インピンジメント症候群の鍼灸治療

インピンジメント症候群とは

インピンジメント症候群とは、肩を使う動作の途中で痛みを感じたり、引っかかるような違和感を感じ、それ以上に動かせなくなる症状を引き起こす障害です。

この「インピンジメント」とは聞きなれない言葉ですが「衝突・突き当たる」を意味する英語です。

肩の関節はもともと骨と骨が非常に近い距離で動く構造になっています。通常であれば、腕を上げるときには周りの筋肉がタイミングよく働き連動するため、うまく擦れずに動くことができますが、筋肉の疲れや姿勢不良などが原因でそのバランスが崩れるとインピンジメントを起こしやすくなります。

インピンジメント症候群

 

インピンジメント症候群となる原因

 

多くのケースでインピンジメント症候群の原因はオーバーユース(使いすぎ)です。特に野球の投球動作、テニスのサーブ、バレーのアタックなどオーバーハンドスポーツをされる方に多く見られます。

繰り返しの肩の使用によりインナーマッスルである腱板は疲労し、肩を内側から支える力が弱くなり肩関節が不安定になります。

すると、肩を動かした時に肩関節を構成する上腕骨と肩峰の間に腱板の一部や、肩峰下滑液包などが挟み込まれやすくなります。その状態で繰り返し刺激が加わると腱や滑液包が炎症を起こします。

また、加齢による変形血行不良、日々の動作の積み重ねによって症状が発症する場合があります。同一姿勢や、腕を頻繁に上げ下げすることによって筋肉や靱帯を損傷してしまいます。また、肩峰の形状には個人差があり、インピンジメントを起こしやすい方もいます。肩が柔らかい方(不安定性がある方)や潜在的な関節の硬さが影響していることがあります。

さらに、高齢者の方は肩峰にできた骨棘(こつきょく:尖った突起物)が年齢とともに大きくなり、腕を上げたときに骨同士が衝突するようになるケースがみられます。

 

インピンジメント症候群の原因

 

 

インピンジメント症候群の主な症状

 

インピンジメント症候群では、肩を上げたときに痛みや引っかかりを感じます

最後まで上げた時より、むしろ上げる途中や、ある特定の角度で痛みを感じます。

具体的には、

・目線の上のものをとる
・吊革につかまる
・シャツを脱ぐ着る
・ハンガーをかける動作

などで痛みが出現しやすいです。

また、しばしば夜寝ているときや仰向けになった際に痛みが強くなります。インピンジメント症候群は腱板付着部で炎症が起こるため、腱板断裂と似た症状を感じます。肩の可動域が制限されることは少なく、動くけど痛いという状況になります。夜間に痛みが強くなるのは、炎症が強い時に特徴的な症状です。

症状が悪化すると夜間痛の他、こわばりや筋力低下を起こしたり、さらにひどくなると腱板断裂になることもあります。

西洋医学的治療

検査・診断

問診、X線(レントゲン)検査で骨棘の有無、MRI検査で肩峰下滑液包の炎症や腱板の損傷の有無、造影検査で損傷範囲を確認して肩腱板断裂などの他の病気と区別します。

治療

治療は基本的に保存療法です。安静、肩甲骨周囲筋のストレッチ、肩甲骨の運動訓練、注射などを行いますが、症状が数か月以上続き日常生活や仕事に支障をきたす場合、関節鏡による手術(除圧術)を行います。

インピンジメント症候群に対する東洋医学的考え方

 

肩関節のツボ

東洋医学では肩の痛みは体の外から邪気を受けるため発症するものと東洋医学でいう「」と「」と「」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。そういった原因で肩背部付近もしくは上肢の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。

またスポーツでの肩に負担のかかる動作の繰り返しや、長い間腕を上げながら作業していた時などに気血は滞り、それが肩背部付近であった場合にインピンジメント症候群を発症する可能性が高くなります。

また東洋医学でも冷えは、様々な症状をもたらすとわれており、インピンジメント症候群の場合でも肩を冷やしてしまった場合に発症確率が高くなると考えられています。

 

インピンジメント症候群に対する当院の鍼灸治療

炎症がある急性期では、炎症を抑えることが最も優先されるため、インピンジメント症候群の痛みとして特徴的な肩峰下(肩先の骨の直下)、肩前面の部分やその周囲に鍼灸施術を行い、消炎作用、鎮痛作用を促します。

インピンジメント症候群の鍼通電治療

インピンジメント症候群は肩上部、肩甲間部、背部など広範囲に筋性の疼痛がみられることが多いことや、発症の要因として肩周囲だけの問題だけでなく猫背や反り腰などの姿勢不良による身体の歪み(主に背骨・骨盤)が連動して肩関節も歪ませてしまい、その結果として肩周りの筋肉や腱、靱帯に負担がかかり炎症が起きやすくなります。

そのため、当院では患部の治療のみではなく全身的なバランス調整を行うことで肩周りの組織の負担の軽減、疼痛の緩和、肩甲帯の可動域回復を図ります。

また、東洋医学的概念から肝、腎、脾に関係するツボや上肢の気血の流れを整えるツボも取り入れます。

自律神経調節鍼治療

さらに、自律神経系の調整施術を行うことで全身の血行促進と内臓機能や免疫力を高め、症状が治癒しやすいお体の状態へ整えます。

 

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 19:03 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

お問い合わせはこちらから
ここをタッチするとすぐにお電話が出来ます
メールでのお問い合わせはこちらから