躁うつはストレスだけでなる病気ではありませんが、自律神経バランスの影響を良く受ける病気だと考えらています。
自律神経が整った状態になると人の自然治癒力が最大限に発揮されて健康にいられますが、バランスが崩れてしまうと病気になりやすかったり身体の不調がでやすくなります。自律神経を整えることは病気や症状改善をするうえではとても重要になります。
当院では、自律神経測定器で交感神経と副交感神経のバランスを測ります。この測定器では、自律神経のバランス以外にも身体や精神ストレス、疲労度などを調べられますのでその方の今の調子を把握できます。
測定器のデータを元に治療方法を考えますので、一人一人にあったオーダーメイドの鍼灸治療ができます。
何回かの治療を行った後に再度自律神経測定器で測定して状態を測っていきます。治療効果の確認と体質改善による体内変化を確認していきます。
また、躁うつ病の患者様の多くは、胸鎖乳突筋という首の横の筋肉が異常に張っている場合が多く、その部分にもアプローチをしていきます。
40代 男性
会社では、役職も上がりストレスの多い生活を続けていた。生活も不規則で体調を崩してしまうときもあったがなんとか仕事をこなしていた。中間管理職のため職場の人間関係での悩みが多く、上司からは責められることも多く、そのストレスを部下に当たってしまうこともあった。その度に帰宅すると後悔して自分を責めることも。
そんなことが重なり、中間管理職の重荷に耐え切れなくなって、会社を休み日も出てきてしまった。
体調がいいと感じる時もあって、その時はどこかイライラしていて周りの人とのトラブルが絶えなかった。そういうことが続き、ついに会社から解雇を通告されてしまい、さらにうつ気分が強くなってしまった。心療内科を受診したところ双極性障害と診断されて、薬を服用しているが改善がみられないため当院にご来院された。
治療
自律神経状態の計測、躁状態の時とうつ状態の時の心の状態を詳しく問診していきました。治療では自律神経の調整と東洋医学的観点である肝と心の機能を回復させるように施術していきました。
治療は、最初の1か月は週に2~1回ほどのペースで行い、2か月目以降は段々と治療間隔を延ばしていきました。治療開始から1か月後には感情の起伏が少なくなったと実感。体もリラックスが出来ているとのことでした。徐々に社会復帰したいという欲も出てきてハローワークに行くなど就活もできるようになってきました。
2か月目以降多少落ち込む時や妙に気分が高揚している時があると感じるが、段々と症状は軽快していった。3か月目となると就活の目処もたってその方も心療内科の先生とも相談しながら社会復帰を模索して徐々に仕事ができる状態へと改善していきました。
病院で薬物療法を受けられている方がさらに良くなるのではと多くの方が鍼灸院に来院されます。
鍼灸治療は病院との治療と併用して受けられるとさらに効果も出やすいので、同時に治療することが多いです。症状が緩和してきてもリスクを考えて、薬物療法は続けてもらうようにしています。
東洋医学での治療は、全身の調和を元に背中から首にかけてと頭にある経絡をよく使います。全体のバランスが取れることで体内のリズムが整えられて、症状緩和に繋がります。頭にある経穴に刺鍼することで、脳内循環の改善を目的とします。
また躁うつ症状でご来院される方の多くは、五臓六腑の『心』と『肝』の異常がみられます。それらの重要な経穴も用いて『心』と『肝』が正常に機能するように施術していきます。
一回だけの治療では、症状の劇的な改善は難しいので、初めのうちは一週間に1~2回のペースで来ていただけると症状の緩和がよくみられます。
症状がほぼでなくなってからは、体調が悪い時を除き一か月に1~2回に変えてコントロールしていきます。
臨床で施術していると天候やストレスで症状が悪化することが多いです。特に季節の変わり目は変化しやすいのが特徴的です。
全身の調和がとれてきて体質改善した後も上記のような天候やストレスで症状が悪化することがありますが、これは一時的にしっかり施術をすることで1~2回の治療で元に戻ることが多いです。
このようなコントロールができると日々の生活や社会面でも効率よく生産的に働けると思います。
躁うつとは、双極性障害と言われるもので、うつ病とは違い気分が良すぎたりするハイな状態になることや、怒りっぽくなり不機嫌になることがみられます。この躁とうつを繰り返す病気です。
気分障害のため社会的に種々なトラブルを引き起こすこと可能性があるといわれています。
この躁うつには、双極Ⅰ型障害と双極Ⅱ型障害の二種類に分類されます。
双極Ⅰ型障害は、躁状態がある場合で、双極Ⅱ型障害は、軽躁状態だけの場合を呼びます。
WHO(世界保健機構)では世界で6000万人が罹患していると推定しており、うつ病と違い100人に1人くらいしかかからない病気だと言われています。うつ病の罹患率は女性で20%、男性で10%です。比べて躁うつは女性で2%、男性で1%と少ない罹患率になります。
自殺のリスクを持っており、二十年後の自殺率は6%で自傷は30~40%で起こっています。うつ病より自殺企画率や再発率が高いため本人の社会的や人間関係などを失うリスクが高い病気になります。
躁うつ(双極性障害)の原因は解明されていません。いくつかの考えられるものには、遺伝因子や環境因子、性格があります。
遺伝因子では、カルシウムの濃度調節に変化があることや、一卵性と二卵性でも違いがあるなどと考えられています。
環境因子には、職場や家庭でのストレスもともと双極性障害になりやすい体質で関係するのではと考えられています。
躁状態では、高揚気分や怒りっぽい、自尊心の誇大、多弁で多動、注意散漫、浪費、性欲や食欲の亢進
躁状態は、うつ状態とは正反対で、本人は自身に満ち溢れて楽観的になります。
うつ状態では、一日中気分が落ち込んだり、何をしても楽しめない、食欲減退、自分を責めたり過去を悔やむんだりします。全体的に意欲や行動が下がります。
この躁状態とうつ状態を繰り返します。
躁うつの治療には、薬物療法と精神療法の二種類になります。
治療の目的には、症状の改善と再発の予防を含め病態をコントロールできるように行われます。
躁うつは繰り返しなるのが特徴ですので、一時的に症状が緩和しても治療をやめてしまうと再発してしまうため長期的に治療を続けることになります。
薬物療法には、気分安定薬と抗精神薬が用いられて、不眠などの症状を持っている場合には、睡眠導入薬も処方されます。
精神療法では、心理教育、家族療法、認知療法、対人関係療法、社会リズム療法などが主に行なわれます。
精神療法やカウンセリングだけでは、治りませんが、病態や症状を把握することが大切になることもあります。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 19:20 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)