タナ障害の鍼灸治療

2018年9月21日

タナ障害に対する東洋医学的考え方

東洋医学では筋肉や関節などに痛みや痺れを起こす病症のことを「塞がって通じなくなる」と痛みを引き起こすとして痺証(ひしょう:滞っている状態)として考えます。

何らかの原因で局部の気血の流れが滞って通じないことから生じたもので、その人の体質や老化、ストレスなどによる身体の調節機能の衰え、臓器、臓腑の障害や生活習慣の乱れなどの内因により引き起こされるものを根本的な原因とし、それに乗じて外邪(風邪、寒邪、湿邪、熱邪など)が侵入すると気血の流れを滞らせると考えられています。

膝関節には肝、脾、腎の3つの経絡が通ります。この3つの経絡がこれらの原因により流れが停滞することにより痛みを生じると考えられています。

 

タナ障害に対する当院での鍼灸治療

腰や臀部の筋肉の緊張が膝の筋肉のバランスの崩れや緊張に繋がる可能性がありますのでうつ伏せで腰、臀部、大腿後面、下肢にかけて施術を行い身体の連動性を整えていきます。

タナ障害の腰部への鍼灸治療

 

その後仰向けで大腿四頭筋、前脛骨筋などの膝関節を構成する筋肉のツボに鍼やお灸で刺激を与え、筋肉の過緊張を緩和し膝関節のバランスを整え、関節部のタナの挟み込みを軽減させ関節の動きを円滑にすることや、血液循環を促進し炎症を抑える治療を行います。

タナ障害の下肢への鍼灸治療

東洋医学的観点から膝関節部に関係する経絡の気血の流れを整えるツボも取り入れていきます。特に五臓六腑の『肝』『腎』『脾』のツボを積極に用いていきます。

 

 

また、急性期の場合アイシングや炎症を緩和させるため患部にお灸を施すことで消炎、鎮痛作用を促します。

回復期では、マッサージやストレッチ等も用いて凝り固まっている筋肉の可動域を出してひざへの負担を軽減させていきます。大腿部や下腿の筋肉の過緊張はひざ関節の負担がかかり、また大腿部の筋力不足もひざ関節の負担へとつながってしまうのです。

 

 

タナ障害とは

 

スポーツなどによるジャンプ動作や膝の使い過ぎで、膝の皿(膝蓋骨)の内側に引っ張られる感覚を覚え膝を動かすと痛みが出ることがあります。膝関節の構造は、太ももの骨である「大腿骨(だいたいこつ)」とスネの骨の「脛骨(けいこつ)」と膝のお皿の骨の「膝蓋骨(しつがいこつ)」で構成されています。

この大腿骨と脛骨の間には半月板というクッションの役割をする軟骨の板があります。膝関節は、外側から関節包(かんせつほう)滑膜(かつまく)という2つの膜に包まれて保護されておりこの膜の中には滑液(かつえき)という液体で満たされています。

この滑液が満たされている空間のことを「関節腔(かんせつこう)」といいます。その滑膜の大体中央部分(大腿骨と脛骨の中間)に「滑膜ヒダ」があります。この滑膜ヒダは関節鏡で見るとちょうど物を乗せる棚のように見えることから「タナ」と呼ばれています。

このタナは母体の中にいる胎児期には全ての人にあり、発達する過程で通常退化していきますが生後も正常な日本人の約半数が残存しているといわれています。

タナ障害とはこのタナの部分が膝に慢性的に負担をかけることで肥厚したり硬くなることで膝蓋骨と大腿骨に挟み込まれて摩擦が起きたり、強く刺激を受けることで傷つき炎症を起こす疾患です。

タナ障害は男性よりも女性に多く見られ、10代から20代に多く見られる障害になります。

 

 

タナ障害の原因

 

タナ障害は膝の屈曲やジャンプ動作を伴うスポーツ種目によく見られます。

例えばバレーボール、バスケットボール、サッカー、テニス、山登り、陸上競技などが挙げられます。また、体質的にタナに厚みがあったり大きかったりする人の場合、膝を酷使した状態で膝を強打したりすると発症しやすくなります。

特に大腿の筋肉が疲労していることが原因でタナへの負担が強くなり発症することが多いといわれています。スポーツを行っていない人でも、仕事や日常の動作で膝関節を酷使することも原因となります。

 

 

タナ障害の症状

 

・膝の屈曲時に引っかかる感じがする

・通常時膝の内側を押すと痛い

・膝蓋骨周辺が痛む

・膝崩れ

・膝を動かした際にコキッ、パキンといった音がする

・膝の曲げ伸ばしに制限がある

・膝が腫れる

 

などが挙げられます。軽度のまま炎症が引いていけば問題はないのですが、悪化すると膝に水が溜まったり日常生活に支障をきたすほどの痛みに発展するため、適切な治療が必要となります。

 

※タナ障害の簡単な検査法としては膝の内側に手の指を当て膝を曲げ伸ばしするとクリック音(ポキポキ、コキッ、コキッ)のような症状が触知された場合陽性の可能性があります。

 

 

西洋医学的治療

X線関節造影(レントゲン)やMRI検査、関節鏡検査などにより診断されます。

局所安静、運動量を少なくすることや、消炎鎮痛剤内服、外用薬、超音波や温熱療法などの物理療法などにて保存的に治療を行います。

急性期の炎症が見られる場合にはアイスパックで冷やすなどの物理療法を行います。また、膝関節の柔軟性を高めるための大腿四頭筋(大腿前面の筋肉)やハムストリングス(大腿後面の筋肉)のストレッチ筋力トレーニングを主体とした理学療法を行います。痛みが強い場合、関節内にステロイド投与を行うこともあります。

 

一般的に予後は良好ですが、このような保存的治療でも疼痛が残存し日常生活に支障をきたす場合には滑膜ヒダ(タナ)を摘出する手術療法が考慮されます。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸整骨院|眼精疲労 at 09:14 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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