腔は外からのウィルスや細菌を体内に入れないようにして体外に排出する防御機能の役割があります。その際、ウィルスや細菌に対する抵抗力がしっかりと備わっていれば問題ないのですが、疲労やストレスなどで体の抵抗力が弱くなっていると鼻腔内にウィルスや細菌が溜まってしまい鼻腔内で炎症を起こしてしまい、鼻づまりの原因となってしまいます。
なかなかウィルスや細菌が体外に排出されない状態が続いてしまうと鼻粘膜は腫れあがり慢性的な鼻づまりが起こってしまい、鼻づまり症状がなくなるまでに長い時間がかかってしまうのです。
鼻の構造
鼻を左右に分けている鼻中隔がどちらかの方向に突出してしまっていると空気の流れに大きな差が出てウィルスや細菌が一方の鼻に集中してしまうため鼻づまりを起こしてしまう可能性が高まります。また、鼻にポリープなどの腫瘍ができている場合でも鼻づまりを感じやすくなります。
その場合、どちらか一方の鼻が異常に鼻づまりを感じます。鼻が正常な状態の場合でもどちらかの鼻がつまりやすくて逆の鼻は通りが良いという場合がありますので、自分で判断することは難しいですが、どちらかの慢性的に鼻がつまって息苦しさを感じる場合は、一度耳鼻科で診てもらう必要があります。
アレルギー反応
スギ花粉やハウスダストによって鼻づまりが起こることは良く知られています。スギ花粉やハウスダストなどのアレルギー反応はそれら異物を身体が過剰に反応して体外に排出しようとして鼻汁やくしゃみを引き起こします。
それに加えてアレルギー反応が強く出ると鼻づまりを起こして体外の異物を身体にこれ以上入れないようにする言われています。
副鼻腔に膿が溜まっている
アレルギー性鼻炎や鼻風邪をきっかけにして鼻粘膜の炎症が強いと副鼻腔という部分に炎症が起きてしまい、膿が溜まってしまいます。その膿は排出されることが難しく慢性的な鼻づまりの原因になります。
鼻づまりだといって何も処置をせずに放っておくと鼻づまりだけの不快症状ばかりでなく、身体に様々な悪影響を及ぼします。
頭痛や目の奥の痛みの原因に
慢性的な鼻づまりを放置しておくと、副鼻腔にどんどん膿が溜まってしまい蓄膿症になってしまう可能性があります。蓄膿症は頭痛や目の奥の痛みや頬周辺の痛みの原因となります。
鼻の穴のことを鼻腔と言いますが、その周りは骨で囲まれた左右それぞれ4個の空洞があります。これを副鼻腔といいます。この副鼻腔は、強い衝撃が顔面部にかかった時の衝撃の吸収材となったり、声を響かせるために必要な空洞と言われています。副鼻腔は鼻腔とつながっている為、鼻腔部分が風邪などのウィルス感染していると副鼻腔にまで影響を与えてしまうのです。
副鼻腔の中に分泌物や膿などが溜まってしまうとなかなかうまく外に排出できなくなり、炎症の原因となってしまいその周囲に痛みの症状となって現れてしまうのです。また、副鼻腔炎をそのままにしておくと中耳炎などの耳の疾患や喉の痛み・気管支喘息などの喉の疾患に繋がってしまう可能性がありますので注意が必要です。
その他稀なことではありますが、副鼻腔炎が脳の方にも炎症が及んでしまい、脳膿症や髄膜炎などの症状にも進行してしまう可能性もあります。そうなってしまうと意識障害や麻痺などの重い後遺症や酷い場合だと命をも落とす危険性までもあるのです。
まれではありますが、副鼻腔の炎症が脳に及んで、脳膿症、髄膜炎、硬膜下膿瘍などが起こり、意識障害や麻痺などの症状が起こることがあります。これらの合併症が起こると、重い後遺症が残ったり、死に至るケースもあります
集中力の低下
鼻づまりが慢性化すると脳に供給される酸素の量が減ってしまい脳が酸欠状態に陥ってしまう場合があります。すると記憶力の低下や集中力の低下に繋がってしまいます。仕事の質の低下や仕事でもミスを犯しやすくなってしまうのです。
嗅覚障害や味覚障害
慢性的な鼻づまりにより、嗅細胞のある鼻腔上部が覆われてしまうとにおいが感じにくくなってしまいます。鼻づまりが慢性化している状態が続くと鼻づまりが治って嗅細胞が覆われなくなってもにおいが感じにくくなる場合もあるので注意が必要です。
また味覚は嗅覚に頼っている部分も大きく嗅覚が弱くなってしまうと必然と味覚も低下してしまうのです。
咳や痰の原因に
鼻腔の後部は喉の部分とつながっており鼻汁は溜まると喉に落ちていくことがあります。それを排出しようと咳や痰が出ます。
睡眠障害
鼻づまりは息苦しさのため睡眠の妨げとなることが多いです。また鼻腔内が狭くなっていていびきの原因となり睡眠の質も低下します。酸素が十分に体内に取り込まれないために疲れも溜まりやすく、それが免疫力の低下に繋がりさらに鼻腔の炎症を抑える抵抗力が弱まり鼻づまり症状を強く出してしまう悪循環に陥ってしまうのです。
20代女性
アレルギー体質でハウスダストや花粉で鼻がつまりやすい。
耳鼻科にも通い薬を飲んでいるが、鼻水はとまっても鼻のとおりはいまいちよくならない。
寝るときも口呼吸になるので喉もいためやすく、寝ても疲れが取れないことも改善していきたい。
当院の治療
当院では、第一に自律神経を整えて、次に鼻まわりの特効穴に鍼を指し、鼻の機能を正常にもどす施術を行います。
自律神経が乱れると身体の免疫力も低下し鼻づまりを起こしやすい体質になりますので、自律神経を整えていくことが重要になります。
また、睡眠の質の低下で全体的に身体がかたくなっていたので、頭や背中などにも鍼を行い全身のめぐりをよくするような施術をしました。
◇1回目◇
鼻のまわりに鍼をうったとき、少し痛かったが鼻がとおる間隔があった。
◇2回目◇
施術をしてもらった当日は調子がよかったが次の日にはもとに戻ってしまった。
背中はとても軽くなってよかった。息が吸いやすい感じがした。
鼻をあたためるようにアドバイスをしてもらったので今日からやってみようと思う。
◇3〜7回目◇
鍼灸治療に加え鼻をあたためるセルフケアをはじめたところ、症状は緩やかによくなっている。
アレルギー症状がでたときはつまるが、いつの間にかよくなることもある。
睡眠も以前に比べるとぐっすりと眠れている。
◇8回目◇
体質改善をめざし今後も通って経過をみていく。
鼻づまりが慢性的な状態となってしまうと、口で呼吸することが多くなって鼻腔の役割であるウィルスや細菌などの外敵から体を守ることが難しくなり、風にかかりやすくなってしまいます。また、睡眠の質が低下して睡眠中に十分な酸素の供給ができない状態となり、脳や体の疲れが溜まりやすい状態となってしまいます。
当院の鼻づまりに対する施術と合わせて自宅でもケアしていただけるとさらに効果的です。
・鼻を温める
鼻を温めた濡れタオルを当てて鼻を温めると鼻粘膜の血流が良くなることで鼻腔が広がる状態となって鼻詰まりが解消されやすくなります。濡れタオルの他にも入浴中に洗面器などにお湯をためて鼻を近づけて呼吸するという方法もあります。
・部屋の湿度を高める
空気が乾燥していると鼻の粘膜も乾燥しやすい状態で鼻詰まりの状態になりやすい状態となってしまいます。またウィルスや細菌、花粉、ハウスダストなども浮遊しやすい状態となり、それが風や鼻炎の原因となってしまうのです。
・首の後ろや後頭部を温める
髪の生え部分の後頭部に鼻に関する需要なツボがありその部分を温めると鼻の通りが良くなることがあります。そのほか頸と肩の境目にあたる大椎というツボも温めると効果的です。その部分をぬれタオルで温めたり、就寝の際はネックウォーマーなどで首を冷やさないように心がけましょう。。
東洋医学では、病気になる原因として多く分けると内因(体質的要因・精神的要因)と外因(生活的要因・自然的要因)に分けられます。外因は、内因を通じて身体に影響をもたらします。
多くの病気は、この外因を突き止めて除去することが重要となってきます。
帯状疱疹では、この外因の生活的要因・飲食の不摂生・風邪・熱邪・湿邪が体に影響を与え、東洋医学でいう「肝」や「脾」を侵します。
生活的要因
睡眠不足や過労、食生活の乱れ・性生活の乱れなど不規則の生活を送っていると帯状疱疹が発症する原因となります。
飲食の不摂生
暴飲暴食・不規則な食事・偏食・辛いもの・香辛料やアルコールの過剰摂取は帯状疱疹の原因となります。
風邪
風邪に侵されると、
という特徴があります。自律神経系や末梢神経系の障害を主な特徴とします。
熱邪
熱邪に侵されると
などの特徴があります。炎症による症候を主な特徴とします。
湿邪
湿邪に侵されると
などが挙げられます。湿邪は、季節や環境による影響を受けやすく、雨の日や湿度の高い日などに症候が現れやすいです。
帯状疱疹はこれらの外因が一つではなく、様々な外因が合わさり、「肝」や「脾」を侵すと考えられます。
湿邪や熱邪が「肝胆」にとどまって発生します。肝の陽気が過亢進状態となり、胸脇部の痛みや発赤、めまいや頭痛、顔面部の痛みや目の症状も呈します。過労やストレスが原因となる場合があります。
主に湿熱の邪気によって「肝胆」の機能が障害され、消化器系の炎症や自律神経の失調、水分代謝に影響を与えます。
胸脇部の張った痛みやピリピリとした痛みが出ます。便秘や軟便を繰り返したり、手足が重だるくむくみの症状が出る場合もあります
湿邪と熱邪が「脾」とどまって熱の炎症症状や胃腸障害、水分代謝の障害がみられます。
皮膚の掻痒や発熱症状がみられることも多く、長期間続く場合もあります。
鍼灸の鎮痛効果で帯状疱疹後の神経痛を和らげます。鍼刺激は脳内モルヒネを生み出すことがありますので、全身の痛みを和らげてくれて、精神を安定させる働きもあります。刺した鍼に電気を流す鍼通電療法でさらに鎮痛効果が促進される効果が期待できます。
また、お灸には抗炎症作用もありますので合わせて帯状疱疹の周りにお灸治療も行っていきます。
経絡治療では、精気の虚に内因と外因、不内外因の病因が加わると、気血津液・臓腑経絡に影響し、人体が内側から傷つき外から侵入されて病気になります。
帯状疱疹には風邪、熱邪、湿邪が関係すると上述しました。これは外因からの毒邪の侵入により内因が侵されるというものです。
風邪から始まる病が多いのと風邪は他の邪と合わさって発病します。
風邪による病証では、まず頭顔面部や肌表の症状が多く現れます。
特徴は発展変化が早く遊走不定です。
東洋医学的治療としましては、熱邪や湿邪を取り除くことが第一優先となります。熱を下げるように施して外因の勢いを弱めて胃腸の働きを整えることで湿邪と熱邪を外に出すように促します。
使用経穴は
熱を下げる・湿邪を排出するという目的で「行間」・「狭渓」・「支溝」・「外関」・「肝兪」・「胆兪」を使用します。局所の帯状疱疹については鎮痛目的で
顔面部の帯状疱疹には、「陽白」・「下関」・「四白」・「頬車」
胸脇部の帯状疱疹には、「期門」・「大包」
腰腹部の帯状疱疹には、「章門」・「帯脈」
帯状疱疹は、激痛を伴い疱疹が治ったとしても帯状疱疹後神経痛が起こることがあり、長い間痛みに苦しめられることも少なくありません。
神経ブロックや鎮痛薬の長期服用は、副作用のリスクや効果が段々と減退していくというリスクがあり、近年ペインクリニックでも鍼灸治療が選択されることがあります。帯状疱疹の鍼灸治療について大阪労災病院麻酔科ペインクリニックの研究では、41症例中で発症から2か月以内の患者さんではほぼすべての方に痛みの軽快がみられ、発症して2~6ヶ月経過した方で約90%の方が軽快、6ヶ月~1年経過で80%の方が軽快、1~2年経過で66%の方が軽快、2~5年経過で60%の方が軽快、5年以上経過で50%の方が軽快したという結果が出ています。
また、この研究では帯状疱疹の痛み症状に鍼治療が効果があるばかりでなく皮膚症状にも寛解させる効果があると推測されています。
「帯状疱疹痛に対する鍼治療の効果」
https://ci.nii.ac.jp/naid/130004065889
30代男性
3週間前から仕事のストレスやストレス解消による暴飲暴食などが加わり、胸部から肋間部にかけて痛みと疱疹が出た。皮膚科を受診したところ帯状疱疹と診断されて抗ヘルペスウィルス薬などを処方されたがなかなか改善されず当院を受診。
当院の治療
仕事でのストレスにより自律神経が乱れていることが考えられたので自律神経測定器で計測し、体の状態をしっかり問診した上で治療に入りました。まずは、自律神経調整療法で自律神経の状態を整えて、鎮痛効果を促す鍼灸治療・湿邪や熱邪を取り除くと東洋医学的観点からの鍼灸治療を施しました。
治療経過
◇1回目◇
治療後痛みは少し軽減したとのことだが効果はそこまで持続せず、2日目には痛みは戻ってしまった。
◇2回目◇
2回目の治療後痛み軽減。鎮痛効果も1回目よりも継続。
◇3~6回目◇
痛みがだいぶ治まってきたが、疱疹はまだある。
◇7~10回目◇
痛みと疱疹は治まったが、目の症状(充血・痛み・かすみ)が出た。
◇11~14回目◇
治療間隔を1週間に2回のペースを1週間に1回に治療間隔を伸ばしていき、目の症状も治まってきたところで治療を終了した。
帯状疱疹は、水痘罹患後に三叉神経や脊髄後神経節に侵入していた水痘帯状疱疹ウイルスが、免疫力低下や加齢などが誘因となって発症するものです。
水痘にかかると、ウイルスは皮膚から神経に侵入しますが、免疫力によってウイルスは消失して症状は治癒します。
治癒したからといってウイルスが消滅したわけではなく、一部のウイルスは脊髄近くの神経節に潜伏します。
潜伏中は症状が出ませんが、免疫力の低下や加齢によってウイルスが再活性化し、皮膚に症状が出たものを帯状疱疹といいます。
神経節に隠れていますが長いものだと何十年と潜伏します。
帯状疱疹は一生に一度しか発症せず、免疫力が低下している方を除き再発することは稀です。
帯状疱疹の初期症状は疼痛・違和感・激痛とさまざまな痛みからなります。
この痛みは片側性で起こります。
痛みが起きてからの数日後に赤い斑点がみられ、次第にブツブツした丘疹となって水ぶくれに変わっていきます。この状態が多発してきて帯状に広がっていくのが特徴になります。
この頃から神経痛も強くなり、わずかな刺激にもピリピリと痛みを感じるようになります。
このタイミングで医療機関に受診される方が多いです。
帯状疱疹は約三週間前後で治りますが、痛みは治りにくく帯状疱疹後神経痛となることがあります。
後遺症として帯状疱疹後神経痛になると痛みが続き、数カ月も痛みが続く場合もあります。
この帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹が治癒した後に数か月以上続く痛みです。ウィルスによって神経が傷つけられてその回復が遅れてしまうことによって痛みが継続するものと考えられています。
強い痛みのため夜も眠れないような痛みになることもあります。
帯状疱疹後神経痛は体の免疫力と深いかかわりがあることがわかっており、高齢者や免疫力が低下している人ほど痛みが残ると言われています。また、帯状疱疹にかかってしまった時の対処の遅さも帯状疱疹後神経痛に関係してくると言われており、発症後3日以内に抗ウィルス剤の服用などの処置を行うと帯状疱疹後神経痛にかかりにくいとされています。
その他にも帯状疱疹の時に皮膚症状が強い方や夜も眠れないほどの強い痛みの方は帯状疱疹後神経痛になる可能性が高いと言われています。
帯状疱疹後の後遺症には、痛みの他にも感覚が鈍くなったりすることもあります。
抗ヘルペスウイルス薬の使用です。
早期から抗ウイルス薬を使用することで、皮膚や神経のダメージを軽くすることが期待できます。
また、水泡がつぶれて細菌感染した場合は抗菌薬の使用です。
痛みに対しては消炎鎮痛薬で痛みを鎮痛します。痛みに敏感になると普段は気にならなかった痛みでも過敏に反応して痛みが治りにくくなってしまいます。
夜間の痛みには座薬を使用することもあります。
新型コロナウィルス禍で帯状疱疹が増加傾向にあるということがいわれています。
通常の帯状疱疹は、50代以上になると発症率が上昇します。それは人間が本来持っている免疫機能が関係しています。帯状疱疹ウイルスは脊髄の神経節に潜伏していて身体の免疫機能で活動を抑え込んでいますが、免疫機能が低下してきてしまう50代以上になると発症リスクがどうしても上がってしまうのです。
今回の新型コロナウイルスでは、50代以下の若年層にも帯状疱疹の患者さんが増加してきているといわれています。
その要因として挙げられるのが、新型コロナ禍で外出規制など生活環境の目まぐるしい変化によって受けるストレスやコミュニケーション不足などからくる孤独感などさまざまなストレスからくる免疫機能の低下です。
10代や20代でもリモート授業の影響や運動量の低下、収入の減少、先の見えない未来への不安感、また気晴らしに自由に友達と遊んだり飲み会なども行うことが出来ない状況下だったことからストレスフルとなり、帯状疱疹を発症することも少なくありません。
実際に当院にも帯状疱疹やそれに伴う帯状疱疹後の神経痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺等の患者さんが増えてきた印象です。
ラムゼイ・ハント症候群
帯状疱疹の水泡が耳介や外耳道にできて、顔面神経麻痺、難聴やめまいなどの内耳神経症状を伴うものです。
眼の病気
目にできる帯状疱疹は痛みやかゆみだけではなく視神経にも悪影響を及ぼして、角膜炎や網膜炎を引き起こします。視神経がおかされると最悪失明の可能性もあります。目の周囲に帯状疱疹ができた時はこれらが併発する可能性があります。
脳炎や髄膜炎
脳炎は脳が炎症するものです。
吐き気・頭痛・意識障害・高熱などの症状がでます。
髄膜炎は脳や脊髄を覆う膜に炎症ができたものです。ウイルスや細菌などから感染して発症することがあります。症状は頭痛・項部硬直・嘔吐・錯乱などです。
この二つは気をつけなければなりません。取り返しがつかないほど悪化することや最悪死に繋がる可能性もあります。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
ヒステリー球は自律神経の乱れが原因で生じている場合が多いため、当院では自律神経測定器で自律神経の状態を把握したうえで施術していきます。ヒステリー球では特に交感神経が過亢進の状態が多く、主に副交感神経の活動を活発にさせて交感神経の活動を抑える身体がリラックスできるような施術を行っていきます。
鍼灸施術は自律神経のバランスが整えることできるということは研究結果でも出ています。
その他東洋医学的観点より、肝の働きを正常に戻すようなツボも刺激することや付随して起こる精神症状にも心や腎の働きを整えることでアプローチしていきます。
梅核気の初期では、日常生活でもそこまで支障をきたすことが少ないですが、症状が進行するとうつ病や自律神経失調症など症状が重症化してしまう危険性がありますので早めの治療が重要となってきます。
ヒステリー球を東洋医学では、『梅核気』といいます。五臓六腑では『肝』の病変で梅核気が起きると考えられています。
東洋医学での肝の役割・機能は西洋医学の肝臓と少し違ってきます。東洋医学での肝は、『肝は疏泄を主る』『肝は血を蔵する』『肝は筋を主る』の役割機能があります。
・肝は疏泄を主る
気を全身のすみずみまで行き渡らせることを指します。これは、情緒を安定させて精神様態を快適に保ったり、自律神経系の機能によって各機能が正常に行われるように調整する役割・機能を担っているということです。
・肝は血を蔵する
肝が血を貯蔵して必要に応じて供給して消費することを指します。また、血液循環の調整にも大きな役割を果たして自律神経系を通じて血管の収縮や弛緩をさせて体内の細胞への血流量を調整しています。その他、女性の場合では子宮への血液量の調整や自律神経系を介した女性ホルモンの調整も行うことで月経や妊娠が正常に行えるようにしています。
・肝は筋を主る
肝は血流の調整や神経系を介して筋肉の緊張や弛緩を調整しています。四肢の筋や腱の緊張を制御することで関節の運動もつかさどっているのです。
梅核気の症状に効果のあるとされる漢方に『半夏厚朴湯』があります。半夏厚朴湯は、気の巡りをよくする効能があることで梅核気を改善させます。梅核気は上記のように肝の病変によってのどの部分の『気』の巡りが悪くなったり、『血』が不足したり過剰となってしまうことでノドに何か詰まったような異物感を感じると考えられており、半夏厚朴湯はそれを解消させる効能があるのです。
この3つの機能のうち梅核気では、「肝の疏泄を主る」機能が低下して起こると考えられています。それにより、気は全身のすみずみまで行き渡ることができなくなり、『肝気鬱結』という症状が出ます。これは自律神経系の過緊張が主体で起こると考えられています。精神的な緊張状態が続くことや精神的な不安定状態が続くことで生じやすいほか病邪や引用の失調状態でも引き起こされるとされています。
肝気鬱結の主な症状は、胸苦しい・ノドのつかえた感じ・憂鬱感・精神不安定・食欲不振・便秘と下痢症状など多岐にわたります。肝気鬱結に痰症状が加わることで梅核気となりやすくなってしまいます。
ヒステリー球とは喉に大きな異常がないのにもかかわらず喉の違和感などの感覚を引き起こす疾患であまり聞きなれない言葉かもしれませんが、ストレス社会と言われる現代ではヒステリー球で悩まされている方が意外にも多いのです。
このような症状がある方はヒステリー球の疑いがあります。
☑ノドに異物感を感じる
☑食べ物が飲み込みにくい
☑風邪を引いたときのようなノドのイガイガ感
☑ノドに物がつかえたような感覚が消えない
☑ノドの奥が狭くなって息苦しさを感じる
☑ストレスや不安感が消えない
☑睡眠の質が悪く、寝つきが悪い
☑胸やけが続く
☑吐き気
このような症状が出ている場合、ヒステリー球の疑いがありますが、自己判断をするのは危険です。上記のようなノドの異常が出ると、喉頭がんや腫瘍が見つかる・逆流性食道炎や風邪症状の可能性もありますので一度耳鼻咽喉科や内科を受診して検査を受ける必要があります。
ヒステリー球の場合、腫瘍やがんなどの器質的異常が見られないため、検査では異常が見られません。医学的には咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)と呼ばれています。他にも梅核気(ばいかくき)感覚球(かんかくきゅう)咽頭神経症(いんとうしんけいしょう)などとも呼ばれることもあります。。
上述の通り、ヒステリー球は検査では異常が見られません。
ヒステリー球を起こす最大の原因はストレス等による自律神経の乱れと考えられているからです。また、喉の病気やドライマウス、空気の乾燥なども原因として挙げられます。
自律神経は心臓や血管、内臓の働きなど、自分の意志とは無関係に身体をコントロールしている神経のことを指します。自律神経には交感神経と副交感神経との二つの神経があり、この二つの神経のバランスが崩れると「自律神経の乱れ」ということとなり、身体に様々な悪影響が出てくるのです。
交感神経は活動的な神経で基本的に筋肉を収縮させて運動時や仕事中など集中して作業をするときに働く神経で、逆に副交感神経は身体を休める神経で夕方から夜にかけて活動が優位となってくる神経です。この二つの神経が乱れることで、よく知られている疾患としましては自律神経失調症やうつ病、不安神経症などは自律神経のバランスの乱れが大きな原因となります。
・自律神経失調症について
・うつ病について
・不安神経症について
自律神経は、筋肉の働きや胃腸の働き、血液の供給やエネルギー消費などにもとても大きな役割を担っています。自律神経が乱れてしまうとこれらの身体の働きも乱れてきてしまうのです。
ヒステリー球の場合、交感神経が活発な状態が続いてしまい、ノド周囲の筋肉が萎縮してしまい圧迫された状態が続くことでノドの違和感や異物感、息苦しさなどを感じるのです。
これは不安や疲労、緊張状態などが引き金となるため、仕事中や仕事に向かう際、会議中や人混みなどストレスの多い環境で比較的発症しやすいです。その他、睡眠不足や運動不足、食事の偏りなど生活習慣の乱れによってもヒステリー球の症状は起こりやすくなってしまうのです。
症例
20代 男性
3か月前から喉に違和感が出始めて、喉に異物があるような感覚に悩まされている。
病院で検査をしたが特に異常がなく、ヒステリー球と診断された。
喉の異物感のおかげで仕事に集中できない、休日も気になってリラックスできないなど、日常生活に支障が出ている。他の治療を色々試したが期待通りの効果はなく、藁にもすがる思いで来院した。
普段はIT企業に勤めており、パソコン作業が多い。今の仕事が好きでやりがいを感じており、睡眠時間を削ってしまう事もある。
ストレスは人並にあるが、そこまで強く感じたことはないが、
半年前に地方から東京に引っ越ししてきて環境変化へのストレスはある。
ストレートネックで首肩のコリ、眼精疲労は慢性的にある。
当院の施術
自律神経測定器で自律神経の状態をチェックしました。
交感神経が副交感神経よりも過剰に働いており、第一の原因と判断し自律神経の調節、とくに副交感神経の働きを促す施術を行いました。
それと同時に、胸鎖乳突筋や僧帽筋に刺鍼をし首肩の緊張をとり、ヒステリーに効果がある「天突」、「中脘」、「膻中」「豊隆」「気海」といったツボを刺激しました。
また施術以外にも、運動や食事の指導も行いました。
◇1回目◇
あまり変化はない
◇2回目◇
少し楽になったような気がするが、大きな変化はない
◇3回目◇
初回に比べてかなり楽になってきた
◇4回目◇
調子よいが、まだ完全に取れていない
最近ランニングをするようになってから気分もいいし、体調が良くなってきた
◇5回目◇
気になる頻度が減ってきた
◇6回目◇
ほとんど気にならない
30代女性
半年前、ペットロスがきっかけで喉の違和感や息苦しさがぬけず病院を診断したところ、病的な所見はなく、ヒステリー球ではないかと診断された。
当時は喉まわりだけでなく全身の疲労感があったが現在は特に気にならない。
喉まわりだけがなかなか改善されないため、仕事中や就寝時など気になってしまい日常生活に支障をきたすため当院を受診された。
昔からストレスには弱いほうで、気持ちがおちこむと体調も悪くなりやすい。
当院の治療
ヒステリー球の治療は、第一に自律神経のバランスを整えることが重要です。
ストレスが加わり交感神経がたかぶる時間が長いと、身体をリラックスさせる時間がなくなり喉周りの筋肉の圧迫も続いてしまいます。
手足やお腹のツボをつかい自律神経を整え、それから首や喉周辺の筋肉を緩め症状改善を図りました。
また、慢性的な身体の疲れもでていたため背中のツボにも鍼と灸を行い、治療頻度は1週間に1回程度で経過をみていくようにした。
◇1回目◇
常に身体に力が入っている状態だったことに気づいた。
治療後は少し息がしやすいような気がした。
◇2〜4回目◇
変化なし
◇5〜12回目◇
回数を重ねるごとにのどの圧迫感が減り、仕事に集中できるようになった。
就寝時は意識してしまうためかまだ違和感が残っている。
◇13〜15回目◇
日常的にあまり気にならない程度まで回復。
今後は治療間隔を2週間あけて経過をみる。
ヒステリー球を治すまたは予防するためには自律神経の状態が大きくかかわってくることから生活習慣がとても重要となってきます。基本的なストレスや疲れを溜め込まない生活を心がける必要があるのです。
・十分な睡眠
睡眠時間が十分に確保されていない状態が続いてしまうと体の疲れが溜まりやすく、精神状態もイライラや不安が強く出やすい状態となってしまいます。また夜に十分な睡眠をとることで自律神経の状態も整いやすくなります。
・適度な運動
主にウォーキングや軽めのジョギング、体操やヨガなどの有酸素運動は、副交感神経の活動を活発にすると言われています。逆に筋力トレーニングなどの筋肉に大きな負担のかけるトレーニングでは交感神経が優位になりやすいので夕方から夜かけての筋力トレーニングは避けた方が良いです。
・労働時間
労働時間の超過は体の疲れが溜まりやすく、自律神経の状態も悪くなりやすいです。夜の残業や仕事を家にまで持ち込むと自律神経の乱れに繋がります。
・規則正しい食事
栄養のバランスが偏っていたり、食事のとる時間が毎日バラバラですと自律神経が乱されやすくなります。胃腸の働きは自律神経が担っているため、食事を摂る時間は重要で夜の9時以降の食事はできるだけ避けた方が良いです。
夜尿症とは生まれた時から続く夜間寝ている間のおねしょのことで通常は5歳ごろからご両親が気にし始めることが多いです。
一般的には1週間に1回以上のおねしょが3カ月以上続いていれば「夜尿症がある」としています。
女の子に比べて男の子に多いのですがだいたい5歳で15~20%のお子さんにみられ、10歳で5~10%、15歳で1~2%ぐらいにみられます。成人した後でも0.5%つまり200人に1人ぐらいは夜尿症が完全にはなくなりません。
一次性夜尿症とは、6カ月以上おねしょがなかった時期がなく、小さいころからずっとおねしょが続いている夜尿症をいいます。
一方、二次性夜尿症とは、おねしょが消失していた時期が6カ月以上あり、再度おねしょが起こるようになった夜尿症をいいます。
頻度的には一時性夜尿症が75%をしめます。よく夜尿症といえば、精神的なストレスなどの要因があるといわれますが、少なくとも小さなころから続いている一次性夜尿症ではストレスなどの要因はあまり関係ありません。
しかし、二次性夜尿症では、学校生活のストレスなどの要因が関係あるとされていますので、一度止まったおねしょが再発したような場合には、学校生活に何か変化がなかったかをよく問診する必要があります。
いくつかの理由が考えられますが、科学的に完全に解明されているわけではありません。お子様は眠りが深いため、夜間におしっこをしたいという尿意では目覚めることはありません。
ですから、膀胱に最大貯められる尿量を超えた尿が夜間に溜まると自然に排尿されおもらしとなるわけです。
つまり夜間に膀胱に尿がたまる量が多すぎるとおねしょの原因になり、最大の要因は「寝ている間に作られる尿量が多すぎる」ことです。
寝ている間の尿量増加は
①水分の取り過ぎ
②夜間の抗利尿ホルモン(夜間尿量を減らすホルモン)の分泌低下
などがあげられます。
次に考えられる原因として「膀胱容量の低下」があります。成人でいう過活動膀胱と同じです。膀胱が一度に貯められる尿量が少ないため、おもらしをします。お子様で膀胱容量の低下をきたす原因として便秘があげられます。
その他、膀胱機能及び成熟の遅れや遺伝的要因などが複雑に影響していると考えられています。
※過活動膀胱とは
膀胱が過敏になって尿が十分に溜まっていなくても本人の意思とは無関係に膀胱が収縮する状態です。その結果急に尿意を催したり何度もトイレに行きたくなったりということが起こりやすくなります。
当院の過活動膀胱の治療・・・NHKでも紹介された頻尿・過活動膀胱(OAB)の東洋医学のチカラ (alfashinkyu-tokyo.com)
問診
夜尿症の診察では最も重要な項目です。まず、一次性なのか二次性なのか、昼間にもおもらしがあるかなど必要な問診項目を聴取します。
尿検査
感染症など何かほかの疾患がないかを調べる上で必要です。
超音波検査
難治性の夜尿症の際に、腎、膀胱に異常がないかをを調べるために行う検査です。
治療
治療としては生活指導と行動療法が行われます。その効果が乏しい場合は、夜尿アラーム(おねしょアラーム)を使った治療や内服治療が行われます。夜尿アラームとは下着に装着する小さなセンサーがついた機械で、センサーが尿で濡れるとアラームが鳴って子どもを起こす仕組みになっています。内服治療としては、抗利尿ホルモン薬、抗コリン剤、三環系抗うつ薬などが処方されます。
予防
日常生活においては、利尿作用のあるカフェインを含んだ飲み物(コーヒー、お茶、コーラなど)は避ける、昼間はトイレに規則正しく行く、就寝までの2~3時間は水分の摂取を控える、就寝前に必ずトイレに行くといった習慣をつけることも予防につながります。
また、便秘は膀胱容量を小さくする場合があるので、繊維質の多い食事をするなど便秘の予防も推奨されています。
東洋医学の観点から夜尿症を考えると、『腎虚』や『気虚』が大きく関わっているといえます。五臓六腑における腎は身体の水分代謝を司っています。この腎がもともと弱かったり、弱まってしまうと夜尿症を含めた泌尿器系のトラブルが多くなります。
膀胱は腎の助けを受けて尿を溜めたり排泄します。これが熱によって障害されたり、腎が弱ってうまく機能しなかったり、水分代謝に関わる肺、脾、三焦などの臓腑の不調が影響したりします。
また、気は身体を活発化する生命エネルギーのような存在です。この気が不足している状態を気虚と呼びます。気は多くの働きを持っていますがその中には尿をしっかり身体内に保持するという役割も担っています。
そのため気虚に陥ると膀胱に十分な尿が保持できず、頻尿や夜尿症になってしまいます。
さらに、緊張やストレスなどによる肝の弱りで全身に気を巡らす「疏泄作用」が低下することも膀胱に尿を貯める機能を弱らせ、夜尿症が起こりやすくなります。
小児鍼は、一般的な鍼とは違い、鍼を体に刺さず、専用の鍼具で皮膚をさする、あるいは皮膚にトントンと当てるだけの手法です。
小児鍼をすると、自律神経が整い、幸せホルモンのオキシトシンが分泌されることが科学的にもわかっています。心地よい刺激と幸せホルモンの分泌により、ストレスや冷えで硬くなった筋肉も緩んで血行が良くなり自然治癒力が高まります。
自律神経のバランスを整えるツボや東洋医学的観点から腎をはじめとした五臓六腑を整えるツボや気を補うツボを用います。
また、下腹部や下半身に冷えが見られる場合は冷えを除くためにお腹周りや下肢のツボにお灸を使用し血行を促し下半身を温めていきます。
小児の治療の場合、お灸も火を使わないタイプのものを使用したり、糸状灸などできるだけ小さいお灸を使用し心地よい暖かさで刺激していきます。
また、便秘の症状がみられる場合は消化器系の調子を整えるツボも選択していきます。
当院の野球肘に対する施術は、第一に肘関節付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血行を良くします。また鍼を刺すことにより痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。その他、野球肘の方の多くは上腕二頭筋や前腕の屈筋・伸展筋の緊張が強く出ている場合がほとんどです。
筋肉の過緊張状態は肘の負担を増加させて更なる痛みの原因になりかねません。上腕・前腕さらに肩回りの筋肉を施術によってほぐすことで肘への負担の軽減に繋がり、痛みの緩和が期待できます。
野球肘は五臓六腑の「肝」「腎」に深く関係しているので、肝と腎に関するツボを用いて肝血と腎気を補うことや肘関節の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
また東洋医学では、症状が出ている部分に注目ばかりせずに全身を診て治療をするという考えがあります。野球肘を患って来院される方の多くは、練習量の過多により肘以外にも全身の疲労など様々な症状を患っています。そこで当院では東洋医学の診断法に基づき、全身の調整施術も行っていきます。診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。
当院の野球肘の施術は、野球肘の回復程度を高めて、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも野球肘が回復できる機会を提供することです。生活指導はもちろんのこと患者さんと一緒になって競技への早期復帰を目指します。
東洋医学で野球肘は、肘付近の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みやしびれの原因となると考えられています。
寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間肘を酷使する投球動作により気血は滞り、それが肘付近であった場合に野球肘を発症する可能性が高くなります。
また中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記の条件が加わると野球肘がおこりやすくなります。両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。
野球肘とはボールを投げる動作を繰り返すことにより生じる肘関節周囲の障害を総称する用語です。一連の投球動作において、肘の内側は引っ張られ、外側は圧迫を受け、肘の後ろはボールリリースの際にぶつかる力が加わります。そのような力が繰り返し肘に加わり、故障が発生します。特に小学生や中学生などの野球をやっている子供に多く、肘の違和感から始まり、無理して投球動作を続けていると痛みが強く出てその痛みをかばうような形でさらに肩の痛みにもつながりかねないので注意が必要です。
肘関節は、3つの骨から構成されており、肩から肘にある上腕骨、肘から手首まであり親指側の橈骨と小指側の尺骨があります。それぞれの骨は骨と骨とをつなぐ靭帯や周囲の筋肉によって補強されており、非常に安定な関節です。しかし、投球動作を繰り返し行うことにより、靭帯や筋肉が弛んで肘関節の安定性が損なわれます。
野球肘は、少年期のものは離断性骨軟骨炎が多く、成人では肘関節内側の靭帯の損傷を主体とする筋炎、腱炎など肘関節周囲の軟部組織の炎症が主で、肘関節後方では疲労骨折が生じることもあります。
野球肘の症状としては、肘関節の痛みと肘の可動域の制限などがあります。
肘関節の痛み
ボールを投げる動作の際の痛みが特徴的です。肘の痛みのほかに腕のほうへ放散する痛みを訴えることもあります。日常生活ではほとんど痛みを感じません。
野球肘は主に痛む個所は3つあります。投球動作時に肘の内側が痛む場合は、前腕にある手首を手の表側に曲げる屈筋群は肘の内側に付着しているためにボールを投げる動作を繰り返すことで屈筋群の付着部である肘の内側に痛みが出ます。
肘の外側が痛む場合は、投球動作によって肘関節の骨がぶつかり合って上腕骨の軟骨部位が剝がれてしまい、炎症となって痛みを発生させることが多いです。
肘の後ろ側が痛くなる場合も肘の骨がぶつかり合って痛みを発生させる場合と上腕三頭筋という上腕の裏側にある筋肉が繰り返しの投球動作によって過度に使われて延焼する場合とがあります。
肘関節の運動制限
肘の曲げ伸ばしが悪くなり、症状が進行すると急に肘関節を動かせなくなることもあります。
※離断性骨軟骨炎
10歳~16歳の男性によく発症する疾患です。はっきりとした原因は不明でありますが、繰り返す関節運動によって成長途上の骨の先端に圧迫力などが加わり、骨の破壊と壊死を生じたものと考えられています。
離断性骨軟骨炎は、肘以外にも膝や足首などにも発生します。主な症状は、投球時あるいは投球後の肘の痛みです。前腕に放散する痛みや倦怠感を訴える場合もあります。症状が進行すると、激痛のあまり動かせなくなったり、肘関節の腫れや関節液が貯留、筋の萎縮を生じる場合もあります。
投球動作時には肘関節全体に外側のストレスがかかり、内側は伸ばされます。また投球後のフォロースルーにおいては、肘の後ろの部分で骨と骨とが強くぶつかります。その結果として、関節軟骨や靭帯・筋腱・神経などにさまざまな障害が発生します。
まだ成長期にある少年では、上腕骨内側、肘の後ろ側の骨化障害や離断性骨軟骨炎などが、成人では変形性関節症や疲労骨折などの骨障害が生じます。そのほかに上腕二頭筋炎や三頭筋腱炎・回内腱炎・尺骨神経障害などが全年代に生じます。
10代 男性
2か月前からボールを投げるときに痛みを感じていた。
痛みがでても次の日には治っていたのでしばらくしたら良くなると思っていたが、徐々に悪化。
最近はだいたい10球投げると痛みがでて、思いっきり投げることができない。
調子が悪い日は消しゴムを消す動きでも痛みを感じる。
2週間後に試合があるため、できるだけ早く治したい。
当院の治療
触診したところ、腫れや熱感はとくには見られなかった。
腕全体の緊張はそれほど強くないけれど、肘の内側を押さえると痛みがでるため圧痛箇所に鍼と電気を流す治療を行い、痛み軽減をはかった。
また、肩関節の動きをみたところ、可動域が悪くなっているところがあったので、肩回りの治療も合わせて行った。
試合まで時間があまりないので2日置きに治療をするといいとすすめた。
◇1回目◇
鍼はすこしひびくような刺激があったが、肘の痛みが減り、肩が動かしやすくなった。
◇2回目◇
前回の治療後、調子がいい。投げすぎると少し痛みがでるくらいまで楽になった。日常生活は問題なし。
◇3回目◇
肘の痛みはなくなった。
野球肘はボールの投げ過ぎによる故障ですので投球の中止が重要で、肘の安静が大切です。十分に痛みが引くまで投げることをやめて肘周りや手首の周りの筋力アップを行います。痛みを我慢して投球を続けていると障害が悪化して場合によっては手術が必要になってくることもあるようです。
「疳の虫がおさまらない」などといいますが、実際に「疳の虫」という虫がいるわけではありません。
疳の虫とは、赤ちゃんの癇癪(かんしゃく)のことです。赤ちゃんは突然激しく泣き出したり、なかなか泣き止まなかったりすることがあります。
実は、江戸時代以前は様々な病気になるのは体内に虫が入るからとされ、赤子幼子の夜泣きや癇癪(かんしゃく)などの原因となる虫は「疳の虫(かんのむし)」と呼ばれていました。疳の虫を封じるための治療や祈願なども行われていたほどです。
とはいえ、実際に虫が体内で悪さをしているわけではなく、人はそれぞれ異なる気質を持っており、赤ちゃんも同様で、夜泣きや癇癪には個人差があります。
赤ちゃんの「疳の虫」に悩まされるのは「生後6カ月~8カ月」に多いといわれています。
しかし、その時期は人それぞれですぐにおさまる子もいれば、長く続く子もいます。2~3歳ごろまで続くことも珍しくありません。赤ちゃんの成長過程の一つと捉えられると良いのですが、毎晩のように家中に響き渡るほどの大声で泣かれると、親も参ってしまいます。
・ひどい夜泣き
赤ちゃんの「夜泣き」は、乳幼児を育てる親の代表的な悩みの一つです。お腹がすいているわけでもオムツが汚れているわけでもなく、泣いている原因がはっきりしません。
なかなか泣き止まなかったり、寝たと思えばすぐ泣いたり、ひきつけを起こすのではと心配になるくらい真っ赤になって激しくなく場合もあるでしょう。また、夕方になるとなぜか毎日泣き出す、いわゆる「たそがれ泣き」も、疳の虫の症状の一つです。
・物を投げる、噛むなどのかんしゃくを起こす
疳の虫は、寝ている時だけに起こる症状ではありません。ご機嫌で遊んでいたかと思えば突然かんしゃくを起こすこともあります。
激しく泣き出す子や、物を投げたり人に嚙みついたりする子もいるでしょう。中には、自分の頭を壁にぶつけたり、物で自分を叩き始めたりする子もいます。原因が推測できる場合もあれば、全く分からない場合もあるでしょう。
いずれにせよ、疳の虫が出た時にはなだめてもすぐにはおさまらない場合がほとんどです。
・ヒステリックに大声を上げる
キーキーと「大きく奇声をあげること」も疳の虫の症状の一つです。なぜかイライラして怒りっぽくなり、遊びに集中しないこともあります。
強く叱られると興奮が高まり、さらに激しく奇声をあげることもあるでしょう。また、赤ちゃんのイライラは、他の行動で現れることも少なくありません。食が細くなったり、物音に過敏に反応したりする赤ちゃんもいます。
・生活リズムが不規則になっている
原因の一つとして考えられるのは「不規則な生活リズム」です。ほとんどの場合、生まれたばかりの赤ちゃんには昼夜の区別はありません。
生後3~4か月ごろになると、夜にまとまった睡眠を取り始める子が増えてきます。規則正しいリズムで生活できていないと、赤ちゃんのイライラを招く原因となりかねません。
毎日決まった時間に起きて太陽の光を浴び、活発に動く時間帯に十分に体を動かしてあげることが大切です。規則正しい生活を送り、赤ちゃんに安心感を与えてあげましょう。
・自分の気持ちを伝えられない苛立ち
気持ちを伝えられない「苛立ち」から、かんしゃくを起こすこともあります。
自分の中で納得できないことが起こったとき言語能力が未熟な赤ちゃんは言葉によって伝えることができません。それがかんしゃくとして表面に現れたものが、大人には疳の虫に見えるのです。
・生まれ持った気質
疳の虫の原因は「神経性素因」が関わっているといわれています。つまりかんしゃくを起こすかどうかは「生まれ持った気質」によるものが大きいのです。
おっとりとした気質の子は、普段から感情の起伏が少ないでしょう。反対に神経質でデリケートな子は、周囲の変化に敏感に反応を示すのです。
東洋医学では興奮や怒りなどの精神神経症状を司るのは五臓の「肝」と考えられています。疳の虫はこの「肝」の変動と捉えます。
また、「疳(かん)」とは東洋医学でいう病気の総称で、特に脾疳=胃腸からくる症状とも考えられてきました。そのため五臓の「脾(ひ)」の機能を整えることも重要とされています。
小児鍼とはその名のとおり、お子様に対して行う鍼の施術を意味します。なんとなく「鍼」というと注射針や手芸用の針をイメージしてしまうかもしれませんが、鍼治療で使用する鍼は直径が0.1mmから0.3mmほどしかありません。その細さは髪の毛ほどで柔らかくしなるほどの細さです。
そんな鍼療法の中でも、全く皮膚に刺入することのない鍼療法が「小児鍼」となります。
小児鍼で使用する鍼は先が全く尖っておらず、そのため痛みを感じるものではないでしょう。
通常の鍼療法はやはり皮膚に鍼を刺入するため、刺さる感覚がわかることがあります。見た目にも「針」という感じがしてしまいお子様の場合、やはり抵抗があるかもしれません。
そんなお子様向けに、見た目や刺激に配慮したものが「小児鍼」になります。
小児鍼の適応は夜泣き、疳の虫、寝ぐずり、便秘、下痢、食欲不振、夜尿など多岐にわたり、新生児から小学校高学年まで幅広く対応できます。
当院では施術の前にしっかりと問診を行い、それぞれの年齢、体質、症状を見極めそれに応じた最も効果的な鍼施術や手技で怖くない、痛くない、優しい治療を心がけています。また、不安なお子さんにはお母さんに抱いて頂いたままで施術を行うこともできますし、親御さんの治療室への同席も可能です。
夜泣きなどが出ているお子さんは肩周りの筋肉が緊張していることもあり、これは東洋医学ではストレスを感じていることになります。この筋肉の緊張の現れやすい肩や首周りや、自律神経が集中している背中のツボを小児鍼でなでたり、さすったりして血行を促進し、硬くなった筋肉を緩めたり自律神経のバランスを整える作用を促します。