当院の野球肩に対する施術は、第一に肩や上腕付近のツボや痛みの強い部位に鍼をさして微電流を流すことにより血行を良くし、老廃物を取り除くことや筋肉や骨に栄養が行き渡るように促します。また鍼を刺すことにより筋肉の弛緩を促し、鍼の刺激により痛みを感じる閾値を上げて鎮痛効果を促します。
野球肩は五臓六腑の「肝」と「腎」と「脾」に深く関係しているので肝と腎と脾に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことや脾の作用不足を正常に戻すように促します。
野球肩は、全身性の疲労や気血の滞りが原因の場合もあるので肩背部だけの部分的な施術ではなく東洋医学の診断をもとに全身を診て施術していきます。
全身治療を行うことにより人間が本来もっている自然治癒力を高めます。
また肩の疾患は周りの筋や腱の萎縮・柔軟性の低下によって起こっている場合が多いのでストレッチなどを用いてそれらの改善を促します。
当院独自の電気鍼療法とお灸治療を行い、早期復帰を患者さんと一緒になって目指します。
30代男性
野球肩で来院される。現在、草野球を二週間に一度のペースで行っていてポジションはピッチャーをしている。投球時に腕を振りかぶった際、リリース時に疼痛が肩関節の前面、後面に出現するが、特に後面の疼痛が強い。調子の良い時は試合の五回目位までは投球出来るが、痛みが強い日は全く投球出来ない日もある。また、仕事で主にPCを使用するため肩こりは慢性的に感じている。
治療方針
肩関節周囲の筋肉の筋緊張が強かったため、仰向けで小胸筋、烏口腕筋、三角筋、上腕二頭筋に鍼通電と灸で筋緊張を緩める施術を行い、その後うつ伏せで肩関節の回旋に関わる回旋筋腱版の筋緊張を緩める施術をマッサージと鍼通電と灸を用いて行いました。
治療経過
一回目
前回治療後試合があり、五回目まで投球することが出来た。痛みは出現するが調子が良い気がした。
二回目
試合があり、五回目まで投球することが出来た。痛みはやや軽減してきている。
三回目
また少し痛みが軽減した気がする。
四回目
前回草野球で投げた時は全力で投げても痛みが出ない。6回まで投げることができた
五回目
仕事での肩こりも楽になってきた。
東洋医学では野球肩は体の外から邪気を受けるため発症するものと中医学でいう「肝」と「腎」と「脾」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。そういった原因で肩背部付近もしくは上肢の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。
体の外からの邪気として一番野球肩が発生しやすいのは、寒く風のあたる場所にいた時などに体に悪さをする「風寒の邪気」を受けた時です。次いで湿度の高い場所にいて「湿邪」を受けた時などです。
またスポーツでの肩に負担のかかる動作繰り返しや長い間腕を上げながら作業していた時などに気血は滞り、それが肩背部付近であった場合に野球肩を発症する可能性が高くなります。
東洋医学でいう「肝」は血を貯蔵して必要に応じて供給・消費する作用や自律神経系の作用を通じて血管を収縮あるいは弛緩させて、体内各部の血液量を調節する作用があります。「腎」は人体の生命活動の基礎となる物質を貯蔵しており、「脾」は筋肉や軟部組織に栄養を供給しています。
「肝」・「腎」・「脾」のそれらの機能が弱ると全身的に血や体液が不足し、筋肉や骨などの様々な器官に栄養を送ることができず、さらに上記のような条件が加わることで野球肩がおこりやすくなります。
野球肩とは、野球での投球動作を繰り返し行うことによりオーバーユースとなり、肩関節周囲の組織に生じた様々な障害の総称したものです。投球動作の繰り返しにより肩の腱板(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)は急速に疲労して、本来の機能である肩関節の安定性を保つ働きが低下し、その結果肩関節の安定性が低下して、関節周囲組織に機械的刺激による種々の障害が生じます。具体的には、腱板炎・関節炎・上腕二頭筋長頭腱炎・筋付着部炎などを起こします。
野球肩は他のスポーツでも発症する場合がありますが、野球の投手や野手に多いことから「野球肩」と呼ばれています。野球肩を発症しやすいスポーツ競技としては野球の投球動作に近い方の動きを強いられるスポーツ競技に多く、バレーボールのスパイク動作・槍投げや砲丸投げなどの動作・水泳でのクロール動作などが挙げられます。
野球肩の基本的な症状
・ボールを投げると肩周囲に疼痛が生じて投球に支障をきたす。
・肩関節の可動域の低下
・腱板などの肩関節周囲の筋肉の萎縮
・腕を内側あるいは外側に捻った際に疼痛が生じる
・肩関節の不安定性
・肩を動かした際に「コキコキ」という異音を感じる
野球肩は、どの年代にも起こり得る障害ですが、発症の傾向から発症しやすい年代があります。発症しやすい年代としてまだ成長段階にある幼少期の子供に特に発症しやすい傾向にあります。
また野球肩は肩関節の柔軟性とも深く関係しており、20歳を過ぎて体の柔軟性を失っていくと肩に大きな負担がかかり、発症することもあります。
※腱板炎
腱板とは、肩甲下筋・棘上筋・棘下筋・小円筋の4つの小さな筋肉のことをいいます。それぞれの筋肉は、上腕骨頭に付着しており肩関節がはずれないように上腕骨を固定しています。
腱板炎は、徐々に発症する腕を上げた時の疼痛・ひっかかり感・筋力低下やこわばりおよび夜間痛などが主な症状です。特に腕を肩の高さより上で使用した時の運動痛が特徴であり、肩を使うほど症状が悪化します。症状が悪化すると、握手のため腕を前へ動かす動作だけでも痛みを伴う場合もあります。
※上腕二頭筋長頭腱炎
上腕二頭筋とは腕を曲げる筋肉であり、力こぶをつくる筋肉でもあります。この筋の起始部は二手に分かれており、一つは上腕骨短頭といい肩甲骨の烏口突起という部分から起こり、もう一つは上腕骨長頭といい肩甲骨の関節窩上部から起こり上腕骨の結節間溝という部分で上腕骨頭に沿って90度曲がって肘関節の方へ下っていきます。
こういった走行上の特性から長頭は、上腕骨とこすれやく、炎症が起こりやすいのです。症状としては上腕骨の結節間溝部の圧痛ですが、腕を挙げた時やボール投げる動作で痛みが増強することが多いです。
振りかぶって、まだ投げる腕が頭の後ろにあるところから腕を加速してボールを離し、腕が減速していくところまでで痛む場所や問題のあるところがかわっていきます。
振りかぶり投げる動作に入りボールを離すまでに痛みが出る場合は、肩の前面に痛みが出る場合が多いです。投げ過ぎによる関節唇の炎症や腱の弛緩などが原因として考えられます。また棘上筋や上腕二頭筋に障害があることが多く、炎症や痛みが引いてからはそれらの筋肉をトレーニングで強化する必要があります。
また、ボールを離して腕を振り下ろすまでに痛みが出る場合は、肩の後面に痛みが出る場合が多いです。関節包や肩関節後方の棘下筋・三角筋後面の肩後面筋が引き伸ばされることが原因となります。これらの筋も投げ過ぎには注意し、炎症や痛みが引いたらトレーニングで強化していく必要がります。
清水大地
資格
はり師
きゅう師
2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む
2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 10:45 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)