関節リウマチの東洋医学的鍼灸治療
リウマチの場合、関節に多く症状が出ていますから
関節周囲に鍼灸治療を行えばよいというものでもありません。まず五臓六腑の機能低下と自律神経の乱れを整えていくことで、自己免疫力を高めていくことを基本とします。
『リューマ=流れ』が滞っている状態ですから、
全身の気血津液の流れや、関節に至るまでの経絡(ツボの流れ)を整えることは治療法において大切といえます。
またリウマチは自己免疫疾患に分類され、免疫系の不具合や異常反応によって引き起こされる部分もあります。免疫機構において間違って自己の身体に攻撃してしまうことによっておこされます。攻撃してしまう部分が関節や滑膜であると、リウマチの症状となるのです。
免疫機構を正常な状態にするために、脊柱(中枢神経系)の背部兪穴と関節の症状に効果的な合水穴を用いていきます。
免疫機構を正常な状態に近づけていくには、体質を変えていく必要があります。(本治法)
ですからリウマチになってからの期間が長い場合であれば、
治療の期間も比例して、期間が必要になります。
逆をかえせば、早期に発見し早期に治療すれば症状が悪くなることはないのです。
また、症状が出ている部分に直接鍼灸施術を行い、症状緩和のアプローチも行っていきます。
早期発見早期治療を原則とし、病歴や臨床症候などをふまえ適切な治療を選択することが重要です。
リウマチはWHO(世界保健機関)でも鍼灸の適応疾患とされており、代替療法として有効性が認められている疾患です。
西洋医学と東洋医学(鍼灸治療・漢方等)の良い部分を選択して症状を改善していくことが治療効果をあげやすいといえるでしょう。
40代女性
3ヶ月前に手の関節にこわばりを感じ整形外科を受診したところ関節リウマチと診断された。
現在は薬を服用し経過をみているが、東洋医学の観点からも治療を行ってみたいとのことで当院を受診された。
デスクワークのため手を使うことが多く、症状が強く出ているときは仕事に集中できない。
季節の変わり目や湿気が多いときはときに症状がでる。
また、慢性的な肩こり、頭痛もあり最近は食欲も低下している。
当院の治療
リウマチは全身の結合組織を浸す病気であるため、痛みがでている場所だけでなく全身症状を軽減させ、全身の血流を改善していくことも重要です。
身体の機能を高め、調子を整えるためにお腹や背中のツボを鍼で刺激します。
首肩の緊張はかなり強かったため鍼通電療法を用いて筋緊張の緩和をはかりました。
また、痛みがでている部位に直接鍼とお灸をして、痛みの緩和・炎症の消失をはかる治療も行いました。
◇1回目◇
施術直後の指の変化はいまいち感じなかったが、全身がポカポカして身体が軽くなる感覚はあった。
◇2回目◇
お灸をすると痛みが和らぐ。炎症が前回よりも良くなっている。
◇3回目◇
肩こりは楽になってきた。
頭痛もここ最近はでていない。
セルフケア用にお灸を購入し、自宅でもやってみることにした。
◇4〜8回目◇
朝晩のお灸の効果もあってか、こわばりはでても以前より楽な日が増えた。
食欲も改善し、以前と同じだけ食べられるようになった。
今後も症状軽減のためセルフケアと鍼灸治療を継続する。
リウマチとは、ギリシャ語の『リューマ』という『流れ』を意味する言葉から由来しています。関節が痛む病気は脳から悪い液体が流れ出していると考えられていました。
リウマチは一般的には関節リウマチのことをさします。
広い意味では関節や周囲の骨や筋肉が痛む全般の病気をさすこともあります。リウマチは女性に多く発症すると言われ、男性の5倍もの罹患率で30代~50代に発症のピークがあります。
※
以下リウマチ:関節リウマチ
リウマチの初期の症状は
・身体がだるい
・力が入らない
・気力がない
・脱力感
・微熱が続く
・貧血気味
などの症状がでることがあります。初期の場合だとなかなかリウマチに気づくことはまれで、風邪などの他の症状と思い、見過ごすことが多いです。
リウマチの典型的な症状といえば、朝のこわばり感がでることです。朝起きて1時間ほどは腫れぼったい感覚で動かしにくい症状が出ます。この症状は全身の関節に出ますが、手の手指関節や手首関節に起こりやすいです。上記のようなリウマチの初期症状にプラスして朝のこわばりを感じるようであればすぐに病院で検査を受ける必要があります。朝のこわばりが起こりリウマチが進行すると手の関節は独特な変形を起こして
・ボタン穴変形
手の第二関節に炎症が起き続けると起こりやすい状態です。指の第二関節は内側に第一関節は外側に曲がることでボタン穴のような形になります。
・スワンネック変形
その名の通り白鳥の首のように指関節が曲がってしまう状態です。指の第3関節に炎症が続いてしまう場合に起きます。
・尺側偏位
親指を除くすべての指が小指側に常に曲がってしまっている状態です。尺側偏位は徐々に進行するため変化に気づきにくいです。
リウマチの初期の症状は身体がだるい、力が入らない、気力がない、脱力感、微熱が続く、貧血気味などの症状がでることがあります。初期の場合だとなかなかリウマチに気づくことはまれで、風邪などの他の症状と思い見過ごすことが多いです。
リウマチの典型的な症状といえば、朝のこわばり感がでることです。朝起きて1時間ほどは腫れぼったい感覚で動かしにくい症状が出ます。この症状は全身の関節に出ますが、手の手指関節や手首関節に起こりやすいです。
リウマチの症状は緩解と増悪を繰り返し、慢性的な経過をたどることが多いです。手の関節ばかりでなく、全身の関節にも起こる可能性があり左右対称性におきやすいといわれています
手関節以外にも
・膝関節
・股関節
・肘関節
・頚椎
などの関節にもリウマチは起きることがあるのです。
また初期症状のように関節以外にも全身の症状を呈することがあります。皮膚の下にできる皮下結節や血管系への炎症や目の炎症も出現することもあります。
リウマチの原因ですが、今のところ明確には原因はわかっていません。ただ分かっているところもあります。
①免疫調節機構の異常
リウマチは大まかに分類すると自己免疫疾患になります。簡単にいうと、この免疫機能が味方なのか敵なのかわからなくなり、自分の組織を攻撃してしまうことによるものではないかと考えられています。
②遺伝子的素因
リウマチにはなりやすい人となりにくい人がいます。遺伝子的要因は関係していますが、必ずしも遺伝するというわけでもありません。リウマチ患者の男女比は4対1で女性になりやすい疾患といえるでしょう。
③感染症によるもの
最近の研究ではリウマチは感染症が原因になっているというデータもあります。
①薬物療法
薬物療法は関節の炎症を抑えることを目的とします。
・抗炎症剤(炎症を抑えて痛みを和らげる薬で非ステロイド系、ステロイド系にわけられる)
・抗リウマチ剤(免疫の異常を改善して病気の進行を抑える薬)
・生物学的製剤
(生物によってつくられるタンパク質などを利用比較的新しい薬。サイトカインの動きを抑制する働きがある薬です。)
②リハビリテーション
リハビリテーションの分野でも運動療法や物理療法で症状をコントロールすることも大切と言えます。
運動療法では、関節や筋肉の機能を高めて機能低下を防ぎます。
物理療法では、超音波や温熱、光線などの物理的刺激により血液循環を良くして痛みを和らげることもできます。
③手術療法
関節の機能が失われて、日常生活に支障をきたす場合だと手術の対象になります。また薬を服用しても痛みが激しく続く場合も手術の対象です。手術(関節固定術、人工置換術等)は関節の機能を回復させるためで、リウマチの症状が完全に治るということではないのです。
Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 11:45 / 院長コラム コメント&トラックバック(%)