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夏バテに対する鍼灸治療

火曜日, 8月 27th, 2024

 

夏バテの東洋医学

 

夏バテの東洋医学

 

夏の疲れの原因は発汗による気の流出、暑さによる睡眠不足、冷房による陽気の不足、冷たいものの摂り過ぎによる脾胃の不調など様々ですが、東洋医学では夏バテは気虚、陰虚、湿邪の三つのタイプに分類されます。

 

気虚

暑さによって体力が消耗し、力が出ない状態

 

食欲の低下、元気が出ない、だるさ、めまいなど

 

陰虚

汗など体内の水分を失い、脱水症状に近い状態

 

手足のほてり、のぼせ、イライラ、口の渇き、食欲不振、頭痛など

 

湿邪

冷たい食べ物や飲み物の摂り過ぎで胃腸の消化吸収や水分代謝が悪いことが原因になりあます。新陳代謝が悪くなることで、体内に水分が溜まり、夏太りやむくみを引き起こします。

 

だるさ、むくみ、下痢など

当院の夏バテに対する鍼灸治療

 

夏バテの鍼灸

 

 

当院の夏バテに対する鍼灸治療は、まず第一に自律神経を整えることです。自律神経の状態を正常に機能させることで、睡眠の質の向上や胃腸の機能回復、免疫力のアップなどにつながります。

夏バテの自律神経調整治療

 

そこで当院では、自律神経測定器で自律神経の状態をチェックして一人一人の自律神経の状態・体質などを見極めてその方に合った施術を行っていきます。

また東洋医学的観点より、特に気虚・陰虚・湿邪の病態を改善していきます。その他夏に多いむくみ症状や足の冷え、頭痛・肩こりに対してもその症状に合わせた独自のツボを用いて施術していきます。

夏バテのうつ伏せ鍼灸治療

 

症例

50代女性

暑くなり始めた7月中旬辺りから徐々に体調不良に。朝の通勤時の電車や社内は冷房がきいていて寒さも感じて胃の辺りがキリキリと痛むことがある。足周りの冷えは感じるが、頭は火照った感じで額や頭からよく汗は出る。
何となく日中体のだるさを感じて仕事のやる気がおきづらく、夜も寝つきが悪くなってきた。食欲はあり。

漢方など普段から服用することもあり、東洋医学に興味があり、鍼灸治療を受けてみたいということで当院にご来院されました

施術

自律神経測定器では、日中の測定にも関わらず副交感神経の状態が優位で日中夜が逆転しているような自律神経のバランスでした。夜の寝つきも悪いとのことでおそらく夜は交感神経の活動が上がってしまうタイプだと考えられ、自律神経のバランスは良くない状態です。

東洋医学では、気虚・湿邪タイプだと考えられ特に五臓六腑の『』や『』に異常が出ていると考えれます。

鍼灸治療では、自律神経のバランスを整え、腎や肝のツボで気を補いつつ湿邪を体外に排出するようなツボを用いて治療していきました。

経過

合計4回ほど施術を受けていただきました。治療のペースは3~4日に一回ほどです。

徐々に睡眠が改善されてきて日中のだるさと冷えも感じづらくなっていきました。

日常生活では、運動習慣がなかったため血行改善や日中の交感神経の活動を高めるためにも朝に軽いジョギングの有酸素運動と日中にスクワットの無酸素系の運動を行うようにしていただきました。

 

 

症例2

20代 男性

10代のころに比べて夏のだるさが気になるようになってきた。特に今年の夏は今までで1番だるさを強く感じる。だるさ以外にも、食欲不振、不眠や、頻度は少ないが下痢をすることもある。

社会人になってから環境が変わり、生活習慣の乱れやストレスによって自律神経の乱れが気になっていた。

ここ最近夏場の平均睡眠時間は5時間程度で、長い日は6時間、短い時は4時間しか眠ることができない日もある。

身体のだるさや疲労感から仕事に集中することが難しくなってきており、体調を整えて今年の夏を乗り切りたいと思い来院した。

当院の施術

問診、触診に加え、自律神経測定器で現在の自律神経やストレスの状態を確認していきました。

測定の結果、交感神経の働きが弱く、副交感神経の働きが強くなっていました。

測定した時間は日中のため、交感神経が優位になっているのが正常ですが、副交感神経の働きが強いので、自律神経の働きが乱れていることを確認できました。

まずは仰向けで腹部、腕、足、頭部の経穴に鍼で刺激し、自律神経の調節を促す施術を行いました。

次にうつぶせになり、背中や首肩の筋緊張を緩める施術を行いました。

経過

1回目

施術した日はよく眠れた。

次の日からまた眠れなくなったため、まだだるさは取れない。

2回目

徐々に眠れる日が多くなってきた。

3回目

熟睡できるようになってきて、身体の疲れも軽快してきたような気がする。

4回目

睡眠の質、時間共に改善傾向。

だるさも軽くなった。

夏バテとは

 

夏の暑さに身体が対応できなくて不調が出ている状態の事を、夏バテといいますが具体的な定義はありませんし、「夏バテ」=病名ではありません。室内外の急激な温度変化や日中の暑さから体温調節中枢である自律神経のバランスが崩れることで様々な症状が現れます。夏バテの代表的な症状は全身のだるさと疲労感です。何となく体がだるく、疲れが取れにくい日が続きます。暑さによって睡眠不足になる事も少なくありません。

また、日中の暑さによって体の中の温度が高くなると胃腸への血流が少なくなったり冷たいものの飲食が増える事で胃腸に負担がかかり胃腸の働きが低下し、食欲不振便秘下痢を引き起こす事もあります。睡眠不足で疲労が回復されない事での疲労の蓄積や、食欲不振での栄養不足、これらが引き金となってなんとなくだるいといった全身の倦怠感に繋がります。

夏バテは体力や免疫力の低下を起こすので、そこから風邪に繋がることもあります。

夏バテの原因と症状

 

・自律神経の乱れ

自律神経とは自分の意思とは関係なく、無意識のうちに働いている神経で交感神経、副交感神経の二つの神経が心臓や血流、呼吸、消化、代謝などの働きを活動、抑制しバランスよく機能する事で私たちの身体を調節しています。しかし、高温多湿の環境が続く事や、室内外の温度差、冷房での体の冷やし過ぎなどで体温調節や発汗中枢の役割である自律神経を酷使する事でバランスが乱れたり、うまく機能しなくなる事で胃腸の不調や全身の倦怠感、食欲不振、のぼせ、めまい、頭痛など様々な症状を引き起こします。

自律神経失調症について
めまいについて

・下痢や便秘などの胃腸の不調

冷たい飲食物の摂りすぎなどによって胃腸に負担がかかり、胃腸の機能が弱まる事で消化機能の低下や下痢、便秘、食欲不振などを引き起こします。

 

・睡眠不足

熱帯夜など特に夏は寝苦しい日が続くことがあります。睡眠が十分にとれない日が続いてしまうと体の疲労が取れずに日中の疲労感を感じやすくなってしまいます。また、夜に交感神経が高まりやすく逆に日中に副交感神経が働いてしまい通常の自律神経のバランスと真逆になってしまう危険性もあり、それが原因で自律神経の乱れに繋がることもあります。

睡眠障害について

・食欲の低下

胃腸の不調にも関係しますが、暑いとどうしても冷たい飲み物や食べ物を多く摂取してしまい、胃腸が正常に機能しなくなってしまうことが原因で食べ物を体が受け入れづらくなってしまいます。また胃腸の働きは自律神経の活動がつかさどっているため自律神経の乱れは食欲の低下にもつながります。

食欲不振について

・免疫力の低下

免疫機能は自律神経が司っているため、自律神経が乱れることによって免疫機能が低下して普段は排除できるウィルスや細菌なども体が防御することができずに風邪などをひきやすくなってしまいます。また、夏風邪は長引きやすいと言われますが、免疫力の低下も一因として挙げられます。

 

・熱中症の初期

吐き気、下痢、めまい、頭痛などといった症状は熱中症の初期症状でも見られます。熱中症は暑さによって体内の水分や塩分バランスが崩れて起こります。夏バテと熱中症の症状は似ていますが熱中症は重症化すると命の危険性もあります。
熱中症はⅠ度(軽度)、Ⅱ度(中等度)Ⅲ度(重度)に分類されており、めまいはⅠ度に含まれ、立ちくらみが起こる状態で「熱失神」とも呼ばれます。運動を終えた直後に起こりやすく顔面蒼白、脈が弱くなって速くなる、呼吸の回数が増えるなどの症状が見られます。
吐き気、頭痛、下痢はⅡ度に含まれ他にも倦怠感、虚脱感、判断力や集中力の低下などがみられます。Ⅱ度は従来「熱疲労」と呼ばれていた状態で放置したり対処が適切でない場合などは重症化する危険性があります。

Ⅲ度に分類されるのは意識障害やけいれん、ショック症状、過呼吸、手足の運動障害などです。

頭痛について

西洋医学的治療

最近では夏バテ外来を設ける病院も増えてきましたがまだまだその数は少ないようです。夏バテをそのまま放置しておいてしまうと免疫力なども低下して体に隠れていた思わぬ疾患が出てくる危険性もあります。

内科などで行われる夏バテ治療としまして夏に不足しがちなミネラルやビタミンを補給する注射やニンニク注射などが行われたり、または最近は漢方薬を処方するところもあるようです。

 

夏バテを予防する生活習慣

 

食事の工夫

暑いからと言って麺類などあっさりしたものばかり食べいては、体力がなくなってしまいます。肉や魚、野菜、果物など良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルを補給しましょう。栄養バランスのとれた食事が大切です。
また、ショウガやワサビ、コショウなどの薬味や香辛料や、しそ、ねぎ、みょうがなどの香味野菜には食欲を増進させる効果がありますから上手く食事に取り入れるのも良いでしょう。決してたくさん食べる必要はありませんので、少量でも栄養価の高い食品を一日三回の食事で摂りましょう。

 

適度な運動

ウォーキングや軽いジョギングなど適度な運動を行うと自律神経の働きが整えられて夏バテが解消されやすくなります。朝や夕方の日差しが弱い涼しい時間帯に行い無理なく続けられるようにすると良いでしょう。
外で運動する時間がなかなか取れないという方はストレッチやスクワットなど室内で出来る運動を取り入れてみましょう。

 

十分な睡眠

夜遅くまで起きていると一日の疲れが残ってしまいます。早めに就寝して睡眠時間を十分にとり一日の疲れはその日のうちにとるようにしましょう。
竹素材やゴザのシーツを使ったり除湿を行うなど出来るだけ涼しく寝られるよう配慮しましょう。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

みぞおちの痛み、呼吸が浅い方の鍼灸治療

月曜日, 8月 5th, 2024

みぞおち(上腹部)の痛み

一般的にみぞおちの痛みは、胃の問題が考えられます。みぞおちの奥には外腹斜筋、腹直筋、腹横筋の三層の筋肉があります。さらに奥に腹膜、胃が存在します。心窩部深くにある胃で異常が起こるとお腹の筋肉は緊張し硬くなり表面が張っていきます。また胃の容積が増えて膨らむことでもみぞおちが張ります。

腹痛

浅い呼吸(息切れ)

呼吸は、胸部が膨らむ胸式呼吸と腹部が膨らむ腹式呼吸があります。胸部が膨らむ為には肋骨がよく動く必要があります。首・胸・背中・ウエスト周りの筋肉の柔軟性が必要です。

また、浅い呼吸になっている状態では交感神経が過剰に活動します。交感神経が過活動的になると筋肉は緊張し、さらに呼吸が浅くなる悪循環に陥ります。加えて交感神経過活動では、胃痛・動悸・発汗・持続的な疲労感や倦怠感を起こします。

息苦しさ

東洋医学における考え方

東洋医学では臍から上の腹部を胃脘といいます。そして胃脘で起こる痛みを胃脘痛といいます。胃脘痛の原因には食滞肝気犯胃脾胃虚寒の3つがあります。

○食滞による胃脘痛・・・暴飲暴食などで胃に重く負担がかかった場合に、胃脘部に気が滞り痛みをおこします。食滞では胃脘痛の膨満感、食欲低下、げっぷ、嘔吐、呑酸などを伴う場合があります。

○肝気犯胃による胃脘痛・・・精神的ストレスにより気持ちが不安定になることで肝の作用(気を巡らす作用)に異常をおこし、胃の気が滞ってしまうことで痛みをおこします。肝気犯胃では季肋部(肋骨とお腹の境)が張る、食欲不振、呑酸、溜息、げっぷを伴う場合があります。

○脾胃虚寒による胃脘痛・・・過労や睡眠不足、不摂生な生活により、脾胃(胃腸の機能)を損傷することで痛みをおこします。脾胃虚寒では喜温喜按(温めたり手で押さえたりすると軽快する)、手足お腹の冷え、空腹時痛、疲労感、倦怠感、気力の減少を伴う場合があります。

呼吸は呼気と吸気に分かれ、呼気は「肺」吸気は「腎」が司っているため、肺と腎の機能低下によるものと考えられます。肺は身体の中で一番始めに外部環境の影響を受けるとされています。季節の変わり目に風邪をひきやすいのは、冷えや乾燥によって肺を損傷するためです。腎は生命活動において根源的な役割を持ちます。吸気で息を吸い、酸素を充分に取り込むために腎の働きが欠かせません。

PMS(月経前症候群)のお腹への鍼灸治療

当院での治療

始めに起きている症状、それによって仕事や日常生活で困っていることなどを包括的に伺います。

みぞおち(上腹部)の痛みと呼吸が浅く感じる場合、自律神経の交感神経と副交感神経が不均衡になっている場合が多いため自律神経測定を行います。

当院では自律神経測定器を導入しており、指先に測定器を装着しておよそ3分間安静にしていただき測定します。自律神経の過活動が見られれば抑制させるように、反対に低活動であれば働きを促進させるように治療していきます。より患者様の困り事、悩み事を最善の形で解決できるようご相談し、治療方針を決めます。

治療内容は、まずうつ伏せになり背部兪穴の「肺」や「腎」に関係するツボ、首から腰の筋肉の硬結に鍼灸を行います。特に首・肩・背中の筋肉の緊張が緩和すると呼吸が深くなります。

次に仰向けになり、手足にある肺や腎の要穴、腹部の痛みを緩和させる鍼灸を行います。胸部には鍼をすると気胸になる可能性がある部位があるのでお灸を主体に施術します。

みぞおち(上腹部)の痛み、呼吸が浅い方に考えられる疾患

・胃炎

・胃十二指腸潰瘍

・急性膵炎、慢性膵炎

・胃がん

・膵癌

・狭心症

・心筋梗塞

・心膜炎

・気道内異物

・喘息

・気管支炎

・気胸

・肺線維症

・鉄欠乏性貧血

・過換気症候群

急に痛み出した、急に呼吸がしづらくなったなどの急性症状は医療機関を受診ください。

 

 

症例

20代 女性

学生の頃から呼吸が浅く、体育の授業等で走るとすぐに息が切れてしまう。数ヶ月前から急にみぞおちが痛くなりはじめた。最初は数秒間ほどで治まっていた痛みが、今では平均10分間続いている。長い時で20分間続く時もある。

病院に行って検査をしたが原因不明と言われ、痛み止めしかもらえなかった。

日常生活や仕事は辛うじてこなせるが、今よりも痛みが強くなるか、時間が長引くと生活に支障が出てきてしまうので、その前に改善するために来院。

 

当院の治療

脈診、腹診をしたところ、かなり緊張が強い状態が続いていることがわかった。緊張状態が続くと交感神経が優位になり、自律神経の乱れにつながるため自律神経調整治療をメインで行う。これと同時に身体全体の筋肉が緊張し、硬くなっていたので血行促進治療も行った。

鍼は初めてとのことで、痛みに対して抵抗感があり、刺激量はかなり抑えての治療を提案した。

回数を重ねて慣れてきたら少しずつ刺激量を上げる。

治療間隔は週2回

 

治療経過

◇1回目◇

特に変化は感じない。

◇2回目◇

来院前に痛みがでた、痛みの強さや時間に変化は感じない。

◇3回目◇

痛みが少し弱く感じる時が数回あった。

◇4~7回目◇

治療を受けるたび痛みが軽くなっていった。

◇8~12回目◇

仕事の繁忙期に入り症状が強くでる日が増えた。だが、以前より痛みがある時間が短くなったとのこと。

◇13回目◇

仕事が落ち着いたら症状も落ち着いてきた。治療頻度を週に1回に変えて経過観察することにした。

◇14回目◇

日常生活のなかでほぼ痛みがでることはなくなった。

◇15回目以降◇

みぞおちの痛みから首肩回りのコリを目的として治療を継続することになった。

 

外転神経麻痺の鍼灸治療

水曜日, 7月 31st, 2024

①外転神経麻痺に対する当院の鍼灸治療

外転神経の鍼灸治療

 

当院の外転神経麻痺に対する施術は、目の周辺の重要なツボにハリを刺して微電流を流すことで麻痺した神経にアプローチします。

外転神経麻痺の鍼灸治療

 

また外転神経麻痺は五臓六腑の肝に深く関係しているので肝に関する経穴を用いて肝血を補うことや肝気の巡りをよくします。

東洋医学の診断方法に基づき全身の調整施術も行っていきます。東洋医学では、症状が出ている場所ばかりに注目するのではなく、その裏に隠された内臓であったり、下肢などの気血になにか問題がある部分に注目して治療していきます。
例えば人間の体は、出血しても時間がたてば塞がれますし、骨が折れても固定しておけばくっつきます。人間は本来、すごい力の自然治癒力を持っています。はり灸はその自然治癒力を呼び覚ますとても有効な施術法です。

 

当院にご来院される方は、特に外転神経麻痺にかかってしまった前後に仕事などで多くのストレスを感じていたり、多忙な生活を送って体調を崩してしまって発症される方がほとんどです。全体の体調を整えていくこと、自律神経の状態を整えていくことも治癒への大事な一歩となります。問診や自律神経測定器で現在のお身体の調子を把握して、生活習慣なども見直していく必要があります。

自律神経調整治療

当院のはり灸施術の目的は、外転神経麻痺の回復程度を高めて、回復を速めることです。また西洋医学とは違う東洋医学の観点により少しでも外転神経麻痺が回復できる機会を提供することです。それにより、少しでも患者さんのお役にたちたいという思いで施術しております。

 

 

②外転神経麻痺の東洋医学的考え

中医学では五臓六腑の肝は目に開竅するといわれており、眼の疾患は肝の機能の障害が深く影響していると考えられています。肝血が不足してしまうと視覚の異常や運動系の異常などがみられます。そのほか肝は運動神経系の調節に関係があると考えられています。

外転神経麻痺は、外側直筋を麻痺させるので、そのことからも外転神経麻痺は肝に深く関係していることがわかります。

③外転神経麻痺の鍼灸治療症例

30代 男性
朝起きると急に物が二重に見えていることに気づいた。少し時間を置けば良くなるだろうと思い、そのままにしておいたが、逆に二重の幅が広くなっていることに気づき会社を早退して眼科を受診した。右目が内側によっている斜視と診断されてその日のうちに脳神経外科を紹介されてCT・MRIの検査を受けた。特に原因特定されずに外転神経麻痺と診断された。仕事はそれから休んでいる。
当院には発症して一か月後に来院。少しずつ複視の幅が狭くなってきたがここ1週間ほどは停滞している。

当院の治療
複視の症状が出る前までは仕事が忙しく、夜遅くまで残業していることが多かった。仕事は主にパソコン仕事で目を酷使する生活が続いていた。複視になる前日に身体の疲れや右目の腫れぼったさや違和感を感じていたとのこと。当院の治療方針として
1.自律神経の調整治療
2.首肩の筋緊張の緩和
3.右目周囲を中心に鍼を刺して電気を流して神経及び筋肉に刺激を与える

治療経過

◇1回目◇
治療後、複視の幅は変わらなかったが体は楽になっている。

◇2~4回目◇
4回目の治療後、通勤時に電車の中の風景にダブりが少なくなっていることに気づいた。

◇5~8回目◇
調子の良い時はダブりが少なくなってきたが、週に半分くらいはまだ調子が悪い。

◇9回目◇
だんだん週の半分以上は目の調子が良くなってきた。

◇10回目◇
複視の症状が消えて身体の調子も良くなった。仕事などたまに忙しくなると少し物が二重に見えることがあるため月に1~2回ほどのペースで治療を受けている。

 

 

症例2

40代女性
当院にご来院される2カ月半ほど前に物が二重に見える複視の症状が出た。最初は目の疲れで視力が落ちて物がダブって見えているだけと思い、何もしなかったが徐々に複視の幅が広くなって日常生活を送るのも不自由となってしまった。眼科を受診したところ特に異常は見られずに脳神経外科を紹介されてそこで外転神経麻痺と診断された。しかし、特に脳の異常もみられなかったので経過観察で特に治療はされなかったとのこと。
日常生活では常に眼帯をしていないと物が二重に見えて生活できないため、常にどちらかの目に眼帯をして生活していた。医師によるとどちらの目も外転神経麻痺を起こしているとの診断でした。

 

当院の治療
仕事は主にデスクワークで頸肩のコリは強く出ていたため、初めに首肩を施術して筋緊張をとった後に目の周りの施術と自律神経調整治療も行っていきました。施術前に自律神経測定器で自律神経のバランスを計測したところ自律神経が乱れている状態でした。
首肩と目の周りは共に鍼を刺した後通電して筋や神経に刺激を与えていきました。

◇1回目◇
特に複視の変化は見られなかった。

◇2回目◇
治療後、若干複視の幅が狭くなったように感じたが、眼帯なしでの生活は送れない

◇3回目◇
朝に手を伸ばした先位の距離はぼやくなくなった。遠くを見るとまだ依然として二重に見える。特に目が疲れてくる夕方以降は調子が悪い

◇4回目◇
日中、家の中だと眼帯を外して生活できるようになった。近くはダブりが少ない

◇5回目◇
近くはいいが、遠くに視点を持っていくと複視になる。特に人混みの中だとつらい

◇6回目◇
段々と遠くに視点を合わせてもダブらなくなってきた。ぼやける程度

◇7回目◇
6回目の施術以降、ほとんど眼帯をせずに生活できるようになってきた。仕事で目を酷使した夜などは眼帯をつけることもある

◇8回目◇
真っ直ぐをみているとほぼ問題なく見える。左右に視点を移すとぼやけることがあるため自然と目線だけでなく、顔も横を向けるようになっているとのこと

◇9回目◇
横のダブりもだいぶ少なくなった。夕方以降でも複視の状態にならない。日常生活ではほぼ支障なく生活できる

 

症例3

60代 男性

経過

夕方仕事の時に物がぼやけて見えるようになった。最初は目の疲れだと思い、気にせず作業をしていたが次の日の朝にテレビを見ていたら物が二つに見えることに気が付いた。

だんだんと二つに見える幅が離れていったため、こわくなって病院をすぐ受診。脳の検査など行っていったが原因は特にわからずに外転神経麻痺と診断された。

6ヶ月くらいかけて治っていく場合があるから様子見でどうしてもつらかったらプリズム眼鏡を処方するが、6か月間は症状の変動が見られることが多いため基本そのままで対処すると言われた。

以前から漢方治療など東洋医学にも興味があったため外転神経麻痺を治せるところがないかとインターネットで検索して当院にたどり着いたとのこと。

 

治療

主に目の周り特に眼球の外側に強めの鍼通電治療を行って筋肉や神経に刺激を与えていくことで改善をはかっていきました。

複視症状のほか物が二重に見えるため階段の上り下り時などにめまいやパソコン作業時の目の疲労感も強く感じるとのことでそれらの症状にもアプローチしていきました。

首肩周りの筋緊張の緩和、背中やお腹の経穴を用いた自律神経のバランスも整えて治癒しやすいお身体の状態にしていきます。

 

経過

来院当初は、複視で歩行が困難なため片目に眼帯をして複視症状をおさえてご来院されていたが、4回目の施術後に眼帯を外しても怖さを感じにくくなったためほぼ眼帯を外して生活。だんだんと複視の幅が狭くなっていった。

治療開始1か月後8回目の治療後には、階段上り下りもそつなく行えるようになってきて日常生活もだいぶ楽に。近くのものパソコン作業時などはほぼ一つに見えるとのこと。まだ遠くの景色は二重に見える。

2か月目以降は治療間隔を週に2回から1回に延ばしていきました。

2か月終了時には、複視症状がほぼ消失したため治療も終了。

 

症例 4
30代 男性

一週間前、起床時から右目が外側に動かなくなった。眼科を受診したところ、原因不明の外転神経麻痺と診断された。脳神経には異常がなく、自律神経かスマホの使いすぎかと言われた。複視がでているため、モノがダブって見える。

発症前は、仕事が忙しく就寝前までスマホで仕事をしていた。

当院の施術

触診では、強い首肩のコリはなく、手足の末端が異常に冷たい状態だった。仕事の忙しさなどから、自律神経のバランスを乱していることや、目の使いすぎによる目の周りの筋緊張で血液循環が悪くなり、神経の働きが麻痺したものと考えられる。

全身への鍼灸施術による自律神経の調整と、血流を促進させるために目の周りへの鍼通電を行った。

一回目

施術後は体が暖かく感じた。

二回目

前回の施術後から、体が温かくなった。目の麻痺は少しマシになり動きがでてきた。

三回目

体は温かい。目が外を向くようになり、外側の視野が広がっている。治療の次の日は目の動きがよくなる。

四回目

だいぶ目が外側に動くようになった。近くのピントも合うようになり、文字が読めるようになった。遠くのものを見る時は、まだピントが合わない。

五回目

目の動きは正常に戻り、遠くのものを見る時もダブることがほとんどなくなった。

 

④外転神経麻痺とは

 

外転神経麻痺の症状

 

外転神経麻痺は脳底の動脈瘤腫瘍髄膜血管梅毒糖尿病外傷などで起こり、眼筋麻痺のなかでもっとも頻度が高い疾患です。外転神経は橋の後縁から出て上眼窩裂を通って眼窩に入り、外側直筋を支配します。

そして、外側直筋を収縮させて眼球を外側に向かって水平に動かします。よって外転神経が麻痺すると眼球は外転できなくなり、正常よりも内側を向くようになります。すると両眼の視線が見たい場所で交わらなくなり、ものが二つに見えたりします(複視)。眼球運動にかかわる神経は外転神経以外に動眼神経滑車神経があります。

 

外側直筋
眼球の奥の総腱輪から出て眼球の外側に停止する筋肉です。外側直筋の主な役割は、眼球を外側に向ける役割があります。外転神経が支配しています。
外側直筋は眼科の中にあるため、触ることができない筋肉です。この筋肉が何らかの原因で機能しないと、目を外側に向けることができなくなり、正視していても内側に向いてしまうより目の状態となってしまいます。
外側直筋が機能しないと目のピントを合わせる能力が低下して焦点が合わなくなり、二重に物が見える状態・複視の状態となってしまいます。

複視

 

 

⑤外転神経麻痺の原因

 

外転神経麻痺を突き止めるのは容易ですが、原因を突き止めるのは容易ではありません。CT検査やMRI検査で腫瘍があるか判断したり、脊髄搾刺では頭外内圧が上昇していないか診断されます。
原因が判明しない場合は、神経に血液を運ぶ動脈の閉塞や一過性脳虚血発作による神経の障害が考えられます。

これらの異常は、高血圧糖尿病アテローム動脈硬化がある患者に多く見られます。

当院にご来院される多くの方は、外転神経麻痺と眼科などで診断されたもののその原因が精密な検査を重ねてもわからないという方がほとんどです。原因がわからないと西洋医学では対処が難しく具体的な治療は施されません。当院ではそのような方々でも東洋医学の観点から施術することで複視の状態が改善していったという方が多くいらっしゃいます。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

筋肉痛の鍼灸治療

月曜日, 7月 29th, 2024

筋肉痛の東洋医学

東洋医学的に診ますと五臓六腑の肝と脾の機能低下が筋肉痛になりやすい状態へとつながると言われています。

東洋医学では、「肝は肌肉をつかさどる」といわれます。血液を蓄えて体内の血流量を調整することで全身の筋膜や腱を調整しています。

また脾は東洋医学では西洋の脾臓と胃腸のことをさします。全身の筋肉に栄養素を届ける働きがあります。

これらの肝と脾の機能が低下することで筋肉や肌肉、腱に栄養が行き渡らずにその状態で運動をすると筋肉痛になる確率が高まるのです。

当院での筋肉痛に対する鍼灸治療

当院で行う筋肉痛の治療目的は筋肉痛の回復程度を高めることと、筋肉痛が完治するまでの時間を早めることです。

 

鍼灸治療の効果として、炎症を早く治めること鎮痛効果血流促進などがあります。筋肉痛が起きている部分に直接アプローチして炎症や痛みを早く取り除いたり、周りの筋肉の過緊張状態を和らげることで筋肉痛の回復を早めます。

筋肉痛の鍼灸治療

また、東洋医学的に診ますと五臓六腑の肝や脾が弱っているために筋肉に栄養が行き渡りずらい状態で筋肉痛が発症している可能性もありますので肝や脾の機能を回復させるような経穴なども用いて施術していきます。

筋肉痛のうつ伏せ鍼灸治療

 

 

筋肉痛とは

筋肉痛とは運動や筋力トレーニングにより筋線維がダメージを受けて起こる痛みのことです。筋肉痛の原因は医学的にまだはっきりと解明されていません。

筋肉痛は広義には肉離れなどを含みますが、一般的に運動した数時間後から数日後に発生する遅発性筋肉痛の事で、程度は個人差がありますが、運動の種類、運動強度、年齢、運動に対する慣れなど様々な要因によって決まるとされています。

以前は、運動中の激しい筋収縮により筋肉への酸素供給が間に合わなくなり、エネルギー源であるブドウ糖が不完全燃焼を起こし、代謝産物である乳酸が筋肉中に蓄積されることにより筋肉を硬くし、神経を刺激して炎症や痛みを起こすと考えられてきましたが、最近の研究では、血液中の乳酸は運動後すぐに低下するため、筋肉痛のような症状を起こす要因にはならないという矛盾点が指摘されており、現在最も有力な説は、普段使われない筋肉を急に使ったり、同じ筋肉が使われすぎたりすると、筋繊維とその周りの結合組織の損傷し、回復過程において炎症を起こし、その際に発生したブラジキニンやプロスタグランジンなどの発痛物質が筋膜を刺激し痛みの信号として脳へ伝わり、筋肉痛として痛みを感じるという見方です。

筋肉痛の症状

筋肉痛の症状は、運動した数時間後から数日後に発生する筋肉痛と長時間運動した直後の筋肉痛があります。

・筋肉痛はなぜ時間を置いて痛むのか

運動によって傷ついた筋線維に炎症が起き、そこで出来たブラジキニンなどの発痛物質が筋膜を刺激します。そこから刺激が伝わって痛みを感じるまでに時間差があるからだと考えられています。あまり使っていない筋肉は毛細血管が十分に巡っていません。炎症反応が起こり発痛物質が出てくるまで時間がかかったり、痛みが強くなっていったりするとよく言われますが、現在では年齢による時間差はないという調査報告もみられています。

 

・筋肉痛になりやすい運動とは

運動するとき筋肉を収縮させて力を発揮しています。この筋肉の収縮運動は以下の三種類に分けられます。

伸びながら力を発揮するエキセントリック(伸張性)運動

重い荷物を降ろす、下り坂を降りる、階段を下りるなど

縮みながら力を発揮するコンセントリック(短縮性)運動

重い荷物を持ち上げる、階段を上るなど

伸縮なく力を発揮するアイソメトリック(等尺性)運動

腕相撲など

 

 

このうち特に筋肉痛になりやすいのがエキセントリック運動です。これは、筋肉を伸ばすときの方が筋線維への負荷が大きくなるため、損傷が起こりやすいためです。

 

筋肉痛の予防

・運動前後のストレッチ

運動前のストレッチは、血行を良くして筋肉を柔らかくします。筋肉の伸縮性を高める事で、筋肉痛の原因となる炎症を起こしにくくするだけでなく、ケガの防止につながります。

ストレッチは反動をつけずにゆっくり行うことがポイントです。無理をせず、痛みを感じない程度に行いこれから使う筋肉や、使った後の筋肉を中心にストレッチングしていくことで筋肉痛を

軽減できます。

 

・普段からの運動習慣

筋肉痛は普段使っていない筋肉を使ったりすると起こるものです。普段から運動習慣をつけ、筋肉を鍛えることが筋肉痛の予防につながります。

 

筋肉痛の治し方

筋肉痛は一般的にそのまま様子を見ていれば、運動後3~7日程度で治っていきます。セルフケアとして筋肉痛を早く治すために次のようなことを心がけると良いでしょう。

 

・患部を温めて血行を促す

入浴やマッサージなどで血行を促すことで、傷ついた場所を回復させるための栄養や酸素を運びやすくなり、新陳代謝が促進され回復を早める効果が期待できます。

 

・炎症がひどい時はアイシングをする

運動直後や、炎症がひどく熱を持っている場合には温めずに、まずは氷や冷湿布で患部を冷やしましょう。これはアイシングと呼ばれるものです。アイシングをすることで血管が収縮し血流が抑制され、痛みを伝える神経を麻痺させて痛みを緩和する効果があります。アイシングは、一回あたり20分程度。一日に数回に分けて行うのが良いでしょう。運動から1日~2日までがアイシングの目安となります。

 

・運動直後に良質な栄養を摂る

運動後、回復時に良い食事は、タンパク質、糖質、ビタミン、ミネラルをしっかりととる事が出来る食事です。タンパク質は傷ついた筋肉を修復するのに使われ、糖質は運動で消費したエネルギーを補うための筋肉の分解を抑えるのに役立ちます。また、ビタミン、ミネラルは汗により失われたり、エネルギー効率を良くするため、体で消費されたりしているので、補うことが大切です。

・十分な睡眠を取る

筋肉痛に限りませんが、睡眠は疲労回復に欠かせません。眠っている時には体の中では成長ホルモンが分泌されて、消耗した筋肉を修復してくれる作用があります。

・ストレッチや軽い運動を行う

ストレッチをすると筋肉が柔らかくなり、血行が良くなるので筋肉痛の回復の助けになります。しかし、勢いをつけたり、重い負荷をかけるのはよくありません。できるだけゆっくりと時間をかけて、軽く筋肉を伸ばすストレッチを心がけましょう。また、ウォーキングや水中歩行も良い方法です。無理をせず20分~30分くらいが良いでしょう。

 

医療機関での受診をおすすめする場合

 

次のような場合には病院に行きましょう。病気や怪我が隠れている場合もあります。

 

・1週間以上たっても痛みやこわばりが取れない場合(まれにリウマチ性多発筋痛などの疾患の場合があるため)

 

・全身性の痛みがある場合(他の疾患の可能性があるため)

 

・局所に急激な痛みがある場合(怪我や骨折の可能性があるため)

 

・運動をしたわけでもないのに、筋肉痛のような痛みがある場合(内臓疾患の可能性があるため)

 

筋肉痛の鍼灸治療症例

 

症例1

 

30代 男性

 

前日にフルマラソンを走り、筋肉痛や疲労回復のために来院された。

ふくらはぎが緊張が一番強く、それ以外にも大腿や腕、肩、背中の緊張が見られた。

 

当院の治療

 

ふくらはぎの緊張を取るために、下肢のツボ(承筋、承山、承間、飛陽、三陰交

足三里)と硬結部に刺鍼をし、そこに低周波の電気刺激を行った。

また、大腿後面と前面や腰部、背部、首肩の硬結部にも刺鍼をし、さらに自然治癒力を働かせるために、自律神経治療も行った。

 

施術後

全身的にリラックスできて、体が楽に動けるようになった。

しかし、まだ痛い所がある。

 

二回目(翌日)

筋肉痛は微かにあるが、気にならない。

 

症例 2

30代 男性

1週間後にフルマラソンの大会に出場予定で、筋疲労の回復のため来院した。

ここ数か月走り込みをつづけており、週末は30キロ~40キロ近く走ることもある。

過去ににふくらはぎの肉離れを起こしたことがあるため、再発防止としてマッサージでこまめにケアをしているが、以前よりなかなか筋肉痛が取れなくなってきている。

 

当院の施術

まず、触診にてお身体の状態を確認していきました。

全身の筋肉の硬さはみられるが、とくに太ももの前面とふくらはぎの筋緊張が非常に強く、軽く押しただけでも筋肉痛が起きる。触ると多少の熱感も感じられました。

1週間後にフルマラソンのレースに出場ということで、少しでも万全の状態に近づけるためしっかり筋肉にアプローチを行い、鍼に電気を流す低周波鍼通電法を行いました。

 

以前より筋肉痛が取れにくくなっているといううことなので、自然治癒力を担う自律神経の状態を測定器で測定したうえで、自律神経調節治療も同時に行いました。

 

治療間隔はレースまであまり日がないため、3日連続で来院していただき、集中して施術を重ねていきました。

1回目

かなり楽になった。足が軽い。

しかしまだ完全に、取り切れていない。

2回目

痛みはほとんど取れている。

圧痛もほぼ気にならない。

3回目

もうほぼ痛みや張り感は消滅した。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年
鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む
2011年
おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立
2014年
中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院
2016年
渋谷α鍼灸整骨院を開院
2018年
三軒茶屋α鍼灸院を開院

副鼻腔炎の鍼灸治療

日曜日, 7月 28th, 2024

当院の鍼灸治療 

 

東洋医学に診ると「肺」と熱や水分代謝を主に治療することが蓄膿症には効きます。また免疫力を上げることも重要です。免疫力を上げるこには全身の血流量をあげること・自律神経の状態を正常に戻すことが重要です。

自律神経の乱れは・・・・

などを引き起こします。
これらは自律神経の活動により、改善していきやすいものです。
自律神経のバランスが乱れていると、全身の血行循環が悪くなり、血液がドロドロとなります。血液が末梢まで流れないことで、微小循環も悪くなり、代謝が落ちていきます。自律神経の活動を高めて免疫力をあげることが、蓄膿症・副鼻腔炎の改善に欠かせないということです。

身体本来が持っている自然治癒力を高めてあげることで、血液をサラサラに、全身循環を良くしていきます。体質改善を行うことで症状を治していきます。

 

治療の流れ
①問診
しっかりと問診をしていき、原因を特定していきます。
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②自律神経測定
蓄膿症・副鼻腔炎の治療は自律神経の状態を知ることが重要となってきます。
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③仰向け治療
自律神経調整療法・鼻周囲の重要な経穴などを用いて症状改善を目指します。

副鼻腔炎の鍼灸治療

④うつ伏せ治療
肺や大腸などの重要な経穴は背部にもあり、その経穴を刺激していきます。

副鼻腔炎のうつ伏せ鍼灸治療

 

 

副鼻腔炎の東洋医学

 

鼻汁や鼻づまりなど鼻の症例は、東洋医学では「肺」と「大腸」が関係します。

肺には「宣散・粛降を主る」「気を主る」機能があります。

  • 「宣散・粛降を主る」
    気や津液を全身のすみずみまで、散りばめて機能させることを言います。特に肺呼吸や皮膚呼吸・発汗により津液を放出させたりして体液のバランスを維持しています。また気道平滑筋や呼吸筋を調節して呼吸機能を正常に行わせる役割もあります。
  • 「気を主る」
    呼吸によって体外の清気を取り込み、体内の濁気を排出する、気の交換作用があります

肺の病変では、主に呼吸器系や水分代謝の面の障害が現れます。

 

大腸には、「伝化を主る」で、主に大便の排泄を行っていて、肺とは気機の下降の面で関連を持っています。

  •  「伝化を主る」
    大腸は、小腸が分別した濁を受け取って一部の水分を吸収したのちに大便として体外に排出役割があります

「肺」と「大腸」の関係
肺の粛降の作用と大腸の伝化の作用とは深い関係にあり、肺の粛降作用により大腸は排便を促すことができます。

「肺」や「大腸」不調

乾燥による燥邪などが肺の津液を損傷すると肺の機能が下がり皮膚や粘膜の脱水と炎症を引き起こします。
肺の機能が上手く働かなくなると身体の水が停滞してしまいます。これが、軌道に貯留すると鼻や喉などに症状がでます。これが大腸にも影響を与えて便秘や腸閉塞にも繋がってしまいます。

副鼻腔炎の鍼灸治療症例

 

50代男性

2か月ほど前に風邪に感染し、一週間内に熱は下がったものの、それから鼻が常に詰まっている状態が続いている。病院にて薬物療法を行っているがなかなか治らない。後鼻漏があり、特に夜間に咳が出る。顔面痛、頭重感。最近では嗅覚障害も出現している。

当院での治療
自律神経測定器にて計測を行ったところ、交感神経が過亢進状態でバランスに乱れが見られました。顔面部の血行促進の為、うつ伏せで首肩の筋緊張の緩和と、東洋医学的観点から肺と大腸経のツボにも鍼とお灸を施しました。
次に仰向けで顔面部に鍼とお灸で刺激を与え、鼻周囲の血流循環を促進し、抗炎症作用、鼻汁や膿の排出を促すと同時に、免疫、内臓機能の調整と全身の血行促進のため自律神経系の調整のツボに刺激を与えました。

一回目
施術が終わった後は頭が2、3日軽くなった感覚があった。鼻詰まりも当日は少し改善された感覚があったが、徐々に戻ってしまった。他の症状はまだ変化感じられない。

二回目
顔面痛が少し改善され、後鼻漏がやや少なくなったと感じる。鼻詰まりは日によって通りが良いと感じる日が出てきた。頭重感鼻の通りが悪い日は感じる。

三回目
顔面痛前回よりも改善した。後鼻漏も比較的少ない状態が続いている。鼻の通りが片方は通るようになったが、もう片方は未だ詰まっている。頭重感減少。匂いも少し分かるようになってきたと感じる。

四回目
顔面痛は半減した。後鼻漏は気にならない日が増えてきた。咳も治まってきている。鼻づまりは両方の鼻が通った日があったが、翌日からまた通りが悪くなってしまった。

五回目
顔面痛三分の一程度。後鼻漏も減少し咳が出なくなってきており寝つきが良くなったと感じる。鼻づまりは片方は通るがもう片方は、詰まる日もあるがだいぶ息がしやすくなったと感じる。頭重感も匂いも以前ほどではないが感じる。

六回目
顔面痛ほぼ消失した。後鼻漏もほぼ無くなり鼻づまりも両方の鼻詰まりが無くなった。鼻水の色も透明に近いものになってきた。

 

症例2

20代 女性

3か月前に副鼻腔炎と診断され薬による治療で軽減したが完全に解消したわけではなく、鼻づまり、後鼻漏が気になる状態。

声の仕事をしているのだが、後鼻漏の影響のため声質が以前と変わってしまい、仕事に支障が出ているため来院した。

鼻汁は粘液状で色は緑色をしていたが、今は白っぽい色に変わってきている。

当院の施術

副鼻腔炎は免疫力が低下すると慢性化することが多く、自律神経の乱れで免疫力が低下します。

仕事の関係で睡眠時間が削られることが多く、生活習慣も乱れ気味という事なので、自律神経測定器でお身体の状態を確認していきました。

測定結果は、交感神経が高く副交感神経があまり働いていない状態でした。副交感神経は免疫細胞を活発にさせる神経なので、改善するためには副交感神経を働かせる施術が最優先と考えました。

触診では首肩、背中周りの筋緊張が強く、昔から自然と力が入りやすい体質ということでした。

まず、うつ伏せで首肩や背中周辺の筋緊張を緩める施術を行い、仰向けで自律神経調節治療、炎症を抑えるために鼻周辺や喉のツボに鍼やお灸を施しました。。

経過

1回目

大きな変化はないが、鼻の通りがよくなった。

2回目

鼻が通りやすくなったため、よく寝れるようになった。少なからず鼻水の量も減ってきた気がする。

3回目

鼻水の量が減って、後鼻漏が軽減。

4回目~6回目

鼻づまり、鼻水の量が軽減。

声の調子も良くなり、元に戻り始めてきた。

7回目

声も完全に回復し、鼻の調子も良い。

 

症例 3

40代 女性


5年前から、風邪をきっかけに慢性的な副鼻腔炎になった。疲れやすく、体調を崩すと、すぐ鼻が詰まり、痰や膿がでる。転職をきっかけに、仕事で声をよく出すようになり喉を痛め、さらに副鼻腔炎がひどくなった。耳鼻科で処方された薬の影響でさらに疲れを感じるようになり、ご来院された。また、40代になってからとにかく疲れが取れないことがしんどい。

当院の施術

女性は40代で自律神経のバランスを崩しやすくなるため、疲れがとれにくく、免疫力が下がり、副鼻腔炎がなかなか治らない状態になっていると考えられる。

自律神経のバランスを整え、免疫力を上げること、鼻の周りに鍼やお灸を行うことで、血流を促進するような施術を行いました。

仕事が忙しく、週に1回のペースで通っていただきました。

一回目

施術後は、鼻の通りがよくなり、よく眠れて身体の疲れがとれる。

二回目

少し鼻の様子がよくなっている。

漢方も飲み始め、膿や痰がよく排出されている。

三回目

鼻が通るようになり、だいぶマシになった。

痰はまだ出る。

四回目

痰も出なくなり、副鼻腔炎はよくなった。

副鼻腔炎とは

 

蓄膿症とは俗称で副鼻腔炎とも呼ばれます。

鼻の周りにある副鼻腔という場所が炎症する状態です。この副鼻腔に膿が貯まることを蓄膿症と言います。今では、溜まるほどでなくても副鼻腔炎ということもあります。

 

原因には様々あります。細菌、真菌などから鼻腔が感染して炎症を起こしてなるものや

などの炎症からなるものもあります。

炎症によって副鼻腔と鼻腔の間が腫れて分泌物や膿などが外に出なくなって炎症が長引きます。この状態ですと細菌感染を繰り返す可能性が大きくなり、症状が固定されて慢性副鼻腔炎になります。

その他にも遺伝が原因になるとも考えられています。

昔によく見られた病気でしたが、医療環境や生活環境の変化により今ではかなり少なってきました。少なくなってきたものの、いまだによくみられる病気であることには変わりません。

 

 副鼻腔

 

頭蓋骨の骨で作られる前頭洞・篩骨洞・上顎洞・蝶形骨洞の四つの空洞で副鼻腔は形成されます。粘膜で覆われた骨で囲まれて、鼻腔と狭い管で通じています。

粘膜の表面には線毛と呼ばれる細い毛によって外から入ってくるゴミやほこり・細菌・ウイルスなどから体内を守ります。これらの異物を粘液と絡めて外で排出する働きをします。

副鼻腔の役割ははっきりとわかっていませんが、音を響かせることや外力からの衝撃を和らげてくれる存在とも言われています。

副鼻腔炎は急性副鼻腔炎慢性副鼻腔炎に分けられます。

 

急性副鼻腔炎は、細菌やウイルス感染から副鼻腔に急性に炎症ができる病態で、頭痛顔面痛・鼻の中の異臭・嗅覚低下頬の違和感・後鼻漏などの症状が起こります。

アレルギー性鼻炎の方が風邪をひいて急性副鼻腔炎になることもあります。

急性副鼻腔炎では通常1~2週間で治ると言われています。

蓄膿症・副鼻腔炎

 

 

慢性副鼻腔炎は、急性副鼻腔炎の症状が繰り返したりしたものが長引いたもので、三か月以上続くもので、この状態を蓄膿症と呼びます。症状は、鼻づまり頭痛鼻の中に悪臭・嗅覚低下・後鼻漏など様々です。

慢性化することで、副鼻腔の分泌物が増えて粘度が高くなるなど病態をさらに悪化させる可能性があります。

年齢的な要因や免疫力など治癒期間が異なってきますが、目安として半年から一年と言われています。

 

 病院での検査

  • ・細菌検査

鼻漏などで細菌検査を行います。

  • ・内視鏡

内視鏡で鼻を見る検査で痛みもなくすぐに行なえます。

  • ・CT、MRI

鼻の中にある膿などのたまりを調べることができます。

痛みがなく時間もかからずにできます。

  • ・レントゲン

レントゲンでは蓄膿症の進行具合を調べることができます。

これらの検査で蓄膿症を判断します。

 

その他にも嗅覚機能検査・鼻腔通気度検査・採血検査などがあります。

 

蓄膿症になりやすい体質

蓄膿症には免疫力が関係します。

免疫力などの体力がある方は蓄膿症になりにくいです。

蓄膿症は体質改善により症状も改善されていきます。

蓄膿症は、細菌感染や風などを繰り返すことで慢性化するので、身体本来が持っている自然治癒力免疫力を高めてあげることで症状を改善してきます。
東洋医学からみた蓄膿症は、免疫力が低くて、野菜不足の肉類などの偏食の方はなりやすいと考えられます。体質では、風邪をひきやすい方や鼻や喉が弱い方など、冷え性、むくみ、肥満などの水分代謝が悪い方もなりやすいと考えます。

 

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好医院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

斜角筋症候群の鍼灸治療

日曜日, 7月 28th, 2024

斜角筋症候群とは

 

斜角筋症候群は胸郭出口症候群の1つであり、頸部の筋肉の前斜角筋か中斜角筋、その両方が過剰に緊張して神経や血管を圧迫することで、痛みや痺れ、手の冷感、蒼白といった症状を引き起こす疾患です。

斜角筋は前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋の3種類があります。

 

◯前斜角筋

第3~6頸椎の横突起から起こり、第1肋骨に付着。

 

◯中斜角筋

第2~7頸椎の横突起から起こり、第1肋骨に付着。

 

◯後斜角筋

第5~6頸椎の横突起から起こり、第2肋骨の外側に付着。

 

前斜角筋と中斜角筋の間には、腕神経叢と鎖骨下動脈が通っています。

腕神経叢は、前腕と上腕の屈曲運動を司り力こぶを作る動きをする上腕二頭筋の筋皮神経、掌や掌側の第1~3指と第4指の内側半分の感覚を支配し、前腕の回内、手首や指の屈曲、母指球筋の動きを司る正中神経、第4指の外側半分と第5指の掌背側の感覚、前腕の小指側の感覚を支配し、手首と指の屈曲や母指球以外の掌の筋肉の運動を司っている尺骨神経、第1~3指の背側、手、前腕、上腕の遠位の背橈側(親指側)の感覚と、肘や手首、指を伸ばす運動を司る橈骨神経に枝分かれしていきます。

鎖骨下動脈は胸郭の上部を横方向に走行する大きな動脈で、頭部や腕に血液を供給しています。

途中で前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋隙)を通り腕に走行していきますが、斜角筋隙が狭くなることで血管が圧迫され前腕や上肢への血流が低下し冷え感という症状が現れます。

 

斜角筋症候群の原因

 

斜角筋症候群の1番多い原因は、長時間のパソコン作業やスマートフォン使用による頸部への負荷になります。

下を向く、顔をパソコンの画面に近づけて望みこむような姿勢を繰り返し行うと頸椎が真っすぐに変形するストレートネックになってしまうことがあります。本来人間の頸椎は頭の重量を支えるため横から見て湾曲しています。人間の頭はボーリングの玉と同じぐらいの重さがあり、湾曲することでその重量から首への負担を分散しています。

しかし、ストレートネックになると重量を分散できなくなり、斜角筋に大きな負荷が掛かってしまいます。

また、テニスのサーブ、野球の投球動作、ゴルフのスイング、バレーボールのアタックといったスポーツによるオーバーワークや、重いものを持つ、なで肩、冷えによる斜角筋の筋温低下、精神的ストレスでも首や肩周りの筋緊張を起こす原因になります。

 

斜角筋症候群の症状

 

斜角筋症候群の症状は、肩や腕の痛み手のしびれ手の冷感蒼白があります。

また、神経や血流低下によって肩から指先にかけて力が入りにくいといった筋力低下も起こることがあります。

斜角筋症候群は肩こりや頸椎椎間板ヘルニア、頚椎症などその他の頸肩腕症状と似ているため鑑別が必要です。

 

斜角筋症候群の徒手テスト法

 

①モーリーテスト

患側の前斜角筋と中斜角筋の間を指で圧迫する。

腕や肩に神経症状が現れれば陽性。

 

②アドソンテスト

座った状態で患側の手首の脈を確認し、患側側に顔を向けさせた状態で頸部を後屈させる。その体勢のまま大きく息を吸いきったところで息を止める。その時手首の脈が減弱したら陽性。

 

③ルーステスト

腕を開いて肩まで拳上し、手が上になるように肘を直角に曲げる。

その状態で手を握る、開くを繰り返し行う。その動作を3分間継続できない場合は陽性。

 

斜角筋症候群の当院での治療

 

当院では原因部である前斜角筋と中斜角筋の筋緊張を徹底して緩める事を目的とした施術を行います

斜角筋だけではなく、頸部全体の筋緊張を軽減するために胸鎖乳突筋、板状筋、僧帽筋、大胸筋にもアプローチしていきます。

筋緊張が強い場所には低周波通電鍼療法を加えて行っていきます。

筋緊張を緩めることで痛みやしびれ、冷感、蒼白等の原因になっている神経や血管の通りを改善していきます。

また、痛みや冷感が強い患部には直接鍼やお灸を施すことで血行を促進させ症状を緩和させていきます。

当院では、筋緊張の緩和だけではなく自律神経の調節も同時に行います

痛みやしびれでお悩みの方はそのストレスで自律神経が乱れることが少なくありません。

自律神経は自然治癒力や血流をコントロールしているため、少しでも早く改善させるために非常に大切です。

 

斜角筋症候群に対する東洋医学の考え

 

東洋医学では斜角筋症候群は体外からの邪気を受けることで発症すると考えられています。

五臓六腑の「肝」「脾」「腎」が邪気を受けて損傷し機能が低下し、これらの働きが悪くなると頸部や上肢の気血が滞ってしまいます。その滞りが痛みやしびれとして考えられています。

東洋医学での「肝」は、血液を貯蔵し必要に応じて筋肉や各器官に供給する働きや、自律神経系の働きを通じて血管の拡張・収縮運動をコントロールし体内各部の血液量を調節する作用があります。

「脾」は口から摂取した食べ物の栄養を吸収し、気血水を作り出す働きがあります。脾の栄養は筋肉や四肢の運動に大きく影響しています。

「腎」は呼吸や水分代謝といった生命活動や人の成長、発育に大きく関わっています。

「肝」「脾」「腎」の3つの機能が低下すると全身の血が不足し、筋肉が栄養不足になるため斜角筋症候群が発症すると考えられています。

 

斜角筋症候群の鍼灸治療症例

 

症例 1

30代 男性

1か月以上前から、首前面の違和感や手のしびれ、力が入らないといった症状が出てきた。長時間下を向く作業を行った後、首に痛みがでて湿布薬を貼った後から、手のしびれが出るようになった。

整形外科を受診したところ、姿勢不良による斜角筋症候群と言われ、ご来院された。

当院の施術

触診では、首の前面だけでなく、後面から肩、背中の筋緊張が強く見られた。

首の筋肉が神経を圧迫し違和感やしびれが生じているため、鍼とお灸で筋緊張を和らげる施術をしていきました。また、斜角筋だけでなく、首肩周りの筋肉も弛緩させるような施術をしていきました。より筋緊張をとるため自律神経の調整も行いました。

一回目

鍼灸を受けるのは初めてだったため、弱めの刺激でお灸と置鍼のみ行いました。施術後は首肩周りの筋肉の緊張がほぐれた。

二回目

前回の施術後から、首の違和感や手のしびれはマシになった。

今回から鍼通電療法も行った。

三回目

手のしびれや、首前の違和感はなくなった。

以前よりある肩回りのこりが気になるため、週に1、2回のペースでご来院されている。

顔面神経麻痺の鍼灸治療

日曜日, 7月 21st, 2024

 

顔面神経麻痺に対する当院の鍼灸治療

①問診

しっかりと時間をかけて問診していきます。ストレスや環境の変化により発症する場合もあります。症状の経過などによっても治療過程が変わってきますので詳しくお伝えください。
問診

 

②検査

自律神経測定器を用いて現在のお身体の状態を計測していきます。また柳原法を用いて症状の進行具合を診ます。

自律神経測定器

柳原法

 

 

 

③うつ伏せ治療

背部には五臓六腑の重要な経穴があります。東洋医学の診断法に基づいて弱っていると臓腑、逆に強くなりすぎている臓腑を経穴を刺激して調整します。顔面神経麻痺の方は、首肩の筋緊張が強い場合が多いのでそれらの筋肉をほぐしていきます。

 

顔面神経麻痺に対するうつ伏せ鍼灸治療

 

 

④仰向け治療

顔面部に鍼やお灸をしていき、同時にお腹や上下肢などの重要な経穴を刺激して自律神経を調整していきます。

顔面神経麻痺の鍼灸治療

 

顔面神経麻痺は、2週間以内の早期に治療を開始するとそれだけ予後も良いです。しかし、慢性期の方や後遺症が残っている方でも鍼灸施術で改善していったという症例が多くございます。

顔面神経麻痺の自律神経調整鍼灸

 

顔面神経麻痺の効果についての研究

東京女子医科大学の東洋医学研究所の研究では、顔面神経麻痺の鍼灸効果についての研究がされており、鍼治療の効果のエビデンスはいまだ解明されていないものの鍼刺激が顔面神経や顔面神経管等の周辺組織の血流が改善されることで麻痺の回復を促すことが研究結果から推測されています。

「難治性のBell麻痺およびHunt症候群に対する鍼治療効果の検討ーENoG値0%でかつNETスケールアウトであった29例の検討」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/60/3/60_3_347/_article/-char/ja/

この研究では、1996年8月から2004年6月までの間に鍼治療を行った顔面神経麻痺患者の中で電気生理学的検査で全く反応がなく一般的には予後不良となる方29例を対象に行われました。
結果では、発症後6か月以内に顔面神経麻痺が完全治癒したのが17・2%で不完全治癒が82.8%でした。不完全治癒が圧倒的に多いかと思いますがこの研究で扱った症例では、一般的には治癒見込みがないとされる症状の重い状態の患者さんであってそういった患者さんでも鍼の有効性が認められ、顔面神経麻痺の鍼灸治療の効果が示されています

顔面神経麻痺の症例

 

40代 男性

3週間ほど前に風邪をひいて体調を崩してから頭痛や耳の後ろ当たりの痛みを感じるようになった。痛み自体は2日ほどでほとんど軽減されたが、右顔面部の動かしずらさを覚えて病院を受診したところ、顔面神経麻痺の診断を受けた。

病院では主に経過観察でビタミン剤などの栄養剤を処方されただけで次は1か月後に来院されてくださいとだけ言われて他に何か治療手段はないかと検索をかけたところ鍼灸治療が効果があると知って当院にご来院されました。

 

当院の治療

体調を崩されてからの顔面神経麻痺の発症ということで自律神経の状態も何かしら顔面神経麻痺に影響を及ぼしている可能性もあるので自律神経測定器で自律神経の状態を測定して治療に入っていきます。

測定の結果交感神経の活動も高く、最近よく眠れていないということから全身的な副交感神経の活動を高められるような施術も含めて行っていきました。

うつ伏せから施術を行い首肩周りの筋緊張の緩和、背部兪穴を用いた五臓六腑の機能回復を行います。

その後、仰向けとなり右顔面部中心に鍼灸施術を行っていきます。

 

治療経過

最初問診時、特におでこのしわ寄せ動作や口をイーっと横に広げる動作が右顔面部できていない状態でした。また、目もうまく閉じれない状態でドライアイも出ていた。

一回目の治療では顔周りの鍼通電治療は症状悪化の可能性も高くなるので行わずに顔周りは鍼とお灸で刺激していきます。

一回目の施術後その日の夜に目の閉じやすさを実感。口元やおでこはまだあまり変化を感じることができない。

2回目後はおでこのしわ寄せ動作も少しずつですができるようになってきた。

3~4回目では症状にあまり変化がみられなくなったため5回目以降は耳の後ろと口元の右横とおでこ周囲に低周波の鍼通電治療を行っていき、変化をみていきます。

6回目の施術後次の日から明らかに口元の動きが改善、口をイーっと行う動作が左側とさほど変わらないくらいまで回復。

7回目以降は大きな変化は見られなかったが少しずつ回復していって10回目で施術を終了。ほぼ完治された。

 

症例2

40代 男性

2週間前に体調を崩し風邪を引いた。風邪が治りかけたタイミングで耳の奥に痛み出始め、左顔面部に帯状疱疹が発症した。帯状疱疹が治り始めてしばらくたったら、左片側顔面神経麻痺が発症した。

主な症状は、額のしわ寄せ、閉眼、ほほを膨らませる、口の動きなどが不能。

病院ではラムゼイ・ハント症候群と診断され、最初はステロイド薬の治療を行い、その後は抗生物質での治療に切り替え経過を見ている。少しでも早く改善したいと思い当院を受診した。顔面神経麻痺以外には、首肩のコリも気になる。

当院の施術

寝不足もあり体調を気にしていましたので、まずは自律神経測定器で現在の自律神経の状態を確認しました。

多少交感神経の活動が優位になっていましたが、バランスはそこまで大きく乱れてはなく、ほぼ正常に近い状態でした。

しかし、いち早い改善を目指すためにはさらに自律神経の調節が必要不可欠になります。

そのため、顔面神経麻痺、首肩コリに対する施術の他に自律神経調節治療も同時に行いました。

 

発症からまだ期間も短く、異常共同運動のリスクを避けるために、電気鍼は行わず低刺激で血流を促進させ末梢神経損傷部の再生を促す事を目的とした施術を行いました。

 

その後、末梢神経損傷部の再生が完了し、異常共同運動のリスクが消滅した時点で顔面部の筋委縮を弛緩させる鍼通電療法に切り替えていきました。

 

経過

1回目

まだ大きな変化はないが、心身ともにリラックスできた。

2回目

顔のこわばりは少し楽になった。

3回目

瞼は前より閉じやすくなってきたが、ほほや口の動きはまだ変化がない。

4回目

以前より口が動きやすくなってきた。首の張りが気になる。

5回目

以前より軽快してきた。

継続して通院中。

 

 

 

顔面神経麻痺とは?

顔面神経麻痺とは顔面の表情筋をつかさどっている顔面神経が何らかの原因により、神経麻痺をおこして顔面部の筋の運動麻痺を主とした様々な症状が現れる疾患です。

発症にとくに男女差はみられませんが、発症前に仕事が忙しかったり、ストレスを著しく感じていたり、風邪をひいて寝込んでいたりと身体が弱っている時に発症しやすいことが言われています。

また、発生頻度は高齢の方のほうが高く、血圧の高い方血糖値の高い方に多い傾向にあり、そのような方は治る過程も遅くなります。

顔面神経麻痺

 

 

顔面神経麻痺に対する東洋医学的考え

 

東洋医学では、病気の原因は大きく分けて内因(体質素因・精神的素因)外因(生活素因・自然素因)病理的産物とに分けられます。外因は内因を通してはじめて病変して身体に影響が出ます。

顔面神経麻痺の場合、外因が深くかかわっていると考えられています。

 

東洋医学の外因とは

・生活素因

暴飲暴食や過労、性生活が過剰であったり、睡眠が不規則であったり、運動不足などにより日常生活が乱れている場合に病変として現れます。

・自然素因

環境の変化や細菌やウィルスなどによる体の外から来る病気の原因によって病変が現れます。東洋医学では、自然界の気候の変化を「風・寒・暑・湿・燥・熱」の6つに分けられ、それらが人体に作用して病変が起きる状態を「風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・熱邪」と呼びます。

 

顔面神経麻痺の東洋医学での原因

東洋医学では、末梢性顔面神経麻痺は風邪と寒邪が合わさった病変だと考えられています。

風邪は

・突然発症する

・変化が多い

・人体の表面部分をおかしやすい

などの特徴があり、風邪によって顔面部の経絡の流通が妨げられて、運動麻痺や痺れ、痛みなどが発症すると考えられています。

 

寒邪は

・全身あるいは局所の寒冷症状

・固定制の疼痛や筋肉のひきつれ

・体が冷えると症状が強く出る

などの特徴があり、ストレスや生活の不摂生などにより、体の防御反応が弱くなってきた際に顔面部に寒邪が侵入しやすく、神経麻痺が起きます。

 

 

顔面神経とは

顔面神経は12対ある脳神経の一つで、第七脳神経とも呼ばれます。顔面神経は左右の脳幹から出て、内耳神経と一緒に内耳道、中耳腔を通って側頭骨を貫きます。さらに単独で顔面神経管という管を通り、耳の前下あたりから出て表情筋などへ伸びていきます。

また顔面神経管を通るあたりから涙腺唾液腺味覚をつかさどる神経の枝を出します。

主に顔面部の表情筋の運動を主っており、また涙腺や唾液腺、味覚などにも関係する神経が出ており、顔面神経麻痺が起こったときは、それらの症状も発症することがあります。

 

顔面神経麻痺の症状

顔面神経麻痺に起こる主な症状としまして

表情筋の麻痺

顔面神経は顔の表情筋を主っているため顔の表情筋が麻痺します。両側に起こることは少なく、多くは片側に麻痺が出ます。

顔の表情筋に麻痺が出てしまうと

  • ・額にしわを寄せることができない
  • ・目が閉じにくくなる
  • ・頬を膨らませても口から空気が漏れる
  • ・口笛が吹けなくなる
  • ・食べ物や飲み物が口からこぼれる

などの症状が出ます

味覚障害

  • ・涙の分泌障害
  • ・手足の症状

 

唾液腺の障害

  • ・よだれが多く出て口も閉じにくいため口から垂れてしまう
  • ・唾液が出ずに口が渇く場合もある

涙腺の障害

  • ・涙の量が減り、瞬きの回数も減ってしまうので目の表面が傷つきやすく痛みや違和感を生じます

 顔面神経麻痺の種類

 

顔面神経麻痺の種類

 

 

顔面神経麻痺には、大きく分けて中枢性と末梢性があります。

中枢性顔面神経麻痺

脳幹より上位の中枢側の障害による顔面神経麻痺です。脳卒中脳梗塞などによって引き起こされます。一般的に中枢性の方が末梢性よりも予後が悪いです。

顔面神経麻痺の症状に加えて下記のような症状が出た場合はすぐに専門医を受診してください。

  • ・手足がしびれる
  • ・原因不明の突然の頭痛がする
  • ・歩くとふらついてめまいがする
  • ・視界がかすんだり、急に視力が低下したと感じる

頭頂部の痛み

 

 

末梢性顔面神経麻痺

顔面神経麻痺のほとんどは末梢性顔面神経麻痺です。末梢神経麻痺は、脳や脊髄の中枢から手足など様々な部分に伸びる末梢神経が障害を受けるために麻痺が起こります。
顔面神経の場合は顔の筋肉を支配してますので、顔の筋肉の麻痺が起きてしまうのです。
末梢神経麻痺の代表的なものとしてベル麻痺とハント症候群が挙げられます。 ベル麻痺は、顔面神経麻痺全体の7割近くを占めます。次いでハント症候群が挙げられます。

 

ベル麻痺

ベル麻痺は末梢神経麻痺の中でも発症頻度が高く、およそ10万人に23人もの割合で発症し、年齢男女問いません。原因としましてはわからないとされていましたが、近年の研究により単純ヘルペスウィルスの感染・再活性が原因という説が有力です。

従来ベル麻痺に関しては原因不明とされてきましたが、近年ではヒト単純ヘルペスウイルスの再活性が原因とされるウイルス説が有力とされるようになってきました。

ベル麻痺は前駆症状がなく、いきなり顔の片側の筋肉が動かしづらく感じて筋力低下を起こす場合もありますが、発症の数時間~2日前に耳の後ろの痛みを感じて顔面神経麻痺を生じる場合もあります。

ベル麻痺による麻痺の程度は軽度から重度のものがあり、発症から2日以内が最も筋力低下が起きやすい期間となります。

顔の筋力の低下が起きると、目を閉じづらくなり眼球結膜が常に見えた状態の兎目という状態になることがあります。また、額にしわを寄せる・口角を上げる・口を膨らませるといった動作ができなります。

ベル麻痺による影響は、顔の筋肉に留まるばかりでなく、涙腺や唾液腺にも影響を与えるため目や口の渇きを感じる場合もあります。

ベル麻痺は数ケ月の間に自然治癒する場合もありますが、長い時間顔の筋肉を使わないため筋肉が拘縮したり、筋力低下による顔の垂れ下がりなど後遺症も残る場合も多いので注意が必要です。

また、目の乾燥や閉眼動作ができないた目の表面が傷つきやすく、視力の低下などにもつながる可能性があるのでしっかり目もケアしていく必要があります。

 

ハント症候群

ハント症候群とは、末梢性顔面神経麻痺の中でベル麻痺に次いで2番目に多い疾患です。ベル麻痺との大きな違いは、顔の筋肉が動かしづらい症状に加えて強い痛みを感じることが特徴です。

ハント症候群の原因は水痘帯状疱疹ウィルスです。幼少期などに水ぼうそうに感染し、体にウィルスが潜伏していた場合に発症するリスクがあり、体の疲れストレス免疫力の低下などの原因によりウィルスが再活性して症状が現れます。

ウィルスが活性化する神経によって症状が異なりますが、ハント症候群の場合顔面神経でウィルスが活性化します。すると、耳や口の中に水泡やかさぶたを生じて強い痛みを感じるのです。

また、顔面神経近くを通る内耳神経にも影響を与えるので、難聴耳鳴りめまいなどの症状も現れる場合もあります。

ハント症候群はベル麻痺よりも治癒率が低く、時間が経てばたつほど治りも悪くなるので早期に治療を開始することが重要です。顔の筋力が戻らない・病的共同運動・筋肉のひきつれなど後遺症が残ってしまう場合も多いです。

 

 

検査法

病院では、MRI検査やCT検査などの画像診断で中枢性か末梢性か検査されます。脳卒中などで中枢性に障害を受けている場合は、顔の神経麻痺ばかりでなく片側の上下肢にも痺れや筋力低下が起きるので、診断は可能かと思います。しかしまれに頭部外傷腫瘍、その他の感染症で顔面神経麻痺が起きる場合もあるので、一度病院で検査を受けていただく必要があります。

当院では、顔面神経麻痺の際に使用される評価法40点法(柳原法)を用いて顔面の筋肉運動の評価をしていきます。柳原検査法は、麻痺の程度を把握するためにとても重要な検査で顔面間神経麻痺の評価法において世界的にも用いられている検査法の一つです。

柳原法は、顔面の筋肉各部の動き・麻痺の程度を評価する検査法で、ベル麻痺とハント症候群を評価するために作成された評価法です。

これら9つの項目40点満点で評価します。

  • 20点以上・・・軽度の麻痺
  • 18~10点・・・中程度の麻痺
  • 8点以下・・・重度の麻痺

 

顔面神経麻痺の西洋医学的な治療

顔面神経麻痺の種類によって治療法は変わってきます。

ベル麻痺の場合は、単純ヘルペスウィルスに有効な抗ウィルス薬が処方されて、ハント症候群に関しましては、水痘帯状疱疹ウィルスに有効な抗ウィルス薬が処方されます。その他にも神経を早期に修復させる目的でビタミンB12ビタミンEなどの製剤が処方されたり、星状神経節ブロックやリハビリなどの保存的両方が採用されます。

顔面神経麻痺が重くなるにしたがってお薬の量が増えて、重度の場合は入院して集中的に治療する場合もあります。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

ストレートネックの鍼灸治療

土曜日, 7月 20th, 2024

ストレートネックの鍼灸治療

当院のストレートネックに対する鍼灸治療は、まず第一に頸部・肩部へ鍼をさすことにより、血流改善・筋緊張の緩和を促します。

ストレートネックの鍼治療

 

必要であれば、さした鍼に電気を流す鍼通電療法も行っていきます。鍼通電療法では痛みを抑制する鎮痛効果も期待できます。

ストレートネックの鍼通電治療

また温灸療法やマッサージ・整体も行うことで鍼施術との相乗効果で筋緊張を緩和していきます。

そのほか、ストレートネックによる症状で悩まされている方の多くは自律神経の乱れ症状も見られます。首肩部の痛みや違和感は交感神経を過亢進状態にさせやすく、容易に自律神経のバランスの乱れに繋がってしまいます。するとめまいや吐き気、睡眠障害に悩まされる方も少なくありません。

 

ストレートネックの自律神経調整鍼灸治療

当院でのストレートネックの治療はもちろん首肩部を中心に行いますが、全身の調整施術や自律神経の調整施術も並行して行っていきます。

 

ストレートネックとは

 

ストレートネックとは、頸部の生理的湾曲が損なわれてしまっている状態です。ストレートネックは決して病名というわけではありません。しかし、ストレートネックに起因する症状が今増えています。

ストレートネックを理解するためにまず背骨の生理的湾曲を理解する必要があります。

生理的湾曲
腰が曲がっているなど背骨が曲がっているとあまりいい印象を受けませんが、背骨は生理的に曲がっている状態が正常なのです。人間の頭部は、体重比で言いますと8~13%もあるといわれています。例えば体重60kgのひとは約6kgも頭部の重さがある計算になります。それだけ重いものを支えるために背骨は適度なS字カーブを描いて湾曲されていてその湾曲により頭部などの重力を分散させているのです。

まず、頸部は前面に湾曲して次に背中部分は後ろに湾曲して最後に腰部はまた前面に湾曲しているのです。

この生理的湾曲が崩されて頭部などの重力の分散がうまくできない状態になってしまうとある部分への重力の負担が大きくなってしまい、頸肩部でいうと頸椎ヘルニア頚椎症肩こりなど、腰部でいうと腰椎椎間板ヘルニア慢性腰痛・圧迫骨折・などの原因となってしまうのです。その他にも身体全体にも影響を及ぼして自律神経失調症不眠症なども患ってしまう危険性もあるので注意が必要です。

頚椎症

 

ストレートネックの症状

ストレートネックは前述したように病名ではありません。ストレートネックでも症状が全然出ていない方もいますが、頸部の生理的湾曲が損なわれてしまうと

・首肩コリ

・頸部や肩部の痛み

・上肢の痺れ

頭痛(主に筋緊張性頭痛)

・吐き気

めまい

などの症状がでます。

デスクワークなど座っている時間が多い人や周りの人から猫背姿勢を注意されるなどで上記の症状が慢性的に出る方は一度整形外科などでレントゲン検査を受けてみるのもいいかもしれません。

ストレートネック

 

ストレートネックの自己チェック法

頸部は通常、30度~40度の生理的湾曲をしていると言われています。ストレートネックのでは湾曲が30度以下なってしまっているため、下記のような自己チェック法でストレートネックが疑われます。

まっすぐな壁にかかと・仙骨・肩甲骨を付けるようにまっすぐに立ちます。この時にあごを軽く引いて後頭部が壁につかない場合はストレートネックが疑われます。

この自己診断法で後頭部が壁につかないかつ上記のようなストレートネックの症状が出ている場合はストレートネックの可能性が極めて高くなります。整形外科などでレントゲン検査を受けるとストレートネックは簡単に診断がつきますので一度整形外科を受診することをお勧めします。

また、症状が全く出ていないのにも関わらずに自己チェック法でストレートネックの疑いがある人も日々の姿勢などを気を付けて症状が今後出ないように気を付ける必要があります。なにしろストレートネックの怖いところは、症状に気づいたときには頸部の生理的湾曲はかなり崩れていて改善するのに苦労することが多いところです。

 

 

ストレートネックの原因

ストレートネックの原因は、主に

・スポーツや事故での外傷

交通事故でのむち打ち症でストレートネックとなってしまうことがあります。その他、格闘技での頭部や頸部への衝撃、スキーでの転倒などでもストレートネックの原因となってしまうこともあります。

 

・加齢や老化による筋力低下や骨の変形

加齢、老化によって頸部の筋力低下や頸椎椎間板の弾力性が損なわれてしまい椎間板クッション機能が低下して椎間板が変性してしまうことにより頸部の生理的湾曲が減少してストレートネックとなってしまうことがあります。

 

・姿勢の悪さ

今、パソコンでの仕事が増えて長時間座っている人が増えているため、姿勢の悪さのためストレートネックによる症状で悩まされている方が増えています。人間本来の背骨の構造上、背骨は座位姿勢には適したように構造されていません。椅子に座っている作業することが多くなってしまっていることによって骨盤周囲の筋肉は衰えてしまい人間本来の骨盤の前傾が保たれていない状態となってしまっているのです。
すると背骨全体のバランスが変わってきて背骨の生理的湾曲が保つことができなくなってしまいストレートネックへと変形してしまうのです。

またパソコンではマウスやボードを使うため上肢を前に出した状態を続ける事になります。そして、頭部は前傾して背骨の生理的湾曲であるS字を描くというよりもC字に描きやすくなってしまうことによりストレートネックになってしまいます。

姿勢の悪さ

・スマートフォンの長時間使用

スマートフォンの普及により、頭部の前傾姿勢が長時間続くことでストレートネックになる方が増えています。
ニューヨーク市脊椎専門クリニックのケネスハンスラージの研究によりますと、頭部を前傾姿勢にすればするほど頸部への荷重が増えていくという研究結果が出ています。肩と耳の前を一直線に結んだ線と肩から腰骨を結んだ線の角度を基準に0度の場合と45度の場合を比べると45度の場合の方が約4倍もの荷重が首にかかっていると研究結果では出ています。この肩と耳の前を一直線に結んだ線と肩から腰骨を結んだ線の角度が45度の姿勢はちょうどよく電車内でも見かける座ってスマートフォンを操作している時の姿勢です。
それだけ、頭部を前傾にすると頸への負担は増えるのです。頸への負担が増える事で頸部の筋肉は過緊張状態を引き起こし伸縮性を欠いてストレートネックとなってしまうのです。また、頸椎や椎間板にも影響を与えてしまい、頚椎椎間板ヘルニアや椎間板変性症になってしまうのです。

スマホ首

 

 

症例

10代 男性

受験期間の数ヶ月でかなり姿勢が悪くなった。コロナ禍でオンライン授業も多くなりパソコンやスマホの画面に向かうことが増えた事も関係していると思われる。勉強だけでなく趣味もパソコンゲームで、気付くと何時間も熱中しているとのこと。

また首、肩の痛みや緊張は常にあり、今は問題ないがこのままでは近視など他の悩みも出てきそうだと保護者様からの勧めで来院。

 

当院の治療

 

首から腰まで上半身は全体的に筋緊張があり、特に首周りのかたさが目立った。また、身体の緊張状態のせいか睡眠の質も悪いとのことでこちらも同時進行で治療していく。

首周りの筋肉の緊張を緩める事と、身体の状態を安定させるために自律神経調節の治療をメインで行った。

治療頻度は週に1回

 

治療経過

◇1回目◇

治療中リラックスできた。気づいたら寝ていた。

◇2回目~5回目◇

治療直後や数日間は楽になるがすぐ元に戻ってしまう。

◇6回目◇

治療後の軽さが前よりも長持ちするようになった。

治療頻度を2週間に1回に変更

◇7回目◇

机で勉強やパソコンをしていても疲れや緊張を感じにくくなった。

◇8~10回目◇

日常生活の中で首がかなり軽くなったと感じる。

◇11~13回目◇

ご家族に姿勢が変わってきたと言われた。背が伸びた気がする。

 

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院

 

お灸の作用とセルフケアのススメ

日曜日, 6月 30th, 2024

鍼灸の『灸』とは、何をしてどんな効果があるかご存知ですか?

 

 

』とは、皮膚に「もぐさ」をのせ線香で火をつけて身体に『温熱刺激』を与える治療法です。

もぐさ」とは、キク科の多年草のヨモギの葉を乾燥させ石臼で挽き精製したものです。夾雑物の混入の程度により等級分けされ、使用用途も異なります。鍼灸師が手でひねって治療に用いるもぐさは、もぐさのなかでも特に高級品のもぐさを使用しており、なんと1kgの乾燥ヨモギから7gほどしか作られません。とても貴重ですね。

 

お灸は約2000年前の北方民族の独特の医療として芽生え、インドに渡り仏教医学として発達したといわれています。中国やインドの砂漠地帯でも自生する生命力の強いヨモギで病気を治そうと考えついたのがお灸の始まりとされています。

日本には飛鳥時代に中国から仏教と共に伝来し、独自に発展し多様な灸法があります。701年に制定された大宝律令の中の医疾令には針博士という官職名が記され、鍼とお灸の勉強が定められていました。奈良平安期以降お灸は広く用いられていました。

江戸時代には多様な灸法書が著されるようになり、健康維持のため庶民にも広く浸透していました。ヨーロッパとの交易でお灸は日本からヨーロッパ、世界へと伝えられ、お灸は英語で「moxibustion」「MOXA」(モグサ)と呼ばれています。

明治以降西洋医学が主流になり、熱くて痕が残るお灸は忌避されるようになっていきました。また昔の家屋に比べ住宅の気密性が高まり、煙のでるお灸は嫌がられるようになりました。今では、一部の地域や鍼灸院にかかる人のみにお灸が普及している状況です。

芳年 『風俗三十二相 あつさう』

歌川豊国 『江戸名所百人美女 鎧のわたし』

お灸の種類

 

お灸には治療目的に合わせて形を変えたり、道具を用いたりと色んな種類があります。

お灸の方法には大きく「直接灸」と「間接灸」という2種類の方法があります。直接灸とは、皮膚に直接もぐさを置き燃焼させる方法です。間接灸とは、皮膚ともぐさの間に台座やニンニク、生姜などを挟み間接的に燃焼させる方法です。当院では、直接灸と間接灸の両方を用い、適宜刺激量を調節し治療を行っています。

 

 

 

お灸の作用

 

お灸は以下の作用で身体に反応を起こしています。

 

1、温熱作用

2、皮膚から浸透する成分の作用

3、施灸皮膚組織の再生・修復過程で生じる作用

4、モグサや煙の芳香による作用

 

1、温熱作用

お灸は温熱刺激を生体に与えます。温熱刺激の感受には「温度感受性TRPチャネル」が関わっていると考えられています。

TRPチャネルとは、皮膚や感覚神経だけでなく身体中の臓器に発現し、温度刺激や化学刺激に反応する受容体です。人間には9種類の温度感受性TRPチャネルが存在することがわかっています。

お灸による温熱刺激には、侵害性の熱い温熱刺激と非侵害性の温かい温熱刺激に分けられます。

侵害性の熱い温熱刺激は、TRPV1(活性化温度閾値は43℃以上)、TRPV2(52℃以上)により感受されます。感覚神経のうちC線維、Aδ線維にそれぞれ発現しています。感覚神経上のTRPチャネルが活性化されると、温度情報は活動電位に変換されて求心性に脊髄、脳へ送られます。その過程で主に以下の3つの作用が起こると考えられています。

①軸索反射を介して、枝分かれした軸索末端から神経ペプチド(CGRP、サブスタンスP)が放出され、血管が拡張し、発痛物質が血管に取り込まれ痛みを緩和する。

②上行性に伝えられた温度情報が、脳幹や視床下部を介して、自律神経や内分泌系など様々な調節反応を誘発する。

③大脳辺縁系において心地よさが生じ、大脳皮質にて温かい感覚が生じて、気分を楽にする。

 

非侵害性の温かい温熱刺激はTRPV3(活性化温度閾値32〜39℃以上)、TRPV4(27℃〜35℃以上)、TRPM2(36℃以上)により感受されます。TRPV3やTRPV4は表皮のケラチノサイトなどに発現しており、温度を感受するとATPを放出して感覚神経に伝えることが報告されています。

 

TRPV2は上皮組織に存在する肥満細胞に発現し、TRPM2はマクロファージなどの免疫細胞に多く発現していることから、お灸は免疫とも関わっていると考えられます。

 

以上のように、活性化温度閾値の異なるTRPチャネルがあり、様々な組織に発現しているので、お灸の温度の違いにより生体に及ぼす反応も異なると考えられています。

 

TRPチャネルはDavid Julius教授(カルフォルニア大学サンフランシスコ校)の研究グループによって発見され、2021年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。TRPチャネルの発見により、お灸の機序解明が進んでいます。

 

2、皮膚、呼吸器から浸透する成分の作用

ヨモギの腺毛には揮発性の精油が含まれており、主成分であるシネオールは燃焼により独特の芳香を発します。ヨモギには多数の精油がふくまれており、皮膚と親和性があり、含有されているポリフェノールが燃焼による酸化的ストレス状態を抑制することが報告されています。

 

3、施灸皮膚組織の再生・修復過程で生じる作用

昔のお灸は、皮膚を焼き切り熱傷を生じさせる療法でした。皮膚を焼くことで、炎症を引き起こし、再生させるという過程を通して、神経組織、結合組織、免疫系などに様々な影響を与えることにより病気の予防と治療を行っていました。

 

4、お灸に用いる物質の芳香作用

お灸の匂いでリラックスするという意見は多く、モグサ燃焼時の芳香によるアロマテラピー効果があると考えられています。

 

お灸の効果

1、血流改善、痛みの緩和

2、免疫・代謝機能の向上

3、リラクゼーション

 

セルフケアとしてのお灸

 

鍼灸院での治療効果を維持するためや、不調の改善、健康維持のために、セルフケアとしてご自宅での台座灸をおすすめいたします。

台座灸とは、円形の台座紙の上にもぐさがついているお灸で、シールで皮膚に貼ることができます。

煙が苦手な方は、煙の出ない台座灸も市販されています。

市販の台座灸は温熱レベルの低いものを選び、熱く感じたら取り除き、やけどをしないよう気をつけて行ってください。

 

 

セルフケアにおすすめのツボ

 

・足三里

スネにあり、膝のお皿の上に親指を当て、お皿をつつみこむように握った際に中指の先があたるところにある。

効果:免疫力向上。胃腸の調子を整える。足の疲れ。疲労。腰痛。

 

・三陰交

くるぶしの内側で指4本分上がったところにある。

効果:婦人科疾患。胃腸のトラブル。頭痛。肩こり。

 

・合谷

手の親指と人差し指の股の人差し指側にある。

効果:首肩こり。頭痛。疲労。

 

・手三里

ひじを曲げた時にできるしわに人差し指を置き、手首側に指3本のところにある。押すとズーンとひびく。

効果:首肩こり。胃腸の不調。疲労。

 

・大椎

第七頸椎と第1胸椎棘突起間にある。

効果:呼吸の調整。風邪。花粉症。首肩こり。

 

・肩井

首の付け根と肩先を結ぶ線の中央にある。

効果:首肩こり。腕の痛み。疲労。

 

・中脘

へそとみぞおちを結ぶ縦線の中間にある。

効果:胃腸の不調。逆流性食道炎。

 

・天枢

へそから左右指2本分外側にある。

効果:胃腸の不調。便秘。下痢。

 

・関元

へそから指4本分下側にある。

効能:胃腸の不調。冷え。疲労。婦人科疾患。

 

ご自身に合うツボを知りたい方はぜひ鍼灸師にご相談ください。

 

お灸で養生

 

東洋医学にはとても大事な身体観として『養生』と『治未病』という言葉があります。

『養生』とは、生命を養うという意味です。

『治未病』とは、病気になる前に治すという意味です。

健康は、日々の生活の小さな積み重ねによって維持されます。

病気を発症したとしても、悪化を防ぐことはとても重要です。

ぜひ日々のセルフケアとしてお灸をして、養生してくださいね。

気になることは鍼灸師にご相談ください。

産後ケアの鍼灸治療

金曜日, 6月 28th, 2024

出産後の体の変化

産後の体は妊娠中と同様にとてもデリケートで大きな体の変化が起こります。出産後に元の体に戻ろうとする約8週間を「産後の肥立ち」や「産褥期」と呼び、体が急激に元の状態に戻ろうとしホルモンバランスも大きく変わり様々な痛みや不快症状があるだけでなく、免疫力も低下してウイルスなどに感染しやすくなります。

また、赤ちゃんが生まれてからは生活も急激に変化するので、産褥期が過ぎた後もいろいろな不調や変化が起こりやすく、体だけでなく精神面も不安定になりがちです。そのため、産褥期はしっかりと体を休めて心身を整えることが重要です。

赤ちゃんが生まれたあとのお母さんは、自分の体のことを後回しにして無理してしまいがちですが、この時期のケアはとても大切で無理した結果、後々までつらい症状が残ることもあります。

産褥期・産後の症状

産褥期は子宮が妊娠前のように戻り、母乳も分泌され始めます。体が急激に戻ろうとすることで様々な症状がみられます。

 

・悪露の排出

出産後に起こる子宮内膜や分泌物の排出。整理よりも量が多いが出血があり、分娩時に残った胎盤の一部が排出されることも。産後すぐから一か月前後まで続きます。

 

・子宮収縮の痛み(後陣痛)

大きくなった子宮が元の大きさに戻る際の収縮による痛み。後陣痛とも呼ばれ産後三日程度までが特に強い痛みを感じやすい。授乳によって子宮が収縮して痛みが強まることもあります。

 

・会陰切開・帝王切開の痛み

傷の程度にもよりますが、産後二週間程度は切開による傷そのものが痛むでしょう。傷が治った後も、瘢痕と呼ばれる傷跡が残るため、痛みや座った時の違和感を覚えることがあります。

 

・便秘

産後は悪露や授乳によって体内の水分量が減り、便秘になりやすい傾向にあります。こまめな水分補給や、食物繊維・乳酸菌など便秘に効果的な栄養素を積極的に取り入れるとよいといわれています。便秘が悪化すると痔になることもあります。

便秘に対する鍼灸

・抜け毛

産後はホルモンバランスの変化により、毛髪の成長サイクルが乱れて抜け毛が多くなる方も多いです。中には円形脱毛症になってしまうケースも。ただし、症状は一過性であるため、ホルモンバランスが落ち着くのと同時に徐々に改善されていくケースが多いです。

 

・腰痛

骨盤の開きや筋肉の衰えなどで腰痛を訴える方も少なくありません。また、産後すは出産の際にゆるんだ骨盤が不安定な状態になるため、特に痛みを感じやすいです。

腰痛に対する鍼灸

骨盤が不安的な状態や筋肉が衰えた状態で無理な姿勢をとると腰痛を悪化させてしまいます。赤ちゃんのお世話をする際にもできるだけ背筋を伸ばした正しい姿勢をとるように心がけましょう。

 

・むくみ

妊娠中の血液量は妊娠前の1.5倍に増えます。産後急激に血液量が減ることで体内の水分バランスを保ちにくくなり、浮腫みが発生しやすくなります。また、産後は体力回復のために激しい運動ができないため、筋肉のポンプ機能が衰えてしまうことも原因の一つです。

むくみに対する鍼灸

 

・マタニティブルー、鬱状態

産後二週間以内に起こりやすい気分の落ち込みや不安感などの症状でホルモンバランスの乱れが影響していることも。二週間以上症状が改善しない場合は産後鬱に移行している可能性もあり、医師に相談を。

産後うつに対する鍼灸

 

・腱鞘炎

赤ちゃんの沐浴や授乳などで手を使うことが多くなるため手首に負担がかかり炎症を起こしてしまいます。

腱鞘炎に対する鍼灸

 

・肩こり

赤ちゃんのお世話は入浴やおむつ替えなどで無理な姿勢をとることが多いです。また、抱っこや授乳などは首肩に大きな負担がかかってしまいます。

肩こりに対する鍼灸

 

・頭痛

産後は様々な原因が重なり頭痛が起こります。首肩こりはもちろん、寝不足や育児に対する緊張で血管が細くなることも頭痛の原因になります。

頭痛に対する鍼灸

 

出産後の体が変化する原因

 

産後は体が妊娠前の状態に戻ろうとするため、大きくなった子宮の収縮やホルモンバランスの急激な変化が起こります。

ホルモン分泌の変化と一口に言っても、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロン、骨盤を広げて赤ちゃんが産道を通りやすいようにするリラキシン、炎症を抑えるステロイドホルモンなどそれぞれ役割が異なるホルモンの分泌に変化が起こります。

また、生活環境の変化から体の変化が起こる場合もあります。

育児のために同じ体勢を取ることが増えると体の痛みにつながったり、夜泣きに合わせて生活をすることになるため生活リズムが乱れたり、また慣れない育児により精神的なストレスを感じることなどが考えられます。

 

東洋医学的考え方

東洋医学で考える産後ケアは

◆妊娠、出産で失われた体力の回復「気(元気の元)」を補う

◆授乳で消耗した「血」を補う

◆悪露を出し切り「血」の巡りをよくする

◆ホルモンバランスの改善

が大切です。

・気(き)

中医学では、身体を動かすものを「気」といい消耗した状態を「気虚(ききょ)」といいます。出産により消耗した身体を休めて体力を回復するのが大事です。
気虚の状態が続くと肥立ちが悪くなるだけでなく、お露が長引いたり、お腹の皮膚が引き締まらない原因にもつながります。

また、「気滞(きたい)」といってストレスなどの影響で気の流れが滞ることで悪露が長引いたり、不眠やイライラ、胸が張り母乳の分泌が悪くなるようなことが起こります。

 

・血(けつ)

出産による出血で消耗するだけでなく、母体の回復のため、母乳の材料などで使われることで出産後は不足しがちになります。血が不足するとイライラや不安、不眠など精神的に不安定になります。母乳の不足や産後鬱にならないためにも血を補うことは大切です。

また、身体に不要な血の滞りを「瘀血(おけつ)」といいます。胎盤の残りなど悪露は不要なものなので血流を良くしてしっかりと排泄します。悪露をしっかり排泄することで子宮が引き締まり妊娠前の状態に戻りやすくなります。

 

・腎虚(じんきょ)

「腎(じん)」は西洋医学の腎臓の水分調節だけでなくホルモンや骨、生殖に関する機能を担っている場所です。出産前と後では大きく女性ホルモンの分泌が低下します。このため情緒が不安定になります。腎を補うことでホルモンバランスを整えていくことが重要と考えられています。

 

当院の鍼灸治療

産後はホルモンバランスの変調や育児による体の疲れから自律神経の不調が起こりやすいです。そのため、自律神経系の調整施術を行い免疫機能や内臓機能、全身の血流を促進し体が本来持つ自然治癒力を高めます。

東洋医学的観点から気・血を補うツボや腎の機能を高めるツボなどを選穴していきます。

産後のお悩みは様々ですので、一人一人のお悩みの症状に合わせてツボを選穴し施術していきます。

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