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気虚に対する鍼灸治療

金曜日, 4月 26th, 2024

気虚とは

気虚(ききょ)とは、東洋医学で用いられる言葉であり、体や心の状態を表す概念です。気は体内に存在する生命エネルギーでネルギーであり、体内の機能やバランスを調整する役割を果たしています。気虚とは、この気の不足や弱さを指し、体力、免疫力、集中力などの低下や疲労感、体のだるさなどの症状が現れる状態を指します。

 

気虚の具体的な症状

気虚の症状は人によって異なりますが、以下に代表的な症状をいくつか挙げます。

 

1 疲労感:気虚の人は体力が低下しており、疲れやすい傾向があります。日常的な活動や運動においても、通常よりも早く疲れを感じることがあります。

 

2 集中力の低下:気虚の人は集中力が乏しくなり、仕事や勉強、日常生活においても思考や注意力の散漫さを感じることがあります。

 

3  免疫力低下:気虚の人は免疫力が低下し、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。体が弱く、抵抗力が低下しているためです。

 

4 冷えやだるさ:気虚の人は体の冷えやだるさを感じやすくなります。特に手足の末端が冷たくなることが多く、むくみや脚のおもだるさ、冷え性の症状が現れることもあります。

 

5 睡眠障害:気虚の人は睡眠障害を抱えることが多く、入眠困難や中途覚醒、ぐっすり眠っても疲労感が取れないなどの症状が現れることがあります。

 

6 頭痛やめまい: 脳血流が不足するため、頭痛やめまいを感じることがあります。特に体力を使った後や、ストレスを感じた後に起こりやすいです。

 

7 情動の不安定:気は感情のコントロールにも関わっています。適切な度合いの感情は必要ですが、過度な怒りや悲しみ、反対に全く反応が無くなってしまう場合があります。普段気にならないことでもイライラしたり、攻撃的になる場合があります。

ストレスによる睡眠障害

気虚が起こる原因

気虚が起こる原因は生活習慣に大きく関わっています。

 

1 長期の過労やストレス:過度の仕事やストレスは気虚を引き起こす要因の一つです。長時間の労働や精神的なストレスが続くと、気の消耗が起こり、気虚の症状が現れることがあります。

 

2 栄養不足:栄養バランスの悪い食事や食欲不振による栄養不足は気虚を引き起こす原因となります。特にビタミンやミネラル、たんぱく質などの摂取が不足すると、気の生成や運行に必要な栄養素が不足し、気虚の状態が生じます。

 

3 過度の運動や過労のスポーツ活動:過度の運動や過労のスポーツ活動は、筋肉の疲労だけでなく、気の消耗も引き起こすことがあります。特に長時間の激しい運動や短期間での過度のトレーニングは、気虚の症状を生じやすくします。

 

4 慢性的な睡眠不足:睡眠不足や睡眠の質の低下は、気の不足を引き起こす原因となります。日常的に睡眠時間が短いと身体だけでなく胃腸の活動も低下します。食事からの栄養吸収効率が低下すると気虚になりやすくなります。

気虚によって起こりうる疾患

このように気虚では、基礎代謝や免疫力など健康の基盤が弱くなります。つまり血液循環が低下します。そのため身体のいたるところで症状が見られます。

脚の血液循環が低下すると、末端冷え症やふくらはぎのこむら返り、浮腫を起こします。

内臓の血流が低下すれば体重減少や栄養失調、下痢などお腹の症状に繋がります。

頭部の場合は、目や耳、鼻に症状が現れます。

 

目の症状:目の重だるさ、かすみ目、ドライアイなど

耳の症状:突発性難聴、耳鳴り、めまいなど

鼻の症状;鼻汁、嗅覚障害、後鼻漏など

また、気虚では情動の不安定性が見られます。

多くの場合は2つのケースにわかれます。感情の起伏が激しくなり、怒りや悲しみが強く発現して感情が抑えられなくなる場合と、物事に対するリアクションが軽微になり喜びや楽しさを感じにくくなる場合があります。

情動の不安定性による疾患:統合失調症、気分障害(双極性障害・うつ病)、不安神経症など

当院での鍼灸治療

気虚の状態では自律神経の働きが低下している場合が多くみられます。

そのため自律神経の働きを上げることと、交感・副交感神経の働きのバランスを整える必要があります。

 

当院では自律神経測定器を導入しており、治療の前に測定して現在の自律神経の状態を確認します。

うつ症状が見られる場合は副交感神経が優位な場合が多く、イライラや睡眠障害が見られる場合は交感神経が過剰活動になっている場合があります。

うつ伏せ治療では、首や肩、背中、腰、脚にあるツボや筋肉の硬さ(硬結)に鍼をします。

その周囲を温めることでより効果的に血流を改善していきます。

仰向け治療では手足、お腹にあるツボに鍼をします。頭痛やめまい、目や耳にも症状があれば局所とその症状にあうツボにも鍼と灸をします。

気虚の症状は慢性的に発症していることが多く、その場合はある程度の治療期間が必要になります。また一時的に改善しても再発しやすいのも特徴です。そのため定期的な治療を受けることで良い状態を維持していくことが重要になります。

腱板炎に対する鍼灸治療

木曜日, 4月 25th, 2024

腱板とは

腱板とは、肩甲骨から上腕骨(腕の骨)につく、棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋の4つの筋肉をさします。

肩をあげたり捻じる動作を行うため、回旋筋腱板(ローテーターカフ)とも呼ばれます

これら4つの筋肉が肩のインナーマッスルとなり、肩関節の動きとして重要な役割をしています。

 

腱板を痛めてしまう原因

腱板炎をおこしてしまう主な原因は、使いすぎにあります。

野球の投球動作やゴルフ、テニスのサーブやバレーボールのアタックなどオーバーハンドスポーツ、水泳などをされるアスリートに多くみられます。一般の方ですと、肩を上げたり捻じる動作が日常的に多く、肩を酷使される方に多く見受けられます。

 

分類とと症状

病態の損傷と分類としては、微細損傷不全断裂完全断裂に分かれます。

不全断裂や完全断裂の主な症状としては、肩の可動時痛です。

腱板炎は五十肩と似た症状ですが、五十肩の場合原因がはっきりとしないのに対し、腱板炎は腱板の炎症、または断裂が疑われるものをいいます。筋肉の損傷ですので、損傷している部分の筋肉に力が入ると痛みが出ます。

五十肩は、他人に動かしてもらっても痛みは変わりませんが、腱板炎の場合は、関節自体に問題があるわけではないので、力を抜いた状態で他人に動かしてもらった場合、痛みが出ることはありません。

夜間痛が強い方も多く、急性期には強い痛みが出る場合もあるため、安静と可動域制限(固定)も考慮し日常生活では注意しなければいけません。

また損傷の程度によって筋肉の萎縮が見られる為、肩に力が入りづらくなることもあります。

 

腱板筋のそれぞれの作用(動き)

【棘上筋】

三角とともに肩の外転(腕を真横に上げる)働きがあります。肩関節の固定性と上腕骨の滑りを担っているため、棘上筋が弱くなったり硬くなってしまうと、肩の安定性が乏しくなり、棘上筋腱(上腕骨に付着している部分)に炎症を引き起こしてしまうことがあります。

【棘下筋】

肩甲骨と上腕をつないで肩関節を安定させる役割。また、上腕を後方へ引く動作に関与している為、ボールの投球時などの振りかぶる動作や、背中を掻いたり頭を洗ったりする際などに使われます。日常的によく使う筋肉のため、あまり休まる時がない筋肉です。

【小円筋】

肩関節の後方の安定性と腕を外向きにひねる役割りを果たしていおり、小円筋が硬くなると、内側にひねる動作に制限がでたり、痛みが生じます。

【肩甲下筋】

 肩甲骨と上腕骨をつなぎ、支えるための重要な筋肉です。また、肩の内旋(内側にひねる動き)を担っています。肩甲下筋が縮んで硬くなると、肩の外旋(外にひねる動き)の範囲が狭くなります。

※なかでも、1番痛めやすいのが棘上筋です。棘上筋は肩甲骨から始まり、肩甲骨の突起(肩峰:けんぽう)の下をくぐるように上腕骨の大結節というところに付着します。

そのため、肩の使い過ぎや筋肉疲労によって、上腕骨と肩峰に挟み込まれた衝撃や摩擦により棘上筋の筋繊維を損傷してしまいます。その他の筋肉は回旋時(肩を回す時)に作用するため、回旋時のストレスが蓄積されることによって痛めてしまいます。

 

検査と一般的な治療法

【検査】

レントゲンでは腱板の損傷はうつらないため、問診やテスト法、可動域の検査や、MRI検査、超音波検査などを行います。

【治療法】

急性期の場合は、固定やアイシングなど怪我の基本的な処置が必要となることがあります。極端に大きな負荷がかかった場合は腱板の完全断裂を疑われるので、専門医の精査が必要となります。

そして、治療法は保存療法と手術療法に分けられます。保存療法の場合は、2週間ほど固定し安静に保ちます。その後、手技療法で可能なストレッチを行い患部周囲をほぐしたり、段階に応じた運動療法を取り入れて組織の再強化を行います。

※腱板損傷は、外傷性のものもありますが、ほとんどは度重なる運動や動作のストレスによるものです。日頃から肩にストレスが蓄積されないように、ストレッチなどを取り入れて、セルフケアをしっかりと行いましょう。

 

腱板炎に対する当院の鍼灸治療

鍼灸治療で適応となるのは微細損傷と不全断裂となり、慢性期に移行した際には、機能回復治療として鍼灸治療が選択の1つとなります。

局所や痛みに関連している経絡を使い、反応のあるツボに刺激を入れて痛みの軽減を図ります。また、上腕二頭筋の緊張を緩め、筋の摩擦を軽減し炎症を抑えていきます。急性期にはアイシングや患部の安静が重要になります。

東洋医学的観点において筋肉の問題は『肝』に関係していると言われています。肝が損われると、筋に引きつれが起こりやすいと考えられているため、肝の経穴に刺激を与えることで、筋肉の過緊張を取り除き、体にかかる負担を軽減させる治療を行います。そして上腕二頭筋や関連している筋肉の状態に応じて鍼に微弱な電気を通し、鎮痛作用や筋緊張の緩和、血流の促進を促します。

また当院では、自律神経測定器にて自律神経の状態を把握した上で治療をします。

自律神経は交感神経、副交感神経の二つに分けられ、交感神経は日中の活動時に活発に働く神経で、副交感神経は夕方から夜にかけて優位に働くリラックス神経です。この二つの神経がバランスをとりながら無意識下で全身の筋肉や血管、ホルモンの分泌など様々な調整を行っているため、ストレスや疲労、生活習慣の乱れなどから自律神経のバランスが乱れると、心身の不調をきたします。

また自律神経が乱れることで、就寝時に交感神経が優位になってしまい身体が休まらず疲労が溜まってしまい、筋肉の緊張が取れにくい身体になってしまいます。

そしてなにより、東洋医学の治療法と自律神経療法を組み合わせることでより治療効果を高めることができるため、お一人お一人に合ったオーダーメイドの治療を行っていきます。

鍼灸治療は自律神経を整えるのにとても優れた治療法です。自律神経を整える経穴や肝の特効穴を用いて症状改善を目指します

また、自律神経のバランスを整える事で筋肉の過緊張を緩和血行を促進して鎮痛効果と症状を改善し、免疫力をあげることで再発や悪化を防いでくれます

腱板炎の症状でお悩みの方は、東京α鍼灸院へお越しください。

 

気滞症状に対する鍼灸治療

土曜日, 3月 30th, 2024

気滞とは

気滞とは、文字通り気の滞りのことを指します。次に気とは生命活動の源とされるもので、普段は滞りなく全身を巡っています。気は血液や熱と類似しており、ある部位で滞ってしまうと身体に症状が現れます。この身体症状が気滞です。具体的な症状は気滞が起こる部位によって異なります。そのため気滞によって引き起こされる症状は多岐にわたります。

 

気滞が起こる原因

まず気とは血液や熱に類似しているとお伝えしました。さらに詳しくは血液の中に気が含まれて全身に巡っており、内臓や筋肉、骨など全身を栄養しています。つまり気滞症状ではその巡りが滞ってしまうことで引き起こされる症状になります。

この気滞は生活環境や身体環境の様々な原因によって起こります。

 

 食生活

食事は身体のエネルギー源であり、健康に欠かせない要素です。しかし、過度の食べ物摂取や不健康な食習慣は、消化器系に負担をかけ、エネルギーの流れが滞る原因となります。例えば、過食や脂っこい食事は消化に時間がかかり、胃腸の動きを乱すことがあります。その結果、気滞が発生し、体調不良や消化不良の症状が現れることがあります。気滞を解消するためには、バランスの取れた食事を摂ることや、食べ過ぎないことが重要です。

食事

運動不足

運動不足は身体の血液やリンパの流れを鈍らせ、気滞を引き起こす可能性があります。適度な運動は、身体を活性化させ、エネルギーの流れを促進します。例えば、座りっぱなしのデスクワークや長時間のスマートフォンの使用は、身体を動かさずに時間を過ごすことになります。その結果、筋肉の硬直や血行不良が引き起こされ、気滞が生じることがあります。気滞を解消するためには、適度な運動を取り入れることが大切です。ウォーキングやヨガなどの軽い運動がオススメです。

ストレス管理

ストレスは心身に深刻な影響を与える要因の1つです。ストレスは自律神経のバランスを乱し、エネルギーの流れを阻害する可能性があります。仕事のプレッシャーや人間関係のストレスなど、さまざまな要素がストレスを引き起こす原因となります。例えば、ストレスを抱えていると、血圧や心拍数の上昇、筋肉の緊張などが起こります。これらの症状は、気滞を引き起こす一因となります。気滞を解消するためには、ストレス管理法を取り入れることが必要です。瞑想や深呼吸、趣味の時間を作ることなど、ストレスを軽減する方法を積極的に取り入れましょう。

チック症

気滞が起こりやすい部位

身体の中で気滞を起こしやすい部位があります。それはです。首は頭と身体の境にあります。頭部にある目や脳は大量のエネルギーが必要でより多くの血液を滞りなく巡らせる必要があります。また身体の心臓から血液を上に持ち上げて頭に送らなければならないのでより負担がかかっています。さらに首の筋肉は重量のある頭を常に支えています。現代ではデスクワークやスマホによる不良姿勢が原因で首の筋肉が固まってしまっている方が多くなっています。これらの理由により首で気滞が起こりやすくなっています。

気滞が起こる部位は筋肉だけでなく内臓でも起こるとされています。

中でもは特に気滞が起こりやすい部位です。

胃は熱を過剰に持ちやすい内臓です。胃で気滞が起こると、心窩部の膨満感噯気(ゲップのこと)が現れます。胃にある空気を噯気で外に出すことで気が滞ってできた熱を逃すためです。

 

気滞によって引き起こされる疾患

頭痛

気滞によって頭部の血流が悪くなり、頭痛を引き起こす場合があります。また、気滞が長く続くと、頭部のエネルギーバランスが乱れ、慢性的な頭痛に発展することもあります。

消化器疾患

気滞が胃や腸に影響を与えるため、消化器疾患を引き起こすことがあります。胃もたれや食欲不振、胃酸過多などの症状が現れることがあります。また、気滞が腸内環境に悪影響を与え、便秘や下痢などの症状を引き起こすこともあります。

筋骨格系の疾患

気滞によって筋肉や関節の血行不良が引き起こされ、肩こりや腰痛などの症状が現れることがあります。また、気滞が続くと筋肉の硬化や筋不全症を引き起こすこともあるため、適切な運動やストレッチが重要です。

皮膚トラブル

気滞が肌にも影響を及ぼし、肌荒れやニキビ、じんましんなどの皮膚トラブルを引き起こすことがあります。

不眠症

気滞が睡眠中の気の流れを妨げ、不眠症を引き起こすことがあります。気が滞ると、頭の中が活発になり、うまくリラックスできないことが原因とされています。

胃のトラブル

胃は気滞が起こりやすい部位の一つです。胃で気が滞ると、噯気(ゲップのこと)や心窩部の膨満感を感じます。さらに悪化していくと、逆流性食道炎や呑気症といった疾患に繋がります。

東洋医学における気滞症状

東洋医学において、気滞は「肝」の不調と考えられます。

「肝」とは気の巡りを司る働きを担っており、この働きが不調になると正常に気が巡らず、首元や胃で気滞を起こしてしまいます。また、気の巡りを司る「肝」は他にも自律神経と深く関わっており、パソコン業務などで目を酷使した際や全身的に疲労した際は「肝」の機能が落ちるため、情動の抑えが利かずにイライラを強く感じやすくなったり、目の乾きや充血がみられたりします。

 

当院での鍼灸治療

気滞によって起こっている症状に合わせて、全身的に鍼をしていきます。

特に気滞が起こりやすく筋肉が固まりやすい首を緩めていくためには、手や腕にあるツボを使います。

また「肝」の機能を補ってあげることで気の巡りが正常に戻るので、脚にある「肝」と関わりの深いツボにも鍼をしていきます。

患者様によっては交感神経が優位で緊張状態にある場合があるため、その際はお腹や頭といった部位にも鍼をしてリラックスできる身体にしていきます。

虚弱体質を改善する鍼灸治療

月曜日, 3月 25th, 2024

虚弱体質とは

 

虚弱体質の医学的な定義はありませんが、特定の基礎疾患があるわけでもないにも関わらず、体に何らかの不調が常にある状態と表現することができます。

疾患ではないため「体質」と表現することしかできませんが、疲れやすい、元気がないと感じることが多い方は、虚弱体質かもしれません。

また、虚弱体質の方は、すぐに風邪をひく、軽い運動でも疲れてしまう、冷え性、夏バテしやすいなどの特徴があります。

 

虚弱体質によくみられる症状

 

基本的には

・顔色が悪
・動作が緩慢
・疲れやすい
・暑さや寒さに弱い
・風邪などの病気が治りにくく再発しやすい

 

といった特徴がみられます。

また、食欲不振、胃もたれ、胃痛や腹痛、吐き気や嘔吐、下痢や軟便などの消化器症状もしばしば伴います。他にも顔色の悪さ、めまい、立ちくらみ、動機や息切れ、気力の低下などがしばしば挙げられる症状といえます。

・お腹が弱いタイプ

食が細い、お腹がすぐに痛くなる、嘔吐や下痢をしやすい、食べ過ぎると腹痛、下痢をしやすい、体重が増えない

 

・発熱・風邪をひきやすいタイプ

熱がすぐに出る、扁桃腺、リンパが腫れやすい、風邪をひきやすく治りにくい

 

・神経過敏タイプ

感情の起伏が激しい、夜泣きをする、眠りが浅い

 

 

虚弱体質になる主な原因

 

原因ははっきりとはしていませんが、体質面と環境面の両方によってもたらされると考えられています

体質面では食欲不振や消化不良といった消化器系のトラブルにより、栄養素をうまく身体に取り込めていないケースが多いです。アレルギー体質の関与も考えられています。その他何らかの病気をきっかけに体調を崩し、虚弱体質へ移行してしまうこともあります。

環境面では、長時間労働による肉体的・精神的ストレスの蓄積、偏食などの食生活の乱れ、運動不足や睡眠不足といった体力消耗と体力回復の問題などが挙げられます。

 

 

虚弱体質と似たような症状を呈する疾患

 

・慢性疲労症候群

身体を動かせないほどの疲労が6か月以上異常の長期間にわたり続き、日常生活に支障をきたすほどになる病気です。

慢性疲労症候群に対する鍼灸について

 

・本態性自律神経失調症

遺伝や生まれつきの体質に原因があり、自律神経のバランスが乱れやすいタイプです。虚弱体質や低血圧の人に多いと言われています。

自律神経失調症の鍼灸治療について

 

西洋医学的治療

 

西洋医学的に見て疲労感を引き起こしている病気があるならば、その病気の治療が虚弱体質の改善につながります。

代表的なものとして身体に活力を与えるホルモンである甲状腺ホルモンの低下が挙げられます。橋本病といった甲状腺ホルモン量の低下が起こる病気では、疲労感、冷え性、むくみ、気力の低下などの症状が現れます。この場合は甲状腺ホルモン製剤を服用することで諸症状の改善が見込めます。

また、アトピー性皮膚炎や小児喘息などの実際に起きた症状に対しての対症療法が行われます。

 

 

虚弱体質に関する東洋医学的考え方

東洋医学では五臓(肝・心・脾・肺・腎)の機能低下が虚弱体質に大きな影響を与えると考えられています。虚弱体質に関りが強いのは、主に肺と脾です。つまり肺と脾の機能を向上させることが虚弱体質の改善につながります。

また、子供の虚弱体質とと関連が深いのは腎です。腎は成長・発育の中心的な臓器と考えらえています。

・食が細いタイプの虚弱体質

食べるのに時間がかかる、すぐに満腹なり沢山食べられないなど、食が細いタイプです。これは東洋医学的に考えると脾臓の元気がない「脾虚(ひきょ)」タイプです。

脾臓は主に、食べ物の消化吸収や肌、筋肉の生成に関係している種、その機能が低下すると食に大きな影響を与えます。食が細いタイプの虚弱体質に痩せている方が多いのはこのためです。

 

・風邪になりやすいタイプの虚弱体質

風邪をひきやすい、疲れやすい、すぐにお腹を壊すなどの症状が思い当たる方は「肺虚(はいきょ)」タイプです。このタイプはストレスにも影響を受けやすく、ふくよかな割に食べている量は少ないといった方が多い傾向にあります。

 

 

東洋医学では「気・血・水」の3つが身体を巡ることで心身の健康が保たれていると考えられています。虚弱体質はこの3つのうちの「気」が不足している状態です。

気が不足すると免疫機能が弱くなったり、疲れ、だるさが出やすくなったりすることが多くなります。

気が不足する原因として、一つは気を作り出す力が弱いためです。気は脾がしっかり機能していれば作ることが出来るため、脾を元気にして消化吸収がスムーズになるように働きかけることが重要です。また、気を全身に送る力が弱いことも挙げられます。気を全身に運搬するには肺の力が必要不可欠です。

 

当院の鍼灸治療

当院では、治療の前に内臓の働きや免疫力などを主る自律神経の状態を機械で測定し、お体の状態を把握したうえで治療へ移ります。

東洋医学的観点から五臓の肺、脾の機能を整えるツボや血を補うツボなどを選穴して治療を行います。また、虚弱体質の方にはお灸が相性が良いため、お腹や背中を中心にお灸を多めに施術します。

さらに、自律神経のバランス調整施術を行い全身的な血流を良くし、内臓機能や免疫力を高めて本来お身体が持つ自己治癒力を高め症状の改善につなげていきます。

 

 

 

食事や有効な漢方について

虚弱体質の方に多く見られるタイプとして『脾虚』があります。

脾虚は、東洋医学で用いられる概念であり、消化器系の臓器である脾の機能が低下し、体内のエネルギーや栄養の代謝が不十分な状態を指します。脾虚の症状には消化不良、食欲不振、下痢、倦怠感なども含まれます。

脾虚に良い食事は、脾の機能を補うことを目指して、以下のような食材や食事法が推奨されます。

 

消化しやすい食材

消化器系が弱っているため、消化しやすく、胃腸に負担の少ない食材を摂取することが重要です。白米、小麦粉のもの、野菜の煮物、蒸し物などが適しています。

 

温かい食事

温かい食事は消化を助け、胃腸を温める効果があります。冷たい食べ物や飲み物を避け、温かいスープや温かい茶を摂るようにしましょう。

 

糖質やタンパク質の摂取

糖質やタンパク質はエネルギー源となります。しかし、過剰な摂取は消化器系に負担をかけることがありますので、適度な量を摂るようにしましょう。

 

消化を助ける食材

消化を助ける食材として、生姜、山芋、白いんげん豆、赤小豆、りんごなどが挙げられます。これらの食材は消化を促進し、胃腸の働きをサポートします。

 

胃腸を養う食材

胃腸を養う食材として、柔らかい煮込み料理やスープ、消化しやすい粥などがあります。これらの食材は消化器系を優しくサポートし、栄養を吸収しやすくします。

 

適度な水分摂取

適度な水分摂取は、体内の水分バランスを保ち、消化器系の機能をサポートします。ただし、食事中の大量の水分摂取は、消化を阻害する可能性があるため、適度に摂取するようにしましょう。

脾虚に関する症状や体質によって、適した食事内容は異なります。個々の状況に合わせて食事内容を調整し、バランスの取れた食事を心掛けることが重要です。また、栄養バランスの良い食事と併せて、適度な運動やストレス管理などの健康管理も大切です。

 

脾虚に良い漢方薬は、脾の機能を補い、消化器系を強化し、体のエネルギーを補充することを目指して処方されます。以下は一般的に用いられる漢方薬の例ですが、個々の症状や体質に合わせて処方されるため、医師の指示に従うことが重要です。

四君子湯
四君子湯は、脾虚による食欲不振、消化不良、倦怠感などに用いられる漢方薬です。白朮(びゃくじゅつ)、人参(にんじん)、茯苓(ぶくりょう)、芍薬(しゃくやく)からなり、脾胃を補い、気を調和させる効果があります。

補中益気湯
補中益気湯は、脾虚による消化不良、食欲不振、倦怠感、下痢などに用いられる漢方薬です。人参、陳皮(ちんぴ)、茯苓、甘草(かんぞう)、生姜からなり、気を補い、胃腸の働きを調和させる効果があります。

六君子湯
六君子湯は、脾虚による食欲不振、消化不良、下痢、倦怠感などに用いられる漢方薬です。白朮、人参、茯苓、甘草、大棗(たいそう)、生姜からなり、脾胃を補い、消化機能を改善する効果があります。

参苓白朮散
参苓白朮散は、脾虚による下痢、腹痛、脱力感などに用いられる漢方薬です。人参、茯苓、白朮からなり、脾胃を補い、水分代謝を調整する効果があります。

眼の炎症の鍼灸治療

木曜日, 3月 21st, 2024

眼の炎症の原因疾患と症状

 

眼の炎症の原因疾患は以下のようなものがあります。

 

・ぶどう膜炎

ぶどう膜炎は主にウィルス感染や自己免疫異常により眼のぶどう膜という部位に炎症が起こる疾患です。

症状は視力低下、眼の痛み、視界のかすみ、眼の充血、羞明です。時には人によっては視界にゴミの様な物が映って見えてしまう飛蚊症のような症状も現れることがあります。

 

・アレルギー性結膜炎

目の表面にスギやヒノキなどの花粉、ダニといったアレルギーを引き起こす物質が付着して、結膜に炎症を引き起こす疾患です。

症状は、目のかゆみ、充血、眼がゴロゴロするといった異物感、目やに、涙の増加があります。

 

・強膜炎

強膜炎は、自己免疫により強膜が攻撃を受けて炎症を起こす疾患です。

関節リウマチ、結節性動脈周囲炎、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、痛風、結核、梅毒なども強膜炎の原因に挙げられますが、それほど多くはありません。また、検査をしても異常が見当たらない原因不明の事も多いです。

症状は、非常に強い眼の痛み、充血、涙目、異物感、眼球の局所的な盛り上がりが挙げられます。また、重度な強膜炎の場合は強膜の一部が溶けてしまうこともあり、内側のぶどう膜が透けて見えるため白目の部分が黒っぽくなることもあります。このような場合は、かすみ目や視力低下を引き起こします。

強膜は、眼の球体を強固に保つ役割があり、強膜が溶けることで眼球の強度が脆く弱くなるため眼球破裂を起こすこともあります。

 

・角膜炎

角膜炎は帯状ヘルペスウイルスやアカントアメーバによる角膜感染や、異物の混入、まつ毛、紫外線、コンタクトレンズによる外傷、重度のドライアイが主な原因になります。

症状は、眼の痛み、異物感、涙目、視力低下、光の周りに虹がにじんで見える虹輪視、光が異常にまぶしく感じる羞明があります。

 

・交感性眼炎

交感性眼炎は、眼の外傷や手術によってぶどう膜が損傷して起こるぶどう膜炎の事を言います。ぶどう膜に傷がつくと、それを修復しようとする強い自己免疫反応が色素細胞に起きてしまい、眼の痛みや視力低下といった症状を引き起こします。

これは外傷後や手術後などぶどう膜に損傷を受けた1~2か月後におこる場合もあり、発病の3~7日後ぐらいで発熱といった風邪に似た症状が現れ、眼精疲労、めまい、頭痛、頭皮がピリピリする、嘔吐などの症状も出ることがあります。

また内耳機能障害を併発することもあり、難聴や耳鳴りが起こることもあります。

 

眼の炎症に対する当院の治療

 

①問診

症状、現在の体調、生活習慣など、しっかり時間をかけてお身体の状態を確認していきます。

 

 

 

②自律神経測定

患者様のご希望や、施術者の判断により自律神経測定器で現在の自律神経やストレスの状態を確認していきます。

 

 

 

 

③うつ伏せ治療

まずは、うつぶせの状態で首肩の筋肉の緊張を緩める施術を行います。眼球の炎症がある方はその症状により、首肩周辺の筋緊張が強くなる傾向があります。首肩の筋緊張が強くなると、眼に栄養を送る血管が圧迫してしまい、眼の炎症の回復が遅くなります。

そのため、眼の治療には首肩コリに対するアプローチも欠かせないのです。

また、背部や腰部にも眼に関わるツボがありますので、そちらも同時に刺激していきます。

 

 

 

 

④仰向け治療

仰向けの施術では眼がメインになります。同時に自律神経の調節も行っていきます。

眼の周囲にあるツボに鍼とお灸で刺激し、炎症を抑えていきます。

 

 

 

 

 

⑤施術後のクロージング

施術後の注意点、適切な治療間隔などをご説明し、終了になります。

 

 

 

 

眼の炎症の東洋医学

 

東洋医学では五臓の肝は眼に開竅すると言われており、肝と眼は深い繋がりがあると考えられています。

そのため、眼の病気には肝の異常を正していく事が非常に重要であります。

肝血が不足すると、視覚や運動器系に何かしらの異常がみられます。また、肝の陰陽のバランスが崩れてしまい、肝の陽気が過剰に高まってしまうことで陰液が消耗してしまいます。

その結果、肝陽が頭に上ってしまい眼の炎症や、頭痛、高血圧、自律神経失調症を引き起こす原因になります。

 

眼の炎症に対する病院での治療方法

 

強膜炎、ぶどう膜炎、交感性眼炎は基本的にステロイド薬を使用した方法がメインになります。角膜炎は感染した病原体を明らかにし、その種類に応じた抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬などといった薬剤を点眼薬や塗り薬といった形で直接眼に投与する治療になります。

アレルギー性結膜炎は主に抗アレルギー点眼薬を使用し、重症の場合はステロイド点眼薬を使用することもあります。

 

眼の炎症になりやすい人とは?

 

全員に当てはまるわけではないですが、眼の炎症を起こしやすい人はストレスが慢性化している、生活習慣の乱れがあるという事が共通しています。

 

ストレスや生活習慣の乱れは自律神経のバランスを崩してしまい、免疫力の低下につながります。また、慢性的な炎症も自律神経が乱れて自然治癒力が下がっている状態だと考えられます。

 

ストレスをため込まずに発散する事や、生活習慣を見直して自律神経を正しく働かせることが重要になります。

 

ハムストリングスの鍼灸治療

木曜日, 2月 29th, 2024

ハムストリングスとは

ハムストリングスとは、もも裏にある3つの筋肉の総称になります。もも裏には、内側に半膜様筋半腱様筋があり、外側に大腿二頭筋があります。

3つの筋肉はお尻の骨(坐骨結節)から始まり、半膜様筋と半腱様筋は膝の内側(脛骨内後面と鵞足部)に、大腿二頭筋は膝の外側(腓骨頭)に終わります。

主な役割は、股関節を伸ばす(伸展)動作膝を曲げる(屈曲)動作を果たします。他には立ち姿勢を維持する役割、膝や骨盤の安定を担う役割も果たします。

肉離れ

また、ハムストリングスは多関節筋です。多関節筋とは2つ以上の関節を超えて付いている筋肉のことで、関節運動に大きく関わっており、動きの負荷がかかりやすくケガをしやすい筋肉です。ハムストリングスの場合は股関節と膝関節を超えて付いているため多関節筋と呼ばれます。

陸上選手やラグビー選手では肉離れが多く発生する筋肉ですが、一般の方も急に力が入った時に痛めやすい筋肉でもあります。一度ハムストリングスを痛めると、鎮痛後にコリ(硬結部)ができます。次にそのコリによってまた痛みが発生する悪循環になる場合があります。

 

股関節と膝関節を跨ぐため、ハムストリングスに異常が出ると股関節痛や膝関節痛を引き起こします。影響が股関節に波及するとお尻や腰の痛みに繋がり、膝関節に波及するとふくらはぎやすねの痛みに繋がります。

ハムストリングスに関係する疾患

・腰痛

ハムストリングスは大殿筋と共同して骨盤が前に傾き過ぎないようにする働きがあります。骨盤が前に傾き過ぎると、腰の筋肉は押し縮められる圧縮のストレスがかかります。そうするとストレスがかかり続けた筋肉は痛みを起こすことで腰痛になります。

また、骨盤が前に傾いた状態は脊柱管狭窄症や腰椎圧迫骨折などの要因となるので注意が必要です。

気分障害のお灸治療

・坐骨結節裂離骨折

坐骨結節に付着するハムストリングスは、股関節と膝関節を跨ぐ大きく長い筋肉です。その分大きな力を発揮できます。しかし瞬間的に大きな力を発揮すると、付着部である坐骨結節において骨折を引き起こします。陸上短距離やハードル走でよくみられ、骨片をハムストリングスが引っ張ってしまうため骨癒合が芳しくない骨折であります。

・股関節痛

股関節を跨いで付着するハムストリングスは股関節の安定性に大きく関与しています。特に股関節後面の安定性に関与しているため、股関節の奥やお尻のあたりに痛みを感じることが多くあります。ハムストリングスの柔軟性が欠けると関節唇を痛めたり変形性股関節症を発症する恐れがあります。

・膝関節痛

ハムストリングスは膝の方にいくと、内側と外側に分かれて両方から包み込むように膝関節を支えています。内側と外側の支えるバランスが崩れると関節内にある半月板や関節の周りにある靭帯を痛める原因となります。特に半腱様筋は膝の内側にある鵞足部に付着し、鵞足炎を起こす原因の筋肉になります。。この鵞足部には半腱様筋の他にも縫工筋と薄筋が付着します。縫工筋は太もも(大腿部)の前の筋肉で、薄筋は太もも(大腿部)の内側の筋肉です。太もも(大腿部)の前、内側、後3方向から筋肉が付くため、より引っ張られやすい部位です。

・肉離れ

ハムストリングスは大きく長い筋肉で、大きな筋力を発揮することができます。しかし自身の筋力に耐えきれずに筋肉が千切れてしまう場合があります。これが肉離れです。ダッシュ時や、ランニング時に急に速度を上げたりした際に筋肉には大きな負荷がかかります。また、骨盤が前傾位にあるとハムストリングスがより引き伸ばされて切れやすくなります。加えてハムストリングスの肉離れは再発率が高いことも知られています。一度受傷した部位は瘢痕化し、固まって硬くなることで周りの筋組織を引っ張ってしまいます。そのため瘢痕化した部位の近くで再発してしまいます。

・膝裏(膝窩部)の痛み

膝裏(膝窩部)の解剖では主に2つの筋肉で構成されており、筋肉によってダイヤの様に4辺のある形を作っています。まずハムストリングスです。ハムストリングスはもも裏から膝裏(膝窩部)に降りてきて上内側が半膜様筋と半腱様筋、上外側を大腿二頭筋が構成します。次に腓腹筋です。腓腹筋は内側頭と外側頭の2つの筋組織があり、それぞれ下内側と下外側の辺を構成しています。そして膝裏(膝窩部)の骨に近い深いところには足底筋や膝窩筋があります。ハムストリングスに硬結ができるとこれらの周囲の筋肉も共に硬くなってしまうため、痛みを引き起こします。

ハムストリングスの東洋医学的考えと治療

東洋医学のツボの並びのことを経絡といいます。

身体には主に12本の経絡が流れており、それぞれの経絡には対応する筋肉が複数あります。

ハムストリングスに対応する経絡は足の太陽膀胱経と呼ばれる経絡になります。

足の太陽膀胱経は、目から始まり頭の上を通り、首、背中、腰、お尻、もも裏、ふくらはぎを通って最後に足の指で終わります。そのため、ハムストリングスに痛みがある場合は、痛みの出ている患部の他にも首や背中、ふくらはぎなど広い範囲を診て治療していきます。

肉離れのはり治療

ぎっくり背中に対する鍼灸治療

水曜日, 2月 28th, 2024

ぎっくり背中とは

ぎっくり背中とは、肩甲骨と肩甲骨の間や、腰の上までの背中の筋肉に炎症が起こる疾患で、『背部痛と呼ばれます。

突然の激しい背中の痛みを特徴とする症状で、背中がつるような感覚があったり寝違えたときのような痛みがあり、一定の姿勢をとると痛みが強くなります。

また、急に激痛が走り動けなくなるほどの痛みから、最初はピリッと電気が走った程度の違和感から徐々に痛みが強くなるなど、痛みに個人差があります。

だいたい3日〜1週間程度で回復するのですが、繰り返し発症する方も少なくありません。

 

ぎっくり背中の原因と症状

ぎっくり背中は、筋肉の過剰な使い過ぎや急激な体のひねり、重い物の持ち上げにより、背中の筋肉や靭帯に負荷がかかる事で引き起こされます

症状は深刻な痛みとして現れ、動くたびに増幅され、深呼吸やくしゃみ、咳をするだけでも感じられる事があります。

特に、急な動きや重い荷物を持ち上げた後に発症する事が多く、背中こ筋肉が急激に収縮する事で痛みが引き起こされます

また、日頃の姿勢の悪さや運動不足による血行不良や、身体の冷えにより背中の筋肉が固まり、そこに負荷のかかった動作が引き金となり発症するケースが大半です

中には、ストレスや睡眠不足、心労、不規則な生活や食事などが原因となり筋肉が硬直して発症することもあります。

 

ぎっくり背中になった時の対処法

ぎっくり背中を感じたら、すぐに動作を止め安静にしましょう。安静を保つ事は治療の第一歩です。

無理な動きは筋肉や靭帯にストレスを与えら痛みを悪化させる可能性があります。

痛みが和らぐまでできるだけ体を動かさず、安定した姿勢で休息をとりましょう。

痛みのない姿勢を保ち体をリラックスさせる事が重要です。

また痛みを和らげる応急処置としては、冷却が効果的です。冷却は患部の炎症を抑え痛みを軽減させ、症状の回復を促します。

氷嚢や冷却パックをタオルで包み、10〜15分間患部に当てます。患部がヒリヒリする感じがした後、痺れて感覚がなくなっていきます。無感覚な状態になって5〜10分程たったら一度患部から氷を外し、1時間ほどあけてから再びアイシングをしましょう

 

ぎっくりっくり背中に対する一般的な治療法

・痛み止め(内服薬・湿布

炎症がある場合は、痛み止めの薬や湿布を使用し痛みを和らげます。

 

・ステロイド注射

急性で痛みが強いばあ、痛みを取り除くためにステロイド注射をする場合があります。

痛みのある部分に注射をする事で1〜2ヶ月程度は症状が改善する事が多いですが、痛みが再発する場合も少なくありません。

 

・リハビリテーション

ストレッチや筋トレのリハビリテーションは、即効性はありませんが、長期的に見ると効果が高いです。

姿勢不良や筋肉の使い過ぎなどが、ぎっくり背中の原因にある様に、ストレッチをする事で筋肉の緊張がある部分の筋肉の柔軟性を増やし、姿勢不良により弱くなっている筋肉を筋トレーニングで強化する事により正しい姿勢が保たれ、無駄な体の筋緊張を防ぎ、怪我の回復だけでなく予防にも効果的です。

 

・マッサージ

痛みがある部分の周りの筋肉や筋膜をほぐすことで血流を改善させ、痛みを緩和させます。

マッサージは急性期の痛みがある時は避け、痛みがなくなってから行うのが効果的です。

 

・外科手術

薬物療法やリハビリでは改善が見られず、症状が悪化してしまい日常生活に支障をきたしてしまうぐらいに痛みが強い場合には、手術を行うケースもあります。

手術は最終手段となるため、医師の判断に基づいて行われます。

 

ぎっくり背中に対する当院の鍼灸治療

自律神経調節鍼治療

当院では、自律神経測定器にて自律神経の状態を把握した上で、お一人お一人に合ったオーダーメイドの治療をします

自律神経は交感神経、副交感神経の二つに分けられ、交感神経は日中の活動時に活発に働く神経で、副交感神経は夕方から夜にかけて優位に働くリラックス神経です。この二つの神経がバランスをとりながら無意識下で全身の筋肉や血管、ホルモンの分泌など様々な調整を行っているため、ストレスや疲労、生活習慣の乱れなどから自律神経のバランスが乱れると、心身の不調をきたす原因になります。

本来、寝ている時は自律神経の副交感神経が優位になるので筋肉は緩むのですが、背中や身体の筋緊張があると交感神経の活動が亢進し副交感神経の活動は抑制されてしまい、体と心を休める時間である睡眠時間にしっかりと身体が休まらず疲労が溜まってしまいます。

また、ストレスや過労が自律神経のバランスを崩す原因となり、就寝時に交感神経が優位になってしまうことで体の筋肉が緊張してしまいます。

その為、自律神経のバランスを整える治療に加え東洋医学的観点から【肝・心】に関わる経穴に刺激を与えることで、背中の筋肉の過緊張を取り除き、体にかかる負担を軽減させる治療を行います。状態の必要に応じて鍼に微弱な電気を通し、鎮痛作用や筋緊張の緩和、血流の促進を促します。

東洋医学の治療法と自律神経療法を組み合わせることでより治療効果を高めることができます。

鍼灸治療は、自律神経を整えるのにとても優れた治療法です。自律神経を整える経穴やストレス解消の特効穴を用いて症状改善を目指します。

また、自律神経のバランスを整える事で筋肉の過緊張を緩和し、血行を促進して症状を改善し、免疫力をあげることで再発や悪化を防いでくれます。

※生活習慣からの影響も自律神経に関係するため、自律神経を整えるには、食事や睡眠、適度な運動をするなど、生活習慣の見直しも必要になります。

ぎっくり背中の症状でお悩みの方は、東京α鍼灸院へお越しください。

 

三叉神経痛の鍼灸治療

日曜日, 2月 25th, 2024

 

三叉神経痛に対する当院の治療

 

三叉神経痛に対する当院の治療はまず第一に痛みの強い部分に鍼灸刺激を与えて鎮痛効果を促します。当院では、当院独自の鍼通電療法を用いて高い治療効果を上げています。

三叉神経痛の鍼灸治療

 

また激しい痛みは交感神経の活動を活発にして、長期にわたると自律神経も乱しかねません。

当院では自律神経測定器を用いてその日の患者様のお体の自律神経の状態を把握したうえでその方にあったオーダーメイドの治療を施しております。

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三叉神経痛でご来院される方は、交感神経の活動が過亢進状態で全身が緊張状態であったり、痛みのために眠れなくてさらに自律神経を乱してしまう悪循環を招いてしまう方が多いです。

当院では三叉神経痛の治療でも東洋医学の特徴である全身の調整治療が大切だと考えております。

全身に心地よい暖かさのお灸などを施すことで全身をリラックス状態に持ってきて副交感神経の活動を高めていきます。

 

また、東洋医学では、風邪・寒邪・湿邪を体外に出す治療がとても重要になってきますので、経絡の重要なツボを用いてそれらを排出する施術をいたします。

 

三叉神経痛の全身鍼灸治療

 

 

 

全身の調整治療(自律神経調整治療)

     +

背部や頸肩部の経穴を用いた邪気を出す治療

     +

疼痛の強い顔面部への鍼通電療法(鎮痛作用)

 

 

これらの治療を合わせて行っていくことで高い治療効果に繋がるのです。

 

三叉神経痛の鍼灸治療症例

 

60代 男性

ある朝髭剃りをしようとしたところ頬に痛みが走った。最初はカミソリで切ったからかと思ったが、そのような傷もなくその後もピリッとした痛みが顔に触れるたびに起きるようになった。ひどい時は冷房の風にあたるだけで痛みが出る。

病院で検査したところ三叉神経痛と診断されて鎮痛剤を処方されたが痛みは薬を飲んだ2~3時間後は良いが、その後はまた激しい痛みが出てしまう。痛みが出る範囲はほほ骨下辺りから口角の横辺りまで。友人に鍼灸治療が効くかもしれないと聞いて当院にご来院された。

治療
まずうつぶせとなり、首肩の筋緊張をとってから顔面部の施術をしていきました。自律神経測定器で自律神経の状態を計測したところ自律神経の状態も乱れていたので自律神経調整療法も同時に行っていきました。

◇1回目◇
治療後すぐは痛みが楽になったが、次の日には戻ってしまった

◇2回目◇
2回目の治療後から次の治療まで痛みをほぼ感じなかった

◇3回目◇
今度は治療後また痛みが戻ってしまった

◇4回目◇
症状に波がある。まったく痛みが無い日もあれば痛みが出る日もある

◇5回目◇
1週間のうちに痛みの出る日が2日ほど

◇6回目◇
朝の洗顔時や髭剃りの時に痛みを感じなくなった。たまにふとした瞬間に痛みが出る時もある

◇7回目◇
ほぼ痛みを感じない。以前は鋭い痛みを感じる時があったが痛みも感じなくなった

 

症例2

20代 女性

1週間前から急に顔左半分にチクチクするような鋭い痛みが走るようになった。

すぐに病院に診てもらったところ三叉神経痛と診断された。

痛みが出る場所は目の下から鼻の横、頬、口の横にかけて痛みが出て、シャワーを浴びたり、洗顔、歯磨き、うがいで痛みが増悪する。

痛みの感覚は、チクチク針で刺されているような痛みと、ひどい時は電撃が走るような痛みも有する。

 

病院で検査を受けたところ脳腫瘍や多発性硬化症などの所見はみられず、帯状疱疹の発症もないため、血管による神経の圧迫が原因と言われた。

 

普段はデスクワークで姿勢が悪くなることが多い。そのため慢性的な首肩のコリがある。

 

ストレスも感じやすく、物事に過敏に感じてしまうことも多い。

 

当院の施術

 

自律神経測定器で測定したところ、交感神経の過剰な働きがみられました。

交感神経の働きが強すぎると痛みに対して過敏になりやすく事もあるため、三叉神経痛の治療と並行して自律神経の調節治療も行いました。

次に顔面部の経穴や痛みが出ている患部に直接刺鍼し、刺激を入れていきました。

首肩の筋緊張も強い状態だったため、首肩の凝りを緩める治療も行いました。

鍼灸治療は初めてということでしたので、鍼に慣れるまでは弱い刺激で施術を行い、

慣れてきたらご本人の反応を確認しながら慎重に、少しづつ刺激量を上げていきました。

 

◇1回目◇

緊張したが、意外に大丈夫だった。

痛みの変化はまだ見られない。

 

◇2回目◇

少し痛みが引いてきたような気がする。

洗顔やシャワーを浴びたらいつもより痛みが軽く感じた。

 

◇3日目◇

痛みがかなり軽減した。

たまに痛くなることもあるが、以前より気にならない。

 

◇4回目◇

今はほとんど気にならないで、日常生活を送ることができている。

 

三叉神経痛とは

三叉神経痛とは、顔面部の感覚をつかさどる三叉神経に障害が起きてその支配領域に痛みが出る疾患です。

三叉神経は大きな神経から3つの大きな枝に分かれる脳神経の中でも最も大きな神経です。

三叉神経の大部分は側頭部から出てその部分から眼神経・上顎神経・下顎神経の3つの神経の枝を出します。

眼神経

眼神経は三叉神経の中で最も小さい枝の神経です。眼やおでこの部分、鼻の部分の感覚を主っています。

上顎神経

上顎神経は、上あごの部分、上部の歯の部分、口腔奈央の粘膜部部の知覚を主っています。

下顎神経

下顎神経は、三叉神経の中で最も大きい枝の神経です。下あごの部分、下部の歯、下唇、耳の一部の感覚を主っています。また咀嚼筋などを主る運動性の神経でもあります。

 

 

三叉神経痛の症状

 

三叉神経痛にかかってしまうと上記のような神経支配部分に激しい痛みを生じるようになります。顔の片側だけに出る場合が多いです。痛みの程度は個人差がありますが、激しい痛みの場合が多く、突発的な痛みに悩まされます。痛みは通常数秒間ですが一日に100回以上も痛みが走る場合もあり、痛みの度に顔をしかめてしまうようになり、体にとっては相当な負担となってしまいます。

様々なことで痛みが誘発され、洗顔時やひげを剃る時、お化粧などをする時などに痛みが電気のように走ります。また冷たい風にあたっても誘発される場合があります。

三叉神経痛のでる三叉神経の枝によって痛む場所が異なりますが、1つの枝の場合や2つの枝に痛みが出る場合もあります。

三叉神経痛

三叉神経痛と頭痛

 

三叉神経は脳から出た後は、3つの枝に分かれます。その中でも第一枝は目やおでこ、前頭部の知覚も主っているため、頭痛が起きたために病院を受診したところ三叉神経痛と診断されることもあります。三叉神経痛での頭痛の特徴は、痛みは突然訪れる激しいものですが、数秒で治まることが多いのが特徴です。

そのほか、頭に外的な刺激が加わるとピリッとした痛みやチクチクとした痛みが走ることもあります。洗髪時や髪をとかしている時、髪を乾かしている時などにピリッとした痛みを感じた場合は三叉神経痛による痛みかもしれません。また、外気温にも左右されることが多く、特に冬の冷たい風にあたると痛みを誘発することもあります。

三叉神経痛による頭痛が原因で睡眠に支障が出たり、痛みによるストレスで自律神経の状態が乱れることも多く、早期に治療を受ける必要があります。

 

 

三叉神経痛の原因

三叉神経痛の起こる原因は、多くの方でわからない場合が多いです。

脳腫瘍による神経の圧迫やヘルペスウィルスの感染多発性硬化症の疑いもありますので注意が必要です。

それ以外に有力な説としましては、三叉神経が脳から出る部分の血管が動脈硬化などで血管の弾力性が低下することで三叉神経を圧迫してしまい痛みを生じてしまうというものです。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

頭が重たい状態を改善する鍼灸治療

木曜日, 2月 8th, 2024

頭重感の東洋医学

 

東洋医学では、頭重感が起きている状態は湿邪によって起こっていると考えられています。東洋医学では、外因によって体に異常がもたらされている場合、その外因を「邪気」としてとらえ、「風邪」「寒邪」「湿邪」「熱邪」「燥邪」「厚邪」の6つの種類があります。

頭重感はその中でも湿邪の病態の一種として考えられます。湿邪の特徴は、全身的あるいは局所的な水液の停滞や消化機能が起きやすいなどがあります。

湿邪は、周囲の環境の湿気との関係が強いと考えられています。体のどの部分が湿邪に侵されているかによっても症状の出方が変わってきます。

 

体の上部分ですと、頭重感や悪心、食欲不振などの症状が出て体の下部分ですと排尿困難や下肢のむくみなどがでます。

 

 

頭重感の鍼灸治療

 

当院ではまず問診時に自律神経の状態を自律神経の状態を把握したうえで施術していきます。

頭重感で悩まされている方は、自律神経の状態が悪い場合が多く、全身的な自律神経のバランスを整えることはとても重要です。

頭重感の自律神経調整鍼灸治療

 

そして、首肩や頭の筋緊張の緩和も重要です。筋緊張やコリのみられる部分に鍼やお灸を施すことで筋肉を緩めていきます。

頭重感の鍼灸治療

 

 

その他、東洋医学的な観点より湿邪を排出して全身的な気血の滞りを解消するようなツボも用いて施術してきます。

 

また、頭重感で悩まされる方の多くは、下肢にも湿邪の病態が見られる場合が多く下肢のむくみや冷え症状があります。下肢の流れをよくすることでも頭重感の解消を促していきます。

 

頭重感の下肢への鍼灸治療

 

頭重感の鍼灸治療症例

 

30代男性

 

一か月ほど前から慢性的な頭重感と目の疲れ、首肩こりに悩まされている。PCを長時間使用する仕事に従事しており、この半年ほどは仕事が忙しく、睡眠時間も十分に確保できないほどだった。

肉体的、精神的に疲れが溜まっているのを感じるものの、環境を変えるのは難しいため鍼灸治療にて日常生活に支障がない程度まで回復できればとの思いで来院される。

 

当院での治療

自律神経測定器の結果、夜の時間帯にもかかわらず交感神経が過亢進状態でバランスに大きく乱れがみられました。まずうつ伏せで首から背部まで鍼やお灸で刺激を与え筋肉の緊張を和らげました、その後仰向けで頭部、目の周囲と律神経系を整えるツボに鍼とお灸を用いて刺激を与え目の周囲、頭部の血液循環の促進と全身的な血行促進、内臓機能調整、免疫力を高める施術を行いました。

 

1回目
鍼終えた後は首のコリが緩和され頭に血が巡る感覚があった。3日程調子よかったものの状態戻ってしまった。

 

2回目
目の疲れが少し緩和された。首と肩こりは施術後は楽になるが、1週間仕事をするとやはり徐々に状態戻ってしまう。

 

3回目
頭が少しすっきりしてきた。首肩のコリが以前より楽になり動きやすくなっている。

目の疲れは感じるものの以前よりは楽に感じる。

 

4回目
首肩こりが緩和されてから徐々に頭の重さも取れてきている。今週は週の後半に一度のみ症状出現したがそれ以外は特に気にならなかった。

 

 5回目
残業が多かったため前回よりは症状強かった。目の疲れと首のコリがあるが、頭重感は出ていない。

 

6回目
調子が良い日のほうが悪い日に比べて増えてきている。首のつまった感覚が消失した。筋疲労は感じるものの寝れば楽になっているのでそこまで苦ではない。

 

7回目
頭重感ほぼ消失。首、肩こり、眼精疲労が以前よりはぐっと楽になった。症状安定しているため治療間隔を伸ばす。

 

8回目
前回来院時から一度だけ頭重感出現したが翌日には楽になった。

首のコリが少し気になる。眼精疲労は日によって感じるが翌日まで持ち越さない。

 

9回目
自覚症状ほぼ消失した。メンテナンスのため同じ治療内容で施術行う。また、体調悪化することがあったらまた来院されるとのこと。

 

 

症例2

40代 男性

 

1か月前から頭の重さに悩まされている。ひどい時は頭全体に鈍痛が起こり、仕事に集中できないこともある。念のため病院で検査を受けたが異常はなく、肩こりからくる筋緊張性頭痛と診断された。

普段はデスクワークで1日8時間パソコンを使用していて、忙しい時は眼精疲労やめまいを起こすこともある。

 

普段はストレスを感じることが多く、忙しさのため寝不足が続くと不眠になってしまうことがある。そのため慢性的な疲労感も抱えている。

運動は週に1~2回行っていて、ジョキングでリフレッシュしている。運動をすると頭がすっきりする。

 

当院の施術

 

この方はストレートネックと巻き肩の状態がひどく、首肩の筋緊張が非常に強い状態でした。特に後頭部から首の後ろ側のコリが強く、そこが頭痛やめまいを引き起こしている原因部になります。

不眠や慢性的な疲労が残りやすいというのは自律神経の乱れからくるものなので、自律神経調節治療と同時に、首肩と頭部の筋緊張に対する施術を行いました。

 

この方は首肩コリの自覚があまりなく、マッサージや整体、鍼灸も初めての経験だったため少し緊張されていたので、初回はあまり刺激を入れずソフトな鍼刺激で施術を進めていきました。慣れてきたら少しずつ刺激を強めて深い層の筋肉のコリにも対応していきました。

 

施術間隔は、週に1~2回になります。

 

経過

 

◇1回目◇

症状は変わりないが、とてもリラックスできた。

 

◇2回目◇

肩が軽く感じる。肩ほどではないが、頭の重さも軽減してきたような気がする。

 

◇3回目◇

頭の痛みが少なくなってきた。

 

◇4回目◇

忙しいと頭が重くなることがあるが、すぐにおさまる。

 

◇5回目◇

ほとんど気にならなくなった。

快適に日常生活が送れるようになっている。

 

頭重感とは

 

頭重感とは、医学用語では「ずじゅうかん」と呼びます。症状としては、漢字の通り、「頭が重たい感じ」が続いてしまう状態です。

頭重感は様々な原因で発症します。中には、命の危険性のある疾患が隠されている場合もあるため注意が必要です。

 

 

頭重感が起きる疾患

 

・脳疾患
まず頭重感が起きて一番注意しないといけないのが、脳の疾患による頭重感です。くも膜下出血や脳卒中(脳出血・脳梗塞)、脳腫瘍などで頭重感が出ることがあります。頭重感のほかにも手足が痺れる・ろれつが回らない・視界が悪い・フラフラして歩くことが難しいなどの症状が出た場合は脳疾患の可能性もありますのですぐに病院を受診しましょう。

 

 

・筋緊張性頭痛
筋緊張性頭痛は、頸肩周りの筋緊張等によって側頭筋や後頭筋など頭部の筋肉も筋緊張が起こることによって締め付けられるような頭痛と頭重感やめまいなどの症状を呈します。今、デスクワークを中心とする職業が増えているためこの筋緊張性頭痛で悩まされている方が増えています。

座ってパソコン作業をするとどうしても姿勢は背中が丸まって手は前に出すような姿勢となります。すると、首の生理的な湾曲が失われてストレートネックとなり、頸肩に頭の重さが直に伝わることで頸肩への負担が増大することで筋緊張が起こりやすくなります。

 

筋緊張性頭痛の鍼灸治療について

 

 

・副鼻腔炎などの鼻症状
副鼻腔炎や鼻炎などの鼻づまりでも頭重感が起こることがあります。副鼻腔炎とは副鼻腔という鼻の穴の奥の部分に鼻水や膿が溜まって炎症を起こしてしまうことで頭重感や頭痛、嗅覚や味覚の異常などの症状を呈します。

副鼻腔炎の鍼灸治療について

 

 

・眼精疲労
目の酷使によって目の周囲の筋肉、眼輪筋などの筋緊張によっても頭重感が起こることがあります。
目の周囲の筋肉は、前頭部の筋肉や側頭部の筋肉をと繋がっており、目の周りの筋肉の疲労で筋肉が過緊張状態となっているとそれと連動して前頭部・側頭部の筋肉も引っ張られて緊張状態になりやすく、それが頭部の症状・頭重感や頭痛となって現れやすくなってしまうのです。

眼精疲労の鍼灸治療について

 

 

・急性緑内障
急性の緑内障は何らかの原因によって眼圧が急上昇してしまう疾患です。眼圧とは、眼球内を流れる房水という液体が眼球内で過剰になってしまいます。房水は、毛様体で生成されて一定の圧で眼球内を循環して眼球の形状を保つ役割があります。

通常、シュレム管という管から眼球外へと排出されますが、その部分が目詰まりを起こすなどして房水が眼球内で多くなると眼球内の圧(眼圧)が高くなってしまい、頭重感や頭痛、目の痛み、吐き気などの激しい症状が見られます。
また、眼圧が上昇するとその傍を走行している視神経を圧迫することで神経細胞が壊死してしまい視野が狭くなってしまったり、中心が見えなくなってしまう危険性もあります。

緑内障の鍼灸治療について

 

 

・自律神経の乱れ
自律神経の著しい乱れが、頭重感を引き起こすことがあります。自律神経は活動的な神経の交感神経とリラックス神経の副交感神経とがありますが、頭重感の症状が出ている人の特徴は、交感神経の活動が亢進していることが多いです。

交感神経は、朝から日中にかけて活動が高まりやすいことが特徴です。交感神経は、血管や筋肉を緊張させるため仕事や勉強中をはかどらせるためには非常に有効な神経ですが、その状態が長時間続いてしまうと筋肉は過緊張状態、血流は滞ってしまい老廃物質や発痛物質もとどまりやすくなってしまうのです。その状態が頸肩や頭部の筋肉に起こってしまうと頭重感となって現れるのです。
また、夜遅くまで仕事や夜更かしをしてしまうタイプに多いのが副交感神経の活動の弱まりです。夜は体を休める副交感神経の活動が優位となり、しっかりと休息や睡眠をとることで体の疲労は取れやすくなります。しかし、夜遅くまでの作業は副交感神経の活動を弱めてしまい体の疲労がたまりやすい状態になるのです。

 

そして、身体は調整する作用が働き体を休めようとするため逆に日中に副交感神経を高めようとします。しかし、仕事や勉強をしなければいけないという意思が働き心と体のギャップが生まれてしまいさらに自律神経を乱して頭重感を引き起こしやすくなってしまうのです。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

腎炎の鍼灸治療

木曜日, 2月 1st, 2024

 

腎炎とは

腎臓の糸球体に炎症性病変が起こる疾患の総称。遺伝性の有無により遺伝性腎炎と後天性腎炎に分けられ、障害部位により糸球体腎炎、腎盂腎炎、経過により急性と慢性に分けられます。病気の主体が腎臓にある場合は「原発性」、原発性の糸球体腎炎は

 

腎炎の原因

糸球体腎炎には様々なタイプがあり、それぞれの症状には大きな違いがあります。その中でも代表的な疾患を取り上げます。

・急性糸球体腎炎(急性腎炎)

糸球体の炎症を起こす病気です。一般的に4歳~10歳位の子供に多く発症し、特に秋から冬に発症しやすいといわれている病気ですが、中には成人や高齢者でも時々みられます。

溶血性連鎖球菌などによる細菌感染が主な原因です。扁桃や皮膚の炎症がきっかけで起こります。

扁桃や喉の炎症が治ってから一週間から二週間後に血尿やタンパク尿、むくみ、全身倦怠感、高血圧などが出現します。

 

・慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)

慢性糸球体腎炎とは単一の疾患ではなく、多くの疾患の総称です。

糸球体の炎症が少なくとも一年以上持続するものをいいます。

免疫反応の異常や凝固系の異常、高血圧などによるものが多いといわれています。

血尿、蛋白尿、高血圧、むくみ、めまい、肩こり、頭痛、倦怠感などの症状を引き起こします。

若年成人の腎臓病では最も多く、透析導入の原因として糖尿病性腎症の次に多い疾患です。

・IgA腎症

日本人に多い腎炎で大人から子供までみられます。抗体の一つである免疫グロブリンAが糸球体に沈着する慢性糸球体腎炎の代表的な疾患です。未だに病態は不明ですが、腎臓そのものの異常よりも腎臓外にあることが想定されており、主にI gAの産生系に関わる異常が指摘されています。

ゆっくりと時間をかけて腎機能が低下するため大部分は無症状で、健診などにおける尿所見異常で発見されることが多いといわれています。

 

・ネフローゼ症候群

大量の蛋白尿と低蛋白血症(低アルブミン血症)が特徴で尿中に漏れるタンパク質が大量になり、血液中のタンパク質が少なくなることで顔がむくみひどくなると全身にむくみが生じます。また、血液中の悪玉コレステロールが増えたり、血液が固まりやすくなったりします。このような状態をネフローゼ症候群といい多くの慢性糸球体腎炎でこのような症状がみられます。

 

・急速進行型糸球体腎炎

血尿、蛋白尿を伴い糸球体腎炎の中で最も重篤な経過をたどります。腎機能が数週間から数カ月で低下します。症状としてだるさ、むくみ、微熱、咳、息苦しさなどがみられることがありますが、ほとんど無症状な場合もあります。

 

 

・腎盂腎炎

腎盂とは腎臓と膀胱の接続部分のことで、腎臓で作られた尿を集め、尿管を経由し膀胱へ送り出す働きをしています。本来健康な人には膀胱から尿管、腎盂には最近は存在しません。これは、尿管が膀胱に入る部分に逆流防止機能があることにより尿が腎臓へが逆流することはなく、また、尿により洗い流されるためです。

それが何らかの原因により細菌が侵入し炎症を起こすのです。

腎盂腎炎は細菌感染によるものですが、最も多い病原菌は大腸菌でおよそ90%にも及びます。尿管を通じますが、膀胱炎を発症したからといって必ずしも腎盂腎炎になるわけではなく、腎盂腎炎を併発するには様々な誘発因子があります。

 

尿路通行障害

尿道カテーテルの留置(前立腺肥大、腫瘍、結石など)

解剖学的異常(馬蹄腎、膀胱尿管逆流症など)

妊娠

免疫力の低下(糖尿病、ステロイド治療、抗がん剤治療など)

 

 

腎炎の症状

 

・悪寒
・発熱
・嘔吐
・背中や腰の痛み

背中の痛みの鍼灸治療について

腰痛の鍼灸治療について

 

 

西洋医学的治療

問診、血液検査、尿検査やエコー、レントゲン、CT、などの画像検査が行われます。

腎盂腎炎の治療は主に抗生剤の投与が主体となります。

その他、結石を出すための点滴や痛みに対し鎮静剤を用いることがあります。また、敗血症などの重篤な合併症を生じた場合には全身管理を含めた集中治療が必要になります。

 

腎炎の東洋医学的考え方

腎炎は中医学的に「淋証(りんしょう)」に属すると考えられており、五臓六腑の「腎」、「膀胱」、「脾」が関連しています。

肝気鬱滞

精神的ストレスなどにより肝が損傷され疏泄機能が低下し、気滞によって熱が体内で生じ、(気は停滞すると熱化する性質がある)その熱が体の下の方へ集中することで膀胱の気化作用を阻害する

膀胱湿熱

脂っこいものや辛い物、甘いもの、味の濃い物などの過度の摂取や、飲酒過多によって湿熱が形成され膀胱に注がれ阻滞することにより膀胱の機能低下を起こすと考えられています。

腎陽虚

先天的な虚弱、老化、慢性病などにより腎の気が消耗して腎に病変が現れます。

 

 

当院での腎炎に対する鍼灸治療

当院の腎炎に対する鍼灸治療は、東洋医学的な観点より主に五臓六腑の『』『』『膀胱』に関するツボを用いて改善をはかっていきます。

腎炎に対する鍼灸治療

 

また、内臓の働きは自律神経の働きが主っている部分が大きく自律神経が乱されてしまいますと内臓の働きも低下してしまいます。当院では、自律神経を測定してその方に合わせた施術を行っていきます。

 

腎炎の自律神経調整治療

また、背中や腰の痛みなど出ている症状に対してもそれぞれにアプローチをしていきます。

 

腎経に対する鍼治療

 

腎臓病を予防する生活習慣

腎臓病を予防するためには、健康的な食生活を実践することが重要です。以下は、腎臓病予防のための食生活のポイントです。

 

塩分の制限

高塩分の食事は血圧を上昇させ、腎臓に負担をかける可能性があります。塩分摂取量を減らし、加工食品や塩辛い食品の摂取を控えることが重要です。

 

適切なタンパク質摂取

過剰なタンパク質摂取は腎臓への負担を増加させることがあります。適切な量のタンパク質を摂取し、タンパク質の源として、鶏肉や魚、豆類などを選ぶことが大切です。

タンパク質が豊富な食材は、肉類、魚介類、乳製品、豆類、ナッツ類などがあります。これらの食材は、タンパク質だけでなく、ビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富に含んでいるため適切な量を摂取する分には健康上重要です。しかし、腎臓病などの健康上の問題がある場合は、摂り過ぎは禁物です。

 

水分摂取のコントロール

過剰な水分摂取は腎臓への負担を増加させることがあります。適切な水分摂取量を守り、脱水症状を避けるために、必要に応じて医師と相談してください。

 

糖質の制限

高血糖は腎臓にダメージを与える可能性があります。血糖値を安定させるために、糖分や炭水化物の多い食品を制限し、健康的な炭水化物を選ぶことが重要です。

消化されると血糖値を急激に上昇させる可能性がある炭水化物は高血糖になるため注意が必要です。多くの炭水化物は、急激な血糖値の上昇を引き起こすため、糖尿病の管理や予防において重要です。一般的に、精製された穀物や砂糖を多く含む食品が高血糖な炭水化物とされます。

  1. 白米:
    精製された白米は、食物繊維が除去されており、急激な血糖値の上昇を引き起こす可能性があります。
  2. 白パン:
    精製された小麦粉を使用した白パンも、食物繊維が除去されており、血糖値を急激に上昇させる傾向があります。
  3. 菓子類:
    砂糖を多く含むクッキーやケーキ、パンケーキ、甘いスナック類などは、血糖値を急激に上昇させる高血糖な炭水化物です。
  4. 砂糖:
    砂糖自体も高血糖な炭水化物であり、加工食品や加糖飲料などに多く含まれています。
  5. 加工された穀物:
    精製された小麦粉を使用したパスタ、クラッカー、シリアルなどの加工された穀物も、高血糖な炭水化物として挙げられます。

これらの高血糖な炭水化物は、血糖値を急激に上昇させるだけでなく、長期的にはインスリン抵抗性や糖尿病などの健康問題を引き起こす可能性があります。そのため、血糖値をコントロールするためには、これらの食品を制限し、代わりに食物繊維豊富な全粒穀物や野菜、タンパク質源を選ぶことが重要です。

 

バランスの取れた食事

バランスの取れた食事を心がけることが大切です。多様な栄養素を含むフルーツ、野菜、全粒穀物、健康な脂肪を摂取し、栄養バランスを保つことが腎臓病予防に役立ちます。

 

血圧とコレステロールの管理

血圧やコレステロールの高い食事は腎臓に負担をかける可能性があります。血圧やコレステロールをコントロールするために、バランスの取れた食事を心がけ、必要に応じて医師と相談してください。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

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