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書痙の治療

日曜日, 5月 29th, 2022

書痙に対する当院の鍼灸治療

 

 

当院の書痙に対する施術は、まず第一にはりやお灸を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えます。東洋医学では局所的に診るのではなく、全体的に診ることが特徴のひとつであり、全身施術を行うことにより自然治癒力を高めます

 

書痙の自律神経調整鍼灸治療

 

腹部のツボなども用いて内臓の働きを活性化させて自律神経の状態を整えていきます。

腹部の鍼灸治療

 

その他、書痙の症状が出ている腕にも鍼治療を行っていきます。

 

書痙の鍼灸治療

 

 

また書痙は東洋医学的に見ると「風邪」の発生と「肝」の機能障害により「気」「血」「津液」のバランスが崩れて発症すると考えられているので、はりやお灸を用いてツボを刺激することで「風邪」を体外に出したり、「肝」の機能を正常に戻すように促します。

東洋医学の診断方法に基づき全身の調整施術も行っていきます。書痙は全身性の疲労や精神的ストレスが原因となり自律神経系の乱れに繋がる場合が多いです。

そこで当院では、自律神経測定器を用いて自律神経の状態を把握して施術にあたります。当院独自の自律神経調整療法を施すことで、自律神経系が整えられ、書痙の症状が徐々におさまっていきます。
書痙の施術期間は、長くかかる症状の一つです。しかし、当院の施術を受けることで、書痙の回復程度を高め、着実に仕事や生活の質の向上が期待できます。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

 

 

 

書痙の東洋医学的考え

書痙は中医学でいう「風邪」の影響と「肝」の機能障害により「気」「血」「津液」のバランスが崩れて発症すると考えられています。

「風邪」には、突然発症する・変化が多い・人体の表面や上部を侵しやすいという特徴があります。病理反応としては、主に自律神経系や末梢神経の障害によると考えられます。「風邪」が発生する原因には内因(体質素因・精神的素因)と外因(生活素因・自然素因)などがあり、書痙は主に内因によって発症します。

 

東洋医学でいう「肝」には、精神情緒の安定・自律神経系を介した機能調節・栄養物質としての血の貯蔵・運動神経系の調節などの役割があります。そういった機能が失調すると筋肉に栄養が循環できなくなり、ひきつり・痙攣・ふるえなどの症状が現れます。中医学では古くより痙攣やふるえなどの原因は「肝」と関係が深いと考えられています。

また東洋医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに「風邪」に侵されるなどの病態が重なると書痙がおこりやすくなります。両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。

 

 

東洋医学の「肝」機能

疏泄を主る
精神情緒の安定、自律神経を介した機能調節

血を蔵する
栄養物質としての血の貯蔵、自律神経系を通じた血流調節

筋を主る 運動神経の調節
目に開窮し、華は爪にある 視覚系の調節、爪の栄養

 

書痙の鍼灸治療症例

 

50代男性
お仕事柄右手でペンや筆で字を書く機会が多く、2・3年前から字を書くときに震えや肘周辺の筋肉が硬直してしまい上手く字が書けない。比較的朝は調子が良いが、体が疲れてくる夕方ごろになると症状が強く出て字が全く書けないほどになってしまう。また、食事で箸を使って食べる際も細かい食べ物などが持ちずらく、落としてしまうことが多い。
心療内科や整形外科を受診したが、特に治療という治療はしてもらえなかったということで当院にご来院されました。

 

当院の治療
寝つきも悪く、自律神経の状態も乱れていることが考えられたので、施術に入る前に自律神経測定器で自律神経の状態を把握してから治療に入りました。自律神経側敵の結果で交感神経の高い状態だったので、まず交感神経の活動を抑え副交感神経を上げられるような体の力が抜けリラックスできる治療をしました。

次に右手や右の頸肩部・肩甲骨周辺を触診してみたところ、とても硬くなっていたのでそれを解消できるように鍼灸施術や手技療法でアプローチしました。

 

治療経過
◇1回目◇
治療後少し字を書くのが楽に感じた。しかし、夕方ごろになると書きづらさはかわらなかった

◇2~4回目◇
前回同様の結果だった

◇5回目◇
ペンで書いてもだいぶ平気になってきた。以前は筆を持って字を書くことがまるっきりできなかったが、少しずつできるようになってきた

◇6回目◇
右手に上手く力が入るようになってきて箸で食べ物もつかむことが困難ではなくなってきた。

◇7~10回目◇
治療を重ねていくごとに徐々にペンや筆をかける時間が増えてきて寝つきなどもよくなってきた。

 

症例2

20代 男性

一年前から原因不明の書痙に悩まされている。

病院で検査を受けたが何も問題はなく心因的なものと診断された。

今まで様々な治療を試したがなかなか改善が見られず、当院のホームページをたまたま見つけて来院した。

字を書こうとすると手や腕に力が入り、震えてしまうため思ったとおりに書くことができない。字がうまく書けないことへの不安や焦り、憤りを強く感じてしまい、そのためますます力みが生じ書けなくなる。

当院の施術

はじめに自律神経測定器で現在のストレスや自律神経の状態を計測してみたところ、交感神経の割合が高く、逆に心身をリラックスさせる副交感神経の働きが少ない状態でした。

また、精神的ストレス肉体的ストレス共に非常に高く慢性的な疲労が影響しているように感じました。

まず、うつ伏せで首肩背中周りの筋緊張の緩和のためコリに直接刺鍼を行いました。

次に仰向けになり自律神経の調節やリラックス効果のある経穴、利き腕の文字を書く事に関わりがある特に緊張が強い筋肉に鍼とお灸で刺激し、緊張の緩和を目的とした施術を行いました。

◇1回目◇

特に目立った変化はない。

◇2回目◇

心身ともにリラックスできる。

字も以前より書きやすい。

◇3回目◇

まだ完全ではないが、すらすら書けるようになってきた。

◇4回目◇

少し力みが出て、いつもより書きづらい。

睡眠不足や過剰なアルコール摂取した翌日はうまく書けないことが多い。

◇5回目◇

再度スムーズに書けるようになってきた。

◇6回目◇

調子がいい。字に対してあまり変な意識が少なくなってきた。

◇7回目◇

字を書くことに対し、恐怖心がなくなってきた。

調子が良いため施術間隔少し開けてみて様子を見てみる。

◇8回目◇

問題なく書けるようになってきた。

書痙とは?

 

☑字を書こうとする際に痛みや振るえが生じて、まともに書くことができない。
☑力が入り過ぎてうまく字を書けない。
☑誰も見ていないところでは書けるが人前で字を書こうとするとうまく書けない。

 

こういった症状でお悩みではありませんか?それは書痙という症状かもしれません。

書痙とは、字を書こうとすると疼痛あるいは痙攣自分の意志とは関係なく指に力が入り過ぎたりして字を書くことができなくなってしまう疾患です。人前で字を書く際、特にこういった症状が出やすく、大量に字を書く事務系の職業の人に多く発症。。

書痙症例の4分の1は両手に生じて、発症率は10万人に3~7人と少ないものの仕事・自己評価・社会生活に深刻な影響を及ぼします。基本的に会社などでストレスの多い20~40代の男性に多いと言われています。

書痙の症状は書字障害を主として、とくに人前で書くときに症状が強くなります。

ⅰ)硬直型:手の筋肉が過度に緊張して、力が入り過ぎるまたは痙攣して字が書けない。
ⅱ)振戦型:手が細かく震えて、線をまっすぐに書けない。
ⅲ)ジストニア型:自分の意志とは関係なく指に力が入ってしまい、手が屈曲して字が書けない。

 

その他筆圧が下がりうまく字を書けない・手首や指、腕が痛むと感じて字が書けないなどの症状もあり、人によって出る症状は様々です。初期症状としては文字を書くときの場合が多いですが、症状が重症化してしまうと字を書くときに使う筋肉以外の筋肉にも波及することがあり、箸がうまく持てない・ボタンをうまく締めることができないなど日常生活に多大な影響が出てしまいます。

書痙の類似症状は、ピアニストやバイオリニストなどの音楽家に見られることも多く、楽器を演奏するときだけに指が曲がって伸びなくなったり、突っ張ったりします。また手に力が過剰に入るために手や肘に痛みを発症したり、肩こりを伴うことがあります。

 

 

書痙の原因

書痙は神経質で不安強迫観念の強い人に多く発症すると言われており、心理的ストレスなどの要因が影響して発症する心身症(精神的・心理的要因から起こる身体的な症状)と考えられています。
また近年の研究で書痙は、大半が筋肉の緊張や動作を司る脳内運動メカニズムの不調によるジストニアであることがわかってきました。

 

 

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書痙の一般的治療

 

書痙の一般的治療として心理療法薬物療法があります。
心理療法として行動療法(問題となる行動を修正し、結果的に破綻に至らないようにする治療法)や自律訓練法(自己暗示によって心身のリラックスをはかる訓練法)などがあります。
薬物療法として抗不安薬・抗けいれん薬やボツリヌス治療(緊張のある筋肉を特定してボツリヌス毒素を筋注射して緊張のある筋肉を麻痺させる治療法)などがあります。しかし特効薬といったものはありません。

ボツリヌス注射は海外では書痙に対して有効とみなされており積極的に行われているようです。また重度の書痙症状に対しては、ジストニア治療で活用される定位脳手術を行うことがあります。定位脳手術は脳の支障という部分に電気刺激を与えることで改善をはかるものでジストニア治療の際に行われる術法です。

その他抗コリン薬や抗てんかん薬なども処方されることもありますが、まだ効果は十分ではなく新薬の研究開発が進められている段階のようです。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

自律神経調整鍼灸治療

金曜日, 5月 27th, 2022

自律神経鍼灸治療

 

①副交感神経を高めるためにお腹に刺鍼します。
同時にお腹を温めていきます。ストレス社会による交感神経優位の方は副交感神経を高めていくことが必要となります。

自律神経調整鍼灸治療

 

 

副交感神経と交感神経は互いにバランスを取り合う関係でもあるため、一方を高めていくことでもう一方をコントロールしていきます。
副交感神経はリラックス神経と呼ばれています。
人がリラックスした時に優位になるため休息時や睡眠時、食事中に活動します。
食事をすると内臓系が働くことから副交感神経が優位になるのでお腹を外部から刺激することで内臓に刺激を与えられます。

 

②次にうつ伏せ治療では主に症状に合わせた治療を行います。

胃腸の働きを高めていくよう背部にお灸を施すことが多いです。

うつ伏せの自律神経調整鍼灸

 

交感神経は筋肉の緊張を高めますので、全身の筋緊張緩和によりリラックスでき副交感神経が優位になりやすい状態にしていきます。
特に大事にしていますのが、頸部の筋緊張がよくほぐれるように治療します。

PC仕事や目を酷使される方は決まって後頭部が緊張しています。この部分は経験上ですが、うつ病の方やプレッシャーが強い管理職の方も硬く緊張しやすいです。
これは考え事に追われるとストレスを感じてその反応が頭の近くにでるのではと考えています。

そのためこの部分をよく治療すると、寝つきが良くなったり、睡眠時に起きなくなったとよく喜ばれています。

 

 

死の四重奏

当院の治療方針は自律神経を重点に見ており、
現代のストレス社会や生活習慣病に対して治療や予防をしております。

死の四重奏やうつ、不眠などの病気や症状は自律神経が大きく関与していると考えられています。

自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類があり、双方のバランスによって身体をコントロールしています。
このバランスが仕事や悩み、育児などで大きく崩れると身体の体調も大きく変化します。

身体全体をコントロールしているため、部分的な症状より全身症状になります。

全身の症状の中でも糖尿病肥満高脂血症高血圧の四つは「死の四重奏」と呼ばれます。
二つ以上で習慣病に発展していきやすく、2つ3つと重なるほど生活習慣病のリスクが高まります。

日本では、この生活習慣病による罹患率がとても高く、この四つが引き金となって心筋梗塞脳梗塞に発展します。

将来の健康は日々の積み重ねより守られていくもので、罹ってからでは後戻りができません。
微々たる原因の積み重ねで将来大きなものになっていきますから、今のうちから微々たる修正を加えていくことで、大きな代償を払って修正しなくて済むようにしていきましょう。

鍼灸は自然治癒力を高めます!

鍼灸治療はお薬や外科的手術とは違い、身体が本来もっている自然治癒力をたかめる治療法です。
治療概念は自然から組み立てられているため、人にも優しい治療法となるわけです。お薬のように副作用もありません。

自律神経は自然環境に沿って過ごせば、大して崩れないものです。
ですが、今の時代生活をしていくためにもお仕事をしなければなりません。
デスクワークの方は・・・・
・腰痛
・肩こり
・手足の冷、えむくみ
PCやスマホを使われる方は・・・・

・眼精疲労
・近視
・乱視
夜勤などがある方は・・・・
・うつ病
・自律神経失調症
・精神疾患
働くことによる身体の代償はいろいろですが、すべては身体のバランスが乱れることから起きています。
痛い場所だけの治療や慰安目的だけの治療ではなく、当院では自律神経を調整療法で根本から見直す治療が身体を健康にしていきます。

今から少しずつ体を見直していってみましょう。

 

日常生活でやっていただくこと

1.主に朝は必ず朝日を浴びるように勧めています。
朝日を浴びることで人の体内時計はリセットされて夜に眠気がくるようになっています。
この体内時計こそ自律神経が大きく関与していますのです、朝日がその日のスタートに欠かせないことになります。
朝日を浴びる

2.次にコップ一杯のお水を飲んでいただきます
夜に汗により水分が抜けてしまったこともありますが、第一は内臓をゆっくり動かすのにちょうどいいからです。
内臓が動くことで副交感神経が動き出します。
朝はこれから行動していくため本来は交感神経を高めていきたいのですが、これは現代のストレス社会の人にお勧めしている方法です。
寝起きにコップ一杯の水

3.夜は、PCやスマホなどの目に刺激になるものは控えていただきます。
帰ったら家をなるべく暗くしてもらいます。暗い状況ですと身体がリラックスするためです。
夜はパソコンを控える

4.なるべく睡眠三時間前に晩御飯を済ませていただきます。
空腹で睡眠することによりホルモンが上手くでて身体を修復してくれます。
快適な睡眠

これが一日の健康なリズムとなります。

これに時間が取れる方や余裕がでてきた方には、
毎朝のウォーキングをしてもらいます。
汗をかくぐらいのウォーキングで泌尿器が鍛えられます。
息が早くなるぐらいで呼吸器が鍛えられます。
さらに息切れするぐらいで筋骨系が鍛えられて、脳内からはドーパミンが出てきます。

時間としては40分がお勧めです。
40分以上ですと身体が疲れてしまい、40分以下ですと効果がでません。

当院の自律神経調整法とこの生活指導を行っていただくことで将来の健康を作っていきましょう。

 

症例

40代 男性

以前から不眠で悩まされていて、最近ひどくなってきた。疲れがひどく精神的にも落ち込みが激しくやる気が出ないうつ状態に陥ったため、2か月前から休職している。休職前に比べたら多少改善してきたが、まだ眠れないことが多い。平均睡眠時間は約4~5時間程度。

不眠の状態は入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒があり、それぞれ日によって繰り返す状態。

不眠の他に、うつ状態、手足の冷え、緊張性頭痛、胃腸の不調が見られる。

職業はプログラマーで、睡眠を削って仕事をすることが多く、時には徹夜することもある。

 

当院の施術

問診で詳しく話をお聞きした後、自律神経測定器で現在のストレス度や自律神経の状態を測定しました。

休職中のためか肉体的ストレスは正常値でしたが、精神的ストレスがやや高い状態でした。

自律神経は昼間にもかかわらず副交感神経の割合が高く、逆に交感神経がほとんど働いていない状態で、交感神経と副交感神経がそれぞれ逆転して働いてしまっている事が分かりました。

触診では、お身体全体の緊張が非常に強く常に力が入っている様な状態で、特に肩首の筋緊張が強く感じました。

まず仰向けで腹部や手足、頭部にあるリラックス効果、自律神経調節に効果が高い経穴に鍼やお灸で刺激をしました。

次にうつ伏せで、背部の経穴や首肩の硬結に刺鍼、また不眠に効果的な安眠穴にも鍼で刺激をしていきました。

 

経過

◇1回目◇

不眠は大きな変化はないが、施術後は身体がポカポカして気持ちよかった

◇2回目◇

以前より自然とリラックスできるようになってきて、身体の力みが減少

◇3回目◇

以前より入眠時間が早くなったような気がする

寝起きが楽に感じる

◇4回目◇

手足の冷えや胃腸の不調が気にならなくなってきた

中途覚醒が減ってきた

◇5回目◇

1週間の間で不眠が全くない日が4日あった

気分もすごく快適

◇6回目◇

考え事をしてしまうと寝つきが悪い日もあるが、それ以外は十分寝れている

◇7回目◇

平均睡眠時間が7時間まで改善

冷えや胃腸の調子も改善し、気分の落ち込みもなくなった

 

鼻づまりの鍼灸治療

木曜日, 5月 26th, 2022

 

鼻づまりに対する当院の鍼灸治療

鼻づまりに対する当院の鍼灸治療方針は主に3つあります。

自律神経を整える
自律神経が乱れている状態ですと免疫力の低下に繋がって粘膜の炎症・鼻づまり状態となりやすくなってしまいます。自律神経測定器で自律神経の状態を把握して自律神経の状態をお整えていくことで免疫力をアップさせます。

鼻づまり対する自律神経を整える鍼灸治療

『肺』と『大腸』の機能を正常にする
東洋医学的に鼻づまりを診ると多くは、五臓六腑の『肺』と『大腸』の機能異常だと考えられます。それらに重要な経穴を用いて機能を正常に戻す施術を行います。

肺経への鍼灸治療

鼻周りの施術
特に鼻周りに鼻づまりを解消する特効穴があります。それらに鍼を刺して時に通電療法を行っていきます。

鼻づまりの鍼治療

 

鼻づまりに対する東洋医学の考え

 

鼻汁や鼻づまりなど鼻の原因は、東洋医学では『肺』と『大腸』が大きく関係していると考えられています。

肺について
その中でも五臓六腑の肺には『宣散・粛降を主る』『気を主る』機能があり、それが鼻詰まりの原因と関係しています。

『宣散・粛降を主る』
気や津液を全身のすみずみまで、散りばめて機能させることを言います。特に肺呼吸や皮膚呼吸・発汗により津液を放出させたりして体液のバランスを維持しています。また気道平滑筋や呼吸筋を調節して呼吸機能を正常に行わせる役割もあります。

『気を主る』
呼吸によって体外の清気を取り込み、体内の濁気を排出する、気の交換作用があります

肺の病変では、主に呼吸器系や水分代謝の面の障害が現れます。

 

大腸について
東洋医学で大腸には、『伝化を主る』という役割があり、主に大便の排泄を行っています。肺とは気機の下降の面で関連を持っています。また東洋医学では『肺』と『大腸』は表裏関係にありとても密接に関係しています。

『伝化を主る』
大腸は、小腸が分別した濁を受け取って一部の水分を吸収したのちに大便として体外に排出役割があります

 

『肺』と『大腸』が不調となると…
『肺』と『大腸』が不調となると気や津液が全身のすみずみまで行き渡らなくなり、免疫力の低下が起こり、特に粘膜に炎症がおこりやすくなります。また、津液が循環せずに停滞してしまうために鼻や喉に津液が溜まりやすくなり、鼻づまりなどの症状を引き起こしやすくなると考えられています。

 

鼻づまりとは

鼻づまりは、風邪などにかかると誰しも一度は経験があることかと思います。鼻づまりは、一見するとたいしたことのない症状に聞こえますが、鼻づまりが慢性的となってしまうと集中力の低下頭痛嗅覚や味覚の障害など身体に様々な悪影響を及ぼしかねない決して侮ってはいけない症状の一つです。

鼻詰まりの原因

鼻づまり症状が続いた場合、鼻づまりを起こしている原因を特定することは治療を行う上でとても大切となってきます。鼻づまりを起こしてしまう原因によっては手術も必要となってくるからです。

まずは、鼻の構造や役割を知っておく必要があります。鼻の中の空間は鼻腔といわれ、鼻中隔によって左右に分けられています。その左右に分けられている鼻腔のそれぞれの壁から空間を分けている3つの骨が張り出していています。その空間を上から順に上鼻道・中鼻道・下鼻道といいます。鼻腔の壁には毛細血管が豊富にある粘膜で覆われている為その血管が炎症してしまうと容易に腫れて鼻づまりを起こしてしまいます。

粘膜の表面は細かい毛が生えており、粘膜から分泌される粘液と共に外から侵入してきた微生物や細菌・ウィルスを吸収や除去する役割があります。また、外気温が低い場合吸った空気がそのままの温度で体内に入ると体温を下げてしまうので鼻腔には吸った空気を温めたり、加湿する機能も備わっています。

鼻には臭いを識別機能も備わっており、鼻腔上部にある嗅細胞はにおいの情報を脳に伝達する重要な役割があります。そのため鼻腔上部が鼻汁などで覆われてしまうとにおいを脳に伝達する機能が弱まり、においを感知しにくくなるのです。

 

これら体にとって重要な機能を持つ鼻がつまってしまう原因として主に4つ挙げられます。

 

鼻炎を繰り返す

鼻腔は外からのウィルスや細菌を体内に入れないようにして体外に排出する防御機能の役割があります。その際、ウィルスや細菌に対する抵抗力がしっかりと備わっていれば問題ないのですが、疲労やストレスなどで体の抵抗力が弱くなっていると鼻腔内にウィルスや細菌が溜まってしまい鼻腔内で炎症を起こしてしまい、鼻づまりの原因となってしまいます。

なかなかウィルスや細菌が体外に排出されない状態が続いてしまうと鼻粘膜は腫れあがり慢性的な鼻づまりが起こってしまい、鼻づまり症状がなくなるまでに長い時間がかかってしまうのです。

 

 

鼻の構造

鼻を左右に分けている鼻中隔がどちらかの方向に突出してしまっていると空気の流れに大きな差が出てウィルスや細菌が一方の鼻に集中してしまうため鼻づまりを起こしてしまう可能性が高まります。また、鼻にポリープなどの腫瘍ができている場合でも鼻づまりを感じやすくなります。

その場合、どちらか一方の鼻が異常に鼻づまりを感じます。鼻が正常な状態の場合でもどちらかの鼻がつまりやすくて逆の鼻は通りが良いという場合がありますので、自分で判断することは難しいですが、どちらかの慢性的に鼻がつまって息苦しさを感じる場合は、一度耳鼻科で診てもらう必要があります。

 

 

アレルギー反応

スギ花粉やハウスダストによって鼻づまりが起こることは良く知られています。スギ花粉やハウスダストなどのアレルギー反応はそれら異物を身体が過剰に反応して体外に排出しようとして鼻汁やくしゃみを引き起こします。

それに加えてアレルギー反応が強く出ると鼻づまりを起こして体外の異物を身体にこれ以上入れないようにする言われています。

 

副鼻腔に膿が溜まっている

アレルギー性鼻炎や鼻風邪をきっかけにして鼻粘膜の炎症が強いと副鼻腔という部分に炎症が起きてしまい、膿が溜まってしまいます。その膿は排出されることが難しく慢性的な鼻づまりの原因になります。

鼻づまり

副鼻腔炎について詳しくはコチラ

鼻づまりを放置しておくと…

鼻づまりだといって何も処置をせずに放っておくと鼻づまりだけの不快症状ばかりでなく、身体に様々な悪影響を及ぼします。

 

頭痛や目の奥の痛みの原因に

慢性的な鼻づまりを放置しておくと、副鼻腔にどんどん膿が溜まってしまい蓄膿症になってしまう可能性があります。蓄膿症は頭痛や目の奥の痛みや頬周辺の痛みの原因となります。
鼻の穴のことを鼻腔と言いますが、その周りは骨で囲まれた左右それぞれ4個の空洞があります。これを副鼻腔といいます。この副鼻腔は、強い衝撃が顔面部にかかった時の衝撃の吸収材となったり、声を響かせるために必要な空洞と言われています。副鼻腔は鼻腔とつながっている為、鼻腔部分が風邪などのウィルス感染していると副鼻腔にまで影響を与えてしまうのです。
副鼻腔の中に分泌物や膿などが溜まってしまうとなかなかうまく外に排出できなくなり、炎症の原因となってしまいその周囲に痛みの症状となって現れてしまうのです。また、副鼻腔炎をそのままにしておくと中耳炎などの耳の疾患や喉の痛み・気管支喘息などの喉の疾患に繋がってしまう可能性がありますので注意が必要です。
その他稀なことではありますが、副鼻腔炎が脳の方にも炎症が及んでしまい、脳膿症や髄膜炎などの症状にも進行してしまう可能性もあります。そうなってしまうと意識障害や麻痺などの重い後遺症や酷い場合だと命をも落とす危険性までもあるのです。

まれではありますが、副鼻腔の炎症が脳に及んで、脳膿症、髄膜炎、硬膜下膿瘍などが起こり、意識障害や麻痺などの症状が起こることがあります。これらの合併症が起こると、重い後遺症が残ったり、死に至るケースもあります

 

集中力の低下

鼻づまりが慢性化すると脳に供給される酸素の量が減ってしまい脳が酸欠状態に陥ってしまう場合があります。すると記憶力の低下や集中力の低下に繋がってしまいます。仕事の質の低下や仕事でもミスを犯しやすくなってしまうのです。

 

嗅覚障害や味覚障害

慢性的な鼻づまりにより、嗅細胞のある鼻腔上部が覆われてしまうとにおいが感じにくくなってしまいます。鼻づまりが慢性化している状態が続くと鼻づまりが治って嗅細胞が覆われなくなってもにおいが感じにくくなる場合もあるので注意が必要です。

また味覚は嗅覚に頼っている部分も大きく嗅覚が弱くなってしまうと必然と味覚も低下してしまうのです。

嗅覚障害について詳しくはコチラ

咳や痰の原因に

鼻腔の後部は喉の部分とつながっており鼻汁は溜まると喉に落ちていくことがあります。それを排出しようと咳や痰が出ます。

 

睡眠障害

鼻づまりは息苦しさのため睡眠の妨げとなることが多いです。また鼻腔内が狭くなっていていびきの原因となり睡眠の質も低下します。酸素が十分に体内に取り込まれないために疲れも溜まりやすく、それが免疫力の低下に繋がりさらに鼻腔の炎症を抑える抵抗力が弱まり鼻づまり症状を強く出してしまう悪循環に陥ってしまうのです。

睡眠障害について詳しくはコチラ

症例

20代女性

アレルギー体質でハウスダストや花粉で鼻がつまりやすい。

耳鼻科にも通い薬を飲んでいるが、鼻水はとまっても鼻のとおりはいまいちよくならない。

寝るときも口呼吸になるので喉もいためやすく、寝ても疲れが取れないことも改善していきたい。

 

当院の治療

当院では、第一に自律神経を整えて、次に鼻まわりの特効穴に鍼を指し、鼻の機能を正常にもどす施術を行います。

自律神経が乱れると身体の免疫力も低下し鼻づまりを起こしやすい体質になりますので、自律神経を整えていくことが重要になります。

また、睡眠の質の低下で全体的に身体がかたくなっていたので、頭や背中などにも鍼を行い全身のめぐりをよくするような施術をしました。

◇1回目◇

鼻のまわりに鍼をうったとき、少し痛かったが鼻がとおる間隔があった。

◇2回目◇

施術をしてもらった当日は調子がよかったが次の日にはもとに戻ってしまった。

背中はとても軽くなってよかった。息が吸いやすい感じがした。

鼻をあたためるようにアドバイスをしてもらったので今日からやってみようと思う。

◇3〜7回目◇

鍼灸治療に加え鼻をあたためるセルフケアをはじめたところ、症状は緩やかによくなっている。

アレルギー症状がでたときはつまるが、いつの間にかよくなることもある。

睡眠も以前に比べるとぐっすりと眠れている。

◇8回目◇

体質改善をめざし今後も通って経過をみていく。

 

自宅でできる鼻づまり解消法

鼻づまりが慢性的な状態となってしまうと、口で呼吸することが多くなって鼻腔の役割であるウィルスや細菌などの外敵から体を守ることが難しくなり、風にかかりやすくなってしまいます。また、睡眠の質が低下して睡眠中に十分な酸素の供給ができない状態となり、脳や体の疲れが溜まりやすい状態となってしまいます。
当院の鼻づまりに対する施術と合わせて自宅でもケアしていただけるとさらに効果的です。

・鼻を温める
鼻を温めた濡れタオルを当てて鼻を温めると鼻粘膜の血流が良くなることで鼻腔が広がる状態となって鼻詰まりが解消されやすくなります。濡れタオルの他にも入浴中に洗面器などにお湯をためて鼻を近づけて呼吸するという方法もあります。

・部屋の湿度を高める
空気が乾燥していると鼻の粘膜も乾燥しやすい状態で鼻詰まりの状態になりやすい状態となってしまいます。またウィルスや細菌、花粉、ハウスダストなども浮遊しやすい状態となり、それが風や鼻炎の原因となってしまうのです。

・首の後ろや後頭部を温める
髪の生え部分の後頭部に鼻に関する需要なツボがありその部分を温めると鼻の通りが良くなることがあります。そのほか頸と肩の境目にあたる大椎というツボも温めると効果的です。その部分をぬれタオルで温めたり、就寝の際はネックウォーマーなどで首を冷やさないように心がけましょう。。

帯状疱疹の鍼灸治療

月曜日, 5月 23rd, 2022

帯状疱疹に対する東洋医学

 

帯状疱疹の東洋医学

 

東洋医学では、病気になる原因として多く分けると内因(体質的要因・精神的要因)と外因(生活的要因・自然的要因)に分けられます。外因は、内因を通じて身体に影響をもたらします。

多くの病気は、この外因を突き止めて除去することが重要となってきます。

帯状疱疹では、この外因の生活的要因・飲食の不摂生・風邪・熱邪・湿邪が体に影響を与え、東洋医学でいう「肝」や「脾」を侵します。

 

生活的要因

睡眠不足や過労、食生活の乱れ・性生活の乱れなど不規則の生活を送っていると帯状疱疹が発症する原因となります。

 

飲食の不摂生

暴飲暴食・不規則な食事・偏食・辛いもの・香辛料やアルコールの過剰摂取は帯状疱疹の原因となります。

 

風邪

風邪に侵されると、

  • ・突然発症する
  • ・症状に変化が多い
  • ・人の表面や上部に影響を与えやすい

という特徴があります。自律神経系や末梢神経系の障害を主な特徴とします。

 

熱邪

熱邪に侵されると

  • ・発症が急で激しく、進行が早い
  • ・局所的に発赤・高熱・疼痛・腫脹・目の充血などの症候が見られる
  • ・脱水症状をきたしやすい
  • ・排泄物が粘っこくドロドロとする場合が多い

などの特徴があります。炎症による症候を主な特徴とします。

 

湿邪

湿邪に侵されると

  • ・経過が長く治癒に時間がかかる
  • ・体が重だるく、症状がそこにと停滞しやすい
  • ・顔面や手足がむくみやすい
  • ・消化機能を侵しやすい

などが挙げられます。湿邪は、季節や環境による影響を受けやすく、雨の日や湿度の高い日などに症候が現れやすいです。

 

帯状疱疹はこれらの外因が一つではなく、様々な外因が合わさり、「肝」や「脾」を侵すと考えられます。

  • ・肝火上炎

湿邪や熱邪が「肝胆」にとどまって発生します。肝の陽気が過亢進状態となり、胸脇部の痛みや発赤、めまいや頭痛、顔面部の痛みや目の症状も呈します。過労やストレスが原因となる場合があります。

  • ・肝胆湿熱

主に湿熱の邪気によって「肝胆」の機能が障害され、消化器系の炎症や自律神経の失調、水分代謝に影響を与えます。

胸脇部の張った痛みやピリピリとした痛みが出ます。便秘軟便を繰り返したり、手足が重だるくむくみの症状が出る場合もあります

  • ・湿熱阻帯脾

湿邪と熱邪が「脾」とどまって熱の炎症症状や胃腸障害、水分代謝の障害がみられます。

皮膚の掻痒や発熱症状がみられることも多く、長期間続く場合もあります。

 

帯状疱疹に対する当院の鍼灸治療

 

鍼灸の鎮痛効果で帯状疱疹後の神経痛を和らげます。鍼刺激は脳内モルヒネを生み出すことがありますので、全身の痛みを和らげてくれて、精神を安定させる働きもあります。刺した鍼に電気を流す鍼通電療法でさらに鎮痛効果が促進される効果が期待できます。

 

帯状疱疹の鍼灸治療

 

また、お灸には抗炎症作用もありますので合わせて帯状疱疹の周りにお灸治療も行っていきます。

 

 

 

 

経絡治療では、精気の虚に内因と外因、不内外因の病因が加わると、気血津液・臓腑経絡に影響し、人体が内側から傷つき外から侵入されて病気になります。

帯状疱疹には風邪、熱邪、湿邪が関係すると上述しました。これは外因からの毒邪の侵入により内因が侵されるというものです。

風邪から始まる病が多いのと風邪は他の邪と合わさって発病します。

風邪による病証では、まず頭顔面部や肌表の症状が多く現れます。

特徴は発展変化が早く遊走不定です。

東洋医学的治療としましては、熱邪や湿邪を取り除くことが第一優先となります。熱を下げるように施して外因の勢いを弱めて胃腸の働きを整えることで湿邪と熱邪を外に出すように促します。

帯状疱疹の胃腸を整える鍼灸治療

 

 

使用経穴は

熱を下げる・湿邪を排出するという目的で「行間」・「狭渓」・「支溝」・「外関」・「肝兪」・「胆兪」を使用します。局所の帯状疱疹については鎮痛目的で

顔面部の帯状疱疹には、「陽白」・「下関」・「四白」・「頬車

胸脇部の帯状疱疹には、「期門」・「大包

腰腹部の帯状疱疹には、「章門」・「帯脈

 

帯状疱疹の鍼灸治療の効果について

帯状疱疹は、激痛を伴い疱疹が治ったとしても帯状疱疹後神経痛が起こることがあり、長い間痛みに苦しめられることも少なくありません。

神経ブロックや鎮痛薬の長期服用は、副作用のリスクや効果が段々と減退していくというリスクがあり、近年ペインクリニックでも鍼灸治療が選択されることがあります。帯状疱疹の鍼灸治療について大阪労災病院麻酔科ペインクリニックの研究では、41症例中で発症から2か月以内の患者さんではほぼすべての方に痛みの軽快がみられ、発症して2~6ヶ月経過した方で約90%の方が軽快、6ヶ月~1年経過で80%の方が軽快、1~2年経過で66%の方が軽快、2~5年経過で60%の方が軽快、5年以上経過で50%の方が軽快したという結果が出ています。

また、この研究では帯状疱疹の痛み症状に鍼治療が効果があるばかりでなく皮膚症状にも寛解させる効果があると推測されています。

「帯状疱疹痛に対する鍼治療の効果」

https://ci.nii.ac.jp/naid/130004065889

 

帯状疱疹の鍼灸治療症例

 

30代男性

3週間前から仕事のストレスやストレス解消による暴飲暴食などが加わり、胸部から肋間部にかけて痛みと疱疹が出た。皮膚科を受診したところ帯状疱疹と診断されて抗ヘルペスウィルス薬などを処方されたがなかなか改善されず当院を受診。

 

当院の治療

仕事でのストレスにより自律神経が乱れていることが考えられたので自律神経測定器で計測し、体の状態をしっかり問診した上で治療に入りました。まずは、自律神経調整療法で自律神経の状態を整えて、鎮痛効果を促す鍼灸治療・湿邪や熱邪を取り除くと東洋医学的観点からの鍼灸治療を施しました。

 

治療経過

◇1回目◇

治療後痛みは少し軽減したとのことだが効果はそこまで持続せず、2日目には痛みは戻ってしまった。

◇2回目◇

2回目の治療後痛み軽減。鎮痛効果も1回目よりも継続。

◇3~6回目◇

痛みがだいぶ治まってきたが、疱疹はまだある。

◇7~10回目◇

痛みと疱疹は治まったが、目の症状(充血・痛み・かすみ)が出た。

◇11~14回目◇

治療間隔を1週間に2回のペースを1週間に1回に治療間隔を伸ばしていき、目の症状も治まってきたところで治療を終了した。

 

帯状疱疹とは

 

帯状疱疹は、水痘罹患後に三叉神経や脊髄後神経節に侵入していた水痘帯状疱疹ウイルスが、免疫力低下や加齢などが誘因となって発症するものです。

 

水痘にかかると、ウイルスは皮膚から神経に侵入しますが、免疫力によってウイルスは消失して症状は治癒します。

治癒したからといってウイルスが消滅したわけではなく、一部のウイルスは脊髄近くの神経節に潜伏します。

潜伏中は症状が出ませんが、免疫力の低下や加齢によってウイルスが再活性化し、皮膚に症状が出たものを帯状疱疹といいます。

神経節に隠れていますが長いものだと何十年と潜伏します。

帯状疱疹は一生に一度しか発症せず、免疫力が低下している方を除き再発することは稀です。

帯状疱疹

 

 

発症

帯状疱疹の初期症状は疼痛違和感激痛とさまざまな痛みからなります。

この痛みは片側性で起こります。

痛みが起きてからの数日後に赤い斑点がみられ、次第にブツブツした丘疹となって水ぶくれに変わっていきます。この状態が多発してきて帯状に広がっていくのが特徴になります。

 

この頃から神経痛も強くなり、わずかな刺激にもピリピリと痛みを感じるようになります。

このタイミングで医療機関に受診される方が多いです。

 

経過

帯状疱疹は約三週間前後で治りますが、痛みは治りにくく帯状疱疹後神経痛となることがあります。

後遺症として帯状疱疹後神経痛になると痛みが続き、数カ月も痛みが続く場合もあります。

 

 

帯状疱疹後痛

この帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹が治癒した後に数か月以上続く痛みです。ウィルスによって神経が傷つけられてその回復が遅れてしまうことによって痛みが継続するものと考えられています。

強い痛みのため夜も眠れないような痛みになることもあります。

帯状疱疹後神経痛は体の免疫力と深いかかわりがあることがわかっており、高齢者や免疫力が低下している人ほど痛みが残ると言われています。また、帯状疱疹にかかってしまった時の対処の遅さも帯状疱疹後神経痛に関係してくると言われており、発症後3日以内に抗ウィルス剤の服用などの処置を行うと帯状疱疹後神経痛にかかりにくいとされています。

その他にも帯状疱疹の時に皮膚症状が強い方や夜も眠れないほどの強い痛みの方は帯状疱疹後神経痛になる可能性が高いと言われています。

帯状疱疹後の後遺症には、痛みの他にも感覚が鈍くなったりすることもあります。

 

病院での治療法

抗ヘルペスウイルス薬の使用です。

早期から抗ウイルス薬を使用することで、皮膚や神経のダメージを軽くすることが期待できます。

また、水泡がつぶれて細菌感染した場合は抗菌薬の使用です。

 

痛みに対しては消炎鎮痛薬で痛みを鎮痛します。痛みに敏感になると普段は気にならなかった痛みでも過敏に反応して痛みが治りにくくなってしまいます。

夜間の痛みには座薬を使用することもあります。

 

<コロナ禍で帯状疱疹が増加>

 

新型コロナウィルス禍で帯状疱疹が増加傾向にあるということがいわれています。

 

通常の帯状疱疹は、50代以上になると発症率が上昇します。それは人間が本来持っている免疫機能が関係しています。帯状疱疹ウイルスは脊髄の神経節に潜伏していて身体の免疫機能で活動を抑え込んでいますが、免疫機能が低下してきてしまう50代以上になると発症リスクがどうしても上がってしまうのです。

 

今回の新型コロナウイルスでは、50代以下の若年層にも帯状疱疹の患者さんが増加してきているといわれています。

 

その要因として挙げられるのが、新型コロナ禍で外出規制など生活環境の目まぐるしい変化によって受けるストレスやコミュニケーション不足などからくる孤独感などさまざまなストレスからくる免疫機能の低下です。

10代や20代でもリモート授業の影響や運動量の低下、収入の減少、先の見えない未来への不安感、また気晴らしに自由に友達と遊んだり飲み会なども行うことが出来ない状況下だったことからストレスフルとなり、帯状疱疹を発症することも少なくありません。

 

実際に当院にも帯状疱疹やそれに伴う帯状疱疹後の神経痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺等の患者さんが増えてきた印象です。

帯状疱疹の合併症

 

ラムゼイ・ハント症候群

帯状疱疹の水泡が耳介や外耳道にできて、顔面神経麻痺、難聴やめまいなどの内耳神経症状を伴うものです。

 

眼の病気

目にできる帯状疱疹は痛みやかゆみだけではなく視神経にも悪影響を及ぼして、角膜炎網膜炎を引き起こします。視神経がおかされると最悪失明の可能性もあります。目の周囲に帯状疱疹ができた時はこれらが併発する可能性があります。

 

 

脳炎や髄膜炎

脳炎は脳が炎症するものです。

吐き気頭痛意識障害高熱などの症状がでます。

髄膜炎は脳や脊髄を覆う膜に炎症ができたものです。ウイルスや細菌などから感染して発症することがあります。症状は頭痛項部硬直嘔吐錯乱などです。

この二つは気をつけなければなりません。取り返しがつかないほど悪化することや最悪死に繋がる可能性もあります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

目の痛みの鍼灸治療

金曜日, 5月 20th, 2022

当院の目の痛みに対する鍼灸治療

・問診

しっかりと時間をかけて問診をすることで症状にアプローチしていけばよいのか患者様とともに話し合います。どんな些細なお身体のお悩みもお話し下さい。それが原因の可能性があったり、治療効果の促進にもつながります。

また症状の程度にとりましては、専門医の診察を勧める場合もございます。

 

丁寧な問診

 

・自律神経測定

痛みは自律神経を乱します。それは長い間痛みに悩まされていた方ほど顕著に現れます。

痛みは交感神経の活動を促進させて、血流低下に繋がったり、睡眠の質の低下、ひどい場合には自律神経失調症なども合併してしまう可能性もあります。

当院では、治療を始める前に患者様の今の健康状態をしっかり把握したうえで治療していきます。

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・鍼灸治療

まずは、仰向け治療で自律神経調整治療を施してその後うつ伏せで首肩や背腰部の筋緊張を和らげていきます。

目の痛みに対する頸肩鍼灸治療

目の痛みに限らず『痛み』は、交感神経を高ぶらせてそれが長時間続いてしまうと自律神経が乱されてしまうのです。痛みが出ると筋肉は緊張して体は力が入った状態です。まさにその状態は交感神経が強く働いているのです。逆にリラックス神経である副交感神経は働きが鈍くなってしまいます。

 

そしてさらにその自律神経の乱れが血液循環を悪化させることで痛みの源である発痛物質や疲労物質は停滞しやすくなってしまい更なる痛みをまねいてしまうのです。自律神経のバランスを整えるということはこの負のスパイラルを断ち切り、身体を回復方向へと導きやすくさせるのです。
また、目の痛みがある患者さんの多くは耳の後ろの筋肉が凝り固まっている方が多いです。そのようなコリの強く出ている箇所をしっかりとほぐしていきます。

最後に仰向け治療にて目の周りの施術を行い、鎮痛作用や抗炎症作用の期待できる鍼やお灸の施術を行います。

目の痛みに対する鍼灸治療

 

回数を重ねるごとに徐々に刺激量を増やしていき、鍼通電療法を施す場合もあります。鍼刺激と並行して低周波の電気刺激を与えることで鍼の鎮痛効果がより一層見込めます。電気の刺激がどうしても苦手という方は遠慮なくお申し付けください。別の施術法でアプローチしていきます。

 

 

症例

40代女性

パソコン作業を主な仕事にしており、労働時間は長く一日12時間働くこともある。当院ご来院一年ほど前からさらに仕事が忙しくなり、明け方まで仕事をすることもあった。だんだんと身体に疲れが溜まってきて最初身体が重く感じてまぶたも重たいと感じるようになった。その状態で仕事を続けていると、目の奥に痛み・首肩のこりや痛みを感じ、仕事もスムーズにはかどらなくなってしまった。かすみ目がひどく視力の低下を感じていたため眼科を受診したところドライアイと眼精疲労と診断され、目薬を処方された。目薬をしてもあまり改善がみられないため当院にご来院された。

 

治療
・自律神経調整治療

・首肩の筋緊張の緩和

・目の周りの血流及び筋疲労の改善

の3点を目的に治療していきました。

 

治療経過
◇1回目◇
1回目の治療で首肩のコリ・痛みはだいぶ軽減した。眼精疲労・眼精疲労は変化なし

◇2回目◇
治療終了後、身体の重さがとれて体が軽くなった。

◇3回目◇
目の疲労・かすみが前は朝からあったが、夕方から夜だけに感じるようになった

◇4~6回目◇
仕事のペースが上がるようになりはかどるようになったが、今までの遅れを取り戻そうと体に無理をきかせたため目の調子は良くなったり悪くなったりを繰り返した。

◇7回目◇
仕事も落ち着いて行うようになり、目の調子もよくなってきた。以前感じていたようなまぶたの重たさは感じなくなった。

◇8回目◇
かすみ目が改善されて遠くの物が以前よりも良く見えるようになったとのこと。

◇9回目◇
身体全体・目の調子はよく、ほぼ仕事に支障は出なくなった。

◇現在も通院中◇
集中的な治療は終了して現在も目の症状の予防または仕事の疲れを取りに2~3週間のペースで来院中。

 

例2

50代 女性
ある朝顔を洗おうと水を顔にかけたところ、目の周りから頬にかけて激しい痛みが走った。それ以来風に当たった時などふとした時に痛みが走るようになってしまった。病院を受診したところ三叉神経痛と診断されて痛み止めなどが処方された。最初は弱い薬を処方してもらったが、薬の効果もだんだんと薄れてきてどんどん強い薬へと変わっていった。薬がいくらか効いている時は、痛みを感じにくいが薬の効果が切れてしまうとまた激しい痛みが襲ってしまう。また薬の副作用のせいか体が常に重だるく感じて胃腸の調子もすぐれない。
どんどん強い薬にかわっていってしまうのがこわくてどうにかして薬に頼らずに痛みを軽減させたいということで当院にご来院された。

治療
自律神経測定器で自律神経の状態を計測したところ交感神経の活動が高く、ご本人の感覚としましても常に体が緊張状態でリラックスできていない日が続いているとのこと。睡眠の質の低下している状態。
まず頸肩に鍼を刺して通電気療法をほどこした後に仰向けとなり、痛みの強く出ている顔面部周囲に鍼治療を行っていきました。それと並行して腹部などのツボを用いて自律神経の状態を整えていきました。顔面部の刺鍼になれてきたところで通電気療法も行っていきました。

◇1回目◇
施術が終わった直後はうそのように痛みが消えた。触れても痛みが出ない。しかし、次の日の朝にはまた痛みが出た。しかしその日はぐっすりと睡眠がとれた

◇2~5回目◇
施術回数を重ねていくたびに体の状態は良好。痛みはたまに感じるがひどい時の半分程度。

◇6回目◇
夜遅くまで仕事をしていて疲れが溜まっている時にまた激しい痛みを感じたがそれっきり感じない

◇7回目◇
朝こわごわと顔を洗っていたが痛みが軽減したためこわごわと洗う感じは消えてきた

◇8回目◇
痛みというよりもピリピリという痺れに近い感覚に変わっていった。痛みよりは日常生活を送るうえで楽とのこと

◇9~12回目◇
痺れの感覚も消失。顔面部に痛み・痺れ感覚は感じなくなった。

 

症例3

30代 男性

以前から眼精疲労やドライアイが気になっていたが、2週間前から眼の奥が重だるくなり、次第に痛みに変わってきた。

普段はデスクワークで1日に10時間以上使用使用しているためかなり眼を酷使しており、首肩コリが強く感じる。疲労が蓄積してくる週末は必ず頭痛が起こる。

眼の痛みは温めると軽くなるが、また仕事すると痛みが強くなる。最近は霞もひどくなってきた。

緑内障の症状と似ていたため、念のため眼科に受診をしたがそちらの問題はなく、重度な眼精疲労と診断された。

当院の施術

当院では、①眼の血流促進 ②自律神経調節 ③首肩の筋緊張の緩和 ④肝や腎の経絡を使用した東洋医学的な施術を中心に行いました。

まずうつ伏せで、眼に関わる肝や腎の経絡に鍼で刺激し、首肩の硬結にも刺鍼し緩めていきました。次に仰向けで自律神経の調節を目的とした施術、眼の周囲にある「攅竹」「魚腰」「太陽」「四白」に刺鍼し、そこに低周波を流す「電気鍼療法」で眼の痛みを抑制しさらに血液循環も促しました。

経過

◇1回目◇

眼の痛みはまだ変わらないが、身体がポカポカして気持ちよかった。リラックスできた。

◇2回目◇

眼精疲労が軽くなり、眼の痛みも少し軽減したような気がする。

しかし、1日経つとすぐ戻る。

◇3回目◇

睡眠がしっかりとれているような気がする。疲労感が薄れてきた。

◇4回目◇

眼の痛みが軽減してきて、楽に生活できるようになってきた。

◇5回目◇

仕事中に気にならない日が増えてきた。

◇6回目◇

ほぼ痛みは感じない。

現在、眼精疲労やお身体のメンテナンスのため通院中

 

 

目の痛みについて

当院にご来院される患者さんは、肩こりや腰痛など一般的に鍼灸治療に効果があると認識されている疾患も多いですが、目の症状で悩まされてご来院される患者さんも多いです。その中でも「目の奥が痛い」「目がゴロゴロして異物感があり痛い」などと言われる方も多いです。

今回は、「目の痛みの治療」について書かせていただきます。

自律神経の乱れ

 

目が痛いと感じたことがある方は、非常に多いかと思います。目の痛みの原因と言いましても様々な疾患があります。眼は人体の中でもとても敏感な器官ですので、痛みを感じる神経が数多くあります。

目の痛みにも種類があります。

 

目の表面の痛みや異物感

眼瞼や眼球の表面の結膜または角膜に異常がある場合が多いです。

ものもらい

ものもらいは目の周囲が赤く腫れて痛みやかゆみを伴います。比較的罹患率が高く、一度は罹ったことのある方も多いかと思います。

また目の周囲が不衛生であったり、体の抵抗力が弱まった時に再発する可能性が高くなります。

 

 

角膜炎

眼球外壁は、強膜・角膜に覆われています。角膜炎は角膜がコンタクトレンズの装着や花粉症などにより角膜が炎症や潰瘍を起こしてしまう疾患です。目の痛みや異物感で涙が多く出たり、視力低下や光が異常にまぶしく感じます。

 

など

目の奥の痛み

 

三叉神経痛

三叉神経は12対ある脳神経の一つで、その名の通り3つに枝分かれしている神経で額・頬・顎に枝分かれしています。この3つの神経のどれかに異常を生じて数秒から数分続く発作性の激しい痛みが起きます。

三叉神経痛は、三叉神経がその周囲の血管に圧迫されることによって起きると言われており、それが額や目の周囲に伸びる神経に起きると目の奥の痛みとなって感じる場合があります。

 

ぶどう膜炎

ぶどう膜炎は、眼球の外壁の外側から2番目の膜のぶどう膜が炎症を起こしてしまう疾患です。ぶどう膜は、網膜や強膜とは違い血管に富んでいるため、炎症を起こしやすい組織です。目の痛みの他に視力低下やかすみ目、目の充血や光に対して過敏に反応してしまうなどの症状がでます。

緑内障や白内障を合併する場合もあるので注意が必要です。

 

視神経炎

視神経炎とは、網膜から得た視覚情報を電気信号に変えて脳に送る役割のある視神経が炎症を起こしてしまう疾患です。

視神経に炎症が生じると、視覚情報が脳に上手く伝達されずに視力障碍が起きてしまいます。また急性の症状に関しては目を動かすと痛みの生じる眼球運動痛や目の奥の痛みが生じることもあります。

 

群発性頭痛

群発性頭痛は、激しい頭痛症状の他に目の奥の激しい痛みを感じることが多いです。緊張性頭痛や片頭痛と比べると比較的罹る人が少ない症状ですが、一番症状としてはつらいものです。激しい痛みのためじっとしていられず、動き回ったり頭を壁に打ちつけることで痛みを緩和させようとする人も多いです。

はっきりとした原因はわかっていませんが、20代から40代の働き盛りの男性に多いと言われています。

・急性緑内障

急性緑内障は、急激に眼圧が上がってしまうことで激しい目の痛みや目の充血・視力低下症状が出ます。目の症状の他にも頭痛や嘔吐、腹痛などの症状もていします。急性緑内障の場合、すぐに検査を行い処置をしなければ失明する危険性があります。
緑内障にかかってしまう多くの方は慢性緑内障といって徐々に症状が進行して視野欠損や視力の低下が起こり、自覚症状が出てしまった時点ではかなり症状の進行度は高いです。急性緑内障の場合は硝子体の中にある房水を排出する隅角が狭くなってしまうことで排出することができずらくなり、硝子体の中に房水が急激に増えてしまって症状も急激に現れます。急性緑内障は40代以上の女性に発症しやすく、原因は精神的なストレスや睡眠時にうつ伏せ姿勢を長時間続けていたなどです。普段から冷え性や低体温の人に発症リスクが高いことが知られており、それらをお持ちの方は普段から体を温めたりして体の循環を良くするように努める必要があります。
鍼灸治療は眼圧を下げることに効果があるという研究結果も出ています。一般的には鍼灸治療は、血液循環などの循環系に作用すると考えられていますが、自律神経にも作用することがわかっており、毛様体上皮での房水産生能力や隅角から房水が流出することに関係する副交感神経に鍼灸治療が何かしら関与して眼圧が下がっているとの報告もあります。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

ヒステリー球の鍼灸治療

金曜日, 5月 20th, 2022

ヒステリー球に対する鍼灸治療

 

ヒステリー球は自律神経の乱れが原因で生じている場合が多いため、当院では自律神経測定器で自律神経の状態を把握したうえで施術していきます。ヒステリー球では特に交感神経が過亢進の状態が多く、主に副交感神経の活動を活発にさせて交感神経の活動を抑える身体がリラックスできるような施術を行っていきます。

ヒステリー球の鍼灸治療

 

鍼灸施術は自律神経のバランスが整えることできるということは研究結果でも出ています。

その他東洋医学的観点より、肝の働きを正常に戻すようなツボも刺激することや付随して起こる精神症状にも心や腎の働きを整えることでアプローチしていきます。

 

梅核気の初期では、日常生活でもそこまで支障をきたすことが少ないですが、症状が進行するとうつ病や自律神経失調症など症状が重症化してしまう危険性がありますので早めの治療が重要となってきます。

ヒステリー球に対する下肢への鍼灸治療

 

 

ヒステリー球の東洋医学的考え

ヒステリー球を東洋医学では、『梅核気』といいます。五臓六腑では『肝』の病変で梅核気が起きると考えられています。

東洋医学での肝の役割・機能は西洋医学の肝臓と少し違ってきます。東洋医学での肝は、『肝は疏泄を主る』『肝は血を蔵する』『肝は筋を主る』の役割機能があります。

・肝は疏泄を主る
気を全身のすみずみまで行き渡らせることを指します。これは、情緒を安定させて精神様態を快適に保ったり、自律神経系の機能によって各機能が正常に行われるように調整する役割・機能を担っているということです。

・肝は血を蔵する
肝が血を貯蔵して必要に応じて供給して消費することを指します。また、血液循環の調整にも大きな役割を果たして自律神経系を通じて血管の収縮や弛緩をさせて体内の細胞への血流量を調整しています。その他、女性の場合では子宮への血液量の調整や自律神経系を介した女性ホルモンの調整も行うことで月経や妊娠が正常に行えるようにしています。

・肝は筋を主る
肝は血流の調整や神経系を介して筋肉の緊張や弛緩を調整しています。四肢の筋や腱の緊張を制御することで関節の運動もつかさどっているのです。

梅核気の症状に効果のあるとされる漢方に『半夏厚朴湯』があります。半夏厚朴湯は、気の巡りをよくする効能があることで梅核気を改善させます。梅核気は上記のように肝の病変によってのどの部分の『気』の巡りが悪くなったり、『血』が不足したり過剰となってしまうことでノドに何か詰まったような異物感を感じると考えられており、半夏厚朴湯はそれを解消させる効能があるのです。

 

この3つの機能のうち梅核気では、「肝の疏泄を主る」機能が低下して起こると考えられています。それにより、気は全身のすみずみまで行き渡ることができなくなり、『肝気鬱結』という症状が出ます。これは自律神経系の過緊張が主体で起こると考えられています。精神的な緊張状態が続くことや精神的な不安定状態が続くことで生じやすいほか病邪や引用の失調状態でも引き起こされるとされています。

肝気鬱結の主な症状は、胸苦しい・ノドのつかえた感じ・憂鬱感・精神不安定・食欲不振・便秘と下痢症状など多岐にわたります。肝気鬱結に痰症状が加わることで梅核気となりやすくなってしまいます。

 

ヒステリー球とは

 

ヒステリー球とは喉に大きな異常がないのにもかかわらず喉の違和感などの感覚を引き起こす疾患であまり聞きなれない言葉かもしれませんが、ストレス社会と言われる現代ではヒステリー球で悩まされている方が意外にも多いのです。

このような症状がある方はヒステリー球の疑いがあります。

☑ノドに異物感を感じる

☑食べ物が飲み込みにくい

☑風邪を引いたときのようなノドのイガイガ感

☑ノドに物がつかえたような感覚が消えない

☑ノドの奥が狭くなって息苦しさを感じる

☑ストレスや不安感が消えない

☑睡眠の質が悪く、寝つきが悪い

☑胸やけが続く

☑吐き気

 

このような症状が出ている場合、ヒステリー球の疑いがありますが、自己判断をするのは危険です。上記のようなノドの異常が出ると、喉頭がんや腫瘍が見つかる・逆流性食道炎や風邪症状の可能性もありますので一度耳鼻咽喉科や内科を受診して検査を受ける必要があります。

ヒステリー球の場合、腫瘍やがんなどの器質的異常が見られないため、検査では異常が見られません。医学的には咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)と呼ばれています。他にも梅核気(ばいかくき)感覚球(かんかくきゅう)咽頭神経症(いんとうしんけいしょう)などとも呼ばれることもあります。。

 

ヒステリー球の原因

 

上述の通り、ヒステリー球は検査では異常が見られません。

ヒステリー球を起こす最大の原因はストレス等による自律神経の乱れと考えられているからです。また、喉の病気やドライマウス、空気の乾燥なども原因として挙げられます。

自律神経は心臓や血管、内臓の働きなど、自分の意志とは無関係に身体をコントロールしている神経のことを指します。自律神経には交感神経と副交感神経との二つの神経があり、この二つの神経のバランスが崩れると「自律神経の乱れ」ということとなり、身体に様々な悪影響が出てくるのです。

交感神経は活動的な神経で基本的に筋肉を収縮させて運動時や仕事中など集中して作業をするときに働く神経で、逆に副交感神経は身体を休める神経で夕方から夜にかけて活動が優位となってくる神経です。この二つの神経が乱れることで、よく知られている疾患としましては自律神経失調症うつ病不安神経症などは自律神経のバランスの乱れが大きな原因となります。

自律神経失調症について
うつ病について
不安神経症について

 

自律神経は、筋肉の働きや胃腸の働き、血液の供給やエネルギー消費などにもとても大きな役割を担っています。自律神経が乱れてしまうとこれらの身体の働きも乱れてきてしまうのです。

ヒステリー球の場合、交感神経が活発な状態が続いてしまい、ノド周囲の筋肉が萎縮してしまい圧迫された状態が続くことでノドの違和感や異物感、息苦しさなどを感じるのです。

これは不安や疲労、緊張状態などが引き金となるため、仕事中や仕事に向かう際、会議中や人混みなどストレスの多い環境で比較的発症しやすいです。その他、睡眠不足や運動不足、食事の偏りなど生活習慣の乱れによってもヒステリー球の症状は起こりやすくなってしまうのです。

 

症例

 

20代 男性

3か月前から喉に違和感が出始めて、喉に異物があるような感覚に悩まされている。

病院で検査をしたが特に異常がなく、ヒステリー球と診断された。

喉の異物感のおかげで仕事に集中できない、休日も気になってリラックスできないなど、日常生活に支障が出ている。他の治療を色々試したが期待通りの効果はなく、藁にもすがる思いで来院した。

普段はIT企業に勤めており、パソコン作業が多い。今の仕事が好きでやりがいを感じており、睡眠時間を削ってしまう事もある。

ストレスは人並にあるが、そこまで強く感じたことはないが、

半年前に地方から東京に引っ越ししてきて環境変化へのストレスはある。

 

ストレートネックで首肩のコリ、眼精疲労は慢性的にある。

 

当院の施術

自律神経測定器で自律神経の状態をチェックしました。

交感神経が副交感神経よりも過剰に働いており、第一の原因と判断し自律神経の調節、とくに副交感神経の働きを促す施術を行いました。

それと同時に、胸鎖乳突筋や僧帽筋に刺鍼をし首肩の緊張をとり、ヒステリーに効果がある「天突」、「中脘」、「膻中」「豊隆」「気海」といったツボを刺激しました。

また施術以外にも、運動や食事の指導も行いました。

 

◇1回目◇

あまり変化はない

◇2回目◇

少し楽になったような気がするが、大きな変化はない

◇3回目◇

初回に比べてかなり楽になってきた

◇4回目◇

調子よいが、まだ完全に取れていない

最近ランニングをするようになってから気分もいいし、体調が良くなってきた

◇5回目◇

気になる頻度が減ってきた

◇6回目◇

ほとんど気にならない

 

30代女性

半年前、ペットロスがきっかけで喉の違和感や息苦しさがぬけず病院を診断したところ、病的な所見はなく、ヒステリー球ではないかと診断された。

当時は喉まわりだけでなく全身の疲労感があったが現在は特に気にならない。

喉まわりだけがなかなか改善されないため、仕事中や就寝時など気になってしまい日常生活に支障をきたすため当院を受診された。

昔からストレスには弱いほうで、気持ちがおちこむと体調も悪くなりやすい。

当院の治療

ヒステリー球の治療は、第一に自律神経のバランスを整えることが重要です。

ストレスが加わり交感神経がたかぶる時間が長いと、身体をリラックスさせる時間がなくなり喉周りの筋肉の圧迫も続いてしまいます。

手足やお腹のツボをつかい自律神経を整え、それから首や喉周辺の筋肉を緩め症状改善を図りました。

また、慢性的な身体の疲れもでていたため背中のツボにも鍼と灸を行い、治療頻度は1週間に1回程度で経過をみていくようにした。

◇1回目◇

常に身体に力が入っている状態だったことに気づいた。

治療後は少し息がしやすいような気がした。

◇2〜4回目◇

変化なし

◇5〜12回目◇

回数を重ねるごとにのどの圧迫感が減り、仕事に集中できるようになった。

就寝時は意識してしまうためかまだ違和感が残っている。

◇13〜15回目◇

日常的にあまり気にならない程度まで回復。

今後は治療間隔を2週間あけて経過をみる。

生活習慣の注意点

ヒステリー球を治すまたは予防するためには自律神経の状態が大きくかかわってくることから生活習慣がとても重要となってきます。基本的なストレスや疲れを溜め込まない生活を心がける必要があるのです。

・十分な睡眠
睡眠時間が十分に確保されていない状態が続いてしまうと体の疲れが溜まりやすく、精神状態もイライラや不安が強く出やすい状態となってしまいます。また夜に十分な睡眠をとることで自律神経の状態も整いやすくなります。

・適度な運動
主にウォーキングや軽めのジョギング、体操やヨガなどの有酸素運動は、副交感神経の活動を活発にすると言われています。逆に筋力トレーニングなどの筋肉に大きな負担のかけるトレーニングでは交感神経が優位になりやすいので夕方から夜かけての筋力トレーニングは避けた方が良いです。

・労働時間
労働時間の超過は体の疲れが溜まりやすく、自律神経の状態も悪くなりやすいです。夜の残業や仕事を家にまで持ち込むと自律神経の乱れに繋がります。

・規則正しい食事
栄養のバランスが偏っていたり、食事のとる時間が毎日バラバラですと自律神経が乱されやすくなります。胃腸の働きは自律神経が担っているため、食事を摂る時間は重要で夜の9時以降の食事はできるだけ避けた方が良いです。

夜尿症の鍼灸治療

水曜日, 5月 18th, 2022

夜尿症とは

夜尿症とは生まれた時から続く夜間寝ている間のおねしょのことで通常は5歳ごろからご両親が気にし始めることが多いです。

一般的には1週間に1回以上のおねしょが3カ月以上続いていれば「夜尿症がある」としています。

女の子に比べて男の子に多いのですがだいたい5歳で15~20%のお子さんにみられ、10歳で5~10%、15歳で1~2%ぐらいにみられます。成人した後でも0.5%つまり200人に1人ぐらいは夜尿症が完全にはなくなりません。

夜尿症の分類

 

夜尿症の分類

 

一次性夜尿症とは、6カ月以上おねしょがなかった時期がなく、小さいころからずっとおねしょが続いている夜尿症をいいます。

 

一方、二次性夜尿症とは、おねしょが消失していた時期が6カ月以上あり、再度おねしょが起こるようになった夜尿症をいいます。

頻度的には一時性夜尿症が75%をしめます。よく夜尿症といえば、精神的なストレスなどの要因があるといわれますが、少なくとも小さなころから続いている一次性夜尿症ではストレスなどの要因はあまり関係ありません。

しかし、二次性夜尿症では、学校生活のストレスなどの要因が関係あるとされていますので、一度止まったおねしょが再発したような場合には、学校生活に何か変化がなかったかをよく問診する必要があります。

 

 

夜尿症が起こる原因

 

いくつかの理由が考えられますが、科学的に完全に解明されているわけではありません。お子様は眠りが深いため、夜間におしっこをしたいという尿意では目覚めることはありません。

ですから、膀胱に最大貯められる尿量を超えた尿が夜間に溜まると自然に排尿されおもらしとなるわけです。

つまり夜間に膀胱に尿がたまる量が多すぎるとおねしょの原因になり、最大の要因は「寝ている間に作られる尿量が多すぎる」ことです。

寝ている間の尿量増加は

①水分の取り過ぎ
②夜間の抗利尿ホルモン(夜間尿量を減らすホルモン)の分泌低下

などがあげられます。

次に考えられる原因として「膀胱容量の低下」があります。成人でいう過活動膀胱と同じです。膀胱が一度に貯められる尿量が少ないため、おもらしをします。お子様で膀胱容量の低下をきたす原因として便秘があげられます。

その他、膀胱機能及び成熟の遅れや遺伝的要因などが複雑に影響していると考えられています。

※過活動膀胱とは

膀胱が過敏になって尿が十分に溜まっていなくても本人の意思とは無関係に膀胱が収縮する状態です。その結果急に尿意を催したり何度もトイレに行きたくなったりということが起こりやすくなります。

当院の過活動膀胱の治療・・・NHKでも紹介された頻尿・過活動膀胱(OAB)の東洋医学のチカラ (alfashinkyu-tokyo.com)

 

 

 

西洋医学的治療

 

問診

夜尿症の診察では最も重要な項目です。まず、一次性なのか二次性なのか、昼間にもおもらしがあるかなど必要な問診項目を聴取します。

尿検査

感染症など何かほかの疾患がないかを調べる上で必要です。

超音波検査

難治性の夜尿症の際に、腎、膀胱に異常がないかをを調べるために行う検査です。

治療

治療としては生活指導と行動療法が行われます。その効果が乏しい場合は、夜尿アラーム(おねしょアラーム)を使った治療や内服治療が行われます。夜尿アラームとは下着に装着する小さなセンサーがついた機械で、センサーが尿で濡れるとアラームが鳴って子どもを起こす仕組みになっています。内服治療としては、抗利尿ホルモン薬、抗コリン剤、三環系抗うつ薬などが処方されます。

予防

日常生活においては、利尿作用のあるカフェインを含んだ飲み物(コーヒー、お茶、コーラなど)は避ける、昼間はトイレに規則正しく行く、就寝までの2~3時間は水分の摂取を控える、就寝前に必ずトイレに行くといった習慣をつけることも予防につながります。

また、便秘は膀胱容量を小さくする場合があるので、繊維質の多い食事をするなど便秘の予防も推奨されています。

 

夜尿症に対する東洋医学的考え方

 

夜尿症の東洋医学

 

東洋医学の観点から夜尿症を考えると、『腎虚』や『気虚』が大きく関わっているといえます。五臓六腑における腎は身体の水分代謝を司っています。この腎がもともと弱かったり、弱まってしまうと夜尿症を含めた泌尿器系のトラブルが多くなります。

膀胱は腎の助けを受けて尿を溜めたり排泄します。これが熱によって障害されたり、腎が弱ってうまく機能しなかったり、水分代謝に関わる肺、脾、三焦などの臓腑の不調が影響したりします。

また、気は身体を活発化する生命エネルギーのような存在です。この気が不足している状態を気虚と呼びます。気は多くの働きを持っていますがその中には尿をしっかり身体内に保持するという役割も担っています。

そのため気虚に陥ると膀胱に十分な尿が保持できず、頻尿や夜尿症になってしまいます。

さらに、緊張やストレスなどによる肝の弱りで全身に気を巡らす「疏泄作用」が低下することも膀胱に尿を貯める機能を弱らせ、夜尿症が起こりやすくなります。

 

当院の夜尿症に対する小児鍼

 

 

小児鍼は、一般的な鍼とは違い、鍼を体に刺さず、専用の鍼具で皮膚をさする、あるいは皮膚にトントンと当てるだけの手法です。

小児鍼をすると、自律神経が整い、幸せホルモンのオキシトシンが分泌されることが科学的にもわかっています。心地よい刺激と幸せホルモンの分泌により、ストレスや冷えで硬くなった筋肉も緩んで血行が良くなり自然治癒力が高まります。

自律神経のバランスを整えるツボや東洋医学的観点から腎をはじめとした五臓六腑を整えるツボや気を補うツボを用います。

また、下腹部や下半身に冷えが見られる場合は冷えを除くためにお腹周りや下肢のツボにお灸を使用し血行を促し下半身を温めていきます。

小児の治療の場合、お灸も火を使わないタイプのものを使用したり、糸状灸などできるだけ小さいお灸を使用し心地よい暖かさで刺激していきます。

また、便秘の症状がみられる場合は消化器系の調子を整えるツボも選択していきます。

野球肘の鍼治療

木曜日, 5月 12th, 2022

野球肘に対する当院の鍼灸治療

 

当院の野球肘に対する施術は、第一に肘関節付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血行を良くします。また鍼を刺すことにより痛みを感じる閾値を上げて痛みを感じにくくする作用を促します。その他、野球肘の方の多くは上腕二頭筋や前腕の屈筋・伸展筋の緊張が強く出ている場合がほとんどです。

筋肉の過緊張状態は肘の負担を増加させて更なる痛みの原因になりかねません。上腕・前腕さらに肩回りの筋肉を施術によってほぐすことで肘への負担の軽減に繋がり、痛みの緩和が期待できます。

野球肘の鍼治療

野球肘は五臓六腑の「」「」に深く関係しているので、肝と腎に関するツボを用いて肝血と腎気を補うことや肘関節の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。

 

また東洋医学では、症状が出ている部分に注目ばかりせずに全身を診て治療をするという考えがあります。野球肘を患って来院される方の多くは、練習量の過多により肘以外にも全身の疲労など様々な症状を患っています。そこで当院では東洋医学の診断法に基づき、全身の調整施術も行っていきます。診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。

野球肘の鍼灸治療

当院の野球肘の施術は、野球肘の回復程度を高めて、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも野球肘が回復できる機会を提供することです。生活指導はもちろんのこと患者さんと一緒になって競技への早期復帰を目指します。

 

 

 

野球肘の東洋医学的考え

 

東洋医学で野球肘は、肘付近の気血の運行がスムーズにいかずに気血が滞り、それが痛みやしびれの原因となると考えられています。
寒く風のあたる場所にいた際に「風寒の邪気」を受けた時や湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時、長い間肘を酷使する投球動作により気血は滞り、それが肘付近であった場合に野球肘を発症する可能性が高くなります。

 

また中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記の条件が加わると野球肘がおこりやすくなります。両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。

 

 

 

野球肘とは?

 

野球肘とはボールを投げる動作を繰り返すことにより生じる肘関節周囲の障害を総称する用語です。一連の投球動作において、肘の内側は引っ張られ、外側は圧迫を受け、肘の後ろはボールリリースの際にぶつかる力が加わります。そのような力が繰り返し肘に加わり、故障が発生します。特に小学生や中学生などの野球をやっている子供に多く、肘の違和感から始まり、無理して投球動作を続けていると痛みが強く出てその痛みをかばうような形でさらに肩の痛みにもつながりかねないので注意が必要です。

 

野球肘

肘関節は、3つの骨から構成されており、肩から肘にある上腕骨、肘から手首まであり親指側の橈骨と小指側の尺骨があります。それぞれの骨は骨と骨とをつなぐ靭帯や周囲の筋肉によって補強されており、非常に安定な関節です。しかし、投球動作を繰り返し行うことにより、靭帯や筋肉が弛んで肘関節の安定性が損なわれます
野球肘は、少年期のものは離断性骨軟骨炎が多く、成人では肘関節内側の靭帯の損傷を主体とする筋炎、腱炎など肘関節周囲の軟部組織の炎症が主で、肘関節後方では疲労骨折が生じることもあります。
野球肘の症状としては、肘関節の痛み肘の可動域の制限などがあります。

肘関節

肘関節の痛み
ボールを投げる動作の際の痛みが特徴的です。肘の痛みのほかに腕のほうへ放散する痛みを訴えることもあります。日常生活ではほとんど痛みを感じません。

野球肘は主に痛む個所は3つあります。投球動作時に肘の内側が痛む場合は、前腕にある手首を手の表側に曲げる屈筋群は肘の内側に付着しているためにボールを投げる動作を繰り返すことで屈筋群の付着部である肘の内側に痛みが出ます。
肘の外側が痛む場合は、投球動作によって肘関節の骨がぶつかり合って上腕骨の軟骨部位が剝がれてしまい、炎症となって痛みを発生させることが多いです。
肘の後ろ側が痛くなる場合も肘の骨がぶつかり合って痛みを発生させる場合と上腕三頭筋という上腕の裏側にある筋肉が繰り返しの投球動作によって過度に使われて延焼する場合とがあります。

肘関節の運動制限
肘の曲げ伸ばしが悪くなり、症状が進行すると急に肘関節を動かせなくなることもあります。

※離断性骨軟骨炎
10歳~16歳の男性によく発症する疾患です。はっきりとした原因は不明でありますが、繰り返す関節運動によって成長途上の骨の先端に圧迫力などが加わり、骨の破壊と壊死を生じたものと考えられています。
離断性骨軟骨炎は、肘以外にも膝や足首などにも発生します。主な症状は、投球時あるいは投球後の肘の痛みです。前腕に放散する痛みや倦怠感を訴える場合もあります。症状が進行すると、激痛のあまり動かせなくなったり、肘関節の腫れ関節液が貯留、筋の萎縮を生じる場合もあります。

 

 

野球肘の原因

投球動作時には肘関節全体に外側のストレスがかかり、内側は伸ばされます。また投球後のフォロースルーにおいては、肘の後ろの部分で骨と骨とが強くぶつかります。その結果として、関節軟骨や靭帯・筋腱・神経などにさまざまな障害が発生します。

まだ成長期にある少年では、上腕骨内側、肘の後ろ側の骨化障害や離断性骨軟骨炎などが、成人では変形性関節症疲労骨折などの骨障害が生じます。そのほかに上腕二頭筋炎三頭筋腱炎回内腱炎尺骨神経障害などが全年代に生じます。

 

症例

10代 男性

2か月前からボールを投げるときに痛みを感じていた。

痛みがでても次の日には治っていたのでしばらくしたら良くなると思っていたが、徐々に悪化。

最近はだいたい10球投げると痛みがでて、思いっきり投げることができない。

調子が悪い日は消しゴムを消す動きでも痛みを感じる。

2週間後に試合があるため、できるだけ早く治したい。

 

当院の治療

触診したところ、腫れや熱感はとくには見られなかった。

腕全体の緊張はそれほど強くないけれど、肘の内側を押さえると痛みがでるため圧痛箇所に鍼と電気を流す治療を行い、痛み軽減をはかった。

また、肩関節の動きをみたところ、可動域が悪くなっているところがあったので、肩回りの治療も合わせて行った。

試合まで時間があまりないので2日置きに治療をするといいとすすめた。

◇1回目◇

鍼はすこしひびくような刺激があったが、肘の痛みが減り、肩が動かしやすくなった。

◇2回目◇

前回の治療後、調子がいい。投げすぎると少し痛みがでるくらいまで楽になった。日常生活は問題なし。

◇3回目◇

肘の痛みはなくなった。

野球肘の一般的治療

野球肘はボールの投げ過ぎによる故障ですので投球の中止が重要で、肘の安静が大切です。十分に痛みが引くまで投げることをやめて肘周りや手首の周りの筋力アップを行います。痛みを我慢して投球を続けていると障害が悪化して場合によっては手術が必要になってくることもあるようです。

 

疳の虫(かんのむし)の小児鍼

水曜日, 5月 4th, 2022

疳の虫とは

 

疳の虫

 

 

「疳の虫がおさまらない」などといいますが、実際に「疳の虫」という虫がいるわけではありません。

疳の虫とは、赤ちゃんの癇癪(かんしゃく)のことです。赤ちゃんは突然激しく泣き出したり、なかなか泣き止まなかったりすることがあります。

実は、江戸時代以前は様々な病気になるのは体内に虫が入るからとされ、赤子幼子の夜泣きや癇癪(かんしゃく)などの原因となる虫は「疳の虫(かんのむし)」と呼ばれていました。疳の虫を封じるための治療や祈願なども行われていたほどです。

とはいえ、実際に虫が体内で悪さをしているわけではなく、人はそれぞれ異なる気質を持っており、赤ちゃんも同様で、夜泣きや癇癪には個人差があります。

生後6カ月~8カ月ごろに多く見られる

 

赤ちゃんの「疳の虫」に悩まされるのは「生後6カ月~8カ月」に多いといわれています。

しかし、その時期は人それぞれですぐにおさまる子もいれば、長く続く子もいます。2~3歳ごろまで続くことも珍しくありません。赤ちゃんの成長過程の一つと捉えられると良いのですが、毎晩のように家中に響き渡るほどの大声で泣かれると、親も参ってしまいます。

疳の虫に困る母親

 

 

疳の虫の症状

 

・ひどい夜泣き

赤ちゃんの「夜泣き」は、乳幼児を育てる親の代表的な悩みの一つです。お腹がすいているわけでもオムツが汚れているわけでもなく、泣いている原因がはっきりしません。

なかなか泣き止まなかったり、寝たと思えばすぐ泣いたり、ひきつけを起こすのではと心配になるくらい真っ赤になって激しくなく場合もあるでしょう。また、夕方になるとなぜか毎日泣き出す、いわゆる「たそがれ泣き」も、疳の虫の症状の一つです。

 

・物を投げる、噛むなどのかんしゃくを起こす

疳の虫は、寝ている時だけに起こる症状ではありません。ご機嫌で遊んでいたかと思えば突然かんしゃくを起こすこともあります。

激しく泣き出す子や、物を投げたり人に嚙みついたりする子もいるでしょう。中には、自分の頭を壁にぶつけたり、物で自分を叩き始めたりする子もいます。原因が推測できる場合もあれば、全く分からない場合もあるでしょう。

いずれにせよ、疳の虫が出た時にはなだめてもすぐにはおさまらない場合がほとんどです。

 

・ヒステリックに大声を上げる

キーキーと「大きく奇声をあげること」も疳の虫の症状の一つです。なぜかイライラして怒りっぽくなり、遊びに集中しないこともあります。

強く叱られると興奮が高まり、さらに激しく奇声をあげることもあるでしょう。また、赤ちゃんのイライラは、他の行動で現れることも少なくありません。食が細くなったり、物音に過敏に反応したりする赤ちゃんもいます。

 

疳の虫の原因

 

・生活リズムが不規則になっている

原因の一つとして考えられるのは「不規則な生活リズム」です。ほとんどの場合、生まれたばかりの赤ちゃんには昼夜の区別はありません。

生後3~4か月ごろになると、夜にまとまった睡眠を取り始める子が増えてきます。規則正しいリズムで生活できていないと、赤ちゃんのイライラを招く原因となりかねません。

毎日決まった時間に起きて太陽の光を浴び、活発に動く時間帯に十分に体を動かしてあげることが大切です。規則正しい生活を送り、赤ちゃんに安心感を与えてあげましょう。

 

・自分の気持ちを伝えられない苛立ち

気持ちを伝えられない「苛立ち」から、かんしゃくを起こすこともあります。

自分の中で納得できないことが起こったとき言語能力が未熟な赤ちゃんは言葉によって伝えることができません。それがかんしゃくとして表面に現れたものが、大人には疳の虫に見えるのです。

 

・生まれ持った気質

疳の虫の原因は「神経性素因」が関わっているといわれています。つまりかんしゃくを起こすかどうかは「生まれ持った気質」によるものが大きいのです。

おっとりとした気質の子は、普段から感情の起伏が少ないでしょう。反対に神経質でデリケートな子は、周囲の変化に敏感に反応を示すのです。

 

疳の虫に対する東洋医学的考え方

 

東洋医学では興奮や怒りなどの精神神経症状を司るのは五臓の「肝」と考えられています。疳の虫はこの「肝」の変動と捉えます。

また、「疳(かん)」とは東洋医学でいう病気の総称で、特に脾疳=胃腸からくる症状とも考えられてきました。そのため五臓の「脾(ひ)」の機能を整えることも重要とされています。

 

小児鍼とは

 

小児鍼とはその名のとおり、お子様に対して行う鍼の施術を意味します。なんとなく「鍼」というと注射針や手芸用の針をイメージしてしまうかもしれませんが、鍼治療で使用する鍼は直径が0.1mmから0.3mmほどしかありません。その細さは髪の毛ほどで柔らかくしなるほどの細さです。

そんな鍼療法の中でも、全く皮膚に刺入することのない鍼療法が「小児鍼」となります。

小児鍼で使用する鍼は先が全く尖っておらず、そのため痛みを感じるものではないでしょう。

通常の鍼療法はやはり皮膚に鍼を刺入するため、刺さる感覚がわかることがあります。見た目にも「針」という感じがしてしまいお子様の場合、やはり抵抗があるかもしれません。

そんなお子様向けに、見た目や刺激に配慮したものが「小児鍼」になります。

小児鍼の適応は夜泣き、疳の虫、寝ぐずり、便秘、下痢、食欲不振、夜尿など多岐にわたり、新生児から小学校高学年まで幅広く対応できます。

 

当院の治療

当院では施術の前にしっかりと問診を行い、それぞれの年齢、体質、症状を見極めそれに応じた最も効果的な鍼施術や手技で怖くない、痛くない、優しい治療を心がけています。また、不安なお子さんにはお母さんに抱いて頂いたままで施術を行うこともできますし、親御さんの治療室への同席も可能です。

夜泣きなどが出ているお子さんは肩周りの筋肉が緊張していることもあり、これは東洋医学ではストレスを感じていることになります。この筋肉の緊張の現れやすい肩や首周りや、自律神経が集中している背中のツボを小児鍼でなでたり、さすったりして血行を促進し、硬くなった筋肉を緩めたり自律神経のバランスを整える作用を促します。

 

 

更年期障害の鍼灸治療

木曜日, 4月 28th, 2022

更年期障害の鍼灸治療

 

自律神経がバランスを取れた状況ですと、身体の循環が上手く働きますので、身体本来が持っている自然治癒能力が最大限に発揮されます。

この自然治癒能力が最大限に発揮されることが更年期障害を治す鍵になります。 ホルモンバランスの乱れやストレス環境による悪化症例でも自律神経活動を高めてあげることで症状の改善が期待できます。

更年期障害の鍼灸治療

当院では自律神経を調整することを治療方針に入れています。 自律神経測定器により現在の自律神経状態とその人の身体の体質を検査します。

交感神経優位か副交感神経優位の体質を調べた上で治療を行います。 鍼灸治療は、鎮痛治療や免疫力を上げる他にも自律神経を調整することに優れた治療法でもあります。

しっかりと問診をした上で、その人その人に合った治療を1時間ほどの時間をかけて丁寧に行います。

治療が終わったころには治療効果を実感されると思います。 治療期間は人によって症状が違いますので一概には言えませんが、目安としては2か月から3か月ほどをみてください。人間の細胞は3か月に一度のペースで入れ替わっていくと言われています。体質の改善はそれくらいの期間が必要です。

更年期障害の背部への鍼灸治療

ホルモンバランスや自律神経調整は体質改善になりますので、一回の治療で終了になることはありません。一週間に1回程の治療をさせていただくと効果が出やすいです。 どうしても忙しい方は、最低月に2回ほどは来院されるといいです。

治療の流れ

1、問診
しっかりと時間をかけて問診をしていきます。
丁寧な問診

2、更年期障害評価表
更年期障害評価表を記入していただきます。
更年期障害評価表

治療を数回した後にも記入していただき、症状の改善具合を把握します。

3、自律神経測定器
自律神経の状態を計測したうえで治療に反映させて、治療効果を上げていきます。
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4、仰向け治療
お腹や手足の重要な経穴を用いて自律神経の状態を整えていきます。

 

5、うつ伏せ治療
腰部や肩首部また五臓六腑の重要な経穴を用いて筋肉の過緊張を取り除いたり、気血の流れをスムーズにしていきます。

 

 

 

更年期障害の鍼灸治療症例

 

40代女性
40代も後半となり、最近急に顔がほてるようになって汗が止まらなくなったり、体が疲れてくると何となく体が重くなり、めまいや頭痛で悩まされていた。日に日に肩こりやイライラ感など様々な身体の不調が出てくるようになり、それがさらに体への負担となり、疲れが溜まっていった。ある日めまいを強く感じたため内科を受診したところ特に異常がみられなかったため更年期障害ではないかと言われた。薬を処方されてめまい自体は治まってきたが、頭痛や肩こりなどその他の症状は軽快されなかったため当院にご来院されました。

治療
最初に問診・更年期障害評価表の記入・自律神経測定器で自律神経の状態を計測を行っていただいてから施術していきました。更年期障害評価表では数値も高く、治療を必要とする数値でした。また自律神経の状態も交感神経の活動が高い状態で副交感神経の活動が抑えられている状態でした。

まず仰向け治療で自律神経の状態を整えてからうつ伏せとなり首肩を中心に施術していきました。

経過
◇1回目◇
その日はぐっすり眠れた。疲れが取れたと感じたとのこと。

◇2回目◇
頭痛や肩こりの症状はまだ残ってはいるが半分くらいには軽減

◇3~5回目◇
仕事が忙しい日は身体も調子が良くないが、次の日には回復する

◇6~8回目◇
少しずつ体の重たい感じもとれてきた感じがするとのこと。

◇9~10回目◇
身体の重たさ・頭痛・めまい症状はほぼ消失。首肩こりはたまに感じる程度

 

症例2

50代女性

6年ほど前に閉経。それ以前からたまに動悸と顔がほてる感じがあった。不整脈もあったことから病院で検査を受けたが、心臓などに異常は見られなかった。更年期障害の一つの症状と考えられるとのことで産婦人科を受診。エストロゲンを処方される。

それからは、動悸やほてり感があってもそれまで気にせずに生活できていたが、1年前にお子さんが一人暮らしを初めて夫と2人の生活をし始めてパートもすることになり、それがストレスと感じて動悸や顔のほてり症状が強く出るようになってしまった。頭痛や首肩こり症状も強く、手足の冷えや寝つきも悪い日がある。

治療
ご本人の自覚としても顔はホテルが手足は冷たいと感じている。首肩こりが強く出るとそれに伴い頭痛もひどくなる。また、パートや夫との仲が悪くなると顕著に症状が悪くなり、不安感も感じるようになってきた。

治療ではまず自律神経の状態を計測して治療して行きました。交感神経の活動が高く、副交感神経の活動は抑制されていたので、全体的にリラックスできる心地よい刺激を心掛けて治療しました。

経過
◇1回目◇
治療後は寝つきがよくぐっすりと眠ることが出来た。その他症状はあまり改善がみられない

◇3回目◇
前回治療後からたまに起こる動悸は起きていない。不安感もいくらか和らいできた感じがするとのこと

◇7回目◇
まだまだ体調に波があり、調子が割る時もあるが、身体の調子がいいと首肩こりや頭痛症状も感じず顔のほてり感もない

◇10回目◇
仕事でイライラすることがあり、不安感が再燃。寝つきも悪かった。手足の冷えも感じる

◇15回目◇
仕事で嫌なことがあっても少しずつ気持ちを整理して落ち着けるようになってきた。最近は不安感は感じていない。首肩こりは最初と比べると3割程度まで改善。動悸や顔のほてり感はない

 

症例3

50代女性

50歳を過ぎてから更年期障害に特徴的なホットフラッシュ、手足の異常発汗が気になるようになった。数年前から症状を繰り返しており、また最近ひどくなってきた。

少しのことでイライラしてしまったり、精神的な落ち込みも出るようになってきた。

頻度は少ないが、頭痛やめまいもたまにすることがある。

他に慢性的な腰痛があり、たまにマッサージ店で施術を受けている。

関西出身で、現在東京に単身赴任中。そのためかストレスを感じることもある。ストレスが強い時は更年期症状が強くなる傾向がある。

お酒が好きで、毎日の晩酌は欠かせない。

治療

まず、測定器で自律神経やストレスの状態を測定していきました。

自律神経は交感神経が異常に高く、逆に副交感神経がほとんど働いていない状態でした。

お話を聞いてみると、ここ一ヶ月は仕事が忙しく睡眠時間が十分にとれる日が少なくなっているということでした。

こうした自律神経の乱れが更年期障害の増悪化と考え、まずは自律神経調節治療を行いました。それと同時に婦人科系に効果のある経穴やエストロゲンを分泌促進を目的とした骨盤血流量を上げる施術、腰や肩のこりに対してもアプローチしていきました。

頻度は1週間に2回のペースでご来院していただきました。

経過

◇1回目◇

まだ大きな変化はないが、身体全体が軽くなった。

◇2回目◇

施術後から3日間はホットフラッシュや手足の汗が全くでなかった。

◇3回目◇

1週間通して楽な日が多い。手足の汗はほとんど出ない。

◇4回目◇

ホットフラッシュも落ち着いてきた。最近はよく寝れるようになったのがうれしい。

◇5回目◇

ほとんど気にならない。

現在、腰痛の改善のため通院中

期障害とは

更年期障害とは、40代半ばで閉経を迎える前後の期間に起こる様々な主訴を持つことです。日本産科婦人科学会では 「更年期に現れる多種多様の症候群で、器質的変化に相応しない自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群」 と更年期障害は定義されています。

更年期とは卵巣機能が低下してきて女性ホルモンが減少してくる時期です。 これは、40代半ばで月経異常や月経不順が続くのが多くなる頃です。

更年期には個人差があります。閉経を迎える前後となりますと、40代半ばから50歳が目安になります。 なかには、若年性のものもあったり、男性にも起こるものです。

 

若年性更年期障害とは、20代や30代の女性が生理不順になったり、月経が無くなることで更年期障害と同じ症状がみられることから若年性更年期障害と呼ばれるようになりました。 若い人でも一年以上月経が無いと医学的に閉経とみなされます。

男性ではテストステロンの低下により起こるものだと考えられています。欧米では、後発性性腺機能低下症と呼ばれています。 ストレス無理なダイエットにより不規則な生活習慣から起こるものだと考えられています。またはスポーツ選手のように体の負担が大きい方も運動が原因となることがあります。

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更年期障害の症状

更年期障害における不定愁訴は、自律神経失調症症状と精神症状が多いです。

  • 更年期における自律神経失調症症状として
  • ・動悸
  • ・のぼせ
  • ・火照り
  • めまい
  • ・だるさ
  • ・むくみ
  • ・多汗
  • ・吐き気
  • ・食欲不振
  • 耳鳴り
  • ・冷え

 

  • などがあります。顔の火照りやのぼせ、発汗などはホットフラッシュと呼ばれます。 更年期によく見られる症状です。急に顔がのぼせたり、ほってた状態になり、大量の発汗がみられます。この状態は他人と会話するときや外出先で生じることがあるため大きな悩みとなってストレスになります。 そこから更年期と重なり、さらに不安になったり、イライラ感が強くなります。

 

  • 更年期における精神症状として
  • ・怒りっぽくなる
  • 不安
  • うつ
  • ・神経質
  • ・意欲低下
  • 不眠                      etc

 

  • 更年期における生理異常として
  • 月経異常
  • ・不正出血     etc

 

  • 更年期における運動器系の症状として
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 腰痛
  • ・手足の痺れ
  • ・関節の痛み                     etc

 

  • 男性の更年期障害の症状として
  • ・発汗
  • ・ほてり
  • ・寝汗
  • 疲労感
  • ・性欲低下
  • などの症状で鬱などの状態も含まれます。

 

更年期障害の原因

更年期障害の原因については今だ不明な点が多いですが、わかっている原因は以下の通りです。

 

①卵巣機能の低下
加齢による卵巣機能の低下すなわち女性ホルモンのエストロゲンの減少により生じると考えられています。 更年期になり卵巣の機能が衰えてくるとエストロゲンの分泌が減少します。

身体にとって必要なエストロゲンがないと脳が卵巣に分泌するように指令を出しますが、機能が衰えているので、過剰な卵胞刺激ホルモンが出ることになります。 エストロゲンの減少と卵胞刺激ホルモンの増加がホルモンバランスを乱している原因であると考えられています。

女性ホルモンには排卵や月経の周期以外にも、女性の美しさと健康を作り出す働きがありますので、女性ホルモンが正常な働きをすると女性の身体と心を健康に保ってくれます。 それだけ女性にとって大切なホルモンになります。

 

ホルモンバランスの乱れは身体をコントロールする自律神経にも影響が出ます。

自律神経の働き自体も女性では40代から副交感神経が下がる研究データもあるほどです。

副交感神経活動が下がることで、交感神経優位の体質に変わります。交感神経優位だと血圧上昇や消化機能の低下で食欲不振から便秘になりやすいです。興奮状態ですので瞳孔が開いて、不眠症にもなりやすいです。

血管を収縮する作用があるため、疲れなどがとれにくい全身の疲労感、本来自然回復するはずの筋肉が治癒しないため肩こり腰痛などが運動器疾患としても出てきます。 自律神経は、ストレスも関係が深く、副腎などのホルモンの産生場所にも影響を及ぼします。

この副腎の機能が低下することでも更年期障害症状がでてくるのです ストレスを感じると副腎が働くことから、長くストレスを感じている方は、更年期障害の症状を強く感じることになります。

 

➁生活環境の変化

更年期(45~55歳)は様々な環境の変化が起こりやすい時期です。子供が成長してきて手がかからなくなる・子供の進学や就職することで心配がなくなる・両親など親族の死・自分自身の身体の変化への不安感などがその要因として挙げられます。 また仕事をしている女性の場合であっても立場や地位が上になることでの責任感・ストレスの増加などがあります。 そういった変化に適応できればいいのですが、適応が上手くできない人にとっては大きなストレスとなってしまい、精神症状不定愁訴を引き起こします。

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