腱板炎 肩の痛みの鍼灸治療

2019年4月27日

①腱板炎に対する当院の鍼灸治療

当院の腱板炎に対する施術は、第一に炎症を抑える目的で肩周りにはりやお灸を施します。また、痛みの強い場合は、当院独自の電気ハリ療法を用いて鎮痛効果を促します。
炎症がおさまった段階で、少しずつ血行を良くし、老廃物を取り除くことや筋肉や腱に栄養が行き渡るように促して早期回復を目指します。
腱板炎は五臓六腑の「肝」と「腎」と「脾」に深く関係しているので肝と腎と脾に関するツボを用いて肝血や腎気を補うことや脾の作用不足を正常に戻すように促します。また患部が冷えていて発症した場合はお灸の刺激により温めることも行います。

東洋医学の特徴の一つである全身を診て施術をすることで人間の本来持っている自然治癒力を取り戻します。
また肩の柔軟性が失われている場合が多いので、無理のない範囲でストレッチなどを行い肩関節への負担軽減を目指します。

腱板炎に対する鍼灸治療

 

②腱板炎の東洋医学的考え

中医学では腱板炎は体の外から邪気を受けるため発症するものと中医学でいう「肝」と「腎」と「脾」が何らかの原因で損傷して働きが弱まって発症するものと考えられています。そういった原因で肩背部付近もしくは上肢の気血が滞り、それが痛みや痺れの原因となると考えられています。

またスポーツでの肩に負担のかかる動作繰り返しや長い間腕を上げながら作業していた時などに気血は滞り、それが肩背部付近であった場合に腱板炎を発症する可能性が高くなります。
また中医学でも冷えは、様々な症状をもたらすとわれており、腱板炎の場合でも肩を冷やしてしまった場合に発症確率が高くなると考えられています。

 

③腱板炎の鍼灸治療症例

50代 女性
1か月ほど前にヨガで右腕を動かした際に急に右肩に痛みを感じた。その日は、夜も痛みが続いて次の日に病院を受診したところ腱板炎と診断された。湿布薬と痛み止めの飲み薬を処方されたが、あまり効果が見られずにマッサージ店に行って右首肩周りをほぐしてもらったところさらに痛みが悪化してしまい当院にご来院された。仕事中は、気を張っているせいか痛みが軽減されて可動域も狭くない。
当院来院時は仕事終わりで痛みが強く出ていた。

 

治療経過
触診したところ、左右の首肩や肩甲骨周りの筋肉が緊張状態で右肩には多少熱感がありました。右肩には痛みを抑えるように鍼通電療法を行い、その他筋肉が緊張している場所には鍼を刺して心地よい温度程のお灸で筋肉を弛緩させていきまました。最初の5回程の治療は3~4日おきに治療。その後は治療間隔を延ばしていきました。
◇1回目◇
治療した日の夜はあまり痛みを感じなくてよく眠ることが出来たとのこと。

◇2回目◇
まだ日常生活でのドアノブを回すなどふとした時に痛みを感じる。

◇3~5回目◇
痛みは徐々に消失。しかし、腕を後ろにまわす動作で痛みが誘発。その部分は可動域も狭い

◇6回目◇
少しずつ可動域を広げるように家でもできるストレッチ法を行ってもらった。右肩の炎症はだいぶ治まってきたと判断して右肩も温熱灸療法を施していきました。

◇7~9回目◇
痛み・可動域制限ともに日常生活で感じる事がなくなったので治療を終了しました。

 

 

④腱板炎とは?

腱板炎とは、腱板という肩関節を安定させ動かすために重要な役割をもつ筋肉が炎症を起こす疾患です。
腱板とは、肩甲下筋・棘上筋・棘下筋・小円筋の4つの小さな筋肉のことをいいます。それぞれの筋肉は、上腕骨頭に付着しており肩関節がはずれないように上腕骨を固定しています。これらの筋肉の上腕骨頭に付着する部分の腱がそれぞれ境目のわからないように板状に付着しているため「腱板」と呼ばれています。

肩関節は身体の関節の中でも最も可動性のある関節です。関節の動ける範囲が広いために関節にある程度の弛みが必要であるため脱臼が多く、周囲の筋肉への負担が重い関節の一つです。肩関節周囲に数多くの筋肉があり、肩関節の可動性はこれらの筋肉がバランスよく連動する事でスムーズかつ複雑な動きを可能にしています。なかでも関節の深部にある腱板は、肩甲骨と上腕骨頭を覆うような形で関節を安定させる重要な役割をしています。

 

腱板炎

 

腱板炎は、徐々に発症する腕を上げた時の疼痛ひっかかり感筋力低下こわばりおよび夜間痛などが主な症状です。特に腕を肩の高さより上で使用した時の運動痛が特徴であり、肩を使うほど症状が悪化します。症状が悪化すると、握手のため腕を前へ動かす動作だけでも痛みを伴う場合もあります。
簡単な検査法として腕を水平に挙げて前方に動かしたり内側に捻ったりすると痛みが出ます(インピンジメント徴候)。腕を挙げて、下ろしてくるときに痛みが出ます(ペインフル・アーク・サイン)。又、腕を外側へ挙げてゆくと、水平の位置で止めておくことが出来ず腕が落ちてしまう(ドロップアームサイン)などが見られます。

 

急性期の症状
痛みが出始める急性期は、痛みのため可動域の制限が出ることが多いです。しかし、痛みがどこであるかはっきりとはわからずに肩全体が痛みます。肩に熱感や腫れが見られることもあります。

慢性期の症状
急性期の症状が悪化してしまい、慢性的な痛みとなると肩前面の奥の方が痛むというように急性期とは違い痛む位置がはっきりとわかってきます。押すと痛みが出ますが、熱感や腫れはみられません。

 

腱板
棘上筋
腕を外側に挙げる運動に重要な役割を果たす筋肉。肩甲骨の上部から出て上腕骨大結節につきます。この筋肉の障害は、腕を高い位置で長時間作業している方に多く、痛みにより眠れない方もいます。

棘下筋
腕を外側に捻る働きをする強力な筋肉。肩甲骨の表下部から出て上腕骨大結節につきます。この筋肉が障害されると、髪を結む動作や痛みの内方の耳を頭の後ろ側から触るような動作で痛みが出ます。

肩甲下筋
肩甲骨の裏から起こり上腕骨に付く筋肉。腕を内側に捻る働きをする筋肉です。また肩甲骨を安定させるための重要な筋肉であるため肩関節の障害の多くは肩甲下筋が関与していると考えられています。

小円筋
腕を外側に捻る働きをする筋肉。肩甲骨の外側から出て上腕骨に付きます。上腕が運動するときに上腕骨頭を関節内で安定させる補助的な役割もあります。

 

※腱板断裂の場合
腱板炎が進行したり、腱板の部分断裂が進行してしまうと腱板が完全断裂してしまう場合があります。そうなってしまうと病院で手術治療を受ける必要があるので注意が必要です。
棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋のうち最も損傷を受けやすい部位は、棘上筋腱で肩峰の下にある肩峰下腔と呼ばれる空間を通過しなければいけないために肩峰下腔が狭くなればなるほど腱板が骨に挟まれて擦れてしまうことで炎症や部分断裂を引き起こします。

炎症が起きるとその部位は腫れあがってしまいさらに骨に擦れやすくなってしまう悪循環に陥ってしまうのです。

この悪循環が繰り返されることによって腱板の筋としての強度は低下してしまい、そこに強い衝撃が加わってしまうと完全断裂が起きてしまう危険性があるのです。腱板断裂は、野球など肩部を多く使うスポーツ選手や交通事故等による強い衝撃を受けた場合に多く見られますが、その他にも高齢者にもみられる場合があります。

高齢となればなるほど傷の修復能力は低下します。それと同じように腱板が少しでも損傷してしまうと治癒能力が低下してしまっているため、炎症が進行して腫れ上がることでさらに損傷部位が広がりやがて完全断裂へと悪化します。
腱板が断裂してしまっている場合腕を身体前面から上に挙げるような動作ができなく日常生活でも著しく支障をきたします。

 

 

⑤腱板炎の原因

腱板炎はすべての年代に起こりうる疾患で、若い年代では野球投球動作水泳の自由形背泳ぎなどといった肩を酷使するスポーツに多く、過度な方の動きや腕を高く上げる動作を繰り返し行うことにより腱板は靭帯や骨と摩擦が生じたり、動作時に強く引き伸ばされるため微細な損傷を受けやすくなります。(野球肩について)

痛みがあっても我慢して動作を続ければ、腱が断裂してしまうことがあります。またスポーツをしない人でも年を重ねるごとに肩周辺は筋力低下して肩関節のさまざまな動きにより腱板は圧迫・摩擦・牽引されやすく、転倒した際に手をつく動作で損傷を受けます。そういったはっきりとした外傷から腱板炎を発症する場合も多いですが、特別な外傷もなく発症する場合も多いです。
腱板の中では、棘上筋の腱がちょうど骨と骨との間にあって最も障害されやすく、最終的には腱の断裂に至ります。

 

また、夜間に突然痛みが生じる肩関節の原因としまして石灰沈着性腱板炎というものがあります。石灰沈着性腱板炎は主に40~50代の女性に多く見受けられ、痛みで睡眠中に起きてしまったり日常生活でも痛みが強く肩を動かすことができずに支障をきたします。
石灰沈着性腱板円は腱板内にリン酸カルシウム結晶が沈着してしまい急性の炎症が生じて強い痛みと可動域制限が起きます。

沈着したばかりの石灰は、粘り気は少ない状態ですが時間が経つにつれてどんどんと固まってさらにそれが集まり膨らんだ状態へと変化して肩の痛みが増していきます。
石灰沈着性腱板炎では整形外科で激痛を早く取り除くため腱板内に注射をして石灰を吸引する方法がとられます。
しかし、それでもなかなか症状が改善されないで症状が6か月以上も続く場合もあります。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸整骨院|眼精疲労 at 22:52 / 院長コラム コメント&トラックバック(%)

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