花粉症の鍼灸治療

 

 

花粉症の鍼灸治療

 

花粉症はアレルギーに効果がある経穴を使用した経絡治療や自律神経調節治療を中心に行っていきます。目のかゆみや充血には「晴明」「太陽」「攅竹」「角孫」鼻炎症状がある場合は鼻周りの特効穴「迎香」「上迎香」「神堂」「神庭」にも刺鍼を行います。

鼻周りの経穴には、状態に合わせて電気鍼で刺激していきます。

 

花粉症の東洋医学的治療

 

東洋医学では、「気」「血」「水」の三つの流れ、バランスが重視されます。

この三つが絶えず体中を巡り合って健康な生命活動を維持していると考えられています。

しかし、この三つのバランスが崩れると体に不調が生じます。

花粉症の場合「水」と大きな関わりがあります。

 

体に必要以上の水が入ることを水毒と言い、過労やストレス、水の取りすぎで体調を崩すと胃腸の調子が悪くなり、吸収力が低下します。胃腸の働きが悪くなると液状の飲食物が体内に残ってしまい余った物が水毒となります。

 

花粉症は鼻水や涙が止まらない症状から、吸収されない水分が水毒なり体の外に出る事で発症すると考えられています。

 

水分調整には「脾」「肺」「腎」が大きな役割を担っています。

脾は全身にまんべんなく水分を運搬する機能で、肺は全身の水分をコントロールしています。腎は水分代謝の役割を担っており、余分な水分を尿に変え体外に排出する機能を持っています。

 

また、鼻づまりや目の充血は粘膜がうっ血状態となっている事から、「瘀血」と捉えています。

 

この瘀血は、のぼせやイライラなど気逆の症状が現れることもあるため、それらの状態が見られる場合は瘀血、気逆を正常に整えるツボも使用していきます。

 

花粉症とは

 

花粉症は、植物の花粉が原因の季節性アレルギーのことを言います。

主に鼻と目の症状からなるアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎が現れます。

また花粉に振れやすい顔や首回りに湿疹がおこる花粉皮膚炎も発症することもあります。

 

花粉症が起こるメカニズム

 

花粉といったアレルゲンが鼻粘膜に付着すると、抗体が体内で作られマスト細胞と結合します。

その後再び花粉が鼻粘膜に付着するとマスト細胞からヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサン、PAF(血小板活性化因子)等といったアレルギー誘発物質が放出され、それらの物質が鼻粘膜にある神経や血管を刺激し、鼻水やくしゃみ、鼻づまりといったアレルギー反応を引き起こします。

 

目の場合も同様で、花粉が瞼の粘膜に付着するとヒスタミンなどが発生し粘膜を刺激するため目の充血やかゆみを引き起こします。

また目の知覚神経が刺激されるとその影響で涙腺神経も刺激されるので流涙も強くなることがあります。

 

近年、花粉の飛ぶ時期でしか発症しないものでしたが、ダニや複数の花粉に対してアレルギー反応を起こし一年中花粉症に悩んでいる人も増加しています。

 

花粉症の症状

 

・鼻水

・くしゃみ

・鼻づまり

・鼻のかゆみ

・目のかゆみ

・目の充血

・流涙

・皮膚の湿疹

・皮膚のかゆみ

・頭痛

・微熱

 

花粉の時期と種類

 

春はスギ花粉を筆頭に、ヒノキ、白樺、ハンノキなどの樹木花粉が多く、これらの花粉は十数km、中には数百kmまで風に乗って飛ぶこともあり、スギやヒノキが少ない都市部まで大量に舞ってくる事があります。

時期は地域によって違いますが、2月~4月がピークと言われています。しかし、スギ花粉は10月から6月まで飛ぶこともあり、アレルギー反応が強く出やすい人はピーク時以外でも発症する事もあります。

 

秋の花粉はブタクサ、イネ、ヨモギ、カナムグラが多く、早くて8月の終わりころから飛び始め、11月まで飛びます。特に9月頃がピークになることが多いです。

イネに関しては5月頃がピークになります。

 

上記だけではなく、日本では61種類の花粉によるアレルギーが発見されています。

 

花粉症の西洋医学的治療

 

花粉症の治療は、鼻噴霧様のステロイド薬、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬の内服といった薬物療法が中心になります。

また、花粉のシーズン前にレーザー照射で鼻粘膜表面を変性、収縮させることにより鼻水、くしゃみ、鼻づまりといった症状を軽減させる治療もあります。しかし、この方法は花粉の症状が出てから行っても効果がでないので、シーズン前に受ける事が大切です。

 

また、アレルギーの原因となる抗原を体内に少しづつ投与する事によって、アレルギー反応を起こしにくい体質に変化させるアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法、皮下免疫療法)があります。これは免疫を獲得するために行われる予防接種とは違い、間違って獲得してしまった免疫の排除を目的として投与します。

 

日常生活の花粉症対策

 

花粉症は自律神経の乱れで症状が悪化することがあります。

まずは睡眠をよくとる事。規則正しい生活を送ることが大切です。

他には多量の飲酒、喫煙も鼻粘膜を刺激してしまうので控えましょう。  

外出時はマスクやメガネを装着する、室内に持ち込まないように工夫をしましょう。

 

アレルギー性鼻炎と自律神経の関係性

 

朝の起床時に鼻が詰まったり鼻水やくしゃみが止まらなくなる事があります。

これはモーニングアタックと呼ばれていて、自律神経のバランスが乱れることで起こります。

 

自律神経は活動時に働く交感神経と睡眠中やリラックス時に働く副交感神経があり、目覚めて副交感神経から交感神経に少しずつ切り替わります。

交感神経は鼻粘膜の血管を収縮させ、くしゃみや鼻水を抑えますが、起床直後はまだうまく働いていないためくしゃみや鼻水が出ます。

 

睡眠不足や慢性的なストレスで自律神経が乱れている人は、より花粉症の症状が強く出やすくなります。

 


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 20:20 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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