気分障害(感情障害)の鍼灸治療

気分(感情)障害とは

 

気分障害

気分障害とは、精神障害のうち、長期間にわたり悲しみで気持ちがふさぎ込む、(うつ病)、喜びで過度に気持ちが高揚する(躁病)、またはその両方を示す感情的な障害を示す障害を気分障害といいます。

以前は「感情障害」と呼ばれていましたが、快不快、喜怒哀楽という感情の病気というよりも、もう少し長く続く感情の持続的な病気という意味で「気分障害」と呼ばれるようになりました。

うつ状態や躁状態が持続、悪化することによりこれまで普通に行ってきた日常動作や対人関係ができなくなり、社会生活が困難になります。そして重度の場合は、考え方に偏りやゆがみを生じ、極端な場合、考えの異常は妄想になり自殺の危険が高くなります。

 

気分障害となる原因

 

うつ病

うつ病の明確な発症メカニズムは未だ解明されていません。しかし、うつ病患者は情動行動を制御する神経伝達物質の中のセロトニンやドパミンの機能低下が関与している可能性が示唆されています。

また、脳の海馬や前頭葉での領域で学習機能に重要な「神経栄養因子」が減少していることも示唆されています。

ストレスを受けるとストレスに対処するためにコルチゾールが分泌されますが、このホルモンが長期に過剰放出されると神経細胞が障害されることが知られており、うつ病発症を誘起すると考えられています。

 

双極性障害(躁うつ病)

 

双極性障害の原因は明らかになっていません。しかし、双極性障害の発症には遺伝子が影響するといわれています。

原因となる遺伝子は特定されていませんが、脳神経をつなぐシナプス、神経細胞からの神経伝達物質の放出、神経細胞の興奮性の調整に関わるイオンチャンネルなどに関連する遺伝子とのつながりが指摘されています。

 

症状

うつ病

・何をしても楽しくない、何にも興味がわかない、性欲がなくなる

・疲れているのに眠れない、一日中眠い、いつもよりかなり早く目覚める

・イライラして何かにせき立てられているようで落ち着かない

・思考力が落ちる

・死にたくなる

・食欲がない

・何をするにもおっくうになる

・悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる

双極性障害(躁うつ病)

双極性障害は、躁状態とうつ状態という二つの状態が現れます。

うつ状態のほうは症状の上ではうつ病と大きな差はありません。

<躁状態の場合>

・睡眠時間が短くても疲れを感じない、寝なくても元気で活動を続けられる

・人の意見に耳を貸さない、態度が横暴になる

。話し続ける、お節介になる

・根拠のない自信に満ちあふれる

・買い物やギャンブルにはまる

・性的に奔放になる

・イライラして怒りっぽくなる、やたらと説教をする

・絶好調と感じている

などの症状が現れます。

西洋医学的治療

うつ病の場合

診断・検査

一般的な病気のように血液検査や画像検査で異常がみられることがありません。そのため、うつ病の診断は患者との面接場面で現れている症状、日常生活の困難さ、その誘因など様々な情報を総合して下されます。

 

治療

 

心の休養・環境調整

うつ病はストレスを誘引にして発症することが多いため、過度なストレスがかからない環境において心の休養をさせることが重要です。例えば仕事量の増加がきっかけでうつ病を発症した場合には仕事量の軽減や自宅療養などの措置を行います。

 

 

薬物療法・精神療法

うつ病治療の主体となるのは薬物療法です。現在日本で用いられる主なうつ病治療薬はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる「抗うつ薬」です。そのほか症状に合わせて「抗不安薬」「睡眠導入剤」「気分安定薬」「非定型抗精神病薬」などが使用されます。

また、薬物療法と同時に行うことが多いのが精神療法です。医師や臨床心理士と対面して会話をしていく中で症状の改善を目指します。また、絶望感や自己否定感など実際の状況にふさわしくない感情が強いときは、その考えと現実との歪みを修正する「認知行動療法」がよいとされています。

その他の治療法

その他うつ病の専門的治療法として、高照度光療法、修正型電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激法などが用いられる場合もあります。

・うつ病の鍼灸治療について

双極性障害の場合

診断・検査

近年の精神科では、双極性障害の診断を「ICD」と「DSM」という操作的診断を基準に行っています。操作的診断とは「それぞれの基準にいくつ該当する症状があるか」という見方で、その結果によって病名を診断するやり方です。

また、症状の経過を見ながら、患者さん本人の生活や家族歴、併せて他の体の症状の有無、服薬状況などを総合的に見て診断します。場合によっては血液検査、CTやMRIなどの画像検査を用いることもあります。

双極性障害の分類

双極Ⅰ型障害

躁状態とうつ状態が現れるタイプです。Ⅰ型の躁状態は、社会生活に支障をきたすほどの激しい躁状態を引き起こします。たとえば、夜も眠らずに動き回る、話が止まらない、大きな声で話し遮られると怒るなどの突飛な行動を引き起こします。

双極Ⅱ型障害

Ⅰ型の躁状態と比べ、程度の軽い軽躁状態とうつ状態が現れるタイプです。軽躁状態がⅠ型の躁状態よりも激しくないから軽い病気ではないということではありません。また、うつ状態の期間はⅠ型より長く、自殺のリスクも高いとされています。

 

治療

薬物療法

気分安定薬や抗精神病薬を用いて治療を行います。躁状態に用いる薬剤、うつ状態に用いる薬剤などがあり、薬剤によって期待できる働きが異なります。

心理・社会的療法

心理・社会的療法では。病気に対する理解を深め対処法を学びます。心理教育や行動認知療法などがあります。

 

・双極性障害の鍼灸治療について

当院の鍼灸治療

 

東洋医学では「鬱病」のことを「鬱証」といいます。鬱証は精神的抑圧から精神のバランスが崩れ体内の「気」の流れがスムーズに流れなくなってしまい鬱々とした気分が続いている状態と考えます。鬱証の起こるメカニズムは複雑ですが、最も重要なのは肝・脾・心の損傷と気血の失調です。

鍼によって、脳にも変化が起きることが最近の研究で分かりつつあります。

鍼治療の前後で脳の血流量を見たところ特に前頭葉で大きく改善。脳活動が活発に炎症物質を減らしたことが脳の神経細胞の活動を活性化し、その結果うつ病や双極障害の症状が改善されたという報告もあります。

 

また、鍼灸治療を施すことによって自律神経の状態を整えることで脳内の神経伝達物質やホルモンバランスを整え、症状を改善させていきます。

 

気分障害のお灸治療

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 13:12 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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