斜視の鍼灸治療

斜視に対する当院の鍼灸治療

斜視に対する当院の治療は、目の周りに鍼を刺してその鍼に電気を流すことで目を動かす筋肉や神経に刺激を与えることで改善をはかっていきます。

 

斜視の鍼通電治療

 

目の周囲の鍼に電気を流すことは刺激量が強くなるため鍼が初めての方や鍼刺激に敏感の方の場合は、刺激量を調整して電気を流さないでお灸刺激で対応していくこともあります。

斜視の鍼灸治療

 

また、首の筋肉のコリが強いと目のほうにも悪影響を与えてしまうために首の筋緊張も緩和させていきます。まずはうつ伏せの治療で首肩や背部にある五臓六腑の重要なツボを鍼灸で刺激していきます。

斜視に対する頸肩鍼灸治療

 

その他、自律神経バランスの悪化も筋肉や神経に悪影響をあたえてしまうため、次に仰向けとなり目の周りにの施術とともに腹部や手足、頭部のツボも用いて自律神経の調整も行っていきます。

斜視に対する自律神経調整鍼灸治療

 

必要であれば、初診の問診時に自律神経測定器で自律神経の状態を測定していきます。

 

 

 

斜視とは

 

斜視とは、正面の物を見る際に片方の目は正常に正面を向いているのにも関わらずに、もう片方の目は上下左右に違う方向に向いてしまっている状態をいいます。

斜視には、常に斜視となっている状態の恒常性斜視と斜視の状態の時と正常な時もある間欠性外斜視とがあります。間欠性外斜視は、外斜視が起きてしまっている時は近くの物にピントを合わせることが難しくなってしまい、物が見えづらくなってしまいます。特に目の疲労が強い時や起き抜けの時、眩しさを感じる時に起こりやすいとされています。

斜視となると、物が二重に見えてしまう複視の状態や目が異常に疲れやすい・首肩コリの原因となったりします。

その他、恒常性斜視の方の場合、常に片方の目が正常とは違う方向を向いているため見た目を気にされる方が多くいます。

斜視の種類

斜視と言いましても目のずれている方向によって種類があります。

内斜視
内斜視は片方の目が内側を向いてしまっている状態です。

 

外斜視
外斜視は片方の目が外側を向いてしまっている状態です。斜視の中でも一番多くみられる状態です。

 

上斜視
上斜視は片方の目が上方向に向いてしまっている状態です。

 

下斜視
下斜視は片方の目がした方向を向いてしまっている状態です。

 

複視

 

斜視の原因

斜視の原因には様々な原因があります。目を動かす筋肉や神経の異常によるものや目の疾患によるもの、全身疾患からくるものそして一番注意しなければいけないのが脳の障害によって起きてしまう斜視です。

また、子供で起こる斜視と大人で起こる斜視とでは主な原因も違ってきます。生まれた直後の赤ちゃんでは、目を動かす筋肉や視力が未発達のため目の位置が安定していないのが通常ですが、生後3ヶ月も過ぎると目を動かす筋肉は発達してくるため目の位置は安定してきます。

しかし、成長するにしたがって目が違う方向を向いていると斜視が判明することが多く、子供は視界の不良を訴えることが難しいため親などまわりが気付いてあげる必要があるのです。

また、子供の場合には偽斜視と言いまして、外見上は斜視に見えても実は視線はそろっている場合もあります。特に生後間もない赤ちゃんは鼻の根元が低い状態でその部分が成長段階にあるために目と目の間が広くなっていて白目の内側の部分が狭くなっていて、目が内側によっているいわゆる内斜視のように一見見受けられますが、それは斜視ではなく、偽斜視といわれます。
偽斜視の状態は、鼻の根元が成長するにしたがって解消されていき、外見上でも正常な眼位になっていきます。

斜視の原因は、主に目の筋肉の異常や神経の異常、遠視の状態、片目の視力の低下、脳の異常などが挙げられます。

 

 

・目の筋肉や神経異常
外眼筋異常
外眼筋とは、上直筋・下直筋・内側直筋・外側直筋・上斜筋・下斜筋の6つの筋肉のことをいい、眼球の向きを変える運動をつかさどっています。これら6つの筋肉が正常に働くことで眼球の複雑な動きを可能にしているのです。しかし、これらの筋肉に何らかの異常が起きてしまうと眼球の位置が安定せずに斜視の状態となってしまうのです。

 

 

・動眼神経麻痺
動眼神経は12個ある脳神経の第三脳神経と言われています。動眼神経の働きは、眼球を動かす上直筋・下直筋・内直筋・下斜筋の働きやまぶたを開閉させる上眼瞼挙筋の働きなどを支配している目の動きにとってとても重要な筋肉です。
動眼神経は中脳にある神経核から出てその神経線維が各々の筋肉に向かいますが、その過程で障害が起こると筋肉に異常が出て斜視となることがあります。多くは、糖尿病や高血圧による虚血状態が原因と言われ、その他脳梗塞や脳腫瘍も原因となり得ます。

動眼神経麻痺の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

・滑車神経麻痺
滑車神経は12個ある脳神経の第4脳神経と言われています。滑車神経の働きは、外眼筋の上斜筋の働きをつかさどっています。原因としましては生まれつきのものや交通事故等で頭部を強く打ってしまったり、血流障害などで起きるとされています。
滑車神経麻痺による斜視では、特に下方向をみると強い複視症状が出てしまうため階段を降りる際に支障が出ます。

滑車神経麻痺の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

・外転神経麻痺
外転神経麻痺は12個ある脳神経の第6脳神経と言われています。眼球を外側に向ける外直筋という外眼筋を支配しています。眼球を外側に向ける外直筋が麻痺しているため眼球を外側に向けることができずに眼球が内側に偏ってしまう内斜視がおきます。考えられる原因は、様々で脳腫瘍や頭部の外傷、糖尿病、ウィルス感染の場合もあります。

外転神経麻痺の鍼灸治療について詳しくはこちら←

 

 

・遠視
遠視とは、眼軸といって眼球の奥行きが短いために網膜にピントを合わせるために必要以上に力が必要となり目が疲れやすい状態となってしまいます。遠くを見る時は少しの調整で見ることができますが、近くを見る時には強い調整がないとはっきりと物が見えづらくなってしまいます。近くのものにピントを合わせる際に目は内側に向かないといけないため内斜視となる危険性があります。

 

 

 

・片目の視力低下
片目の視力が外傷や病気など何らかの原因によって視力が著しく低下してしまった場合に両目で正確にものが見ることができなくなり、視力が低下してしまった目が外側に向いてしまうことがあります。

 

 

 

・脳の異常
脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などによって上記の眼球運動をつかさどる神経が阻害されたり、視神経や視覚をつかさどる視覚野の部分が障害を受けてしまうと斜視となってしまうこともあります。

 

 

・その他
重症筋無力症といって自分の身体の一部に対する抗体を作り出して攻撃してしまう自己免疫疾患の一つでも斜視となってしまうこともあります。その他、検査などをしてもまったく身体の異常が見られない場合もあります。

 

症例

50代男性

一か月前から物が二重に見えるようになり、最近になって少しずつ悪化してきた。

右や下を向く動作、遠くを見ると複視になる。

ご本人は気が付いていないが、よく観察してみると両目の動きに左右差があり、軽度の左目の内斜視を確認。

仕事では一日10時間以上パソコンを使用するため目の疲れがひどく、首肩こりや背中、腰も痛くなる。

発症する一年前から急激に仕事が忙しくなり、肉体的精神的共に疲れ果てていて、寝てもだるさが取れない。

最近ではふらふらするめまいも発症してきた。

当院の治療

施術前に、労働環境、慢性的な中途覚醒などの睡眠状態を考慮して、自律神経の乱れが強いと判断し測定器で現在の状態を調べました。

自律神経のバランスが強く乱れており、特に交感神経が過剰に働いていました。

また外食やコンビニ弁当、カップラーメンが多くなってしまい食生活の乱れもあるためか、血管の弾力性の低下も見受けられました。

治療は、うつぶせで眼や自律神経に関わる経穴を刺激、首肩コリや背中、腰の筋緊張を緩める施術を行いました。

仰向けでも眼や自律神経の経穴を刺激し、さらに眼の周りにある「攅竹」「魚腰」「太陽」「四白」に刺鍼し、電気を流し外眼筋を刺激していきました。

治療間隔は1週間に1回のペースで行いました。

◇1回目◇

複視は変化がない。

首肩や腰は終わった後は軽くなったが、また元の戻った。

◇2回目◇

複視はまだ変わらないが、よく寝れるようになってきた。

◇3回目◇

施術後は眼がすっきりし、視界がクリアになる。

◇4回目◇

施術した帰りは複視が軽快している。

◇5回目◇

以前より良くなっているように感じるが、睡眠不足になると複視症状が強くなる。

◇6回目◇

今回から首肩や眼周囲の刺激量を上げたためか、複視にならない日が増えてきた。

◇7回目~10回目◇

複視が気になる日がほとんどない。

◇11回目◇

完治した。

執筆者

清水大地

眼精疲労専門の鍼灸師

資格
はり師
きゅう師

2008年 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部 卒業
卒業後2年間北京中医薬大学に留学。日中友好病院にて多くの臨床経験を積む

2011年 おおうち総合鍼灸院に勤務。眼科鍼灸の確立

2014年 中目黒にて東京α鍼灸整骨院を開院

2016年 渋谷α鍼灸整骨院を開院

2018年 三軒茶屋α鍼灸院を開院


Posted by 中目黒の鍼灸院 東京α鍼灸院|眼精疲労 at 17:20 / 院長コラム コメント&トラックバック(0)

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