当院の頸椎椎間板ヘルニアに対する治療の目的は、第一に首や肩背部のツボや痛みの強い部位に鍼をさして痛みやしびれの軽減をすることです。
また必要であらば、微電流を流すことにより血行を良くしたり、筋の過緊張を和らげます。
頸椎椎間板ヘルニアは五臓六腑の「腎」と「肝」に深く関係しているので腎や肝に関する経穴を用いて「腎気」や「肝血」を補うことや頸部の気血の流れをよくします。また「風寒」や「湿」の邪気によって引き起こされる場合はそれらを体外に出す治療が必要になります。
東洋医学の診断方法に基づき全身の調整治療も行っていきます。頸椎椎間板ヘルニアは全身性の疲労や気血の滞りが原因の場合もあるので頸部だけの部分的な治療ではなく全身を診て治療していきます。
また頸椎椎間板ヘルニアで長い間その症状に悩まされていると自律神経の乱れに繋がります。当院では、自律神経測定器を用いてその日の体の状態を見極めてから施術することにより、ほかとは違う施術効果が得られるのです。
当院の頸椎椎間板ヘルニアニアの施術で、仕事や家事がスムーズにできるようになり意欲的に取り組めるようになったと喜びの声を頂いております。
東洋医学では頸椎椎間板ヘルニアは体の外から邪気を受けるため発症するものと中医学でいう「肝」と「腎」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。また「腎」は年齢を重ねるごとに機能が低下しやすく、40歳以上という頸椎椎間板ヘルニアの発症年齢層とも一致しており、「腎」は椎間板ヘルニアと深い関係にあると言えるでしょう。そういった原因で頸部付近の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。
体の外からの邪気として一番頸椎椎暗板ヘルニアが発生しやすいのは、寒く風のあたる場所にいた時などに体に悪さをする「風寒の邪気」を受けた時です。次いで湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時などです。
また長い間椅子に座ってパソコンなどの仕事をした時に気血は滞り、それが頸部付近であった場合に頸部椎間板ヘルニアを発症する可能性が高くなります。
中医学でいう「肝」と「腎」の機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉や骨などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記のような条件が加わると頸椎椎間板ヘルニアがおこりやすくなります。
両者の関係は深いので「肝腎同源」とも言われており、「肝」と「腎」の症候が同時にあらわれることが多いです。
50代女性
母の介護や日々の家事などにより一年前から常に肩や首のコリや重だるさを感じていた。ここ2カ月ほどは母の介護の量が増えて生活がさらに忙しくなってきた。その頃から腕に痺れを感じるようになってしまった。近くの整形外科を受診したところ頸椎椎間板ヘルニアと診断され、そこの整形外科で温熱療法や電気療法をしてもらっていたが、あまり症状の改善が見られないということで当院にご来院されました。
当院の治療
①問診
丁寧に問診していきます。この方の場合、母の介護や家事の忙しさがストレスとなり、痛みをさらに増強されているとも考えられるので、一通り問診した後は、自律神経測定器で自律神経の状態を計測していきました。
②自律神経測定器で計測
自律神経側器の結果、交感神経の活動が高い状態でした。
③仰向けで自律神経調整療法
まずは仰向けで自律神経調整のための施術をしました
④うつ伏せで痛みやしびれの改善
次にうつ伏せになっていただき、頸部~背部にかけてはりに電気をつないで流す通電気療法も行いました。
⑤最後の仕上げの手技療法
また一度仰向けとなっていただき頸部を軽く牽引したり、指圧をしていきました。
治療経過
◇1回目◇
首や肩の痛みや重だるさがだいぶ軽減された。
◇2回目◇
治療間隔が1週間ほど空いてしまい、症状は依然と同じように出ていた。
◇3回目◇
今回は首やの調子が良かったが痺れはまだかなり感じる。家事などしている時は特に。
◇4回目◇
痺れの感じ方が弱くなった。
◇5回目◇
ほぼ痺れを感じなくなった。
40代女性
当院にご来院される2か月ほど前から右手の痺れ、特に親指と人差し指の痺れと痛みを感じるようになった。しばらくして左ひじ周りにも痛みが出るようになったため心配になって整形外科を受診。
診断結果は、頚椎椎間板ヘルニアと左脛骨概則上炎ということでした。
前々から疲れたりすると首の痛みを感じていたが最近は強く出るようになって痺れや握力低下までも感じるようになってしまった。
デスクワークが主で仕事をしていると首や左右上腕がつらくなっていくる。
マッサージや整体なども受けてみたがあまり効果が感じられずに友人の紹介で鍼治療受けてみようと思いご来院されました。
当院の治療
まず仰向けで前頸部の筋緊張の緩和と左の上腕・前腕部の筋緊張を取り除く鍼灸施術を行っていきました。
次にうつ伏せとなり、首肩周りの筋緊張の緩和の鍼灸施術を行い、合わせて鍼通電治療を用いて鎮痛効果の期待できる施術法を行っていきました。
最後に、首肩周り左右上肢のストレッチを行い、筋肉を弛緩させていきます。
経過
一回目の施術で右手の痺れは2~3日消失4日目からまた気になるようになった。左ひじはあまり変わらず。
2回目以降、左ひじの痛みがだんだんと消失。左右上肢の痺れや痛みもだんだんと良くなっていった。
8回目の施術まで症状が良くなったり悪くなったりを繰り返していたが、9回目以降は症状に波がなくなっていって完全に消失していきました。
今でもたまに仕事や家事で負担をかけるとコリ痛は出るがそんなに長続きしていない。
40代女性
半年前から仕事が急激に忙しくなり、家でも仕事をするようになった。
もともとひどかった首、肩のコリが悪化し、常に重だるさを感じるようになった。
2週間前に腕に軽いしびれを感じたため整形外科を受診したところ、頚椎椎間板ヘルニアと診断された。手術の必要はないため、負担をかけないよう指導されたが仕事をしているとたまにしびれが出る。
まだ仕事が落ち着くまで数ヶ月かかりそうなので、仕事に支障がでない程度まで改善したいとのことで来院された。
当院の治療
触診したところ、長時間のデスクワークによる首肩こりが目立った。
背中も緊張状態がみられ、睡眠時間をきいたところ4〜5時間と短いことが分かった。
忙しさで交感神経が過剰になり睡眠中も体に力が入っていると推測できる。
十分な休息をとっていないため首肩こりもなかなか改善せずヘルニアに至ったと考えられる。
まずはうつ伏せで首、肩、背部の自律神経に関するツボを中心に鍼をさし、こりが強い首には鍼通電療法を用いた。
その後仰向けで自律神経の調整、首の牽引を行った。
◇1回目◇
施術後、首の重い痛みが軽減した。しびれの変化はまだわからない。
◇2回目◇
大きな変化なし。
◇3回目◇
毎日あった腕のしびれが1〜2日おきに減った。しびれている時間も以前より短くなっている。
◇4回目◇
首肩こりはまだ感じるがしびれは今のところ軽減してきている。
たまに違和感があるが、首のストレッチなど伸ばすことで楽になる。
◇5回目◇
今週はしびれを感じなかった。
首肩のこりもなくなってはいないが最初とくらべると随分楽になった。
これからも忙しくなるため今のペースでケアを続ける。
仕事が落ち着いたら間隔をあけてのメンテナンスに切り替えるつもり。
頸椎椎間板ヘルニアとは、首の骨の間にある椎間板が飛び出して、急激な片側の頸・肩・腕などの痛みを発症します。
頸椎とは、背骨のうちで頭蓋骨につながる7個の椎骨を指します。上から順に第一頸椎・第二頸椎と名付けられています。椎骨は円柱状の椎体と後ろにある椎孔をアーチ状に囲む椎弓よりなり、椎孔は上下に重なって脊髄を通す脊柱管をつくります。
椎体と椎体はいくつかの靭帯や椎間板という組織によりつながれています。椎間板は外縁部を構成する線維性軟骨組織でできた線維輪と中心部を構成する軟らかい髄核という組織でできています。髄核は弾力性とある程度の流動性があり、それらが圧の分配を行って脊柱の屈伸やねじれを可能にしています。
椎間板の線維輪が弱くなって全体として膨隆したり、線維輪が断裂して中の髄核が脱出したりして椎間板組織が神経根もしくは脊髄自体を圧迫して首や肩、腕の痛みや痺れを引き起こします。椎間板ヘルニアは腰椎に起こることが多いのですが、首にも起こることがあり、その場合は「頸椎椎間板ヘルニア」といいます。頸椎ヘルニアは腰椎椎間板ヘルニアに比べて発症年齢が高くて40歳以上に多く発症します。
頸椎椎間板ヘルニアの好発部位は頭を支えるのに最も負担を強いられる下位の頸椎です。したがって、第五頸椎と第六頸椎間の椎間板、第六頸椎と第七頸椎間の椎間板にヘルニアが多く発生します。
頸椎椎間板ヘルニアの主な症状は、首から背中にかけてのこり・不快感・疼痛などと首の運動制限が生じることに加え、飛びだした髄核が脊髄や神経根を圧迫するために圧迫された神経によって腕や手指のしびれや疼痛が現れます。
頸椎症状
頸椎症状では、後頭部・首から肩・肩甲背部のこりや不快感、疼痛などと首の運動制限が現れます。通常、首を後ろに倒す動作で増悪して安静にすると軽快します。またせきやくしゃみにより疼痛が生じることもあります。
神経根症状
神経根症状では片側の背部痛や上肢への放散する痛み、前腕や手指の痺れと感覚障害、脱力感、筋委縮などを認めます。圧迫される神経によって症状が現れる場所が違います。
脊髄症状
感覚障害としては手指や手掌全体に及ぶ痺れ感が主体で、さらに体幹、下肢に広がります。運動系では、筋力の低下や書字・更衣時のボタンかけ、食事動作など手の細かい動作が難しくなります。また圧迫がひどくなると、排便や排尿などに関する神経が障害され、頻尿や残尿感、便秘などの症状が現れます。
椎間板という組織自体は加齢とともに老化しやすい組織であり、歳をとるとともに髄核の水分が減少します。椎間板が水分を豊富に含んでいれば、クッション性も可動性も高いのですが、水分が減少してくると重い頭を支える働きも低下していきます。
そして椎間板の一部が外にはみ出しやすくなって、神経を圧迫するのです。それが頸椎椎間板ヘルニアの一番の原因です。また脊髄圧迫は生まれつき脊柱管が狭い人に起こりやすく、圧迫による脊髄症状を起こす危険性が高くなります。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 14:14 / 院長コラム 頸椎椎間板ヘルニアの鍼灸治療 への3件のコメント