心因性難聴は、内耳や脳など検査では異常が見られないのにも関わらずに耳の聞こえが悪かったり、耳鳴りが起きてしまいます。
一般的に心因性難聴は、思春期の子供に多いといわれていますが、働き盛りの30~50代の男性や子育てや仕事で忙しい20~40代の女性にも多くみられることがあります。
耳もデリケートな器官であり、血流やリンパの流れが悪くなってしまう事で上手く機能が果たせません。ストレスなどで自律神経が乱されることで全身的な血液循環が悪くなってしまい、弱っている耳の機能に異常をきたしてしまうことが考えられます。
心因性難聴の鍼灸治療では、他の難聴とは違い全身的な自律神経のバランス調整や東洋医学でいう五臓六腑の『心』『腎』の調節がメインになります。もちろん耳周りのツボにも施術していきますが、比重が全身調整の部分が大きくなります。
初診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定してそれを踏まえた上で治療を行っていきます。
上向きでお腹手足のツボ・頭頂部の百会というツボを用いて自律神経の調整、耳周りの循環改善を目的に耳周りの施術を行います。
うつ伏せ治療では、背部兪穴といって五臓六腑の重要なツボに鍼灸治療を行っていきます。また、頸部の筋緊張は耳周りの循環を悪化させる危険性があるため頸部の筋緊張緩和もうつ伏せ治療時に行います。
難聴は、発症して時間が経ってしまいますと症状が固定化してしまうことが多いため発症したら早期に治療を開始することをおすすめします。
一般的には発症して2週間が一番症状が改善しやすいと言われています。それ以降でも治っていく可能性はありますが、治療が遅くなればなるほど治るまでの時間を要することが多いです。
東洋医学では、耳の疾患は五臓六腑の『腎』と深い関わりがあると言われています。特に多いのが腎の機能が弱くなってしまう『腎虚』という病態です。
腎虚の状態では、耳の異常に加えて腰痛や思考力の低下、排尿異常も出る場合があります。
その他、心因性難聴で関わりが深くなってきますのが五臓六腑の『心』です。東洋医学の心は、心臓の働きの他に意識や精神活動などの部分の働きも含まれています。ストレスなどの過度な負荷が掛かってしまいますと影響が顕著に出てしまうのが心です。
また、東洋医学では心火の状態と腎陰虚の状態が同時に診られることが多くありその病態を『心腎不交』と言います。心腎不交の病態では耳の不調と共に不眠・自律神経失調・更年期障害がよく現れます。
心因性以外で難聴を引き起こす場合特に気を付けないといけないのが、聴神経腫瘍や脳血管障害で難聴が起きている場合です。脳血管障害の場合、難聴の他にふらつきやめまいなどが同時にあらわれます。
その他、メニエール病・ムンプス難聴なども難聴を引き起こします。
難聴や耳鳴りが突然起きた場合、原因解明のため一度病院で診察を受けることをお勧めします。
・メニエール病の鍼灸治療について
突発的に起きた難聴の場合、ステロイドの点滴や耳鳴りの場合血管拡張剤や筋弛緩薬が処方されることが多いです。
鍼灸治療はそれらの治療と並行して行っていくことが可能です。
心身性難聴・耳鳴りでは、過度なストレスや睡眠不足などの生活習慣の乱れが大きな要因となります。それらを出来るだけ排除していくことがとても重要です。
ストレスへの耐性や生活習慣など一人一人違いますので、これを行えば確実に防ぐことが出来るというものではありません。しかし、睡眠・運動・食事は生活の基盤であり、それらを正しく行っていけばいくらか症状を軽減させたり防ぐことは可能です。
睡眠
しっかりと睡眠時間を確保することや寝る前にスマートフォンやパソコン作業は行わずに深い睡眠をとれるような準備をしましょう。
食事
栄養バランスのとれた食事を大体毎日決まった時間に摂るようにしましょう。
運動
ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動は、身体をリラックスさせて全身の循環をよくします。特に朝日を浴びながらのウォーキングは体内時計も調整してセロトニンも体内に排出させますので自律神経の状態を整えるのにとても有効です。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 19:40 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)